第21期文化審議会著作権分科会国際小委員会(第5回)

日時:
令和4年2月21日(月)
15:00~17:00
場所:
オンライン開催
(文部科学省3F2特別会議室)

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について
    2. (2)著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について
    3. (3)その他
  3. 閉会

配布資料一覧

第21期文化審議会著作権分科会 国際小委員会(第5回)

令和4年2月21日

【鈴木主査】それでは、お時間となりましたので、ただいまから、文化審議会著作権分科会国際小委員会の第5回を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御出席いただいております。皆様におかれましては、カメラをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には、主査から指名いたしますので、カメラの前で大きく手を挙げていただき、御自身でミュートを解除して御発言ください。
 議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照しますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところでございます。特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【鈴木主査】では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。なお、傍聴される方々におかれましては、会議の様子を録音録画することは御遠慮ください。また、音声とカメラをオフにしてください。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【長谷川国際著作権専門官】ありがとうございます。事務局でございます。配付資料につきましては、議事次第の配付資料一覧に記載されたとおりでございます。
 以上でございます。

【鈴木主査】それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり(1)から(3)の3点となります。
 議事(1)の「国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について」では、事務局から説明の後、3人の国内関係者から、国境を越えた海賊行為の現状や課題、その対応などを伺い、その後、前回の国際小委員会の開催後に皆様から御意見を頂いた「海賊版相談窓口」について御議論をいただきたいと考えております。
 議事(2)の「著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について」では、資料4に基づきまして、事務局からWIPOにおける最近の動向について、説明を予定しております。
 早速、議事(1)に入りたいと思います。
 まず、事務局より資料1「国際小委員会中間まとめ骨子(案)」について説明をお願いいたします。

【加茂下海賊版対策専門官】事務局から失礼いたします。資料1を御覧ください。こちら、中間まとめ骨子(案)でございます。
 1ポツ「はじめに」ですが、今期の国際小委員会では、こちらにあります(1)から(3)の議題について審議を進めてまいりました。
 このうち(1)のコンテンツの海外展開につきましては、審議を優先して進めまして、昨年12月の文化審議会著作権分科会において中間まとめとして取りまとめたところでございます。
 本年1月以降の国際小委員会では、(2)の国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方についてに焦点を当てまして、委員による発表、また有識者からヒアリングを行い、審議を進めているところです。
 発表等の主な観点は、こちらにありますとおりです。1つ目が海賊版の被害状況について、また政府及び関係団体等の海賊版対策の取組について、また今後の取組についてでございます。
 あわせまして、来年度、文化庁事業において設置予定の「海賊版相談窓口」についても、留意点等について議論を行いました。
 2ページお進みください。2ポツ「主な論点(現状と課題、考えられる方策等)」です。
 こちらは、前回の国際小委員会、第4回の内容を整理したものでございまして、本日の内容をこちらに追って追記するものになります。
 (1)海賊版の被害状況でございますが、前回御発表いただいた中で示されました海賊版の被害状況は、次のとおりでございます。
 1つ目の丸ですが、昨年7月現在、海賊版サイトの総訪問数は約6億アクセスとなっており、最悪の状況であると。
 2つ目の丸ですけれども、2019年、オンラインで流通する日本コンテンツの海賊版被害額は、3,300億円から4,300億円に上っていると。また、オンライン環境が進化すればするほど、その被害は拡大する傾向にあります。
 3つ目の丸、とりわけ海賊版漫画サイトにつきましては、昨年1年間でただ読みされた金額で約1兆円とされておりまして、これは正規の市場規模6,000億円超を大きく上回っており、正規版の売上げに甚大な影響を与えています。
 (2)政府及び関係団体等の海賊版対策の取組でございます。この(1)で示されました被害を踏まえて、政府及び関係団体では、次のとおり取組を進めているところでございます。
 1つ目の丸、政府につきましては、2019年10月に「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表」を作成し、その後、関係法の改正、また各取組の進捗を踏まえまして、昨年4月にもこの工程表を更新するなど、政府一丸となって実効性のある取組を進めているところでございます。
 また文化庁につきましては、この総合的な対策メニューを踏まえて、海外の著作権制度の整備支援など、様々な取組を進めているところです。
 3ページに進んでいただきまして、1つ目の丸、CODAさんにおかれましては、従来の海賊版対策の取組に加えまして、特に、国際執行の強化を目的としたサイバーセキュリティーの専門家と連携してサイト運営者やオンラインサービスの特定に注力をされています。
 次の丸、ABJさんにおかれましては、海賊版対策キャンペーンの実施、またABJマークの策定といった取組を進めておられまして、加えて各出版社さんも、削除要請など、それぞれ継続的に海賊版の取組を進めておられます。
 (3)海賊版対策の課題と、その解決のために考えられる方策等です。(2)で示されました取組を進めた結果、一定の成果は見られるものの、現在の被害状況を踏まえますと、さらなる取組の強化が必要です。これまでの審議で明らかとなった主な課題等は、次のとおりです。
 1つ目の丸ですが、日本のコンテンツは海外でも人気がありますが、日本の著作権者は、例えばアメリカの権利者と比較しまして権利行使をしない傾向にあり、結果的に海賊版の被害を拡大させています。一方で、権利者からは、海賊版対策に関する費用が多額に上るという指摘も挙げられています。
 また、通信技術の発達等により、海賊版問題には国境がなくなっています。海賊版サイトの運営主体はほとんどが海外に拠点を持つ海外企業であると考えられておりますため、情報開示や現地捜査機関との連携といった面で障害があり、問題解決を困難にしています。
 また、デジタル化、ネットワーク化の進展、そういった影響によって、著作権の侵害という犯罪がより身近になっています。特に若年層への著作権保護に対する普及啓発が重要です。
 また、国内外の海賊版ユーザーの意識の変容、海外の漫画ファンを正規版へ誘導するための正規版の充実ということも重要です。
 最後、4ページに進んでいただきまして、以上の課題等を踏まえ、文化庁が今後取るべきと考えられる方策は、次のとおりです。
 まず1つ目としまして、権利行使強化のための支援策として、海賊版相談窓口の新設と強化、また費用面を含めた、権利者が的確に権利行使を行うための支援の実施、2つ目の丸として、国際連携の強化のための施策、3つ目として、海賊版対策に関する普及啓発といった方策です。
 3ポツ「今後に向けて」ですが、来年、令和4年度に海賊版相談窓口を開設し権利者による権利行使を促すとともに、より実効性ある権利行使を実現するための取組の充実を図っていくべきである。
 同時に、国際連携の強化、また海賊版対策に関する普及啓発についても、既存事業の見直しを含め、より効果的な在り方を模索するべきである。
 海賊版対策につきましては、対策の取組状況、被害状況を踏まえつつ、本小委員会において、引き続き議論を行っていく必要がある。
 最後、なお、この審議内容につきましては、本日の議論を踏まえて中間まとめとして取りまとめ、来月の著作権分科会において報告の予定でございます。
 資料1の説明は以上でございます。

【鈴木主査】ありがとうございました。ただいまの御説明に関する御意見は後ほど、意見交換の時間で頂戴することといたしまして、議事を進めさせていただきます。
 本日は、3人の国内関係者から、国境を越えた海賊行為の現状や課題、その対応などを伺い、その後に御議論いただきたいと考えております。
 まず初めに、IP FORWARD株式会社の分部様、続いて、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の中川様、最後に、一般社団法人日本レコード協会の末永様に御発表をいただきます。
 まず、事務局より簡単に趣旨の説明をお願いいたします。

【加茂下海賊版対策専門官】お一人目、IP FORWARD、分部CEOにおかれましては、本年度、文化庁が委託して実施しております調査研究、「中国における著作権侵害(海賊版)対策にかかる調査及びハンドブック」の現状報告として御発表いただきます。
 お二人目、コンピュータソフトウェア著作権協会の中川事務局長からは、ソフトウエアの侵害状況と取り組まれている侵害対策について、最後、3人目、日本レコード協会、末永センター長からは、音楽分野の侵害状況とレコ協で取り組まれている侵害対策について、それぞれ御発表いただきます。

【鈴木主査】ありがとうございました。
 時間の関係上、御発表時間はそれぞれ20分でお願いできればと存じます。それぞれの御発表後に質疑応答の時間を設けます。また時間が許せば、最後に全体を通しての意見交換の時間を設けますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに分部様に御発表をいただきます。事務局の準備が整いましたらお願いいたします。

【分部様】皆様こんにちは。IP FORWARDの分部でございます。本日はよろしくお願いいたします。私からは「中国における著作権侵害対策にかかる調査及びハンドブック作成」の現状報告という形でさせていただきます。
 昨年もこういう機会を頂戴いたしましたが、昨年はこのプロジェクトが始まる前の段階で、そして今回このプロジェクトにつきましては、この海賊版対策と中国でのコンテンツビジネスの拡大という2つの調査が対応させていただいている中、どちらかといえば市場拡大の方のテーマを中心にお話しさせていただきました。今回におきましては、海賊版対策の方の調査に特化して現状報告をさせていただきます。
 私たちのグループの御紹介は前回もさせていただきましたので、簡単にさせいただきますと、中国と日本の方、主に中国における知的財産の保護、日本の海賊版対策と、こういったところを中心とするコンサル会社、弁護士事務所、弁理士事務所という形でさせていただいております。
 私の略歴は割愛させていただきます。
 調査内容、ハンドブックの構成ということで、海賊版対策のハンドブックの構成はこのような形になっております。著作権侵害の実態、海賊版情報の調査・検索方法、権利行使の方法、裁判例・実際の権利行使事例と、最後に直近の中国の著作権法改正の概要と、それを踏まえた著作権法の概要という形になっております。
 ちょうど先週にこの第3回の委員会、今日御出席いただいている方ですとか、この委員の方々も、こちらの委員にもなっていただいておるところでございまして、最終意見の御確認、意見の頂戴いたしまして、現在、この構成に基づいて最終の詰めを行っていまして、来月には完成予定と、こういう形で完成予定でございます。
 まず著作権侵害の実態というようなことで、今後この概要について幾つか御紹介をさせていただきます。
 中国における海賊版被害というのは、ずっと言われてから、もう長いでございますが、引き続き多くの海賊版が目につくという状況でございます。最近についてはインターネット上の被害というのが増えて、もう常態化しているというような状況でございます。
 今回、この報告書の中で海賊版の種類を説明する用語として、ノンフィジカル、フィジカルという言葉を使わせていただいております。  ノンフィジカルというのは、主にコンテンツそのもの、漫画や動画やゲームといったものがオンラインの配信サイトでもダウンロードできるように、ダウンロード、ストリーミングできて閲覧できるような状態になっていると。これをノンフィジカル被害というふうに表現させていただいております。
 フィジカルの被害というのが、アニメですとかキャラクターの商品の販売被害と、こういったものがメインでございまして、これが主にECのサイトで売られているものと実際の店舗で売られているもの、オフラインの店舗で売られているもの、オンラインのサイトで売られているものと、こういったものの被害が多いという御紹介でございます。
 それぞれの被害があって、どうやって効率に調べるかという方法を初めに書いております。それぞれオンライン、オフラインというところで、オンラインのノンフィジカルのものについては、有名な配信サイトかストリーミングサイトですとか、動画、漫画のサイトと、こういったところである程度目につくところがありますので、こういったところも調査をすると良い。
 はたまたプラットフォーマーさんで、正規のこのコンテンツを流す一方で海賊版のものも掲載されてしまっていると、こういうようなプラットフォーマーもあったりします。こういった場合には、普通に正規版を流している、この関係の中から、海賊版が出た場合の調査を依頼するとか、こういった形で情報を取るというのが一般的でございます。
 オンラインのフィジカルというのは、先ほど申し上げましたように、ECサイトでの販売というところでございますので、著名なECサイトも検索してチェックをするという形になります。
 これも同様に、著名なECサイトでは、正規版を販売する専門店舗とか、こういったものが最近、日本の著名なキャラクターなんかではどんどんオープンしておるところでございますが、そのネットワークの中から、海賊版出たら情報提供してくれと、こういう形で頼むようなこともございます。
 次に、オフラインのフィジカルというものにつきましては、オフライン店舗、結構、展示会だとかそういうのが出たりだとか、まだまだやっぱり発展度の低いところの普通の市場なんかでは売られたりしているのがありますので、こういったところを見つけたりとか、こういったところは代理店とか、ライセンシーとか、消費者から情報が入ってくるようなこともございます。
 先日、委員会では、このオフラインのノンフィジカルもあるんじゃないかという御指摘も頂きました。具体的には海賊版のDVDだとかいうようなものになりますけれども、DVDで日本のアニメですとかドラマというのが、海賊版のコンテンツがDVDで売られると、こういうことも引き続きあるはあるんですけれども、本当に昔に比べると、ほとんどそれはオンラインに移行しているというところがありまして、余り目立たなくはなってきているという実情です。
 最後に冒認出願です。直接的には海賊版被害ということではないわけなんですが、大体こういうコンテンツのフリーライドとか、盗用とか、こういうような文脈では、この冒認出願というのもセットで、実は問題になっています。勝手に商標権が登録をされているというような問題です。
 これは前回こちらで御紹介を申し上げまして、一応、今回も調査対象としまして、この冒認出願を入れています。これも残念ながら日本の著名なアニメや漫画キャラクター、こういったものが登録されていますので、これはこれでチェックをしていかなきゃいけない。これは商標局のデータベースなんかで載っていますので、こういったところでチェックをするという形になります。
 実際にどういうようなサイトでこういう海賊版が見つけることがあるかというところで、一例というところで出させていただいております。動画サイト、ミニ動画のサイトや漫画のサイト、ゲームのアプリがある。ゲームのアプリなんかでも、勝手に日本のIPが使用されているゲームなんかもあったりしますので、そういう形で載せております。
 調査の方法としましては、例えば漫画サイトを例に取りますと、漫画サイトで中国名称で検索をしていくと、そういう形で出てくるという形になります。
 ただ、最近では索引で検索してもばれないように隠語を使うパターンがあったりだとかしたりしますので、こういったところについては、クローリング技術だとかフィンガープリント技術を用いて調査をしていくという方が効率的であることもあったりします。
 次に、オンラインのフィジカルですね。すなわちECサイトでございますが、大体この事業者向け、中国国内の事業者向けのサイト、中国国内の一般消費者向けのサイト、中国から海外向けに販売しているサイトという主に大体3タイプに分かれているところでございます。こういったところで、やっぱり海賊版商品が販売されることがあるというところでございます。
 代表的な消費者向けのサイトの一例でございますが、こういったところで調査対象サイト、商品確定して、有名な漫画やアニメやキャラクター、こういったもののキーワードを入れて見ていくという感じです。このときには当然、海賊版も正規版も引っかかって出てくるわけなんですけれども、見てみて、いや実際これ正規にはライセンスしていない商品であるだとか、あと価格が非常に安かったりしていないかとか、海賊版と自認しているような、表記しているようなサイトなんかもあったりしますので、そういう形で海賊版かどうかというのを調査するという形になります。
 オフラインのフィジカルですね。キャラクター商品のオフライン店舗でというふうな場合には、こういうような感じのおもちゃ屋というか、こういったところが、やっぱりいろんなとこにあったりする状況でございます。こういった場合には専門の調査員が行って、大体どういったものが売られているのか、どれ売れているのか、場所がどこなのかとか、売上げ状況どうなのかとか。こういうような業者が大体インターネットの店舗も持っていたりだとか、冒認出願もしていたりとかすることも多いので、こういったものもセットで調査をするということがよくあります。
 こうした見つかった海賊版事業者に対する、今度は権利行使の方法というところをまとめたのが、このサイトでございます。中国は海賊版大国でもありますが、海賊版対策大国でもございます。世界でも本当に世界一のレベルの厳しい法制度体系を持っている。いろんな手段が取れるというような状況がございます。なので、被害に合わせて、いろんな手段を組み合わせて対抗をしていくと、こういうような考え方になってきます。
 それぞれ合った手段と、使える手段、使えない手段という形がございまして、オンラインのノンフィジカルについてはこういうふうな形でというところで、削除要請、警告状送付、行政摘発、刑事摘発、民事訴訟とありますが、警告状送付と民事訴訟というのは、もうその名のそのとおりでございまして、削除要請とは、インターネット上で出ていたらそれを削除するということなので、当然オンラインのものだけに当てはまるもので、オフラインについては関係がない。
 摘発というもので、刑事摘発というのは、警察に動いてもらって、その犯罪を構成するものとして警察に動いてもらって、最終的には刑事裁判で処罰をしてもらうというものでございますが、中国の特徴としましては、この行政摘発というような制度。もうちょっと厳密に表現すると、知的財産侵害に関しては行政罰が規定されておりまして、所管の官庁が、違反と疑われる行為があったら現場に踏み込んで、証拠物を押さえて、そして所管の官庁の判断で行政罰を下すことができると。これを端的に行政摘発というふうに書いておりますけれども、この制度があって、そして、これがむしろ一番使われている状況にあるというのが特徴でございます。
 ただ、この場合、ここ書いているとおり、オンラインのフィジカルとオフラインのフィジカルについては行政摘発というのは使えますけれども、オンラインのノンフィジカルについては行政摘発というのは、ほぼ使えないということでバツにしておるというところでございます。
 刑事摘発はマル、マル、マルと全て書いていますけれども、中国の場合、そういう意味で、ほぼ全ての知的財産侵害行為に対して行政罰と刑事罰というこの二本立てになっていて、ただ、刑事罰の適用については厳しい要件が課されています。一言で言うと、やっぱり一定規模以上の悪質な侵害行為については刑事罰の適用対象になり、それに至らないまでについては全部、行政罰適用対象になると。こういうような二重の制度を取っているというところが特徴でございまして、後でお話ししますけども、刑事罰については一定以上のハードルを越えて初めて対象になると、こういうような立てつけになっております。
 下の方に権利行使の比較というふうに書いております。コスト、所要期間、抑止力ということで書いておりまして、削除なんていうのは当然なんですけども、早くて、お金もほとんどかからず。このお金というのも、別に権利者本人がやれば、そもそもかからないもので、代理人に任せると、お金がかかりますけれども、多分そんなに大きなお金はかからない。でも、削除しても、すぐ出てくる悪い人たちも多いですから、そういう意味では抑止力は低いと。
 警告状については、やや低い。コストについては、弁護士事務所から出したりしまして、ですけれども、そんなに高いものでもなく、所要期間についても、ぱっと送ってということで、そんな長くなるわけでもなくと。ただ、抑止力は、無視されることも多くて、やや低いというところでございます。
 委員の方からも御指摘も頂きましたが、最近やっぱり海賊版対策で、これ私の実感でもそうですけれども、昔は警告状というのは中国じゃ、もう全然効かなかった。むしろ、やっても何か逃げられるだけみたいな感じなので、やらないで、すぐ摘発とかやった方がいいというのが定石だったんですけれども、最近は、やっぱり中国政府も取締り強化している中で、海賊版業者も、まあ、どうせ警告状を無視しても、後で摘発食らうから、もう従っちゃえという感じで、警告状がだんだん、この警告状レベルで収まるということも増えてきているというのも実情で、委員の方々も、結構、警告状も効果が出てきていますよねというような御意見なんかも頂いていたところでございます。
 行政摘発については、コスト、所要期間、これは普通というところで、警告状とかそういうのに比べると、やや高いというところです。
 刑事摘発につきまして、コスト高いというのは、代理人とかも証拠をたくさん集めたりとか、やっぱり警察当局、時には検察院、裁判の対応ですとか、こういったところ、代理人が全部対応してきますので、コストも高くなり、所要期間も長くなりと。大体、行政摘発は一月から3か月くらい。刑事摘発は、やっぱり半年から1年、長いものでは2年とか、かかるというような感じです。ただ、抑止力は刑事摘発が圧倒的に高くて、やっぱり懲役刑ですとか、その捜査の中で、日本の逮捕に当たるような行為もありますので、こういったことで高くはなるというところです。
 民事訴訟については裁判というところでございますが、ここも、昔は中国の民事訴訟といったら、賠償金が非常に低かったりして、余り抑止力がないと言われたところでありますが、ここの賠償金も近年、非常にこの金額が上がってきているというところもございます。また、昔から賠償金判決出ても、お金を被告が払わないということも多かったんですけれども、ここも最近、払わない人を登記簿、インターネット上で分かるようにしたりだとか、払わない会社ですとか、その代表者が、例えばホテル泊まれないとか、飛行機乗れないとか。こういうのは、中国の場合、行政管理、個人や会社のそれぞれが政府に非常にきちっと管理されているという状況がありますので、こういう社会罰というか、こういったものが非常にうまくリンケージするようになってきています。そのこともあって、結構、執行力も上がってきたりとしているところでありますので、本当に抑止力も高まってきているというところであります。民事訴訟についても、やや長い~長いとあります。これも内容によりけりなんですけども、半年から2年くらいかかるというような感覚です。
 以上が全体像で、個別のところを見ていきますと、まずは削除要請。削除要請は、これプラットフォームに応じて、オンラインプラットフォーム、動画やミニ動画、漫画、音楽、ゲームアプリ、キャラクター商品、いろいろと書いております。それぞれ、やっぱりプラットフォームによって、積極的に対応してくれるところもあれば、まだまだ対応してくれないところもあればと。大体やっぱり業界ナンバーワンのサイトになってくると、みんなきちっと対応してくるという感じでしょうか。2、3、4位となっていくと、だんだん対応がなくなる。
 逆に言えば、海賊版業者も、初めはトップの方にいて、だんだん厳しくなってきたなら、更に2、3位、4位になっていくので、そういう流れを見ながら対応をしていかなければいけないという形になります。
 大体どのサイトも、まずは登録をして、情報提出して、証拠を提出して、削除持っていくと、こういうような形になります。
 警告状送付のポイントというところでございますが、ここは日本とそんなに変わらないところではあるんですけれども。要請事項なんかというのは、再犯抑止の誓約書を出したりとか、侵害品廃棄とか、上流業者の情報提供とか、こういうのも、きちっと求めるようにした方がいいですね。
 あと、当たり前なんですけども、中国語できちっと作成して出していくというのが基本になってきます。
 あと、なかなか、日本だと弁護士名義のレターが飛んできたら、大体、何かしらのリアクションがありますけど、そうはいっても中国の場合、やっぱり無視されたりとか、やると言ってやらなかったりとか、そういうことも多々ありますので、粘り強くやっていったりとか。やりませんと言いながら平気でやっているところもあるので、ちゃんとやっぱり再犯の、やっているかどうかというのは、重要な案件であれば、誓約書の後に、二、三か月後に、この再犯有無の調査とかしたりすることが推奨されます。
 行政・刑事摘発というところで、先ほど申し上げたとおりでございます。行政の場合、比較的さっと、担当当局だけでやってくれるので、スムーズにいくんですけども、やっぱり軽いと。基本的には過料と没収というだけでございますので、経済的なダメージを受けるだけなので、それ以上にもうければ、別にそんなに痛くもないよというような形になってしまうと。それに比べて、やっぱり刑事摘発、刑事処罰というのは、本当に懲役刑ですとかということにまでなり得るので、重たいものになります。
 先ほど言ったように、受理基準という感じで、受理基準というのを書かせていただきました。法律が書かれているものと実際の運用とは、ちょっと差があるところございます。
 実際の運用というのは、これは我々の弊社の実務感覚は、我々の方でも日々、摘発はやっているので、大体の感覚というところなんですが、やっぱりなかなか刑事は、そういっても動いてくれない。いろんな基準はあるんですけれども、ただでさえ、そこそこ重いんですけども、それのやっぱり二、三倍ぐらいないと動いてくれないなというような印象はございます。
 行政摘発に関しましても、書いてはいるんですけれども、それ以上に、行政摘発の場合、やっぱりどうしても物を押さえるというのが徴収なので、物がなかったりすると、そもそも動いてくれなかったりだとかすることが多かったりします。
 一応、刑事摘発は、この不法経営金額とか違法所得額というのは大体、売上げ利益と考えていただければと思います。こういう売上げ、大体これぐらい以上だったらなりますよとかですね。
 一応、例えばノンフィジカルのものについては、5万回以上のクリックとか、あと、動画サイトとか漫画サイトとかだったら、有料会員、登録会員数が1,000人以上とか、結構具体的なことは書いてくれてはいるんですね。こういう形で、あまりにも大規模な場合には、刑事摘発を初めから検討をしていくという形になります。
 流れとしましては、ちょっとこれは細かいので、見ておいていただければと思います。こういう形で、二、三か月くらいで対応していくと。
 刑事摘発についても、まずは公安、検察、裁判所と、それぞれの流れがこうなっているというところでございます。
 最後に民事訴訟の制度でございますが、日本と違って4級2審制という形になっています。日本と中国の訴訟実務の違いというところでございますが、我々も中国の方で、こういう海賊版の訴訟というのは日々よくさせていただいていますけれども、感じるところとしましては、やっぱり地方のばらつきというふうなところですね。もとから原告になる場合には、北京、上海で起こしていくということを鉄則とした方がいいんですが、やっぱり都市部、特に北京、上海とかについては非常にきっちりしている。逆に言えば、チャイナリスクというか、何か中国で裁判するのが怖いなとか、本当に勝てるのとか、日本、何か不利に扱われるんじゃないのとか、よく言われるんですけども、そんなことはないです。北京、上海では、訴訟するんだったら普通に、非常にレベル高く、公平な判決が得られるというのは、非常に感覚としてございます。
 うちも、そうですね。ちょっと、余り言いにくいですけれども、例えば日中間の国交が余りよくないときとか、そういったときに結構厳しい訴訟とかやったときでも、そんなにおかしなことは起こらなかったとか、そういうようなこともございました。
 普通に北京、上海の判決、しかも中国の判決もどんどん公開が進んでいますから、余りおかしなことしたら、それはすぐ分かってしまいますので、少なくとも都市部でやるものについては、きちっと信頼できるものであると言っていいかと思います。
 ただ、そう意味で、地方でやるときには本当に要注意というか。裁判官も基本的に全国で、日本と違って、転勤でころころ替わるということはないので、田舎の地域だと、そんなに高度な知財訴訟とかないですから、あまり複雑な訴訟やっても、よく分からないとか、極端な話、やっぱりそういうこともあったりしてしまいます。なので、基本的には、原告でやる場合には北京、上海でやっていくということを考えるべきかと思います。
 あとは、証拠がすごく厳格ですね。中国もやっぱり偽証拠なども多いものですから、基本的には原本とか、公証とか、常にこういうのが求められます。だから、あまりにも逆にこれ厳し過ぎて、証拠能力の緩和。例えば外国の官公庁が出したような、もう類型的に信用性が高いような書面については、もうそのまま出せるようにするとか、いろんな議論は今進んでいるところでありますけれども、基本は全部原本で、中国の公証書で公証しなきゃいけないとか、結構ここは手間になるところだったりはします。
 民事訴訟はどんどん増えています。これが中国の民事訴訟の統計です。知財訴訟、増えていて、一番多いのは著作権侵害訴訟です。非常に中国人、中国企業は権利意識に敏感なので、日本企業が逆に権利行使されると、こういうような事例なんかも増えてきております。著作権の場合には、ほかの知財権と違って、登録しないで、その権利を相続して著作権取得したら行使ができるということで、訴訟も非常に多くなっているという状況です。
 訴訟の流れです。ちょっと細かいのであれですけれども、半年から2年程度というところです。
 最後に実例です。権利行使の実例ということで、今回、調査報告書でも細かくまとめています。いろいろと参考になる刑事摘発事例、民事訴訟事例と、日本の有名な著作権者さんのものもあれば、海外のもあれば、中国の権利手段がこういう風に執行したようなのもあればという、参考になる権利行使事例も載せておりますので、こちらは報告書の方を御覧ください。
 幾つか抜粋しておきますと、これは行政摘発で、ゲーム機の事案で、深圳での行政摘発ですね。某日本の有名ゲーム機器というところで、著作権侵害で動いてくれました。
 昔、著作権侵害の場合には、なかなか行政当局も動かなかったと。2015年よりも前くらいですかね。という印象でしたけれども、ここ、やっぱり五、六年前ぐらいから、行政当局もきちっと動いてくれるようになっているという状況です。
 次は、これは刑事摘発の事例ですね。フィギュアの事例で、これ、オンラインのフィジカルのものになりました。5人逮捕してくれてというような事案ですね。
 民事訴訟で、これは公開されている事例なので出していますけれども、日本企業さんが原告として対応された事例です。著名アニメーションのカード、モバイルカードゲームを勝手に作りましたねというような民事訴訟でございました。これも300万元ですね。日本円でいったら5,000万円弱ぐらいですか、ものもありました。
 こういう賠償金で著作権侵害訴訟といったら、昔は本当に数十万元とかそういうレベルで、100万元超えるなんていうのはなかなかなかったんですけど、こういった300万元とか、結構こういう形で日本企業さんの原告事例とかでも出てきているというふうなところで、この辺はやっぱり裁判、非常に大分、賠償金上がって抑止力が上がっているなというふうな印象を受ける事案です。
 最後に、中国著作権法の改正がちょうど直近でされて、昨年6月から施行されていますというところがあるので、こちらをまとめております。その辺は細かく報告書の方にまとめておりますので、こちら御確認いただければと思います。
 基本的に近時の地財法改正は全体的に、この賠償強化とか、全部知財保護の強化という方向に向かっていって、著作権についても、こういったところが重視をされているというところでございます。
 以上でございます。御清聴ありがとうございました。

【鈴木主査】ありがとうございました。ただいまの分部様の御発表について、委員の皆様から御質問等ありましたらお願いいたします。唐津委員。

【唐津委員】有益な発表、非常に興味深い発表をありがとうございました。刑事罰の方は実際のハードルが高いということで、行政罰は比較的、行政機関も動いてくれることもあって利用が増えているというお話だったのですが、ただ一方で、行政摘発の方では過料、没収が比較的軽いので、それよりももうかるのであれば、余り抑止力はないというお話もありました。実際のところ、行政摘発を受けて過料、没収を受けた業者というのは、それでやめているのでしょうか。それとも、例えばちょっと看板を付け替えて続けているというのが実態なのでしょうか。

【分部様】ありがとうございます。やめている業者も、もちろん多々あります。ちょっと私が、何かあまり行政罰、使えないと言ったかもしれませんけれども、います。というか、やめている業者の方が当然多くて、昔はやっぱり再犯している業者も多かったんですけれども、その再犯業者率というのも、どんどん、どんどん最近は減ってきているというようなことは確実に言えようかと思います。
 この背景にも、先ほどの警告状の話と通じますけれども、中国全体として、やっぱり知財保護、ちゃんとやらないと、また罰せられる、同じことになるという形に今なってきているというのもありますし、もっと具体的に言いますと、例えば企業とかも、行政処罰を食らったということになりましたら、日本の登記簿みたいな感じのところに載るんですね、行政処罰というのが。なので、これ載っていって、分かっちゃいますし、かつ、行政罰何度も受けていくと、やっぱり行政管理上も、いろんな不利益も受けたりすることが増えてきているので、そういうこともあって、行政罰の感銘力というか、執行力というか、こういったものも、ここ数年でどんどん上がってきて、今後も上がっていく方向になるだろうということは言えようかと思います。

【鈴木主査】ありがとうございました。

【唐津委員】ありがとうございました。

【鈴木主査】ほかにございますでしょうか。井奈波委員。

【井奈波委員】非常に充実した御発表ありがとうございました。16ページ目にあります行政摘発について、ノンフィジカルとフィジカルとに分けて、いずれも著作権又は著作隣接権を侵害する、かつ公共利益を損なうと書いてありますが、侵害に加えて公共の利益を損なうという要件は、具体的にどういうことを意味するのかをお伺いしたいと存じます。加えて、ノンフィジカルについて、原則として対応不可となっている理由を、もう少し詳しくお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。

【分部様】ありがとうございます。おっしゃるとおり、結論として、この要件は存在するんですけれども、いわゆる本当に海賊版、皆さんが想像されるような海賊版のものについては、ほとんどがもう公共利益を損なうというふうに認定はされて、この要件が問題となるということは、ほぼないという認識でございます。
 実際この公共利益というのがずっとあって、私、2006年から2009年の経済産業省で模倣品対策室というところいまして、実はこの要件については政府間でも、この公共利益侵害って何だ、これ削除しろとか、ずっと実は言っていたりして、あのとき、たしか言われたのが、まあまあ、あるはあるんだけど、そういう経緯があるけれども、ほとんどこれで、これが引っかかってあれすることはないって当時言われたのがちょっと記憶ありまして、そんなものなのかなと。ただ、当時は全く動かなかったので、そもそも行政罰が。この要件があるから動かないのかといったら、いや、そういうわけじゃないと。だったら動いてくれという話だったんですけども、当時は著作権侵害摘発する版権局ですとか、行政当局のリソースが足りなかったというところが、問題としては、よく言われていました。
 ただ、そこがちゃんと今、リソース問題というのも、どんどん、どんどん解決をされてきている中、結局それが動くようになったので、この公共利益侵害という要件が問題となることというのが、ほぼない。我々もずっとやっている中で、これが原因で摘発を拒否するだとかというふうに言われたことはないというようなのが状況でございます。
 だから、すみません、逆にこの要件で何か摘発が拒否されたとかというのがもしありましたら、是非教えていただければと思うんですけれども、ほとんどない、実務上はないというような状況でございます。
 次に、ノンフィジカルのものの原則対応不可というものについては、例えば、漫画サイト。我々もノンフィジカルなものを行政当局に対して摘発要請もやったときもあったんですけれども、大体言われるのが、もう、いやいや、そんなの、プラットフォーマーに削除要請すればいいだろうというような感じで言われたりすることがあります。だから、ノンフィジカルなもの、ぽっとあった場合には、それは削除要請だけすればいいじゃない、行政摘発わざわざするまでもないよねと。そもそも違法性として別にそれ削除すればいいだけじゃないというふうな点と、それが表向きっぽいイメージなんですけれども、裏向き的には、やっぱり結局、行政処罰については、過料ですとか没収というふうなのが目的となるので、相手方はどこにいるのかということも把握をしなきゃいけないし、相手方が何を持っているのかとか、そういうのも把握しなきゃいけない。インターネット上だと、これ、どこの誰だか分からない、ぱっと分からないので、行政当局もすぐ、これ動きにくいというような、この辺が本音なところなのかなとは思うところであります。
 なので、普通は皆さん、ノンフィジカルなものをとにかく削除をしていきながら、ただ、例えばあまりにも大物業者で、これは削除しているだけじゃ駄目だという、やっぱりそういうパターンもあります。その場合には逆に泳がせておいて、その人間がどこにいるのかというのを調査して把握をして、それを逆に刑事摘発に持っていくと。行政摘発というよりか、やっぱり、もうそれだけの大物業者の場合、刑事に値することが多いので、刑事摘発に持っていくと、こういうような実務対応というのは、まあまあ、やります。
 以上です。

【井奈波委員】ありがとうございました。

【鈴木主査】ありがとうございました。まだ御質問等あるかもしれませんけども、少し時間が押しておりますので、また後ほど時間が余りましたら、そこでお願いすることにいたしまして、先に進めさせていただきます。どうも分部様ありがとうございました。
 続きまして、中川様に御発表をいただきます。事務局の準備が整いましたらお願いいたします。

【中川様】コンピュータソフトウェア著作権協会の中川でございます。このたびは、このような機会を頂戴いたしましてありがとうございます。
 本日、私の方からは、ソフトウエアの侵害状況と、それからACCS、協会の方の対策について簡単に御報告させていただきます。
 ソフトウエアの侵害状況ですけれども、ソフトウエアといって大きく分けると、ゲームソフトとビジネスソフトに分かれるわけですが、いずれも海賊版販売とアップロードがありますと。
 ゲームソフトの場合は、それに加えて、最近の問題としては、セーブデータを改造するというようなケースがあります。
 ビジネスソフトの場合は、ちょっと販売形態等も変わってきていることもあって、指令符号やアカウントといった、正規に利用するためのキーのようなもの、こういったものを販売する、不正に流通させるといったようなケースが多く見られております。
 まず、ゲームソフトの侵害状況とその対策について簡単に御報告させていただきます。
 まず一番最初に海賊版販売ですけれども、ゲームソフトの海賊版販売の場合は、まずレトロゲームのものが多いです。レトロゲームの海賊版販売といって、どんなものなのかといいますと、こんな感じで、携帯ゲームだとか、過去にあったゲームハード、こういったものに模倣して複製しているゲームのものが多いです。
 どうも製造元は国外、中国等から入ってきているようですと。
 中に入っているコンテンツですけれども、古いものであれば、アーケードゲームであるとかファミコン、スーパーファミコンといった昔のゲーム、いわゆるレトロゲームが多数内蔵されて販売されているというようなケースです。
 こちらもありますけれども、こちらも620タイトル内蔵というふうに記載しておりますし、次のケースだと1万5,000タイトルとか、こんなものは売っていないので、こういった形で販売しているケースが多いです。
 提供場所としては、ショッピングサイトだとか、インターネットのオークションサイト、それからフリーマーケットのアプリなんかでも販売されているというような状況にあります。
 これに対して、集中的な削除対応を昨年、行いました。
 概要としては、大手のショッピングサイトでの出品を逐一確認をして、5月から9月まで、大体378商品を削除しています。
 これ出品されている方によって、やっぱり書いている型番が違うとか、色が違うだけで全然違う商品になるとか、いろいろとあるんですけれども、そういったものを含めて、内容確認をして削除要請を出しました。
 削除対象については、内臓タイトルが約273万タイトル、1タイトル当たり、今、最近レトロゲームだと大体500円から1,000円の間ぐらいで販売していますので、取りあえず500円で算出して、13.7億円相当の被害推定額があろうと。
 結果として、がっと消したのもありますので、大幅に減少しました。
 ただ、やっぱり何度も何度も繰り返し出品する者もおりますので、今後も継続していく予定です。
 一気に削除要請すると何をやったかというと、彼ら、スマホ用のケースとして売ってみたり、あとは、こういうふうに、中にどんなものが入っているか分からないようにキャラクターの画像をぼかしてみたり、そういった形で、こういうレトロゲームの海賊版のハードではありませんよというふうな形で販売しているケースが最近見受けられています。
 次に、違法アップロードです。違法アップロードのケースは、最近のゲームは特にゲームソフト自体のファイルのサイズが重たいのもあって、余りたくさんは見受けられないのですが、国外のサイバーロッカーなどを中心に、最近ゲームを含むゲームソフトがアップロードされています。
 これはとあるゲームですけれども、こういうゲームについてもアップロードがされているというようなケースであります。
 国外に設置されたサイバーロッカーに、国外に設置されたリーチサイトからダウンロードさせるといったようなケースなので、実は日本の方には余り届いていない可能性があるようなものです。ただ、日本の方に対してはBitTorrentがありますので、BitTorrent上での流れているものについては、ある程度届いているかなという可能性があります。
 これらについては、もう本当にどこの誰だかよく分からないものも多くありますので、せいぜい削除要請までといったところが現状でございます。
 次に、これはゲーム特有の問題でございますけれども、ゲームのセーブデータを改造しますよという問題でございます。改造そのものの問題というよりは、改造を代行するサービスであったり、また改造するためのツール、こういったものを提供することについての問題について問題視しております。
 どんな感じかというと、こういうふうに、最近出たゲームについて全種、全部のモンスター集められています、全部で3,000体以上持っていますよ、こういうセーブデータに改造しますよという申出でございます。こういったものが各種出されているという感じです。
 ゲームメーカーとしても、改造そのもの自体を問題視するかどうかというのはメーカーによってちょっと異なるんですけれども、それよりも、やっぱりこういう形でサービスを提供されてしまうということについて問題視しているというところです。
 また、こういう形で、いろんなゲームが改造できますよというツールの販売をするようなサイトも見受けられます。
 ただ、国内の改造ツールの販売業者については、これ国内の改造ツールで一番有名なツールなんですけども、こちらの製造販売、これを販売していたところについては、もう既に摘発済みでして、ですので、日本国内でいわゆる改造ツールを手にするということはとても難しい状況にはあるんですが、ただ、これの製造元の会社については、まだまだSaaS等で提供が進められておりますし、先ほどお見せしたような形で、別のツール、こういった形でのツールの販売も行われているというようなケースにございます。
 次に、ビジネスソフトについての侵害状況とその対策についての御報告でございます。
 まず、海賊版販売です。海賊版販売、いろいろあるんですけれども、国内国外両方とも海賊版、どうも作っているようだなというような状況にあります。
 国外のものについてはアプリケーションソフト、いわゆるパソコン上で動くソフトですね。国内で作られているものとしては、OSがほとんどです。
 国外のアプリケーションソフトについては、非常に精巧にできた海賊版です。本当に海賊版ディスクですね。これが売られています。
 ただ、OSに関しましては、USBだとかDVD-Rなど、非常に分かりやすい形で売られているものが多いです。これ理由もありまして、最近のパソコン用のOSソフトが無料で配布されていたり、またアップデート等が頻繁に行われる関係上、アップデート用のツールだとかをメーカー側が提供していることもあって、それをコピーして販売しているというようなケースが見られるというところです。
 提供場所としては、先ほどと同じようにインターネットオークションだとかフリーマーケット、そういったところで売られています。
 これOSなんですけど、こういうUSBにOS入れて売りますって、普通に売っているようなものです。これは削除要請すれば消えます。
 それから、こっちは本当に精巧な形で販売されている海賊版で、これメーカーの方で鑑定をお願いしても、どこが違うのかよく分からないレベルまで精巧にできているものでございます。
 こういった形で、OSとそれ以外のソフトで海賊版の形態、かなり異なっています。
 こちらの方は、さきに出した精巧な海賊版ですね。こういったものを輸入していた大規模販売の事案について摘発をしていただいたというケースでございます。約1万4,000枚を販売して、約1億2,000万円を売り上げたと。枚数の割に金額がえらい低いんですけど、非常に安い価格で売られています。
 通常の統合アプリケーションであれば、大体四、五万円から、高いものであれば10万円まで、このぐらいの間が正規の価格で販売されているんですけれども、大体、安いものだと1,000円ぐらい、高くても二、三千円で売られているようなものが多いです。
 次に、違法アップロードですね。実は、ビジネスソフトの場合、今、最近の販売の形態としてはサブスクリプション、いわゆるお金を払えば1年間使えますよ、2年間使えますよ、何台入れてもいいですよというような契約の形態のものが少なくないものですから、ソフト自体を違法アップロードするということが、それほど多くはないんです。
 ただ、実はショッピングサイトなんかでお金を払うと、ここに置いてありますよってアップロードしているURLが送られてきて、それを基にダウンロードして、指令符合なんかと一緒にインストールをして使うというようなケースというのが、若干ながら見受けられます。若干です。こちらについては、削除要請などを実施して、また分かるものについては利用金融機関の口座なんかを凍結して、お金の動きを止めてしまうというようなことをしました。
 その結果、支払がECサイトのポイントとか、あと最近だと、要はプリペイドのもののカードなんかで払うようになってしまって、お金の動き、もう一切出てこなくなっちゃったんですね。その関係で、一定程度こういったサイトが残ってしまっているというものがあります。
 それから、さきに申し上げましたとおり、ビジネスソフトの販売の形態がサブスクリプション等に切り替わっていることがあって、今、ビジネスソフトの中で一番問題となっているのがこちら、指令符合やアカウントなどの不正流通の問題でございます。
 ビジネスソフトを使われる際に必要となりますプロダクトキーだとかインストールキー、いろんな名前で呼ばれますけれども、そういった指令符号、それからインストールだとか使うことについての認証するためのアカウントですね、こういったものを不正に販売するようなケース、これがほとんどです。
 ソフトウエア自体は、さきに申し上げたとおり、アップロードしているものであれば違法アップロードになるので、そのまま対策が打てるんですけれども、ソフトウエア、プログラム自体はソフトウエアメーカーが提供している体験版であったり、またダウンロードができるようなサイト、そういったものを提供して、ここからダウンロードしたものを、ダウンロードしたものに対して販売したプロダクトキー、又はアカウント等を使用して利用してくださいというようなケース、こういったものが多くあります。
 具体的には、こういうものですね。実際にプロダクトキーと記述をして、プロダクトキーを売っていますと。ソフトウエアそのものの販売はやり取りはしていません。
 また、これもそうですね。認証済みアカウントを販売していますというようなケース。
 何するかというと、IDとメール、パスワード送られてくるんですね。これでインストールして、このID、パスワードのアカウントで使ってくださいねというような販売の方法です。
 価格見てもらえば分かるとおり、1本2,500円であったり、OSであっても990円、こんな価格で販売されているというようなケースがほとんどです。
 このアカウントの不正流通に対しては、インターネットオークションサイト事業者とも、かなり長い間、話を詰めて、やはりそのID、パスワードを販売しているというのは、言わば不正アクセス等の問題にもなりかねないし、その議論にも含まれるんじゃなかろうかということも含めて議論を重ねて、2022年の1月に107出品を削除しました。この107出品というのは、たくさん出していて目立つものについて一気に削除をしてもらったというようなケースです。
 結果としては、そのオークションでのアカウント出品というのは大幅に減りましたので、今後、シリアル番号、いわゆるプロダクトキー、こういったものの販売よりは、販売の形態がサブスクリプションになっている関係上、ID、パスワードといったアカウントの出品、販売に切り替わっていくことを考えると、少なくなっていくのかもしれないとは思っているものの、一方で、こういうふうにソフトウェアインストール済みと既に記述されているアカウントが、もう既に認証されたものを販売するPCを販売するといったようなケースが増えてきていて、これの対応に苦慮しているというような状況にあります。
 ここまでゲームソフト、ビジネスソフトそれぞれの侵害の状況と、それから実際にACCSの方でやってきた対策についての御報告でございます。
 ACCSとしては、一応、侵害防止のための基本方針として、スリーステップというのを考えつつ、やっております。まず、その侵害を見つければ実態調査を行い、削除要請、注意喚起を行った上で、それでも駄目だったり、また非常に悪質なものであれば警察にお願いをすると。警察の方で摘発をしていただいてそれで終わりじゃなくて、そのタイミングで私たちは必ずリリースをして、世の中にこういうことがいけないことだということを啓発していく。また、情報安全教育セミナーなどを通じて、一般の方にも、こういった著作権侵害のものがたくさんあるので気をつけてくださいねといったことを啓発していくといったようなことを進めています。
 対策活動における課題、国外関与の場合に関してですけれども、特にレトロゲームの海賊版販売だとか、それからさきに申し上げた不正なアカウント、若しくは不正な指令符合ですね。こういったものは全部、国外で作られたり発行されたりしているものなので、国内の流通そのものを止めたとしても、根本的な実は解決になっていないんじゃないだろうかというふうに私たちでは考えていて、その上、国外のプラットフォームが使われている場合であれば、削除要請時に何が要るんだとか、それから、どの程度の疎明が必要なのかというのも、そのサービスごとに異なっているので、これらの収集にもやっぱり時間もかかっていますし、対応が難しい場合というのが少なくない。
 それから、侵害行為者に直接的な権利行使を行おうとしても、行為者が特定できないというのがほとんどですし、また特定できたとしても、現地における権利行使を行うというのは時間とコストが非常にかかるので、その期間中ずっと侵害継続しているわけですから、とてもハードルが高いと。
 事後的な回復のために損害賠償を行うとしたとしても、その損害の算定というのも各国ごとに異なっているので、侵害抑制のための対策というのは非常に困難を極めていると。特に海外からの入ってくるようなものに対してはというのが実情にあるというような状況にございます。
 あとの海賊版相談窓口については、一応これについても御意見を言われたので、簡単に雑感はつけておりますけれども、こちらは割愛させていただきます。
 甚だ簡単ではございますが、以上でございます。御清聴ありがとうございました。

【鈴木主査】ありがとうございました。ただいまの中川様の御発表について御質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、また後ほど時間が余りましたら、必要に応じてまた御発言ください。
 どうも中川様、ありがとうございました。
 では、続きまして末永様に御発表をいただきます。事務局の準備が整いましたらお願いいたします。

【末永様】日本レコード協会著作権保護・促進センターの末永と申します。本日は、このような場を与えくださいましてありがとうございます。
 本日ですが、日本レコード協会違法対策、国内外問わずというところで説明させていただければと思っております。
 今日の内容としましては、簡単に日本レコード協会の概要に触れつつ、当協会の違法対策の専任組織(CPPC)の説明、そのあと、どのような活動を行っているかというところ、最後に違法対策に関する要望というところで、4点について説明させていただければと考えております。
 ここは簡単に述べますが、日本レコード協会、1942年に設立されておりまして、現在は日本の主要なレコード会社63社で構成されております。レコードの普及促進であったり、統計であったり、法改正の要望等々を行っておりまして、2022年、今年でちょうど設立80周年を4月30日に迎える予定です。
 あと、前回の小委員会でCODAさんもそのような機関になったという話がございましたが、レコードの分野につきましては、中国における権利認証機関として、2007年に認証されております。
 レコードのマーケット状況についても触れておきたいのですが、レコード産業のピーク、1998年、売上げが6,075億円、これCDのみです。その後、ほぼ右肩下がりで、2020年、昨年は2,727億円、前年比98%。ここ数年は、この3,000億円前後で推移しています。
 あと、青い部分が配信の売上げなのですが、増減ありますが、直近では7年連続して増加しておりまして、2018年に音楽配信売上げの内訳におきましてストリーミングが初めてダウンロードのシェアを上回り、インターネット配信が非常に重要な位置を占めております。インターネットにおける違法対策につきましても、協会にとっては重要なポジションになっているというところではございます。
 著作権保護・促進センターは、違法対策の専任組織、略称CPPCと呼んでおりますが、こちら2013年の4月に発足しました。2013年の4月に専任組織できたのですが、レコード業界、音楽業界のインターネット上の違法問題というのは、もうこれをかなり遡るところから始まっておりまして、日本国内において、1999年に音楽配信が日本のレコード会社によって初めてスタートしたのですが、その直後から国内外において、他のコンテンツ業界に先んじて海賊版がいろいろと問題になっておりました。
 御存じのように海外では、ナップスターなどのMP3で圧縮した音楽ファイル、ファイル共有ソフトを利用したインターネット上に配布する海賊版がかなり問題となっておりましたし、日本においては、今となっては懐かしいのですが、携帯電話向けの掲示板サイトを使って違法音楽ファイル、MP3ファイルが主ですが、それを交換するようなことも行われて始まっておりました。
 さらに、2005年にYouTubeがサービススタートしましてからは、違法なアップロードがかなり氾濫するようになってきております。
 違法対策はそれまで法務部門でやっておったのですが、2013年からは専任部門をつくって取り組んでおります。
 主に行っていることとしましては、動画サイト、先ほど申し上げたYouTubeであったり、リーチサイトのリンク先のストレージサイトなどを探索して削除要請を行う。システムによるクローリングと目視検索の両方を行っております。これは日々行っている業務になります。
 あと、昨今問題になっております無許諾音楽アプリの調査を行って、App Store等へ削除要請を行うこと。
 あと、オークションサイトやフリマサイトでも違法複製物の転売等行われておりますので、こちらの出品停止要請など。
 さらに、ファイル共有ソフトですね。今はそれほどメジャーに使われている手段ではないのですが、いまだにファイル共有ソフトを利用して、動画と音楽一緒にアップロードして交換するといったことも、まだ引き続きありますので、そちらについて、発信者情報開示請求を行って侵害者への損害賠償請求、また当該発信者情報開示請求についてプレスリリース等を行いまして、抑止効果を狙っております。
 あと、海外からの海賊版CD・DVDやファイル共有ソフトの悪質な利用について、主に警察から相談があるのですが、その刑事告訴。刑事告訴を行うのは会員社ですが、そのお手伝い等を行っているというのが、主なCPPCの業務となっております。
 その業務、数字を入れて詳細にしたものが、こちらの1枚のスライドになります。
 削除要請数の推移ですが、凸凹ありますけど、昨年度は85万9,000件ほど、URLベースですけど、削除要請を行っております。
 グラフの青色のところがYouTube。YouTubeへの削除要請が圧倒的に多くなっております。
 損害賠償請求、先ほど申し上げましたファイル共有ソフト利用者に対するものですね。今はBitTorrentの利用者に対して、特に悪質な利用者については開示請求をプロバイダーの方に行いまして、ユーザーに対して損害賠償請求を行っております。
 昨年度行った分について、ユーザーと代理人弁護士が交渉等続けておりますが、既に27名と和解しておりまして、平均的な損害賠償額は約40万円となっております。
 こちらの開示請求は2013年から毎年実施しておりまして、プロバイダーの方から訴訟によらず開示される例もありますし、訴訟によって開示される例もありますが、基本的には、ログが残っていた分については全て開示が行われております。
 あと刑事事件対応について、昨年は12件ほど刑事告訴がありました。
 次のスライドですね。こちら、過去4年間のサイト別の削除要請先になります。
 赤字のものが中国サイトになっておりますが、変化がありまして、2017年、それ以前も中国サイト多かったのですが、どんどん減ってきておりまして、ちょっと見にくいのですが、下線を引かれているものがリーチサイトのリンク先の海外のサイバーロッカーが多くなってきております。
 2020年で見ますと、YouTube、bilibiliというのは上位1、2位になっていますが、資料にありませんが今年度1月までですと、bilibiliの方がYouTubeより削除要請が多いような状況で、今、bilibili、YouTubeが主要な削除要請先になっているというのが現状でございます。
 続きまして、無許諾アプリ。アプリストアで無許諾アプリが配布されておりまして、ここにありますように、レコード会社が想定しない方法で音楽配信を可能とするスマートフォン用のアプリで、1.は、いわゆるリーチアプリなんですが、許諾実績のないサーバー、自前でどこかのサーバーを借りて、そこに音源をどんどん無許諾でアップロードしていて、アプリにリンクさせて、ストリーミングやダウンロードで配信しているアプリです。
 この後、説明いたしますけど、Music FMやMusic Boxというものが最も有名で、2016年頃から、かなり若者の間で広がっていたものの例になります。
 2.が、YouTubeが提供するAPIの利用規約、又はアプリストアの規約に違反しているアプリで、一番端的なものはYouTubeのコンテンツ、ストリーミングのみで配信しているのですけど、それをアプリを利用することによってダウンロード可能とするアプリ。あと、権利者が国外限定で許諾した音源を日本国内でも聴取可能とするアプリですね。中国のみにレコード会社がライセンスしていた音源を日本国内でも聴けるようにするようなアプリというようなものが例になります。
 当協会では、この1、2共にアプリストアに対して削除要請を行っております。
 今は既にサービス終わっておりますが、Music FMというアプリが、お聞きになったことあるかもしれませんが、これが非常に蔓延しておりました、過去において。2012年頃、中国で開発されて、日本国内、日本のみならず東南アジアでも頒布されていたアプリです。削除されても、バージョンを変えて次々にストアの方で頒布していました。アプリ名も少しずつ変えていました。
 2016年頃からSNSなどで若者、中高生を中心にかなり利用者が増加しておりまして、いわゆる開発者が設定したサーバーから音源を無許諾で配信しているリーチアプリになっております。
 当協会でも調査しまして、サーバーは中国国内にある可能性が高い。CDNを使っているので、確証は得られておりませんが、恐らくそうであろうと考えられ、ダウンロードも可能で、広告表示によってアプリの製作者、開発者は収益を得ているというような状況になっておりました。
 こちら、何度も何度もバージョンを変えて出品されており、2019年、アプリストアの運営事業者に対して、音楽業界団体と配信事業者で無許諾音楽アプリ対策の強化の要望書を提出したり、またアプリを立ち上げるたびに広告出るんですけど、その広告、大手の国内企業がかなり出稿していまして、その企業に対して、こういったアプリに広告出稿するのはやめていただけませんかというような要望も2019年の11月頃から行っております。
 また、広告関係の団体、2団体に対して、レコード協会とJASRACで広告出稿の抑制の要望等を行いまして、その結果というところもありまして、2020年の3月には新譜の追加がなくなりました。2021年5月以降は、新たなバージョンも出ていません。
 ついに21年、昨年の9月、検索サーバーも音源サーバーも停止して、基本的には使えなくなりました。過去にダウンロードしたもの、楽曲については、そのアプリがインストールされている限りは使える、聴けるんですけど、通信による聴取はできなくなったというのが現状でございます。
 簡単な仕組みになりますが、基本、真ん中にCDN、中継サーバーがありまして、恐らく海外で、左側ですね。海外にサーバーがあり、開発者がいます。運営協力者が、音源アップロードする人間ですが、状況を見たところ、確実に日本国内にもいる。日本国内ですぐ放送された音楽番組の音源なんかも上がっていたので、いるであろうという状況でした。当協会としては、アプリストアに新しいバージョンが出るたびに削除要請を行っておりました。
 このMusic FMに限らず、アプリストアのモニタリング、週1回行っておりまして、無許諾音楽アプリと思われるものについては、外部のベンダーさんに頼みまして、通信先を特定してもらって、違法な通信が行われているものについては削除要請を行っております。
 2020年度につきましては、iOSのアプリのみ20件、削除要請を行っておりまして、その前年ですと、結構多くて56件ほど行っているというところで、注目すべきは削除までの平均日数です。2019年は33日で、Appleの方ですけど、削除依頼してストアから削除されるまでの時間が非常に長期になっていたというところで、この部分についてはAppleの方に、強く改善を要請いたしました。その結果もありまして、昨年は5.1日ということで、削除までの期間がかなり短縮されて、アプリのダウンロード数も、それによって減少しているものと思われます。
 続いて、リーチサイト対策ということで、先ほどACCSさんの説明にもありましたけど、海外にホスティングされているリーチサイトから海外のサイバーロッカーにリンクして、そこから音源をダウンロードさせるというサイトがかなりありまして、全て、CDNを利用しているのでサイトのホスティング先は分かりませんが、日本国内にホスティングされる可能性はないと思います。
 毎週、モニタリング対象の11サイトについて、音源蔵置先のサイバーロッカーに対して削除要請を当協会で週2回行っております。
 新譜発売されるとすぐにリーチサイトに公開されるような状況になっています。下の画像が、サイト名は消してありますけど、リーチサイトの一例になっております。
 最も人気の高いリーチサイトですと、音楽、雑誌、コミック、アニメと、日本のコンテンツミックスでリンクしているのですけど、日本からのアクセス数が93%ほど、昨年12月のSimilarWeb調査でありました。一見、英語サイトですけど、日本向けのサービスなのかなというところもうかがえます。
 あと、ドメインレジストラー、リーチサイトのドメインについて、いろんなレジストラーから取っているのですが、一例として、「.eu」ドメインを使っているサイトがありまして、それ国際レコード産業連盟、IFPIというところからレジストラーに警告したところ、ドメインが没収されて、一旦リーチサイトへアクセス出来なくなったという例がありましたけど、新たなドメインで、またすぐ復活しています。ただ、短期間でも利用ができなくなるというところで、ドメインレジストラーへの通報によってドメイン没収というのも一つ、対策としてはいいのかなと、個人的には思っております。
 あと、音楽ダウンロード利用者に人気の高い「ハイレゾ音源」なんかもリーチサイトからダウンロードできるようなものも出てきております。
 昨年、著作権法改正がありまして、リーチサイトに対する法改正も行われたので、その前後でリーチサイトへのアクセス数について、委員の渡邉先生にも協力していただいて調査を行ったのですが、リーチサイトへのアクセス数については、その法改正の前後で、ほぼ変化なく、若干増加しているぐらいだったというような状況になっております。
 さらに、著作権啓発活動。これは違法対策と別で広報部門で行っているものなのですが、学生の職場訪問受入れ。中高生、修学旅行等で東京に来た際に、職場訪問というかたちで受入れを行っていますが、コロナ禍で昨年はほぼ実施できなかったのですが、2019年には、980名ほど受け入れて、著作権法やレコード会社の仕事について説明を行っております。
 また大学への寄附講座も行っておりまして、昨年度、本年度は明治大学で行っております。
 あと海賊版、リーチサイト、アプリ対策の強化のための改正著作権法が昨年施行された際には、こちらにありますように、「あの音楽アプリは、もう違法。」というタイトルで、主に若年層に向けた周知活動も行っておりました。
 アプリの利用者については、昨年も調査を行っておりまして、かなり減少が見られるのですが、2021年の11月にも調査を行っておりまして、まだ公表前なのですが、昨年度に比べてアプリ利用者は、更に減少しております。25日、今週金曜日に協会のサイトで公表する予定なので、興味のある方は御覧いただければと思います。
 最後に、違法対策に対する要望というところで、文化庁に近しいところでは、若年層への啓発活動、教育の充実が必要と考えております。日々削除要請等を行っておりますが、中高生はやはり動画サイトを利用することについてカジュアル、ほぼ、もう気楽な気持ちでアップロードしているという傾向が非常によく見られまして、SNSなんかでは、「すぐ削除されるかもしれないので早く聴いてみて。」などコメントつけていたり、あとはYouTube削除なんかしていますと、そのユーザーから、「もうしませんので削除撤回してください。」といった依頼メールが、かなりの数、送られてきます。著作権侵害行為について、ちょっと軽く考えている傾向が見られますので、啓発活動、教育の充実を望んでおります。
 あと2つ目、3つ目は、知財計画への意見書でも書きましたけど、サイトブロッキングですね。いろいろな議論があって、第3段階という形になっていますが、こちらの検討についても早めに再開していただければと考えております。
 MPAの調査によると、イギリスやオーストラリアでは効果的に運用されていると聞いておりますので、検討をお願いしたいです。
 3つ目は、動画共有サイトなどのプラットフォームの運営事業者に対する海賊版排除責任の強化という点。プロ責法ができた時点では、このようなUGC公開をビジネスモデルとする動画投稿サイト、YouTubeのようなものは想定されていなかったと思いますし、現状において、そのUGC公開においてビジネスをしている事業者が、権利者からの削除要請によって削除するだけで、その責任が免れるというのは本当、バランス的にはどうなのかというところがございますので、海賊版排除責任の強化については検討していただければと思います。
 EUにおいては、新指令が出て、権利者とUGCの運営事業者の契約締結とか、無許諾配信の防止を求める新指令ができていると聞いておりますので、そちらの方も参考としながら、日本国内でも検討が進んでいけばいいなと思っております。
 権利者、先ほど申し上げたように、レコード業界の当協会だけで違法対策に7,000万円、年間かけておりまして、さらに各会員社とも違法対策に費用かけておりますし、他のコンテンツ分野でも費用かけて違法対策を行っているというところで、動画共有サイトの事業者、YouTubeなどとはバランスを欠いているのではないかというのは一つの意見として申し上げさせていただきます。
 あと最後は、先ほどACCSからもありますように、国際執行ですね。国内のみならず、サーバーを海外に置いて、運営者も海外にいる。ただし日本にも協力者がいるというような違法事例が多くなっておりますので、それに対する国際執行であったり、政府間の協力体制の強化をしていただければと考えております。
 最後、駆け足になりましたが、以上になります。ありがとうございました。

【鈴木主査】ありがとうございました。ただいまの末永様の御発表について御質問等ございましたらお願いいたします。伊東委員。

【伊東委員】一般社団法人ABJの伊東です。海賊版対策の大先輩であるレコード業界の発表、大変参考になりました。ありがとうございます。
 1つ質問なんですけれども、正規版をサブスクで提供することによって海賊版被害が簡単に減らせるのではと、結構世の中の人がそういう御意見を言うことが多いんですけれども、レコード業界さんとして、そのサブスクに結構、先進的に取り組んでいらっしゃいますが、海賊版が減ったという実感はございますでしょうか。

【末永様】ありがとうございます。アプリに関しましては、正規サービス、サブスクリプションサービスがかなり普及したことによって違法アプリの利用者は減っているという傾向が、今週金曜日発表する調査なんかでも出ているとは思いますが、通常の動画共有サイト等に上げられている動画については、それほど減ったという実感的にはありません。被害調査はしておりませんが、日々対応している感じでは、実感はないですね。
 以上です。

【伊東委員】更に1点、突っ込んで聞いてしまいますけれども、じゃ、サブスクをやって、海賊版が減って、アプリとかでも海賊版へのアクセスが減ったけれども、レコード業界全体として非常に収益も上がって、非常にいい方向に進んでいるというような実感まではございますでしょうか。

【末永様】そこまではないと思いますけど。今まで、特に配信、サブスクリプション、ストリーミングにおいて、通常のビジネスの阻害となっている部分が減って、通常のビジネススキームにというか、タームに戻ってきて、若干売上げが増えているというような状況で、まだまだインターネット上の違法対策は実施する必要があるというふうに考えています。個人的な意見も含めまして、そう考えております。

【伊東委員】ありがとうございます。

【鈴木主査】ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 すみません、私から1つ。最初の方で、売上げの推移につき、残念ながら右肩下がりになっている図がございました。たまたま、私は、最近、御発表の中でも言及があったIFPIという国際団体のグローバル・ミュージック・レポートというものを拝見したのですが、それによると世界的にレコード音楽産業の売上げは、2014年を底にして、ここ数年は上向いているという統計がありました。それと、御発表にあった統計とは、単純に比べてはいけないのか、それとも、一応比べてもよくて、世界全体では少し上向き傾向にあるが、日本では残念ながら正規版の売上げは落ちていると、そういうふうに考えていいのかについて、いかがでしょうか。御発表の中でなかった話を持ち出して申し訳ないのですが。

【末永様】大丈夫です。IFPIのグローバル・ミュージック・レポートには当協会もデータ提供していまして、日本のデータも出ています。海外においては、パッケージから配信への移行が非常に早かったというところもありまして、配信の伸び、特にストリーミングですね。サブスクリプションサービスの伸びで、もう上向きになっているというところがあります。
 ただ、日本の場合、パッケージの比率が海外に比べ非常に高いということもありまして、パッケージだけの売上げは世界一をしばし続けているところもありますので、今後、徐々にではありますが、ストリーミングへの移行が進んでいくのかなというふうには私は考えています。明確じゃないですけど、日本の方が海外より遅れてマーケットが変化していっているというのが現状だと思います。

【鈴木主査】どうもありがとうございました。
 それでは、先に進めさせていただきます。末永様どうもありがとうございました。
 続きまして、「海外版対策窓口」に関する議論に移ります。まず、事務局より説明をお願いいたします。

【加茂下海賊版対策専門官】それでは、資料の3を御覧ください。海賊版相談窓口について、国際小委員会の委員の皆様から頂いた主な意見をまとめたものでございます。次の5つの観点で整理をさせていただきました。
 1ポツとしまして、窓口設置に当たっての留意点です。
 窓口で対応できる内容を明確にするべき、無料相談から法的アクションまで円滑に移行できる仕組みであるべきなんじゃないか。
 2つ目の丸としまして、既存の相談窓口との関係性を明確にして、既存のものとの有機的な連携を工夫するべきなんじゃないか。
 また、国際的なネットワークへのアクセス、集団的な権利行使のきっかけを提供するなど、国レベルのアクションにつながることを期待します。
 さらに、この分野を扱う弁護士の確保が課題である。
 また、オンラインを活用した相談方式の工夫が求められる。
 2ポツとしまして、持たせることが望ましい機能です。
 民間の組織では難しい国の行政機関ならではの施策を含む、より高度な違法利用対策を期待します。
 権利行使に至った場合に高額になる費用について、補助を受けられる制度も求められます。権利行使には翻訳やその費用の支援もあるといいのではないか。
 また、権利行使するためには、そのコストがあらかじめ分かっていることが重要です。
 3ポツ、相談の対象者です。
 団体、主に小規模の企業、個人クリエーターを対象にしてはどうかという御意見がありました一方で、対象者の線引きを明確にするのであれば、関係団体会員社に限定するというのも一案である。
 また、弁護士等の専門家からの相談への対応も求められるのではないか。
 4ポツ、相談内容です。
 正規版の普及は海賊版対策の一つの方策でありますので、海外展開も含めた多角的な機能を持たせた方がよいのではないかという御意見がありました一方、ビジネスについてはそれぞれの負担で行うのが筋であるので、当面は海賊版対策に限定した方がよいのではないか。
 5ポツ、その他としまして、そもそも論として、国民が海賊版を利用しないことというのが根本的な解決策でありますので、そのための普及啓発が重要なんじゃないか。
 資料3の説明は以上でございますが、ちょっと資料を飛んでいただきまして、参考資料2を御覧ください。
 こちらABJの伊東委員から情報提供いただきましたので、今回の会議の資料に加えさせていただきました。先週から、STOP! 海賊版キャンペーンとして、「転載はバカボン」というのをスタートしています。内容は、こちらの参考資料を御覧いただければと思います。
 事務局からは以上ですが、伊東委員、もし参考資料2について補足等あればお願いします。

【伊東委員】先週から始まったキャンペーンですが、前回大がかりにやったキャンペーンが、「きみを犯罪者にしたくない。」という、割とユーザーに対して脅しをかけるような、ちょっとこわもてのキャンペーンだったので、少し手を替え品を替えということで、今回のキャンペーンは、天才バカボンという非常に国民的なキャラクターで、なおかつ笑いを取れるキャラクターをお借りして、笑いながら海賊版を使っちゃ駄目、アップしちゃ駄目ということを訴えました。これをやれば海賊版読んでいるユーザーがみんな読むのをすぐやめてくれるという魔法のようなキャンペーンはないと思いますので、いろいろな層にアプローチするために、手を替え品を替え、キャンペーンを継続的にやっていく必要があると感じております。
 以上になります。

【鈴木主査】どうもありがとうございました。ただいまの「海賊版相談窓口」に関する御説明、それから冒頭の事務局から御説明があった「国際小委員会中間まとめ骨子(案)」について、これも併せて、御意見等ございましたらお願いいたします。今村委員。

【今村委員】細かな点で恐縮ですけれども、資料1の骨子案の部分なんですが、2ページ目のところで海賊版の被害状況というものがあって、1つ目の丸で、21年7月現在、海賊版サイトの総訪問数は約6億アクセスとあります。あとは18年3月は4億弱アクセスとあります。これは、前回の内容を踏まえると、月間訪問数のことだと思うんですが、そのことが分かるように書いた方が、被害が甚大だということがよりはっきりと分かるかなと思いました。この記載ですと、どの間の総アクセスかちょっと分からないかもしれません。その点、ちょっと申し上げさせていただきました。
 以上です。

【鈴木主査】どうも大変有益な御意見ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。井奈波委員。

【井奈波委員】資料3の海賊版相談窓口についてですが、まだ案の段階はありますが、冒頭、海賊版相談窓口となっております。海賊版という言い方は、一般向けには非常にキャッチーではありますが、法律的には、海賊版が何を含むのか、つまり著作権侵害全般を指しているのか、漫画を丸々読めるようなデッドコピーをイメージしているのか、概念的に不明確と感じております。ほかの方はどういうイメージをもっているのか分かりませんが、個人的には、著作権侵害を狭めて、デッドコピーのようなものを想起させるように思います。どういった相談窓口を設けるかによりますが、名称の検討も必要ではないかと思いました。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございました。あくまで私の個人的な意見ですけど、例えばTRIPS協定でも、パイレーツとかカウンターフィートという用語が使われており、著作権侵害や商標権侵害の中で、おっしゃったようにデッドコピー的なもの、意図してコピーしているもの、そういうものを指す概念だろうと思います。いずれにしろ、御指摘を踏まえまして、説明ぶり等、何か直す必要があるかどうかにつき、事務局と検討させていただきます。よろしいでしょうか、井奈波委員。

【井奈波委員】はい、結構です。ありがとうございます。

【鈴木主査】ほか、ございますでしょうか。渡邉委員。

【渡邉委員】すみません。私も細かいところなのですが、先ほどの海賊版サイトの約6億アクセスは、日本からのという言葉をつけておいた方がいいかなと思いました。

【鈴木主査】ありがとうございます。

【渡邉委員】また、この6億という数値は、音楽は対象外なので、それも入れてもいいかもしれません。ただし、あまり細かく書いてしまうと分かり難くなると思うので、注釈でつけるなどを考えてもいいのかなという気がしました。

【鈴木主査】ありがとうございました。中間まとめの海賊版被害状況のところの書きぶりの話ですね。

【渡邉委員】先ほど今村先生の方から指摘あったところです。

【鈴木主査】国内ということを入れるのと、あと音楽について、どこかに書かれていると思うんですけど。

【渡邉委員】音楽は入っていないはずなので、そこも、注釈なのか。

【鈴木主査】分かりました。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。生貝委員、お願いします。

【生貝委員】ありがとうございます。少し今の資料、まとめ骨子に関する細かいところなんですけれども、先ほどRIAJ様の御発表で、最後に、プラットフォーマーの方でしっかり、今までのように権利者から言われない限りは、自由に海賊版を載せていていいというだけではなくて、より能動的な対応が必要なんじゃないかということを、ヨーロッパの新指令のことなども言及しながら、おっしゃっていただいたところですけれども。ヨーロッパの方の指令については、たしか基本政策小委の方で、どちらかというとバリューギャップの文脈で様々調査などをされているという認識で、おっしゃっていただいたとおり、確かにこれは海賊版にも深く関わるところでございますので、もしかするとそういった、小委員会をまたいだ連携というのがどういう位置付けになるのか分からないのですけど、そちらの成果というのも、こういうところに反映させることも考えられるのかなという気がしました。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございます。この小委員会でも以前、EUの担当者の方に来ていただいて、新しいデジタル単一市場指令について御説明いただいたことがありましたが、引き続きフォローをしていく必要があるだろうと思います。ありがとうございます。
 伊東委員、お願いします。

【伊東委員】その中間まとめの骨子のところで、2ポツの最後、主な論点の一番最後で、海賊版対策に関する普及啓発とありまして、これ当然、我々権利者側も頑張っていく必要はありますが、文化庁さんのまとめということで、学校教育の現場で、しっかりとやっていただきたいという思いが非常に強いです。2020年に、たしか学習指導要領変わって、著作権教育という文言が加わったはずで、今、著作権教育をしっかりとやる、いいチャンスだと思います。オンライン授業とかでPCタブレットを使って授業をやる過程で、子供たちがコピー・アンド・ペーストをすごい多用して授業をやっていて、授業中のコピペはいいと思うんですけれども、なんでもかんでもコピペしていいんだという勘違いが、海賊版被害だったり著作権侵害につながっていくという風潮があるようにも聞いておりますので、著作権教育であったり、海賊版を見ると危険であることや、海賊版見ると創作者がつらい思いをするなど、学校教育での対応を特に重点的に入れていただくことを文化庁さんに強く期待するところです。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございました。後藤委員、お願いします。

【後藤(健)委員】3ページ目ですが、それの(3)、海賊版対策の課題とありまして、それの丸の2つ目ですね。通信技術等が発達しており、その次のパラグラフで、また現在、海賊版サイトの運営主体はほとんどが海外に拠点を持つ海外企業と、海外企業って書いてありますけども、企業かどうか、これ分からないので、拠点を持つ「個人又は組織」であると考えられているのがいいのかなというふうにちょっと思いました。これ、主査に一任しますけども、私の意見です。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございました。

【須子委員】発言をしてもいいでしょうか。JASRACの須子です。

【鈴木主査】須子委員、お願いいたします。

【須子委員】先ほどの伊東委員の御発言に賛成するものなんですけれども、今日のレコード協会の末永さんからの御発表でも、若者が気軽に、著作権侵害のハードルを越えてくるということもありましたし、これまでの各有識者の方々からの御発表の中でも、皆さん普及啓発活動に非常に力を入れていらっしゃることがわかりました。民間の組織だけでは対応できない部分もあると思いますので、子供の頃からの教育に注力するべきだと考えております。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間も少なくなっており、後ほど、またメールで御意見を承る機会を設けさせていただきますので、取りあえず以上とさせていただきます。
 事務局におかれましては、ただいま頂いた御意見を踏まえて、国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について御検討いただければと思います。
 なお、今もちょっと申し上げましたけれども、中間まとめ骨子(案)は、本日の御発表と御議論の内容を加え、追って事務局から委員の皆様へメールで照会をいたしますので、それについて御意見等の提出をお願いいたします。
 国際小委員会といたしましては、中間まとめを取りまとめ、3月の著作権分科会に報告をいたしますが、中間まとめの最終的な文言等につきましては、主査の私に御一任をいただければ幸いでございます。よろしゅうございますでしょうか。
 では、議事を進めさせていただきます。
 続いて、議事の2番目、「著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について」に入りたいと思います。資料4について事務局より説明をお願いいたします。

【長谷川国際著作権専門官】ありがとうございます。それでは、事務局よりWIPOにおける最近の動向について、資料4を使いまして、2点ほど御説明をさせていただきます。
 1点目は、昨年6月末から7月にかけて開催されました第41回著作権等常設委員会、SCCRの結果概要についてです。もう一点は、昨年10月に開催されましたWIPOの加盟国総会の結果概要についてです。
 それでは、まず第41回のSCCRの結果概要について御説明させていただきます。
 SCCRは、著作権分野における実体法や国際調和について議論する会議で、通常1年に2回開催されておりますが、昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で年1回のみ、オンライン参加主体のハイブリッド形式での開催となりました。
 議論としましては、これまでと同様に、放送条約、権利の制限と例外、その他の議題の3つの枠で議論が行われました。
 続いて、3ポツの各論に行きます。
 (1)の放送条約ですが、こちらは1998年から議論が続けられており、近年では、2020年から2021年の会期中の外交会議開催を目指すとの勧告が一般総会で採択されるなど、条約策定に向けた機運が高まっていたところですが、コロナ禍の影響で、ここ2年、議論はあまり進んでおりません。
 議論の概要ですが、オンライン会議で条約の交渉を行うことに難色を示す国が多かったため、今回の会合では、テキスト交渉は行われず、保護対象や与えられる権利などの条約実体面についての方向性などについて、各国の見解が示されるにとどまりました。
 また、議長から今後の進め方について説明があり、議長を中心に少数国のみが参加する「フレンズオブチェア」という非公式会合において、テキスト交渉が再開されたときの議論の基礎となる新たなテキストの作成作業を行う予定である旨の説明がなされました。
 次に、(2)の権利の制限と例外ですが、現在では、図書館とアーカイブのための制限例外、教育と研究機関等のための制限例外というのが議論対象となっております。
 今回の会合では、今後の進め方についての議論が行われ、アジア太平洋グループより、新型コロナウイルスが著作権及び制限例外の枠組みに与えた影響について、専門家のプレゼンテーションや意見交換を行う情報セッションを開催したらどうかという提案がなされました。これに基づきまして、次回SCCRでは情報セッションを開催することが決定されました。ただし、内容は、制限と例外に限らないものとすることになりました。
 続いて、(3)のその他の議題では、デジタル環境に関する著作権の分析、追及権、舞台演出家の権利保護、公共貸与権の調査が取り上げられており、専門家による調査研究の報告やプレゼンテーション、新たな調査の提案などが行われました。
 それぞれ詳細については説明を割愛させていただきますが、会議資料はSCCRのホームページから、それぞれ入手可能となっております。
 今後の予定ですが、次回SCCRは、昨年より2か月ほど早い5月9日から5月13日に開催予定となっております。
 続きまして、WIPOの加盟国総会の結果概要について御説明させていただきます。
 WIPOの加盟国総会についても、SCCRと同様に、ハイブリッド形式での開催となりました。著作権に関連する議題といたしましては、前述のSCCRの結果報告、マラケシュ条約及び北京条約に関する加盟国会合がございました。
 結果の概要ですが、(1)のSCCRの報告につきましては、その活動についてWIPOの事務局から報告があり、各国からステートメントの発出が行われました。放送機関の保護に関しまして、我が国を含む多数の国々が議論を発展させることの重要性を指摘しました。また、フレンズオブチェアで議論を進めることについて、透明性ですとか包括性が重要だという指摘がございました。また、この場で何か新しい決議が行われるということはございませんでした。
 (2)のマラケシュ条約、(3)の北京条約の加盟国会合では、それぞれ事務局から加盟状況についての報告がなされた後、各国より、さらなる加盟国増加を期待する旨のコメントがなされました。
 今後の予定ですが、次回総会は、こちらも例年より2か月以上早い7月15日から7月22日に開催予定となっております。
 説明は以上となります。

【鈴木主査】ありがとうございました。ただいま事務局から説明のございました資料4について、御意見等ございますでしょうか。伊東委員、お願いします。

【伊東委員】度々すみません。WIPOに関して、ちょっとお願い事というか。私のプレゼンでも説明したとおり、海賊版サイトの収入源の一つとして広告表示があります。CODAさんの御尽力で、日本国内の真っ当な企業だったり真っ当な広告事業者の人からの広告は、もうほとんど出なくなっていますが、海外の事業者の本当にどぎつい広告がたくさん出て、それが収益源になっています。
 WIPO ALERTという違法サイトリストがWIPOで多分共有されていると思うんですけれども、情報共有のみで、そこのサイトに広告を提供した事業者に多分、罰則とかないとは思うので、あまり実効性が期待できない。あくどくもうけようとする連中は、ずっともうけ続けられてしまうので、WIPO ALERTの仕組みをもうちょっと有効なものにするような動きを、ちょっと検討を開始するようなきっかけを出していただけたりするといいかなと思いました。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございました。生貝委員。

【生貝委員】ありがとうございます。これもお願いに近いようなところかもしれないんですけれども、SCCRとかの正式な議題になっているわけじゃないと思うんですけれど、WIPOの方で去年の11月から、Copyright Infrastructureというテーマでのウェビナーシリーズをものすごく活発に、もう十五、六回ぐらいの予告もされた上で開催しているところです。コピーライトインフラとは何かというと、まさに日本の、こちらもまた別の小委ですけど、基本政策小委と、あと今、法制小委で議論をしている簡素で一元的な権利処理と、それから、まさに共通のデータベース構築といったようなところに関わるもので、そのまさにグローバル状況、国際的状況というのを広く共有しているといったような認識でございます。
 議題そのものではないのですけれど、非常に面白い有益なリソース、日本でも余り紹介されていないところ含めて、大変いろいろなものが、アーカイブも含めて載っているところですので、こちらの動きというのも、もし可能であれば、WIPOの関係でフォローしていただけるとすごく有益だなと感じました。
 以上です。

【鈴木主査】ありがとうございました。事務局の方から、今のお二人の委員からの御発言について何かございますでしょうか。承ったということでよろしいでしょうか。

【長谷川国際著作権専門官】はい。ありがとうございます。

【鈴木主査】ありがとうございます。
 ほか、よろしゅうございますか。では、先に進めさせていただきます。
 最後に、議事の3「その他」でございますが、次回の3月ですけれども、著作権分科会で、私の方から、今期の国際小委員会の審議状況について報告をすることとなっております。その際、説明に用いる中間まとめの文言につきましては先ほど私の方に最終的に一任を頂いたところでございますけれども、この分科会における説明につきましても私に御一任をいただければと存じますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【鈴木主査】ありがとうございます。
 それでは、ほとんど時間なくなりましたが、全体通しまして、何か委員から御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
 では、特になければ、本日は今期最後の国際小委員会ということでございますので、私から一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 今年度は3つの事項、とりわけ我が国のコンテンツの海外展開と、それから国境を越えた海賊行為対策を中心に、5回にわたって御議論をいただきました。コロナ禍のため、主にオンライン参加の形となって制約を受ける面がございましたけれども、それでも充実した審議ができたものと思います。非常に活発に審議に御参加いただきました委員の皆様に感謝申し上げます。
 あわせて、各回に有意義な報告をいただきました委員以外の報告者の皆様にも、改めて御礼申し上げます。
 今年度の国際小委の審議結果が、文化庁をはじめとする政府の皆様、それから関係業界の皆様、法律専門家や研究者など、コンテンツの創作と利用の推進に関わっておられる皆様にとって、状況をよりよい方向に進めるためのお役に立つことを心から期待したいと思います。
 以上で私の挨拶とさせていただきます。
 最後に、文化庁の中原審議官から、一言御挨拶をいただければと思います。

【中原審議官】今期の本小委員会を終えるに当たりまして、一言御礼を申し上げたいと存じます。
 今期のこの本小委員会におきましては、我が国のコンテンツの海外展開における著作権に関する課題及びその対応、そして国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方の2点を中心に御議論をいただきました。
 委員の皆様及び有識者の皆様の発表を踏まえて丁寧に議論を進めていただいた結果、いずれの議題も本年度中に中間まとめとして取りまとめられる予定となりました。コンテンツの海外展開と海賊版対策は、車の両輪と同じく、どちらが欠けても進めないものだというふうに存じております。文化庁におきましては、今期の御議論を踏まえつつ、来年度から海賊版相談窓口を開設するなど、具体的な対応を進めてまいりたいと存じます。
 鈴木先生をはじめ委員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門の立場から、今期の本小委員会の充実した審議のために多大な御尽力を賜りましたこと、改めて感謝を申し上げさせていただきたいというふうに存じます。どうもありがとうございました。

【鈴木主査】どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会国際小委員会の第5回を終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。

――――

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