日時:令和8年8月3日(月)
14:00~16:00
場所:文部科学省東館3F2特別会議室
(オンライン併用)
議事
1開会
2議事
- (1)文化審議会著作権分科会長の選出等について【非公開】
- (2)第26期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について
- (3)小委員会の設置について
- (4)その他
3閉会
配布資料
- 資料1
- 第26期文化審議会著作権分科会委員名簿(195KB)
- 資料2
- 第26期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について(案)(103KB)
- 資料3
- 小委員会の設置について(案)(75KB)
- 資料4
- 「知的財産推進計画2026」等の政府方針(著作権関係抜粋)(3.3MB)
- 参考資料1
- 文化審議会関連法令等(227KB)
- 参考資料2
- 著作権分科会における審議状況と今後の主な課題(令和8年3月27日文化審議会総会資料2)(128KB)
- 参考資料3
- 著作権法の一部を改正する法律(概要)(453KB)
- 資料2
- 第26期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について(91KB)
- 資料3
- 小委員会の設置について(62KB)
資料2、資料3について異議なく、案の通り了承されました。
了承された資料については、以下の通りです。
議事内容
出席者
- ・委員:
- 太田委員(分科会長)、髙部委員(分科会長代理)、上野委員、内山委員、浦川委員、正親町委員、唐津委員、榧野委員、木下委員、草野委員、楠本委員、河野委員、小榑委員、島並委員、千住委員、棚井委員、中川委員、仁平委員、藤﨑委員、前田委員、宮島委員、吉澤委員、吉村委員
- ・文化庁:
- 日向文化庁次長、川上文化戦略官、長谷著作権課長、依田著作権課課長補佐、飯田著作権課調査官、八田流通推進室長、小林国際著作権室長
○今期の文化審議会著作権分科会委員を事務局より紹介。
○本分科会の分科会長の選任が行われ、太田委員が分科会長に決定。
○分科会長代理について、太田分科会長より髙部委員を指名。
○会議の公開について運営規則等の確認。
※以上については、「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十四年三月二十九日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき、議事の内容を非公開とする。
(配信開始)
【太田分科会長】
準備完了のようでございます。傍聴されております方々におかれましては、会議の様子を録音・録画することは御遠慮ください。
では、改めまして御紹介させていただきますが、先ほど分科会会長の選出が行われ、分科会長に私、太田が就任いたしました。また、分科会長代理といたしまして髙部委員を指名させていただきましたので、以上御報告申し上げます。
先ほども少し申し上げましたが、司会というのはどうも苦手でございますので、皆様方の御協力を得て、できるだけスムーズな議事進行をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
また、本日は今期最初の著作権分科会となりますので、議事に先立ちまして、文化戦略官の川上様から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【川上文化戦略官】
川上でございます。本日、次長の日向のほうから御挨拶をさせていただく予定でございましたけども、所用で遅れておりますので、私のほうから、分科会の開催に当たりまして一言御挨拶をさせていただければと思います。
まず、委員の皆様におかれましては、日頃より著作権政策の検討、実施に当たりまして、御協力、御助言をいただいておりますとともに、このたびは、御多用の中、この分科会の委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。また、昨年度のこの分科会において御審議いただき、取りまとめいただいた報告書や関係者の御意見を踏まえまして、レコード演奏・伝達権の導入を内容とする著作権法の一部を改正する法律が、今年の6月に成立・公布をされたところでございます。この場をお借りして御報告申し上げるとともに、これまでの御議論に感謝を申し上げたいと思います。
今期の著作権分科会におきましては、デジタル時代に対応した適切な対価還元に係る基本政策や、それから海賊版対策の強化等について、引き続き御議論いただければと考えております。特に政府におきましては、日本成長戦略の17分野、このうちの一つにコンテンツを位置づけまして、海外展開等を推進することとしております。文化庁といたしましては、特にクリエイター、独創的かつ多様な作品を生み出すクリエイターの皆様が、適切な対価還元を受けつつ、次の創作に打ち込めるような、そういった環境づくりが重要と考えておりまして、そうした環境づくりがクリエイターの新しい挑戦への意欲を喚起することにつながるというふうに考えているところでございます。
委員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門の立場から、社会の要請を踏まえた我が国の著作権制度・施策の課題について、精力的な御議論をお願いできればと思っております。
以上、簡単ではございますけども、私からの挨拶とさせていただきます。今年度も何とぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
ありがとうございました。もし報道関係者がいらっしゃるようでしたら、ここで退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
【太田分科会長】
続きまして、議事2の「今期の著作権分科会における主な検討課題」と、議事3の「小委員会の設置」に入りたいと思います。知的財産推進計画2026等の政府方針の内容及びそれを踏まえた今期の主な検討課題案、小委員会の設置案に関する資料等を事務局に御準備いただいております。
それでは、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【依田著作権課課長補佐】
事務局でございます。資料2から4、それから参考資料の2と3に基づきまして、順に御説明をさせていただきます。
まず資料の2、今期の文化審議会著作権分科会における主な検討課題について、を御覧いただければと思います。この後に各種政策文書に記載されています課題については御説明させていただきたいと思いますけども、今期の著作権分科会におきましては、こちらに記載の課題、大きく2つの事項について検討を行っていただきたいと考えております。
1つ目といたしまして、著作権法関連の基本政策及び国際的な課題に関することでございます。DX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価関係に係る基本政策と、著作権法制度に関する専門的事項及び著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について御審議いただきたいと考えております。
2つ目といたしまして、使用料部会に関することでございます。著作権者不明等の場合における裁定に係る補償金の額など、各種補償金に関して御審議いただきたいと考えてございます。
なお、今後の状況の変化等を踏まえまして、検討課題については、適宜追加、見直しを行ってはどうかというふうに考えてございます。
次に資料の3、「小委員会の設置について」を御覧ください。著作権分科会運営規則に基づき、昨年同様、政策小委員会を設置し、著作権関連の基本政策及び国際的な課題に関して御議論いただいてはどうかというふうに考えてございます。小委員会の構成については、著作権分科会長の御指名により構成することを考えております。
次に、これらの背景としまして資料の4、知的財産推進計画2026などの政府方針における著作権関係事項について御説明をさせていただければと思います。こちらの資料4は、知的財産推進計画2026、それから経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2026、それと日本成長戦略のうち著作権等に関連する事項を抜粋したものでございまして、本分科会や政策小委員会等におきまして、こちらの内容も踏まえて今後御審議を賜れればありがたいと考えてございます。
主な内容を御説明いたします。
まず1ページ目でございますが、知的財産推進計画のうちから、AIと知的財産に関する部分でございます。1ページから2ページにかけましては、AI市場及び研究費の拡大を背景としまして、生成AIが研究開発や、あるいは創作活動、それから事業活動の基盤技術となっている一方で、生成物に対する責任の在り方や学習データの取扱い、生成物と著作権等との関係など、様々な課題が顕在化していることが記載されてございます。
3ページに参りますけれども、国際的にも世界知的所有権機関(WIPO)を中心に継続的な議論が行われておりまして、2026年、本年3月には、AI時代における知財インフラの技術的・運用的課題に焦点を当てたAI Infrastructure Interchangeというものが立ち上がってございまして、世界的な対話が促進されているところでございます。また、国内におきましては、AI法及び基本計画の策定を踏まえて、適切な知的財産の保護と利活用につながる透明性の確保ですとか、コンテンツホルダーへの対価還元、生成AIに関する相談体制等の整備を進めることとされてございます。また、AIと著作権の関係について、3ページの下のほうにございますけども、文化審議会著作権分科会法制度小委員会においての検討結果や、AI時代の知的財産権検討会中間取りまとめなどを踏まえまして、AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護が両立するエコシステムの実現を目指すことが示されてございます。
5ページまで飛んでいただきまして、具体的な施策の方向性でございます。まず、法・技術及び契約の各手段を組み合わせながら取組を進め、必要なガイドライン等の更新、周知を行うこと。また、文化庁と経済産業省の下開催しています「AIと著作権に関する関係者ネットワーク」のように、関係当事者間のコミュニケーションを促進すること。また、「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」を制定することなどが掲げられてございます。また、令和7年度補正予算において措置されましたクリエイターへの対価関係に向けた著作物等データの流通促進に係る環境構築事業を始めまして、クリエイター等への対価還元に向けた環境構築を促進することや、生成AIによる要約サービスと技術的措置との関係整理などについても記載をされてございます。
8ページに参ります。次に、知財創造教育及び著作権の普及啓発に関する事項でございます。計画の中では知財教育の推進に取り組むということにされてございまして、著作権制度に関する一般的な知識のみならず、社会の動きやデジタル技術と著作権との関係も含めた普及啓発を進めることとされてございます。
8ページの下から海賊版対策について、でございます。計画の中では、デジタル化及びネットワーク化の進展に伴いまして、我が国コンテンツの著作権侵害が国境を越えて拡大していることが示されてございます。特にサイト運営の匿名化、ドメインホッピングなどにより、これまで以上に手法が巧妙化し、サイト運営者の特定が困難となっている状況が指摘されてございます。また、被害状況でございますけども、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の推計として、日本発コンテンツのオンライン海賊版被害額が5.7兆円、偽キャラクターグッズ被害額が4.7兆円、合計約10.4兆円とされてございまして、被害の深刻さが示されてございます。また、9ページでございますけども、漫画などの海賊版サイトについては、対策の進展によりアクセス数が減少した面もあるものの、依然として被害が存在していると。加えて、10ページでございますが、海外発の海外向けの海賊版サイトによる被害が拡大しておりまして、特にベトナム及びインドネシアへの対応強化の必要性が示されてございます。
13ページまで少し飛びまして、具体的な施策でございますけども、計画の中では、インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表に基づきまして、また、民間の主体的な取組を支援するという観点から、海賊版等対策官民実務者級連絡会議における情報共有等を通じて、総合的な対策を推進することとされてございます。また、AIを活用した海賊版検知システム、これを活用しまして、被害の状況調査、あるいはシステムによる権利行使の自動化について検討するということも記載されてございます。それから、検索サービス事業者における検査結果表示の削除または抑制、あるいはCDN事業者といった民間事業者との連携、あるいは国際会議の場を活用した働きかけなど、幅広い施策が示されてございます。13ページの下から2つ目のポツでは、特にベトナム及びインドネシアの対策強化ということも記載をされてございます。さらに14ページにかけましては、関係省庁、官民が協働した国際的な協力体制、コンソーシアムの下、権利者による円滑な権利行使が可能な環境の整備でございますとか、14ページに入っては、国際執行の強化あるいは国際捜査協力の推進、海外における権利行使の支援の充実、現地対応拠点の活用などの取組も盛り込まれているところでございます。
次に15ページから、知的財産権の紛争解決に関連する事項でございます。15ページ以降では知的財産権関係訴訟の状況などのデータが示されておりまして、具体的な施策として、18ページでございますけども、集団的・組織的な権利行使を可能とする仕組みや、損害賠償制度を含む民事救済措置の在り方などについて幅広く検討するということが示されてございます。
続いて19ページから、コンテンツ戦略の推進でございます。こちらの中では、日本発コンテンツの海外市場規模について、2033年までに20兆円とする目標が従前から掲げられているところでございますが、21ページにありますとおり、コンテンツ分野官民投資ロードマップというものが作成されてございまして、特にゲーム、アニメ、漫画、音楽、それから実写の分野について海外展開の拡大を図ることとされてございます。また、22ページにございますように、コンテンツ分野については、作品の制作支援ですとか流通網の整備、ローカライズ支援といった海外へのビジネス展開力の向上とともに、23ページに参りまして、知的財産の多元化や生成AIなどに対応したビジネス構造改革の推進として、例えば公正取引委員会などのガイドラインなどの環境整備、また、23ページの知財の多元化のところで下のほうから、レコード演奏・伝達権に関して着実な運用など、著作権制度に関連する施策も盛り込まれているところでございます。
少し飛びまして28ページでございますけれども、具体的な施策といたしまして、デジタル時代に対応した対価還元ということで、28ページの下から3つ目の黒ポツでございますけども、コンテンツ配信プラットフォームなどの役割ですとか、競争政策などの諸政策を踏まえて適切な対価還元方策について検討するということでございますとか、その下のポツでは、デジタル時代に対応したコンテンツ創作の好循環ということで、本年4月に施行されました改正著作権法による未管理著作物裁定制度の着実な運用を図るということでございます。またあわせて、分野横断権利情報検索システムや、個人クリエイター等権利情報登録システムの活用を促進し、権利処理の円滑化を進めることとされてございます。
また、30ページまで、すみません、その間に人材育成ということもあるんですけども、30ページのほうでは、これも下から4つ目のポツでございますが、著作権契約書作成支援システムや契約マニュアルの見直し、それから、クリエイター支援のための相談窓口の検討というのが下から3つ目のポツなどでも盛り込まれてございます。
また、31ページでございますけども、放送コンテンツの製作取引のさらなる適正化、それが上から3つ目です。それから、上から5つ目のところですと、映画・アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る指針の策定、そういったことの記載もされているところでございます。
32ページですが、少し変わりまして、デジタルアーカイブでございます。この計画の中ではデジタルアーカイブの推進ということで、32ページの上から3つ目ですけども、「デジタルアーカイブ戦略2026-2030」ということで、ジャパンサーチを中核としたデジタルアーカイブの推進。それから、その下のポツにもなりますけども、漫画、アニメ、ゲーム等の保存及び利活用を促進するということが記載されてございます。
34ページに参りまして、骨太の方針2026でございます。まず34ページの中では、この後少し御説明しますが、成長戦略の中の17の戦略分野について着実に実行していくということと、35ページに参りまして文化芸術・スポーツの振興ということですが、コンテンツ政策、文化芸術政策の一環としまして、クリエイター育成の推進などに加えまして、海賊版対策を抜本的に強化するということが記載されているところでございます。
36ページでございます。こちらが日本成長戦略の記載でございます。日本成長戦略では17の戦略分野に関して官民投資を促進するということになってございます。その17のうちの一つがコンテンツということでございまして、こちらにも書いてございますように、作品の製作、人材育成、流通網整備、それから海賊版対策、そして対価還元、こういったことを総合的に推進するということでございます。ゲーム、アニメ、それから37ページに参りまして、漫画、音楽、そして次の38ページには実写ということで、5つの分野がさらに挙げられてございまして、それぞれ収益還元であるとか、あるいはローカライズといった流通関係の支援、そういったことに加えまして海賊版対策が全体として重視されているところでございます。また、音楽分野に関しては、レコード演奏・伝達権の着実な導入ということも盛り込まれているところでございます。
具体的なロードマップにつきましては39ページ以降に掲載をしてございまして、内容は少し割愛させていただきますけども、適宜御参照いただければというふうに思います。
以上がこちらの資料に記載されました著作権関係の主な内容ということでございます。残りの参考資料についても簡単に御紹介させていただきます。
参考資料の2を御覧いただきますと、昨年度の著作権分科会における審議状況をまとめたものでございまして、昨年度、使用料部会では、未管理著作物裁定制度の施行に向けた準備ということでも御議論をいただきました。また、政策小委員会におきましては、レコード演奏・伝達権について御審議をいただき、報告書の取りまとめをいただいたほか、デジタル教科書の在り方を踏まえた著作権制度への対応についても御議論いただきまして、その後、こちらのデジタル教科書についても、さきの特別国会におきまして学校教育法等の一部改正法が成立いたしまして、著作権法も併せて改正されたところでございます。
続きまして、参考資料の3でございますが、著作権法の一部を改正する法律ということで、さきの特別国会で成立をいたしましたものでございます。レコード演奏・伝達権の整備を内容とする法律でございまして、こちらも改めまして、皆様に御審議、御協力をいただきまして誠にありがとうございました。
事務局からの説明は以上でございます。
【太田分科会長】
どうもありがとうございました。個人的なことを申し上げますと、我々大学で教育をしている者から見ても、ありとあらゆるところで生成AIが、よい面でも悪い面でもゲームチェンジャーとなっているわけですが、大変盛りだくさんな内容、ありがとうございました。
次に、ただいまの事務局の説明を踏まえ、小委員会の設置につきましては、資料3のとおり、分科会の決定とさせていただきます。
それでは、今期の分科会の第1回ということで、先ほどの事務局からの御説明にありましたように、検討課題も参考にしつつ、出席委員の皆様から、今期の著作権分科会に向けた抱負や今後議論していきたいことなどについて御発言をいただきたいと思います。時間の都合で、大変短い時間的制約となりますが、1人当たり二、三分程度で、簡潔に御発言をお願いいたします。
お名前の五十音順で指名させていただきます。ただし、内山委員と中川委員が15時頃に中座されるとの予定を伺っておりますので、内山委員及び中川委員から先にお願いしようと思います。
まずは内山委員、お願いいたします。
【内山委員】
青山学院の内山でございます。すみません、3時で失礼させていただきますので、申し訳ございません。ちょっと何年目になるか分からないですけど、ここ数年、ずっとこの委員会でお世話になっております。
大枠で言うならば、適切な対価還元というところが多分、私、近いところかと思います。昨年度は伝達権の件もありましたけれども、ぜひお考えいただきたいこと、お考えというか、考慮いただきたいとことは何かなというふうに言うと、確かに対価還元というお金の問題というのはもちろん重要なのですけれども、果たしてそれだけでよいのかなという気はします。お金に伴って様々な事業リスクのシェアってどうなっていますかという話、特にこういった権利者側が集まっていると、あまりリスクをシェアするということの感覚が弱い感じはいたしております。それから、対GAFAみたいな話になってきますが、プラットフォーマーということになりますけれども、お金以外にも情報のシェア、つまり自分の作品、コンテンツあるいは著作物が何がしか使われた際に、それがどういうふうに使われたかということについての正確な情報のシェアということに関して、ちゃんと交渉のテーブルにのっかっていますかと。あるいは、それも含めた上での対価還元という議論ができていますかどうですかということは、もう少し幅広く視野を広げていかないと、単にお金だけで収斂させてしまうとよろしくないじゃないかなという思いは常々持っております。
今回、政府というか官邸が、ものすごく高い目標を掲げております。あまり現実的だと私は思っていないのですけれども、ただ、その高い目標を掲げている以上、相当に気張って外貨獲得していかないと達成できない話なので、単にお金云々ということではなくて、もっとそのお金を裏側で支えている情報とか事業リスクということに関してどう契約の中でシェアしていくかということは考えるべきかなというふうに思っている次第でございます。
以上でございます。
【太田分科会長】
ありがとうございました。
続きまして、オンラインの中川委員、お願いいたします。
【中川委員】
ありがとうございます。弁護士の中川でございます。よろしくお願いいたします。ふだんは著作権を中心とする知的財産関連業務や、コンテンツ業界に関連する業務を主に取り扱っております。昨年は法制度に関するワーキングチームに所属して、レコード演奏・伝達権などの検討に加わらせていただきました。改正法が無事に成立しましたので、今後は制度の円滑な導入に向けた取組が重要になるものと考えております。
先ほど事務局からも御案内いただきましたとおり、我が国はコンテンツ産業のさらなる発展を目指すという方針を掲げております。そのためにも、私はやはり権利者に適切に対価が還元されるということが非常に重要であると考えております。適切な対価の還元は、コンテンツ産業を支える人材の育成や拡大といった観点からも非常に重要であると考えております。そうした観点を踏まえましても、海賊版は適切な対価還元を損なう最たるものでありまして、あらゆる手段を通じて効果的な対策が継続的に講じられていく必要があると考えております。
著作権法では、常に保護と利用のバランスの重要性が指摘されます。著作物が円滑に利用されることも、また非常に重要だと考えております。著作物の円滑な利用を損なわない形で、いかに権利者に適切に対価を還元して次の創作につなげていくか、そうした観点を常に意識しながら今年も検討に参加させていただければと考えております。
私からは以上でございます。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
ネット回線の調子が少し悪いようですので、再調節をお願いしたいと思います。しばらくお待ちください。
では、回線もつながったようですので、お待たせいたしました。
上野委員、お願いいたします。
【上野委員】
今年度より分科会に参加させていただくことになりました日本新聞協会の上野と申します。一言御挨拶申し上げます。
先ほど来お話がありますけれども、私どもの最大の関心事の一つは、やはり生成AIでございます。生成AIをめぐっては技術や市場の変化が大変早く、近年特に検索拡張生成、いわゆるRAGを使ったコンテンツ利用が急速に広がっています。このAIの分野は、技術の進化のスピードが速いだけに、継続的な検証やアップデート、今後の法制度改正も含めた検討を続けていくことが重要ではないかと考えております。とりわけ報道機関にとっては、時間とコストをかけて生み出したコンテンツが、どのように使われ、どのように評価され、その保護をどう確保していくかということは、日々の取材活動を支える基盤にも関わる問題だと受け止めております。
現在、国内外ではパブリッシャーなどの権利者とAI企業の間で訴訟が起きる一方で、ライセンスをめぐる技術の仕様や条件表示の標準化などに取り組む動きもあります。また、国内では、ニュースコンテンツ配信分野に関する公正取引委員会の調査、内閣府でのプリンシプル・コード策定の検討など、様々な動きが進んでいると承知しております。こうした動きにも期待しているところでございますけれども、AIとコンテンツホルダーをめぐるエコシステムがうまく機能するためには、まだ多くの課題があると感じています。
重要になるのはやはり、透明性と権利者の意思の尊重、そして先ほどの御説明にもあった適切な対価還元、この3つをいかに実効性のあるものにしていくかだと考えております。情報のシェアというお話もございましたけれども、やはり利用の実態が見えなければ、適切な評価や交渉が難しくなります。また、オプトアウト尊重のように、権利者の意思が十分に反映される基礎がなければ、安心してコンテンツを提供できる環境にならず、健全なライセンス市場の形成も進まないと考えます。そして適切な対価還元は、言うまでもなく、質の高いコンテンツの継続的な創作や流通を支える基盤でもあります。この分科会でも、こうした観点から建設的な議論が進むことを期待しております。
簡単ではございますが、一言申し述べさせていただきました。今年度、どうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
続きまして、オンラインの浦川委員、お願いいたします。
【浦川委員】
浦川でございます。私も今期から就任いたしました。よろしくお願いいたします。
私の自己紹介を兼ねてですが、名簿に記載のあるように、IP展開局という組織名になっております。これまで知財センターという名前だったのですが、IPということで、NHKのコンテンツ、知的財産を展開していくというような部署に7月から変わりました。テレビだけではなくて、配信、イベントなどを展開して、より一層NHKに親しみを持ってもらうというような部署になっております。私は、もともと番組編成という仕事をやっていたので、著作権はプロではなく、詳しくないのですが、御発言できればなというふうに思っております。
御存じのとおり、テレビ局は、音楽や脚本、実演といった著作物を使うという利用者側でもあるので、コンテンツ展開のための権利処理の円滑化、非常に重要だと思っておりますし、実演家、脚本家などの皆様を支える対価の還元、非常に大切だというふうに思っております。またその一方で、我々が作った番組、コンテンツ自体が著作物ということでありますので、本当に海賊版は、2次展開する上での大きな妨げというふうになっております。先日の熊本地震においては、NHKのロゴを使ったフェイク動画みたいなものも出てきております。AIのところも注意しながら、海賊版の対策もしっかり検討していかなければならないなと思っております。
私、この分科会、どこまでお役に立てるか分かりませんが、精いっぱい務めたいと思っておりますので、何とぞどうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
続きまして、正親町委員、お願いいたします。
【正親町委員】
経団連の正親町です。コンテンツ産業につきましては、先ほど川上様からもお話ありましたとおり、政府の17の戦略分野にも選ばれ、ますます注目を浴びているかと思います。日本成長戦略でも、基幹産業として2033年に海外売上げ20兆円を目指すべく、官民連携した一気通貫の支援体制を構築すると明記されまして、経団連としても強い期待を寄せております。我々の内部でも、様々な企業のトップがコンテンツ産業の可能性について言及される機会がとても増えてまいりました。関係のない会合でも、今までコンテンツ産業に関わっていらっしゃらなかった企業の方からの発言も相次ぐようになってきまして、雰囲気が大きく変わっていることを感じております。
本分科会に関しまして、我々が特に注目しておりますのは、引き続き、海賊版対策でございます。これまでも様々支援をいただいてきましたが、今回は骨太方針にも海賊版対策の抜本的強化と明記されまして、成長戦略、知財戦略においても、関係省庁がそれぞれの強みを生かした施策を打ち出されていること、大変ありがたく思っております。海賊版被害が依然深刻な中で、その対応には、早急に取り組むべきものと、ODAの活用といった、相手国の体制強化につながる取組といった中長期の視点で戦略的に取り組んでいただくべきもの、いずれもあろうかと思いますが、そうした分野は政府ならではの取組が期待されるところだと思います。ぜひ著作権課の皆様には、関係省庁と連携の下、必要な予算をしっかり確保いただいて、今後の施策を進めていただければと思います。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、唐津委員、お願いいたします。
【唐津委員】
弁護士の唐津でございます。よろしくお願いいたします。昨年度は政策小委と、それから使用料部会のほうで活動させていただきました。政策小委員会のほうでは、先ほど来話に出ていますレコード演奏・伝達権の創設ということについて議論に参加させていただきました。新しい権利が著作権法に加わるのは非常に久しぶりということで、得難い経験をさせていただいたと思っております。使用料部会のほうでは、未管理著作物の裁定制度に向けた取組について活動させていただきました。
現時点で特に関心があることとしては、やはりもちろんAIなんですけど、AIがいかにクリエイターあるいはアーティストとうまく共存していけるのか、今非常にその意味では重要なところに立っているのではないかなというふうに考えております。つい先日も法務省が、肖像と声の無断利用に関する民事責任についての報告書の案ということで公表しまして、間もなく決定版が報告されるというふうに伺っておりますけれども、やはりAIの技術があまりにも速く発展してしまって、恐らく、ここでこういうことを言うのはどうかと思うんですけども、立法で対応するには、あまりにもAI、そのほかの技術の発展が速過ぎるというふうに感じております。AIばかりが発展して、気がついたらクリエイターやアーティストが生まれなくなってしまう、そういったことが起きないためにも、どういったルールの下で発展をしていくのかということを、今考えなくてはいけないのではないかと思っております。先ほど立法では間に合わないのではないかという話をしましたけれども、例えば、公取が公表したような契約に関する指針ですとか、それから契約ですね、契約をどのように持っていくのか。あるいは業界団体と利用者側の話合い、そういったものを様々組み合わせて対応していくことが重要なのではないかなというふうに思っております。
私自身は、通常の業務としてはアート、メディア、エンタメ関係のお客様の仕事、御相談を受けることが多いんですけれども、もう一つ、SARTRASさんの共通目的基金の支援を受けまして、CRIC、著作権情報センターが実施している教育関係者への著作権セミナーの実施ということをお手伝いさせていただいております。本日の資料の中にもちらっと書かれていたんですけれども、初等中等教育における知的財産権の理解、あるいは文化体験、創造活動をしてもらうということの重要性は非常に高いというふうに考えております。
海賊版対策の話が先ほど来出ていますけれども、結局、「ただであれば、ただで見たい」という人がいる限り、どこまでいっても海賊版対策というのはいたちごっこになるのだろうなというふうに思っております。もちろん対策はしなくてはいけないわけですけれども、少し遠回りではありますけれども、ただだからといって海賊版を楽しむというのはいけないことなんだという意識を子供の頃から持ってもらうことが一番の対策なのではないかというふうに考えておりますので、そちらの教育関係のほうも続けていけたらなと思っております。本年度もよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの榧野委員、お願いいたします。
【榧野委員】
日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター、芸団協CPRAの榧野と申します。前期からお世話になっております。前期は政策小委員会に参加させていただきました。先ほど来御紹介ございましたとおり、レコード演奏・伝達権について前期集中的に御審議いただきまして、無事改正法が成立いたしました。この点につきまして、実演家の団体を代表しまして、改めて皆様にお礼申し上げたいと思います。先ほど紹介のあった政府の方針でも、レコード演奏・伝達権の着実な導入ということが各所に書かれていると思います。この点につきまして我々としましても、レコード協会様、関係団体様と協力して、特に利用者の方と丁寧な対話をしつつ、着実な運用に向けて進めていければと思っております。
私どもの関心としましては、先ほど来皆様から出ているのと同様で、デジタル時代の適切な対価還元というところでございます。皆様からの御意見を伺っていて、確かに透明性とか権利者の意思尊重、そういったところも併せての対価還元というのが非常に大事だなと感じました。先ほど御紹介のあった声の無断利用を巡る議論でも、ちょっとこれは著作権ではないんですけれども、西友の皆様からは、御自身の意図していない使われ方をすることへの懸念の声が挙がっています。そういったことも含めての適切な対価還元の在り方を御検討いただければなと思っております。
あと海賊版対策についても、生成AIがこれだけ普及しますと、手軽に海賊行為ができてしまうということで、これまでにないほどの海賊行為の多様化や手軽さといったところも出てきておりますので、やはり意識啓発と権利行使といったことをセットに、適切な海賊版対策を進めていただければと思っております。
以上でございます。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
続きまして、木下委員、お願いいたします。
【木下委員】
はじめまして。今回から参加させていただきます、日本書籍出版協会から参りました木下と申します。私はポプラ社という出版社の一社員でして、これまで著作権周りの実務をしておりました。現在は海外版権の部署で、外国の出版社様と契約交渉をしております。また、対外的にはSARTRASに出版教育著作権協議会の運営委員として、またSARTRAS監事として、微力ながら参加させていただいております。
このように、実務上、対外上、著作権に深く関わるようになって思うのは、出版社は著作権者ではないということです。もちろん出版社が著作権者であることもありますけれども、多くの場合、出版社は著作権者様からお預かりした著作物を出版させていただくだけと言えば、だけです。出版社が著作権に関する問題にあれこれと主張すると、権利者でもないのになぜという目で権利者の方たちから見られてしまわないか、私は少し気になってしまいます。それでも出版社にも影響があると思う問題については、著作権者様と共にしっかりと声を上げさせていただきたいと思います。
まず海賊版については、今年度の知財計画にもはっきり盛り込んでいただき、国として今後、国内外の取組をさらに強化すると伺っております。我々出版社としても大変心強く、ありがたい思いです。感謝申し上げます。そして、これは前回の審議会でも出版社として申し上げておりますけれども、著作権法第121条についても、せっかく紙の書籍でなりすましは駄目と決めているので、そこに電子書籍、電磁的複製物の公衆送信もなりすましは駄目と加えるのが今の時代に合うと考えます。確かに他人になりすます行為は、不競法や民法等で罰することができるかもしれませんが、著作権に関することは著作権法で、駄目なものは駄目とはっきり言えるように、せっかく121条がありますので、何かの折でも構いませんので、ぜひ一言ちょっと文言を付け加える改正を御検討いただけないか、再度のお願いとなり恐縮ですが、発言させていただきました。出版社としても、この問題については実態をさらに把握してまいりたいと思います。
また、最後にもう1点、唐津委員もおっしゃっていましたけれども、誰もが創作者となる現在、著作権法について学ぶことはとても大事だと考えます。大分以前にCODA様のフォーラムで、韓国の著作権保護のための教育啓発活動についてお話を伺ったんですけれども、韓国では小学低学年のうちから、年間何時間と決めて著作権教育をされているとのことでした。最近では著作権の出張授業も増えていると思いますけれども、日本でも子供のうちから著作権について学校で教える機会がもっともっと増えていくことで、日本の著作権が守られ、さらに発展させていく強い土台になるといいなと思っています。ありがとうございます。これからよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、草野委員、よろしくお願いいたします。
【草野委員】
よろしくお願いします。草野絵美と申します。現代芸術の分野で、アーティストとして活動しています。私は、生成AIを使った作品を国内外で発表しております。主に80年代、90年代の日本の若者文化を題材にすることが多く、制作では自分自身の顔や身体を学習させたモデルを使っています。M+ミュージアムやアートバーゼルなど、海外での発表も続けており、作品が国境を越えて流出するときの権利の課題は日々実感しているところです。もともとは音楽活動から出発し、2021年からNFTをきっかけに、デジタルアートの領域で活動しています。今期で4年目の参加になります。よろしくお願いします。
私の立場としては、クリエイターの権利はきちんと守られるべきだというものです。ただ一方で、権利の保護の仕組みが強くなり過ぎて、新しい創作そのものができなくなることに対しても大きな危機感があります。私自身は生成AIを使って作品を作り、そのモデルには自分の顔、体、自分が撮影した写真などを使っているんですけど、AIを使う側であり、学習される側の当事者でもあるので、その両方からの立場で議論ができればと思います。
制作の中で感じてきたことは、AIで日本文化を表現しようとしたときに、うまく再現されず、西洋的なイメージに変換されることが結構あるなというふうに感じています。例えば原宿の町並みを表現しようとしても、少し中華的になってしまったり、日本のちょっとステレオタイプな絵柄になってしまったりということがあって、学習データの偏りと、やはり主に私たちが使っているプラットフォームが英語圏を中心に設計されているという問題もあるなというふうに感じています。
日本の表現は世界中では非常に価値が高く、多くの、例えばワールドカップが行われたときに、メッシとヤマルの日本のアニメ風のものが世界中で出回ったり、日本的な表現というものは何か皆さん結構使っていると思うんですけど、そこで盗用されないように、日本の文化を正確な文脈とともに伝えていくという公共基盤が必要なんじゃないかというふうに感じています。それは画像を大量に公開するだけではなく、どんな背景で生まれたかという情報も含め、誰もがアクセスしやすく、学べるようにするということが重要なんじゃないかなと思っています。特に、今期はデジタルアーカイブ戦略5か年政策が始まったと伺っています。その基盤が非常に期待しております。
一方で、特定の作家の作品や作風が誰のものか分かる形で利用される場合には、本人がコントロールできる必要があると感じています。いわゆるジブリ風、誰々風という生成に関しては、本人の許諾、クレジットの明示、使用料、この3点がそろうライセンスの仕組みを整えることに私は賛成します。作風を今後もしかしたら提供したい作家だったり、利用したい側の市場が生まれれば、新たな2次創作の開放の、新しいビジネスにもなり得るかなというふうに思っています。プリンシプル・コードの検討がその方向に進むことを期待しています。
線引きの一つとしては、生成された結果に元の作家の作家性が識別できる形で残っているかどうかだというふうに私は考えます。やはり1人の作家の特徴が明確に見える、依拠性というふうに言いますけど、見えるものでしたら許諾が必要。ただ、多数の影響が混ざり合って識別できないものになる場合は、また扱いも変わってくるのかなというふうに思います。そして、議論にも上がっていた顔や声などはパブリシティー権にも関わってくると思うんですけど、さらに強い保護が必要になるかなと思います。それは人格と信用に直結しているからです。
文化資料は閉じるのではなく、文脈とともに開く、私は権利保護かAIかの二者択一ではなくて、両方を同時に可能にする制度はどんな形か、その問いを持って今期に挑みたいと思います。よろしくお願いします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、楠本委員、お願いいたします。
【楠本委員】
レコード協会の楠本でございます。私も昨期は政策小委員会のほうにも関わらせていただきました。私からは2つ、お話をさせていただきます。
まず1つ目は、もう皆さんから出ておりますが、昨期集中的に御審議いただきましたレコード演奏・伝達権について、先の特別国会において無事可決、成立いたしました。アーティスト、それからレコード製作者を代表する団体の者として、改めて深く御礼を申し上げます。
それから2つ目ですが、恐らく今期の中心的なテーマになっていくであろう海賊版対策です。特に知財計画2026において、ベトナムやインドネシアといった具体的に国名が挙がった国々への対策が進んでいくものと期待しております。特にこれまで日中の著作権協議(政府間協議)ですとか、先月にはベトナムとの日越の著作権協議といった政府間での意見交換があるというのは、非常に我々民間にとってはありがたいことです。そういったようなところを活用させていただいて、ちょっと言い方が良くありませんが、どこに目詰まりがあるのか、何で対策が進んでいかないのかといったようなところは、そうした政府の皆様方の直接相手国の政府との協議の場で取り上げていくことが非常に有効なのではないかなというふうに考えております。
また、先ほど唐津先生からも出ておりましたが、著作権教育というのは、改めて言いますが、非常に大事だと思います。実は音楽分野で私はもう15年ぐらい、インターネットが急速に発展した中で海賊版対策をやっておりますが、初期の頃、発信者情報開示請求をやりますと、一番幼い子供ですと中学生ぐらいが特定されることがありました。なかなか刑事事件化ですとか損害賠償請求といったところへは難しい相手も開示されることがありましたが、今は残念ながら、四、五十の中高年が沢山あぶりだされます。これが教育だと思います。今のデジタルネーティブの子供たちは若い頃から、生まれた頃から、当たり前のことですけど、お金を払って著作物を利用する、すなわち著作権という言葉を知って育ってきています。しかしながら、残念ながらそこに行き着いていない中年、あるいは中高年と申し上げましょうか、自分もその年層に入ってまいりますが、彼らが未だ著作権を守ることができないということが日本国内における実態です。恐らくアジア諸国においては、残念ながら、生まれたときから、ただ(無料)で、あるいは違法で海賊版を視聴するといった環境の中で育ってきた子供たちが多いのではないかと思います。そういったところへ視点を当てた施策が、日本側から友好国であるアジア諸国に発信できればいいんじゃないかなというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
次に、オンラインの河野委員、お願いいたします。
【河野委員】
日本消費者協会の河野でございます。本年も著作権分科会に所属し、議論に加わらせていただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。
この間、著作権分科会においては、従来から宿題として整理が求められていた各種課題について本当に精力的に検討が行われ、クリエイターの保護や円滑な対価還元の在り方について、法改正も含めて着実に進捗が図られていると認識しております。今回資料4として御紹介いただきました国の各政策は、日本のコンテンツ産業に対して、もっともっと頑張れ、もっともっと稼げというエールにあふれた内容だと思いましたが、その中で、消費者として3点、関心があるところを申し上げたいと思います。
まず、ほかの委員の方も発言されていますけれども、AIと知的財産権に関して、です。簡単に答えが得られる問題ではないことは分かっていますし、考え方の整理は進められていますが、ではじっくり構えていていいのかというと、そうではなく、AI技術やデジタルネットワーク構造などのスピード感ある進化と、それがもたらす大きな利益の配分に対して、やはり現実を直視して、早期に一定の方向性を示すという姿勢が大事なのではないかと考えます。国の方針にあるとおり、AIに関してイノベーション促進とリスク対応の両立に対しては、連携・協働して知恵を出し合う基盤としてのステークホルダーを広く想定して、しっかりと対応してほしいと思っています。
2点目は、レコード演奏・伝達権を着実に社会実装することと併せて、デジタル化、ネットワーク化の進展に伴って、従来とは異なる産業構造に変化しつつある漫画、アニメ、ゲーム、映画など、日本の魅力あるコンテンツにおいても、レコード演奏・伝達権に準じるような権利関係の再整理等を行うことで、持続可能な対価還元の仕組みを整えてほしいと思っています。
最後に、創作活動を安心して行い、また他人の作品も適切に利用できるような環境整備のために、クリエイターを含む全ての国民が日常的に著作権を意識できるように、広く国民に向けた講習会や、SNS等を通じた著作権に関する積極的な普及啓発活動にも期待します。当然のことながら、先ほど御発言にあった著作権教育もしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
【太田分科会長】
ありがとうございました。
続きまして、小榑委員、お願いいたします。
【小榑委員】
今回の分科会から初めて参加させていただきます日本映像ソフト協会の小榑と申します。よろしくお願いいたします。
まず、私の個人的な自己紹介になりますけれども、私自身が所属している企業では、アニメや映画、映像、音楽のコンテンツ事業を生業にしておりまして、そこで法務と人事のほうを私が管掌しております。私自身、10年ほど前まで、映画とかアニメ、こういったコンテンツの衣つきの制作の現場におりまして、製作委員会の組成であったりとか、著作権者様との契約とか、あと配分などの実務を経験してきました。そうした業務の中で、知財から得られる収益とか権利というものが、次のまた新たな事業を生んだり、また、そこに関わったクリエイターの皆様や制作現場の皆さんが、そういった人材が次の創作活動につなげていけるかという、極めて重要な基盤であることを痛感しておりました。また、日本映像ソフト協会に関しまして、私の所属している企業を含む様々なコンテンツの企業が加盟しておりますけれども、先ほどから出ておりますように、AIの登場や、それからグローバルの戦略などで、大きく環境が変化しております。そういった意味でも、映像ソフト協会としても、この会は非常に有意義な会であると認識しております。
中でも海賊版対策、違法配信対策に関しては、引き続きになりますけれども、非常に関心が高い事項になっております。海賊版の被害に関しては極めて深刻な被害がまだ続いているという共通の認識でいらっしゃると思いますし、先ほどいただいた資料の中には損失金額、コンテンツ全体で10兆円を超える損失金額があるというふうに記載がございましたけれども、この金額が日本のクリエイターの皆さんやコンテンツ業界に還流されれば、日本のエンタメの国力が上がることは間違いないというふうに思っております。そういった意味で、私自身のコンテンツ企業の視点や映像業界全体としての視点を踏まえて、この会に貢献できるように、しっかりとやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの島並委員、お願いいたします。
【島並委員】
神戸大学の島並でございます。昨年度に引き続き、本分科会に参加させていただきます。
今期の検討課題として、DX時代に対応した著作物の利用円滑化、権利保護、そして適切な対価還元に係る基本政策が掲げられております。これら基本政策の実現に向けて、著作権法自体はもちろんですが、さらには関連諸法や技術、契約、そして著作権思想の普及活動等の各手段をどう組み合わせて、制度全体の均衡をいかに保つかがますます問われているものと受け止めております。私自身は著作権法の理論研究を専門としておりまして、とりわけ排他的な権利と金銭的な請求権をどのように設計し使い分けるかという、制度設計の問題に関心を持ってまいりました。先般成立いたしましたレコード演奏・伝達権は、まさにこの観点から重要な一歩であり、円滑な施行と運用の定着にも引き続き関心を寄せております。技術環境が激しく変動する中で、クリエイターへの適切な還元と文化の発展とが両立する制度の構築に、理論面から微力ながら貢献できればと考えております。
という挨拶文を、実は先ほどAIが考えてくれました。そんな時代の著作権法の在り方を、私も1人の利用者として、そして研究者として真剣に考えてまいりたいと存じます。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの千住委員お願いいたします。
【千住委員】
千住でございます。私、作曲家でございます。アカデミックな作品も書いているのですが、でも仕事のほとんどがエンターテインメントで、まさに今ちょうどはやっているドラマであるとか、来年発売の大きなゲームであるとか、アニメであるとか、そういうものを書いて、創っている側でございます。この分科会、前回に続きまして参加させていただきます。クリエイターが数人、草野さんとか棚井先生とかいらっしゃると思いますが、やはり私どもはクリエイターの立場から、この問題を解決あるいは審議していくべきだと、そういう皆さんからの代表だと思って参加しなければいけないと思っています。
例えば、今私が作っているゲームもアニメも、それからドラマも、次、どのようなデジタルプラットフォームであるとかソフト、ハードができるかということによって、現場のカスタマーたちの流れによって、作るソフトが変わってくる、あるいは納品するスタイルが変わってくるということがありまして、まさに日進月歩、後づけでどんどん、今まで使っていたデータが使えないとかそういうことになってきて、まさに生き物だなと思っています。
そういう中で我々は確かに、先ほど草野さんがおっしゃった、決まりが強くなり過ぎてクリエーションが成り立たないという部分も出てきました。アメリカのアーティストと昨年、仕事をしたんですが、我々日本に比べて、アメリカ、むしろハリウッドのミュージシャンたちは非常に自由な発想で、これはやらないほうがいいんじゃないかみたいな、いわゆるサンプリングをすることとか、そういうことですけども、まさにクリエイターに対する縛りはあまり感じなかったので、これは非常に自由だなと思います。
現実僕は、クライアント、頼まれる発注側、映画であるとか、ミュージカルも中国で作りましたけども、それぞれ契約書が違う、その契約の中でやっていくのですが。しかし、僕は日本人であり、日本の団体にも属して、そのルールというのは非常にストリクトで、強いものです。だから、ここはちょっとできないよといったりとかいうことによって、やっぱりハンデを覚えてしまうということが出てきています。その部分をいわゆる法律で決められる以前に、我々がある程度守らなきゃいけない部分だと思っています。
このように言葉にできる著作者というのは数少なくて、先ほどちょっと、木下さんですか、著作権者本人でないのに出版社はという話がありましたが、多くの著作権者は声が出せません。出版社と契約をして、出版社はその出版権者の声となっていただくためにお任せしているというところがあるので、どうぞしっかりと自信を持って向かっていただきたいと思っています。
あと、デジタル教科書のことなのですけども、今僕も教科書のものもちょっとお話があって、やりますと、やはり曲が出てきたりとか、案内が出てきたりとか紹介があって、それに音楽がひもづいてきます。このことについて、デジタル教科書の教科書掲載補償金みたいなものが今からつくられると思いますけど、やはり、ハード側とソフト側を作る人間にとっては思っていることが違っていて、例えば私的録音録画補償金のときにも、再生に特化された機材は取り残されているという現実もあります。
そういうことも踏まえまして我々は、先ほども申しましたけども、特に僕は音楽家の代表として、もちろんこの間のレコード演奏・伝達権も本当にありがとうございました。しかし、やはりほかにも問題が今のように山積し、それにさらにもっと新しいものがどんどん出てくるときに、やはりそれを皆様方に知らせていくというか、通知するというか、アナウンスする役目も我々にはあるんじゃないかと思っています。もちろん日本の国益と日本の文化を守るために、日本のアーティストをどうか本当に皆様方で守っていただきたいと思います。
以上です。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
続きまして、髙部委員、お願いいたします。
【髙部分科会長代理】
髙部眞規子でございます。私は長いこと裁判官を務めてまいりまして、知的財産権訴訟全般に関わり、著作権訴訟も、非常にたくさん担当してまいりました。今回、知的財産推進計画の中にも記載をされておりますけれども、今は知的財産権訴訟の中でも、著作権訴訟というのは従来より非常に数が増えておりまして、裁判所での解決といったものも利用されていると認識しております。
私は、知財高裁所長をしていた2019年、20年に、知財高裁大合議の判決で、特許権侵害による損害賠償の算定についての統一的な判断を示しました。知的財産推進計画では、その前後で裁判所の損害賠償額が大きく増加したという統計も出していただいております。昨年は250億円ほどの損害賠償を命ずる判決も言い渡されました。著作権のほうは特許権に比べると、侵害されたときの損害の額がさほど今まで大きくはなかったんですけれども、特許権侵害の場合の損害賠償の考え方というのは、著作権侵害の場合にもかなり参考にされてきていると思いますので、これからは著作権侵害による損害賠償の額も高額化していく、それによって海賊版などを抑えていくという、一つの効果があるのではないかと思っております。
裁判外での訴訟のほかにも、裁判所での知財調停や日本知的財産仲裁センターというような紛争解決手段がございます。私は、裁判所の調停委員もやっておりますし、仲裁センターの委員もやっておりますけれども、件数は非常に少なく、活用されておりません。もしかして著作権者の中で、泣き寝入りといいますか、なかなか法的手段に訴えられない人がおられるようでしたら、こういった紛争解決手段もどんどん使っていただきたいと思っているところです。
ですので、著作権の保護と、利用する立場の人たちが公正に利用できるような、そういう環境をつくっていかなければいけません。今回様々な立場の方が委員となっておられて、この分科会で、そういったことの議論が活発に行われることを期待しております。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、棚井委員、お願いいたします。
【棚井委員】
写真分野から出席しております、写真家の棚井文雄です。前回の著作権分科会におきまして、AIによる生成画像、「写真のようなもの」のライセンスについてお話しさせていただきました。「写真とも呼ばれもする」AIが生成した画像、それは誰かの著作物を学習したデータを基に生成されています。当然ながら「撮影者」は不在で、「写真のように」生成されたコンテンツであり、写真ではありません。AI生成物の権利化が進む中、この問題について、当会が発行する広報紙「JPCA NEWS」で取り上げ、また、ウェブサイトにおいても提言として公開しました。すると、「NEWS」の記事やウェブでの「提言」に対して、写真家、学芸員がコメントを寄せてくれました。2件ほど紹介させていただきます。
その写真家は、現在は生成AIを積極的に利用して生成物を作り、発表を行っていますが、AI生成物には「撮影した」写真作品に発生する著作権とは異なるライセンスを与えるという考えについて、「大変しっくりくる、写真とAI生成物は異なるものだ、ぜひ進めてほしい」との意見でした。学芸員からは、「我々の仕事は、特に美術分野では絵画や彫刻、写真など、作家による作品制作の上に成立している。したがって、作家、つまり著作者には特段の敬意を払っている。AIでの生成も、そうした作家らの制作があって成り立つこと。同じ権利を与えることには違和感を感じざるを得ない。同じ権利が与えられた場合、人間の創作活動は低下すると予想され、未来の文化形成に影響を及ぼすと危惧する」というコメントをもらいました。
いまだAIのインターネット上のクローリングによる著作物学習が規制されないことで、写真家たち、特に「写真作家」とも呼ばれるアート作品を創作する写真家たちが、自身の作品をインターネット上にアップできない、控えざるを得ない状況が続いています。このように、作品がAIに学習され、生成に利用された挙げ句、その生成物に「撮影した」写真と同じ権利が発生することには理解は得られません。AIによる自由学習の規制と、生成AIに特化したライセンスについて、研究者や法律家のみならず、写真作家を加えた議論を行っていただきたい。よろしくお願いいたします。
棚井からは以上です。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの田村委員、いらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いいたします。いらっしゃらないようですね。
では、やはりオンラインの仁平委員、お願いいたします。
【仁平委員】
日本ネットクリエイター協会の仁平です。よろしくお願いします。
我々のほうは、個人クリエイターさんのいろいろなサポートをしている団体です。今ちょっとポスターを映しますが、実はこういった海賊版対策の訴訟サポートというのを、文化庁さんの御指導の下、SARTRAS様の予算を使わせていただきまして対応しております。こちらのほうで海賊版対策で現実的に感じていることとして、海外での勝手な使用に関して、こちらで弁護士を立てていろいろなことをやる、対応するということに関して、成功する可能性が著しく低いということがあり、実際のところ、海外サイトでいろいろ変なことをやられているという場合には、言葉を選ばずに言うと、泣き寝入りをしてしまうことがほとんどです。それは、民間レベルで海外のそういったサイトに情報開示請求等をしても、対応してくれないというところから来ています。これに関しては、もう民間レベルで云々というよりは、国と国との強力なパイプといいますか、力関係によって遂行してもらう以外ないのかなというふうに思います。これは文化庁様の別の、AIネットワークの会議の中でどなたかが言われた話ですけど、やはり日本のコンテンツを勝手に使うとひどい目に遭うよぐらいの、何ていうんでしょうかね、日本のコンテンツ舐めたらあかんというような、そういうようなことをやっぱり僕らとしてはやっていかないといけないなというふうに思っていますので、ぜひ国と国とのパイプの力強さみたいなものをつくっていただきたいなと思います。
それとあと、実は今日夕方から、今の訴訟サポート及び、いわゆる個人クリエイターのコンテンツを登録する仕組み、先ほど文化庁様からも言われましたが、我々「コクリシステム」と言っていますが、このコクリシステムと海賊版対策についての生放送を夕方6時から行います。そちらに今いらっしゃいます八田室長様にメインゲストで出ていただきまして、個人クリエイター向けにその辺りの説明をさせていただくと同時に、裁定使用制度なんかの成功事例みたいなものもお話ししていただきます。これも皆さんから言われているいわゆる一種の教育の一環だと私は思っていて、いろいろな方に、やはりこういう著作権絡みのお話を分かりやすくフランクにお話しするというところが重要だなと思っておりますので、その一環でやります。ぜひお時間ある方、今日18時から御覧になっていただければと思います。
実は私自身が高校課程において授業を、週1回90分の授業を持っています。それ以外にも専門学校だとか、たまには中学においても著作権絡みのお話をします。これも皆さんからお話ありましたが、結構若い子たちは、著作権に関する認識はちゃんとしています。人のコンテンツを勝手に使っちゃいけないよねというのは、みんな基本思っています。特に私が教えている生徒たちはクリエイター志向の人たちが強いので、余計そうかもしれませんが、人のコンテンツを勝手に使ってもいいやなんて思っている人は、ほぼいないですね。なので、やはりどこかのタイミングでそういう感覚がなくなってしまうのか、今のおじさん、おばさんたちの世代が著作権に関してちょっと甘々なのか、そういったことを感じていますので、学校教育以上に、大人の人たち教育というのも必要なんじゃないかなというふうに思っています。
すみません、ちょっと長くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。日本ネットクリエイター協会、仁平でした。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、藤﨑委員、お願いいたします。
【藤﨑委員】
日本美術著作権連合副理事長、日本グラフィックデザイン協会創作保全委員会委員長の藤﨑と申します。文化審議会著作権分科会に初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私たち美著連は美術分野の団体ですが、美術分野においてもAIという大きな潮流を迎えています。権利者側として、またAI機能を利用する側としても様々な意見があり、慎重に対応を検討している状況です。そうしたAI時代を迎え、創作者に適正な利益をどう還元するかが大きな課題となる中で、私たち美著連は、追及権を改めて検討する価値のある制度と考えております。近年、国内外のオークションでは、日本人アーティストの作品や漫画原稿、それからアニメ原画などが高額で取引されています。今年も奈良美智氏の作品が海外オークションで約15億円で落札されるなど、日本の創作物の価値は国際的に非常に高まっています。しかし、日本には追及権制度がないため、その再販売による利益は創作者に還元されません。追及権は作品価値の上昇による利益を、その価値を生み出した創作者に適正に還元する制度ですので、世界では80か国以上で導入されており、日本の創作者が海外で保護を受ける可能性を広げる制度でもあると考えております。
また、美著連では、視覚芸術分野における権利者情報の把握に努めておりますが、その情報を網羅的に管理することには限界があります。一方で、デジタルコンテンツの作成経緯、それから生成、編集履歴を記録する技術が進展していると聞いております。将来的には著作権管理や追及権を支えるデジタル基盤として、そのような技術が活用されることを期待しております。
最後になりますが、デジタル教科書に係る法改正により、視覚芸術分野の論点としては、拡大表示に伴う補償金への反映などが挙げられています。一方で、教科書掲載補償金についても、視覚芸術分野の権利者への支払いが適切に行われているのか、その実態について把握していくことも重要と考えています。私たち美著連は、創作者が適正な対価と評価を受けられる環境が着実に整備されていくことを期待しております。
以上となります。今期、どうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、前田委員、お願いいたします。
【前田委員】
日本民間放送連盟の前田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は2点申し上げたいと思います。
1点目は、もうこの場で委員の皆様からたくさん御意見が出ましたので簡単にと思いますが、海賊版・模倣品対策の強化について、でございます。知財計画におきましても、海賊版と模倣品対策の強化の方針が示されております。コンテンツの流通促進と権利者への適正な対価の還元のためには、これらの対策が必須と考えておりますので、海賊版・模倣品対策に資する施策については、引き続き検討をお願いしたいと思っております。
2つ目は、1点目とも関連いたしますが、今、WIPOにおいて検討が続いている放送条約についてでございます。放送番組は、インターネットやデジタル技術の発展に伴いまして、放送波の不公正な再送信、それから信号の無断利用など、新たな権利侵害のリスクに直面しております。こうした課題は国境を越えて発生しておりまして、各国の制度だけでは十分に対応できないケースもあります。海賊版対策の抜本的な強化が求められている中で、放送事業者が今後も多種多様なコンテンツを製作し、その流通を支える役割を担っていくためには、放送信号を国際的に保護するルール整備は極めて重要だと考えております。日本政府には引き続き、WIPOにおける議論を積極的に後押ししていただきまして、放送条約の早期成立に向けてリーダーシップを発揮していただきたいと考えております。
私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
続きまして、宮島委員、お願いいたします。
【宮島委員】
宮島香澄と申します。何年ぐらいか、ここ数年、こちらには参加させていただいております。ごく最近まで日本テレビの報道局で解説委員をしておりました。解説委員というか、コンテンツを作っている者として言いたいこともあるんですけれども、こちらには新聞、NHK、民放の代表の方々がいらっしゃいますので、その辺りはお任せして、むしろ一般の市民とか、様々な政策をいろいろなところで議論している立場から参加したいと思っております。
すごく今難しいなと思うのは、この著作権に対する議論は、その前の知財の議論も含めて10年以上、私はやっていると思うんですけれども、もちろん制度がはっきりして事態がよくなっている部分はたくさんあるんだけど、むしろ境が分からなくなって難しくなっている部分がすごくあると思います。例えば、誰かの作ったものをAIに取り込まれたときの因果関係とかも、最近もちろん出典は出すようにはなっているものの、分からないものもたくさんありますし、あとは、例えば新聞とかテレビで見たものをそのまま自分でSNSで発信をしている人が、その人が、個人としての利用なのか、それでもすごくお金を結果的にもうけている業者なのかというところは一体どこが境なのかとか、やっぱりいろいろなそういった問題が起こってきていると思うので、この著作権分科会では、かなりはっきりと著作権に関わるところの議論をしているのが基本だと思いますけれども、全体の解決の上では、まずは公取とか、いろいろな組織と連携を持っていくということは非常に大事だと思います。
さらに言うと、かなり連携しても、皆さんおっしゃるように、国民全体の中に、まさに人の物を勝手に使ってはいけないという感覚がどの程度浸透しているかということが一番のベースになるのではないかと思います。教育なんかも進んでいると思うんですけど、まさに私も思っているのは、教育の機会を持てなかった中高年とか、あるいは一般の人、あるいはそれに背を向けた人たち、例えば中高でも、正直、学校で教わればみんなが聞いているわけではない、あるいは、いろんなところで説明会などをやればみんなが聞くわけではない。普通の広告とかでも今、昔に比べて浸透させるのがすごく難しくなっている世の中だと思うんですね。テレビでさえも、昔だったらみんなが見てくれたものが見てもらえないとか、そういうことになっていて、じゃあ世の中の人みんなに伝わるためには、どのところにフックをつければいいのか。単に説明会をやりました、教えました、そういうことだけでは届かない人たちに対して、どういうふうに伝えていくのかというところをやっぱり根本的に考えないと、全体のベースが底上げされるということにはならないのではないかと思っております。
これからもよろしくお願いします。以上です。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
続きまして、吉澤委員、お願いいたします。
【吉澤委員】
コンピュータソフトウェア著作権協会の吉澤でございます。本年度もよろしくお願いします。
先ほどから、海賊版対策を抜本的に行うということの検討を進めておるわけですけれども、多くのコンテンツメーカーが加盟しておりますACCSといたしましては大変ありがたく思っております。本日は、生成AI時代における海賊版・模倣品の対策について、ちょっと別の角度からコメントさせていただきたいと思っています。
著作権そのものの観点ではないですが、コンテンツメーカーを支えていただいている消費者やファンの方々に対しての責任をどう考えていくのかということに一石を投じていきたいと思っています。最近の著作権をはじめとした権利侵害には、生成AIの悪用によるものが増えているという認識をしておりますけれども、AIの利活用の促進については国を挙げて進めておりますので、私どもソフトウェア業界においても積極的に取り組んでおります。一方で、生成AIを悪用した権利侵害とおぼしきものも散見されておりまして、コンテンツメーカーはその対策に大変苦慮しているという現状があります。
ファンの方々は、海賊版や模倣品の対応を放置しておくこと自体が非常にネガティブな印象を持っておりまして、それを放置すること自体がメーカーに与えるリスクになっているという環境にあります。また、これまでも海賊版や模倣品のような権利侵害は行われてきておりましたので、我々は新たな侵害が起こるたびに対策を進めておりました。しかしながら、生成AIによって行われる侵害というのは、短時間、なおかつ大量に行われることに加えまして、デッドコピーとすぐに判明できないものもたくさんあり、明らかに既存の有名な人気のあるコンテンツを模している他者の成果に便乗する形で行われているというのが実態です。また、このデッドコピーの判断については、メーカーのみならず、ファンの方々が強く関心を持っていて、ファンの方々が、こんなのが出ているよという情報も結構いただいているのが実態であります。
その点を踏まえますと、逆にAIの模倣品の対策として、模倣品分析自体をAIにさせて、どの辺りが模倣品としての権利侵害に当たるのかとか、そういったテクニカル的な対応または根拠の分析にも活用できるのではないかという点。それから、アマゾンとかヤフーなどのプラットフォーマーへの情報開示請求がスムーズに行われることによって、ファンの方々がそれをちゃんと契約していくことが防御策になっていくという点もあるかと思います。
それから、我々が侵害対策を行うのは、ビジネスを守るためだけではなくて、我々が提供するコンテンツの世界観であるとか、そういったものを大切にしてくれる方、それからクオリティーの高さを求めるファン、ユーザーを守るためでもあるという点が非常に重要な点かなと思っています。コンテンツメーカーとユーザー双方の利益を守るために、生成AIによって生じるいろいろな新たな問題の対策、これを著作権法だけではない対応でどういうふうに解決していくのかということに一石を投じていきたいというふうに思っています。これについてぜひ議論を進めていただければと思っています。
最後になりますけれども、あわせて、AIの開発・運用が進んでいく中で、それが必然のこの時代におきましては、汎用性の高い生成AIが適切に利用されるためにも、著作権に関する普及啓発にもより一層取り組む必要があるというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
以上です。
【太田分科会長】
ありがとうございます。
続きまして、吉村委員、お願いいたします。
【吉村委員】
日本映画製作者連盟の吉村と申します。よろしくお願い申し上げます。私は映連の理事も務めておりますが、先ほど来いろいろとお話が出ております海賊版対策を主にやっておりますCODAの代表理事も務めておりまして、今日はちょっとそのCODAのお話もさせていただければと思います。
資料4の冒頭のところで、御説明でもいろいろ触れていただいたんですけれども、昨年度の海外におけるコンテンツ侵害の被害総額が10兆円超すという統計、これはこれまでデジタルだけの被害額を出していたんですけども、リアルな商品も入れてということで被害額を推定したところ、10兆円を超えるという結果が出ました。政府のほうでは2033年度に海外でのコンテンツの売上げ20兆円ということを目標に掲げていますけど、実にその半分に当たる金額が違法に普及しているということで、ここを改善することが、一つは大きな事業者もしくはクリエイターさんへの還元の原資の確保という意味でも大きな役割を果たすのではないかと思っています。
それから、先ほど仁平委員のほうから、日本のコンテンツが侵害されたときに対する罰則とか、いわゆる見せしめではないですけど、そういうようなことがあればというお話もありましたけども、昨年度、一番大きな事例がありまして、中国でBATO.TOという非常に大きな海賊版のコミックスのサイトがあるんですけども、ここを中国政府と連携して摘発いたしました。これが被害推計額が累計で7,700億円に及ぶという、大きな、いわゆる違法の漫画サイトなのですけども、ここを潰すことに成功しました。これはCODAが長年かけて、北京に駐在事務所を置いて、中国政府と綿密な連携を保っていたこと、これが功を奏して、こういう働きかけが実行できたというふうに思っています。先ほど来、国名が出ていますけれども、今、ベトナムでの侵害が非常に顕著となっておりまして、CODAとしても、ただいまベトナムのほうに出先機関を設けるべく、現地との調整を行っているということも御報告したいと思います。それから、いろいろと対応も進めておりまして、著作権侵害サイトの情報の自動収集システムというのも現在構築しておりまして、これはうまくいけば今年度中に稼働が開始できるという予定でございます。
それから、生成AIに対する対応ですけれども、CODAとしては昨年の秋に、OpenAI社に対しまして、当時、Soraという動画生成サービスをリリースされていましたので、そこに対して申入れを行いました。いろいろと協議を続ける中で、OpenAIに関してはSoraのサービスを、収益性が低いということで今年の3月にクローズしたということはありますけれども、OpenAIに限らず、いろいろな会社から様々な動画生成サービスが既にリリースされていて、そこの中には、もう驚くぐらい精巧なというか、作品も、作品とは言えないですね。いわゆる動画が並んでいるという状況です。ここに関しては継続的にアプローチを続けていくということもありますが、こういうツールを使う側の啓蒙ということも先ほど来出ていますけれども、使う側への働きかけということも同じぐらい重要ではないかというふうに考えております。
こういう知見をもちまして、今年度の著作権分科会にお役に立てればと思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
【太田分科会長】
よろしくお願いいたします。
以上で委員からのお言葉をいただいたわけですが、最後に私のほうからも一言、お話をしたいと思います。
私の専門は法社会学という学問で、ほとんど誰も知らない学問なのですけど、一応法学部の一部には講座としてありまして、法がどのように社会を制御し、社会のニーズに応じて法がどう変わっていくかというダイナミクスを社会科学的に探求しております。その究極の目的は、技術の発展、技術革新が人々の、全ての個々人の幸福を満遍なく向上させていくことにつながるような法制度、社会制度をつくっていこうというところでございます。その点で見ると、先ほどから出てきております生成AIにつきましては、もう皆さん御存じだと思いますけど、人間の数学者が100年以上解けなかった問題を数日で解いたりしておりまして、人間のクリエーティビティーとは何かという問題も生じさせるほどになっているわけです。それと同時にリスクとしては、御存じのように、OpenAIとかアンソロピックが、サンドボックスの中に閉じ込めて実験したつもりが、籠に入れたタコが逃げ出したように、いつの間にか外に出て、第三者の企業をハッキングするという事件が1週間空けて次々と出てきておりまして、今後一体どうなるんだろうかという危惧の念をお持ちの方も多いと思います。
著作権についても委員の先生方がおっしゃっていたように、もうマルチファセットな問題が生じておりまして、それについてこの委員会で皆様方のお知恵を集約できればと思っておりますので、何とぞ御教授のほど、よろしくお願いいたしたいと思います。
以上が私の御挨拶でございます。
ここまでの御意見を通じて、もしも何か補足とかコメント等ございますでしょうか。お受けしたいと思います。言い足りなかったこととかがございましたら…。よろしいでしょうか。
では、今期の小委員会では、先ほど御議論いただきました今期の著作権分科会における主な検討課題に沿って審議を進めていくことにいたしたいと思います。なお、著作権分科会におきましては、文化審議会著作権分科会運営規則第2条、参考資料1の7ページにございますが、これにより使用料部会を設置することが決められております。使用料部会と、ただいま設置を決定いたしました小委員会に属すべき委員につきましては、文化審議会令第6条第2項、これは参考資料1の3ページにございます、及び文化審議会著作権分科会運営規則第3条第2項、これは参考資料1の9ページにございます、これらの規定に基づきまして分科会長が指名することとされております。これにつきましては、指名の上、事務局を通じて皆様に後ほどお知らせさせていただきたいと思います。
そのほか、全体として、今日の議論を通して何か御意見、御質問、コメント等ございませんでしょうか。オンラインの方は挙手ボタンで御連絡をいただければと思います。よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。それでは、本日の議事は全て終了いたしましたので、ほかに特段何かございませんでしたら、本日はここまでといたしたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。
【依田著作権課課長補佐】
事務局でございます。本日、誠にありがとうございました。次回の著作権分科会につきましては、小委員会などにおける検討状況等を踏まえつつ、改めて日程の調整をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【太田分科会長】
それでは、以上をもちまして、第76回文化審議会著作権分科会を終了とさせていただきます。どうも今日は長い間、ありがとうございました。
―― 了 ――
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