文化審議会著作権分科会(第75回)(第25期第3回)

日時:令和8年3月12日(木)10:00~12:00
場所:文部科学省東館3F1特別会議室
(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  1. (1)文化審議会著作権分科会報告書(案)について
  2. (2)使用料部会の審議経過について
  3. (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
文化審議会著作権分科会 報告書(案)(689KB)
資料2
令和7年度使用料部会の審議の経過等について(133KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(228KB)
参考資料2
第25期文化審議会著作権分科会委員名簿(203KB)
参考資料3
文化審議会著作権分科会政策小委員会 報告書(635KB)
参考資料4
「レコード演奏・伝達権」に関する参考資料集(6.9MB)
参考資料5
「レコード演奏・伝達権」に係る利用者団体からの主な意見の概要(令和8年3月4日第25期文化審議会著作権分科会政策小委員会(第5回)の参考資料3)(307KB)

資料1について異議なく、案の通り了承されました。
了承された資料については、以下の通りです。

資料1
文化審議会著作権分科会 報告書(688KB)

議事内容

出席者

・委員:
太田分科会長、髙部分科会長代理、内山委員、正親町委員、唐津委員、榧野委員、喜入委員、草野委員、楠本委員、河野委員、島並委員、鈴木委員、千住委員、棚井委員、豊川委員、中川委員、中沢委員、仁平委員、深町委員、前田委員、宮委員、宮島委員、吉澤委員、吉村委員
・文化庁:
日向次長、守山文化戦略官、長谷著作権課長、依田著作権課課長補佐、飯田著作権課調査官、八田流通推進室長、西田教科書課課長補佐

【太田分科会長】

定刻になりましたので、ただいまから第75回文化審議会著作権分科会を開催いたします。本日は御多忙中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。私、ちょっとのどの調子が悪いので、お聞き苦しいことがあるかもしれませんが、御協力をお願いいたします。

本日は、委員の皆様には、会議室とオンラインにてそれぞれ御出席いただいております。オンラインにて御参加されている皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開について確認いたします。予定されている議事内容を見ますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【太田分科会長】

ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴していただくことといたします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】

事務局でございます。本日配付資料といたしまして、資料1、それから資料2、参考資料といたしまして、参考資料1から5まで御用意してございます。不足等ございましたら事務局までお申しつけください。

以上でございます。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

それでは、議事に入ります。本日の議事は議事次第のとおり2つでございます。

議事1につきましては、3月4日の政策小委員会にて取りまとめられた報告書について、分科会としての報告書の取りまとめに向けて審議を行いたいと思います。

まず、政策小委員会の主査を務めております私より報告書案の概要を報告させていただき、その後、事務局より詳細について御説明いただきます。その後、御審議をお願いすることになります。

議事2については、使用料部会の部会長であられる髙部委員から御説明いただきます。また、今期最後の著作権分科会となりますので、議事の最後に委員の皆様から一言ずついただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは早速、議事1の文化審議会著作権分科会報告書(案)について、に参ります。

まずは私より、報告書案の概要を説明させていただきます。

この報告書案には、レコード演奏・伝達権と、今後のデジタル教科書の在り方を踏まえた著作権制度の対応の2つの論点が含まれております。

まず、レコード演奏・伝達権についてですが、政策小委員会において重点的に審議を行い、利用者をはじめとする関係者からヒアリングを多数重ね、権利が創設された場合の社会的影響等についても議論を行いました。

これらを踏まえ、利用者への適切な配慮が必要としつつ、レコード演奏・伝達権の創設が望ましいとまとめてございます。また、レコード演奏・伝達権の法制的な枠組みについては、政策小委員会の下に法制度に関するワーキングチームを設けて審議を行いました。

また、デジタル教科書につきましては、政策小委員会において、教育におけるDXの推進を踏まえ、デジタル教科書の導入に伴う著作権等の利用の円滑化と権利保護とを両立させる方策について審議を行いました。

これらの審議に当たっては、広く国民から御意見をいただくためにパブリックコメントを実施し、3月4日に政策小委員会として報告書をまとめたところでございます。ヒアリング、パブコメを通じて様々な御意見や要望を賜りまして、報告書案においては何とかほぼ全てに対応できているのではないかと、事務局の皆様に感謝申し上げます。

報告書案の具体的な内容については、事務局から御説明いただきます。

それでは、よろしくお願いします。

【依田著作権課課長補佐】

ありがとうございます。事務局でございます。資料1、文化審議会著作権分科会報告書(案)の内容について御説明をいたします。

その前に、報告書案に関する参考資料の御案内でございまして、本日は参考資料3、3月4日に取りまとめられた政策小委員会の報告書、それから参考資料4、レコード演奏・伝達権に関するデータなどをまとめました参考資料集、それから参考資料5、レコード演奏・伝達権に関し、政策小委員会にて利用者団体にヒアリングをさせていただきました際の御意見の概要をまとめた資料を御用意してございますので、適宜御参照いただければ幸いでございます。

それでは、資料1について御説明をいたします。

1ページ目、「はじめに」におきましては、今般の検討経緯、検討事項を記載してございます。本報告書では、今いただきましたように、レコード演奏・伝達権とデジタル教科書の導入に伴う方策について取り上げてございまして、今後速やかに進めるべき方策をまとめている旨を記載してございます。

2ページを御覧ください。まず、レコード演奏・伝達権について、でございます。

1ポツ、経緯・背景といたしまして、制度の現状をまとめてございます。御案内のとおり、著作権者には演奏権及び公の伝達権がございますが、実演家・レコード製作者には、商業用レコードの再生演奏や公の伝達に係る権利、いわゆるレコード演奏・伝達権が設けられてございません。

一方、我が国も締結をしてございますローマ条約や、3ページに参りまして、WPPTにおきましては、レコード演奏・伝達権に関する規定があるものの、我が国は当該規定に留保してきたところでございます。我が国のローマ条約の締結が1989年ということですので、実に40年弱の課題ということになります。

続いて、(2)今般の検討経緯でございます。レコード演奏・伝達権については、23期、それから24期の審議会においても御議論いただいており、4ページに参りまして、今年度の政府の各種決定において、早期に結論を得ることとされまして、今期25期において集中的に御議論いただいたところです。

検討の過程では、権利者・利用者双方からヒアリングを行いまして、実際に生じ得る負担について、利用者側から様々な懸念や不安の声も聞こえたところでございます。このため、政府や権利者側において、次の検討結果を踏まえて必要な対応を図ることを期待するとしてございます。

2ポツ、検討結果でございます。まず、(1)近年の状況の変化・動向です。

現行法の制定時、つまり1970年より前においては、実演家等に措置した場合の社会的影響の大きさや、ローマ条約の締約国も少数にとどまっていたことなどの事情から、当分の間、放送・有線放送に係る二次使用に限って権利を認め、その他は将来の国際的な動向の進展を踏まえて再検討することが適当とされたこと、また、その当時の状況として、商業用レコードの公の利用がそれほど多くないなどと考えられていたことから、レコード演奏・伝達権の導入は見送られていたところでございます。

しかし、その後、著作隣接権制度が国際的に一定普及し、レコード演奏・伝達権についても142か国・地域で導入されるに至っております。OECD諸国でも38分の36か国、近年では韓国、中国、シンガポールなども導入し、東アジアで導入していない国はごくごく少数ということでございます。

5ページでございます。国内においても、店舗等における商業用レコードの利用が広がっており、例えば宿泊・飲食で5割、生活関連サービス業等で4割が利用しているとの調査があります。現行法制定時から状況が変化しているところです。

次に、現行法制定時と比較して、我が国の音楽産業、それから実演家等を取り巻く環境の変化を整理してございます。海外においては、御案内のとおり、日本の楽曲が海外チャートにランクインする機会が増えるなど、日本の楽曲の需要が広がりつつあります。アニメソングだけではなくて、多様なジャンルの楽曲・アーティストの人気も高まっていると指摘されてございまして、詳細は参考資料4にデータとしてまとめてございます。

また、世界の音楽市場は成長傾向でございます。人口動態も踏まえれば、アジアや中南米等の音楽市場の成長も期待できるところです。

また、政府においては、音楽を含む文化芸術コンテンツの海外展開を推進しており、コンテンツについては関連産業への波及効果など、様々な観点から発展が期待されております。音楽業界においても、「MUSIC AWARDS JAPAN」や人材育成など、海外展開に向けた取組が行われておりまして、日本の音楽の海外展開の機運が高まっているところです。

6ページです。他方、1つ目から3つ目の丸のとおり、実演家等の経済的な状況については、国内市場の縮小等、御案内のとおり課題があるところでございます。また、人材の状況についても、人口減少下において、人材不足やデジタル化・グローバル化等に対応した育成が課題となっております。

次に、こうした状況の中で、レコード演奏・伝達権への期待をまとめておりまして、黒ポツのとおり3点挙げてございます。

まず、日本の音楽の海外展開が進んだとしても、現状では相互主義により日本の実演家等には対価が還元されないという課題の解消。次に、業界全体として継続的な収入手段が生まれ、アーティストらが海外に発信・展開していくインセンティブが高まること。最後に、後進アーティストの育成・支援のための原資となるということを挙げてございます。

続いて7ページでございますが、国際収支について行った推計結果を紹介してございます。詳細は推計結果本体を御覧いただければと思いますが、海外との間で黒字との推計結果が示されているところです。

(2)基本的な考え方に参ります。こちらは検討結果の総論に当たる箇所でございます。

まず、レコード演奏・伝達権の性格・機能としまして、端的に言えば、公衆に対する利用という利用行為に対し、実演家等への利益還元の手段を付加的に提供するものと考えられるとしてございまして、現状ではこの権利が導入されてございませんので、実演家等については著作権者との間の不均衡、利用者との間の不均衡、それから海外での利用から対価を得ることができないという状況が生じていると課題をまとめてございます。

そして、現行法制定時からの状況の変化を踏まえれば、我が国も国際的な制度との調和を図り、実演家等への対価還元を一層促進する観点から、レコード演奏・伝達権の創設が望ましい。権利の創設によりこうした課題が解決され、海外展開のインセンティブにつながることなどが期待されるとしてございます。

一方で、権利の創設により、国内の利用者に新たな負担が生じることになります。8ページに参りまして、利用者団体からのヒアリングでも指摘されておりましたが、このことがかえって商業用レコードの利用の妨げとなって、ほかの活動を萎縮させたり過度な負担を生じさせたりすることのないよう、各利用者の懸念や不安等に向き合い、適切な配慮を講じていくことが重要、また、徴収には権利者・利用者双方にコストが生じますので、デジタル化時代に即した可能な限り簡便で効率的な仕組みを構築していくことが重要、また、各利用者によって利用できる手法や置かれた状況が様々異なることから、そうした状況等を踏まえた、画一的でない仕組みの検討・構築が重要であり、そうした仕組みを構築することを前提に、実際の徴収を開始すべきであるとしてございます。

加えて分配についても、公正・公平に行われるよう、正確な分配の基礎となるデータの収集と、透明性の確保をはじめとした適切な運営が必要としてございます。

続いて各論でございまして、(3)導入する場合の法制度のイメージでは、法制度の骨子イメージを記載してございます。

まず、権利の主体・内容でございます。①では、条約等を踏まえ、権利の主体を実演家・レコード製作者としつつ、内容として、商業用レコードに録音されている実演あるいは音を公に再生、著作権で言えば第22条、演奏権に当たる行為をする場合、あるいは受信装置を用いて公に伝達、著作権で言えば第23条第2項、公の伝達に当たる行為をする場合に生じるものと整理をしてございます。

次のページですが、②では、レコード演奏・伝達権を許諾権ではなく二次使用料請求権とする理由について整理をしており、権利処理の複雑化、著作物の公衆伝達の阻害の恐れから、また、条約との関係から、二次使用請求権とすると整理をしております。

③では、保護期間を著作隣接権と同一とすること。④では、非営利・無料の演奏等、著作権や著作隣接権の権利制限規定の趣旨や社会的影響に鑑み、レコード演奏・伝達権も同様に、これらの場合は適用対象外と整理をしてございます。

次に、権利行使の方法についてです。⑤、それから次のページの⑥では、放送二次使用料の仕組みを基に権利処理の円滑化を図る観点から、レコード演奏・伝達権についても指定団体制を採用すること。⑦では、指定団体が行使する二次使用請求権について、その金額などは利用者に配慮して協議・調整することが必要と考えられるところ、そういった協議・調整の仕方として、著作権等管理事業法の下で既にそうした協議・調整が行われている点を参考にしまして、アからオの段階的な調整の仕組みを設けるとしてございます。

まず、アでは、指定団体は、利用態様の別による区分、例えばBGMとしての利用区分、あるいは競技大会での利用区分といったような区分を想定しておりますが、利用区分ごとの二次使用料の額などを記載した二次使用料規程を作成し、それに当たってあらかじめ利用者の意見を聴取する努力義務を負うとしつつ、イでは、作成中の二次使用料規程に関して、利用者を代表すると認められる利用者代表から協議を求められた際は応じなければならない、また、その結果に基づき内容を変更しなければならない、仮に問題があれば、文化庁長官の協議開始命令等があることとしています。

ウでは、一定期間が経過して、なお協議が未成立という場合に、文化庁長官の裁定を求めることができると。エに参りまして、そうした協議や裁定の結果、内容が調整されたことを要件として、二次使用料規程を文化庁長官に届け出ることとし、届け出た二次使用料規程が効力を生ずるとしてございます。また、規程の公表義務や、規程に定める額を超える額を請求することはできないと整理してございます。

また、オでは、こういったアからエの手続は規程の変更時も同様であるということと、届け出られた二次使用料規程についても、利用者代表は随時協議が可能であるとしてございます。

以上、ここまで、おおむね管理事業法と同様の段階的な調整の仕組みで、両者間の調整を図るとしてございます。

⑧では、こうした指定団体の指定や、その後の二次使用料規程の作成、協議、調整に相応の時間を要することを考慮して、また、周知期間も考慮して、準備期間として3年程度の期間を設けることとしてございます。

次に、(4)運用上の留意点でございまして、こちらは徴収・分配の実務に関する事項を整理したところでございます。

今御説明した(3)のスキームを前提にするとしても、徴収・分配は権利者による権利行使の一環ということで、具体的な仕組みや方法は一義的には権利者側で構築する必要があるとした上で、指定団体が役割を着実に果たしていくことが重要であり、実演家とレコード製作者の団体の連携・協力も重要としてございます。

続いて、利用者の方々からのヒアリングでも多数出てまいりました要望等を踏まえて仕組みを構築していくこと、12ページに参りまして、国においても後押し・調整をしていくことが重要とした上で、権利者側で現在検討いただいています電子決済サービスなどを活用した簡易な申請・支払いの仕組みや、音楽著作権管理事業者との連携などの仕組みのさらなる具体化に向けまして、下記事項に十分留意することとしてございます。

その下記事項としまして、まず、二次使用料規程、いわゆる料金表の作成に当たっては、実演家等への対価還元を図るといった趣旨は当然踏まえつつ、利用状況、それから音楽著作権料などほかの使用料額との総額による影響、また物価などを踏まえて検討し、それから、各業界等の固有の状況、小規模事業者が受ける負担等に配慮して検討していくこと。それから、実態を適切に反映するために、料金区分については業界・業種ごとにきめ細かく設定したり、あるいは面積や定員数等に応じて段階的に設定するなど、事前に関係者と十分に協議をして、きめ細かく検討していくこと。特に、利用者からのヒアリングにもございました規模等の小さい小規模事業や、業界団体が一部を代行するなど協力をいただけるような場合については、支払いの免除あるいは減額といった措置を講じるよう、検討を実施することとしてございます。

13ページに参ります。続いて、徴収・分配の実務については、さらに利用者の簡便性・公平性に留意をして、デジタル技術も駆使しつつ仕組みの構築を進めること。特に個別徴収、いわゆる蛇口徴収を行う部分については、音楽著作権との連携など、利用者負担の軽減について引き続き検討をすること。それから、いわゆる元栓での徴収をできるだけ進めること。支払いを行わない者についても、業界団体等と連携してできる限りの対応を講じていくこと。徴収の開始に当たっては十分な周知と、協議の状況によっては段階的な導入や、さらなる猶予期間の設定といった緩和措置もさらに検討・実施すること。分配に関しては、利用された商業用レコードの情報を基本に正確に行っていく、それから透明性の確保を図っていく必要があるわけですが、一方で、利用者の方々ができるだけ簡便に報告ができるよう、著作権の報告書の活用・流用や、電子的な仕組み、再生楽曲を自動的に把握する技術も近年出てきてございますので、そういった技術の活用などの検討を進めるということ。

他方で、完全な利用報告・情報を得ることがかなわない場合にも、統計情報等を利用して可能な限り正確性向上に努めることとしてございまして、冒頭、会長からもございましたように、利用者の方々からの御要望をできるだけ反映させていただいたというふうに考えているところでございます。

続いて3ポツ、今後の課題でございます。

まず、レコード演奏・伝達権の趣旨や、徴収等の詳細について分かりやすい周知を行っていくこと。14ページに参りまして、これも利用者の方々から出た御意見ですが、著作隣接権制度そのものについても十分に知られていないということもあり、その趣旨等について、改めてこの機に周知・啓発に取り組むこと。

それから、指定団体においては情報開示や説明責任を果たすことが重要であるということ。それから、音楽の権利処理方法、あるいは、これも多数指摘がございました商業利用不可のサービスの利用についても、この機に普及・啓発を図ること。加えて、演奏のための準備的複製の在り方について、この機に整理を図っていくということ。それから、徴収・分配に関して、これは加えてということですが、円滑な実施に向けた取組を進めていくこととしてございます。

15ページに参ります。2つ目の内容でございます、今後のデジタル教科書の在り方を踏まえた著作権制度の対応についてでございます。

まず、1ポツの(1)経緯について、いわゆるデジタル教科書については、現在、教科用図書代替教材という形で活用が進んでございますが、それを中央教育審議会での検討を経て、児童生徒の学びの充実の観点から、今後の教科書の形態として、紙だけでなくデジタルも認める方向性が示されてございます。その中で、著作権の権利制限の在り方について検討を依頼いただいているというところでございます。

(2)教科用図書等に関する現行の権利制限規定ということで、現行制度におきましては、御案内のとおり著作権法第33条で紙の教科書への掲載、それから第33条の2の規定では、いわゆる現行のデジタル教科書、教科用図書代替教材への掲載・利用に関する権利制限規定が設けられているところでございまして、16ページに参りまして、こういった場合、教科書発行者は、著作者への通知や教科書補償金の支払いが義務となっているところでございます。

(3)検討課題として、2点整理をいたしました。1つ目が、教科書に今後は動画や音声が掲載される可能性が出てくるということ、これにどう対応するかということと、2つ目として、デジタル教科書もいわゆる正規の教科書という形で、使用義務や教科書検定・採択・無償給与等の対象となることから、児童生徒の使用時点のみならず、こうした手続においても利用行為が生じることに対応する必要が出てくるということを挙げてございます。

これらを踏まえまして検討いただいた結果を、2ポツとして記載してございます。

まず、教科用図書の役割や高い公共性から、教育の目的上、最も適切な著作物を利用することができるようにする必要があるという現行の権利制限規定の考え方は、今後のデジタル教科書の在り方を踏まえても、引き続き維持されるものと考えられること。

次ページでございます。このため、対応方針といたしまして、まず、今後のデジタル教科書に対応するため、隣接権の制限を実演、レコードの利用にも広げること。

2つ目として、デジタル教科書の使用や採択等の手続に対応するため、複製、公衆送信などの複数の利用行為についても権利制限の対象とすること。

3つ目として、補償金については、掲載する著作物等の種類や用途に加えて、利用態様や利用状況等を考慮して、掲載する者が著作権者等に支払わなければならないこと。

4つ目として、引き続き著作者人格権を尊重するということで、同一性保持権について、引き続きやむを得ないと認められる改変等についてのみ適用除外とすることとしてございます。

3ポツ、その他留意事項については、著作権法第35条で教育機関における複製、公衆送信等の権利制限規定があるところでございますが、この適用場面と、今般の教科書の権利制限規定は場面が異なるものではございますが、分かりにくいというところもございますので、こういったことについて関係者に分かりやすく周知をしていくということ。それから、掲載されたコンテンツの拡散防止のための措置について、今後の標準仕様等において検討されることが望ましいということを挙げてございます。

18ページ以降は附属資料として、委員名簿や審議経過をつけさせていただいております。

長くなり恐縮でございますが、御説明は以上でございまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまから、御説明いただいた内容について御意見や御質問をいただきたいと思います。御意見や御質問がございましたら、挙手ないしはウェビナーの挙手で合図してくださると助かります。いかがでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。

髙部委員、どうぞ。

【髙部分科会長代理】

どなたからも意見がないようなので、政策小委員会に所属していない委員の立場から、一言意見を述べたいと思います。

今回、非常に詳細な形で報告書や参考資料をおまとめになりましたこと、政策小委員会の委員の皆さま及び事務局の皆さまに敬意を表したいと思います。お疲れさまでございました。私が報告書を読んだ感想としては、条約を締結してから30年以上もの間留保されたままで、国際的な場面で実演家の方たちの権利が守られてこなかったということについて、今回こういった形で法制化を目指した報告書が出されるということは、本当に喜ばしいことだと思いました。

国際的な場面では、相互主義ということで、こちらが守らなければ外国でも実演家の権利が守ってもらえないということなので、今後は日本の実演家の方にとって権利が守られることになるわけですが、、他方で、国内についてみると、利用者の方たちの不安とか懸念とか、そういったものも汲み上げなければなりません。それはパブリックコメントにもいろいろ御意見が出ておりましたけれども、これからの制度設計の中で、あるいは運用の中で、うまく吸い取って、よりよい制度ができるように願っております。

以上でございます。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

千住委員、どうぞ。

【千住委員】

よろしいですか。私も小委員会に属しておりませんが、やはり音楽家を代表しまして、今回のこの創立に対しては本当に頭が下がる思いでございます。

僕ら演奏家の中でも、音楽家の中でも、僕ら作曲家は著作権で守られておりますけれども、演奏家については、隣接権の中に本当は含まれていなければいけなかったこの伝達権について、やはり名盤のレコードを作ってきた人たち、音楽はその場で消えてしまうのです。これは録音で残っていて、その音楽は利用される。非常に価値があって、ミュージシャンたちの価値というものが、これでやっと皆さんに少しは理解していただけるかなと思います。

一番、僕がここでお願いしたいことは、利用者に関してもですけど、「両者に対する適切な配慮」とありましたが、その説明、本当に我々JASRACも大変時間をかけて丁寧に御説明してきたにもかかわらず、とてもヒールな役に徹してしまっているという事実がございます。

これは、音楽はただであるという常識のようなものがアジアでまかり通っておりまして、確かにその気持ちは分からないわけでもないのですけれども、どうかそれは親切に、分かりやすく理解をさせる方法を、今後皆様方に考えていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

では、続きまして草野委員、お願いいたします。

【草野委員】

ありがとうございます。まず意見ですが、今回のレコード演奏・伝達権の創設は、本当にクリエイターとして、正当な対価還元が明記された本案の方向性に強く賛同したいなと思います。

私自身もミュージシャンで、自分で音楽も作っているし、AIを使った創作活動もしています。私はAIで作った創作活動は、AIだということを言って、AIをどう表現に使うかということを現代アートの中でやっているのですけど、自分で作曲することもするので、どちらの面、良い面、悪い面も分かっているというところはあるんですけど、先日、ポーランドの日本美術館を訪れた際に、館内で、AIで生成された架空のJ-POPがずっと流れていたんです。そこは日本美術の美術館だったんですけど、それで非常に複雑な気持ちになって、もう本当に、AIを使って創作をしている身からすると、自分でモデルを作ったり、いろいろ工夫創意工夫できるところはあるのですけど、そこで流れていたのは、恐らく本当に一瞬のプロンプトで作った量産型のシティーポップがずっと流れていて、本来ここで名曲が流れるはずだったのに、その権利の処理の煩雑さで生成AIの曲を流しているようなお店が海外にはあるなというふうに思って、そういったことが世界中で起きるのは非常に怖いし、文化資本の空洞化が起きてしまうんじゃないかなというふうに思っています。それを防ぐためにも、報告書に書いてあるように、デジタル時代に即した効率的な仕組みの構築は絶対に必要かなというふうに考えています。

あと、日本では推し文化みたいなものがあるので、その辺りのユーザーにとっても、お店で例えば曲をリクエストすることによって、そのアーティストに貢献ができているんだよといったソフトパワー的なメッセージングも非常に重要なのかなというふうに思います。これはアイデアなのですけど。ということです。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

ほかにございませんか。仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】

日本ネットクリエイター協会の仁平でございます。レコード演奏・伝達権に関しては、本当に我々としてはぜひ上手に進めていただければなと思っておりますが、この会議等でもいろいろずっと言い続けておりますが、我々の周りにいるクリエイターさんが持っている音楽原盤というのは、基本的にレコード協会様のデータベースには入っておりません。実演家団体様のデータベースにも、その実演家情報が入っていない情報というのも実はたくさんあります。

ですが実際には、物すごく人気のある楽曲というのがたくさんあって、最近、私のほうでも民放のラジオ局のトップの方とお話をさせていただいたこともあるんですが、そういう我々が持っているような楽曲を、やはり若手ディレクターさんというのは興味を持っていただいているという場合が実は多いんです。

ここに来られている方たちというのは本当に有識者の方で、皆さん大人なのであまり御存じないかもしれませんが、例えば「ボカロ楽曲」、例えば「東方楽曲」といった楽曲で、物すごく有名な楽曲が実はたくさんあります。

その辺り、八田室長様がとてもお詳しいとは思いますが、そういった楽曲を、じゃあレコード伝達権、きちんと取ったときに把握されるんでしょうかと。使われたことがきちんと把握されるんでしょうか、その使われた方たちのデータというのはどこにあるんでしょうか、どうやってお金を流すんでしょうかというところが、やはり我々が一番気にしているところです。

御存じの方も多いとおり、先日、個人クリエイター様の権利情報を登録するシステムというものが立ち上がりました。文化庁様の御事業ですけども、立ち上がりました。そこに既に大変たくさんの、数千を超えるデータが入っているというようなお話も伺っております。こういった個人クリエイターさん向けのデータベースというものを、国の機関でつくっていただいているということはとてもうれしいことですので、ぜひ、このレコード演奏・伝達権の分配とか、使われたことのマッチングにおいても、個人クリエイター様が御自身の意思で登録できるようなデータベースとの連動をぜひ実現していただきたいなと思っております。

個人クリエイター様の楽曲というもの、もし皆様方、ちょっと興味を持っていただいたら、この会議が終わった後にでも、どんなのがあるのかなと。日本ネットクリエイター協会の仁平がボカロ楽曲とか東方楽曲って言っていたけど、実際どのくらいはやっているのかなというのをぜひ御確認いただけると、これが実はすごいことだということが分かると思います。

ぜひ、そういう個人クリエイター向けの管理という部分、DXというのは、やはり使われたことが分かって、その方にちゃんとお金が返るというのがあって初めてDXだと思いますので、その辺りも一緒に御検討いただければなと思います。よろしくお願いします。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

ありがとうございます。ないようでございますので、意見交換はここまでといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

本日の意見交換を受けまして、おおよその委員の皆様から御賛同をいただけたと思いますので、文化審議会著作権分科会報告書案につきましては、このまま「案」を取った形で報告書として取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【太田分科会長】

ありがとうございます。

それでは、次に、議事2に参ります。使用料部会の審議経過について、使用料部会の部会長であられる髙部委員から御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【髙部分科会長代理】

使用料部会長の髙部でございます。使用料部会における審議の経過について御報告をいたします。お手元にある資料2のほうを御覧ください。

今期の使用料部会におきましては、著作権法に基づく、文化庁長官による文化審議会への諮問事項である3つの事項について審議を行いました。

まず第1が、著作権法施行令の一部を改正する政令案について。第2が、未管理著作物裁定制度における登録確認機関の確認等事務規程の認可について。3番目が、著作権者不明等の場合における著作物等の利用に係る補償金の額について、でございます。

まず第1の、著作権法施行令の一部を改正する政令案について、でございますけれども、指定補償金管理機関が著作物と保護利用円滑化事業に支出すべき額の算出方法に係る著作権法施行令の一部を改正する政令案につきまして、審議の結果、特段の異議はございませんでしたので、案のとおり了承いたしました。

次が第2の、未管理著作物裁定制度における登録確認機関の確認等事務規程の認可についてでございます。こちらのほうも、審議の結果、特段の異議はございませんで、申請を認可することが相当であると議決を行いました。

最後に3番目の、著作権者不明等の場合における著作物等の利用に係る補償金の額について、でございます。裁定申請に基づく諮問に関しまして、4回の使用料部会を開いて審議を行いまして、合計件数が65件になりましたけれども、これについて議決を行いました。

御報告は以上でございます。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

それでは、ただいまの御報告について、御意見、御質問がございましたら挙手をお願いいたします。オンラインの方は挙手ボタンにてお知らせください。

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。特に御質問、御意見がないようですので、議事は終了としたいと思います。

その他、全体を通しまして何かございますでしょうか。お受けしたいと思います。

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。それでは、今日が今期最後の著作権分科会となりますので、委員の皆様から一言ずつ頂戴できればと思います。

ではアイウエオ順で、内山委員、お願いできますでしょうか。

【内山委員】

1年間どうもお世話になりましたというのと、事務局の皆様、ありがとうございましたということをまずお伝えしたいと思います。

今年はやはり伝達権の話が一番メインだったとは思います。思いのほかすんなり通ったなというのが個人的な感想としてはございまして、いろんな理由はあると思うんですけれども、やはり貿易黒字を生み出せるというのは一つ大きな説得事項ではあったかなと。つまり、国家とすれば損しないというところがようやく見えてきたというところが、一つ後押しになったかなという思いが、経済屋としてはあるところでございます。

つまり、実態が制度導入を後押ししたということは言えると思うんですが、これで2、3年の準備期間を経て導入していったときに、今度は制度が実態をどう後押しするかというのが出てくると思います。

つまり、今後海外からも得ることができるということになりますので、クリエイターの皆さんも変に国内に閉じ籠もらず、もっと世界を見て活動してねというメッセージがそこにあるわけで、そういうふうになっていけるかどうかといったところが長期的にはあるかなというふうに、個人的な感想としては思っております。

それから、そうはいっても国家としては、全体としては貿易黒字という形で得になるということではあるんですけれども、おのずと利用者から権利者に対しての所得移転が発生する話でありますので、何度も出ているように、今後丁寧なケアをしていただければというふうに思うところでございます。

以上でございます。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、正親町委員、お願いいたします。

【正親町委員】

経団連の正親町です。今期は政策小委員会で、レコード演奏・伝達権はじめクリエイターへの適切な対価還元に向けた議論が進んだと認識しております。

著作権に関連しまして、海賊版対策について申し上げます。経団連では、日本のコンテンツ産業の海外展開を一層促進すべく活動を続けておりますが、海賊版については、各分野における長年の共通課題となっております。

最新の被害額も明らかになりましたけれども、政策小委でも今期、適宜御報告いただきましたが、文化庁はじめ関係省庁が様々な対応策を充実していただいていることに、企業側としても大変感謝をしております。

官民連携して対応する、取り組んでいく課題だと考えておりますので、引き続き長期的な御支援をいただければと考えております。

以上でございます。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

では、オンラインの唐津委員、お願いいたします。

【唐津委員】

唐津です。すみません、しばらく映像が出ていなくて、ようやく間に合いました。

本年度は政策小委員会のほうと、それから使用料部会のほうで参加させていただいたんですけれども、政策小委員会の中では、報告書にも反映されているように、利用者の方からのヒアリングを数多く行いまして、それが非常に印象に残っております。

印象に残っているというのは、皆さん、権利自体を創設する、実演家のため、あるいはレコード製作者のために創設するということについては、ほぼ全員の方が同意してくださるんですけれども、特に事業者としては非常に規模の小さい利用者の方たちが、金銭的な負担が増えることへの不安というのをおっしゃっていたことが、強く印象に残っております。

なので、実演家あるいはレコード製作者といった権利者の方への適切な利益の分配というものが必要な一方で、やはり社会の状況、特に事業者の方の経済的状況というのも踏まえながら、皆さんが納得できる制度というのをこれからつくっていかなくてはいけないのだと思っております。

特に使用料をどのように設定するか、それからどのように徴収するか、そのところで公平性あるいは納得感というものがとても重要になっていくのだろうと思います。引き続き、できる範囲で御協力、尽力させていただきたいと思っております。

以上です。ありがとうございました。

【太田分科会長】

よろしくお願いいたします。

続きまして、榧野委員、お願いいたします。

【榧野委員】

芸団協の榧野でございます。1年間大変お世話になりました。

先ほど文化庁の方や髙部先生が、レコード演奏・伝達権についてはローマ条約批准から30年、40年の課題であったとおっしゃっておられましたが、私ども芸団協にとっては、創設当初からの60年来の悲願がようやく実を結んだということで、報告書作成に御尽力いただきました文化庁の皆様、そして委員の皆様に、心より感謝申し上げたいと思います。

報告書に書かれている課題や委員の皆様からのご指摘を肝に銘じまして、実演家の団体としましても真摯に対応してまいりたいと思っております。

また、報告書に書かれておりますように、バリュー・ギャップなど、まだまだ課題も残されております。デジタル・プラットフォームからの適切な対価還元といったことも、今後取り組んでいただけると大変ありがたいと思っております。

以上でございます。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、喜入委員、お願いいたします。

【喜入委員】

日本書籍出版協会から派遣されております、筑摩書房の喜入と申します。今回、様々な細かいところまで目を配って、このようにある程度の提案ができるところまでまとめていただいて、皆様に大変感謝いたします。

全体の状況を拝見していると、著作物というものが、著作権者というのが、やはりデジタル化の波を受けて、どこに誰がいるのか、著作権者とは誰なのかということが非常に曖昧になってきていると感じます。この状況の中で、逆に、流通速度や拡大化は非常に激しいので、クリエイターたちの活動が非常に活発になり、かつ、それが経済の活性化につながっていくということは非常に重要なことであると考えます。それを背景にして、しかしそれはクリエイターたちにきちんと対価が還元されるようにできるのか、どのように実際的に制度をつくっていくのかというのは大変難しいところだなと、何回かこの会議に参加させていただき、審議に参加させていただいた中で強く感じました。

それに関連して、最近はAIのことなども随分話題に上りましたが、私ども書籍を作っている者として、皆様の耳に入れておきたいなと思っていることが一つございます。御存じの方も多いかと思うんですけれども、昨年の2月に、吉本ばななさんの著作であると称する小説が、Amazonの電子書籍サービスのKindleで売り出されたということがありました。

吉本さん御本人がXで、「私はこんな本は書いていない」とか、「読者の皆さん買わないでください」と注意を呼びかけて、結果としてこのなりすまし作品はストアから削除されました。その際に、やはり同様の事例が村上春樹さんとか東野圭吾さんでも起こっているというような報道もなされております。

現行の著作権法の121条では、こうしたなりすまし行為を、要するに出版物、紙という実体のあるものでは、違法として対応がなされていますが、公衆送信、いわゆる電子書籍などの無体物はこの法律でカバーされておりません。このようにAI技術がすさまじい勢いで進化している時代には、こうしたなりすまし行為がますます容易にできるようになりますので、紙の本でも電子書籍でも同じ著作物なので、電子書籍についてもこの著作権法の対象にできないのか、今後の課題として御審議いただければありがたいかなと思っております。

今後のこととして、一言申し上げさせていただきました。ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続いて、オンラインの草野委員、お願いいたします。

【草野委員】

本日は議論、誠にありがとうございました。アーティストとして、本当に日本って世界的に見ても、アーティストを応援したり、著作権意識が非常に高い国民性だと思うので、こういったシステムを広めるときも、今までグローバルな収益サイクルからこぼれ落ちていた日本人クリエイターを、世界のスタートラインに立たせることができたらなというふうに思っています。

私も、日本のソフトパワーはこれからすごくいろんな場所で、本当に日本の人口は減っていますが、コンテンツを見ると日本のアニメに影響されたものが非常に多くて、そこにも非常にビジネスチャンスもあると思うので、頑張ってDX化を推し進めていけたらいいなというふうに思っています。ここから3年間は、テクノロジーを駆使して、摩擦を感じさせないようなインフラが必要かなというふうに思っています。

電子書籍の先ほどのお話は、私も非常に共感します。なりすましだったりフェイクニュースみたいなものは、これから指数関数的に増えていくと思うので、その辺りを保護する法律は制定したほうがいいと私も思いました。本日はありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、楠本委員、お願いいたします。

【楠本委員】

レコード協会、楠本でございます。まずは、レコード演奏・伝達権に関して、当該の権利の創設の要望を長きにわたってしてまいりました集中管理団体として、今回の取りまとめに御尽力いただきました諸先生方、そして文化庁の皆様、誠にありがとうございました。

また、ヒアリング、あるいはパブコメの中で出てまいりました皆様の御懸念等に関しましては、本日の報告書にも適宜挙げていただいておりますとおり、先輩である著作権管理事業者の方との連携、それから、もうこの時代ですのでアナログからデジタルへの、少しでもコストがかからない、手間がかからない徴収あるいは分配の方法を構築していくことのお約束を添えさせていただいて、感謝の意とさせていただきたいと思います。

また、ここ数年ほどは、この演奏権の御議論を中心にしていただきましたので、なかなか、先ほど来出ておりますパイラシー関係、いわゆる違法関係の御議論が少なかったかなとも思います。私どものレコード業界も、他に類を見ないといいますか、他に先行して違法がはびこる分野でございます。ボイスも、いわゆる声のディープフェイクですとか、それから先ほど出ておりましたけどなりすまし、全然権利者でもないのに、あたかも自分の権利のごとく配信しているものとか、これ、日本国内だけで裁こうとしてもできないのは、もうインターネットの世界では常識になっております。国境を越えたいわゆる違法といったことでございまして、近年は日本政府も各省庁さんにまたがった連携をやっていただいているところではございますが、なかなか、それを駆使した違法の駆逐例、具体的には某国での犯罪者を捕まえたとか、告訴ができたとか、そういったところまではなかなかまだ行き着いていないのが現状でございます。

演奏権の法制化に関してありがとうございましたと言っておきながら、もう何か要望しているようで大変恐縮ですが、来年度以降はそちらのほうへも強く、私どもも、意見や持っている情報を提供して、議論を活性化していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、オンラインの河野委員、お願いいたします。

【河野委員】

日本消費者協会の河野でございます。長年の懸案であったレコード演奏・伝達権について、我が国における取扱いの方向性がまとまったことは画期的で、実演家の皆様に対する経済的基盤の強化による、より豊かな音楽文化を育む土壌の醸成、また、海外からの使用料収入による国際競争力の向上などの効果を考えると、国としての権利の創設は、多くの音楽関係者の皆様にとって朗報になったと受け止めています。

その上で、この仕組みが運用される際には、パブコメで懸念が強く示され報告書にも書き加えられた、徴収や分配における透明性の確保に関して十分に配慮いただき、関係者の納得感を伴った円滑な仕組みの構築をお願いいたします。また、制度に対する国民の理解も重要だと思いますので、その点への広報の充実を期待いたします。

レコード演奏・伝達権については一旦の整理が行われたところですが、過去10年を振り返ってみますとDXの進化は驚くばかりで、技術の質や精度の向上と社会実装のスピードは、法律の整備とか社会秩序の成立などを置いてきぼりにして、もう本当に地球全体を覆ってきている状況だと思っています。

DXの進化というのは、社会にとって大きなメリットと不確定なリスクを抱えていると考えていますので、音楽の分野にとどまらず、コンテンツの海賊版対策や、創作に関わるAIテクノロジー利用への考え方など、日本の文化芸術に大きな影響を与えるであろうAIテクノロジーと著作権に関しては、早急で真剣な議論が求められるのではないかと考えております。

インターネット上で消費者に向けて、「無料で楽しめます」という誘い文句を多く目にしますが、文化庁様をはじめ関係者の皆様におかれましては、改めて著作権の持つ意味と、その適切な発現として、相当な対価の徴収と適正な分配に対して、社会全体に向けての広報・啓発に力を入れて、今後の議論につなげていただきたいというふうに思っております。

私からは以上です。1年間ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、島並委員、お願いいたします。

【島並委員】

まず、私も報告書案に賛成をいたします。その上で、知財法研究者の立場から、今回目指されている法改正の位置づけに絡めて、感想めいたことを2点指摘させていただきます。

1つ目は、新たな権利付与という貴重な場へ参画させていただいたことへの感謝であります。私は政策小委、さらにその下のワーキングチームにも参加させていただきました。実は著作権はもとより、知財法分野全体を見回しても、新たな権利が付与されることはそう多くあることではありません。もちろん、著作権法も特許法も時代の要請から頻繁に法改正がなされるわけですが、そこでは、利益保護自体は前提として、その程度や範囲を拡縮するということがなされておりまして、今回のように、これまで等閑視されていた利益を新規に保護することはまれであります。

翻ってみますと、知財法では、個別の知財法制度で保護されていない関連利益の民法・一般不法行為法による保護の在り方が議論されておりまして、将棋の棋譜やバンドスコア等に関する裁判例も蓄積してきたところです。

そこでは、知財法で保護されるべき利益は既存の知財法制度で適切に保護されているという、ややトートロジカルな前提がございまして、その外側で、司法の場での民法による関連利益の保護が模索されているわけです。

ある意味で、立法府に対する信頼が前提となっているわけですが、このたびの審議会でのご議論は、実は存在していた制度的な不足に対して、立法府にきちんとご対応いただくべくなされたものであり、社会的な信頼に応える立法を促すものと位置づけることができるように思います。

感想の2つ目は、レコード演奏・伝達権が許諾権ではなく二次使用料請求権、つまり排他権なき対価請求権の付与を想定しているという点についてでございます。これは、著作物の利用を阻むことなく権利者への利益還流手段を確保するという、現在の著作権制度が国際的にも求められている要請に応えたものであると位置づけることができます。

近年の法改正でなされた未管理著作物の裁定制度や、今回一緒に議論されましたデジタル教科書に関する権利制限と補償金制度はまさにそうでありますし、さらには、AIの機械学習における著作物の非享受利用を広く認めつつ、AI事業者から著作権者への対価還流の手段がなお模索されていることも、広い意味では同じ流れなのだろうと思います。

ただし、たとえ許諾権構成を取らなくても、二次使用料の具体的な価格の設定や徴収方法の設計によっては、事実上の利用阻害効果も生じかねないところですので、せっかく二次使用料請求権構成を採った今回の報告書の趣旨に照らしましても、今後の具体的な制度構築と運用こそが重要であるという皆様の御意見にも賛同いたしたいと思います。

以上、最終回ということで、少し視野を広げて今回の改正提案を位置付けてみました。今期の1年間、どうもありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、鈴木委員、お願いいたします。

【鈴木委員】

NHKの鈴木です。2点お話しさせていただきたいと思います。

1つ目は、昨年のこの場でもお話しさせていただきましたけれども、WIPOのSCCRで議論が続いている放送条約に関して、です。

NHKは放送事業者として、この条約の早期成立を切に望んでおります。NHKでは昨年10月に、放送番組のインターネット配信が必須業務となりました。これまでよりもさらに多くの放送番組をインターネットで配信し、視聴者の皆様にとってもより使いやすく、よりよいサービスになるように、現在努めているところでございます。

放送事業者によるコンテンツのインターネット配信は今後もさらに進んでいくため、国境を越える海賊行為から放送事業者を守るための条約は必須であると考えております。

SCCRは、昨年12月に続いて今年の5月にも開催されます。放送条約の議論が外交会議にステップアップできるよう、ぜひ、今後とも御尽力いただけたら大変ありがたく思っております。

2つ目は、本日もお話のあったデジタル教科書についてです。今後、映像が使用された教材が検定教科書になっていくということで、NHKのコンテンツが教育の分野でもこれまで以上にお役に立てることを望んでおります。

一方で、補償金の部分と既存のビジネスの部分のすみ分けがどうなっていくか等については、今後の検討に注目していきたいと思っております。

1年間どうもありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、オンラインの千住委員、お願いいたします。

【千住委員】

千住明でございます。先ほども申しましたが、私はやはり音楽家として、もちろん作曲がメインで著作ですが、プラス演奏もしております。このレコード演奏・伝達権においては、やはり取り残されたものだったんです。著作隣接権の中で随分と日本も分配をすることができるようになってきましたが、なぜここだけが取り残されているんだろうと、実は本人たちはすごく思っておりました。なので、本当に皆様、御協力どうもありがとうございました。

SNS等の影響もありまして、今、日本だけではなくて世界の音楽家のバリアが取れています。J-POPだけではなく、日本の優れたジャズプレーヤーやクラシックの演奏家、インストのプレーヤーたち、全てのジャンルにおいて世界各国で注目を浴びて、世界から随分求められるようになっているこの時期に、素早く対応していただけたらと思っています。

やはりこういうものというのは、外から言われて気がつく歴史が、日本には今までありました。今後、やはり熟した文化を持っていただきたいので、すごく、今まではアジアだからといって随分と、「だから安いだろう」と言われたことも何回も僕もありました。そういうふうに思われていた文化を、日本を中心に変えていくことが、今からできるんじゃないかなと思っています。

むしろ新しい分野においては、僕も今、自分の制作におきまして、アメリカはじめヨーロッパの若いアーティストたちが参加したいという表明をしてくれている人たちがすごくいます。そういう人たちに対してもお手本になるような、熟した、適切な今後の分配等々、準備期間が3年ありますけれども、丁寧な配慮とともに、国民の理解を得られるように、先ほども申しましたが、本当にJASRACにおいては理解してもらうのにすごく時間がかかったし、まだもちろんかかって、いろんな問題が出ております。

そういうことと、あと隣接権に対しても、MPNという団体がすごく頑張って、何年も遡ってみんなに分配を、もうほとんど過去の分はし終わっているんじゃないかと思います。

そういう部分のネットワークも使っていただきまして、ぜひ、今まで、特にアジアの国にあった、音楽はただである、ただが当然だという、目に見えない文化に対しての御配慮をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、髙部委員、お願いいたします。

【髙部分科会長代理】

髙部でございます。先ほど使用料部会に属して、使用料の関係での議論をご紹介させていただきましたけれども、この著作権分科会で様々な分野の御専門の方たちのお話を聞いておりますと、やはり日本において著作権がきちんと守られるということが極めて大事だと改めて感じております。

私は元裁判官ですので、どうしても訴訟がどうなっているかというのは気になるわけですけども、数の上でももう今、知的財産権の分野では著作権の訴訟が半分以上を占めておりますし、また、質といいますか難しさといった面でも、著作権訴訟は際だっております。この1年間を見てまいりますと、先ほど島並委員から御紹介のあった、著作権法で保護されないものを民法で保護できるかというような論点の判決があったり、あるいは、まだこれからということだと思いますけれども、新聞社のほうで、いよいよ生成AIのサービス提供者に訴訟を起こしたという状況にもなってまいりまして、まだまだ、制度として全てが法律の中に書き込まれているわけではないということを実感する次第であります。

ですので、そういった立場で、これから日本における著作権の制度設計をともに考えていけるように、今後ともよろしくお願いいたします。1年間ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、棚井委員、お願いいたします。

【棚井委員】

日本写真著作権協会の棚井文雄です。当会は、写真著作権の普及・啓発事業の一環として、セミナーの開催や講師の派遣を行っています。

このところ、受講者から頻繁に受ける質問があります。それは、「生成AIによって生成された写真に著作権はあるのか」ということです。写真において、生成AI、あるいはAI生成物の話をするとき、かつて写真に問われた芸術性、あるいは19世紀に写真技術が誕生した際の絵画の世界に写真が与えた影響、画家たちの当時の状況と、その後の動きと比較されることがあります。

しかし、写真において問題となっていることは、「撮影不要」と言われていること、撮影せずに写真作品が創作できると思われていることです。一方、当時、写真技術の誕生後も、画家たちは自らの手で筆を動かす、描くことには変わりはありませんでした。生成AIに依存して作り出された「写真とも呼ばれもする画像」、それは誰かの著作物を学習したデータを基に生成している。だから「撮影者」が不在となるわけです。そのような、他者が撮影した著作物を再構成したコンテンツに、たとえそれに一定の手が加えられたとしても、「著作権が発生するのか」と問われています。

そして、それは写真ではありません。AIによって学習された、誰かが撮影した「実在するもの」と、「誰かが描いたもの」など、様々な種類のデータ、情報を基に構成された、あくまで「写真のようなもの」、写真のように生成されたコンテンツであると考えています。

写真は撮影者に加え、実在する被写体が必要なのです。生成AIに依存して作る「写真のようなもの」を生成したデータには、撮影者、写真家が、AIによる学習を望んでいない写真作品も含まれています。そのコンテンツに、被写体と対峙して目の前の現実世界を記録、あるいは被写体との交錯によって表現をしてきた写真と同じ権利が発生するのか、そう問われているのです。

写真の世界においても、これまでに過去の作品へのオマージュは行われてきました。しかし、AIに依存して画像を生成する「著作者と呼ばれるかもしれない人物」が、基となった写真作品、もしくは写真家を認識しているようには思えません。オマージュ作品に見られるような写真作品や写真家への敬意を、残念ながら感じることはできません。

一方で、音楽の分野に見られるように、AI生成物の権利化は進んでいます。今後、写真のようなものを含めたAI生成物の権利に関する審議を行う場合には、生成AIに特化した権利の検討をしていただきたいです。AIによる著作物の自由学習は、日本独特の制度です。これによって、さきに述べたように、「写真のようなもの」に対しての著作物性を問う声はやみません。

また、写真家にとっての作品発表、公表の一つの手段として、インターネットへの作品のアップがありますが、AIによる著作物の自由学習がまだ規制されないことで、それを控えざるを得ない状況が続いています。

現在の著作権制度について、今、改めて考え直すタイミングではないかと思います。今ここで、さらに真の芸術活動を行う写真家にも目を向けていただき、研究者や法律家のみならず、様々な著作者を交えた議論を行っていただきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、豊川委員、お願いいたします。

【豊川委員】

日本新聞協会の豊川と申します。今日はいろいろ御意見いただき、本当にありがとうございました。

音楽の権利を守るためにいろいろ御尽力されているというお話を伺って、まさに新聞も同じだなというふうに思っております。特に報道の分野で申し上げますと、先ほど髙部委員からも御指摘があったとおり、生成AI事業者が新聞のコンテンツを使って独自に要約をして、いわゆるフリーライドされるという問題が非常に顕在化しています。それによって訴訟も提起されているという実情であります。

そうこうしているうちに、いわゆるAI事業者ではなくて一般のユーザーが、新聞記事や各種資料を、自ら学習データを集めて自前のAIモデルをつくるというサービスが出てきております。具体名を挙げるとNotebookLMというようなサービスになりますけれども、こちらに対する権利保護をどう担保するのかというところも、新たに今、まさに直近の課題として浮上しているというような状況であります。

こういう新しい技術による、権利に対するトラブルが、今後ずっと出てくると。それに対して対策するというのが、どんどんいたちごっこになっていくというような危惧を抱いております。

個人的には、著作物が使われる先、生成AI等で使われる先で、権利保護や補償の在り方を個別に議論するというのは、なかなかスピードの問題、それから精緻な法的、制度的に検討していかなければいけないという問題等があって、なかなか難しいのではないかなというふうに思っております。

こうした出口での権利制限、規制よりも、例えば著作物が利用可能な形でデジタルデータ化された段階で、著作権保護だけでなく何らかの補償がされるような、いわゆる入り口での著作物の保護と補償の在り方のようなものがないと、いたちごっこはずっと続いてしまうのかなというふうに思っております。

具体的にどういうアイデアがあるのかと言われれば、なかなか難しいところではありますが、技術が革新的に変わっていく中で、我々の著作権保護の考え方ももう少し革新的な形で考えていかなければいけないのかなというふうに思っております。

いずれにせよ、こうした形で非常に細かく制度設計をし、権利者に対する保護を検討されているということに本当に敬意を表しますし、これがよりスピード感を持った形で続けていけるようにと考えております。私も微力ながら、いろんな形で御協力していきたいと思っております。ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】

中川でございます。本年度は法制度に関するワーキングチームにおいて、主にレコード演奏・伝達権について議論に加えさせていただきました。長年の課題でありました本件がようやくここまでたどり着いたということで、私としては大変喜ばしいことだと感じております。

報告書では、制度の導入に向けた課題についても触れられております。その中で、レコード演奏・伝達権やそもそもの著作隣接権制度について、周知などの必要性についても言及されております。制度が円滑に運用されるためには社会の理解や納得が重要であり、こうした言及があるのも当然のことだと私も考えます。私も微力ながら、各所で尽力をさせていただきたいと考えております。

続きまして、バリューギャップについて申し上げさせていただきます。これももう繰り返し、審議会も含めて指摘されているところでありまして、各所でいわゆるバリューギャップの問題が生じております。今後もそうした問題の解消、権利者への適切な対価還元に向けて、継続的に取り組んでいくことが非常に重要であると考えております。

そして、海賊版でございますけれども、海賊版は、権利者への対価還元がなされない最たるものであると思います。海賊版に対してはあらゆる方策を通じて対策が講じられていくことが重要であると考えております。

私からは以上です。今年もありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、オンラインの中沢委員、お願いいたします。

【中沢委員】

文藝家協会の中沢けいです。懇切な御説明をいただきましてありがとうございます。三人寄れば文殊の知恵と申しますが、著作権に関わる方が広くお集まりになって、相互の意見交換を肉声で聞くことができる、大変貴重な機会だというふうに実感しております。

うまく言えないんですけど、私たちは権利者であると同時に、利益の享受者というんでしょうか、受け手でもあるんですよね。本を1冊も読まずに小説を書いちゃった小説家というのは私は知りませんし、音楽家の皆さんは当然、音楽家になられる前にたくさんの演奏やたくさんのレコードをお聞きになっていらっしゃるでしょう。その他の分野でも、著作権物を利用していない方はいないので、利用者であり権利者であるという二重の側面を持って皆さんの様々な意見を聞くことは、こういう新しい技術の時代にはとても重要なことだなと、今回お話を承っていてつくづく感じました。

デジタル教科書を使うという話で、ちょっと笑ったんですけど、分量が多くなり過ぎるかもしれないよというような御議論があったという話をちょっと承りました。子供が学校から昔の百科辞典、全10巻を持ち帰ったら何しているんだろうと思うんですが、ぱっとそのぐらいの分量のデータを持ってこられても、私のような高齢者は理解できないわけで、そうした今までにないことが起きるんだなというのを、お話を聞いていて感じました。

先ほど書協の喜入委員からお話があった著者名のなりすまし問題、これは皆さんもお耳に入っているかと思いますが、具体的には吉本ばななさんが御自身で気づかれて、自分が何も書いていないのに新しい作品がAmazonで売り出されているという苦情を、ネットで声を上げたことで広く知られるようになりました。村上春樹さん、あるいは東野圭吾さんなんかも同じようななりすまし作品が出回っていたという話も伺っています。

これを、法的根拠を持って、そういうことしないでください、それは違法ですと言えるような形をつくっていただけないかなというふうに思っています。具体的には、著作権法の120何条だったかな、が使えないかというような話もちょっと出ていますが、厄介なのは、ここでなりすましされたものが氏名だということです。氏名って簡単に著作権で縛られないんですよね。日本中に鈴木太郎さんが何人いるか、山田花子さんは銀行の窓口に行けば必ずいるみたいな見本になっていると。

そういうのがあって、必ずしもそれ自身は著作権で縛らない。それをどうやって規制していくか、違法性をどうやって法的根拠を求めるか、そこは皆さんのお知恵を貸していただいて、広くお知恵を集めて、不便のない、そして公正な制度というのをつくっていくべきなのではないかというふうに考えております。

先ほど冒頭で、三人寄れば文殊の知恵と申しましたが、これだけ著作物の利用者と権利者が集まっているものですから、何かいい方法が考えられるんじゃないのかと期待しています。

ちょっと想像を絶する事態だったので、笑っちゃいけないけど笑っちゃうよね、みたいな感じがありましたが、この問題、真面目に考えるとなかなか深刻な事態だというふうに私は受け止めております。

今後とも皆さんのお知恵を借りて、こういう今まで私たちが想像していなかった事態が起きたときにどう対応するかということを、お考えいただければありがたいなというふうに思っております。1年間どうもありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございました。

続きまして、仁平委員、お願いいたします。

【仁平委員】

日本ネットクリエイター協会の仁平でございます。本当に1年間、皆様お疲れさまでした。

先ほど私のほうから、レコード演奏・伝達権に関する個人クリエイターの音楽現場の透明性とか正当性についてお話しさせていただきましたので、そちらのほうはそれとして、今後、私が今感じているのは、こういったレコード演奏・伝達権の意義みたいなものを、やはり広く告知していく必要性というところを最後に改めてお話しさせていただければなと思います。

こちらは、要はお金を払う側である方たちとは違うんだけども、利用者の側からすると、特にネット系のユーザーからすると、自分たちの支払う何かの対価の一部がそういったものに回されるので、利用者である僕たちが損をしてしまっているんだよというような、そういう考え方の下にあまり考えもなく反対されている方というのが、ネットの中にはいらっしゃると僕は感じています。

これって実はずっと前、もう本当に20年以上前ですけども、20年ぐらい前かな、ボカロの楽曲が初めてJASRACに信託されたときにも同じようなことが起きました。カラオケにいっぱいボカロの楽曲が入ってきたので、僕らとしては、ちゃんとその楽曲もJASRACに信託して、ちゃんとお金を取ろうよというようなお話をしたときに、実際に一番最初に対応してくれたikaさんという方が「みくみくにしてあげる」というのをJASRACに信託していただいたんですけど、その時にも結構ネットの中から、そういったことはけしからん、お金を払わないと楽曲が楽しめないってけしからんという、やっぱり文化があったんです。

それを払拭するために、当時ひろゆきさんだとか、当時JASRACのまだ理事だった菅原さんなんかに私の生放送に出ていただいて、著作権とは何かというところと、こういった対価をもらうことにどういう意義があるのかというのをちゃんと話をしていただいて、そこから結構時間をかけていろいろやりました。

今回の件も僕は同じだと思っています。やはりそういった意味では、世の中にはきちんと理解をして反対をする方、賛成をする方がいらっしゃるんですが、それとは別に、理解をされずに反対をされる方というのが実はすごく大きいですよね。これは皆さんも感じられていると思います。そういった方たちに対するきちんとした啓蒙活動というものの必要性というのをすごく感じました。

それはレコード演奏・伝達権だけではなく、AIについても恐らく同じだと思います。なので、今後我々としましては、私のところではテレビやラジオに対する告知というのはできないですけども、インターネットを通じての生放送というのはしょっちゅうやっておりますので、今後我々のほうでもそういった企画を立てていきたいと思いますし、前回も長谷課長様、八田室長様にも私の番組に出ていただきましたが、今後も引き続きそういった啓蒙活動において、やはり国の方が出ていただくというところで番組の正当性とか重さが本当に変わりますので、ぜひまた御協力をいただければと思います。

本当に1年間、皆様、お疲れさまでした。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、前田委員、お願いいたします。

【前田委員】

日本民間放送連盟の前田と申します。レコード演奏・伝達権の創設につきましては、皆様からも御指摘がありましたとおり、報告書の中で、法改正がなされた後の課題についても様々な指摘がされております。これらは運用開始までに、関係者が議論、協議を尽くして、一つ一つ丁寧に解決するということが重要だと考えております。

また、今後の本分科会での検討に関して、少しコメントをさせていただきたいと思います。政府では、日本発コンテンツの海外売上高を2033年までに20兆円に拡大するという目標を掲げるなどして、コンテンツ産業を成長戦略分野の一つとしております。こうした目標を達成するためにも、海外展開や配信などにおいてコンテンツ流通がさらに促進され、安定的に継続することが求められています。

レコード演奏・伝達権の検討では、権利者と利用者の立場の調整を円滑に図るということの重要性も指摘されている理解しておりますが、これは当然ながら著作物、コンテンツの利用促進においても同様であると考えております。

著作権等管理事業法が施行されてから約25年たちますけれども、この法律の立法時に期待された複数の管理事業者の競争原理が働いて、マーケットにおいて適正な使用料が形成されている分野は限られていると考えております。

このような状況においては、例えば、管理する分野の市場におけるシェアの大小にかかわらず、必要に応じて権利者と利用者の協議の機会を確保したり、利用者の実態や意見を柔軟に反映させる仕組みを構築することが、より一層の利用促進につながるのではないかと考えております。

つきましては、本分科会におきましても、このような社会環境の変化を分析しつつ、著作権等の保護と利用のバランスを見極めていく形で議論を続けていくことを期待したいと考えております。1年間、どうもありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、オンラインの宮委員、お願いいたします。

【宮委員】

日本美術家連盟の宮です。実演家等のレコード演奏・伝達権という権利がつくられたのは、文化を高めるためには望むべきものだと思います。アーティストのインセンティブが高まり、後進アーティストの育成・支援につながるというのが、一番私は魅力的に感じました。

美術の分野でも映像作品が多くなる中、著作権についてもっと制度化したものをつくっていったほうがいいのではないかと思いました。音楽・演劇その他にこのような権利が認められることを踏まえて、美術の分野での追及権も検討していただきたいなと思いました。二次使用料については、制度設計をよく検討して考えていったほうがいいんじゃないかなというふうには思っております。

1年間ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、オンラインだと思います、宮島委員、お願いいたします。

【宮島委員】

日本テレビの宮島です。1年間お世話になりました。今期は、もう大変な難しい長い議論に一つの決着を見ることができたということで、大変そこはよかったなというふうに思っております。

私はコンテンツを扱っている仕事ではありますけれども、一般の立場で申し上げたいと思います。本当に、著作権をめぐる問題はどんどん複雑になって難しくなって、ルール化しても、一定程度の専門家あるいは担当している人でも理解ができないぐらいの複雑性を今後も増すと思います。

そんな中で、国民への周知や理解を求めるというのは、もうどの政策でも、これは著作権に限らずどの政策でも、周知を求めるものはすごく多いんですけれども、それをみんな言うんだけど、そしてとても大事だと言うんだけど、なかなか、それが本質的に大きな成果、大きな変化に結びつかないなというふうに思っております。

しかも、今のSNS時代に、昔だったらマスに向かって呼びかけられたものが、どんどん情報が細分化されて、自分が取りたい情報しか取らないというふうになっている中での周知というのは、以前よりもさらに難しくなっているかなと思います。

そんな中で、必ずみんなが通るところでの何らかのフックという、具体的な検討が必要ではないかと思います。例えば今回デジタル教科書がありましたけれども、教育現場の著作権の意識というのはかなり課題があるというのは、皆さん共通の認識だと思います。

教育が特別扱いされている分だけ、子供の頃にすごく著作権に関して緩い意識から子供時代をスタートしてしまう。そして、緩い状態の先生に教わるというところからスタートするので、なかなかそこからの復帰ができないという、大人になって一生懸命周知・広報しても難しいというところがあると思います。

だから、教育は本当に必要なので、著作権の中で様々な特例がありますけれども、逆に、これは特例なのだということが、ちゃんと教員、子供、いろんなところで認知されるような、今も教えている人はいるかもしれないんですけど、本当の意味で実効性を持って、一生にわたって理解できるような著作権の認知というのが、若いうちから必要かなと思っております。

これは皆さん、周知・広報が大事だというふうにおっしゃる。それは当然大事なので、具現化してどうするかというところをそろそろ本当に考えないと、ずっと「周知・広報が大事だ」というふうに言っている状態のまま、あまり抜本的な解決にならないという状況が続くように思っておりまして、多くに周知が届かなくなった今、さらにそこは重要かなというふうに考えております。

以上です。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、吉澤委員、お願いいたします。

【吉澤委員】

コンピュータソフトウェア著作権協会の吉澤でございます。1年間ありがとうございました。私のほうからは、本日の議事に対して、事前に十分な時間を取っていただきまして、個別に課長補佐からも御説明いただくなど、細かな対応をいただきまして大変感謝をしておりますので、この場を借りて御礼申し上げます。

それで、当協会ですが、ゲームや出版、並びにソフトウエアの権利者が会員各社となっておりますけれど、コンテンツを世界に売り込むという国家戦略においては、著作権の管理とクリエイターへの分配というのは重要な2つのポイントかなというふうに思っています。

と同時に、コンテンツを増やす環境を整えるということも併せて必要と考えていますので、コンテンツを増やす観点からも、このような適切な対価の分配であるとか、また海外に対するインセンティブ、それから後進のアーティストの育成・支援のための原資をつくっていくこと、これについては、ぜひ今後力を入れてやっていくべきじゃないかと思っています。

著作権の一般的理解の難しさとか侵害対策も含めた教育など、やるべき活動というのはまだまだ多岐にわたっていると思いますので、来年度も引き続きよろしくお願いしたいと思います。

以上です。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

続きまして、吉村委員、お願いいたします。

【吉村委員】

日本映画製作者連盟の理事の吉村と申します。1年間、皆様お疲れさまでございました。

今期に関しましては、レコード演奏・伝達権というものについて集中審議がされて、いよいよこれが導入に至るということで、非常に喜ばしいことだと思います。

政府が掲げる17の成長戦略の中に、コンテンツというものが初めてきちんと明記されて、これを機に、私どもも肌感として、特に文科省さんはじめ国の方々がより一層、コンテンツに対する理解促進や支援というものが強まってきたように本当に感じております。これは非常にありがたいことだと思っております。

このように、レコード演奏・伝達権もそうだと思いますけれども、これから海外に日本のコンテンツが出ていくに当たって、やはり海外に伍して戦っていくということにおいては、法的な面からも、それから経済的な面からも、非常にバランスを取って、平等の立ち位置でやっていくということが大変重要になるというふうに思っております。

そういう意味において、私は現在、CODAという団体の理事長も務めておりますけども、こちらのほうでは別途海賊版の対策ということに、これは経産省さんからも予算をいただきまして事業を行っているんですけれども、これも年々、摘発の額、それから規模が増えてきている状況です。

ただ、やはり海外においても、この著作権に対する意識というのは非常に高まっているということも実感しておりまして、特に中国において、この数年、実際に摘発ができる、立件ができるという事例も増えてきています。これはもう中国政府側が協力をしていただけているということも大きな力になっているんですけども、この動きが、特にアジア各国で横に広がりつつあるということも進んでおりますので、これから日本の作品、コンテンツが海外で広まっていくことにおいて、正当な権利を持って、正当な対価を得て、それをクリエイターもしくは製作者の側に還元する、その上でまた新しい作品を生み出していくという、正の循環というものをきちんと回していけるような形で、これは業界を挙げて、ここにいらっしゃる皆様方も含めて考えなければならないことでもありますし、推進していかなければならないことでもあるかなという、大きな課題であるかなとは思っております。

せっかくの国からの後押しというものをうまく活用させていただきながら、我々、映画制作というものを主業にしておりますけども、日本の映画もアニメだけではなく、海外にきちんと広げていけるような力をつけていきたいというふうに思っております。1年間、本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

委員の皆様、ありがとうございました。私からも、僭越ながら一言御挨拶を申し上げたいと思います。

大変拙い議事進行で、皆様に御迷惑をかけたり、フラストレーションを与えてしまったのではないかと、ここで謝罪いたします。

最初、事務の方からレコード演奏・伝達権をつくるというお話をいただいたときに、権利をつくるということは論理必然的に義務を課すということで、利害が正面から対立するので、どうなることやらと心配をいたしました。

当初はパブリックコメントやヒアリングも通じて、様々に疑問や問題点を感じていらっしゃる方も多かったようですが、事務局の方々の地道な説明、努力に基づきまして、一応皆様方の納得はいただいたのではないかと、事務局の努力には感謝させていただきたいと思います。

とは申しましても、これから3年間、まだ法案は通っていませんけど、通ったとしてそれから3年間、まさに事務局の方々が靴底を減らさないといけない努力が待っているということで、スタートラインと言ってもいい状況かもしれないと思っております。

私としても若干肩の荷が下りたかなという気はしておりますが、まだまだ先が長いと思います。しかも不確実性が増していて、生成AIで一気にゲームチェンジャーということになって、一体これから何が起きるのか分からない、予想できない時代になったなと感じております。私も68歳になりまして、あと何年生きて行けるか分かりませんが、世の中の移り変わりを見据えていきたいと思っております。1年間どうもありがとうございました。

最後に、日向文化庁次長から一言御挨拶をいただければと思います。

【日向文化庁次長】

文化庁の日向でございます。すみません、着座で失礼いたします。

今期の著作権分科会を終えるに際しまして、事務局を代表して一言御礼を申し上げさせていただきたいと思います。

太田分科会長をはじめ委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、この著作権分科会での御審議にお力添えを賜り、誠にありがとうございました。また、本日も著作権を取り巻く様々な貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございます。

委員の皆様方からも触れていただきましたが、現在、政府の日本成長戦略本部におきましては、コンテンツを含む17の戦略本部が設定されております。コンテンツは成長分野として期待されているところでございます。こうした中、時宜にかなう形で、著作権に係る重要施策の御審議をお進めいただいたところでございます。

特に今年度は、レコード演奏・伝達権、今後のデジタル教科書の在り方を踏まえた著作権制度の対応について報告書を取りまとめていただきまして、誠にありがとうございます。長年の課題について検討を進めることができましたのも、ひとえに委員の皆様方のおかげでございます。今期皆様に御審議いただいた内容を十分に踏まえ、速やかに必要な対応を進めてまいります。

改めまして、今期の本分科会の充実した御審議のために多大なお力添えを賜りましたことに感謝を申し上げますとともに、今後もお力添えを賜りますよう、私からの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

【太田分科会長】

ありがとうございます。

それでは、以上をもちまして、第75回文化審議会著作権分科会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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