放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(第4回)

日時:令和2年10月12日(月)

17:00~19:00

場所:文部科学省旧庁舎

AP虎ノ門Jルーム

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)中間まとめ案について
    • (2)その他
  3. 閉会

配布資料一覧

資料1
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する制度改正等について(中間まとめ案)(327.9KB)
資料2
第20回規制改革推進会議投資等WG(令和2年10月5日)における意見概要(182.5KB)
参考資料1
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム委員名簿(209.1KB)
参考資料2
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチームにおける審議スケジュールのイメージ(193.5KB)
参考資料3
「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」に関する検討に当たっての基本方針(令和2年9月4日放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム)(183.7KB)
参考資料4
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(第2回)ヒアリングにおける権利者の意見概要(387.4KB)
参考資料5
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(第1回から第3回まで)における委員の意見概要(290.2KB)
参考資料6-1
総務省提出資料(「放送コンテンツの同時配信等における権利処理円滑化に関する放送事業者の要望 取りまとめ」概要)(211.3KB)
参考資料6-2
総務省提出資料(放送のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する放送事業者の要望 取りまとめ)(別紙を含む)(598.5KB)
参考資料7-1
放送事業者(NHK及び民放在京キー局等)からの要望に関する現行制度等の状況について(220.9KB)
参考資料7-2
参照条文(229KB)
参考資料8
放送の同時配信等に関する諸外国の制度概要(一部修正)(370.3KB)
参考資料9
放送の種類と規律について(総務省提出資料)(160.7KB)
参考資料10
放送番組のインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化について(措置の方向性など)(第20回規制改革推進会議投資等WG(令和2年10月5日)文化庁説明資料)(617.2KB)

議事内容

【末吉座長】ただいまから,文化審議会著作権分科会基本政策小委員会放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(第4回)を開催いたします。本日は,新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。御多忙の中,御出席をいただきまして誠にありがとうございます。

議事に入る前に,本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方々にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところでありますが,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉座長】ありがとうございます。

それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

傍聴される方々におかれましては,会議の様子を録音・録画することはどうか御遠慮くださいますようお願い申し上げます。

本日も前回同様,三谷文部科学大臣政務官に御出席いただいております。三谷政務官より一言御挨拶をお願いいたします。

【三谷文部科学大臣政務官】皆さん,こんにちは。文部科学大臣政務官の三谷英弘でございます。第4回ワーキングチームの開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。

前回もこのワーキングチームに参加をさせていただきましたけれども,委員の皆様のそれぞれの御専門のお立場から,同時配信等の円滑化とクリエーターへの対価還元を両立すべく,非常に前向きかつ精緻な御議論を熱心にいただいているということに感銘を受けております。また,心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

今回は,これまでの議論を踏まえまして,中間まとめに向けた詰めの議論を行っていただくことになります。私自身は途中で今回,中座させていただくことになりますけれども,後ほどしっかりとフォローをさせていただく予定としております。

引き続き,視聴者,放送事業者,クリエーターの全ての方々にとって利益となるような制度改正等に向けて,忌憚のない御意見を賜ればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【末吉座長】ありがとうございました。

事務局に人事異動があったようでございますので,事務局からその紹介と,あわせて,配付資料の確認をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それでは,まず,人事異動の御紹介をいたします。

10月1日付で文化庁次長としまして矢野和彦が着任をしております。

【矢野文化庁次長】矢野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に記載の配付資料の一覧を御覧いただければと思います。

まず,資料1といたしまして,本課題に関する中間まとめ案をお配りしております。また,別途資料2といたしまして,先日開催された規制改革推進会議投資等ワーキング・グループにおける意見概要をお配りしております。

参考資料については,個別の紹介は割愛いたしますが,検討に当たっての基礎資料を幅広くおつけしております。

不備などがございましたらお伝えいただければと思います。

【末吉座長】それでは,議事に入りますが,初めに,議事の段取りについて確認をしておきたいと思います。

本日の議事は,1. 中間まとめ案について,2. その他の2点となります。

事務局で,これまでの本ワーキングチームでの議論を踏まえ,本件に関する制度改正等についての中間まとめ案のたたき台を用意していただいています。

また,先日5日月曜日に開催された規制改革推進会議投資等ワーキング・グループで本課題が議論されています。あわせて,事務局より御説明をお願いします。

【大野著作権課長補佐】それでは,資料1と2に基づきまして御説明をいたします。

まず,資料2のほうから御紹介をさせていただければと思います。

先週,10月5日に第20回規制改革推進会議投資等ワーキング・グループが開催をされておりまして,そこでいただいた意見の概要を整理しておりますので,御紹介をいたします。既にお目通しいただいているかと思いますので,簡単に御紹介をします。

まず,1つ目の丸から3つ目の丸は許諾推定規定に関する御意見でございます。様々な観点から御指摘をいただいておりますけれども,共通しているのは,放送事業者がこの規定を使いやすいように,明確なルールづくりをすべきという問題意識でございます。

4つ目の丸は,アウトサイダーの補償金付権利制限規定の制度設計に関しまして,放送事業者の意見をよく聞くべきという御意見でございます。

5つ目は,見逃し配信を対象に含めるべきという御意見でございます。

その下は,裁定制度の見直しをきっかけにして,権利処理,権利情報のデジタル化全般を進めていってほしいという御意見でございます。

その下は,少し広い視点の御意見でございまして,ネット配信というパイを広げて対価の分配を実現させれば,国民,権利者,放送事業者全てがウィン・ウィンとなるため,そうした点を権利者にも理解をいただくために,文化庁,総務省,放送事業者が一丸となって調整を行うべきという御意見でございます。

次の丸は,無料配信だけでは大幅にパイが増えないと考えられるため,有料配信をことさらに対象から外すのではなくて,丁寧に取扱いを検討したほうがいいという御意見でございます。

その下の丸は,詳細な制度設計に関しまして,専門家によく相談をして細部に間違いがないようにしてほしい,また,ビジネスモデルが不明な部分があるため,将来にかけて制約をかけないよう開かれた制度にすべきという御意見でございます。

最後の丸は,現時点では合理的な措置だと思うけれども,運用してみた後で,必要に応じて見直しを行う機会を設けるべきという御意見でございます。

続いて,資料1について御説明をしたいと思います。

前回のワーキングチームでお示しした資料を基に,その後いただいた御意見,それから今御紹介した規制改革推進会議での御意見などを踏まえながら,中間まとめの案を事務局として御用意したものでございます。これまで共通認識になっていた部分が多いかと思いますので,追記,修正などをした部分を中心に御紹介したいと思います。

まず,冒頭におきましては,幅広い関係者からのヒアリングを行った上で集中的に議論を進めてきた結果として,制度改正等の方向性をまとめたものである旨,記載しております。

また,次の段落では,今後の予定としまして,年内を目途に具体的な制度設計等をまとめられるよう,さらに議論を深めること,その際には,あわせて,関連条約との整合性についても精査を行う旨,記載をしております。

次の1ポツ,基本方針は基本的に前回の資料と変わっておりませんけれども,3つ目の丸の4行目あたりから記載を追加しております。「その際には…」という部分でございまして,多様なサービス形態や実態の変化等に柔軟に対応できる仕組みを構築すること,また,クリエーターによる継続的な創作活動等を可能とし,著作物の創作,流通,利用のサイクルを維持・活性化する観点から,放送事業者からクリエーターに対して適切な対価が支払われるようにすることが極めて重要であるという記載を追加しております。先ほど御紹介した規制改革推進会議での意見も踏まえまして,制度設計に柔軟性を持たせることと,クリエーターへの対価還元が重要であることを強調して記載しているものでございます。

次の2ポツ,課題の整理につきましては,細かい文言の修正を行っておりますが,内容の変更はありませんので,割愛をいたします。

続いて,2ページから3ページにかけて,3ポツ,今後の検討の進め方でございます。

2ページに記載のところは,特段修正はありませんので,3ページを御覧いただきたいと思います。

1つ目の丸の3行目あたりから記載を追加しております。「また…」という部分ですけれども,制度改正を行った後も,同時配信等の実施状況等を丁寧にフォローアップしつつ,必要に応じ,さらなる対応の検討を行うことも求められるものと考えられるという形で,直近の制度改正を行った後もフォローアップをし,検討を進めていく旨を明記しております。

また,次の丸におきましては,先ほど規制改革推進会議でも御指摘ありましたように,今回の対応をきっかけに,権利情報のさらなるデジタル化・集約化など,様々な場面での利用円滑化に資する取組についても検討を進めていくことが望まれるという形で,少し広い視点に立った取組についても言及をしております。

続いて4ポツ,制度改正の方向性でございます。

まず,総論として対象とするサービスの範囲について記載をしておりますが,まず冒頭に記載のとおり,同時配信,追っかけ配信,一定期間の見逃し配信を対象とすることが基本ということで共通認識が図られていたかと思います。

幾つか個別の論点について追記などをしておりますので,順に御紹介をいたします。

まず,このページの一番下あたり,マル1と書いている部分の2つ目のポツで見逃し配信の期間についての取扱いを記載しております。見逃し配信については,あくまで,その後の放送番組の視聴にキャッチアップするために放送との時間的な近接性を持って配信されるものであるという性質を踏まえ,過度に期間が拡大しないよう注意しながら,実態に即した柔軟な期間設定を可能とすべきとしております。具体的には,毎週放送の番組を念頭に1週間を基本としつつ,月1回放送の番組は1か月するなど,様々な形があり得るかと思いますが,典型的なものを例として記載しております。

続いて,4ページに参りまして,マル2からマル5までは特段修正などございませんので,割愛をいたします。

マル6,対価の徴収の有無につきましては,これまでも無料配信を念頭に議論がされてきたところでございますが,より記載を丁寧に行っております。視聴者の利便性をはじめとした検討に当たっての視点を踏まえ,同時配信等について直接の対価を視聴者から徴収しない無料配信サービスを対象とすることを基本とする。ただし,同時配信等の実態等に応じて迅速・柔軟に対応できる余地を残しておく必要もあると考えられるという形で,無料配信サービスを基本としつつも,少し柔軟に対応できる余地を残した記載にさせていただいております。

次に,マル7,ラジオ,衛星放送,有線放送等の取扱いでございます。ここも少し丁寧に記載を行っております。

こうしたサービスにつきましては,放送関係団体からは地上波テレビ放送と同様に取り扱ってほしいという意向が示されております。一方で,権利者団体からは,ニーズが不明確という御意見や,音楽配信ビジネスなどとのバッティングを懸念する意見も示されておりますので,その旨,記載をしております。

また,2つ目のポツでは,実態面としまして,ラジオに関してはライセンスに基づく権利処理が着実に構築されてきた経緯があること,また,番組の内容,構成,視聴に当たっての対価徴収など,地上波テレビとは少し差異があるということも記載をしております。

他方で,3つ目のポツにありますように,明確なニーズがあり,権利者の利益を不当に害しないサービスについては,今回の見直しの趣旨を考慮しますと,可能な限り対象に含められるようにする必要があると考えられること,一方で,現状では,必ずしも実態把握など進んでおりませんので,今後改めて丁寧に実態把握等を行った上で,それぞれのサービスの取扱いについて検討を深めることとしております。この点については,11月以降,制度設計の詳細を詰める中で,改めて御議論をお願いしたいと思っております。

続いて,5ページに参りまして,各論(各課題ごとの対応)でございます。

まず,(1)権利制限規定の拡大につきましては,冒頭にありますように,基本的に全ての規定について同時配信等への適用拡大を行うこととしております。

マル1,34条1項につきましては,特に公益性の高い場面について定めるものであって,権利者団体から個別に反対意見もありませんので,同時・追っかけ・見逃し配信全てを対象に含めることとしております。

マル2,38条3項につきましては,少し慎重な取扱いが必要かと思います。2つ目のポツにありますように,特に後段(通常の家庭用受信装置を用いる場合)につきましては,複数の権利者団体から適用拡大に反対する意見,現行規定自体の見直しを求める意見が示されております。ただ,少なくとも同時配信に限ってみますと,適用拡大に理解を示している権利者団体も多いこと,また,あくまで放送をリアルタイムで配信するものであり,権利者に深刻な不利益を与えるとは必ずしも認められないことから,対象に含めてはどうかということでございます。

また,前回のワーキングチームでは,委員から,追っかけ配信につきましても同時配信に準じたものとして対象に含めるべきという御意見がありましたので,それも踏まえ取扱いをさらに精査する必要があると記載しております。

次のポツですけれども,38条3項の前段(非営利・無料で行う場合)につきましては,後段と比較すると権利者に与える影響も限定的と考えられますところ,幅広い国民による多様な伝達を可能とする観点から,こちらについては,見逃しまで対象に含めることも検討の余地があるという記載を追加しております。

その上で,最後のポツですけれども,権利者団体から指摘があった本規定のそもそもの在り方につきましては,今回の議論とは切り離して,別途,関係者を交えた丁寧な検討が必要という記載をしております。

次に,マル3,39条1項,こちらについても特に公益性の高い規定でありまして,権利者団体から個別の反対意見もございませんので,見逃し配信まで対象に含めることにしております。

また,マル4,40条2項についても同様に,見逃し配信まで対象に含めることにしております。

マル5,44条の一時的固定につきましては,少し整理が必要な論点が残っていたかと思います。2つ目のポツにありますように,同時配信等を行うためには,基本的に,その前提としていろいろな著作物等を記録媒体に固定する必要があるところ,先ほど紹介したマル1,マル3,マル4のような権利制限規定に基づき同時配信等を行う場合には,固定(複製)についてだけ許諾を得るということは困難だろうということで,それを含めるために,同時配信・追っかけ配信・見逃し配信を権利制限の対象に含めるという点については認識が共有されていたかと思います。

ただ,権利制限に基づき配信をする場合だけを対象とすべきなのかという論点が残っておりまして,その点についての考え方を3つ目のポツで少し記載をしております。44条自体の正当化根拠がどこにあるかというところから考えますと,まず,マル1,放送等に当たっては固定が不可欠であること,また,マル2として,あくまで一時的な内部での記録にすぎないことから複製権侵害を問題にするまでもない,すなわち,性質上,こういった一時的固定につきましては,権利を及ぼすべきものではないということが正当化根拠になっているのだとすれば,本規定の適用を必ずしも権利制限に基づく配信の場合に限定する必要はないという考え方もあり得るため,対象とする場面についてはさらに精査が必要としております。

米印にありますように,現行規定上も,放送について,権利制限基づき放送する場合だけではなくて,許諾に基づいて放送を行う場合の一時的固定もこの44条の対象に含まれておりますので,それとの整合性も意識をしながら整理する必要があろうかと思っております。

また,7ページに参りまして,一方で,権利者団体からは,この44条に関しましては,既に包括的な許諾契約で円滑な利用が可能になっている部分もあるという御意見もございますので,法整備に当たっては,ライセンス市場との関係について適切に検討,整理を行う必要があるという記載も行っております。

最後のマル6の93条,これは先ほどの一時的固定と同趣旨の規定でございますので,同じように見逃し配信まで対象に含めることが基本かと理解しております。

次に,(2)借用素材を含む著作物及び映像実演に関して,放送の利用許諾を得た際に同時配信等の可否が不明確である場合の利用円滑化でございます。こちらは,許諾の推定規定を設けるという方向性について共通認識が図られていたかと思います。

具体的な措置の記載につきましては,このページの一番下から2行目からでございます。放送及び同時配信等に係る許諾権原を有する者が,放送番組での利用(映像実演については放送番組への出演)を認める契約を放送業者と締結するに当たり,別段の意思表示をしていない場合には,放送だけでなく同時配信等の許諾も行ったものと推定する旨の規定を設けることが考えられるとしております。

また,次の丸ですけれども,許諾推定を及ぼす範囲としては,同時・追っかけ・見逃し配信を全て含めることが考えられますけれども,権利者の通常の意思という観点から,追っかけ・見逃しまで推定できるかどうかという点については,法制的な観点からも精査が必要という記載をしております。

また,次の丸では,権利者団体から,許諾推定規定を設けることで,不利な条件での契約を強いられるのではないかという懸念も示されておりましたので,そうした懸念を払拭するための対応についても併せて検討が必要という記載を行っております。

米印の3つ目も新しく記載を追加したものです。今回,法改正によって推定規定を設けた場合でも,それ以前に締結された契約,すなわち推定規定の存在を認識せずに締結された契約についてまで直接推定効果を及ぼしますと,クリエーターに不意打ちになりますので,そこまではできないと考えられるということを念のため記載しております。

いずれにしましても,次の白丸にありますように,推定規定につきましては,規制改革推進会議からも明確なルールづくりをすべきという御意見をいただいておりますので,権利者側の懸念を払拭しつつ,安定的な利用を可能とすることが重要であるため,今後,具体的な適用条件等について明確かつ分かりやすいルールづくりを行う必要があるという記載を行っております。

続いて,(3)レコード・レコード実演の利用円滑化でございます。これはいわゆるアウトサイダーのレコード・レコード実演に関しまして,通常の使用料相当額の補償金を支払うことを前提にした権利制限規定を創設するというのが基本的な方向性でございます。

その際,9ページの1つ目の丸ですけれども,対象とするサービスの範囲が論点として残っておりました。権利者団体からは,同時配信と追っかけ・見逃し配信を区別すべきという御意見もありましたけれども,補償金によって権利者への適切な対価還元がなされることを前提にしますと,視聴者の利便性を重視し,同時配信・追っかけ配信・見逃し配信全てを対象に含めることが適当というふうに整理をしております。

また,次の丸はアウトサイダーの定義でございまして,これまでの議論を踏まえ,集中管理の有無により判断することを基本とすることとしております。ただし,マル1,権利情報データベースに登録し,データベース上で適切な使用料で確実に許諾する旨が明らかにされている場合ですとか,マル2,日本の著作権等管理事業者が管理していない外国原盤の取扱い,こうしたものについて一律に権利制限をしていいかということについては,さらに精査を行う必要があるとしております。

次の丸,補償金のスキームにつきましては,関係者の意見が様々であるところでございまして,御意見を踏まえながらさらに検討を深める必要がありますので,11月以降,改めて詰めた議論をいただきたいと考えております。

次に,(4)がリピート放送の同時配信等における映像実演の利用円滑化でございます。基本的にリピート放送と同じような扱いにしようという方針でございまして,5行目あたりからですけれども,リピート放送と同様に,初回放送時の契約に別段の定めがない限り,同時配信等に係る実演家の許諾は不要としつつ,通常の使用料相当額の報酬の支払いを求めることとしております。

ただし,映像コンテンツ権利処理機構(aRma)による集中管理が行われている場合には,そこを通じて円滑に許諾を得ることが可能であるため,その部分については,レコードと同じように,引き続き,許諾権として存置することも考えられるとしております。こうした点について,詳細はまた11月以降,詰めた議論をいただきたいと思っております。

その次の丸は,レコードと同様,サービスの範囲につきましては,見逃しまで対象に含めることが適当としております。

また,補償金のスキームにつきましても,レコードと同様,今後さらに検討を深めていただく必要があるという記載にしております。

10ページに参りまして,最後に(5)裁定制度の改善でございます。

まず,マル1の協議不調の場合の裁定につきましては,見逃し配信まで含めて制度を活用できるようにすることとしております。

その際,著作隣接権にまで準用するかどうかというのが論点として残っておりましたが,先ほど御説明したような措置によって隣接権関係の利用円滑化が図られますけれども,必ずしも全ての場面に対応できるものではないことから,権利者不明の場合の裁定と合わせて,著作隣接権にも準用することが適当としております。

マル2の権利者不明の場合の裁定につきましては,放送事業者からの要望に基づきまして3つの措置を講ずることとしております。

1つ目は,民放事業者についての補償金の事前供託免除につきまして,補償金支払いの確実性を担保するための要件を設定しつつ,事前供託免除の対象に加えることとしております。この具体的な要件の在り方につきましては,現在,事務的に検討を進めているところでございますので,その状況を踏まえながら,また,年末までの間に御議論をいただきたいと思っております。

ローマ数字の2は相当な努力の要件緩和でございます。特にCRICのウェブサイトへの7日間の広告掲載の扱いについて御要望をいただいておりました。この点,前回のワーキングチームでの御意見も踏まえまして,権利者が見た場合の一覧性の観点から,CRICのウェブサイトを活用するということは継続をしつつ,広告掲載直後からの裁定申請を可能とすることで,1週間程度期間を短縮するという方針を示しております。

最後の3番目は申請手続の電子化でございまして,こちらは可能なところから速やかに電子化を進めること,また,手数料納付につきましては,新たなシステム構築が必要になりますところ,政府全体の取組の状況を踏まえながら対応を進めることとしております。

11ページ以降は附属資料でございまして,委員の名簿,審議経過,ヒアリング団体の一覧をおつけしております。

事務局からは以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

それでは,ただいまの事務局の説明を受けまして,中間まとめ案の内容について議論を行いたいと思います。

既にこれまでに御議論いただいた内容が反映されていると思いますが,ただいま事務局から説明があった資料1の内容について,御意見,御質問等がございましたら,御発言,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

いかがでございますか。よろしいですか。

中間まとめとしてはよろしゅうございますか。

ありがとうございます。それでは,本日は,御発言ございませんでしたが,このくらいにしたいと思います。事務局におかれては御苦労さまでした。うまくまとめていただいたのではないでしょうか。

本日の議論を受けまして,案を取りまして,中間まとめを作成することといたしたいと思います。

特段,追記,修正を要する御意見はなかったものと承知しております。事務局より説明いただいた内容で御了承いただいたものと承ってよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉座長】ありがとうございます。それでは,そのように取り扱わせていただきます。

最後に,矢野次長から,一言御挨拶をお願いいたします。

【矢野文化庁次長】一言,御礼かたがた,御挨拶を申し上げます。

委員の先生方におかれましては,これまで非常に活発な御議論を頂戴いたしまして,誠にありがとうございました。

この件に関しては,検討を要する論点が非常に多岐にわたっておりまして,関係者の意見も多様であるという非常に難しい課題ですが,皆様の前向きかつ丁寧な御議論によって,9月の検討開始から1か月半という短期間で措置の方向性を見いだすことができました。

中間まとめでは,想定される全ての課題についてきめ細かな対応策をお示しいただいておりまして,これに沿って制度改正等を行うことで,放送番組等の同時配信等が抜本的に,円滑化され,視聴者,放送事業者,クリエーターの全てにとって利益となることが期待できるものと考えております。

今後は,いただいたこの方向性に沿って,年末までの間に,より具体的な制度設計等についての御議論を重ねていただくということになります。

文化庁といたしまして,それと並行して,総務省とともに,関係者間の協議の場の設置など,実務的な対応も着実に進めてまいります。

委員の先生方には,引き続き短期間で集中的な御議論をいただくことになりますけれども,迅速な制度改正等に向けて御協力いただきますよう,何とぞよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

本日の議論の内容を基に中間まとめを取りまとめまして,10月19日月曜日に予定されている基本政策小委員会で私のほうから御報告をさせていただく予定であります。

最後に,事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】本日はどうもありがとうございました。

今,座長からもありましたとおり,この中間まとめにつきましては,基本政策小委員会に報告することになっております。その後,本ワーキングチームにおきまして,引き続き,具体的な制度設計等について御議論いただくことになっておりますので,何とぞよろしくお願いいたします。

【末吉座長】それでは,本日はこれで第4回ワーキングチームを終わらせていただきます。

本日はありがとうございました。

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