社会保障制度

社会保障とは

社会保障制度は、国民の「安心」や生活の「安定」を支えるセーフティネットです。社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生からなり、全ての人々の生活を生涯にわたって支えるものです。

ここでは、働いている人に関わりの深い社会保険と労働保険について紹介します。

社員等と個人事業主の違い

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/index.html

医療保険等

加入
  • 国民はいずれかの保険への加入が義務付けられています。
  • 個人事業主は自治体が保険者となる国民健康保険に加入します。
  • 手続きは居住している自治体(市区町村)の窓口へ。
保険料
  • 保険料は世帯を単位として、人数や所得をもとに計算されます(保険者によって算定方法等は異なります)。
  • 確定申告に基づき前年の所得が判明したら、概ね6月頃にその年の4月~翌年3月分の保険料が決定し、保険者から通知されます。
  • その年度の保険料は複数回に分けて徴収されますが、保険者によってその回数は異なります。
  • 保険料は所得控除の対象。
給付
  • 病気やケガで通院した時の診察費や、入院費用に対して給付があります。(自己負担は最大3割)
  • 自己負担が高額になった場合、一定の上限額(*)の超過分が給付されます。(高額療養費制度)(*年齢、所得によって上限額は異なります)
その他
  • 国民健康保険では、傷病手当金(病気やケガのために会社を休み、給与の支払いがなかった期間を対象として支給される給付)や出産手当金(出産日の前後に会社を休み、給与の支払いがなかった期間を対象として支給される給付)の給付は、ほぼありません(保険者によっては、独自に給付を行っている場合があります)。病気やケガ等に備える際は、民間の医療保険や傷害保険への加入も選択肢に入ります。

医療保険制度等の全体像

医療保険制度等の全体像

国民健康保険(市町村国保)に加入する以外の選択肢

方法1 国民健康保険組合(国保組合)に加入する

文化芸術分野では、お住まいの地域によっては以下のような同業種の国民健康保険組合(国保組合)があります。

同種の事業又は業務に従事する者で当該組合の地区内に住所を有することが加入要件になっています。収入や世帯構成によって保険料の計算方法が変わるので、場合によっては市町村国保よりも保険料が安くなることもあります。

方法2 健康保険任意継続

会社員を辞めて個人事業主を始める場合等、退職後最長2年間、勤めていた会社の保険を継続することができます。(ただし、保険料は全額自己負担)

方法3 被扶養者となり、家族の保険に入る

家族が被用者保険に加入しており、その被扶養者(年収130万円未満)である人は、家族の保険に加入することになります。

介護保険とは

介護保険制度は、介護を社会全体で支えることを目的として創設された制度であり、要支援・要介護状態となったときに、介護保険給付等を受けることができます。

65歳以上の方(第1号被保険者)の介護保険料は、原則として年金から天引きされ、40歳から64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)の介護保険料は、医療保険料と一体的に徴収されます。

年金(国民年金)

加入
  • 20歳以上60歳未満の国民は国民年金への加入が義務付けられています。
  • 手続きは、マイナポータルからの電子手続または市区町村の国民年金窓口・年金事務所へ。(20歳到達時の加入手続は原則必要ありません)
保険料
  • 国民健康保険と違って、金額は一律で、第1号被保険者の保険料は月額16,590円です。(令和4年度/毎年度自動改定されます)
  • 加入後に納付書が届きますので、金融機関等でお支払いください。電子納付や口座振替等によるお支払いも可能です。毎月納める方法の他、1年分などをまとめて前納する方法(割引があります)もあります。
  • 保険料は全額所得控除の対象。
給付
  • 何歳まで生きるかわからない老後のため、保険料納付済期間等に基づく受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。【老齢年金】20歳から60歳になるまでの40年間の保険料をすべて納めると、満額の老齢基礎年金(令和4年度:777,800円(年額)≒64,816円(月額))を受け取ることができます。
  • 病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができます。【障害年金】
  • 被保険者又は被保険者であった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができます。【遺族年金】
その他
  • 「ねんきんダイヤル」では年金に関する相談や問い合わせができるほか、「ねんきんネット」ではご自身の年金記録の確認や将来の年金見込額の確認などができます。

【ねんきんダイヤル】

電話番号:0570-05-1165(ナビダイヤル)

受付時間:月曜日 8:30~19:00、火~金曜日 8:30~17:15、第2土曜日 9:30~16:00

電話での年金相談窓口:https://www.nenkin.go.jp/section/tel/index.html

【ねんきんネット】 https://www.nenkin.go.jp/n_net/

日本の年金制度は3階建ての構造です

個人事業主が自治体の窓口で手続きをして第1号被保険者として加入するのは、この1階部分の国民年金(基礎年金)です。1、2階部分、場合によっては3階部分までを受け取る会社員等と比べて、個人事業主が受け取る年金額は少ないので、2階、3階部分を自ら補う必要があります。

日本の年金制度は3階建ての構造

国民年金だけでは老後が不安...

国民年金の老後

対策1 付加年金

定額保険料に付加保険料(月額400円)を上乗せして収めることで、受給する年金額を増やせます。例えば、20歳から60歳までの40年間付加保険料を納めていた場合は、200円×480月(40年)=96,000円(年額)(=8,000円(月額))が付加年金額として老齢基礎年金に上乗せされます。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331-03.html

対策2 国民年金基金、iDeCo

国民年金基金(確定給付型年金)は、加入時に選択する給付タイプに応じて受給額が確定していて、基本は一生涯給付を受けられます。iDeCo(確定拠出型年金)は受給額が運用成績により変動し、一時金として一括で受け取るか、有期年金(原則5年~20年)として受け取ることができます。

https://www.zenkoku-kikin.or.jp/kanyu/ideco

対策3 小規模企業共済

小規模企業の契約者が廃業や退職に備え、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておくための共済制度です。加入資格を有する小規模事業者が独立行政法人中小機構基盤整備機構との間に契約を締結し、掛金を積み立てることで、廃業、死亡、老齢(65歳以上で15年以上掛金を納付)または役員を退職した場合に掛金の月額・納付月数に応じた共済金が支払われます。

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/

付加年金 国民年金基金 iDeCo 小規模企業共済
掛金(月額) 400円 加入時の年齢や給付タイプによる 5,000円~(1,000円単位) 1,000円~70,000円(500円単位)
合算して月額68,000円まで
掛金の変更 ×(定額) いつでも可(2口目以降の加入口数の増減) 年に1度 いつでも可
運用 × お任せ 自分で お任せ
受給額 200円×付加保険料納付月数 あらかじめ定められた額 運用成績により変動 共済事由、掛金額、加入期間により変動
※1,2
手数料 不要 不要 必要 不要
保険料等の控除 全額所得控除 全額所得控除(親族分も) 全額所得控除(本人分のみ)、運用中の利益は非課税 全額所得控除(本人分のみ)
受給開始 65歳(老齢基礎年金と一緒) 原則65歳 60~75歳までの間で本人が選択 廃業、死亡、老齢(65歳以上で15年以上掛金を納付)、役員を退職
受給期間 一生涯 基本は一生涯(給付タイプによる) 一括又は有期(原則5年以上20年以内) 一括、分割、一括分割併用、の3種類
受給時の課税 される される(税制優遇あり) される(税制優遇あり) される(税制優遇あり)
申し込み 自治体の窓口 国民年金基金、金融機関等 金融機関等 金融機関、委託団体

※1 共済事由が発生した時点で掛金納付月数が6か月未満の場合は掛捨て、36か月未満の場合共済金は掛金合計額と同額。

※2 共済事由に基づかない任意解約において、掛金納付月数が12か月未満の場合は掛捨て、240か月未満の場合は解約金が掛金納付合計額を下回る。

※加入要件や掛金、給付等の詳細については、各制度のHP等をご確認ください。

その他の対策 個人年金保険

個人年金保険には「年金」の文字がありますが、民間の保険商品です。

労災保険

労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方には特別に任意加入を認めています。

文化芸術分野の関連では、令和3年4月1日からは芸能関係作業従事者、アニメーション制作作業従事者が任意加入の対象になっています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1.html

特別加入の対象(文化芸術分野の関連を抜粋)

【芸能関係作業従事者】

放送番組(広告放送を含む。)、映画、寄席、劇場等における音楽、演芸その他の芸能の提供の作業又はその演出若しくは企画の作業に従事する人をいいます。

具体的には以下のとおりです。

1. 芸能実演家

  • 俳優(舞台俳優、映画及びテレビ等映像メディア俳優、声優等)
  • 舞踊家(日本舞踊、ダンサー、バレリーナ等)
  • 音楽家(歌手、謡い手、演奏家、作詞家、作曲家等)
  • 演芸家(落語家、漫才師、奇術師、司会、DJ、大道芸人等)・スタント 他

2. 芸能製作作業従事者

  • 監督(舞台演出監督、映像演出監督)・撮影・照明・音響・効果、録音
  • 大道具製作(建設の事業を除く)・美術装飾・衣装・メイク・結髪
  • スクリプター・ラインプロデュース・アシスタント、マネージメント 他

【アニメーション制作作業従事者】

アニメーションの制作の作業に従事する人をいいます。

具体的には以下のとおりです。

  • キャラクターデザイナー・作画・絵コンテ・原画・背景
  • 監督(作画監督、美術監督等)・演出家・脚本家・編集(音響、編集等)他

特別加入について

加入
  • 特別加入団体として承認されている団体に申し込んでください。
    ※お近くの特別加入団体については、都道府県労働局または労働基準監督署にお問い合わせください。
保険料
  • 保険料や休業(補償)等給付などの給付額を算定する基礎となる給付基礎日額(加入時に申請し、決定される)によって変りますが、保険料率は一律で3/1000です。
  • 給付基礎日額が10,000円の場合、年間保険料は10,950円です。
給付
  • 契約に基づき報酬が支払われる作業(附帯する行為を含む)に係る災害【業務災害】、通勤時の災害【通勤災害】などに対して、ケガ等の治療費などの療養費や、ケガ等で休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、お亡くなりになった場合の遺族への給付等が支給されます。

雇用保険

雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、労働者が失業した場合などに必要な給付を行う制度であり、事業者である個人事業主は対象外になっています。

個人事業主がケガや病気で働けなくなる場合に備えるには

雇用保険の対象でない個人事業主であって、労災保険特別加入の対象でない職種の場合は、民間の就業不能保険、所得補償保険、医療保険、傷害保険等に加入する選択肢があります。

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには、Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動