文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回)

日時:令和6年2月29日(木)

15:00~17:00

場所:日比谷スカイカンファレンス 11階(RoomB)

(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  • (1)AIと著作権について
  • (2)令和5年度法制度小委員会の審議の経過等について
  • (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関するパブリックコメントの結果について(2.5MB)
資料2-1
AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年2月29日時点版(溶け込み)(1.5B)
資料2-2
AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年2月29日時点版(見え消し)(1.5MB)
資料3
令和5年度法制度小委員会の審議の経過等について(案)(239KB)
参考資料1
第23期文化審議会著作権分科会法制度小委員会委員名簿(141KB)
参考資料2
生成AIに関するクリエイターや著作権者等の主な御意見(200KB)
参考資料3
法30条の4と法47条の5の適用例について(第4回法制度小委員会配布資料)(151KB)
参考資料4
広島AIプロセス等における著作権関係の記載について(579KB)
参考資料5
文化審議会著作権分科会法制度小委員会 開催実績及び今後の進め方(予定)(122KB)
参考資料6
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメントの結果について(団体)(937KB)
参考資料7
令和5年度調査研究「AIと著作権に関する諸外国調査」概要(229KB)

資料2-1、資料3について以下の通り了承されました。

資料2-1
AIと著作権に関する考え方について(1.5MB)
資料3
令和5年度法制度小委員会の審議の経過等について(173KB)

個人からお寄せいただいた意見について、以下に順次公表いたします。(資料1参照)

「AI と著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメントの結果について(個人)その1(3.2MB)

「AI と著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメントの結果について(個人)その2(2MB)

議事内容

【茶園主査】それでは、時間になりましたので、ただいまから文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回)を開催いたします。

本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、委員の皆様には会議室とオンラインにてそれぞれ御出席いただいております。

オンラインにて御参加いただいている皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですけれども、この点、特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】ありがとうございます。

では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【持永著作権課長補佐】事務局でございます。配付資料は次第のとおりでございます。本日、資料2-1と2-2というのがございまして、2-1が「AIと著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメント版からの修正を踏まえた溶け込みとなりまして、2-2のほうが見え消しとなりますので、お取り違えないように御注意いただければと思います。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

では、報道関係の方々は、すみませんけれども、御退室いただきますようにお願いいたします。

(報道関係者退室)

【茶園主査】それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおりとなります。早速、議事(1)「AIと著作権について」に入りたいと思います。前回の会議におきまして、「AIと著作権に関する考え方(素案)」に基づき御議論いただき、その後、素案について、1月23日から2月12日までのパブリックコメントを実施していただきました。その結果について事務局において資料を作成していただいておりますので、まずは事務局からパブリックコメントの結果とその結果を受けた素案の修正案について説明をお願いいたします。

事務局より説明をいただいた後に意見交換を行いたいと思います。御議論いただく際には、1.「はじめに」から4.「関係者からの様々な懸念の声について」までで区切りまして、この部分について御議論いただきます。その後、5.各論点の(1)「開発・学習段階」について及び(2)「生成・利用段階」について、それぞれ御議論いただき、(3)「生成物の著作物性」と(4)「その他の論点」、それから、6.「おわりに」について御議論いただきたいと考えております。

なお、複数の段階や論点にまたがるような御意見は、適宜、関連する箇所で御発言いただいて構いません。

では、事務局よりまず説明をお願いいたします。

【持永著作権課長補佐】事務局でございます。AIと著作権について、資料1及び資料2-2に基づいて説明させていただきます。

まず、資料1ですが、1枚おめくりいただきまして、パブコメの結果の概略と、その結果を受けたAIと著作権に関する考え方について(素案)の修正について説明します。パブリックコメントの概要については、1枚めくっていただいて、こちらに結果の概要を記しております。パブコメの期間は本年1月23日から2月12日で、意見の提出は延べ2万4,938件となりました。

なお、この件数ですが、意見提出1回につき2,000文字が上限であったということもあり、複数に分けて提出いただいた意見もあることから、延べの提出数になります。

このうち、意見を提出いただいた法人・団体数は73法人・団体で、資料1の2枚目から4枚目に記載のとおりとなります。

次、5枚目に意見の取扱いに関し、記載しております。今回お寄せいただいた意見については、主な意見の概要と、提出者、意見に対する事務局の考え方について取りまとめて公表することとしまして、この資料1の11枚目以降に記載しております。なお、これら一つ一つの紹介は割愛させていただきますが、考え方の修正の説明の際に、必要に応じて、どういった意見に基づいたのか紹介させていただくことといたします。

また、法人・団体からいただいた意見につきましては、必要なマスキングなどの処理をした上で全文を公表することとしまして、本日の参考資料としてそちらを入れさせていただいております。

個人からいただいた意見につきましては、必要なマスキングをした上で全文公表することを予定しております。ただ、ちょっと件数が件数でございますので、大変申し訳ございませんが、マスキング等の準備が整い次第順次公表とさせていただければと思います。

いただいた意見の概要と取扱いについては以上となります。

資料1の6枚目から10枚目ですが、こちら、意見を受けた今後の対応について記載しております。こちらの内容については、考え方の中でも一部触れさせていただいておりますので、そちらで紹介させていただきながら、考え方にない点につきましては、必要に応じて考え方の説明後にこちらの資料に戻ってきて説明することといたします。

それでは、次に、今回のパブコメの意見を受けた考え方の修正について説明いたします。資料2-2ですが、こちらは考え方のパブコメにかけたバージョンからの見え消し版となります。こちらに基づいて説明させていただきます。

まず2ページの1.(2)のところの追記・修正ですけれど、本考え方について、こういった文書を出すことになったことについて意見をたくさんいただき、また、この文書の取扱いとか位置づけといったことについても様々な意見ございましたので、どういった性質のものなのかということを改めて確認として記載するため、修正をしております。

また、(2)の一番最後になりますけれど、本考え方が法的な拘束力を持つものではないことを改めて確認して、個別の技術について評価を行うものではないということを記載させていただいております。

次、3ページから1.(3)の追記ですが、ディープフェイクや偽情報対策などをはじめ、AI自体の規制に関するものなど等、著作権の枠内にとどまらない意見も今回たくさん頂戴したものですから、本考え方の射程を明確にするように追記させていただいております。

1.の修正・追記については以上となります。

次に、2.(1)ですけど、AIと著作権を考える上で、利用者は人ですので、そういった前提をしっかり踏まえた上で検討を進める必要があるということで追記させていただいております。

次、(1)のアの部分ですけれど、6ページに移りまして、今回、アイデアを保護せよというような意見が多々ありまして、著作権法の保護の対象について改めて確認する趣旨で追記をさせていただいております。

次、8ページの2.(1)のエ(ウ)ですが、こちらは脚注13については、準拠法の考え方については分かりやすい記載をという意見ございましたので、本文で記載してあること以外にも考えられる場合というのを、脚注の13で記載しております。

次、2.(2)アですが、9ページですけれど、後ろのほうの項目で、著作権法47条の5にも言及することになりますので、この前提のところでも触れるべきという意見があり、47条の5というのもあるということを追記して、次の10ページで、47条の5が制定されたとき、30条の4と併せて柔軟な権利制限規定の1つとして制定されたといった経緯を確認するために、当時の改正時の資料から抜粋してきて、どういった規定なのかということを示す図を追加させていただいております。

次、11ページの2.(2)ウですけれど、今申し上げました47条の5についてどういった規定なのかということについて、こちら追記をさせていただいております。

次、12ページの3.ですが、柱書きの部分ですけれど、今回、技術について説明を求める意見がございましたが、本小委員会は著作権法の観点から検討している場ですので、技術の細かい専門的なことについては、技術開発を行う事業者側から発信することが望ましいという内容をここに記載させていただいております。

次、3.の(1)のうち、13ページのウですけれど、学習データの切り貼りという点について、より丁寧な表現で説明したほうがよいのではないかという意見をいただきまして、かみ砕いたような文章とさせていただいております。

次、同じページのエの部分ですけれど、文章の中で事業者といったときに様々な事業者がいる中で、それぞれの事業者がどういったものなのかということを分かりやすく記載すべきではないかということで意見ございましたので、ここで考えられる事業者の種類といいますか、属性に応じて分けまして、それぞれ説明を追加させていただいております。

1つ目が「AI開発事業者」。これは主として事業者が想定されるものですけども、これに限ったものではないということ。

次が、「AIサービス提供事業者」。こちらも主として事業者が想定されますが、これに限ったものではないということを記載させていただいております。

あと、「AI利用者」と記載させていただいております。AI利用者については、事業者に限らず、エンドユーザーとかも含み得るものかと思いますので、そういった内容をここに記載させていただいております。

次が、14ページの3.(3)で、こちらは記載の趣旨を明確化して、より平易な表現にすべきという御意見をいただきましたので、そういった内容の修正を行っております。

3.は以上となります。

次、4.ですが、4.の修正は形式的な修正になりますので、説明は割愛させていただきます。次、5.に移らせていただきます。19ページの5.(1)ア(ウ)ですが、RAGのことにも関係するのですけれど、今回素案の中で触れている様々な技術について、その場面ごとの利用行為というのが不明瞭ではないかというような御意見いただきましたので、第1回の法制小委の資料などを基に、生成AIができるまで、学習済みモデルが開発されるまでのどういう利用行為があるのかということを改めてここに記載しております。また、次の20ページで、RAGでの著作物の利用行為としてどういったものがあるのかということを図示する記載をさせていただいております。

こちらは以上となります。

次、21ページの5.(1)イ(イ)の1つ目の丸のところですけれど、先ほども述べましたように、RAGについて意見をいただいておりまして、RAGの記載が複数箇所に記載されていると、こちらの説明は混乱を招くというものがあり、後のほうのRAGの項目がございますので、そちらで述べることとして、ここは省かせていただくという修正を行っております。

次、同じページの脚注23ですけれど、生成・利用段階の行為と開発・学習段階の行為が関連していることが一般化したように捉えられるのではないかという御意見がございましたので、こういった脚注を追記しております。

次の22ページに移りまして、1つ目の丸ですが、作風について何を意図して記載しているのか明確にすべきといった御意見ございましたので、こちらに追記をしております。

次が23ページの5.(1)ウですが、RAGについての記載ですが、先ほどのイ(イ)のほうではRAGの記載を落としましたので、こちらのウのほうでしっかり説明をすべく修正しております。また、もとの記載ですとRAG自体が権利制限の対象にならないと読めるのではないかといった意見がございましたので、30条の4が適用されるものもRAGについてはあり、また、適用されない場合にも47条の5の適用がある場合があるという内容を追記させていただいております。

次の24ページの5.(1)エ(ア)ですが、脚注27の内容を本文に記載することとした修正となります。

次、25ページの脚注28も消えているように見えるのですけれど、記載場所を移動させる修正を行ったものです。

次、同じページの5.(1)エ(イ)ですが、著作権者の利益と著作権侵害というのは、必ずしも同一のものではないという御意見もございましたので、そういった内容をここに追記させていただいております。

次、5.(1)エ(ウ)の27ページの3つ目の丸の部分の記載ですけれど、もともとの記載ですと、事業者側のほうからは情報解析用のデータベースの著作物としてどのようなものが販売されているのか分からないので対応が難しいのではないかといったような御意見ございましたので、法の解釈ではございませんが、適切な運用を図るといった観点から追記をさせていただいております。

次が28ページの5.(1)エ(エ)ですが、技術的な措置以外の事実についても記載すべきではないかといった御意見がございましたので、その点を追記をさせていただいております。

次の29ページの1つ目の丸ですが、robots.txtで1つのクローラの複製防止措置をとっていることをもって、これはデータベースの著作物の販売する意思があるというふうに捉えられてしまうのは、非常に強い内容なのではないかという御意見がございましたので、そこをもう少し丁寧に記載させていただくという追記をしております。

次の29ページからの5.(1)エ(オ)ですが、海賊版のところについては、こちらも事業者から海賊版というものがどういったものか分からないと対応が難しいのではないかといったような意見ございましたので、情報共有をされるということが望ましいのではないかということを記載させていただいております。

5.(1)開発・学習段階については以上となります。

次、5.(2)生成・利用段階ですが、35ページのアですが、生成・利用段階での救済措置があることを明記すべきという御意見ございましたので、追記をさせていただいております。

次、37ページの②の修正ですけれど、特定の技術的な措置に限っていることを想起させ、そういった措置をとっている場合じゃないと駄目だと思われるという御意見がございましたけれど、そういうわけではないので、状態が技術的に担保されているという修正をさせていただいております。

次、38ページのウですけれど、こちらは立証責任が転換しているように読めるということで、「立証」という言葉を削除する修正を行っております。

次、39ページのカですけれど、こちらはどのような場合も事業者が責任を負ってしまうというように読めるのですけれど、規範的行為主体として責任を負う場合でありますので、そういった内容をこちらに追記しております。

次、同じページのキですが、生成・利用段階における著作権侵害というのは、まず利用者が責任を負うものであるということを確認すべきということで、そういった記載を追記しております。

次、42ページの(3)のアですけれど、AIに著作権を認めるなという御意見ございましたので、そもそも著作物とは何か、そういった場合、著作者はどのように考えるのかということを確認的にこちらに追記させていただいております。

42ページのアの最後の丸ですけれど、追記部分について、著作物性について誤解されているのではないかと思われる意見ございましたので、どういった内容なのかということを、記載の趣旨を明確にする修正を行っております。

次が45ページの「おわりに」ですけれど、今回、この文書で立法をするのではないかといった誤解されたような御意見もございましたので、今回の文書ではそういったものは内容としないということをここで追記しつつ、今後必要な検討を行っていくということを記載しております。

その際にどういったことについて情報収集すべきかということを、①、②、③と記載させていただいております。また、「諸外国におけるAIと著作権に関する検討状況」のところの脚注で、特に注視すべきような外国の状況を追記させていただいております。

また、このページの上から3つ目の丸ですけれど、文化庁において相談窓口等を通じて積極的な事案の集積に努めるということも記載させていただいております。

また、実演などの隣接権に関して今回議論すべきというような御意見もございましたので、次の丸ですけれど、「俳優・声優等の声を含んだ実演・レコード等の利用とAIとの関係等を含む」ということを追記させていただいております。

最後の46ページですけれど、関係者間で継続的な議論や社会的合意形成の必要性について御指摘ございましたので、民間当事者間に期待する内容として、記載させていただいております。

考え方についてこういった修正を行っているのですが、パブコメを受けて、また考え方をまとめた内容を受けて、今後、文化庁や関係当事者において対応が期待される内容を資料1のほうでもう少し詳しく記載しております。

資料1の8ページですけれど、先ほど事案の集積のための窓口というふうに触れましたけれど、どういった窓口があるのかということで、文化芸術活動に関する法律相談窓口といったことを紹介させていただいております。

また、9ページの1つ目の四角ですけれど、生成AIとこれに関わる事業者、またクリエーターとの間で新たなコンテンツの創作と文化の発展に向けた共創の関係が実現されていくということが望ましいということから、次のポツで関係当事者間の共通の理解が醸成されるということが重要になってくるのではないかということを指摘させていただいておりまして、次のページに移りまして、文化庁としましては、今回、こういったものをまとめさせていただきましたけど、著作権法の基本的な考え方というのを常に念頭に置きながら関係当事者間における適切なコミュニケーションの実現に向けて関係省庁とも連携しながら取り組んでいくこととしたいと考えておりますので、そのような内容を資料にまとめております。

資料1と資料2-2の説明は以上となります。

【茶園主査】どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明を踏まえまして、資料2-2のまず1.から4.まで、この部分について御意見等がございましたらお願いいたします。

では、福井委員、お願いします。

【福井委員】まずは、2万5,000点に迫るパブリックコメント、この極めて多いコメントをここまでまとめられた事務局の労苦に感謝を申し上げたいと思います。大変御苦労さまでした。

そして、それだけ関心を持って懸命に多くの意見を寄せてくださった皆さんにも委員の1人として感謝をいたしたいと思います。

拝見した第一印象でいうと、予想はしていたが、予想以上に大きく意見が分かれたなあという印象を持っています。それだけ重要な、そして変化し続ける事象であるから、これは当然のことであろうと思いますけれども、意見には相当な左右、隔たりが感じられる部分もございました。

そういう様々な意見がある中で、何とかバランスラインを見いだせるか。それが恐らくは今回課せられ、また今後課せられていく政府の任務であろうかと考えます。

今回の意見の中でも、保護と利用のバランス、随時の見直し、あるいは社会的な合意形成、民民での努力といったような意見は多数見られたように思います。これは極めて重要なことであり、そうしたバランスラインを見いだすことができなければ、ハードランディングというシナリオも現実化してしまいかねません。

今回のまとめに関しては、私も含めて、委員の誰もがこれで十分、完全なものだとは思っていないだろうと感じます。今後も検討の作業は続いていくのだろうし、また随時続いていかなければいけないだろう、こんなふうに思いました。

そして、その際には、今回寄せられた多くのパブリックコメントは、単に今回だけの参照資料ではなくて、今後の検討の基礎資料として残し、参照されていくべきではないか。それだけの知恵が今回のパブリックコメントには集まっているように感じました。

概括的な感想ですが、私からは以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

では、上野委員、お願いします。

【上野委員】今、福井先生から、事務局に対するお礼の言葉と、そしてパブコメに御協力いただいた皆様への感謝の言葉がありましたけど、私もそれに同調して繰り返したいと思います。今回、非常に短期間での検討となり、事務局の方も御苦労されたと思いますし、パブコメの期間も短かったわけですけれども、多くの皆様から有意義な御意見をいただき、また事務局もそうした声に御対応いただいたと承知しております。今後もこの問題については議論を続けていくべきだと思っております。

その上で今回の改訂版の内容に関して申しますと、冒頭のところで、懸念を解消する必要性があるという指摘をしていることが注目されます。そもそも、このような文書を出すべきなのかという意見があることは確かですが、これに対して、やはり現実に懸念が存在するのでありますから、それを解消するためにこのような文書を出すことが必要なのだという考えがこの委員会のコンセンサスであることが明らかにされておりまして、このことは前提として非常に重要なことかと思います。

もちろん、こうした文書は、ごく当然のことを明らかにするというだけでも意義があるかとは思います。そもそも著作権法というのは非常に複雑な制度でありますし、基本的な知識も一般にはそれほど広く共有されているわけではありませんので、基本的な点で誤解されることも多いところであります。したがって、著作権法の基本原則ですとか、著作権法において異論のない考え方を示すだけでもかなり大きな意味があるかとは思うところです。そのような中、今回の「考え方」というのは、私も関係の審議会にはかれこれ20年以上関わっておりますけれども、過去に例がないくらい踏み込んだ非常に詳しい内容となっているところであります。それだからこそ、先ほど福井先生からもお話がありましたように、委員の間でも意見が分かれた点がありましたし、パブコメにおいても、権利者側および利用者側の両側面から激しい批判にさらされた箇所もあるかと承知しております。その意味では、懸念を解消するためのこの文書が新たな懸念を生じさせたのではないかという見方があるのも仕方ないところかと思っております。

ただ、この委員会のメンバーには、確かに著作権法の専門家も多くいるのですけれども、ここにいる委員以外にも著作権法の専門家は多数おります。おそらく著作権法学者というのは、ここにいる10倍ぐらいはいるのではないかと思われます。そちらではまた様々な議論があるかと思われますところ、本委員会がそうした専門家全体を代弁しているわけではないというべきかと思います。その意味では、この文書は本委員会の名義で公表されると承知しておりますところ、最終的なタイトルについても、「(素案)」というのが残るかもしれないということのようでありまして、そうであれば、そのことも本委員会で議論したほうがよいような気もいたしますが、もちろんこの文書が法的拘束力を有するものではないとは書かれているのですけれども、先ほど述べた本委員会の位置づけを踏まえますと、もう少し抑制的に、例えば、「1つの考え方を示したものだ」といった書き方もあるのではないかと思います。実際のところ、よく参照される経産省名義の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」では、「現行法の解釈についての1つの考え方を提示するものである」という書き方になっております。

そのような意味では、今回の文書は、現状でも、「一定の考え方を示すものである」とか、あるいは、「生成AIと著作権の関係についての考え方を示すものである」といった記述がありますが、例えば、「1つの考え方」というように記載することが考えられるように思います。一方、今回の文書では、少数説を含めて複数の意見が書かれている箇所もありますので、「1つ」の考え方ではないと考えると、例えば、「考え方の例を示すものである」といった書き方もあるかと思います。このように、本文書の書きぶりをもう少し抑制的にするほうがよいのかなと思った次第です。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

ほかに御意見等ございますでしょうか。

では、早稲田委員、お願いします。

【早稲田委員】ありがとうございます。まず、皆様、本当にこれだけの、まとめていただきまして、ありがとうございました。本当に2万5,000件という数を聞いて、非常に注目度が高いパブコメだったんだなと改めて思いました。

まずこの考え方の位置づけでございますけれども、これは従前から皆さん御承知のように、最終的には司法解釈ということなので、ここの考え方につきましては、あくまで、今の議論を、技術や議論をまとめたものであると、こういうことがはっきりされていて、それはそれでよろしいんじゃないかと思います。

先ほどの上野委員の御指摘もございますけれども、やはりかなりの議論をここでやり、いろいろな技術とか現在の状況とかも示していただいた上でかなり議論をさせていただいたので、私は4ページの、あくまでAIと著作権法との関係について解釈に当たっての一定の考え方を示すものであるというまとめでよろしいんじゃないかなと思いました。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

中川委員、お願いします。

【中川委員】私からも、ほかの委員の先生方と同じように、事務局の皆様、それからコメントを寄せていただいた多くの皆様に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

先ほどから今回の考え方の位置づけについて御意見をいただいているところかと思います。今回の見え消し版でいうと3ページに当たりますが、加筆いただいた箇所、真ん中辺りに、「本考え方は、関係する当事者が、生成AIとの関係における著作物等の利用に関する法的リスクを自ら把握し」という記載を加えていただいております。

確かに一方で懸念の声があって懸念の解消が必要だということで、こうした取組が行われてきたものだと承知しておりますけれども、他方で、この委員会においても、全ての委員の意見の一致に至らなかった論点も複数あると承知しております。

また、そういった論点について、大勢を占めなかった意見をどこまでこの考え方に記載するかということについてもいろんな御意見があったと承知しておりますが、現実にいろんな意見があって、専門家でも見解が分かれるような論点については、リスクを示すという観点からも、そうした見解を示すことには意義があるのではないかと私としては感じております。

ここに記載いただきましたように、一方では、争いのないようなところは、先ほども御指摘があったように、当然と思われるような内容でも明確にすることで懸念を解消する一方で、ここに示されたような法的リスクについては、最終的には各事業者がリスクを自ら評価した上で、どのような事業活動を行うかという判断につながるのであれば、そういう意味でもこの考え方には意義があるのではないかなと思っております。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、進みたいと思います。次に、資料2-2の5.(1)開発・学習段階について、この部分について御意見等がございましたらお願いいたします。

御意見等ございますでしょうか。

では、福井委員、お願いいたします。

【福井委員】毎回最初というのも大変申し訳ないような気がいたしますけれども、それでは、見え消し版の29ページ、海賊版のところについて、最後にもう一度意見を申し上げたいと思います。

今回、パブリックコメントを拝見すると、海賊版からの自由な学習について、かなり強く反対する御意見が続出したように感じています。現場は現行法で可能な中で、ぎりぎりの海賊版対策を続けておりますので、そうした意見が続出するのも無理からぬところがあろうかなと思います。

多くの団体が、海賊版からの、そうと知りながらの学習の場合には、30条の4のただし書該当、あるいはそれと同等の制限を求めているように見えました。

この点、EU指令においても、適法アクセスでの学習に対象を限定していたり、あるいは適法コピー要件を設ける国もあるように伺っており、これらとも親和性のある問題かなと感じます。

私自身は、信頼できる団体から通知を受けた場合など、海賊版であることを知り、または知り得べき場合という限定を付して、ただし書の不当に害する性での考慮要素になるというのが落としどころではないかと思い、意見を申し上げたところでした。

今回のパブリックコメントを受けて私自身の意見は変わるところはないのですが、委員の皆さんからこの点で追加の御意見はないか、伺ってみられたらと感じた次第です。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

それでは、海賊版について御意見等がございましたら、まずはお願いしたいのですけども、どなたかおられますでしょうか。

後でも結構ですが。では、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】ありがとうございます。どのタイミングでコメントするのが適切な内容か考えあぐねていたところなのですが、せっかくなので、このタイミングでコメントさせていただきます。

まず見え消し版でいうと、いきなり前のセクションになってしまって申し訳ないのですが、9ページに、30条の4も含めた「『柔軟な権利制限規定』の制定に至る背景と経緯」について記載いただいております。

改めて思いましたのは、30条の4はどういう趣旨で改正されたのかということでございまして、第1層から第3層に整理したうちの第1層に当たる趣旨で改正されたということ、これを改めて認識したところでございます。

何が申し上げたいかというと、第3層ではなく第1層で整理をしたということが言えるのかなと思っております。第3層として、例えば「AIは非常に有用であって、AIの開発のためには著作権者も一定程度の制限を受けるべきである」というような意見、これもごもっともだと思いますし、私も全くそこは異論がないところでありますけれども、そういった整理とは違って、あくまで第1層に当たるものとして整理されたということがここで指摘できるのかなと思っておりまして、そうした経緯は、30条の4柱書きであったり、あるいはただし書であったり、先ほど御指摘いただいた海賊版であったり、いろんなところの解釈に影響する可能性があるのではないかと私としては改めて感じたところでございます。

第1層という形で整理をした以上は、著作権者が強く反対の意見を述べているところを頭越しに、「いや、権利の主張は認めないのだ」というような形で権利主張を認めないというのは、本来第1層として整理されていたイメージとは若干違うんじゃないかなと私としては感じているところでもございます。

これはいろんな場面で出てくる考え方かもしれませんが、このタイミングで、せっかくですので申し上げさせていただきました。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

海賊版でも、他の箇所でも構いませんけれども、開発・学習段階について御意見等がございましたらお願いいたします。

では、上野委員、お願いします。

【上野委員】まず先ほど発言させていただきました点について少しだけ補足しますと、4ページ目のところでは「一定の考え方を示す」となっているのに対して、3ページ目のところでは「考え方を示す」となっているようですので、この箇所を「1つの考え方を示す」とか「考え方の例を示す」と修正することをご提案申し上げた次第です。ただ、例えば、4ページと同じように「一定の考え方」にする手もあるのかなとは思いました。これが先ほどの点です。

続きまして、今中川先生から御指摘があった点については、非享受利用というのは第1層で、公益との調整の結果である第3層とは異なるのだから、非享受利用について権利者が反対しているという事情については、第3層と別の考慮をすべきではないかという御指摘かと思いました。

ただ、第3層の利用行為は本来であれば著作権が及ぶ行為であるのに対して、第1層の利用行為というのは、著作物の本来的利用ではなく、「著作権者の利益を通常害さない行為」と位置づけられたもので、そもそも著作権の対象外の行為とされてきたことからいたしますと、むしろ逆に著作権者の意思が考慮されるべきではないという考えもあるかと思いますので、この点は課題になるのかなと思いました。

ただ、この文書でもいろいろなところで「意見があった」という記述があるところでありますから、実際にご意見があるようであれば、それは脚注などで反映されるように事務局にはお願いをしたいと思います。

他方、1点だけ、25ページの本文で「一定数」の意見があったと書かれている箇所がありますので、この点について少しコメントをしたいと思います。この記述は、今日までの改訂プロセスにおいても本文と脚注を行ったり来たりしてきたのですけれども、現状ですと、25ページ目の本文の下から2行目のところで、「意見が一定数みられた」と書かれておりまして、ここだけいわば少数意見が本文に書かれていて、しかも「一定数」ということになっています。もちろん、現実問題として、福井先生、中川先生、そして島並先生から、こちらに記述されているような御意見があった以上、一定数の意見があったと記述すること自体は私も妥当だと思っております。

ただ、これが理論的に成り立つかどうかということを確認するために、差し支えなければ先生方に1点質問させていただきたいことがあります。というのも、ある行為がただし書に当たると考える場合、その行為が著作権侵害になることを意味することになるかと思うのですけれども、著作権保護を受けないアイデアが共通するに過ぎないコンテンツが大量に生成されて著作権者が損害を被った場合はただし書に当たり、著作権侵害になるという見解をとる場合、そのように著作権侵害になるのは、いつ、そしてどの行為なのでしょうか。

現状のこの文書の文面からしますと、「著作権法が保護する利益でないアイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成される」ということが、「特定のクリエーター又は著作物に対する需要が、AI生成物によって代替されてしまう事態が生じる場合」とありますので、そのような事態が生じた時点、つまりそのような結果が発生した時点で、ただし書に当たるとされているようにも読めます。したがって、この見解は、そのような大量の出力がなされた時点で、著作権者の利益に損害が生じたことをもって、ただし書に当たるとする説のように読めるところであります。

しかし、そうだとしますと、アイデアのみが共通するコンテンツの大量出力が行われた時点で、そのような出力行為が著作権侵害になるという見解に聞こえるわけなのですけれども、そのような理解でよろしいでしょうか。

もしそのように考える場合、そうした大量出力という行為が著作権侵害になるということになります。そのように大量出力行為が著作権侵害に当たる以上、著作権者はそのような出力を差し止めることができるということになるかと思いますが、そのように考えてよろしいのでしょうか。

といいますのも、通常、著作権侵害というのは、他人の著作物の無断利用によって生じるものであります。しかし、もし先ほどのように考えますと、著作権保護を受けないアイデアのみが共通するコンテンツの大量出力、それはもちろん著作権者に事実上の損害を与えるかもしれませんが、そのような大量出力行為が著作権侵害と評価されて、著作権者はその行為を差し止めることができ、場合によっては刑事罰に当たる、というお考えと理解してよいのでしょうか。そういう趣旨でございます。

それとも別の見解として、ただし書に該当するのは、そうした大量出力が行われた時点ではあるのだけれども、著作権侵害になる行為は、そうした大量出力行為それ自体ではなく、過去に遡って、学習段階における著作物利用行為であるという、そういう見解もあり得るかと思います。ただ、この見解をとりますと、今度は、学習時点ではまだ大量出力が行われておりませんし、将来においても行われるかどうか分からないのでありますから、その将来において他人の著作物のスタイルのみを共通するコンテンツが出力された時点で過去に遡って学習行為が著作権侵害になると解することになるのではないかと思います。そうだとしますと、将来において過去の学習行為が著作権侵害と判断されるおそれがあることになりますので、そうである以上、他人のスタイルでコンテンツを大量出力する可能性のあるAIを開発するということ自体が初めから萎縮せざるを得ないのではないでしょうか。もちろん出力されるコンテンツの中に、学習元著作物の創作的表現が残るということを明確に意図している場合は、いわゆる享受目的併存型に当たりますから、そもそも30条の4の適用を受けず、ただし書きの問題になりません。他方で、今ここで議論しているのは、あくまで学習自体は非享受のみを目的としている場合の話であります。

このように将来において著作権侵害の責任を負う可能性があるということになりますと、そのようなAI開発を萎縮させるのではないでしょうか。そしてまた、学習と出力を別の主体が行うという場合もありますけれども、そのときにどのように考えるべきなのかということも問題になります。こうした点に関しまして、もし御教示いただくことがありましたらありがたく存じます。いかがでしょうか。

【茶園主査】では、福井委員、お願いします。

【福井委員】すいません。ご質問の点について誤解があれば申し訳ないんですけれども、私の今の考えを申し上げます。

無論、アイデアの利用、これは自由であって、そうしたアイデアの利用によって侵害が成立しない。これは著作権の根幹ルールです。私自身もその堅持の立場で過去活動してきたつもりですし、その考え方を今後変えるつもりもありません。

他方で、島並委員も前回指摘したとおり、今回は、学習のための複製という、まず表現の利用が学習の前段階でありますね。表現の利用です。その前提に立って、それへの抗弁である、これは非享受利用ですよということに対して、ただし不当に利益を害するときには制限規定は適用されませんよという、再抗弁という位置づけであろうと思います。

その考慮要素として、ある創作者の作風による作品が大量製造されて、仮に創作者が大ダメージを受けた、あるいは受けることが十分想定されるときに、それを目的とする学習段階をとらまえて、これは創作者の利益を不当に害するかどうかの1考慮要素になりますよという考え方、これが成り立つかが論点なんだろうと思うんですね。私自身は、それがロジカルにあり得ないとは、言えないだろうと思っています。上野先生の御懸念は、それはロジカルにはあり得ないんじゃないかということかと理解しましたけれども、ひょっとしたらおっしゃるとおりかもしれません。

が、この問題は、今回のパブリックコメントでも、意見の対立の中で恐らく最大のもので、作風の模倣による大量生成に対する危惧の念は創作者の現場では非常に強いようです。他方で、それに対して、AI開発の視点からの意見も非常に強い。これが現状です。

先ほど申し上げたとおり、ここまで意見が分断された中で、じゃあ、どうバランスをとるのかで恐らく全員は頭を悩ませてきたと思うんですね。私は、出力されたときにそれを間接事実としての評価ということもあり得るでしょうし、あるいはその結果が十分想像されるときに、いわゆる特化型AIのための学習の段階で既に成立するということもあり得るでしょうが、そういう極端な結果を招くような学習が仮にされた場合に、その適否の評価においてただし書は最後のとりでです。その考慮要素にも入らないという結論を今ここで断定することには、ちゅうちょを覚えます。

この問題は、今後の議論がさらに進む中で解消されていくべきじゃないかと感ずるわけです。今回、知的財産権の研究者グループからも、今後さらなる議論に委ねられる問題が多いという御指摘もあったように思います。

また、今私が述べたような解釈の可能性を、既に詳細に述べられている学説のご見解もあるようですが、恐らくそういう議論が今後されていく上で、まだ結論を断定することにはちゅうちょを覚えると申し上げました。

お答えにどれだけなったか分かりませんけれども、以上、私からのレスポンスということになります。

【茶園主査】では、中川委員、お願いいたします。

【中川委員】ありがとうございます。あくまで私個人の、つまり、福井委員や島並委

員は別の考えをお持ちかもしれませんので、私個人の意見として、先ほどの上野委員の御指摘についてコメントさせていただきたいと思います。

30条の4はもともと、例えば学習等の過程で複製が行われることについて、それを適法にする。ただし、ただし書が適用された場合にはその複製が認められないことになる。そういった規定だと理解しておりますので、このただし書が適用されるのであれば、そもそも複製の時点で当該複製行為が違法になるということだと思います。言い換えますと、時点がいつか、時期がいつかという御質問があったと思いますけれども、私としては、適法だった過去の複製行為が後で遡って違法になるということはない。少なくとも理論上はない。当初から複製の時点で、ただし書によって違法になるという考え方が正しいのだろうと思っております。

まず、そこが御質問に対する御回答の1つ目ということになります。

その上で、今回のパブコメでもいろいろな御意見が寄せられましたけれども、先ほどの福井委員あるいは前回の島並委員のコメントとかなり重複する部分があるかもしれませんが、私どもがコメントしたことについて、あたかも著作権法上の保護対象でないアイデアなどを保護しているのではないかという御批判の声があったと承知しております。ただ、これは前回の島並委員の御指摘にもありましたように、あくまで機械学習等の複製が行われる時点では表現も含めて複製されているので、少なくともその限りにおいて保護対象外のものを保護しているということにはならないとまず理解しております。

その上で、要は、そのような形で、著作物、表現を含んだ著作物が利用されているにもかかわらず、どのような場合に権利行使を認めないことにしようかというのが、ただし書も含めた30条の4の解釈の問題であると理解しております。

せっかくですので、ちょっと考え方というか、思考実験みたいな形で、仮に30条の4がなかったらということを仮定して私の意見を述べてみたいと思います。

30条の4がないような状態で機械学習がたくさん行われて、その結果、特定のクリエーターの作風が学習されて、それと類似する作風のものが多数出力されて、経済的にダメージを受けた。そういった事態が生じて、そのクリエーターが、著作権侵害であると、複製権侵害であるということを裁判で主張したというケースを考えてみたいと思います。

まず請求原因として、複製権侵害だということが主張されて、そういった主張を受けた場合に、30条の4がなければどういった反論があるんだろうか。いろいろ考えられるかもしれませんが、1つの考え方としては、例えば権利濫用であると。そういったものは、アイデアの保護を目的とした権利主張であるから、それは認められないのであると。複製権侵害ということに仮託してアイデアの保護を主張しているじゃないか、というような反論があるかもしれません。これに関しても、そういった権利濫用という主張を認めるかどうかというのは、もしかしたら委員の中でも御意見が分かれるのかもしれません。著作権法はアイデアを保護するものではないのだというお考えを一貫すれば、そういったものは権利濫用だという考えにつながるのかもしれません。

ただ、私は多分そうならないんじゃないかと思うんですね。つまり、そういった場合に、権利濫用だということにはならなくて、多分複製権侵害が認められる可能性というのは相当程度あるんじゃないかと思うんですね。

その上で、先ほどの第1層の話に戻るわけなんですが、第1層というのは、本来権利が認められてきたものを何か政策的な目的で切り下げたわけではなくて、もともと本来認められるべきでなかったところを確認的に第1層という整理のもとで権利制限ということで確認しましょうという規定だったと、私は大きなイメージとしては理解しております。

そういったところを踏まえますと、今申し上げたようなケースについて、権利濫用等に関する先ほどの整理と類似するような形で30条の4のただし書の解釈に当てはめたらどうなるかというと、アイデアが類似するものが多数生成されるということをもって「著作権者の利益を不当に害する」と評価するということは、私は、理論上は考えられてもよいのではないかと思うところでございます。

以上はあくまで私個人の意見でございますし、もっと申し上げますと、前回も私から発言したように、私自身もそのような考え方で確信に至っているわけではなくて、そういったことをいろいろ考えつつ、ここはまだ結論を出すのは時期尚早ではないかと。いろいろ考え方があり得るところなので、この考え方においても、あたかも反対意見がなかったかのように断定するのではなく、30条の4のただし書に該当する可能性もあるという意見があったことを示すほうが、先ほど申し上げたリスク評価の観点も踏まえると、むしろ適切な対応ではないかと思いまして、そのようなコメントをしてきたということでございます。

十分な回答になってないかもしれませんが、一旦以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

では、上野委員。

【上野委員】ありがとうございました。先ほどの私の発言は私自身の見解を述べたというより、ただ質問をさせていただいたということなのですけども、それはなぜかと申しますと、この文書が「特定のクリエイター又は著作物に対する需要が、AI生成物によって代替されてしまう事態が生じる場合」はただし書きに当たり得るとする意見という書き方になっているため、どうもこれを見た人の中には、アイデアの共通に過ぎないコンテンツの大量出力行為が著作権侵害に当たり得るとする意見を載せたものと理解した上で、それは著作権法の体系からしておかしいじゃないかという批判をしている人が少なくないように思うからです。

しかし、今のお話ですと、この意見に立つ先生方も、著作権侵害になる時点は出力の段階ではなく学習の段階であること、また、著作権侵害になる行為は学習の段階における他人の著作物の利用行為だというご説明でした。そうであれば、この文書の書きぶりも、今は「AI生成物によって代替されてしまう事態が生じる場合」はただし書きに当たり得るというような書き方になっているのですが、先生方の御指摘を踏まえますと、いわゆる特化型AIの開発で、特定のクリエーターのスタイルでコンテンツを大量に生成させるようなことを明確に意図していたことが明らかである場合、というような書きぶりの方がよいのかもしれないように思いました。詳細な文言は後ほど御検討いただければと思うのですけれども、この部分については、若干の誤解に基づいて著作権法の体系的におかしいのではないかという批判があるようですので、そのような誤解が生じにくい文章に修文してみるのも1つの手かなと思った次第でございます。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

島並委員、よろしいでしょうか。

【島並委員】ありがとうございます。上野先生の御質問に対する直接のお答えとしては、「学習」段階での「複製」行為が、30条の4ただし書きにより侵害になり得るものと私は考えております。その理由は、福井委員、中川委員のご説明に同意した上で私からさらにあえて申し上げますと、そもそも生成AIをめぐる諸活動を学習段階と生成段階にクリアに二分し、前者については非享受目的なのだから30条の4本文によって全てセーフなのだと考えることに躊躇を覚えるからということになります。今週月曜日に上野委員が日経新聞の経済教室で、その旨を強調された記事を書かれておられました。このような学習段階と生成段階の二分論は非常に美しいクリアな考え方だと思うのですけれども、美しさを追求するあまり、結果として職業的なクリエーターが存立の基盤を失うようなことがあっては本末転倒だろうと私は考えております。著作権法は、もっと広範な利害を調整する場であってもよいのではないでしょうか。

また、本来であれば立法論なのかもしれませんが、解釈論としても、30条の4のただし書において、アイデアの盗用がもたらす権利者への不利益を侵害成否の考慮要素に取り込むことは、ぎりぎり許容されると考えます。前回の委員会で私から申し上げ、また先程福井委員と中川委員からも言及いただいたとおり、あくまで表現保護の枠内で、例外的にただし書きでアイデアに関する事情を考慮することは、アイデアそのものを直接保護しているわけではないので、決して従来の法体系を崩すものではないでしょう。たしかに、30条の4の立法の趣旨からは外れるところがあるかもしれませんが、しかし、その立法時に現在の生成AIにおけるような学習段階と生成段階の接着状況が想定されてなかったとしたら、今後は技術の進展に適した新たな考え方が30条の4に関して採用されてもよいのではないかと私自身は考えております。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

この点に関して、ほかの方の御意見等ございますでしょうか。

よろしいですか。

ここは、記載されている箇所からしても、開発・学習段階の行為を対象としているのでしょうが、これを開発・学習段階だけの行為で考えるべきなのか、あるいは生成・利用段階まで考慮して考えることができるのかどうかについて、意見の対立があるように思います。ただし、ここで問題にしている行為が開発・学習段階のことである自体に対して誤解が生じることがないようにするために、その点をもう少し明確にしたほうがよろしいのではないかと思うのですが、その方向でよろしいですか。

では、ほかの点でも結構ですけれども、何か御意見等ございますでしょうか。

麻生委員、お願いいたします。

【麻生委員】麻生でございます。29ページ上から2段落目の追加頂いた段落ですが、この1つ前の段落で「本ただし書に該当し、法第30条の4による権利制限の対象とならないことが考えられる」としており、本ただし書に該当し権利制限の対象とならないかどうかは断定されておりません。これに続けて、「この点に関しては、本ただし書の適用範囲が明確となることに資するよう」と記載してしまいますと、本ただし書に該当することが前提とされているようにも読めるかもしれないと思いまして、もしかすると、少し表現を変えた方がいいのかもしれないと思った次第です。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。もう少しやさしく書くということですね。

ほかにございますでしょうか。

では、上野委員、お願いします。

【上野委員】では、データベース著作物とただし書の関係について論じている箇所についてコメントしたいと思います。このあたりは非常に複雑な部分なのですが、私の理解は次のようなものです。主な点は前回も確認させていただいたのですけれども、そのような理解で間違いないか改めて確認させていただくとともに、1点だけ追記を御提案といいましょうか、お願いをしたいと思います。

26ページ目で始まる(ウ)には、「情報解析に活用できる形で整理したデータベースの著作物の例」とあります。これは令和元年に公表された著作権課さん名義の「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定に関する基本的な考え方」というものにおいて、既に「大量の情報を容易に情報解析に活用できる形で整理したデータベースの著作物」が現行法30条の4ただし書に当たる例とされており、その点は異論がないところですので、これに対応するものと理解できます。その後、27ページに(エ)というのが出てきまして、(エ)では、「本ただし書に該当し得る上記(ウ)の具体例について」と書かれております。ですので、ここにいう(ウ)も(エ)もいわゆる解析用データベース著作物について論じていると理解できます。もちろん、30条の4ただし書が、いわゆる解析用データベース著作物に限定されるかどうかという点については議論があるところですけれども、この文書は、その論点については取りあえず措くものとした上で、その論点についていずれの説に立ったとしても、ただし書きに当たることに異論のない解析用データベース著作物に該当するかどうかということを検討しているのだろうと思います。このこと自体は大変結構なことと思います。

その上で、これは前回も確認させていただいたのですけれども、この文書は、解析用の記事データベース著作物を直接コピーする行為ではないのだけれども、インターネット上にある個々の記事を大量に集めてくると最終的には解析用の記事データベース著作物の複製に至るという可能性があることを指摘した上で、そのような場合には、当該解析用記事データベース著作物の著作権の侵害になる、という論理であるということを前回も確認させていただいたところであります。

そのあたりのことが29ページ目のところに書かれております。前回会合後に、短期間ではありましたが、また委員の間での意見交換の場を設けていただきまして、ありがとうございました。その際、私の提案を受けて一部修正していただきまして、現状では、「推認される場合には、この措置を回避して、クローラにより当該ウェブサイト内に掲載されている多数のデータを収集することにより、AI学習のために当該データベースの著作物の複製等をする行為は、当該データベースの著作物の将来における潜在的販路を阻害する行為として、本ただし書に該当し、法第30条の4による権利制限の対象にはならないことが考えられる」という書きぶりになっております。ただ、私が前回の会合後に提案させていただいた点のうち、「複製等をする行為」の前に「当該データベースの著作物の」と入れていただく点についてはご対応いただきましたが、「本ただし書に該当し」の前のところに「当該データベースの著作物との関係で」という文言を入れる点については、ご対応いただいていないようですので、この点を改めてお願いしたいと思います。

といいますのも、この箇所は、どの著作物をコピーしたらどの著作物の著作権侵害なる可能性があるのか、ということを書こうとしているわけなのですけれども、先ほどの前者の点については「当該データベースの著作物の」という文言を入れていただいたので、個々の新聞記事を大量に集めてくると、データベース著作物の複製等に至るかもしれず、そのような場合は著作権侵害になる、ということが明確になったのですけれども、では、そこで一体どの著作物の著作権の侵害になるのか、ということについては、現状では書かれておらず、そのために多義的な読み方が可能になってしまっているように思います。

実際、ここで結構誤解があるのは、個々の記事著作物を収集したのだから、当該個々の記事著作物の著作権の侵害になると誤解している向きがあるようです。ひょっとしたら意図的な誤解もあるのかもしれませんけれども、この箇所で書かれていることはそのような趣旨でないということは前回も確認したところでありますし、委員の先生方の間でも異論がないと思います。

そうであるならば、くどいかもしれませんけど、そのような趣旨を明示するためには、先ほど申し上げましたように、「当該データベースの著作物との関係で」という文言を入れるべきであるように思います。この点は、前回の会合後の意見交換でも一応ご提案申し上げたのですが、事務局と座長が御相談なさった結果、日本語として分かりやすいものにするという理由で当該文言は盛り込まれないことになったようです。もちろん、分かりやすいことは大事でありまして、この文書を受けて、文化庁さんのほうでこの文書の概要版を作成されたりですとか、いろんな形で一般向けに分かりやすいご説明をしていかれるかと思うのですけれども、この文書それ自体は、もう既に極めて詳細なものになっていますので、ここまで来たら、いささかくどくても誤解が生じそうな事項については明示的に書いておくべきだろうと思います。

実際のところ、脚注37のところでは既に「個々の著作物との関係でただし書に該当する」という書き方をしていますので、この部分で、どの著作物との関係でただし書きに当たるのかという点を明示している以上、本文でも「データベースの著作物との関係で」という文言を「本ただし書に該当し」の前に書く、すなわち、「当該データベースの著作物との関係で本ただし書に該当し、法30条の4による権利制限の対象とはならないことが考えられる」という記述にしていただくことを、提案というか、お願いしたいと思います。

あわせて、脚注37について、これは私の提案を受けて書いていただいて、現状では「指摘」としていただいてはおりますけれども、先ほど確認させていただいたように、「個々の著作物との関係で本ただし書に該当するわけでない」という点は本小委員会において異論がないかと思いますので、そのような「指摘があった」ではなく、むしろ「個々の著作物との関係で本ただし書に該当するわけではないことに留意すべきであるとの指摘があった」というようにご修正いただければと思っております。

もしこの点について、ここにいらっしゃる委員の中で異論や議論があるといたしますと、これは大きな問題でありまして、改めてここで議論し直さなければならないわけですけれども、前回の事務局の御説明によると、この箇所で、ただし書きに当たり侵害になると論じているのはあくまでデータベース著作物の著作権の話であるということでした。それがまさに、改正前47条の7ただし書や令和元年の「考え方」にも書かれていることで、それは現行法30条の4ただし書きに当たることに異論のない解析用データベース著作物に相当するものでありますから、この文書はあくまで従来の議論の枠内にあるという点で筋が通る話だと私は理解しております。そのような意味でもこの点は重要なことと思いますので、先ほどのような追記を御検討いただくことをお願いしたいと思います。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ここの趣旨は上野委員がおっしゃったとおりであると思います。

ほかにございますでしょうか。

では、澤田委員、お願いします。

【澤田委員】今上野委員がおっしゃった点については私も同意見であります。

別の点として、27ページ目の脚注32を追記いただいているんですけれども、robots.txtで制限されているかどうかということと販売されているかどうかということとの関係性がちょっと分からないところがございます。販売されているかどうかがよく分からないという状況というのもあまり考えにくいですし、robots.txtの有無で販売されているかどうかを推認するというのはいささか違和感があるところでございます。

仮にこういった議論があるとすれば、情報解析用にデータベースの著作物を販売している場合にはrobots.txtで制限するのが一般的であるという状況が存在して、クローリングしたときに、まさか情報解析用のデータベースの著作物にrobots.txtがついてないなんて思ってもいない、という意味で過失を否定する要素として、robots.txtがついてないという事実が考慮されるということであれば何となく理解はできます。もっとも、販売されているかどうかという事実に関して、robots.txtの有無がそれを推認を否定したりするというところについては違和感がありますので、この点については御検討いただければなと思っております。

以上です。

【茶園主査】では、事務局において検討していただくことで、よろしいですか。

ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、先に進めたいと思います。続きまして、資料2-2の今度は5.(2)生成・利用段階について、この部分について御意見等がございましたらお願いいたします。2-2の資料でいいますと35ページ以下というところになりますけれども、何か御意見等ございますでしょうか。

では、中川委員、お願いします。

【中川委員】ありがとうございます。見え消し版の38ページの最終行、カから始まる項目でございます。「差止請求として取り得る措置について」ということで、39ページ以下で具体的な記載があるところです。そのうち白丸の2つ目と3つ目のところに、「AI開発事業者が規範的行為主体として著作権侵害の責任を負う場合において」と加筆いただいております。これに関しては、従前の検討の中で、私からは、脚注53にございますように、特にAI生成物の生成については事業者が物理的な行為主体と評価できる場合もあるのではないかというコメントを従来させていただいていたところだと思います。仮に物理的行為主体と評価できる場合があるとすれば、これは白丸の2つ目、3つ目については別に規範的主体の場合に限るわけではなくて、当然物理的主体の場合であればなおさらこういった措置を受けることになろうかと思います。これは別に修文を求めるというわけでは必ずしもありませんけれども、そういう趣旨だと私としては理解しているというところでございますので、今回の加筆が何か殊さら物理的主体ということを否定するとか、そういう趣旨で修文されたものではないと一応承知しておりますので、そういう観点からコメントさせていただきました。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、ありがとうございました。続きまして、資料2-2の5.(3)生成物の著作物性と(4)その他の論点、そして6.、これらの部分について御意見等がございましたらお願いいたします。

これは見え消し版の資料2-2の42ページから最後までですけれども、御意見等ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、上野委員、お願いします。

【上野委員】一番最後の「6.おわりに」につきまして、この「考え方」は、今回非常に短期間ながら、新しい問題について考え方を示す必要性が高いということで、我々も頑張ってきたわけではありますけれども、ここに書かれている技術的な前提もすぐに古くなってしまうかもしれませんし、今後さらなる技術の発展や社会の変化も非常に大きなものがあると予想されます。

したがって、現在の書きぶりでも「引き続き情報の把握・集中に努め、必要に応じて本考え方の見直し等の必要な検討を行っていくこととする」と書かれておりまして、これは大変重要なことだと思っております。

ただ、「必要に応じて」という書き方は若干控え目でありまして、実際には、この議論をもう一度再開することが少し難しくなってしまわないかと思っております。あの激論をもう1回やるのか、みたいな話になってしまいかねないような気もいたします。そうであれば、継続的な検討を予定する手もあるのではないかと思います。実際のところ、状況は日進月歩でありまして、来月だって、来年だって、すぐに状況は新しくなると考えられます。よく法令改正などでも、将来の状況の変化に対応するための見直し条項が設けられておりまして、1年を経過した後に見直すといった条項が附則に入ることがあります。そういう文言がこの文書の記述として妥当なのかどうかは分かりませんけれども、継続的な検討を促進するものとして検討に値するかと思います。あるいは、令和元年の著作権課の「考え方」においても、その表紙に、「事例の蓄積の状況等を踏まえつつ定期的に内容を更新していくことを予定している」と記述されているところです。他方、この文書のように、「必要に応じて」というと、本当に必要が生じないとなかなかやらないみたいに受け止められたり、あるいは、内容の見直しがむしろやりづらくなってしまいはしないかと思ったりするところであります。

なお、経産省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、これは私も関与しておりましたけれども、かなり定期的にアップデートされているところであります。定期的にアップデートすることが予定されていれば、そのための議論もやりやすくなりますし、そうであれば、今回の文書でも強調されている民間のステークホルダー間の協議というのもより進むことが期待できるのではないかという気もいたします。もちろん、この議論は決してこれで終わりではないという認識は共有されているとは思うのですけれども、そのことをより明確な形にするべく、最後の記載ぶりを工夫いただくことを提案したいと思いますし、この点に関するほかの先生方の御意見もお聞きしたいと思います。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

この点につきましても、何か御意見、ほかの御意見等ございますでしょうか。

では、今村委員、お願いします。

【今村主査代理】ただいま上野委員からあった意見に全く賛成でございまして、この考え方を示した後の技術の発展等による、AI開発に対する影響という部分もあると思うんですが、さらにクリエーターの方の環境が悪くなり、適切な保護が図れないという事態も、両方生じ得ると思うんですね。

それから、追記していただいた俳優・声優等の、これは主に隣接権の問題であると思うんですけども、あとは著作者人格権の問題についても、相互に関連する論点もあると思うんですね。

ですから、そうした権利との関係も含めて、やっぱり利用者側、あるいは開発側にとっては、著作権だけに着目して技術開発できるわけでもありませんし、他方で、著作者、著作権者側も、著作権だけが侵害対象になるわけではなくて、特に狙い撃ちしてAI学習させるような事案などでは、著作者人格権との関係でもいろいろな問題を含んでいるような気もします。ですので、トータルでAI開発と著作者の権利の保護とのバランスを図っていく上では、これまでしてこなかった議論の部分との関係も含めて、「必要に応じて」という部分について、少し柔軟に検討する機会を設けてもいいのではないかなと思います。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

最初にこのような文章を行政が出すということの意味について議論がありましたが、私自身は、AIという、今までなかったものが急速に普及したことにより、一体どうなるかと、多くの人々が懸念を持っており、こういう状態であれば、今まで行政がしてこなかったような、深い考え方を示すということが必要であろうと思っています。ただ、今後、事例などが積み重なって、また民間において様々な議論が行われていけば、行政はそれほど前面に出ないほうが望ましいという考え方もあると思います。したがって、このような文書を行政が作成し続けることが今後も必要かどうかは、いろいろな御意見もあるでしょうし、その点について考えないといけないと思っております。

この点について何かさらに御意見ございますでしょうか。

では、羽賀委員、お願いいたします。

【羽賀委員】羽賀でございます。遅ればせでございますが、私もこの資料を昨日拝見しまして、ここまでまとめてあることに大変驚嘆いたしました。事務局の皆様、誠にありがとうございます。

さて、今の点でございますけど、私も上野先生、今村先生に賛成でございまして、また、おそらく茶園先生がおっしゃっていることにも沿うことだと思うんですけれども、詳細なページ数は即座にはわからないのですがどこかに記載があったか通り、海外の状況も日進月歩で動いているところでございますので、やはりアップデートが必要になってくるかと思います。今回大変たくさんの御意見を皆様からいただいていまして、世間の関心があるテーマであるところ、検討が止まったままではないかと思われてしまうことは、おそらく文化庁としても本意ではないだろうと考えております。

ですので、このような状況の変化を踏まえて、これからもアップデートをしていくというようなメッセージを出してもいいのではなかろうかと考える次第です。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

この点についても、あるいはほかの点でも結構ですけども。

島並委員、お願いいたします。

【島並委員】ありがとうございます。今後も継続的な議論が必要という点は、AI関連技術の進展速度に鑑みると当然でございまして、大いに賛成であります。その上で、素案6「おわりに」の2つ目の丸には、今回の素案は、現時点において直ちに「立法論をその内容とするものではないが」というくだりがございます。このように立法論が除外された理由は、「現行法の枠内で取りあえずどうなるかを示してください」というのがこの小委員会に付託された諮問事項だったからでありまして、逆に今後の議論の中では、立法論が阻まれるわけではないのだろうと思います。

ですので、例えば「本考え方は、あくまで現行法の枠内で、著作権法に関する従来の一般的な考え方にしたがい検討した結果である」ということを明示していただき、かつ、「さらには状況の変化に応じて、今後は立法論についても検討を実施する必要がある」といったくだりも入れていただければと考えております。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかに御意見等ございますでしょうか。

では、𠮷田委員、お願いします。

【𠮷田委員】𠮷田でございます。本当に私自身もまだまだ勉強不足なところがございますので、非常に多くの勉強する機会をいただいたと思っています。先生方の御意見に私も賛同するところが多いです。「おわりに」の記載についてのご意見がございましたけれども、「はじめに」のイントロダクションの書き方も重要で、全体につながっていくのだと思いますが、今回の問題はどうしても委員会の指針という形で受け取られる部分があると思うのですが、例えば、3ページの生成AIと著作権の関係、これは民間の当事者間のガイドラインで今後策定され、考え方が整理されていくものだと追記されていると思います。

まさにそういったガイドラインが今後策定されていく場面において、日進月歩の技術を含めながら、著作権の考え方を皆さんが活かしていくことができる、そういった提案書のような位置づけになればいいかと考えております。

一方で、踏み込みすぎているという御意見もあろうかと思いますが、やはりプレーヤーというのはこの委員会だけではなく、社会の中でつくり上げていく必要があります。そのための1つの指標として、民間におけるガイドライン策定に役立てていただいたり、その過程で現実と異なる問題がある場合は見直す必要があろうかと思いますので、その際に必要な検討ポイントとして今回の考え方を参考にしていただく。何を決めていくべきかということを今まさに考えていくところだと思いますので、進むべき方向へ明かりを灯す役割として、皆で考えていくきっかけになればと考えています。そういった趣旨で始まった委員会でもあったかと思いますので、今後も持続的な議論が行われていくものという前提で、今回の考え方をまとめる形になるかと受け取っております。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

では、事務局、お願いいたします。

【籾井著作権課長】事務局でございます。まず冒頭、たしか上野先生がこのタイトルのことをおっしゃったと思うんですけれども、「(素案)」となっていまして、これが今日の議論を経て素案が外れるというものではなくて、今の状況を踏まえますと、日付は変わりますけれども、「(素案)」のままでいくというものでございます。

それから、今、委員の皆様から御指摘をいただきました継続的な議論とか、必要に応じて見直しというところは、「おわりに」の部分でもいろんな状況に鑑み議論していきますと記載しています。必要に応じてというところが若干慎重に読めたのかなというところはあるんですけれども、いろんな状況がどうなっていくか分からないこと、それから、先ほど主査からも御指摘がございましたように、民々の議論がどのように進んでいくかも分からない中で、あまり断定的に、こちらからいつ見直しますみたいなことは書かずに、状況をまさに見ながら必要に応じて見直しをしていくという趣旨で書かせていただいているところでございます。ちょっと補足として説明させていただきました。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。

上野委員、お願いします。

【上野委員】タイトルに「(素案)」というのが残るという御説明をいただき、どうもありがとうございました。そうしますと、この場合の「素案」というのはどのような意味に理解すればよいのでしょうかね。この文書は本小委員会として今回確定し、この文書の見直しに関する継続的な検討は予定されていないというお話だったかと思いますし、また、もともと第4回会合で示された「骨子案」の次の第5回会合で出てきたこの「素案」は、検討中のものという意味で「素案」と書かれているものと思ったところでもありまして、さらに、語義からいたしましても、「素案」というのは、あくまで検討の素材としての案という意味になるかと思うのですけれども。

【籾井著作権課長】すいません、素案という言葉が適切かどうかというのは御議論の余地はあると思うんですけれども、「はじめに」のところでこの文書の位置づけを記載をさせていただいておりますけれども、あくまでも現時点での考え方だということで、確定版みたいな印象にならないようにという趣旨での素案ということでございます。

【上野委員】令和元年の著作権課の「考え方」におきましても、「定期的に内容を更新していくことを予定している」と書かれていて、あくまで現在の考え方を示したということになるかと思うのですが、そのタイトルには別に「素案」とはなっておりません。けれども、今回の文書はそれと異なって……。

【籾井著作権課長】すいません。「おわりに」の部分に継続的に議論していきますということは明示的に記載をしてあったと思うんですけれども、そうですね、45ページの4つ目の丸のところで「議論を継続していくことが必要である」ということは記載をしております。

【上野委員】それで、令和元年の「考え方」では、そのタイトルに「素案」とは書いていないわけですよね。今回あえてそれをつけるということの違いについてお伺いしている次第です。

【籾井著作権課長】今回、通常でありますと審議会の議論って、諮問があって、それに対する答申ということで最終報告みたいな形でまとめるんですけれども、今回は諮問を受けたものではなく、世の中の懸念払拭のニーズがあって求められて、一定の解釈を示すものだということで、従来の諮問、答申みたいな報告の中でつくられる報告書とは少し位置づけが違うものだということで、こういう形で整理をしております。

【上野委員】ほかの委員の先生方が特に違和感なければ、私自身は強くこだわるものではございません。ただ、この問題に関する議論については継続するとしても、この文書に関しては本委員会として今回確定するわけですので、これを「(素案)」のまま公表するというのは、いささか気になるなとは思う次第です。

以上でございます。

【茶園主査】私自身は、先ほど申しましたように、継続的にアップトゥデートするというのはいかがなものかと思っていますが、そのような点とは無関係に、この文書は現時点における考え方であることは明らかであり、それは素案と書くかどうかで違いはないのではないかと思います。ただ、行政のこれまでの文書のタイトルのつけ方として、素案といったものが慣例であればそれを踏襲すればよいと思いますが、慣例のようなものがないのであれば、素案は削っても全然問題がないし、むしろ削ったほうが分かりやすいのではないかと思いました。

福井委員、お願いします。

【福井委員】聞こえの問題で議論についていけているかいまひとつ自信がないんですけれども、理解したところでいうと、素案をつけたままでいくかどうか。どちらもあり得ると思うんですが、主査や、あるいは上野先生の御懸念と共通するのかと思いますけれども、「(素案)」がついていると、いずれ本物が出るんだろうなと期待する人たちは多いだろうから、例えば引用や言及するときにちょっとちゅうちょを感じたり、余計なサイドエフェクトが生まれないかなということを感じました。

それからもう一つ、見直しの議論がありました。私、いわゆる見直しとアップデートは違うんじゃないかなと思っておりまして、この問題については、継続的なアップデートはぜひ行われていくべきです。そうでないと一体いつ見直しが必要になるのか判断がつかない。過去、政府の議論では、1回何かの考え方をまとめてしまうと、アップデートすらあんまり行われなかったという例があると思うんですね。そうすると、見直しの時期を見失うわけです。

ですから、アップデートはぜひ継続的に、別にそのための委員会を立ち上げる必要は必ずしもないので、法制度小委員会の中で、AIと著作権に関してこんな論文が出ておりますとか、こんな議論が海外でありますというようなことがアップデートされていく。これはただいまから尽きることなく続ければいいことじゃないかなと感じます。

見直しはその中で必要性を感じたときに行うのが本来であろうかと私は感じました。その理由の1つは、主査がおっしゃったように、今後、主役はある程度民民に移っていくべきじゃないかという思いもあります。

私からは以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかに御意見等ございますでしょうか。

では、中川委員、お願いします。

【中川委員】ありがとうございます。私からも強い意見ということではございませんが、私のイメージとしては、本日まで案として検討してきたものを本日まとめるというようなイメージでおりましたので、単純に今日の時点で素案というのが外れるというのが何となく私のイメージには近いかなという程度の、それ以上の強い意見ではございませんが、そういったイメージでおりました。

続いて、今後の検討についてでございますが、福井委員がおっしゃったところは、私ももっともだと思います。そこと必ずしもかみ合っていないかもしれませんが、見え消し版の45ページで、「俳優・声優等の声を含んだ実演・レコード等の利用とAIの関係等も含む」と記載いただいております。私の理解では、隣接権をこの検討の中で明示的に除外してきたわけではないと理解しておりますが、他方で突っ込んだ議論がされたかというとそうではないとも思っておりまして、それを踏まえてこう言った記載をしていただいたということになると、じゃあ、隣接権の検討はいつしてくれるんだという、そういった要望というか、疑問は出てくるのが自然なのかなと思っていますので、そこに対する何らかの対応は求められるというのが自然な流れではないかと感じました。

以上です。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、どうもありがとうございました。

では、最後に、資料全体を通しまして御意見等がございましたらお願いいたします。

よろしいでしょうか。

では、𠮷田委員、お願いします。

【𠮷田委員】公式見解がどの程度までなのかというところもあるかと思うのですが、今回、諸外国の状況とかいうのもいろいろ織り込んでいかれるというところで、よく外国の方から日本の状況はどうですかと尋ねられることがあります。もし可能であれば、外国向けの発信というようなことも、今後の予定としておありかどうか教えていただければと思います。

【籾井著作権課長】ありがとうございます。きちんと諸外国の皆様にも日本の考え方を理解していただくことは必要だと考えておりますので、外向けの説明の材料というのは用意したいと思っております。この素案丸々翻訳ということでは必ずしもないかもしれませんけれども、一定の資料は、ちょっと今まだできてないんですけども、これから御用意をさせていただきます。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

では、どうもありがとうございました。

それでは、これにて議事(1)は終了とさせていただきますけれども、その他、何かございますでしょうか。

それでは、本日いただきました御意見を踏まえまして、若干の修正を行った上で、本小委員会における報告として取りまとめるということにしたいと思います。

修正につきましては、申し訳ありませんけれども、主査である私に御一任いただくということにお願いしたいのですが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】どうもありがとうございます。

それでは、速やかに修正して、取りまとめさせていただきます。

では、続きまして、議事(2)の令和5年度法制度小委員会の審議の経過等について、これにつきまして議論を行いたいと思います。

事務局において審議経過報告案を作成いただいておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。

【持永著作権課長補佐】事務局でございます。資料3を御覧いただければと思います。令和5年度法正度小委員会の審議の経過等についての案となります。こちら、法制度小委員会のクレジットでまとめて公表することを考えております。

では、内容ですけれど、1.「はじめに」のところでは、法制度小委員会で審議を行ってきた内容について、項目について記載しております。(1)がDX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元に係る法制度について、(2)生成AIと著作権に関する論点整理についてということで記載させていただいております。

こちらですけれど、今年度結論が得られてない課題については、来年度以降も引き続き検討を行うこととするとさせていただいております。

次、2.の「課題の審議状況について」ですけれど、こちらの内容としては、(1)については、第1回の法制度小委員会で議論いただきましたけれど、令和5年著作権法改正におけるアウトオブコマースの取扱いについてですけれど、アウトオブコマースに含まれるものについて、当事者が明確にその範囲を特定できるよう、3段落目、①、②がその中に含まれるという方向性が示されたという記載をさせていただいております。

次、(2)ですが、本日も御議論いただきましたが、生成AIと著作権に関する論点整理について御議論いただいておりますので、その状況について記載させていただいております。

こちら、クリエーターの懸念の払拭や、AIサービス事業者やAIサービス利用者の著作権侵害のリスクを最小化できるよう、今まで複数検討を行ってきておりますので、そういった内容を記載させていただいております。

ここまでの回数でありますとか関係者からヒアリング等を行ったということについても、記載させていただいておりまして、最後の段落にありますけれど、今後、著作権侵害等に関する判例・裁判例をはじめとした具体的な事例の蓄積、AIやこれに関連する技術の発展、諸外国における検討状況の進展などが予想されることから、これらを踏まえて、著作者人格権や著作隣接権とAIとの関係においても検討すべき点の有無などを含め、引き続き検討を行っていく必要があるということについても記載させていただいております。

こちらがこの資料についての説明となります。

以上です。

【茶園主査】どうもありがとうございます。

では、今御説明いただきました審議経過案につきまして、御意見等ございましたらお願いいたします。

よろしいでしょうか。

では、事務局からお願いします。

【持永著作権課長補佐】すいません、ちょっと1点だけ、訂正ですけど、先ほどの資料のところで、今、御議論いただいていた、「AIと著作権に関する考え方について(素案)」ということで言及しておりますけれど、この名称、変更する可能性がございますので、そこの記載だけは主査と調整の上、適宜直させていただきます。すいません。

【茶園主査】この部分について修正があるかもしれないということで御了解ください。

では、最後に事務局より1点御報告があるということですので、参考資料7について説明をお願いいたします。

【持永著作権課長補佐】事務局でございます。参考資料7、御覧いただければと思います。先ほどの審議経過報告案のとおり、生成AIと著作権に関しては引き続き検討を行う必要があるとさせていただいておりまして、その中で諸外国のAIと著作権に関する状況について、今後の検討のための基礎資料とするべく、今、まさにですけれど、文化庁で委託事業として「AIと著作権に関する諸外国調査」を実施しております。本日はその実施概要を簡単に御報告させていただければと思います。

本調査は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して実施しておりまして、調査期間は令和5年8月から令和6年3月末までとなっております。まだ期間終わっておりませんので、こちらで報告ということはできないのですけれど、今年度末までには報告が上がってくると思います。

調査対象国・地域は、EU、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、シンガポールでありまして、文献・インターネット調査に加えまして、各国の有識者へのヒアリングを行っております。

主な調査事項としましては、AI開発・学習段階と生成・利用段階の双方にまたがる事項として、AIに関する規定、生成AIサービスの運用実態、関連裁判例、今後の動向などを調査しております。

また、AI開発・学習段階については、営利・非営利などの目的要件でありますとか、透明性要件、オプトアウト、権利者に対する補償金などについて、それぞれ各国における、その有無や条件などを調査しております。

生成・利用段階については、AI生成物の著作物性や著作権侵害の判断基準、AI生成物であることの明示に関する事項などを調査しております。

以上がこちらの調査の概要となります。

【茶園主査】ありがとうございます。

この点につきまして、御質問等ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。

では、その他、全体を通しまして、何かございますでしょうか。

他に特段ございませんようでしたら、本日は今期最後の法制度小委員会ということでございますので、私から一言御挨拶を申し上げたいと思います。

今期は、本日もそうでしたけれども、AIと著作権に関する問題に多くの時間をかけていただきました。この問題につきましては、先ほどのパブリックコメントに対する意見が2万5,000件という極めて多くなっておりまして、このことは、この問題について、多くの人々が関心を持ち、また様々な懸念を抱いているということを示しているのだろうと思います。

本日まとめていただきましたAIと著作権に関する考え方(素案)につきましては、私自身は、多くの人々が抱いている懸念の解消に大きく役立つのではないかと考えております。

活発な御議論をしていただきまして、このような文書を取りまとめるのに御尽力いただきました委員の先生方には心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

では最後に、中原文化庁文化戦略官からも一言御挨拶をいただければと思います。

中原様、よろしくお願いいたします。

【中原文化戦略官】今期の本小委員会を終えるに当たりまして、一言、御礼を申し上げたいと存じます。

本小委員会におきましては、今年度は計7回にわたりまして、「DX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元に係る法制度について」、及び、そして「生成AIと著作権に関する論点整理」につきまして、法制的な面から非常に精力的に御議論をいただいたところでございます。

審議に当たりましては、著作権者の皆様や、それから事業者の皆様、そして多様な関係者の皆様からヒアリングを行わせていただきまして、審議事項につきまして幅広く重要な御示唆を頂戴することができました。関係者の皆様には、この場を借りまして深く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

この小委員会におきましては、特にAIと著作権に関する考え方について御審議をいただき、これまでにない新しい、また難しい議論も相当数ございました。しかし、皆様方に丁寧に議論を進めていただいた結果、本日のような基本的な考え方の内容について御理解を賜ったものと理解しております。

今後、著作権分科会の報告を経まして、引き続き議論の結果も踏まえまして周知・啓発などを行っていきたいと考えております。

委員の皆様方におかれましては、今期のこの小委員会の充実した御審議のために多大な御尽力を賜りましたことに改めて感謝を申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

【茶園主査】中原様、どうもありがとうございました。

では最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【持永著作権課長補佐】先ほど中原からもありましたが、本日が最後となりますので、また来期以降どうするかということにつきましては、決まりましたら、委員の皆様、どうなるかというのもまだ決まってはおりませんけれど、必要に応じて御連絡させていただければと思います。

以上です。

【茶園主査】それでは、以上をもちまして、第23期文化審議会著作権分科会法制度小委員会を終了とさせていただきます。

本日も活発な御議論どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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