- 日時:平成27年3月12日(木)
- 10:00~12:00
- 場所:文部科学省東館 3F1特別会議室
【議事】
- 1 開会
- 2 議事
- (1)平成26年度使用教科書等掲載補償金について
- (2)平成26年度使用教科用拡大図書複製補償金について
- (3)法制・基本問題小委員会の審議の経過等について
- (4)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について
- (5)国際小委員会の審議の経過等について
- (6)その他
- 3 閉会
【配布資料】
- 資料1
- 「平成26年度使用教科書等掲載補償金について」関係資料(353KB)
- 資料2
- 「平成26年度使用教科用拡大図書複製補償金について」関係資料(301KB)
- 資料3
- 平成26年度法制・基本問題小委員会の審議の経過等について(750KB)
- 資料4-1
- 平成26年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(404KB)
- 資料4-2
- 文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と
利用・流通に関する小委員会クラウドサービス等と著作権に関する報告書【概要】(365KB) - 資料4-3
- 文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と
利用・流通に関する小委員会クラウドサービス等と著作権に関する報告書(1.4MB) - 資料5
- 平成26年度国際小委員会の審議の経過等について(664KB)
- 参考資料
- 文化審議会著作権分科会委員名簿(62KB)
- 出席者名簿(54KB)
【議事内容】
- ○ 平成26年度使用教科書等掲載補償金について使用料部会長及び事務局より説明があり,諮問案のとおり議決された。
- ○ 平成26年度使用教科用拡大図書複製補償金について使用料部会長及び事務局より説明があり,諮問案のとおり議決された。
- 以上の議事については,文化審議会著作権分科会の議事の公開について(平成22年2月15日文化審議会著作権分科会分科会決定) その1(2)に基づいて非公開とし,同決定の6及び7に基づき議事要旨を作成し,公開することとする。
【土肥分科会長】 それでは次の法制・基本問題小委員会の審議の経過等について,この議題に移りたいと思います。
昨年の7月以降,各小委員会におかれまして,それぞれの分野において精力的に検討いただきましたけれども,本日は今期最後の分科会となりますので,各小委員会のまとめや審議の経過につきまして,それぞれの主査より報告を頂戴したいと思っております。なお,カメラ撮りがございました場合は,資料の3の説明までとさせていただきますので,御了承を願います。
まず,法制・基本問題小委員会の審議の経過等についてでございますけれども,これについては,主査の私から報告をさせていただきたいと思います。今期の法制・基本問題小委員会における審議の経過についてでございますが,これはお手元にある資料の3に基づいて報告をさせていただきます。
法制・基本問題小委員会では,著作権法制度の在り方,及び著作権関連施策に係る基本問題に関する様々な課題について,知的財産推進計画等に示された検討課題も踏まえつつ,検討を行ってきたところでございます。今期は,マラケシュ条約についての対応,著作物等のアーカイブ化の促進,教育の情報化の推進等について検討を行ってまいりました。これらの検討課題の検討状況について,簡単に御報告いたします。
まず,マラケシュ条約についての対応に係る課題でございますが,これは資料3の1ページ,2ページを参照いただければと存じます。
マラケシュ条約は,発行された著作物に関し視覚障害者等のアクセスを促進することを目的としたものであり,平成25年6月に採択されておるところでございます。法制・基本問題小委員会では,本条約の締結に向けて,障害者団体及び権利者団体から意見を聴取いたしまして,制度整備の在り方について所要の検討を行ってまいりました。
検討の結果,障害者団体からは,マラケシュ条約の締結のために必要な手当のほか,視覚障害,聴覚障害等に係る多岐にわたる要望が寄せられたところでございます。一方,権利者団体からは,マラケシュ条約の締結に必要な手当については前向きな反応がございましたものの,その他の要望事項については慎重な,あるいは若干異議があるというような立場をお示しになりました。その点,両者の間の意見については,若干隔たりがあるということが明らかになったわけでございます。
障害者団体からは,マラケシュ条約締結のために必要な最低限度の法改正だけを先行するのではなく,障害者の情報アクセスの充実の観点から,その他の要望事項についても併せて所要の措置を講じてほしいという意見が示されたことから,そしてまた障害者団体の方からも,権利者団体との間での意見集約に向けた取組を,協議を進めさせてほしいというような御要望もございましたので,まずは両者において意見集約に向けた取組を進めていただいて,その結果を踏まえて,改めて法制・基本問題小委員会で検討を行うことといたしております。
それから2ページ目の上の方にございますけれども,著作物等のアーカイブ化の促進について,御説明を申し上げます。
本課題は,186回通常国会における「著作権法の一部を改正する法律案」に対する参議院文教科学委員会による附帯決議や「知的財産推進計画2014」等において,アーカイブ化の促進に係る著作権制度上の課題について検討することが求められましたことを受け,議論を行ったところでございます。
小委員会では,アーカイブ化に取り組んでいる施設からヒアリングを行いましたし,諸外国における著作物等のアーカイブ化に係る諸制度についても報告を受けたところでございます。これらを踏まえまして,著作物等のアーカイブ化の促進に係る著作権制度上の課題について検討を行いました。小委員会で示された課題とそれぞれの課題への対応につきましては,可能なものから順次具体的な措置を講ずることとされております。
各課題については,事務局から補足説明をお願いしたいと存じます。
【田淵著作権課著作物流通推進室長】 それでは資料3の9ページを御覧ください。アーカイブ関係機関からの要望及び諸外国の取組を踏まえて,著作物等のアーカイブ化に係る著作権制度上の課題について,著作物等の保存と活用という二つの観点から検討を行いました。
まず,保存に関する論点でございますが,(1)アーカイブ機関において所蔵資料を保存のため複製することについてといたしまして,小委員会では,著作権法第31条第1項は図書館等における複製について定めるものですが,この第2号に基づき,美術館,博物館や地方公共図書館等において所蔵資料を保存のため複製することが認められる範囲について,検討を行いました。条文につきましては,お手元の法令集も御参照ください。
事務局より,同号は,例えば所蔵する貴重な稀覯(きこう)本を保存のため複製する場合についても適用されると解されており,美術の著作物の原本のような代替性のない貴重な所蔵資料や,絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な所蔵資料については,損傷等が始まる前の良好な状態で複製することも,同号の,保存のため必要があるため複製が認められる場合に該当すると解されるのではないかとの論点が示されました。貴重な文化資料を可能な限り良好な状態で保存し,後世に残すことが必要であるという点については異論がなく,小委員会において意見は一致したところでございます。
一方で,このような複製が現行法の下で可能と解釈できるかについては,複数の意見が示されました。具体的な御意見に関する説明は割愛させていただきますが,結論といたしましては,10ページの第2段落に飛んでいただきまして,小委員会では,美術の著作物の原本のような代替性のない貴重な所蔵資料や,絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な所蔵資料について,損傷等が始まる前の良好な状態で,後世に当該資料の記録を継承するために複製することは,この法第31条第1項第2号により認められると解することが妥当であるとの結論を得ました。
このほか小委員会では,記録技術・媒体の旧式化により事実上閲覧が不可能となる場合,新しい媒体への移替えのために複製を行うことが,同号の規定により認められるかどうかという論点が示されましたが,このような複製が同号により許容されることについては,異論は見られなかったところでございます。
次に(2)の保存のための複製が認められる主体の範囲についてでございます。法第31条の「図書館等」の範囲は,著作権法施行令第1条の3に規定されております。お手元の法令集も御参照いただければと思いますが,同条第1項第4号は,独立行政法人,国立美術館や県立美術館のように,法令の規定によって設置された美術館や博物館等を掲げております。
また,同項第6号の規定により,文化庁長官の指定を経れば,一般社団法人等が設置する美術館や博物館等も複製主体に含まれ得るものとなっておりますが,現在指定を受けている美術館や博物館は存在いたしません。現在「図書館等」に含まれていない美術館や博物館等についても,保存のための複製を行うことができる主体として認めるべきではないかという論点が,事務局より示されました。これについては,複製物を必要以上に拡散することのない適切な機関を複製主体として幅広く認めることが,アーカイブの趣旨に適(かな)うのではないかとの意見が示されました。
11ページ目の第2段落になりますが,頂いた御意見を踏まえ,法第31条の「図書館等」に該当する主体を拡充することが適当ではあるが,その際には,権利者に与える影響に留意して,適切な範囲に限定することが必要であるとの御意見とまとめております。
次に2ポツの,著作物等の活用に関する論点でございます。マル1の国立国会図書館による送信サービスの拡充についてでございますが,アーカイブのために保存した著作物等の活用に当たっては,国立国会図書館にアーカイブの機能を集中させ,国立国会図書館が中心となって,その活用を積極的に行えるような制度が望ましいという意見が示されました。国立国会図書館以外の図書館等がデジタル化した絶版等資料を,国立国会図書館の行う図書館送信サービスにより他の図書館等に送信することについては,現行法上可能であると考えられるとしております。
また国立国会図書館から外国の図書館等へ,デジタル化した絶版資料の送信サービスを提供することについて御要望がありましたが,この点につきましては,国立国会図書館の役割や業務の位置づけ等を踏まえ,検討を行うことが適当であるとしております。
なお,国立国会図書館の図書館送信サービスの拡大に当たっては,関係者の意見を十分に聴取し,利害調整がなされるべきとの意見も示されました。
次にマル2の,美術の著作物等の解説,紹介のための利用についてでございますが,こちらは全国美術館会議から御要望があった事項となりますが,第一に,美術の著作物又は写真の著作物を原作品により展示する者が,観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介を目的として小冊子に掲載することを認めている法第47条の規定の適用を,小冊子のみならず館内の電子端末にも拡大することについては,賛成する意見が多数示されました。
次に12ページの第2段落でございますが,アーカイブのために保存されている美術の著作物等の紹介等を目的として,当該著作物のサムネイルをインターネット上で公衆に提供することについては,これを認めるべきとの意見が示されました。
以上を踏まえ,美術の著作物又は写真の著作物を所蔵する施設が,観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介を目的として,デジタルデータを館内の端末を用いて観覧者の閲覧に供すること,及びアーカイブ機関において,美術の著作物等の紹介を目的として当該著作物のサムネイルをインターネット送信することについては,権利者の利益に留意しつつ,これらの行為が可能となるよう,所要の措置を講ずることについて検討することが適当であるとしております。
次に(2)の,権利者不明著作物等の活用についてでございます。EUにおいて導入されている孤児著作物指令を参考としつつ,我が国において権利者不明著作物等を活用するためにどのような措置を講ずることが望ましいか,検討が行われました。権利者不明著作物等の活用のための制度としては,既に我が国には,文化庁長官による裁定制度が存在いたします。この制度をどのように見直すかという観点から検討がなされました。
裁定制度とEU孤児著作物指令を比較した表につきましては13ページを御覧ください。制度の概要でございますが,我が国の裁定制度につきましては,権利者不明その他の理由により権利者と連絡することができない場合に,権利者の許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け,著作物等の通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより,適法にその著作物等を利用することができる制度となっております。
一方,EU孤児著作物指令でございますが,加盟国は,公共図書館等が,その所蔵品に含まれる著作物等のうち,入念な調査を経ても権利者が不明であるものを,デジタル化等のために複製する行為及び公衆に対して利用可能とする行為を,権利の例外あるいは制限と位置づけ,孤児著作物状態を加盟国間で相互承認する制度でございます。孤児著作物の欧州共同体商標意匠庁(OHIM)への登録が必要となる制度でございます。
利用主体につきまして,日本の裁定制度につきましては限定はございませんが,EU孤児著作物指令につきましては,公共のアクセスが可能な図書館,教育機関,博物館,文書館,フィルム又は音声遺産の保存機関,公共放送機関に限定されております。また,対象著作物及び利用方法につきましては,EU孤児著作物指令においては限定されているものとなっております。
利用する上で求められる権利者捜索の内容といたしまして,我が国の裁定制度におきましては「相当な努力」として定められております。一方,EU孤児著作物指令では,「入念な調査」に少なくとも含むべきものとして情報源が掲げられておりますが,この両者を比較すると,大きな違いは見られないものとなっております。
次に14ページ目に行きまして,権利者への補償の支払方法についてでございますが,我が国の裁定制度におきましては,利用前に供託することが必要となっておりますが,EU孤児著作物指令におきましては,支払方法の詳細は加盟国の裁量に委ねられており,利用者の事前支払は義務づけられていないものとなっております。
最後に,第三者による権利者不明著作物等の利用につきまして,我が国の裁定制度におきましては,一度裁定を受けた著作物について第三者が利用する際には,改めて同様のプロセスを経て当該第三者の利用について裁定を受けることが必要となっておりますが,EU孤児著作物指令におきまして,これを受けた国内法を整備いたしました英国,ドイツ,フランスにおきましては,OHIMのデータベースに登録された孤児著作物を第三者が利用する際には,改めて入念な調査をする必要はないというものになっております。
この違いを受けまして,14ページのマル2のところでございますが,権利者不明著作物等を利用した場合における権利者への補償の支払時期について,我が国においても,権利者が現れたときに補償金の支払を確実に行うことができる公的機関については,事前の供託ではなく,権利者が現れた場合の支払を認める制度を検討することが適当であるとしております。
また,15ページの上,マル3に移っていただきまして,第三者による権利者不明著作物等の利用につきましても,我が国についても,一度権利者不明著作物等として裁定を受けた著作物等で権利者不明状態が継続しているものについては,過去の調査結果の援用あるいは調査要件の緩和を認めることが適当であるとしております。
最後に,(3)の著作物等の流通推進のための権利処理の円滑化についてでございますが,アーカイブ化の促進や権利者不明著作物に限定しない,著作物等の利用におけるより大きな論点として,著作物等の流通を推進するためにどのような権利処理の円滑化の促進の措置を講ずることが必要であるかについて,議論がされました。
この点につきましては,著作物等の権利情報の集約化が重要であるとの指摘がなされ,著作物等について権利処理を行う場合の前提として必要となる権利情報を集約したデータベースや,権利処理のプラットフォームとなるポータルサイト等の構築を検討することが求められるとしております。
また,拡大集中許諾制度についてでございます。この制度につきましては8ページを御参照いただければと思いますが,拡大集中許諾制度とは,著作権法の規定に基づき,著作物の利用者又は利用者団体と相当数の著作権者を代表する集中管理団体との間で自主的に行われた交渉を通じて締結された著作物利用許諾契約の効果を,当該集中管理団体の構成員ではない著作権者にまで拡張して及ぼすことを認める制度でございまして,デンマーク,フィンランド,ノルウェー,スウェーデン,また最近,イギリスにおいても採用されている制度でございます。
15ページに戻っていただきまして,この制度につきましては,権利者不明著作物も含め大量の著作物等の権利処理を行う上で,利用者にとって,窓口の一元化や権利者捜索費用,取引費用の低減といった観点から,利便性の高い制度となり得るものであるといたしまして,今度も検討を進めることが適当とされたところでございます。
以上,長くなりましたが,私からのアーカイブ化の推進に関する論点についての説明とさせていただきます。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。それでは続いて,先ほどの資料の3の16ページでございますけれども,第3章,教育の情報化の推進等について御説明をいたします。
デジタルネットワーク社会の進展に伴い,情報通信技術を活用した様々な教育活動が行われるようになってきておりますことから,教育の情報化の推進等に係る著作権制度上の課題について,第1回の小委において,当面の検討課題の一つとして挙げられたわけでございます。
小委におきまして,この議題については,教育現場における具体的なニーズを把握した上で検討すべきであるとの意見も示されておるところでございまして,これを受けまして文化庁におきましては,委託調査研究において,ICT活用教育など,情報化に対応した著作物等の利用実態等の調査が行われており,今後,本調査研究等を踏まえて検討を行うことが求められているところでございます。
以上,簡単なところもあったかと思いますけれども,法制・基本問題小委の報告とさせていただきます。なお,法制・基本問題小委員会の委員の方々には,今期を通じて精力的に御議論をいただきました。この場を借りて御礼(おんれい)を申し上げたいと存じます。法制・基本問題小委員会の審議経過につきましては以上でございます。ただいま申し上げました報告につきまして,御質問,御意見等があればお願いをいたします。
いかがでございますか。よろしいですか。御質問,御意見。
特によろしいですか。特にないようでございましたら,この法制・基本問題小委員会の報告については,ただいまの御報告について皆様に御了解いただいたとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
次いで,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について,これも私から報告させていただきます。今期の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会における審議経過についてでございますけれども,これは資料の4の1に基づいて報告させていただければと思っております。
今期新たに設けていただきました保護と利用・流通小委員会では,急速なデジタルネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備のため,「知的財産推進計画2014」等に示された検討課題を踏まえつつ,クラウドサービス等と著作権及びクリエーターへの適切な対価還元に係る課題について検討を行ってまいりました。これらの検討状況について,簡単に御報告を申し上げます。
まず,資料4の1の1ページの真ん中から下にございますクラウドサービス等と著作権について,審議の状況を説明申し上げます。保護と利用・流通小委におきましては,昨年度の法制・基本問題小委員会及びワーキングチームにおける議論を更に深めることといたしまして,まずロッカー型クラウドサービスと言われる私的使用目的の複製に関係するクラウドサービスについて,権利者側委員及び利用者側委員からヒアリングを行い,それを踏まえた検討を行ったところでございます。そしてその後,クラウドサービス以外の各サービスについても,関係事業者及び関係権利者からのヒアリングを行い,それを踏まえた検討を行いました。
小委員会における検討の結果,これらの課題に対する法的な整備や円滑なライセンシング体制の構築に関する提言等を内容とするクラウドサービス等と著作権に関する報告書を本年2月に取りまとめ,皆様のお手元に今届いているところでございます。この報告書の内容の詳細につきましては資料の4の2に要点をまとめておりますので,これについては事務局から補足的な説明をお願いしたいと存じます。
【秋山著作権課課長補佐】 それでは説明申し上げます。配布資料の4の2が報告書の概要,資料4の3が報告書本体となってございます。本日は,概要に基づき説明申し上げます。
まず,資料の1ページからお願いいたします。1ページは検討の経緯ですが,この点,主査からも御説明がありましたので,省略させていただきます。
2ページの検討の結果,ですけれども,まず本検討課題につきましては,そもそも問題意識としては,一部の事業者の方から,クラウドサービスと我が国の著作権法との関係が不明確であって,事業者が萎縮しているという指摘があったことから検討が開始されたものであり,その具体的な検討対象としまして,事業者側から複数の事業が示されたところでございます。
その事業の中から,まずは現実的に安定的に運営がなされており,また共通の理解の下で検討ができるサービスということで,この1番にあるロッカー型クラウドサービスの検討から開始するということになったわけでございます。
まず,このロッカー型クラウドサービスの検討結果ですけれども,検討の手順としましては,ロッカー型クラウドサービスというものを分類しまして,その中で,どこに重点的に検討すべき課題があるのかということを精査いたしました。
ここの表ではタイプ1,2,3,4と分かれております。切り口としては,左側の視点1では,プライベート型とされる,一人の利用者のみがそのコンテンツにアクセス可能かどうかということと,共有型とされる,多数の利用者がコンテンツにアクセス可能かどうか,という切り口が一つです。
それから二つ目は,視点2としまして,配信型と言われる,コンテンツを事業者自らが用意するというものと,それからユーザーアップロード型という,コンテンツを利用者の方が用意するもの,という切り口でございます。
今回検討の結果でございますけれども,ここのタイプ1,タイプ3といったものは一般的な配信事業に当たるであろうということで,原則どおり,契約等で対応すればよいのではないかということでございました。
また,タイプ4につきましても,ユーザーがアップロードするものであり,典型的な著作権侵害に当たる例であろうということで,こちらも契約等で適切に対処できるのではないかという御意見がございました。
したがって検討の焦点となったのは,このタイプ2,プライベート・ユーザーアップロード型でございます。こちらは先ほど紹介申し上げましたように,ユーザーがコンテンツを用意して,それをクラウド上のサーバーにアップロードし,そしてそれを自ら利用するという形態でございます。
例としてここにマイキャビといったものを挙げてございますほか,一般によく使われておりますサービスとしましては,ドロップボックスやグーグルドライブといったものも,これに該当するかと存じます。これはユーザーが自ら使うものであることから,特に著作権法30条,私的使用目的の複製に該当するのかどうかといった観点からの検討が行われたところでございます。
では,ページ3をお願いいたします。タイプ2のロッカー型クラウドサービスに関する検討結果ですが,法的評価として,有識者の意見も踏まえた結果,タイプ2は,基本的には利用行為主体は利用者であり,その場合に,当該サービスで行われる著作物の複製は私的使用目的の範囲内である,したがって権利者の許諾は不要であるという意見で一致したところでございます。
このため権利者の方からも,私的使用目的の範囲内と解されるものについては許諾の対象とはしないという意見も示されたところでございます。また事業者から,タイプ2に限定した形の法改正を行うということは求めていないという御意見も示されたところでございます。これらのことを踏まえて,現時点においては,このタイプ2に関して,法改正の必要性は認められなかったとの結論がまとめられたところでございます。
一方,このように,タイプ2が基本的に私的使用目的の範囲内と整理されたところですけれども,実際に展開されるサービスの内容や今後のサービスの進展によっては,こうした範囲を超える,境界が不明確なものも存在し得るところと考えられます。したがって,こうした許諾を必要とするべきサービスを円滑に実施するための方策についても,併せて議論がされたところでございます。
すなわち,このような許諾を必要とするサービスについて,一部の事業者から,権利者の探索や多数の権利者と個々に契約すること等のコストを低減すべきというニーズが出されました。こうしたことを踏まえまして権利者側からは,下,この4ページの図のように,集中管理による契約スキームの案が示されました。
一旦,4ページの方に目を移していただきたいと思います。これは,音楽集中管理センター(仮称)というワンストップ型の窓口を創設するという構想でございまして,JASRAC様,日本レコード協会様,それから芸団協様の3団体から提案があった構想でございます。
また3ページにお戻りいただきまして,この集中管理による契約スキームにつきましては,契約コストの低減につながるということ,それから権利者との許諾が必要かグレーなものに関しても,事業者が利用者に適法なサービスを安心して提供できるのではないかということで,このスキームの有用性を評価する見解で,委員の御意見がおおむね一致したところでございます。なお,この音楽集中管理センターにつきましては,その設立に向けて,現在,権利者団体の方で議論が進められているところと承知してございます。
センターについては,小委員会におきましても,速やかな検討を求めるということと,その状況を引き続き注視するものとして,報告書が締めくくられておるところでございます。
5ページをお願いいたします。次に,ロッカー型クラウドサービス以外のサービスについての検討結果でございます。5ページは,検討の対象となったサービスのリストを示しています。
まず,私的使用目的の複製を支援するサービスというカテゴリーの中では,メディア変換サービス,個人向け録画視聴サービス,それからプリントサービスというものが示されました。
それからクラウド上の情報活用サービスという類型の中では,スナップショット・アーカイブ,論文作成・盗作検証支援サービス,評判分析サービス,法人向けテレビ番組検索サービスといったサービスが示されたところでございます。各サービスの詳細につきましては割愛させていただきます。
これらのサービスに関する検討のプロセスとしましては,まず,実際にサービスを行っている主な事業者の方,それから関係権利者の方から意見を聴取して,検討が行われました。また,過去の著作権分科会での審議を踏まえ,まず,これらのサービスについて,著作物の表現を利用者が享受していると評価されるのか否かということを一つの基準として,検討が行われました。
その検討結果を6ページにまとめてございます。検討結果としては,この七つのサービス,いずれのサービスも,基本的には著作物の表現を利用者が享受しているサービスと評価され,原則的に著作権者の許諾は必要と解されるとされたところでございます。
また,このマル5,マル6とされております論文作成サービス,評判分析サービスにつきましては,一部に著作物の表現を享受しないというサービスがあるという意見も示されましたが,実際にサービスを行っている事業者からは,現行の著作権法の下で契約や権利制限規定の適用により,十分に対応している旨の意見も表明されました。
これらのことを勘案して,本小委員会で提示された内容を前提とする限り,現時点においては,法改正を行うに足る明確な立法事実は認められなかったという結論がまとめられました。他方,各サービスの更なる発展のためのステップとして,円滑なライセンシング体制を構築するための話合いが関係当事者間に行われることが重要であり,その動向を本小委員会としても注視する必要があるという形で締めくくられたところでございます。
報告書の概要は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。それでは続いてでございますけれども,先ほどの資料の4の1の2ページ目でございますけれども,クリエーターへの適切な対価還元に係る課題についての審議の状況を御説明いたします。
小委では,まず私的録音録画に関する実態調査について調査結果の報告を受けまして,その後,権利者団体より,調査結果の分析及びクリエーターへの適切な対価還元についての意見発表がございました。小委員会における議論の中で,クリエーターへの適切な対価還元について様々な論点が示されておりまして,この資料の2ページ,3ページに示されておるわけでございますが,こうした本課題の解決に向けて,関係者のこうした御意見を踏まえながら,今後更なる検討が求められているところでございます。
以上,簡単でございますけれども,保護と利用・流通小委の報告とさせていただきます。この保護と利用・流通小委は計10回開かれたわけでございますけれども,委員の皆様方には,今期を通じ,精力的に御議論をいただきました。この場を借りまして厚く御礼(おんれい)を申し上げたいと存じます。保護と利用・流通小委の審議経過報告につきましては以上でございます。
ただいまの報告につきまして御質問,御意見がございましたら,お願いをいたします。
松田委員,どうぞ。
【松田委員】 資料の4の2と4の3で示されたところの利用・流通小委員会の報告でありますが,これは報告書としてはそれほど多くを検討しているところではありません。結論的部分を見ると,これまでのクラウドの議論流通促進の議論及びフェアユースの議論を踏まえますと,いささか小さな報告書だなという印象を受けるかもしれません。この報告書の意義は歴史的に見なければいけないのだろうと思います。
一点は,少し遡ってもらいたいのですが,このクラウド著作権報告が出る前は,日本版フェアユースの議論があって,審議会ではABC類型をまとめて,立法の方に移行していったことは,記憶に新しいところであります。しかしながら,このC類型については,残念ながら実現できなかったと考えるべきです。
日本版フェアユースのこの状況を踏まえますと,具体的な立法事実に対し具体的な制限規定等の立法上の対処が必要かという議論をすべきだということになったのです。
口幅ったいようでありますが,ここ10年間,私は審議会において立法事実を出してくださいと言い続け,そしてやっと出てきたのが,この小委員会の前提となる前の委員会における12類型がそれです。そして今回の委員会では8類型になっておりますけれども,基本は同じであります。これが近年の,この報告書が出る背景と御理解願いたいと思います。
もう少し遡って考えますと,ここ10年間ぐらいは,実は大きな二つの対立がありました。インターネットの普及に伴って,著作権法の在り方を経済産業政策的に転換していくのか,いや,従前のベルヌ条約秩序の中で考えなければならないのだという,大きな二つの対立です。
それについては審議会でも大変な議論をし,ないしは審議会外でも,いろいろな団体ができて議論をしたことがありました。審議会においては,デジタルコンテンツ流通促進に関する法制を作ろうという小委員会まででき,場外的にはネット法という提案までなされたことは,ここ10年間ぐらいの歴史として御承知のことと存じます。この二つの大きな流れの結果としては,先ほどのネット法はもちろんできず,デジタルコンテンツに関してのみ著作権を分けるという法制はできませんでした。残ったところは,日本版フェアユースの導入の議論であったのですが,先ほど示しましたとおりの日本版フェアユースC類型は立法に至りませんでした。
日本版フェアユースC類型は,国会は通らず,国会は通らずというよりは,内閣法制局を通らなかったのだろうと思います。ここの10年間ぐらいを見ますと,この今回のクラウドの報告書は,それを全部引き継いで,最後の段階に至ったのです。
C類型が立法されず具体的立法事実が求められたところ,具体的な立法事実を摘示してもらって,その立法の要否を検討したところが,この報告書ということになるのです。概要の説明にありますように,ストレージサービスについての一つの検討はまとまりましたが,それ以外の立法事実については,先ほど7つのモデルと言っていましたが,これについては,今,立法事実として改正を認めるところではないというのが委員会の意見でありました。それでいいのだろうと私も思っています。
さあ,ここでこの報告書の意義を考えますと,二つあると思うのです。一つは,これまでの審議・議論を踏まえて対立と言ってもいいような状況から生まれてきたこの報告書の歴史的意義です。これをまたデジタルコンテンツ流通のために別異の法律が必要だとか,もう一度日本版フェアユースを論じなければいけないという状況に戻す審議会はすべきではないということであります。この報告書は歴史的な意味で結論をつけたのだと思います。
しかしながらそれで流通促進に関する議論がこれでよいのかというと,そうではないように思います。それは何かといいますと,たまたまここに挙がりました七つのモデルは明確な立法事実を認められないことになりましたが,立法事実があるものについては,もっと積極的に出してもらいたい。そして具体的に審議すべきだと思います。これがこれからの審議のやり方だろうと思います。
それから,立法事実には至らないけれどもビジネスとしての必要性があるというものがあるならば,それは法改正以外の方法で検討せざるを得ないのだということが,一つの結論だと思います。
私がいささか先回りして議論させていただきますと,要約の6ページの法人向けテレビ番組検索サービス,これは何を考えているかというと,その先のことを考えているのだろうと思います。何かというと,テレビは間違いなく,チャンネルではなくて検索型テレビになります。これは世界中,そうなります。世界中の番組が,テレビから検索できるようになります。そのようなテレビをどの国が先に作るかということは,産業政策的には極めて重要なことだと思います。
その先を見越して,たまたま今回は「法人向け」として提言されていますけれども,これを無視すべきではないと思います。むしろ,本当に立法をしてまでもこのようなものを作り上げる必要があるのかどうかということを,考えるべきだろうと思います。それから立法でないとしても,これはコンテンツの団体やテレビや映像の団体は先回りして議論していることなのだろうと思いますけれども,是非後れをとらないようにしていただきたいと思います。これが二つの意味においての今回の報告書の意義だと考えております。意見です。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。ほかに御意見,御質問はございますか。
はい,吉村委員,どうぞ。
【吉村委員】 経団連の吉村でございます。技術革新と著作権法の関係についてどう考えるのかというのは,本当に難しい問題であり,非常に深い議論が必要だと思っております。そのような意味では,この場で私が何か提言を申し上げるという時間もございませんので,今回取りまとめいただいた範囲の中で,若干コメントをさせていただければと思います。
この議論,私もフォローさせていただいてきましたけれども,権利者の皆さんと事業者さんの皆さんとで,意見の隔たりが非常に大きい中で議論がなされてきたと理解しております。そのような中で経団連としては,クラウドサービスの今後の発展のためにも,事業者が一括で円滑に権利者と契約できる集中管理型ライセンシング体制の構築は,有効な方策であると認められるべきということを申し上げさせていただいたのは,ちょうど資料の4-2の3ページに書いていただいたところでございます。
いろいろ難しい議論はあったと思うのですけれども,そのような中で粘り強く御議論いただきまして,タイプ2と分類されたサービスについて,基本的に私的使用目的の範囲内ということで意見の一致を見たということは,大きな前進だったと思っております。
それでこの中で,音楽集中管理センターの話が提案としてあったという御紹介が4ページにあったかと思いますけれども,このような取組は非常に画期的なのではないかと思っておりまして,この先どうなるのだろうかということについては非常に期待しておりますし,今後,早期成立に向けた前向きな努力をしていただければと思っているところでございます。
以上でございます。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。ほかにございますか。
山浦委員,どうぞ。
【山浦委員】 新聞協会の山浦です。委員の先生方におかれましては,1年間,真摯な御議論を重ねてこられたことに,心より敬意を表します。
新聞協会は,昨年10月31日の保護と利用・流通小委員会で,ヒアリングに応じさせていただきました。ロッカー型サービス以外のクラウドの様々なサービスで,主に新聞に関係するもの,評判分析サービスや論文作成・盗作検証支援サービスですが,このようなサービスで新聞記事を利用する場合,契約を適切に締結することで十分に対応できると申し上げました。
それから,先ほど松田委員からの御議論で出ておりますけれども,日本版フェアユースを想起させるような柔軟な権利制限規定を導入すべきだという一部の意見につきましては,「居直り侵害」,「思い込み侵害」などが蔓延(まんえん)するおそれがあり,著作権法の目的である保護と利用のバランスに反するとして,反対を表明いたしました。
意見の内容につきましては,現在もいささかも変わっておりません。改めて強調させていただきました。このような発言内容は,資料4-3の26ページに的確かつ適切にまとめていただきまして,土肥分科会長,それから事務局には,改めて御礼(おんれい)を申し上げたいと思います。
これはここの場ではなくて,外に向かってむしろ申し上げるべきかもしれませんけれども,著作権分科会並びに各小委員会で民主的に交わされた議論につきましては,十分に今後も尊重されることを,新聞協会としては希望いたします。
以上です。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。ほかにございますか。
河村委員,どうぞ。
【河村委員】 ありがとうございます。私もクラウド小委のメンバーでございます。先ほど松田委員のおっしゃったことについてですが,この小委の中で,最初,ロッカー型クラウドの細かい類型と定義から始まって,かなりその辺りに時間がとられまして,その中でも,タイプ2をとりあげて議論するというところに行き着くまででも相当な時間がかかっておりました。何が申し上げたいかと申しますと,小委に参加していなかった方が先ほどの話だけをお聞きになると,柔軟な規定,フェアユースのようなものが必要かどうかということについて議論がされた上で,必要ないということになったかのように聞こえるかもしれませんが,私が覚えている限り,ここはそのようなことを議論する場ではないとおっしゃった委員の方も複数おられまして,つまりクラウドのサービスと利用と流通に関することという大きな視点から始まって,何が必要なのか,個別,具体的な提案に対して,これについて法改正は必要であるだろうかということは議論したとは思うのですが,柔軟な規定が必要かどうかという議論が十分にされたかといえば,それがなされたと私は全く思っておりませんので,その辺りは少し違うのではないかと。
柔軟な規定を提案した委員の方のおっしゃったことは,このように速いスピードで技術が進歩していく中で,新たに出てきたいろいろな状態に対して,一つ一つ個別規定を作っていくのかと。そうではなくて,きちんとそのときに,ビジネスもできるし,利用者も新しい技術を用いたサービスを自分の権利の範囲内で自由に使えるということのためには,柔軟な規定が必要なのではないかということでしたが,そのことについて深く議論が交わされて何か結論が出たということではなかったので,柔軟な規定についての立法事実がないと確認されたとか,そのことについて深い議論がなされたと,誤解しないでいただきたいと思います。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。
はい,松田委員,どうぞ。
【松田委員】 今の御意見に対しては,私が発言せざるを得ないと思います。私がこの報告書の一つの意義としてお示ししたところで,C類型の日本版フェアユースの立法を可とする審議会の報告書が出たにもかかわらず,それが遂げられなかったという状況があります。それを踏まえた上で,それではもっと具体的な立法事実を出して,クラウドにおけるサービスを通じてコンテンツの流通促進ができるかどうか検討しましょうというのが,今回のクラウド小委員会なのでありました。
そうすると,この委員会においてもう一度日本版フェアユースを論じて,もう一度C類型を出すなどということをできるでしょうか。概要の5ページの真ん中辺に,過去の審議会で議論を踏まえ,著作物の表現を利用者が享受していると評価されるか否かを一つの基準として,この委員会は判断しましたということが記載されています。これは前審議会におけるC類型を意識したものであります。それを基準として考えて,なおかつ具体的な立法事実があるかどうかを検討したということです。
そこで,この今回のクラウド小委員会において,もう一度柔軟な規定といい,フェアユースといい,日本版フェアユースといい,再度同じ議論をすべきでないというのは,ほとんどの委員の共通した認識だったと思います。だからこのような報告書になったわけです。それでも柔軟な規定が必要だというのであれば,もっと具体的に事例を出してください。12類型が出て,12類型のうちの8類型になり,8類型が7類型になったところでC類型基準にあてはめて立法事実はないと言われているのです。そのような報告書になっているのです。これは知財の専門家の研究者の方々が居るところで,このような議論になっているわけです。だからもう一度,柔軟な規定が必要なのですかという議論をするべきなのでしょうか。
C類型は日本版フェアユースとしては狭いのですよ。もっと広い日本版フェアユースの条項を出しますか。どうなるか分かっているではないですか。国会まで行きませんよ。内閣法制局で,これは憲法違反だと言われますよ。それは著作権法上の議論だけで,日本の法制は作られていないということなのです。内閣法制局も,その一つだと思います。このような法制度全体の中で捉えて,いったい戦略的に何が可能なのかということを考えないで,何回も同じことを議論すべきではないと思います。
日本版フェアユースの問題は最近の問題がありますけれども,著作権法を産業政策法に転換すべきか国際法下の序順であるべきかという大きな対立は,実を言うと昭和48年からあるのです。45年法ができたすぐからあるのです。これはコンピューターソフトウェアの問題として起こりましたが,後にマルチメディアの時代になったときには,プログラムだけではなくてコンテンツの問題に移行していきました。そして二つの対立はずっと続いているのです。それが今に至っているのです。そのことを何十年も議論していることの方が,よっぽど国の利益に反しているのです。もういいかげんにして,権利者団体も利用者団体も具体的なビジネスモデルを提示して乗り越えていきましょうよ。具体的には将来の検索テレビですよ。そのためには,せっかくの今回の提案がありますが,これも発展していただきたいと思いますが,ある程度法律的な枠組みを作って,そして,このような紛争ではない,将来型のビジネスモデルの著作権法上の課題ないしは許諾ということを含めた調整機関を作るべきだと思います。これは国の制度としては小さなものですけれども,現行著作権法上で,行き詰まってしまっていることを解決する大きな機能を発揮する制度になりましょう。昭和48年からの対立があり,コンテンツの流通に関するこの20年間も同じような議論をしているのです。今度こそ国益回避できる対処をとらなければ,またこれは同じことの繰り返しになってしまいます。
河村さんの意見に対しては,いささか長くなりましたが,すなわちこの委員会の中で柔軟な規定を論じるべきでなかったというのは,私はそのとおりだと思います。最近直近の歴史だけを見れば,これは柔軟な規定を論じるべきところではないのです。
以上です。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。
山本委員,挙手されておりますので,お願いします。
【山本委員】 松田委員と河村委員から利用・流通に関する小委員会での議論の中身を聞かせていただきまして,ありがとうございます。今の小委員会でどのようなやり取りがあったのか,何が議論されたのかは私には分かりませんので,そこの部分はお話しするつもりはありません。しかし,今松田委員がお話しになったところは,その小委員会での議論の問題にとどまらず,今後何を議論するのかに関わる部分ですので,一言意見を言わせていただきたいと思います。
今までも,例えばフェアユースについて,分科会ないし小委員会で議論されたというのはそのとおりで,それが通らなかったというのも事実です。あるいはほかのテーマについても,今まで一旦議論されながら,再び分科会ないし小委員会で議論されたというテーマもいろいろあります。今の松田委員の御意見は,同じことの繰り返しになるからそういうのはやめようよというお話なのですが,私はそのようには思いません。
といいますのは,いろいろなテーマというのは,そのときには時期尚早だったという場合もあります。その後に技術や事実について皆さんの知識が積み重なっていって,理解が深まって,また,判断も変わってくるという状況の変化は当然あるわけです。ですからそのような状況の変化があったときに,以前議論されたテーマであっても再び議論することは,あっていいと思います。
ですから今,松田委員,そこまではおっしゃるつもりはなかったのかもしれませんが,再度議論することを封殺するような考え方はとるべきではない。その辺は柔軟に対応すべきではないのかと私は思います。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。
松田委員も,封殺する,そのような趣旨の御発言をなさっているわけでは全くないので,保護と利用・流通小委におきましては,この報告書について,河村委員,松田委員には多大な御支援を頂きましてまとまったわけでございますので,恐らくまだここから先,いろいろ御発言があるのだろうと思いますけれども,この点についてはこのぐらいにさせていただけませんか。
ほかになければ,次の国際小委の審議の経過に入りたいと思います。よろしいですね。
それでは国際小委員会の審議の経過について,道垣内委員より報告を頂戴したいと存じます。
【道垣内委員】 それでは国際小委員会における平成26年度の審議状況につきまして,資料の5に基づいて御報告申し上げます。
はじめにというところに書いてございますように,今期の国際小委員会では四つのテーマについて検討をいたしました。それぞれについては,その項目のときに読み上げさせていただきます。
第一番,インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方についてでございます。インターネットによる国境を越えた海賊行為に対する対応については,この資料5の1ページから5ページにかけて,まとめております。要約しますと,以下の四点について検討を行いましたので,御報告申し上げます。
第一点は,我が国のコンテンツの海外での侵害実態についての調査についてでございます。昨年の中国における調査に引き続き,今期の国際小委員会では,タイにおける著作権侵害の実態調査の結果報告が行われました。
2ページの初めに記載しておりますとおり,この報告の中では,正規コンテンツに対して一定の対価を支払っても良いと考えるユーザーが少なくないこと,著作権に対するそのような認識が必ずしも著作権保護につながっていない面があることが指摘され,不正流通対策と正規版流通促進の両方が重要であることが指摘されました。
第二点は,政府レベルでの取組についてでございます。2ページ目の中ほどに書いてございますが,過去の著作権分科会報告書や国際小委員会における議論を踏まえまして,今期は昨年に引き続きまして,文化庁が行っている日韓をはじめとする政府間協議,ASEAN諸国等を対象としたトレーニングセミナー,集中管理団体育成支援事業,普及啓発事業等について報告がございました。
また,WIPOを通じた協力として,2ページの最後の行にありますとおり,各国の法制度整備等の支援を目的に,昨年10月,WIPOと文化庁の共催で開催された著作権・著作隣接権に係るアジア・太平洋地域ハイレベル会合について,報告がございました。
同会合への参加24か国の間に共通する課題として,法整備,執行体制強化,集中管理団体の育成強化,モニタリングの必要等,さらに,著作権保護意識の低さなどが挙げられました。それを踏まえまして,各国の取組状況,課題に応じ,引き続きWIPOとも協力しながら支援を促進する必要があるとの指摘がございました。
このほか政府の取組といたしましては,経済産業省が実施しておりますマンガ・アニメ・ガーディアンズ・プロジェクトについても紹介があり,これも海賊版対策とともに,正規版への誘導の重要性が指摘されております。
次,第三点。これは3ページの下の方ですが,権利者団体等の取組についてでございます。今期の国際小委員会では,公益社団法人日本芸能実演家団体協議会,いわゆる芸団協,それから一般社団法人日本レコード協会及び一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構,CODAと略しておりますが,その三つの団体の方々から,諸外国における現状についての御報告をいただきました。
まず芸団協様からは,アジア諸国の中には,国際条約の水準から見て,実演家の保護制度の整備が遅れている国々が多いということや,実演家団体関連団体の設立等についても遅れている国が多いという指摘がされました。
日本レコード協会様からは,音楽配信については有害アプリケーションが大きな懸念点であり,対策が必要であることや,その対策のためには著作権に関する意識の普及啓発が重要であるとの御報告がございました。
CODA様からは,海外における侵害対策の現状とその課題として,従来の取組のほか,中国における状況,オンライン侵害に対する周辺対策等について御報告がございました。侵害対策には,各国の連携強化とともに,直接対策・周辺対策を併せた総合的な対策の必要性が指摘されました。
最後に四番目ですが,これらの点を踏まえて今後の取組として,今後も引き続き,中国,韓国,ASEAN諸国を中心に,継続的な支援を通じて侵害対策のための環境整備を進めていくこと,特に集中管理団体や政府当局の能力育成や普及啓発活動を支援することが重要であるとされ,またWIPOや国内関係省庁,関係団体との連携により,効果的な対策を講じることも必要であるとされました。
大きな二番目でございます。5ページでございますが,著作権保護に向けた国際的な対応の在り方についてでございます。これにつきましては,今の5ページから8ページにかけてまとめております。WIPOのSCCR,著作権等常設委員会における議論に関するものでございまして,二点ございます。SCCRその他における議論でございます。
まず第一は,放送機関の保護についてでございます。この条約作りはずっとしてきているわけですけれども,WIPOではインターネット時代に即した国際的な保護を放送機関に与えるために,この議論をしてきており,ここ数年,条約制定に向けて議論が再び活性化しつつあり,我が国も積極的にこの議論に参加しているところとの御報告が,政府からございました。今期の委員会では,条約の適用範囲,保護の範囲をはじめとする各論点に関して,その議論の現状を御報告いただきました。
7ページの中ほどに,今後の対応について,日本としての今後の対応というところですが,書いてございますけれども,先進国・途上国双方とも議論に前向きであることから,早期の条約の成立を目指し,我が国としても引き続き積極的に対応していくべきだという意見でございます。
二番目,権利の制限と例外,WIPOにおける議論の2番目ですけれども,これにつきましては,図書館,アーカイブ,教育研究機関等のための権利制限についての議論でございます。しかし,この点につきましては,議論のそもそもの進め方,それからその範囲等について,先進国と途上国との間の意見の一致が見られていないようでございます。
なお,8ページの中ほどに今後の対応という記載がございますけれども,我が国としてはスリーステップテストを基礎として,国ごとの国内事情を踏まえた対応が可能となるような方向で,適切に議論を進めていくべきであるということでございます。
大きな三番目,8ページのその後のところですけれども,知財と開発問題,フォークロアの問題への対応の在り方でございます。フォークロアの保護の議論については,WIPOの遺伝資源・伝統的知識及びフォークロアに関する政府間委員会,IGCと略されておりますが,ここで議論がされているところでございます。ここでは,先進国・途上国間で意見の隔たりが見られる論点が多数存在する状況が依然として続いているとのことでございます。
9ページの中ほどの今後の対応でございますけれども,このフォークロアの保護についても,文化財保護の取組などを含めて国ごとに柔軟な対応ができるようにすることが適切であるとの従来の方針を,引き続き維持していくことが必要であるとの指摘がございました。
最後,四番目でございますが,主要諸外国の著作権法及び制度に対する課題・論点の整理でございます。9ページから11ページにかけてでございます。本年度はイギリスにおける教育機関により著作物の利用,ドイツにおける権利保障と著作権制度,さらに,アメリカにおいての議論でございますが,フェアユースに関する議論の変遷について,委員及びお招きした先生方からの報告がされました。詳細は,まとめのところに書いてあるとおりでございます。
以上のところが国際小委員会の報告でございます。なお,国際小委員会の委員の皆様方,さらには御報告をいただきましたゲストスピーカーの方々には,委員会の審議につき,大変御協力をいただきました。この場をお借りして御礼(おんれい)申し上げたいと存じます。
以上でございます。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。それではただいまの御報告につきまして,御質問,御意見等がございましたらお願いします。
前田委員,どうぞ。
【前田委員】 「審議状況について」の3ページの三段落目でございますが,「カンボジアなど人口の多い国がいまだベルヌ条約に加盟していない」等の指摘があったとされているところがございますけれども,確かにカンボジアはベルヌ条約自体には加盟していないと思うのですが,WTOには加盟していて,その結果,TRIPS協定によりベルヌ条約を遵守することになっているのではないかとも思うのですが,その点はいかがでしょうか。
【道垣内委員】 これは一覧表が提示されて,そこの中での議論だと思います。事務局から御説明いただけますでしょうか。
【佐藤国際課長】 はい,そのとおりでございます。カンボジアはTRIPSに加盟してございます。
【前田委員】 だとすると,ベルヌ条約が既に遵守されているので,ベルヌ条約に加盟していないことが特に問題というわけではないようにも思いますけれども。
【佐藤国際課長】 WIPOとしても,一応基本条約に加入してもらいたいスタンスがございますので,まず基本条約に入っていただくというところを強調した形に書かせていただきました。
【土肥分科会長】 よろしいですか。
【前田委員】 はい。
【土肥分科会長】 ほかに御質問,御意見,ございますか。いかがでしょうか。よろしいですか。
ほかに特にないようでございましたら,国際小委員会の御報告につきましてはこのぐらいにしたいと存じます。
最後に,著作権分科会全般の事項について,せっかくの機会でございますので,何か御意見等ございましたら,この機会に御発言いただければと思います。何かございますでしょうか。
はい,山浦委員,どうぞ。
【山浦委員】 山浦です。これまで都合3年間,この分科会の委員を務めさせていただいた経験から,二点要望させていただきたいと思います。
一点は,文化審議会著作権分科会,各小委員会含めて,文化庁のホームページへの会議の議事録の掲載,これを早めていただきたいということです。首都圏にいる者でありましたら,審議会等を容易に傍聴できますが,私は地方出身者ということでよく分かりますけれども,首都圏以外の地域は議事録が頼りです。
相当前に交わされた議論を数週間から1か月後にようやく読めるというのが現状ですので,これをできるだけ早めていただきたい。早めるためには,テープ起こしをする会社,内容をチェックされる委員の先生方,それから掲載を準備される著作権課等の職員の皆様の連係プレーが欠かせないと思います。何とぞよろしくお願いします。
それからもう一点は,本日は音響効果が良好ですけれども,主として旧庁舎の音響効果の問題で,マイク,アンプ等,音響設備の修理・更新等を改善していただければということを思っております。各小委員会を傍聴させていただいておりますが,主として音響設備が不調なせいで,先生方の貴重な御意見が十分に聞き取れない,マイクを取り替えても余り聞こえない,といったようなシーンがよく見られました。予算制約が厳しい中で,やりくりが大変だとは思いますけれども,よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
【土肥分科会長】 はい,ありがとうございました。特に一点目については私も含めて耳が痛いのですけれども,できるだけ各委員と協力をして,早めにホームページに掲載できるように努めたいと思います。
ほかに御要望はございますでしょうか。
特によろしいですか。それでは本日はこのぐらいにしたいと存じます。今日は今期最後の著作権分科会となっておりますので,有松文化庁次長から一言御挨拶を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いします。
【有松文化庁次長】 それでは今期の著作権分科会を終えるに当たりまして,一言御礼(おんれい)を申し上げたいと存じます。今期の著作権分科会におきましては,大変多岐にわたる課題について御審議をいただきまして,今後の施策の方向性について御示唆をいただきました。先生方の御協力に心より感謝申し上げたいと存じます。
我が国では今,文化芸術立国,知的財産立国の実現,そしてクールジャパンの戦略の推進に向けて,国を挙げて取り組んでいるところでございます。著作権はこうしたビジョンを実現するための重要なインフラの一つでありまして,また文化政策,産業政策,IT政策といった複数の政策領域にまたがる極めて大きな役割を担っているものと考えております。また,デジタルネットワーク化の進展によりまして,著作権を取り巻く状況は大きく変化しております。今後一層,様々な課題に直面することが予想されると思っております。
文化庁としましても,多様なステークホルダーの状況を踏まえながら,権利の保護と利用の円滑化のバランスに十分配慮をし,著作権の制度や契約,流通の在り方の見直しに,不断に取り組んでいくことが求められているものと承知をしております。先ほど来,報告書の御報告等いただいたところでございますが,著作権分科会でも,今後とも引き続き,クリエーターへの適切な対価の還元,マラケシュ条約への対応,そしてアーカイブ化の促進について,そして教育の情報化の推進等に関する課題について,検討を行っていくことが求められているところでございます。
今期の審議に当たりましては,審議環境のマイクをはじめ,大変御迷惑をおかけ申し上げましたけれども,その中でも皆様,先生方,大変お忙しい中にもかかわらず御出席を頂き,そして並々ならぬ御努力,御尽力をいただきましたことにつきまして,改めまして感謝を申し上げまして,簡単ではございますが挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【土肥分科会長】 ありがとうございました。これで終わるのですけれども,最後でございますので,私からも一言,挨拶をさせていただければと思っております。
この期におきましては三つの小委員会を設置いただきまして,各小委においては集中的な精力的な検討をしていただいたところでございます。先ほど申し上げたと思いますが,18回開いておりまして,著作権課という所帯の事務局の場合,なかなか,例えば特許庁のような大きな組織であればまた別なのですけれども,小所帯でありますので,恐らく大変なロードをおかけしているのだろうと思っております。そのような状況もあるのだということを,まず申し上げておきたいと思います。
先ほど来,国際小委等々の小委の説明ございましたけれども,国際小委,それから法制・基本問題小委,このようなところでは,淡々と検討課題について着実に議論を進めてまいったところでございます。
国際小委については,元々,先ほどございましたように,インターネットにおける海賊行為の対応とか著作権保護の国際的な対応として,継続的に議論をしていかれるわけですが,法制・基本問題小委の場合,割合,期において具体的な検討課題が与えられるわけでございます。
今回,法制・基本問題小委においては報告書をまとめることはできなかったわけで,審議経過報告ということになっておりますけれども,そこでの議論というのは,おおよそ関係者の意見についての大きな違い,隔たりというのは余りないのですね。基本的な方向性というのは了解されているのだろうと思います。マラケシュ条約への対応についても,基本のところは一致しておりますが,それを超える部分について若干隔たりがあるというところでございます。
それから著作物のアーカイブ化の問題につきましても,これはできるところからやっていくと。つまり先ほどの説明ございましたが,31条1項2号辺りの解釈で十分対応できるところ,政省令の改定で対応できるところ,短期的な法改正,中長期的な検討に基づく法改正,そのようなアジェンダに基づいてやっていこうという基本については了解されているのだろうと思います。
問題は保護と利用・流通小委でございまして,ここは10回議論をさせていただきまして,大変な議論の中で報告書を,前半の部分について,つまりクラウドサービスと著作権保護の問題については,委員の御協力の下に取りまとめることができたわけでございますけれども,後段のクリエーターへの適切な還元の問題については,まだ始まったばかりでございます。
一回目といいますか,最初のところの議論を拝聴しておりましても,これはなかなか難しい問題であるということは改めて痛感をしておるわけでございますが,しかしこのところは,著作権という権利,複製権という権利の実効性がどうなのかという,そこをまず基本に置いていただいて,指定録音機器とか指定録音媒体に入れるか入れないかという問題も重要ではありますが,複製権の実効性の確保という根本的なところの議論をやっていかなければならないのだろうと思います。
そして委員の皆様方におかれては,権利者の立場,事業者の立場,一般ユーザーの立場,そうしたお立場については理解できるわけでございますけれども,この問題を解決するには,従来の立場から一歩前に出ていただいて,相互的な理解の中で検討を深めていって,一定の結論に達しなければならない。そこのところを是非とも御理解いただければと思います。
次期の検討課題,方向性について,私が今日ここで申し上げるべき立場にないわけですけれども,この問題は避けて通れないところであろうと思います。そうすることによって,知的創作物の創作量をいかに最大化していくか,知的創作物コンテンツの流通をいかにスムーズにしていくか,一般ユーザーの生活をいかに豊かにするか,もって文化産業の発達につなげていく,そのような大所高所の観点から,次期以降については,是非本日ここにおいでになる方々の中にも,次期の分科会の委員となるお方がたくさんおいでになろうと思います。そのような方々の御支援とか御助力を頂戴できますようにお願いいたしまして,本日私の最後の挨拶とさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
以上をもちまして,今期の文化審議会著作権分科会は終了とさせていただきたいと存じます。誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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