文化審議会著作権分科会国際小委員会(第3回)

日時:
令和5年1月13日(金)
10:00~12:00
場所:
オンライン開催
(3F2特別会議室)

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応について
    2. (2)今年度実施している調査研究について
    3. (3)放送条約の検討に関するワーキングチームの報告について
    4. (4)文化審議会著作権分科会国際小委員会 報告書(案)について
    5. (5)その他
  3. 閉会

配布資料一覧

第22期文化審議会著作権分科会 国際小委員会(第3回)

令和5年1月13日

【上野主査】それでは、定刻になりましたので、ただいまから文化審議会著作権分科会国際小委員会の第3回開催させていただきます。

本日御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日も新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御出席いただいております。

委員の皆様におかれましてはカメラをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には、主査から指名させていただきますので、カメラの前で大きく手を挙げていただくか、御自身でミュートを解除して御発言いただいても結構でございます。

議事に入ります前に、本日の議事の公開につきましてですが、予定されている議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところでございますけれども、この点、特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【上野主査】ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開ということで傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

なお、傍聴される方々におかれましては、会議の様子を録音・録画することは御遠慮いただいております。また、音声とカメラはオフにしていただければと思います。

では、事務局よりまず配付資料の御確認をお願いいたします。

【加茂下海賊版対策専門官】配付資料は、議事次第の下の一覧にあるとおりでございます。

【上野主査】それでは、議事の内容に入ってまいります。本日の議事は、議事次第のとおりでございまして、5点ございます。

まず議事の1つ目でありますけれども、「国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について」でございます。本日は2人の国内関係者の方から国境を越えた海賊行為の現状や課題、その対応などを伺いまして、その後に御議論いただきたいと考えております。

まず、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)知的財産保護センター長で、弁護士でもある墳﨑委員、その後に、特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)の森下委員に御発表いただくと、こういう流れでまいりたいと思います。

御発表に入ります前に、簡単に趣旨に関しまして事務局より御説明いただけますでしょうか。

【加茂下海賊版対策専門官】一人目の墳﨑委員からは、CODAの知財保護センターでの海賊版対策や取組の状況について御発表いただきます。

お二人目、VIPOの森下委員からは、昨年12月に文化庁の事業として実施されたトレーニングセミナーの概要とそこから得られた知見について御発表いただきます。

【上野主査】ありがとうございます。それでは、大変恐縮ですけれども、時間の関係上、御発表につきましてはお一人20分でお願いできればと考えております。それぞれの御発表の後に質疑応答の時間を設けたいと思います。また、議事4において全体を通しての意見交換の時間もあるかと思いますので、そのようにお願いできればと思います。

は、まず、墳﨑委員に御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【墳﨑委員】コンテンツ海外流通促進機構の墳﨑と申します。本日は、CODA、コンテンツ海外流通促進機構の取組について、簡単ではございますが、御紹介させていただければと思います。

まず、CODAの背景とか、そういうものは皆さん御存じかと思いますので、その辺りは割愛させていただいた上で、取組内容を説明させていただきたいと存じますが、そもそも最近の海賊版というのは、様々な海賊版サイト、様々な国境の越え方をしております。従前は、運営者が日本にいてサーバーが海外にあって視聴者が日本にいるというような形をとっているものが多かったです。この場合、サーバーが情報開示に応じるか否かという部分がネックになったりして対策が難しいというところがありました。

併存していますけれども、その後、運営者が海外に拠点を置いて、サーバーが海外にあって、それを日本の視聴者が見るというようなサイトも出てきて、この場合はサーバーでの情報を取得できたとしても、運営者が海外にいて、海外での法執行というところで混乱が生じるというようなところが出てきております。

さらに最近では、日本のコンテンツが海外に出ていって、どんどん海外での広まりを見せているという部分もあるのだとは思いますけれども、そもそも視聴者が海外向けのサイトというものが増えてきておりまして、こういった形でグローバル化が進んでおります。

この中で、CODAとしては様々な対応をしておりますが、困難な点も多いので、その点も含めて御紹介させていただければと思います。

本日の内容ですけれども、ちょっと時間の関係もありますので、多少絞ってはいますが、この7つについてお話をさせていただければと考えております。

まず1つ目ですけれども、CODAではCODA自動コンテンツ監視削除センターというものを稼働させております。これは会員企業を含めた登録をいただいているコンテンツ企業の皆様から監視対象のコンテンツをお預かりして、CODAのほうでシステムや人的なリソースで特定のサイトをモニタリングした上で、海賊版と思われるものを発見した場合には、それを掲載しているサイトに対して権利者名義の削除通知書をシステムから送付すると、できるというようなものを行っております。

現在表しているものが2018年度からの削除要請数の実績となっております。2018年頃は毎月1万5,000~2万件ぐらいだったものが、今では、2022年度を見ていただければと思いますが、5月以降、5万件弱が続き、その後も増えていっているというような状況になります。4月が毎月少ないのは、4月から稼働という部分、新年度の稼働という部分があって、立ち上げ等がある関係で毎年ちょっと少なくなっております。

このような形で削除センターで見つけているものだけでも毎月のように5万件以上の海賊版というものが出ているというような状況になっております。

具体的なサイト等についてはこちらのサイトになります。本当に様々なサイトがありまして、ストレージサイトや、いわゆるSNSと言われているようなサイトや、普通に皆さんも聞いたことがあるようなUGCサイトなども含めて様々なサイトが対象となっております。

黒字の部分のものは結構それなりに削除ができていたりするものではありますが、赤字のサイトのように、いくら通知しても削除できないというようなものは残っており、これらについての対応はやはり課題としては残っております。

続きまして、リーチサイト対策というのをCODAでは実施しております。これは文化庁も含めた皆様の御尽力もあって、2020年10月に著作権法改正により、リーチサイトの違法化ということが明文規定に書かれて、それに基づく刑事摘発等が行われているところです。

1から7まで書かせていただいておりますが、様々な県警の方々、警視庁含めて県警の方々に御協力いただいて、リーチサイトの刑事の摘発というのが進んでいる状況ではあります。

最近の傾向ではございますが、法改正後はやはりいろいろと報道されていたこともあって、施行前にCODAで結構目星をつけていたリーチサイトが自主的に閉鎖するというような状況が起きたり、違法コンテンツのリンクがなくなるというような形で、やはりそこで法改正があること自身がまさに抑止力になっているというようなことがまさに見てとれたのかと思います。

ただ、その後、やはりそういったことをする方も巧妙化をしていくところで、海外にサーバーを移転して、そもそも本当に情報が、先ほどちょっとお話しさせていただきましたけれども、情報がつかめないというような状況になったり、正規コンテンツ、要件との関係ではありますけれども、正規コンテンツをある程度混ぜて、いわゆる不正のリンクだけを、専ら不正のものだけを掲載するサイトではないというようなことで反論ができるような形のサイトなども出てきているところであって、これは今後対応の課題になってくるのではないかと思っております。

ただ、やはりリーチサイトのほうで、これについて削除要請や、広告の、後ほどお話しさせていただきますが、海賊版サイトの一部の収益になっている広告配信について、広告会社のほうに、それは違法だから止めてくださいということを明確に言えるようになったというのはかなり大きな進展ではあったと思っており、改めて皆様の御尽力に感謝したいと思います。

続きまして、これもこういったことをやっていますというところではありますが、中国で運営者の行政摘発ができたという事例になります。もちろんCODAにおいて中国で行政摘発ということはやっているところではありますが、このケースで非常に目新しい部分は、従前、後ほどちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、やはりインターネットの場合ですと、ジオブロックということができて、この特定の地域だけ見れなくするということができてしまうんですね。このケースだと、要は中国では視聴できないというような形のサイトとなっていて、中国に運営者の拠点はあるんですけれども、中国での視聴ができないということになるとどうなるかというと、中国の法執行機関は中国における権利侵害はないんだというような整理をつけて執行ができないという話をするわけですね。もちろんサーバーにアップする行為の複製行為というのは中国で行われているわけで、できるところもあるんじゃないかなとは思うんですけども、少なくとも公衆送信権、日本でいうところの公衆送信権といったところが侵害されてないので、できないということで基本的に断られてきた部分ではあるんですが、この件ではできるということになっていて、非常に中国における対策が進展した1つのいい事例になっているのかなと考えております。

少しお話ししますと、中国においては、刑事と行政、2つの取締りがあって、刑事に関しては、ここの②で書いてあるような、刑事訴追基準、いわゆる閾値とよく言われますけれども、こういった不正経営額ですね、不正の売上額が5万元以上であったり、送信数が500件以上のものとかでないと刑事事件化はしないんですけども、その代わり、行政で取締りをすると。いわゆる日本でいうところの文化庁のような組織が、版権局文化執法総隊といいますけれども、その辺りが、執行、行政摘発をしてくれるということになっておりますけれども、この件ではちょっと刑事までにはなっておりませんが、行政処罰が下されているということになっております。

③のところでさっきの話ともつながりますけれども、中国で法執行しない理由のもう一つの理由として、中国の著作権侵害の中に中国の公共の利益を侵害していることという要件があるんですね。これは何なのか、実は内容がいまだによく分かってないです。私自身も結構中国の行政官の方とかと話すと、ある程度の数量があれば公共の利益を侵害していると言えるんだという行政官の方もいらっしゃるんですけども、中身がやはりちょっとここふわふわしているものでして、先ほど申し上げたとおり、中国で視聴できないとかいうようなものだと、公共の利益を侵害してないんじゃないかというようなところで、行政機関の執行の手が緩んでしまうというような問題があったんですけども、ここでは、本件ではその点もクリアできて、無事に行政摘発できたという好事例になっておりますので、今後、そういったジオブロックのあるような案件についても、この件を例に対策を進めていければなと考えております。

続きまして、南米の侵害がやはり最近目立ってきているというようなお話をさせていただければと思うんですが、ちょっと字が細くなって恐縮なんですけれども、これは調査会社が提供した、ブラジルの海賊版サイトを含めた配信サイトの月間訪問者数とユニークビジター数というところで書かせていただいていて、黒くなっているのが海賊版サイトなんですね。要は名称を出すのはちょっとはばかられるので出してなくて、赤字が正規サイトになっているんですけども、次のスライドにまとめを書かせていただいていますが、要は、中南米のスペイン語圏のサイトの中では4月の海賊版サイトの訪問者数が3億人超えていると。ユニークビジター数も3,000万人以上で、トップ25の違法サイトには3億人以上のアクセスがあって、これはまさにスペイン語のサイトなんですけれども、正規としてスペイン語のアニメも配信しているCrunchyrollとかよりも大幅に上回っている人数が海賊版を見ているというような状況になっております。

ブラジルのほうも、Crunchyrollのユニークビジター数の91%もの人間が海賊版のほうに行っているというような状況が生まれており、かなりの量の悪質サイト、海賊版サイトが見られているという状況になっていて、これについてはどうにか対応を進めなければならないと考えているところではあります。現在も対応を検討中のものではございます。

さらに、先ほど申し上げましたとおり、オンライン広告というものが海賊版サイトの収入源の1つになっているという部分がございますので、それに対する対策もCODAでは実施しております。

これは、CODA以外の著作権関連9団体と協力させていただいて、かつ、広告の日本アドバタイザーズ協会と日本インタラクティブ広告協会、日本広告業協会様と協力させていただいて、海賊版サイトのリストを共有して、そこには広告を出さないでくれということでアラートを出して、そこでそのリストを見た上で広告配信をやっていただいております。

これによって、いわゆる海賊版サイトと言われるようなところに健全な広告が配信されることはほぼ見なくなりました。これは1つの成果なんだと思いますけれども、ただ、今後問題となってくる問題としては、いわゆるアウトサイダーと言われている、各業界団体に所属してない広告配信業者の方々に対してはそのリストが行き渡らないですし、なかなか守ってくれない会社さんもいらっしゃるので、そこに関しては、今後もうちょっと働きかけ等をしていかなきゃいけない部分かなと思っております。

かつ、やはり海外の会社とかも多くて、昨年の10月にはスペインの広告配信業者に対して要請等を行って実際止めるということもできており、その辺りも含めて、今後活動の幅は広げていく必要があるのかなと考えております。

続きまして、内容としては最後になりますけれども、その他、国際執行プロジェクトというのをやっておりまして、様々な調査をして、国際執行、要は悪質な海賊版サイトというのをある程度何個か特定して、そこに対して調査をかけて執行するというようなことも行っております。デジタルフォレンジック調査やSNSなど、いろいろ探して、運営者を何とか特定して、そこに対して執行をかけていくというようなことをCODAでは現在試みているところではあります。

以上、6点、様々お話しさせていただいたところではありますけれども、こういった現状とこういった対策をやっているということになっております。

最後に、現状の課題を少しお話しさせていただければと思いますが、先ほど申し上げたとおり、冒頭申し上げたとおり、グローバル化というのが進んでいて、やはりその点においてかなり障壁が存在するというのがいまだにあります。本当にインターネットの世界というのは難しい世界が多くて、そこでの困難というのはかなりあるところです。

一番上の矢印は、侵害サイトの対応の仕方になるんですけど、対応の仕方の流れを示しています。まず通常は侵害コンテンツを発見して、運営者情報などを調査するわけですね。見つからない場合にはサーバーとかに発信者情報開示請求をした上で、居所を特定した上で、摘発とかを各国の行政執行機関にお願いするというような形になります。

その後訴訟するかって、摘発と訴訟は並行したりするんですけれども、効率性の観点から摘発等をやった後で訴訟するというものも多いので、ちょっと訴訟を後に矢印としてはしておりますが、この中で、おのおのの点で必ずちょっと問題が生じております。

まず1点目が、侵害コンテンツの発見というところで、難しいのはジオブロッキングがやはりあることです。日本の権利侵害をしているサイト、日本のコンテンツの権利侵害をしているサイトとしては、日本企業がそのサイトを見て削除要請とかしてくることを恐れているわけですね。サーバーとかに削除要請されたり法執行されることを恐れるので、日本だけが見れないというようなジオブロッキングの仕方もできてしまうので、そうするとやっぱり発見が遅くなったりしますね。日本で見れないので、別のところから見た、経由して、別のところのサーバーを経由して見るとか、そういったことをやらないと発見ができないので、やはりちょっと面倒くさいというようなところで侵害コンテンツの発見がなかなか難しくなっております。

あとは、海賊版サイト運営者情報の調査というのも普通のやり方では見つからないというケースが多くなっております。匿名性や秘匿性の高いサービスというのがやはり今でもあって、この辺りはどうしても、エシカルハッカーとかサイバーセキュリティーの専門家に依頼しても見つからないケースなどもあったりして、非常にここは困難を極めているところかと思います。インターネットの匿名性というのはかなり難しいところです。

さらに発信者情報開示請求の中でもそうなんですけれども、サーバー自身がそもそも情報を持ってないんですね。Eメールアドレスだけでサービスを提供するというようなことも多くて、そもそも情報持ってないですよというような状況下では、発信者情報開示請求とか調査しようと、なかなか見つけることができないというようなことがあって、ここはなかなか難しいところかなと。そもそも海外における発信者情報開示請求といったものはそれなりに時間とお金もかかるところではあったり、もちろんそういったことが容易にできない国にサーバーを置いているというケースも多分にありますので、そこが1つ問題になるかなと。

摘発の段階においても、やはりジオブロッキングのところで、さっき言った中国の話などで現地執行が難しいというところとか、著作権に対する考え方というのがそこまで強くない国とかもあったりもしますので、必ずしも摘発に至らないケースも少なからず存在します。

さらに訴訟となってきますと、民事訴訟もそうなんですけれども、刑事訴訟であったとしても物すごい時間がかかるというのが現状としてはございます。ここにちょっと例を挙げさせていただきましたが、Anitubeという、ブラジルのサイトではございますけれども、実はこれ、私、まさに関与していたものではございますが、2016年の3月に告訴状を提出したことによって、1年たってようやく運営者の自宅などを差押えなどできて、ある程度そこでサーバーの機械の押収とかもできて、一定やれたかなと思って、その後刑事裁判始まるのかと思いきや、まだ第1回公判が行われてないというような状況で、今年の6月にようやく公判が行われるということで、実に何年ですかね、告訴から7年ぐらいたっちゃう状況で、コロナのせいもあったんですけれども、やはり著作権侵害というものに対する優先順位があまり高くないということなんですね。要は、刑事裁判をやるリソースも各国限られていて、より重大な案件というのがある中では著作権侵害というものの刑事裁判というのは後回しになっていて、それで非常に遅くなっているというような現状があって、やはりそこで訴訟を実際にやることについてのハードルが存在しております。

最後ちょっとここに書いてないですけれども、私が国際小委員会が始まったときにも言ったかもしれませんが、例えば民事訴訟をやった後も、法執行の観点で、執行力はどこまであるのかというところが問題のある部分もあって、その辺もやはりハードルとしては存在してしまうのかなと考えております。

以上、簡単となりましたけれども、CODAの取組となります。現在も、ちょっと中南米の話もさせていただきましたけれども、漫画、アニメ含め、アニメをはじめとして、非常に様々なコンテンツが侵害にさらされているところではありますので、今後もCODAの活動に御協力賜れればと思います。どうも御清聴ありがとうございました。

【上野主査】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの墳﨑委員の御発表につきまして、何か御質問等ございますでしょうが。

【須子委員】詳細な御報告をいろいろとありがとうございました。差し支えがなければ教えていただきたいんですけれども、中国での今回の成功例、なかなか現地での摘発が難しかったのが行政処罰まで導けたというのは、これは一番大きな要因としては何があるんでしょうか。

【墳﨑委員】そうですね。ちょっと何とも言えないところではあるんですが、侵害の規模と、あとは、CODAのことを言うわけではないですけれども、中国とやっぱりつながりというのが結構重要にはなってくるので、その部分がある程度功を奏した理由にはなっているかなとは思っております。

【須子委員】ありがとうございます。

【上野主査】どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

渡邉委員、お願いいたします。

【渡邉委員】大変貴重な御講演をありがとうございます。勉強になりました。

中南米のアニメの深刻な侵害状況に関してちょっとお尋ねしたいのですが、4月の訪問数が3億ってすごい数だなと思って聞いておりました。、こちら、日本だと正規配信が結構アニメもあって、だんだん侵害が少なくなってきたということがあるように思っておりますが、こちらの中南米の人たちに対しては、やっぱり正規の配信は行ってないのか、全然違うもの、正規配信されてないのが違法で見られているのか、その辺の情報があれば教えて頂けますか。正規のCrunchyrollで流れているのが見られているのでしょうか。

【墳﨑委員】すいません。御質問ありがとうございます。Crunchyrollもスペイン語で見れるようにはなっておりますので、そういう意味では一定数正規配信は出ております。

ただ、ちょっとすいません、そこの正規配信のものがどれだけあって、正規配信のないものがどれだけあるかというのはちょっと数量としては取ってはいないものになりますので、その点は御指摘も踏まえて、やはり正規配信があることでなくなっていくというところは当然あるかなと思いますので、ちょっと分析した上でまた検討を進めたいと思います。

【渡邉委員】ありがとうございます。

【上野主査】どうもありがとうございました。それでは、伊東委員、お願いいたします。

【伊東委員】⑥「その他:国際執行プロジェクトによる運営者の特定」というスライドのところで、「巨大なトレントサイトによる発信者の特定(監視システムの構築予定)」というのがありまして、トレントサイトに関していうと、漫画もアニメも非常に悩んでいるので、積極的にやっていただきたいと考えております。監視システムの構築というのは具体的にどんなものなのかと。発信者というか、アップローダー、ダウンローダーをトレントでは特定することが比較的容易であり、トレントのシステム上、ダウンロードとアップロードが一体化していると思うので、日本のISPと協力すると、アップローダー、ダウンローダーにISP経由で警告書など送れるので、そこまでやる予定なのかどうかというのをちょっとお聞きしたいです。

【墳﨑委員】御質問ありがとうございます。おっしゃるとおりで、アップローダーをどうにか特定できるように、大量の1次大量アップローダーみたいなものを見つけるような、を監視するような、見つけれる監視システムをつくりたいと考えているところでして、まだちょっとISPとの連携についてまでは、ちょっとそこまでは現状としては考えていないところではありますが、いわゆるP2Pでやっている取組としては、ISPのほうから流すというところまでは考えていきたいなと思います。

【伊東委員】ぜひお願いします。ACCSさんとか、過去、ISPさんと協力してやったような記憶がありますので、それも含めてやっていただけることを非常に期待しております。よろしくお願いします。

【上野主査】どうもありがとうございました。唐津委員、お願いします。

【唐津委員】御発表ありがとうございました。非常に努力されているんだなということがよく分かりました。

私からお伺いしたいのは、スライドでいうと4枚目かと思うんですけれども、削除要請をしても全く応じない、ゼロ%対応のサイトが幾つかあるということで、例えばドラマクールさんですとか、ゴーゴーアニメさん、相当数の削除要請を受けているにもかかわらず対応率ゼロ%というお話でしたが、こういったサイトと直接何か交渉したりということは今の段階で、削除要請というのは恐らくサイトの自動のフォームからなどで行っているんだと思うんですけれども、全く応じないサイトとの直接交渉というようなことは今されておられるんでしょうか。

【墳﨑委員】現状そこまではやってないですね。そういったサイトに対してまさにどう執行をかけていくかという部分が国際執行の部分であって、やはりこういったサイトに関しては、今後どうやっていくかというのを、1個やるのにかなり手間とコストがかかるものではあるので、もちろんこの状況はよろしくはないので、1個1個対策をしていくというようなことになりますので、これらの赤字のものについて全てやるというようなことはないです。基本的に当然個別交渉みたいなことを、例えば中国なんかはまさにそういった個別交渉によってうまくいったいい事例だと思うんですね。過去の中国のサイトってほとんど削除要請に応じてなかったんですけれども、政府等も協力していただいて、個別交渉して、CODAの要請については基本的には応じていただくというような状況ではありましたので、個別交渉も1つの切り口だとは考えておりますけれども、なかなか応じていただける見込みのないものも多数ありますので、その点を含めて、現在ちょっと執行できるところからやりましょうということで進めているところではございます。

【唐津委員】ありがとうございました。

【上野主査】どうもありがとうございました。それでは、井奈波委員、お願いします。

【井奈波委員】御発表ありがとうございました。質問は、⑤のオンライン広告対策に関してです。、これによりますと、2022年の10月にスペインで執行を止めるように要求したとされています。このようにほかの国において対しても同じような方法で広告の出稿を止めることは可能でしょうか。

【墳﨑委員】御質問の御趣旨は、スペイン以外の国でもということですかね。

【井奈波委員】はい。出稿を止めるというのは有効な手段ではないかと思いますのでスペイン以外の国においてもその可能性があるのかどうかという趣旨です。

【墳﨑委員】そうですね。ちょっと説明をはしょってしまったんですけども、WIPOのほうで同じようなアラートのリストを作成していて、国によってはそういったことは日本と同様に始めている国もあるわけですね。それに対して日本からも情報提供はしているところではあって、やれるところも当然あるとは思います。ちょっとこの事例が初の海外の広告配信事業者に対するものではありましたので、他の国についてもやれる可能性はあるかなと思いますので、今後それは広げていきたいなと思っております。

そういう意味で世界的にはこのやり方というのはある程度進んできているものなのかなという認識ですね。

【井奈波委員】分かりました。ありがとうございました。

【上野主査】どうもありがとうございました。では、茶園委員、お願いいたします。

【茶園委員】どうも御報告ありがとうございました。スライドの10ページのところにありますが、アップローダーというのがよく分からなくて、これはサイトに違法コンテンツ、違法なアニメ等をアップロードする人という意味ではないかと思ったのですけれども、それでよろしいですか。

【墳﨑委員】アップローダーはアップロードする人ですね。

【茶園委員】アニメでしたら、例えば放送されているものであれば、ワンクールでは十二、三回ありますから、それを継続的に載せるという必要があります。そのため、アップローダーとは、アップロードをたまたまやるのもシステマティックにずっとやっている人ではないかと思うのですが、そうだとしますと、それはどのような人なのでしょうか。もしお分かりになることがあれば教えください。

【墳﨑委員】すいません。それをまさにこれから特定したいなというところではありますので、どういった方なのかというのはちょっと現状では分かっていないところではございますね。

【茶園委員】そうですか。分かりました。ありがとうございます。

【上野主査】どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

では、ありがとうございました。

それでは、続きまして森下委員に御発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【森下委員】皆さん、おはようございます。映像産業振興機構(VIPO)の森下と申します。本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。海賊版対策トレーニングセミナーというものを12月に3回実施をしましたので、本日はそちらの御報告を中心に御報告させていただきます。

まず、この事業の内容なんですけれども、一番下にあるところが一番の目的なんですが、正規版の流通を促進するためには、侵害対策と両輪でやっていくべきだろうということで今回セミナーを企画して実施をしております。

セミナーの構成が3部構成になっております。まず一番お題目は、著作権を保護しながら正規版の流通を促進する方法を参加国の特に皆様に知っていただくというような形で組みました。

1日目が、シンガポール、タイ、フィリピンの3か国をピックアップをしまして、現状把握と問題提起、それから2日目がケーススタディー、3日目が近未来への提言ということで、サクセスストーリーをシェアさせていただいております。

まず、1回目の内容から御説明いたします。1回目は12月9日に、時差がありますが、3時間というすごく長丁場で実施をしております。現状把握、シンガポール、タイ、フィリピンの専門家との対話ということになります。

内容が2部構成になっておりまして、前半が各国の政府関係の皆様がどういうふうに考えていらっしゃるのかという御発言。後半は、弁護士の方による現地での法律がどういうふうになっているのかという、基本はいろんな内容をシェアするというような形で1日目は組んでおります。

スピーカーはこちらに掲げている5名の方となります。

今回、全て3回の企画を実施するに当たり、TMI総合法律事務所の協力を全面的に受けて組んでおります。モデレーターと書いてありますが、東京オフィスの石堂瑠威先生にお願いをし、TMIさん、全世界に全て事務所がありますので、そこのネットワークをお借りするような形で実施をしました。

石堂先生自身は2018年にロスのAmazonで勤務をされていて、実務の経験もおありということで、あと、現在も日本のクライアントを中心に、数々の契約を実施されているということで、かなり現場に近い方ということでアサインさせていただきました。

まず1日目、最初のところから御報告いたします。政府関係の方なんですが、Motion Picture Associationの方にタイからは御登壇をいただいております。タイの現状なんですけれども、これは全ての国に共通して言えますが、コロナ禍においてコンテンツ配信事業が非常にビジネスとしては成功したんですが、それに伴って残念ながら違法配信も急増しているということですね。

一番下のほうにありますが、タイの場合は、ムーンウォークというコンテンツライブラリーとしてサブスクを簡単に海賊版がつくれるサービスというのが、私もちょっと内容はそこまで把握してないんですが、こういったものが簡単に手に入るということで、これがトレンドだったということですね。このサイトを削除したら、286もの海賊版サイトが削除となったということで、こういったことが今起こっているという現状の共有でございました。

2か国目、フィリピンからは、IPOPHL、Intellectual Property Office of the Philippinesの代表の方から御説明をいただいております。

フィリピンも同様の案件ですね。ですので、非常にコロナ、パンデミック下で、全ての状況はあまりよくなっていないというお話がありまして、件数などもこちらに記載してあるとおりとなります。

こちら、今日、墳﨑先生もいらっしゃいますが、WIPOのオンラインプラットフォームのアラート、あと日本ではCODAさん、それから韓国でコトラさんなどと連携、協力体制にあるということも御紹介いただいております。

それから、3番目がシンガポールなんですが、シンガポール、ちょっと政府関係の方がなかなか調整がつかずに、今回は弁護士の方に出ていただいて現状を共有していただきました。

こちらもほぼほぼ同じような状況ではありますけれども、シンガポールの場合は、取締りをするのが、警察と、あと、知的財産局が両方が対応しているというようなことを共有をしていただいております。

第2部のほうになりますが、ここからは弁護士の方に具体的な内容について少し御紹介をいただいております。まずタイなんですけれども、タイは、著作権の保護期間が50年、それから応用美術が保護期間が25年、商標権は10年で更新可というようなことを御共有をいただき、「ドラえもん」の事例を挙げて御説明をいただいております。

2008年で「ドラえもん」を応用美術として捉えようとした判決があったが、ということで、まだ知財保護が継続中であるということで御発表がありました。

それから、フィリピンなんですが、フィリピンは、権利の保護期間が、視聴コンテンツ公開もしくは制作から50年となっているということです。それから、著作権侵害に関する裁判は、かなり、御存じのとおり、コストと時間がかかりますということで、ですが、フィリピンでの著作権登録はかなり簡単なので、登録さえしていただければ対応は、可能性は広がるのではないかという御発言でした。

最後が、シンガポールの方ですね。シンガポールも同じように、デジタル技術、非常にどんどん伸びておりますので、そこで大幅な法整備、統治なども必要となりました。

ほかの国との大きな違いとしては、権利保護期間が70年と非常に長いということ。

あとは、著作権をそもそもコンテンツをつくった個人・組織に対して自動的に付与されるものということで登録制度はないというのがシンガポールの特徴かと思います。

あと、いろんな費用がどれぐらいかという御説明もありました。

1回目のサマリーですが、コロナ禍において海賊版が急増していますが、なかなか対応はかなり難しいというようなお話をいただいております。

それから一番最後に、私どもVIPOが、正規版のコンテンツが検索できる英語、あと一部中国語が入っていますが、「ジャパンコンテンツカタログ」、「クリエーターズバンク」、「ジャパンブックバンク」というような検索サイトを、データベースを運営しているんですが、その御紹介をしたところ、そこの反応は、正規版促進という意味では非常に有効だということでコメントもいただいております。

続いて、2日目ですね。2日目は、よりもう少し実務に即した形で組みました。対象の国は、フィリピン、タイ、シンガポール3か国は変わらずです。

1部、2部構成にしまして、1部は、弁護士さんたちによる事例の紹介、後半が、実際に事業をやっていらっしゃる方の一応成功事例と、あといろんなお考えをまとめていただくというような構成にしました。

登壇者は以下のような皆さんで、お一人、日本の方、一番左下、中山さんという方が入っていらっしゃるんですが、シンガポールでずっと長く日本のコンテンツビジネスを手がけられてきた方で、今は日本にいらっしゃるんですが、非常に知見が高いということで今回登壇をお願いしております。

前半のほうのいろいろな取組に関しては、ちょっと今日お時間が限られているので、後で資料のほうを読んでいただければと思いますので、実務者のところに飛ばさせていただきます。

先ほど御説明いたしました、これは21ページですね、シンガポールに居住を置いていらっしゃった、ビジネスの経験のもとに、中山氏に御紹介いただいたのは、今、本当に御存じのとおり、いたちごっこがずっと続いているということは間違いないんですけれども、彼が言うには、どういうふうに防げばいいのかというのは、やはり現地の強力なすごく信頼のできるパートナーと組むというのが一番の早道ではないかとおっしゃっています。特に、最近、V-tuberなど、東南アジアではビジネスとしては成立し始めているというような形で、単なるアニメとか、漫画とか、そういうことではなく、新しいトレンドが出てきた場合、それに対応していくのって物すごくスピード感が必要だということなんですが、限界がありますということです。

ですので、どれだけ正規版を、正規のサービスをユーザーのほうに届けることができるのかということを、事業者としては、そこを実証すれば、海賊版は駆逐できるのではないかということで御意見をいただいております。

お二人目、タイの方です。この方はDREAM EXPRESSという会社で、日本のコンテンツを何年も前から取り扱っていらっしゃいます。特撮シリーズ、ウルトラマン、仮面ライダー、ワンピース、それからガンダム、鬼滅、くまモンなどをタイで展開をしていて、長くビジネスをやっていらっしゃるので、20年、30年前まではタイでも非常に多く海賊行為があったとおっしゃっていますが、この方がおっしゃるには、一番下にありますが、パンデミック下においても、昨年と比べると22%、この会社にとっては被害はすごく下がっているということで、タイの国民の意識が向上しているのではないかという、こういったお考えも述べられております。

最後がフィリピンになりますが、これはABS-CBNという、フィリピンの一番大きな放送局です。テレビ局の御担当の方で、日本コンテンツ以外にも世界のコンテンツを、ライセンスを購入して、そこで展開をしているというような正規ビジネスを当然行っています。

ですので、フィリピンのこの会社にとっていうと、正規ビジネスで行うことで何も毀損はしていませんし、ちゃんとビジネスとしては成立をしているということで、どちらかというと、この会社のフィリピンの方々のマインド、非常に家族を大事にしているというようなことで、そういったマインドが、預かったコンテンツも非常に家族のように大切にローカライズをして展開をしていくというようなことでお話をいただきました。

2日目のサマリーは、日本のコンテンツ、まだ安心しているんですが、まだ東南アジアの各国においては多く受け入れられているということが分かったということと、海賊版対策のいたちごっこを終わらせるのは非常に難しい。

事業者の人たちからとると、各国、3か国の公的機関、もしくは国にいろいろ啓蒙活動をやっぱりやってほしいというような意識はあるというふうに、政府に対しての各国のリクエストもお話をいただいております。

最終日は、ちょっと毛色が大分変わりますが、基調講演というような形で実施をしました。『竜とそばかすの姫』というスタジオ地図が制作をしたビッグヒットアニメがありますけれども、こちらの海外展開、まだずっと続いていて躍進を続けているんですが、この成功事例をもとに紹介をしております。

前半は、ブランドプロミス合同会社の林さん、それから、スタジオCHIZUミュージックスーパービジョンの千陽さんのお二人による基調講演を中心に実施をしました。後半はシンポジウム形式ということで実施をします。

次から内容になります。こちらが登壇者の皆さんのプロフィールです。

基調講演になりますが、『竜とそばかすの姫』は、林さん自身がもともとディズニーにお勤めだったんですね。ですので、日本のアニメーション、普通に海外に出て行くときも、例えば、『竜とそばかすの姫』は歌が伴ういわゆるミュージカルのアニメーションですので、単なる字幕をつけて出すというよりは、きちんと現地で吹き替えをして、歌もきちんと現地の歌手の方に歌っていただくことによって、もともとのオリジナルの世界感とか思想などがきちんと100%伝わり、それが最終的には日本側だけの利益ではなくて、それを海外で展開をされるその国の利益にもなるというようなことで、ブランドをちゃんと守っていくことがどれだけ大事かというようなことを中心にお話をいただきました。

実際は、日本で公開された後、去年のちょうどゴールデングローブ賞にノミネートされたことをきっかけに、アメリカ、北米以外の国からもオファーが非常に増えたということでした。そのときに、今までですと、ただ単にお任せをして、売ってしまって、お任せをするという形だったんですが、「ローカリゼーションガイドライン」、下から2ポツ目に書かせていただきましたが、こういういわゆる物すごく細かいマニュアル集をオリジナルでつくられて、これを取引先の皆さんにも100%理解をしていただいて、お互いが納得した上でローカライズをしていくというようなことで、一緒につくり上げていくというようなことが非常に重要だということをお話しいただいております。

ローカライズ、あとは、タイムラインがすごく重要だということですね。あとスケジュールが大事ということと、あとは一方的に日本の考えを押しつけるということではなくて、それぞれの国の事情がありますので、そこは話合いによって、同じフォーマットのものを全世界で契約を結ぶという形ではなくて、現地にきちんと即した形で寄り添いながら、相手の、パートナーのメリットもちゃんと考えるような形で契約を進めていたということでした。

実際にどういった内容だったかというと、ローカリゼーションガイドラインというものをなかなか発表する場というのは多分日本でもなかったと思っています。ましてや今回の3か国の皆さんにとっては初めて聞く内容になったのかなと考えております。私どもとしては、日本が、これも林さんがおっしゃっていたんですけれども、非常に苦労してこのガイドラインをつくり上げていて、まだ完成はしていないということですね。どんどん手直しをしなければいけない。ただ、こういったものが、これからビジネスをしていく上で大きなコンテンツを海外に発信していくときには必ず必要だとおっしゃっています。この3か国の例えばシンガポールでオリジナルのビッグバジェットのアニメーションであるとか映画、そういったコンテンツができた場合も同じようなやり方をとっていただければ、双方にとってメリットがあるというようなことを強く、そこをきちんと伝えたかったというところで、今回は正規版流通を後押しするためには、それだけでは終わらずに、きちんとフォローアップをしていく必要があるということをお伝えをするようなシンポジウムとなって、閉会となりました。

次からは数字を列記しております。非常に多くないですね。143、107、107。内容に伴わない感じでちょっと残念な結果なんですけれども、1月以降でアーカイブで追って配信を続けておきますので、より多くの方に見ていただければと思っております。

次からはいろいろ、フェイスブック広告を打っていったりとか、そういったことになります。

アンケートの抜粋ということでずっと進んでいただくとありますが、おおむねコメントとしてはいいものをいただいております。時間がちょっと長かったというようなこともありますが。1回目、2回目、3回目とありますが、3回目が非常に分かりやすいので、ガイドラインが法的な問題を防ぐための対策として、法律的な観点からも非常に興味深いものでしたというようなコメントもいただいております。

セミナーを終えてのこれは内部的な感想も含めてなんですけれども、ある一定の提言はできたのではないかと考えております。

最終的に、総括として40ページにまとめております。去年の国際小委員会の討議を経て、海賊版対策と正規版流通は両輪で取り組むべき課題という認識を得ましたので、今回こういった企画を立てて実施をいたしました。

初年度ということで、東南アジアの3か国、シンガポール、タイ、フィリピンを取り上げて、それぞれ政府の立場、それから弁護士さんの立場、コンテンツホルダーの立場から各国の事情などを現状を共有するということで、最初の2日間、1日目、2日目は実施をしておりました。

そこで分かったことは、当たり前なんですが、コンテンツホルダーの皆さんは、ビジネスに直結するために、すぐにでも海賊版対策を講じたいと思っているが、訴訟費用や解決までの時間が非常にかかるので、行われていない、後回しになっているということが弁護士さんたちのコメントからも裏づける形で説明がありました。

各国の政府の立場としても、著作権保護は必要だとは当然思っているんですけど、優先順位は低い。先ほど墳﨑委員の御発言でもありましたが、ここも問題として残っていくのではないかなと思いました。

3日目、最終日は、『竜とそばかすの姫』をケーススタディーとして取り上げましたが、最終的に効果的に正規版を出していくためには、いわゆるテクニックも必要だということで、ローカライゼーションガイドラインを配布するなどということが必要だということを皆さんに理解と共感を得ることができたと考えております。

今回、3か国という形だったんですが、実際、本当にまだ浅い、浅いというか、そんなに深くまで深掘りができなかったので、今後は対象エリアやターゲットを1か所に絞り込むような形で、さらにエンドユーザーの啓蒙活動、今回、政府関係と弁護士の方と事業者の方なので、一般のユーザーまではなかなか伝わっていない形だったんですが、もう少し啓蒙活動を含む形での正規版流通プロモーションと海賊版対策を同時に実施するような取組を継続的に実施をすべきではないかなと考えており、これでまとめさせていただきます。

長くなりましたが、私からの説明は以上です。御清聴ありがとうございました。

【上野主査】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの森下委員の御発表につきまして御質問等いかがでしょうか。

唐津委員、お願いします。

【唐津委員】貴重な発表ありがとうございました。私、これ、拝聴してなかったんですけれども、アーカイブで視聴できるということなので、ぜひ拝見したいと思っています。

今、御発表の中で一番最後の『竜とそばかすの姫』の世界進出に関するところで、私自身が仕事でコンテンツの世界の発信ですとか、逆に日本において世界各国のコンテンツを展開するというような契約に多く携わっていたので非常に興味深く聞いていたんですけれども、詳細なローカライズガイドラインというのが、仕事をしている中でも、今まで日本というのは本当に海外に売れるというところで満足してしまって、その先のことをなかなか考えないというか、あとはお好きにというのをまさにやってきているというのを非常に歯がゆく思っていましたので、こういう取組がされたというのは日本のコンテンツの世界進出のために非常に大きな一歩だなと、成果だなと思って聞いていました。

ぜひこのような形で今後もほかの作品が続くといいなと思っているんですけれども、お話の中では、これをきっかけに今後はこれをスタンダードなフォーマットにして世界に展開していこうというような動きは今あるというお話はありましたでしょうか。それとも、これ、やはりヒットをした作品ということで、特にこれだけ力を注ぐことができた特別な事例という感じの位置づけなんでしょうか。

【森下委員】そうですね。私どものものとしては、日本以外の国の方々にも気づいていただきたいなという思いで今回この事例を紹介させていただきました。確かに物すごく制作費にもお金をかけている作品ですので、こういったところまで手が届くとは思っているんですが、逆に考えていただくと、例えばディズニーの『アナ雪』が日本に入ってくるときに、松たか子さんが日本では歌いますよね。というようなところまで恐らくディズニーの本国のほうは、松たか子さんの経歴も調べ、恐らく、これは『竜そば』のときもおっしゃっていたんですけれども、吹き替えをする声優さんとか歌唱する歌手の方のプロフィールであるとか、経歴であるとか、ネガティブな要素がないかというところまでチェックをして、それで採用というか、するというようなところまでやっていらっしゃるということなので、なかなかそこまで踏み込める作品というのはそんなにたくさんは世界でもないと思いますが、ですので、『アナ雪』と同じぐらいのものが日本でいうと『竜とそばかすの姫』で、きっとでもこういった作品は、今後、アニメーション、すごく制作費、物すごくかけてつくられていくような傾向になっておりますので、東南アジアの国々でもつくられていくんじゃないのかなということを込めて御紹介をさせていただいたということです。ちょっとお答えにはなっていなかったんですが、御質問ありがとうございました。

【唐津委員】どうもありがとうございました。

【上野主査】ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

個人的な感想としましては、アジア諸国の著作権制度における登録というものが面白いと思っております。もちろん、登録することによってどういう法的な効果があるのかという点が問題になるところでありまして、例えば、登録すると現実に訴訟しやすくなるという効果がある国もあるようですし、他方で、登録しないと十分な著作権保護を受けられないというような制度については疑問もあるというお話が先ほどもありました。いずれにいたしましても、韓国も含めて、登録なくして著作権が発生するはずの無方式主義の国において登録制度がかなり活用されている例が多いところでありまして、そこでは、運用上も登録しやすくする工夫もされているようです。こうした点は、我が国にとっても参考になるのではないかと感じた次第でございます。

それでは、どうもありがとうございました。ただいまの御発表に関しまして、後ほど意見交換の時間をとることができましたら、そのときにまたご質問を頂戴することといたしまして、先に進ませていただきます。

では、議事の2番目でございますけれども、「今年度実施している調査研究について」ということに参りたいと思います。今年度文化庁が委託して実施しております「著作権法改正状況及び関連政策動向並びに拡大集中許諾制度に関する諸外国調査」ということにつきまして、本日は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの萩原様に御発表いただきたいと存じます。これもまた事務局から趣旨の御説明からお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

【長谷川国際著作権専門官】ありがとうございます。事務局でございます。今年度の調査研究としまして、DX時代に対応した著作権制度を検討するための基礎資料とするために、本調査事業を三菱UFJリサーチ&コンサルティング様に委託して実施しております。

調査は前期と後期に分けて実施しておりますが、今回は後期分の調査項目であるDSM指令に対応した各国の著作権法の改正動向について萩原様より御発表いただき、委員の皆様から内容についての御意見等をいただければと考えております。

事務局からは以上です。

【上野主査】どうもありがとうございました。

それでは、萩原様には、恐縮ですけども、また御発表時間20分ということでお願いしております。御発表の後に質疑応答、意見交換の時間を設けておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【萩原様】御紹介あずかりました三菱UFJリサーチ&コンサルティングの萩原と申します。本日はよろしくお願いいたします。

では、先ほど上野主査からも御紹介いただきましたが、こちら、標記調査の後期調査ということで御紹介させていただきたいと思います。

時間限られているので、概要資料としていますが、さらに概要資料のうち主要なポイントだけ押さえながら御紹介させていただければと思いますので、やや駆け足になるかもしれませんが、御容赦いただければ幸いです。最終的には詳細な報告書が公表される予定となっておりますので、そちらを御覧いただければと思います。

まず調査目的ですが、先ほど文化庁様からも御紹介ありましたとおり、今、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元ということで議論がされているところだと思います。8月の本会議で御紹介させさせていただきました拡大集中許諾は、こちらの権利処理方策に係るところであることに対して、クリエーターの皆様にどのように対価還元していくのかという観点から、後期調査では、とりわけ最近EUで国内法制化が進んでいるDSM著作権指令における、特に対価還元に係る15条、17条、18条~22条、こちらに着目して整理しています。これらがどういう規定なのか、どういうふうに各国に反映しているのかというところを主に御紹介させていただきたいと考えております。

現在、3月末に向けて報告書を取りまとめるところでございまして、本日は中間報告として後期調査を御紹介させていただきます。

前期調査は繰り返しですが、権利処理方策としての拡大集中許諾の調査、後期調査は対価還元ということで、その辺りに関連する条項について御紹介させていただきます。

対象国は、DSM著作権指令に着目しているのでEUを対象にするのは当然として、特に、著作権契約とか、そういう対価還元について御関心が高いだろうなと思われるドイツ、フランスと、あとはハンガリー、こちらの3か国を対象にするとともに、あと前期調査でも扱ったフィンランドも、対比として文献調査のみですが調査対象として含めています。ただ、フィンランドは、国内法制化がまだ継続審議中ということもありまして、本日はドイツ、フランス、ハンガリーについて国内法制化について御紹介させていただきます。

では、内容に入っていきたいと思います。7ページは、DSM著作権指令の概要について紹介したもので、既に公表されている前期調査とほぼ同じ内容になっておりますので省略させていただきます。本指令は、2021年6月が国内法制化の期限となっていましたので、どのように反映されているのかというのを後段でも御紹介させていただきたいと思っております。

今回扱う規定ということで、15条、17条、18~22条を一言でまとめてご紹介します。まず、15条のプレス隣接権は、プレス機関・プレス出版社について、情報社会サービス提供者、これはオンラインサービスを指しているのですが、こちらの方々がプレス出版物を利用する場合において、いわゆるプレス機関・プレス出版社に対して複製権や公衆送信権を与えるという規定です。権利の期間は、一応公表後の翌年1月1日から2年間で失効する規定となっております。

17条のオンラインコンテンツ共有プロバイダの義務ですが、いわゆるUGCのサービスにおける著作物の利用について、なるべくライセンス契約等について最善の努力を行わなければならないといった規定と、あとは比例原則と言われているもので、こちらのサービスの規模に応じて、権利者からの要請に対して迅速に対応することや、将来にわたり違法なコンテンツがアップロードされないように努力する義務を課す規定となっております。

一番最後、18~22条ですが著作者・実演家と利用者の間の著作権契約に関する規定になっています。いくつか規定があり、本当にそれぞれ一言で申し上げると、ライセンス契約や著作権の譲渡の契約においては比例的に報酬を支払うこと、利用者の収入を著作者・実演家に対して報告すること、報酬が明らかに著しく低い場合については契約を調整できるような仕組みをつくること、ADR手続を整備すること、著作物が利用されてない場合に、ライセンスや権利譲渡を取り消すことができることを定めた規定を設けなさいというような内容です。

では、それぞれ、もうちょっと一歩踏み込んで御紹介させていただきたいと思います。まずプレス隣接権です。こちらの概要は繰り返しとなりますが、プレス機関・プレス出版社に対して複製権や公衆送信権の隣接権的なものを与えるもので、権利の期間は2年となっています。

こちらの導入の背景としては、とりわけプレス出版産業部門の収入が2000年以降特に減少しています。その要因は、インターネットやニュースアグリケーションサービスが要因ではないかと考えられ、この解決方策が2つあるのではないか。この方策とは、これらのサービスとプレス出版社の間で契約を締結することと、あとはニュースコンテンツに関する立法的な対応が必要なのではないかという背景で本規定が作られたと伺っています。

こちらのそれぞれの定義をみるとプレス機関・プレス出版社は明確に定義されておらず、おそらくリサイタルを読む限りでは、新聞社、放送局、通信社が含まれるであろうと考えられます。

プレス出版物については、日刊、週刊、月刊、こちらの一般誌、専門誌は含まれるという内容になっていまして、ただし、学術機関の定期刊行物、あとブログみたいなサービスは含まれないというような内容になっています。

また、先ほどから何回か出ています情報社会プロバイダは情報社会指令という以前に定められたEU指令で定義されているものがそのまま援用されています。簡単に言うと、いわゆるインターネットサービスのことを指されています。

こちらのプレス隣接権についても、一応全てのプレス記事について適用されているというものではなくて、例外もございます。1点目は、私的・非商業的な使用については対象となってない。2点目は、極めて短い抜粋というのは対象とならない。3点目は、ハイパーリンクを張る行為は対象にならない。4点目は単なる事実も対象とならず、5点目は元の著作物の保護期間が切れたものは対象にならないという規定になっています。これらについて、一応簡単に幾つか補足しますと、2点目の極めて短い抜粋においては、法定の閾値を導入すること、つまり、何文字以下とか、何単語以下というのは許可されてないとされています。ただし、侵害の考え方は整理されており、プレス出版社等の投資を損なうものではない場合については侵害の対象外となる。逆に言うと、投資を損なうものは侵害となるというような内容になっています。長さについては規定できないのですが、どのぐらいが短い抜粋が侵害に含まれるのかということで、よく参照されているものとしてInfopaqという裁判例があります。ここでも簡単に御紹介させていただきますと、この事案は11単語ぐらいの引用でしたが、権利者の投資を損なうのではないかという判断がされ、こちらは11単語でも複製権の侵害に当たるとされた事件です。つまり、11単語程度という短いものであっても侵害になる可能性はあります。また、3点目のハイパーリンクを張る行為については対象とならないと明確に書いたことについては、当初、この規定が出てきたときには、「リンク税」ではないかという批判が多かったことが背景であったということでした。

各国法制化の内容についてもごく簡単に御紹介させていただきたいと思います。

プレス隣接権は、ドイツでは2013年の時点では既に導入されていたところですが、今回の指令と乖離している点があったので、2021年に今回の指令に合わせて改正されたといったところでございます。また、ライセンス契約をみると、Corint Mediaという、いわゆる報道関連の団体がグーグルやフェイスブックと交渉を続けているところでしたが、、いまだにCorint Mediaとこれらのプラットフォーマーとの間での契約は締結できていないようです。グーグルの報道発表によると、プレス出版者等と個別に契約するという形でライセンス契約を進めていると伺っているところでございます。

続いてフランスでは、指令を踏まえて規定が設けられました。1つ特徴としては、さらにこちらの隣接権に加えて、ジャーナリストまで還元していくという観点から、ジャーナリスト団体とプレス機関を集めたような合同委員会をつくって、そちらで料金交渉をするといった規定も追加で設けられているところも特徴かということで御紹介しております。ドイツはフェイスブックとまだ団体でライセンス契約できてないことに対して、フランスでは、APIGという団体がありましてフェイスブックの利用におけるライセンス契約を締結できたということでした。グーグルに対しては、Google News Showcaseに関する協定までは進んでいると認識しております。

続いて、ハンガリーです。ハンガリーも同様に国内法制化が進んでいるところでございますが、ドイツと状況が似ているところがありまして、グーグルは個別にハンガリーメディア大手IntermediaというところとMedia1というところと個別に契約するという形で進められているそうです。ただ、ハンガリーの雑誌出版社協会は、個別の契約というのは市場の分断につながるという懸念から、同協会が所属する28団体が団結して新たに集中管理団体であるRepropressという団体をつくって、こちらに委任するという方針が示されたところです。

Repropressは、つい先日、年始のプレスリリースでハンガリーの知的財産庁から使用料規定を認めてもらったので、これから運用を開始すると発表したところです。今後、実際に動きがあるのかなと推測されます。

時間の関係でハンガリーの個別事例については飛ばさせていただきます。ひとことでいうと、プレス出版物の国内法制化する際にちょっと権利を狭く規定してしまったのが懸念される点について紹介しております。

では、続いて、17条のオンラインコンテンツ共有サービスプロバイダの義務といった内容に移りたいと思います。

こちらについては、簡単に言うとUGCサイトが、サービスがライセンス契約等において最善の努力を行わないとならない。あとはサービスの規模に応じて著作権者からの要望に迅速に対応するほか、違法なコンテンツを将来にわたりアップロードされないように努力することといったものになっています。

背景に書くには違和感があるかもしれませんが、DSM著作権指令を導入するに当たっては、17条が一番議論されたと伺っていますし、実際コンメンタールの中でも恐らく最も議論されている規定とありますので、簡単に紹介しております。

この規定を導入しようといった背景は、バリュー・ギャップ、こういう考え方があって、それ背景にして検討されたものになっています。

バリュー・ギャップとは、どういうものかというと、各サービス間、例えばユーチューブとスポティファイの間で権利者への還元が違うのではないかというものと、旧来メディア、いわゆるCDとサブスクリプションサービスの間でギャップがあるのではないかという考え方の中から出てきているものです。とりわけ、UGCサイトは、セーフハーバーの規定がありますが、先ほど森下委員の発表にもあったとおり、アップロードされたものを権利者から要請して落としてもらう作業をするのですが、いたちごっことなります。いたちごっこを続けていくのは結構権利者にとって負担となるので、どうしても交渉力が弱い状態でUGCサイトとライセンス契約を結んでしまうおそれがあるのではないか、やはり現状のままだとライセンス交渉において不利に働くのではないかという考えから配慮された規定となっているところです。

では、具体的な規定に入る前に、オンラインコンテンツ共有プロバイダについても一応簡単に御紹介しますと、一言で言うとUGCサイトですが、いわゆるウィキペディアみたいなオンライン百科事典とか、学術リポジトリとか、そういったいわゆるユーザーさんがアップロードできるものにおいても対象外のものが列挙されたかたちで規定されています。つまり、やっぱりユーチューブやフェイスブックなどが対象になっているというところです。

また、定義の中で「大量」というキーワードが途中に入っているんですけれども、こちらは指令の中では定義されておらず、後段御紹介する国によっては、具体的に特定の基準以上ということで規定されています。

先ほどから何回か「最善の努力」ということで、たとえば、ライセンス契約であったり、権利者の要請への対応であったり、最善の努力を尽くしなさいと書かれていますが、こちらの定義は明確には規定されていないと考えられます。ただ、比例原則ということで、規模に応じて適用される内容が異なっていることは明示的に決まっております。

では、どのように区分されているのかということで、生貝先生などの鼎談とかで使われた資料を参考に作成させていただいた図を紹介しております。

義務からみていきますと、aはライセンス契約について最善の努力をしなさいといった規定、bは情報を提供した著作物は、確実に違法コンテンツは利用できないようにしなさいという規定、cは通知を受領した後に迅速に対応するとともに、また違法コンテンツが再度アップロードされないように防止しなさいという規定で、a、b、cの義務があります。

この義務に対して、3年以上のサービスは3つとも適用、3年未満についても、売上高が一定基準以上のものは、a、b、c、3つとも適用されます。また売上高は小さくても、月間ユニークビジター数が多い場合については、cに似たような規定が適用されます。さらに、仮にユニークビジター数が少なかったとしても、aのライセンス契約の最善の努力は求められるという整理となっています。

では、各国の対応状況について、簡単に申し上げますと、ドイツは個別に著作権プロバイダ責任法という法律を規定し、その中で最善の努力についても、連絡がとれる対象には、なるべくライセンス取りなさいとか、集中管理団体には声をかけなさいとか、そういったところが具体的に書かれています。

また、ドイツでは、こちらの著作権プロバイダ責任法の導入前後で、各UGCサイトがどのように変化していったのかという論文が発表されています。これをみると、先ほどの違法なコンテンツが繰り返しアップロードされないようにする規定については、各サービス、対応が進んでいることに対して、ドイツで設けられた特別な規定についてはまだ対応できていないというような結論になっています。

フランスも、国内法制化が完了していますが、特徴は、ARCOMという団体を新たにつくって、こちらでモニタリングを進めているというところが特徴で、後段でも簡単ですが、御紹介したいと思います。

ハンガリーも国内法制化が完了していますが、アップロード時のフィルターの在り方は、イタリアやドイツにおいて決められていますが、ハンガリーは裁判例とかも今後出てくるので、各国の動きを見ながら具体的に詰めていきたいとお話を伺っているところです。

また、簡単にARCOMという団体について御紹介します。ごく簡単に紹介しますと、ARCOMは、もともと放送や通信を所管していたCSAと、海賊版対策などを進めているHADOPIという団体が合併して設立されたものになっています。オンラインプラットフォーマーや権利者というのをモニタリングし、アンケートを取ったり、あとフィンガープリント技術、アップロードフィルターに関連するような技術について調査して公表したりとか、そういう活動を進められています。

なお、フランスでは明確に「大量」という定義も進められていて、映像作品でいうと100点以上など著作物の分野別に定められています。

一方で、ドイツは、興味深いなと思ったのが、対象外とするのはこういった作品の数ではなくて、売上高の規模、100万ユーロ以下と規定しています。また、フランスではアンケートやモニタリングでUGCサイトを常に調査をしていますが、ドイツは、売上高やユーザー数は常に把握しているわけではなく、訴訟時にこれらの基準に照らし合わせていくものであって、基本的にはサービス側が自己判断して、自社の位置づけを自ら確認していくことになっています。同じ規定の国内法制化ですが、フランスとドイツでも対応方策が異なるということで、簡単に御紹介させていただいたところでございます。

最後に駆け足ですが、18条~22条についても御紹介させていただきたいと思います。

概要については、冒頭お伝えしたとおり、5つの規定で、著作者や実演家の契約上の立場をエンパワメントする規定となっています。こちらの規定を設けられた背景としては、著作者や実演家が契約交渉において立場上弱い位置づけにあるというところからつくられたというものとなります。

では、DSM著作権指令の中で定められているのでデジタル時代を踏まえたものなのかというと、必ずしもそうではなく、ドイツの司法省からはドイツでは類似した規定はもともと導入されているが、他国では導入されていなかったため、ハーモナイゼーションを図るという観点から18~22条を入れたとコメントをいただいております。このため、必ずしもデジタル化をすごい強く意識したという内容ではないことでした。

これらの規定について共通して言えるところは、権利を付与されているのは自然人に限定されています。また、23条では、こちら18~22条については、コンピュータープログラムの著作物は除外されているといったこと、あと契約による無効化、オーバーライドは禁止されているところが特徴です。

18条の適正かつ比例的な報酬の原則、こちらはタイトルのままの内容でして、いろんな経済的な価値を、実際または潜在的な内容を考慮して評価して報酬を定めなさいという規定です。

続いて19条、透明性義務は、かなり特徴的な規定なのかなと思いますので、ちょっとだけ御紹介しますと、ライセンスまたは譲渡を受けた方は、少なくとも年に1回はもとの著作権者、実演家に対して収益について情報提供しなさいといった内容です。この提供する情報は、最新であること、情報提供する収益は利用形態別、いわゆるマーチャンダイズの収益も含んで全ての収益源について情報提供をするといった内容になっています。

他方で、分野特性を考慮することや、集中管理団体は既に透明化が進んでいるので対象外になっているなど、除外の規定もあります。

続きまして、契約調整手続ということで、生じる報酬と比べて明らかに著しく低い場合に関して、追加の適正かつ公正な報酬を調整するという規定となっています。こちらも先ほどの18条を踏まえたように、実際の貢献などを踏まえて評価するほか、業界特性を考慮するなど、国内法制化の考え方が示されているところです。

21条は、著作者、実演家は裁判まで行くというところが体力的に難しいのでADRを整えなさいといった規定です。

また、22条では、利用されていないものは、ライセンスや権利の譲渡について全部または一部を取り消すことができるといったものです。この取消権については、利用されてないというのも当然なんですが、利用が不足していることも要件になっています。こちらはもともと契約で定めた利用量に満たない場合も、こちらの取消権を使うことができます。

他方で、例えば映画とかが典型的な例だと思いますが、譲渡やライセンスした後にどうしてもすぐ使えないという分野もありますので、これらは加盟国で期間を設けることとされています。その期間を超えた後でないと行使できないことも規定できるといった内容になっています。

各国の国内法制化についても一言ずつ申し上げますと、ドイツはもともと似た規定が導入されていたところなのですが、透明性義務は、権利者が情報を求めることができるという内容から今回の指令の内容に合わせて、利用者が情報を提供しなければならないと改正しています。

フランスでもDSM著作権指令以前から似たような規定というのは入っていたのですが、全面的にDSM指令を踏まえた内容が追加されています。

ハンガリーも、18条、適正かつ比例的な報酬の原則に似たようなものはもともと規定されていたので、微修正しながら国内法制化を進めましたと伺っています。ただ、ハンガリーでは、透明性義務のうち映像関連に対して情報提供するのはとても負担が大きいということで、要請があった場合のみに限定するという配慮しているということでした。

最後に、ドイツでは、もともとこういった著作権契約に関わる法、いわゆる著作者とか実演家を契約上保護するといった規定が定められており、このような規定が定められた背景について簡単に紹介します。ドイツでは、一言で言うと、著作者は契約的弱者である、契約上立場が弱いという観点から導入されたということでした。

一方で、著作者・実演家が契約上ウィークであるからということ以外にも、ハンガリーの有識者にお話聞いてみたところ、著作物がもたらす収益というのは事前に予測することは難しいところも18条~22条が導入された背景の1つにあるのではないかというコメントを頂戴しているところでございます。

駆け足になってしまったので分かりにくいところあったと思いますが、弊社からの発表は以上とさせていただきます。御清聴いただきまして、ありがとうございました。

【上野主査】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御発表につきまして、何か御質問や御意見等ございますでしょうか。

では、井奈波委員、お願いします。

【井奈波委員】非常に詳細な御説明をありがとうございました。15条のプレス隣接権と17条のオンラインコンテンツ共有サービスプロバイダについて質問します。この2つの規定はいずれもバリュー・ギャップを解消する目的で規定されたといわれておりますが、実際に国内法の規定が導入されることによってバリュー・ギャップ問題が解消の方向に行っているのかどうか、実際にプロバイダから対価還元の状況があるのかどうかをお伺いしたいので、お願いいたします。

【萩原様】すごい簡単に申し上げると、15条も17条も導入されたばかりで、今動いている、いま契約交渉しているというのが結構大きなところといったところでございます。フランスについては、こちらの15条が導入されるということがある程度見えてきたので、早めに団体が動いてフェイスブックと早めに締結できたと伺っています。他方、17条をみると導入後にライセンス契約の状況が動いたかというと、これからなのではないかというのは、ドイツもフランスもハンガリーの担当者も皆さん口をそろえておっしゃっていたところです。本当は明確なお答えができたらと思うところですが、今のところそんなに大きな動きは見られてないかなという認識でおります。

【井奈波委員】ありがとうございました。

【上野主査】ほかにいかがでしょうか。

【墳﨑委員】貴重な御発表ありがとうございます。非常に参考になりました。17条のところでちょっとお伺いしたいんですが、オンラインコンテンツ共有サービスプロバイダの義務とか、権利者側も通知をしなければいけない義務というのが規定されるということなんですが、これ違反した場合どうなるんですかね。要は、最善の努力ということで努力義務でしかなくて、別に違反しても何も起きないのであれば、有名無実化するのかなという気もするんですけども、義務違反が起きたときの効果というか、そういったものについてもしお分かりになれば御回答いただければと思いますし、もし可能であれば調査報告書等にも入れていただけると幸いです。

【萩原様】そうですよね。それは我々もすごい知りたいなというところなんですけど、結構割と指令における罰則の規定は明示されておらず、ふわっとしているかなというところです。国内法制化に合わせて罰則規定を設けているような国があるか確認し、ある場合には報告書の中でも反映していきたいと考えております。

現時点ではクリアに回答できなくて申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

【上野主査】では、渕委員、お願いします。

【渕委員】本日は詳細な内容をお知らせいただきありがとうございました。本日は、概要ということなので、もしかしたら本体のほうの報告書には含まれているのかもしれないのですけれども、特に17条との関係ということになろうかと思うのですが、DMA、DSA、つまり、デジタルマーケット法、デジタルサービス法が、2022年に発効したかと思いますが、それらの法制度とそれからDSM指令との関係などというのはこの報告書の中に含まれているような感じでしょうか。それらの関係について教えていただければと思って御質問させていただいています。

【萩原様】今のところは、DSM著作権指令だけでも割と分量が多いので淡々と整理しているところではありますが、やはり関連するところは順次報告書でも執筆していきたいと思っております。よろしくお願いします。

【渕委員】ありがとうございます。私自身もまだ十分に勉強できていなくて、どのような状況になっているのかお伺いしたいというのと、ただ、最近の話なので、もし含めることができるのであれば報告書に含めていただきたいなと考えましてコメントさせていただきました。ありがとうございました。

【萩原様】ありがとうございます。

【上野主査】それでは、生貝委員、お願いします。

【生貝委員】大変詳細な御報告ありがとうございました。2点ほどコメントという程度なのですけれども、1つは、今渕先生から御意見ございましたデジタルサービス法、これは確かに重要なところで、基本的な関係性としては、DSMの17条というのが、オンラインのプロバイダの違法コンテンツ責任に対する著作権分野の特別法的な位置づけを有していて、一般法としてのプロバイダ責任を定めた電子商取引指令がデジタルサービス法によって全面的にアップデートをされたということになる。

そして、デジタルサービス法の中でも、CDNですとか、ドメインネームレジストラの位置づけを明確化したり、プロバイダ責任の他にも、例えば反復侵害者に対する対応の義務、ないしは、これは一部のプラットフォームに限られるんですけれども、先ほど墳﨑委員のところでもキーワードが出てきました、Know Your Business Customerの義務を課して、侵害者を追跡しやすくしたりといったような措置を含めて、著作権侵害対策にも関わる包括的な措置がなされている一般法が近日中に適用も開始されるところですので、今年の課題にできるかどうかは分からないんですけれども、引き続きこちらも様々な形で参考にしていく価値があるんだろうと思います。

それからもう一つ、15条についてもなんですけれども、まさしく先ほど井奈波先生からもありました、バリュー・ギャップ問題が解決されているかというと、なかなかやはり様々な議論があるようで、特にフランスですと、実質的な15条のエンフォースメントは、競争当局が介入して初めて実現しそうであるとか、同じ目的について、オーストラリアですとか英国をはじめとするコモンウェルスの国々は、競争政策としての対応というものを既に導入していたり、まさに今後導入する方向であったりするということがある。

また、メディアへの問題というのは、プラットフォームからの直接の支払いというのも1つはあるし、また、他方で、実際的には、特に新聞、プレスの出版物のようなものを含めて、デジタル広告からの収入というところに多くよっているところ、広告を仲介する市場というところについても独占ですとか不透明性などの様々な課題というものがまた存在している。それに対してはヨーロッパのほうでは、これも先般成立したところのデジタル市場法でありますとか、今審議されている欧州メディア自由法の中で広告市場の改善というものに対してかなり包括的なアプローチをしているところであり、まさしくこういったクリエーターへの適切な対価還元というものの包括的な制度設計を考えていく中で、著作権法とほかの制度との関係性、相互補完性、あるいはツールの選択といったようなものを、欧州等の取組を含めて総合的に検討をしていく、そういう材料にこういった調査研究がなっていくとよいのかなということを感じたところでございます。

以上です。

【上野主査】どうもありがとうございました。私の不手際で、ちょっと時間がなくなってまいりまして、あと議事が2つございますので、そろそろ先に進ませていただければと存じます。

なお事務局のほうでは、ただいまいただいた御意見を踏まえて御検討いただければと思います。

さて、議事の3でございますけれども、放送条約の検討に関するワーキングチームの報告ということでございまして、これは私が座長を務めさせていただいておりますので、簡単に御報告させていただきます。

資料の2というのがございますけれども、内容はWIPOで検討中の放送機関の権利の保護に関する新たなルールづくりへの対応に関してのワーキングチームでの検討状況ということでございます。

メンバーにつきましては、2ページ目を御覧ください。

本年度は昨年の12月26日にワーキングを開催いたしまして議論を行いました。具体的には、昨年5月に開催されました第42回のSCCRにおきまして示された議長テキストというのがありまして、今後の修正の余地が大きい流動的な状態ではあるのですけれども、そのことを踏まえつつ、保護対象及び与えられる権利といった基本的な事項につきまして、放送事業者の皆様の御意見も踏まえて検討を行った次第でございます。

その結果、今後の方針につきましては、国内外の放送に関する実態、動向の分析を行いつつ、引き続き放送条約における保護対象及び与えられる権利への対応を中心といたしまして、WIPOでの議論の進展に応じて我が国の対応の在り方を検討していくという所存でございます。

この点に関しては以上なのですけれども、もし何か御意見等ございましたら、お聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

よろしいでしょうかね。

では、大変恐れ入りますけれども、最後の議事でありまして、報告書案につきまして、まず事務局より資料3につきまして御説明をお願いしたいと存じます。

【加茂下海賊版対策専門官】資料3を御覧ください。国際小委員会の報告書案でございます。目次を御覧いただきますと、こちらが報告書の構成でございますが、主には2ポツの海賊版に関すること、3ポツ、海外展開、それらの課題と今後の方策を併せて書いた4ポツ、最後に5ポツとしまして国際的な課題への対応、そういった構成になっております。

時間の関係で1ポツ以降の説明は割愛させていただきますが、この報告書でございますけれども、2か年分の国際小委員会の議論をベースにしておりまして、昨年度は2本中間まとめを取りまとめました。それをベースに今期の議論を加えて内容を更新したものでございます。さらに本日の議論を追って追加するというものでございます。

2ページ以降ですが、まず2ポツ、海賊版に関すること、被害状況を挙げております。

4ページを御覧いただきますと、定量的なもの、被害の状況を図1、図2、図3、また図4で示しております。

また、出版に関しましては、図5として、アクセス数の増減、そういったものも示しております。

また、7ページの下ですが、音楽分野、ソフトウェア分野、そういったものの被害の状況も入れております。

8ページ、2-2、関係団体の取組。著作権者、出版権者等の取組、そして、様々な削除要請や法的手段、そういったものが取り組まれているということを入れております。

8ページの下は、関係団体の取組、また、9ページの下から、文化庁の取組でございますが、政府全体の総合的な対策メニュー及び工程表に基づきまして、文化庁で様々な事業を行っていますということで、具体的には10ページ、11ページにあります二国間協議、トレーニングセミナー、またハンドブックの作成、相談窓口の開設、そういった事業を行っております。

11ページの下、2-4、WIPOの取組、先ほど来出ておりますが、WIPOでの取組として、WIPOアラートという海賊版対策事業も行われております。

12ページですが、文化庁でもWIPOに信託基金を拠出しまして、様々なセミナーや研修などを行っております。

13ページ、ここからは海外展開に関することでございまして、これにつきましては、昨年度の中間まとめをベースに本年度の分を追記しているということでございます。

14ページ、3-1としまして、民間・関係団体における課題や取組。その中で、海外展開の戦略を立てる際の留意点、15ページ、(2)としまして、海外展開に当たっての著作権上の課題、そのための方策、そして幾つか項目を立てております。

駆け足なりますが、18ページ、3-2、文化庁の取組です。海外展開に関しましては、昨年度2本ハンドブックを作成しております。中国ビジネスに関するもの、また、19ページの上の丸にあります事例集、そういったものを作成しております。

また、3-3としまして、国際機関の取組、WIPOへの信託基金を通じてのプログラムも実施をしております。

20ページ、こういった海賊版対策や海外展開の現状を踏まえまして今後の方策を整理したものでございます。2つ目の丸ですが、権利行使強化の支援としまして、日本の著作権者は、例えばアメリカの権利者等と比較して権利行使しない傾向があるという指摘がある一方で、権利行使することで費用倒れになる場合が多いことや、損害額の立証負担が多いといった懸念があり、それが権利行使をとどまらせているという指摘もございます。

次の丸、このような状況を踏まえまして、文化庁では相談窓口やポータルサイトといった取組を始めました。また、第22期の法制度小委員会において議論されている損害賠償額の算定方法の見直しに取り組むことによって、権利者による権利行使を促していくなど、より実効性のある権利行使を実現するための取組の充実を図っていくべきであるとしております。

この法制度小委員会の議論につきましては、参考資料を1枚後ろにつけておりますので、適宜御参照ください。

次の丸ですけれども、国際連携強化です。海賊版問題には国境がなくなってきております。諸外国と協働した海賊版対策がますます重要となっております。海賊版サイトの運営主体は多くが海外に拠点を持つ海外の個人や組織であると考えられておりまして、21ページですが、文化庁ではこれまでアジア地域の国々を中心として様々な連携事業に取り組んでおりますので、こういった実績を生かしながら、今後は重点的に取り組む必要のある国・地域をあらかじめ決めておくなど、またWIPOといった国際機関の枠組みを活用しながら、より効果的に事業を実施するべきであるとしております。

次の丸、海外展開に関しましても、海賊版対策と併せて重要です。

その下の丸、普及啓発です。海賊版の被害を少なくして正規版流通を促進するためには、一人一人が海賊版を利用しないということが有効な手段の1つとなります。国内外の特に若年層に対する普及啓発活動というのを官民連携して進めていく必要があると。さらに、学校教育段階において海賊版の仕組みや被害について学べるよう、教材作成することも有効ではないかとしております。

最後に22ページ、5ポツです。国際的な課題への対応について、こちらにつきましては、先ほど上野主査から御報告がありました放送条約ワーキングチーム、また御発表いただいた調査研究についても追記をしております。

駆け足になりましたが、御説明は以上でございます。

【上野主査】どうもありがとうございました。

ただいま御説明のありました報告書案につきまして、御質問等いかがでしょうか。

伊東委員、お願いいたします。

【伊東委員】ABJの伊東です。いただいた案、全体的な現状把握等進むべき方向性に関しては非常によくまとまっていて、このとおり進んでいけば心強いと感じました。ただ文化庁さんが実施する方策に関して、あまり具体案が書いてないような気がするので、より具体的にこれをやっていくべきというところがもうちょっとちゃんと書いてあると非常にうれしいかなと思っておりす。特に正規版流通を促進するために、21ページ目、若年層、国内外の若年層に対する啓発活動というのは本当に大事だと思うので、ここら辺をもうちょっと突っ込んで、例えば日本国内であれば、授業等でしっかり教える機会を設けていくとか、あるいは、海外であれば、日本のコンテンツの海賊版の楽しむ層って海外にも多数いて、彼らは海賊版と分かっているのか、分かってないのかも含めて、本当にお気楽に楽しんでしまっているので、そういった海外の海賊版を楽しむユーザーにどう啓発していくかということを、文化庁さん、各国とのパイプがあるので、向こうの政府と一緒に啓発やっていくという、より具体的な案まで踏み込んで書いていただけると大変心強いと思いました。

以上になります。

【上野主査】どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

唐津委員、お願いいたします。

【唐津委員】先ほど伊東様から出た若年層への教育というところなんですけれども、ちょうどSARTRASさんからの資金というか、協賛を得まして、クリックさんが中心になって、今、教員及び児童・生徒のための著作権セミナーの開催事業というのを本格的には来年度から始めたいということで今進めているそうです。

何でこの話をするかというと、授業をどういった形のものをつくるかという、検討する委員の1人として御指名いただきまして、私がちょうど、これからなんですけれども、検討会が始まるところですので、1つにはそういう動きがあるということをお伝えしたいと思います。

多分文化庁さんでもまた別にそういったことを検討されているとは思うので、うまく提携して、効率的に、なるべく早くそういった事業を展開できればいいなと思っております。

以上です。

【上野主査】どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

渡邉委員、お願いいたします。

【渡邉委員】大変丁寧な報告書ありがとうございます。1点、私のところの図2と図3と図4のところで、本日墳﨑委員から御発表ありましたように、海外のアニメの被害がとても多いという話があったと思いますが、私の調査報告では、日本からのアクセスに限っているので、日本からのというふうに書いたほうが誤解を招かないかなと思いました。

以上です。

【上野主査】どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

報告書以外で本日の議事に関する別の点でも結構でございますけれども。

よろしいでしょうか。

ちなみに、本日は参考資料1をお配りいただいておりますけど、これは法制度小委員会で議論している損害賠償額の算定方法の見直しということで、実際のところ、通常国会で著作権法改正を目指していらっしゃるのかと思いますけれども、損害賠償額の算定方法の見直しというのは、その内容からして、本小委員会で行っている海賊版対策にも資するという趣旨かと思いました。

いかがでしょう。よろしいでしょうか。

それでは、この報告書案につきましては、本日の御発表と御議論の内容を加えまして、事務局から追って各委員の皆様へメールで照会させていただきますので、御意見等がございましたらそのときにお聞かせいただければと思います。

その後、本報告書を取りまとめまして、後日開催される著作権分科会に報告することになりますけれども、その際の最終的な文言等につきましては、大変恐縮ですけれども、主査に御一任いただければと存じますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【上野主査】ありがとうございます。

では、最後に、議事5のその他に入りたいと思います。次回の著作権分科会で私のほうから今期の国際小委員会の審議状況について報告するということでありまして、この点も私に御一任いただければと存じます。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【上野主査】ありがとうございます。

その他、全体を通して何かございますでしょうか。

特にございませんようでしたら、本日は今期最後の国際小委員会ということでございますので、一言御挨拶申し上げたいと思います。

この国際小委員会は取り上げているテーマは非常に重要な課題が多いと認識しておりますけれども、委員の先生方におかれましては、今日もそうですけど、非常に活発な御議論をいただきまして、有意義な委員会になったのではないかと思っております。今後ともこうした問題について御助言・御指導をいただければ幸いでございます。どうもありがとうございました。

では、最後に、中原文化庁審議官からも一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。

【中原文化庁審議官】今期の本小委員会を終えるに当たりまして、一言御礼を申し上げます。

今期の本小委員会におきましては、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について、そして、国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応というものについて御議論を頂戴しました。

委員の皆様、それから有識者の発表を踏まえて丁寧に議論を進めていただきました結果、本年度中に審議内容を取りまとめられる予定となりました。

ポストコロナ時代を見据えて、コンテンツの流通形態というのは転換期を迎えております。グローバル化、デジタル化への対応として、国境を越えた著作権保護と海賊版対策といいますものはますます重要となってまいります。

2期にわたりまして御審議いただいた内容を踏まえつつ、文化庁におきましては具体的な対応を進めてまいりたいと存じております。引き続き、関係の皆様方の御協力を賜れれば幸いでございます。

上野主査をはじめ、委員の皆様方におかれまして、それぞれの御専門の立場から今期の本小委員会の充実した審議のために多大な御尽力を賜りましたことを改めて感謝を申し上げて私からの挨拶とさせいただきます。

本当にどうもありがとうございました。

【上野主査】どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会国際小委員会の第3回を終了とさせていただきます。誠にありがとうございました。

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