第11回国語分科会敬語小委員会・議事録

平成19年1月15日(月)

13:55~15:05

如水会館3階「けやきの間」

〔出席者〕

(委員)阿刀田分科会長,杉戸主査,蒲谷副主査,井田,内田,大原,菊地,坂本,陣内各委員(計9名)

(文部科学省・文化庁)町田国語課長,氏原主任国語調査官ほか関係官

〔配布資料〕

1  第10回国語分科会敬語小委員会・議事録(案)
2  「敬語の指針(答申案)」 付:「敬語の指針(答申案)」(見え消し版)

〔経過概要〕

1  事務局から配布資料の確認があった。
2  前回の議事録(案)を確認した。
3  午前中の国語分科会総会で出された意見・指摘に関し,次のような5点に整理して,事務局から改めて確認が行われた。
  (1) 「○○型」の「○○」に対する敬語ではない普通の言葉を併せて示すことについて
(例えば,「おっしゃる」に対する「言う」など)
(2) 「はじめに」がすべて仮名書きなのに対して,「終わりに」に漢字が使われていることについて
(3) 「「敬語の指針」の概要」に載せられた表を,本文中の表にそろえることについて
(4) 「3種類を基本とする」の「基本」という表現(言い方)について
(5) 「「敬語の指針」の概要」の第2ページにある「第3章の書きぶり」について
4  敬語小委員会の開催は今回で最後とし,1月29日(月)に予定されている国語分科会の開催については,敬語ワーキンググループでの検討結果を受け,開催が必要であるか否かを阿刀田分科会長が判断することとなった。阿刀田分科会長の判断が出た段階で,各委員には事務局から速やかに連絡することとされた。
5  意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
○杉戸主査
   初めに,午前中の国語分科会総会で出された各委員からの意見・指摘の確認を,事務局からお願いします。

○氏原主任国語調査官
   午前中の国語分科会総会で出た御意見・御指摘ですが,5点あったと思います。
 順番に申し上げますと,最初は,松岡委員からの御意見がありました。この「敬語の指針」で申しますと,13ページを御覧ください。「第2章 敬語の仕組み」の最初のところに「第1 敬語の種類と働き」とありまして「本指針案では,敬語を,次の5種類に分けて解説する。」ということで,「(1)尊敬語(「いらっしゃる・おっしゃる」型)」,「(2)謙譲語Ⅰ(「伺う・申し上げる」型」)」というように,尊敬語,謙譲語Ⅰ,謙譲語Ⅱと並んでいる右に「(「いらっしゃる・おっしゃる」型)」,「(「伺う・申し上げる」)型」,「(「参る・申す」型)」というのが来るわけです。この「○○型」というのがいきなり出てくるというのが,一般の読み手には少し分かりにくいのではないか。「いらっしゃる・おっしゃる」は,敬語ではない普通の言い方だと,「言う」や「いる」に当たるとか,敬語でない形も併せて示した方がいいのではないかという御意見でした。これについては,午前中の国語分科会の中では,阿刀田分科会長,杉戸主査から,【解説1】のところに書かれているとか,【解説1】には更に(注)が付いて説明しているとかといった御発言がありました。例えば,14ページの(注)には「「いらっしゃる」には,「行く」意味のほかに「来る」「いる」意味の用法もある。これらの「いらっしゃる」も尊敬語である。」とあります。このような形で【解説】や(注)の中で触れていますが,松岡委員の御趣旨としては,それは承知の上で,最初に「いらっしゃる・おっしゃる」型というようにいきなり出てくることについて,少し手当が考えられるのであれば考えた方がいいのではないか,そういう御指摘だったと思います。これが1点目です。
 2点目は,内田委員から二つの御指摘がありました。一つは表記の問題です。「はじめに」の方は仮名書きになっているが,「終わりに」の方は「終」という漢字が使ってあるということで,仮名書きで統一した方がいいのではないかという御指摘がございました。これは,平成16年の文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」の表記に合わせたものですが,今回はどちらも仮名書きでそろえようという話になれば,そのこと自体は全く問題ないと思いますので,御検討をお願いしたいと思います。
 内田委員からはもう一つございました。これが3点目です。64ページを御覧ください。こちらの方が内田委員の御指摘としては力点が置かれていたと思いますが,この64ページの「敬語の仕組み」のところで<5種類>と<3種類>の対応表があります。この表は,先ほど見ていただいていた13ページの第2章の最初の表と同じ形の方がいいという御指摘でした。13ページの表の「いらっしゃる・おっしゃる」型の下に,例えば尊敬語であればその定義文を付け加える,謙譲語Ⅰも「伺う・申し上げる」型の下に定義文を付け加えるということで,基本の形として13ページの形にそろえた方がいいのではないか,その方が分かりやすいだろうという御指摘がありました。
 それから,4点目としまして,東倉委員からの御意見。これも今の13ページにかかわるところです。真ん中辺りの,(1)から(5)までの敬語の種類を並べたところと,その下に5種類と3種類との対応関係の表がありますが,その二つの表の間にある文についてです。具体的には,「敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分けてとらえることが多い。ここでの5種類は,この3種類を基本とするもので,」という部分ですが,「3種類を基本とする」というのは,5種類という分け方が3種類という分け方を基にして,あるいはそれに基づいてということなんですが,<3種類が基本だ>というような,そういう読み方をなさったのではないかと思います。それで,<3種類が基本だ>というように考えるのであれば,そういう書きぶりに修正した方がいいのではないかというのが東倉委員の御指摘でした。これに対しては,阿刀田分科会長や杉戸主査から御発言がありまして,「いや,そうではなくて,飽くまでも5種類というのが基本なんだ。」ということが午前中の国語分科会のやり取りの中でありました。それで,「3種類を基本とする」というこの言い方について,もう少し誤解を招かないような言い方に直すことを,ここで検討しようということになりました。
 それから,最後に5点目です。64ページの「敬語の具体的な使い方」の部分,ちょうど第3章に当たるところです。64ページの表では,点線で囲った四角の中に,第3章は三つの節があるので,第1節,第2節,第3節,それぞれの下に「(問いの例)」というのが挙がっています。この書き方について「概要」ということであるならば,例えば,第1節のところでは,「問いの例」を一つ挙げるのではなくて,36問のうち何問第1節に入っているのか,第2節の「敬語の適切な選び方」では何問入っているのかとか,そういうことを書いた上で,例えばそこではどのような問いが取り上げられているのかということで,「相互尊重」とはどういうことかとか,「自己表現」とはどういうものかとか,むしろそれぞれの節に分類されている問いの内容を概括的に述べる,そういう書きぶりがこの部分にはふさわしいのではないかという御指摘が甲斐委員からありました。
 これについては,杉戸主査から「第3章の目次」に挙がっているような項目を1~2行で入れられる範囲で入れる,そういう方向でいいかというお尋ねがあり,甲斐委員からはそれで結構ですという回答がありました。これが5点目です。

○杉戸主査
   念のためですが,午前中の国語分科会の議論の中で,そのほかにも何か指摘があったのではないかというふうに受け止められている方があればここでお出しいただいて,話題の項目に入りたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 それでは順番に検討してまいります。1点目の「いらっしゃる」に対して「行く」とか「おっしゃる」に対して「言う」とかという,そういう敬語でない形を,見出しあるいは最初の方に掲げるという松岡委員の御意見でした。この点についてはいかがでしょうか。

○井田委員
   私は,表や見出しに入れてしまうと,ちょっとごちゃごちゃとしてしまうかなと思うのです。しかし,確かにいきなり“Hello, How are you?”と書かれているようなもので,話したいのだけれども難しいと思っている人にとっては,なるべく早いうちに「いらっしゃる」って何の敬語だったかということが確認できた方が分かりやすく親切なものになると思います。14ページの「該当語例」の枠で囲ってある部分,そこには入れる余地があるのではないかと思うのですが,どうでしょうか。ここで「いらっしゃる」「おっしゃる」というところに,「いらっしゃる(←いる,行く)」というようなことを入れるという手はどうでしょうか。少しくどくなるかもしれませんが,くどいぐらいに言った方が受け入れやすいという方も少なからずいらっしゃると思うので,私は14ページには入れられれば入れていただきたいと思いました。

○内田委員
   「いらっしゃる」ですと,「行く」「来る」「いる」と三つぐらい入れないといけなくなり,うるさくなりますので,やはり【解説1】で,「「行く」の代わりに「いらっしゃる」を使う」というふうな説明がございますから,それでよろしいのではないか。これは端的にぱっと入ってくる方が重要なんじゃないかという気がするので,【解説】のところで十分ニュートラルな表現との対比が明示されていますから,このままでよろしいのじゃないかと思います。
 そして,13ページの表のところは,これは用例を示しているのではなくて,「「いらっしゃる・おっしゃる」型」という名称,ニックネームを書いているわけですから,やはりここにも入れるのは不適切ではないか。この表の趣旨は,5種類と3種類の対応関係を示すということだと思うのですね。そうしますと,4点目の問題に関係しますが,表の上の部分が「敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に分けてとらえることが多い。ここでの5種類は,この3種類を基本とするもので…」というふうになっていて,かなり「基本とするもので」というところが強く映ってきますので,むしろこれらの5分類は従来の尊敬語,謙譲語,丁寧語の3分類と,以下のとおりに対応するとだけ端的に示して,ここでは5種類と3種類の対応だけを示すというふうに表を使ったらどうかと思います。
 まとめますと,今のこの2行を1行にして,「これは対応を示しているのだ」,「以下のように対応する」,こう言っておいて,次ページの「該当語例」に関しては,ニュートラルな語を入れますと,括弧の中に語が一杯入ってしまうものがありますので,やはり【解説1】で書かれていればよろしいのではないか。例えば「いらっしゃる」だったら,「行く」意味のほかに「来る」「いる」意味の用法もある。これらの「いらっしゃる」も尊敬語である。「行く」「来る」「いる」というのがニュートラルな,中立的な表現ですよね。それに尊敬の意味を込めると「いらっしゃる」になるのだというふうに,(注)がございますので,表の中はなるべくすっきりとした方が頭の中に入ると思うのです。

○杉戸主査
   ここまで,午前中も含めて御意見を頂いたわけですが,ここから先は何か判断を選ぶ,やり方を選ぶという段階かと思います。
 それで,私,井田委員の御意見を伺いながら思ったのですが,どこまで挙げるかということが問題になるのですね。ニュートラルな敬語でない語がそのまま出てこない「いらっしゃる」とか「おっしゃる」という変形の激しい,そういう語は,確かに,ニュートラルな語を挙げる意義は出てくると思います。しかし,すぐ次の「お使いになる」とか「御利用になる」,例えば,これは普通の言い方は「使う」あるいは「利用する」ですが,そういうものまで挙げないと,この表の中のバランスが取れません。とすると,どんどんこの表が増えて,大体倍の量くらいになってしまうということで,端的に該当語例を示すということの趣旨から少しそれてしまうというふうに危惧するのです。その点いかがでしょうか。
 それで,一つの判断としては,ニュートラルな語は入れない方向で行きたい。例えば,「いらっしゃる」については【解説1】の最初の2行,あるいはその下にある(注)に出しているものを読んでいただけるわけです。そのほかの「おっしゃる」とか「なさる」についてもそこから類推して,敬語の形と敬語でない形が対比されるのだということを「いらっしゃる」を例にして読み取ってくださいという,そういう姿勢で行くのが適切ではないかと私は思うのですが,いかがでしょうか。
 午前中の国語分科会でも申し上げましたが,「いらっしゃる」「おっしゃる」などについては,第2章の第2,24ページの「特定形の主な例」という見出しで,先ほど井田委員がおっしゃった形で,矢印も含めてですが,並んでいます。
 松岡委員の御意見は,こういう情報が最初にあった方がいい,入り口にあった方がいいという,そういうところが先ほどの氏原主任国語調査官の説明にもあったとおり,力点の一つだったと思います。そこは,第2章の最初の文の「いらっしゃる」と「行く」の例で分かってもらうということに期待して,このままで行くということにしたらどうかと私は思います。せっかく御意見を頂いたのに,申し訳ないのですが。

○阿刀田分科会長
   14ページの真ん中の【解説1】の(注)には少し何か加えるのですか。

○杉戸主査
   14ページの真ん中の(注)「「いらっしゃる」には,…」ですか。

○阿刀田分科会長
   はい。

○杉戸主査
   そこも,やはりこのままでと思っています。

○阿刀田分科会長
   趣旨はこのままでいいのですが,「「行く」意味のほかに「来る」「いる」意味の用法もある。」というより,後ろの1行とも一緒にして「「来る」「いる」の尊敬語としても用いられる。」という1文にしてしまった方がいいと思います。「意味に用いられる」と言っておいて,次に「それが尊敬語だ」というよりは,「来る」「いる」の尊敬語として用いられるとすれば,それでいいのじゃないでしょうか。1文にしてしまった方が,「いらっしゃる」は「行く」「来る」「いる」三つの尊敬語なんだということへの対応が明確になります。二つに分けるよりはその方が明確です。それで,今の御意見は全部カバーできるのですが,ただ,小さな細かい字で書いてある(注)であるというところが残念だという気持ちだけは残るんです。今のままでも,意味としては,それでいろいろな御意見はカバーできるし,全体の体裁,体裁というのは美学的な体裁だけじゃなくて,実際にこれを訴える形としても,今の形の方がいいのじゃないかなと思います。

○杉戸主査
   ありがとうございます。

○阿刀田分科会長
   それから,4点目の問題の13ページの真ん中は,これは内田委員がおっしゃるように,「基本」は避けて,対応するものであるというようなことを主にした方がいいのかなという気はしますね。3種類を発展させた,「発展」という言葉がいいのかどうか分からないけれども,3種類のことを全くこの2行で触れなくていいかどうかというところは多少気にはなります。確かに「基本」という言葉はまずいと思いますが。
 それとの兼ね合いで言いますと,13ページの下の方の「基本的な敬語の仕組みは」と,この「基本的」も気になりますね。これはただ,冒頭の「基本的な」は取ってしまいまして,「敬語の仕組みは」だけでもいいんじゃないかと思いますね。13ページの下から4行目になりますか,「基本的な敬語の仕組み」と,またここで「基本的」を使っていますので,これは「基本的な」というのではなくて,「敬語の仕組みは上記の3種類によっても理解することができるが,」の方がいいかもしれません。そこは句点で切らずにおいて,「できるが,敬語の働きと適切な使い方をより深く理解するためには,更に詳しくとらえ直す必要がある。そのため,ここでは,5種類に分けて」やっていくというふうにする方が良くて,ここでも「基本的な敬語」というのは余り使わない方がいいかなという気がします。「基本的」を敬語の3種類に関して使っている例が,きっと見ていくと,ほかにもあるかもしれませんね。今たまたまここにありましたので,ちょっと申し上げました。

○杉戸主査
   それでは,順番に結論を得ていくという進め方をしまして,14ページの【解説1】の下にある文字の小さな(注)ですね,ここを用法という言葉でまとめ直して二つの文にしてありますが,用法という概念は取っ払って,単純に「「いらっしゃる」は「行く」意味のほかに「来る」「いる」の意味の尊敬語である。」というように刈り込むことにします。

○内田委員
   「尊敬語として用いられる。」でしょう。

○杉戸主査
   それでもいいですね。「いらっしゃる」はそうして,「「行く」意味のほかに「来る」「いる」の意味の尊敬語として…」でしょうか。

○内田委員
   「「行く」意味のほかに「来る」「いる」の尊敬語として用いられる。」と「意味」という語は取ってしまう。

○杉戸主査
   そうすると「行く」の方も「意味」を取るのですか。「「行く」のほかに「来る」「いる」の尊敬語として用いられる。」と。

○内田委員
   「「行く」意味のほかに「来る」「いる」の尊敬語として用いられる。」というように「意味」は1回だけにする。

○杉戸主査
   その点どうでしょうか。

○阿刀田分科会長
   いいんじゃないですか。上で「行く」の尊敬語ということは書いてありますのでね。

○杉戸主査
   では骨の案としては,「「いらっしゃる」は,「行く」意味のほかに「来る」「いる」の尊敬語でもある。」とします。

○阿刀田分科会長
   「尊敬語として用いられる。」では。

○杉戸主査
   そうですね。「「いらっしゃる」は,「行く」意味のほかに「来る」「いる」の尊敬語として用いられる。」ですね。

○内田委員
   それとこれ,ゴシック体じゃなくてみん朝体になさるのですね。【解説1】のところで,「先生は」のところがゴシック体になっておりますけれども。

○杉戸主査
   ここは,【解説1】だけがゴシック体ということなんです。

○内田委員
   わざわざそうしているのですね。

○杉戸主査
  はい。

○阿刀田分科会長
   御用とお急ぎの方はゴシック体だけお読みくださいという部分です。

○内田委員
   そうでしたね。

○杉戸主査
   謙譲語Ⅰも【解説1】はゴシック体です。

○内田委員
   意味があるのですね。

○杉戸主査
   そういうことです。

○内田委員
   分かりました。

○菊地委員
   今の(注)のところですけれども,「意味」というのを1回残すというのは賛成なんですが,残すとしたら後の方を残した方が落ち着くんじゃないでしょうか。

○内田委員
   そうすると,「「行く」のほかに…。」

○菊地委員
   「「いらっしゃる」は「行く」のほかに「来る」「いる」意味の尊敬語である。」ではちょっと変ですかね。

○内田委員
   「意味の尊敬語」はおかしいですよ。

○菊地委員
   「意味」も取ってしまいますか。

○内田委員
   「「来る」「いる」の尊敬語」ということですね。

○阿刀田分科会長
   「尊敬語として用いられる」,だから「意味」は両方とも要らないんじゃないですか。

○菊地委員
   「「来る」「いる」の尊敬語としても用いられる。」ですかね。

○阿刀田分科会長
   「も」も入りますかね。

○菊地委員
   それで,「用いられる」がいいか,「使われる」がいいかはちょっと全体から御判断を頂きたいと思います。

○杉戸主査
   そこについては,ほかのところも含めて,言い方を統一したいと思います。敬語ワーキンググループで,確認してからやるということにしたい。

○菊地委員
   もしそこをそう変えるのであれば,ついでに申しますが,その種のものが幾つかあります。謙譲語Ⅰの18ページの【解説1】の(注)だとか,それからその前にも,15ページの一番下の「伺う」のところなどがあります。

○阿刀田分科会長
   これは皆,言い方を統一した方がいいですね。

○杉戸主査
   では,それは今の議論の趣旨を踏まえて敬語ワーキンググループで手を入れさせていただきます。それで,13ページの敬語の5種類と3種類の対応表の上の2行ですが,先ほどの内田委員の御意見を,私,メモし切れていませんので,もう一度お願いします。

○内田委員
   「これら5分類は,従来の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3分類と以下のとおりに対応する。」というようなイメージですが…。

○杉戸主査
   書き始めから5種類を出すわけですね。

○内田委員
   上に表がございますので。「これら5分類」と言えましょう。

○杉戸主査
   「これら5種類は,従来の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類に…。」

○内田委員
   「分類」でなく「種類」を使うのだったら,「種類」ですね。

○杉戸主査
   「種類」で統一しようということになっておりますので。

○内田委員
   それでは,「5種類は,従来の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類と以下のように対応する。」ですね。

○杉戸主査
   「これらの5種類は,従来の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類と以下のように対応する。」ですね。このようにすっきりさせるという案です。
 それから,阿刀田分科会長からの御指摘は,この表の下の1行目,「基本的な敬語の仕組み」の「基本的な」は削った方が良い。また「理解することができる。」を句点で言い終わらずに,「が,」として続け,「ただし,」を削るということなんでしょうか。そういうふうにつなぐ,そういう御提案でした。この二つについてはいかがでしょうか。
 「基本的な敬語の仕組み」という,その言葉は,敬語ワーキンググループでかなり検討しました。それで,今日の配布資料2の「付 見え消し版」の方ですが,最初は「敬語の基本的な仕組みは…」となっていました。それを,「敬語の基本的な仕組み」が3種類で分かってしまうなら,なぜ5種類出すのかということで,更に誤解を招くのではないか。そこで,「基本的な」という言葉を,前後入れ替えて,「基本的な敬語の仕組みは」と変えた方が我々の真意は表現できるだろう,そういう趣旨で入れ替えたわけです。それでもやはり「基本」という言葉が結局委員の皆さんの目に止まったわけですね。「3種類」がそういう基本的な敬語のすべてを説明し尽くすというような,そういう意味での「基本」という言葉だと受け取られてしまう,そういうおそれを指摘されたのだと思います。
 先ほどの氏原主任国語調査官の説明の中にもあったように,「3種類の分け方に基づいて」とか,「3種類を基にして」というような,そういう別の言い方も考えられるところではあると私も思いました。やはり姿勢としては,今日の午前中の国語分科会で,阿刀田分科会長がきっぱりとおっしゃってくださいましたように,5種類がこの指針の基本であるということです。そういう意味で「基本」を使えば,正にそういう基本であるわけで,それは全然ぶれていないわけですが,そのことがきちんと伝わる言い方を選ぶということが課題です。
 さらに,これまでの審議の経緯の中で,例えば「敬語の仕組みの概略は3種類でも理解できる」とか,「おおよそのところは3種類でも分かる」というような,そういう言葉をはっきり使ったらどうかというような意見も出ていました。しかし,それでは「3種類」を否定し過ぎるというのか,きつ過ぎるのではないかという,そういうことから残りませんでした。それで,「基本的な敬語の仕組み」で落ち着かせて,御提案したわけです。

○阿刀田分科会長員
   「基本」という言葉はいずれにせよ,避けておいた方がいいんじゃないかと思います。だから,あえて言えば「敬語の仕組みはおおよそ…」,いや,やはり「おおよそ」は余り使いたくないですね。

○町田国語課長
   「相当程度理解することができる」と言えば,かなり3分類にも配慮した言い方になりませんか。完全に取っちゃうとやはり3種類でいいんじゃないかとなりそうですので…。

○菊地委員
   実は,私も阿刀田分科会長がおっしゃったのに近いような提案をしたことがあります。しかし,結局これは痛しかゆしというところで,5種類という提示の仕方をしたところ,いろんな御意見もあったということと,別にそれにおくしたわけではないけれども,3種類を葬り去るものであるかのような印象を強く与え過ぎて教育現場などに無用の混乱を与えてはいけないということも考えざるを得ませんでした。
 ですから3種類に最大限に配慮しつつも,新たに提示する5種類のレゾンデートル(raison d'tre 存在理由)が確保できるような文言にしなければならない。そこで,さんざん知恵を絞ったわけです。一部繰り返しになりますが,「概略」という言い方だとちょっと3分類を否定する気持ちが出過ぎるのではないかという意見がありました。私は余りそうは思わず,いいと思ったのですが,そういう御意見が強かった。その次には「ある程度」とか「相当程度」とかという言い方も出て,私はいいと思ったのですが,それも3分類がかわいそう過ぎるという声が出ました。それで何も付けないという線もあったのですが,何も付けないと,「じゃあ,3分類で十分じゃないか。」という声がまた出るのではないかということになりかねない。それで「基本」という言葉を入れて,その位置をいじったりしたということなんです。それでも,やはり「基本」という言葉は,読まれ方によると非常に大事だという印象を与えるのでしょう。
 ですから,「基本」は取った方がよろしいと思うのです。しかし,何も修飾語を付けずに行くのがいいか,何らかの適当な修飾語をどこかへ入れた方がいいのかということで,お知恵が拝借できたらという感じもあったと思います。語感の問題は個人差があるようでして,私は今の「相当程度」というのは大変有り難いお知恵を頂いたと思うのです。

○阿刀田分科会長
   やはりそれも語感の問題なんですが,句点を取ったことで随分違うと思うんですよね,「できる。」でなくてね。「敬語の仕組みは上記の3種類によっても」,「よっても」ですよね。「することが」を取って,「理解できるが,敬語の働きと適切な使い方をより深く理解するためには,更に詳しくとらえ直す必要がある。」と行けば,割とすっきり行けるんじゃないですか。何も余計なことを言わずに。そのくらいのところでいかがですか。「基本的な」が話題になっていますから,ここで「基本的な」を使うと,まだ残っていると言われそうな気がします。

○蒲谷副主査
   「基本的な」を付けたのは,その「できる。」で切るので,何か付けないと落ち着かないということもありました。

○阿刀田分科会長
   日本語は,従属文は一応…。

○蒲谷副委員長
   「「来る」「いる」の尊敬語としても用いられる。」ですかね。

○内田委員
   主節が中心になりますから,今のが一番すっきりすると思います。

○阿刀田分科会長
   「あなたはきれいだが,頭が悪い。」というのは,頭が悪いことの方を言いたいときに使うわけで,「が」の前は…。

○杉戸主査
   もう一つ思い出したので参考までに。「敬語の骨組みは」というような表現も検討したときがありました。「敬語の骨組みは上記の3種類によっても理解できる。」とすると,これまた読みようによっては,骨組みだけなのかって,決してそうじゃないと反論を招くだろうということで,やはり引っ込めました。

○阿刀田分科会長
   割と全体に「仕組み」というのはよく使われていますよね。

○杉戸主査/td>
   「第2章」の表題が「仕組み」ですから。

○阿刀田分科会長
   ですから,特別問題がなければ「仕組み」を残した方がいいんじゃないでしょうかね。

○杉戸主査
   それでは,「基本的な」を削って,「敬語の仕組みは上記の3種類によっても理解できるが,」とし,「ただし」を削るという線でいかがでしょうか。この箇所はそうします。

○菊地委員
   細かいことを申しますが,先ほど,表の上の文言を直したために,それ自体は私は賛成なんですが,「上記の3種類」というのがちょっと唐突に出てくる感じがありますので,この場で御意見,お知恵を頂くなりして,後でそこを敬語ワーキンググループで検討させていただけないでしょうか。

○杉戸主査
   「上記の」は,敬語ワーキンググループで調整していただいて結構だと思います。

○菊地委員
   ちょっと唐突に出てくる感じがするのです。

○杉戸主査
   先ほど表の上の文章を直したときに,「従来の」となったのでしたか。

○阿刀田分科会長
   ええ,「従来の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」」となりました。

○杉戸主査
   その「従来の」をまた繰り返して使うかどうか,そんなことも含めて調整を図ります。
 それと同じ問題にかかわりそうなところが,さかのぼると11ページの「敬語についての教育」という部分の一番下の段落にあります。「なお本指針案の第2章では,…」,この辺りに内容的には関係しますが,ここでは「基本的」という言葉はもちろん使ってないですね。大丈夫ですね。

○阿刀田分科会長
   これはいいんじゃないでしょうか。

○杉戸主査
   それから更にさかのぼることになって恐縮ですが,3ページにある「答申案の立場」の「(2)敬語の区分について」。ここでは中ほどに「それぞれ区分けしたもので,従来の考え方を基本にしたものである。」というところで,「基本」が出てきます。これはいかがでしょうか。

○阿刀田分科会長
   「基本」と「基」とは違いますよね。言ってみると,「基本」というのは厳然と基本だし,「基」というのは,それを基にして芽を出させて成長させたという意味がありますから,3ページは「基」とか「基い」とかにすればいいのかなという気もします。

○杉戸主査
   あるいは「従来の考え方に基づいているものである」と,「基づいている」とか。

○阿刀田分科会長
   とにかく「基本」という言葉を避けた方がいい。「基本」という言葉を使った途端に,それが厳然として今でも根幹として生きているという感じが非常に強く出ると思います。だから「基」としているとか「基づく」ということになれば,そこから発展して,今は変化しているのだという意味が加わりますので,その方がいいんじゃないでしょうか。

○杉戸主査
   先ほどの13ページの議論のときのように,「基本的な敬語」とか,「敬語の基本的な枠組み」という,そういう使い方では「基本」の言葉は出ていないわけですから,まだここはいいと思います。今の御意見を踏まえて,もう一度検討することにします。案としては「基本」の「本」を取るのですね。「基い」と読むか「基」と読むか,あるいは「基づいたものである」,「基づくものである」という,そのいずれか辺りで,案を固めるということにいたします。
 64ページの「「敬語の指針」の概要」という2ページでまとめたところの,「従来の3種類との関係」の中でも,「この3種類を基本として,」とあります。

○阿刀田分科会長
   これは「基本」の「本」を取っちゃって,「基として」だけでも大丈夫ですよね。一つ取っただけでも,ほとんど同義語に当たるのでしょうけれども,やはり意味は違ってくるものですね。

○杉戸主査
   ここは,先ほどの3ページの修正と同じ方向ですね。

○阿刀田分科会長
   「基づいて」とするか「基として」とするか,統一すればよろしいのじゃないですか。

○杉戸主査
   そうですね。統一して考えることにします。ここの「基本として」がつながる最後の述語は「分けたものである。」ですから,それとのつながりのいい,落ち着く表現を探せばいい,そういうことにしたいと思います。
 それでは先へ進んでいいでしょうか。2点目は,表記の問題で「はじめに」と「終わりに」ですが,これはいかがしたものでしょうか。これは文化庁として,こういう公用文の文字表記の使い方で「はじめに」「終わりに」というのがあるのでしょうか。

○氏原国語主任調査官
   ありません。公用文表記の基本である「文部省用字用語例」だとか「文部省公用文送り仮名用例集」だとか,そういったところでは別に決めていませんので…。今回の表記は,先ほども申し上げましたが,前回の国語力答申の表記に合わせたということです。

○杉戸主査
   どうしましょうか。「終わりに」の方もすべて平仮名で書くということに,今回はしましょうか。

○阿刀田分科会長
   その方が少しは易しい感じになる。「はじめに」を漢字にするという方便だってあるのだけれども…。

○杉戸主査
   「はじめに」だと「初」なのか「始」なのか,非常に悩ましいですね。

○阿刀田分科会長
   「初」の方でしょうかね。少しでも易しい感じにするために平仮名にしましょうか。

○杉戸主査
   それでは,「終わりに」を全部仮名で書くことにします。それに連動して直すところ,目次などはそうですけれども,そういったところも気を付けて直すようにいたします。
 3点目は表のことですね。まず内田委員からの御指摘で,64ページの概要で,「敬語の種類と働き」をまとめたこの表についてです。これを前の方の13ページの,言わば3列ある表に替えて,「いらっしゃる・おっしゃる型」というニックネームの下に,定義に当たる「相手側又は第三者の行為…」を入れたらどうか,そういう御指摘でした。
 その趣旨は,今のままだと3種類の方が尊敬語,謙譲語,丁寧語と名前だけが並んでいて分かりやすく,逆に目立つが,5種類の方は,一つの枠にいろいろと書いてあるので,沈み込んで目立たないという,そういう御配慮かと想像します。
 午前中はこの配布資料2の「付 見え消し版」の方でやっていまして,青い色で3種類の方が印刷されていて,非常に目立ったのですね。今日のお昼になって全部黒で書かれたこの配布資料2の64ページを見ると,その青の効果は確かに消えています。しかし,それでもやはり3列にした方がいいかどうかを改めてここで検討したいと思います。

○阿刀田分科会長
   できるだけ13ページの感覚に近い方がいいのではないかなと私は思います。ただ,その場合,5種類の方に(1)(2)(3)(4)(5)と番号が一応打ってありますよね,この番号はどうするのかという問題がある。13ページの方にはないわけですからね。

○内田委員
   すっきりと落とした方がよろしいのじゃないでしょうか。

○阿刀田分科会長
   どうせなら統一した方がいい。ただ,5種類に分けたときの一つ一つの項目の行数の幅が13ページより広くなりますよね。広まるということは3種類の方がますます幅が大きくなって,大きい枠の中にどんと三つが書かれるという可能性がありますので,目立ち度が3種類の方がちょっと大きくなるかなという気がします。けれども,5種類の方はゴシック体で五つ,尊敬語,謙譲語Ⅰ,謙譲語Ⅱ,丁寧語,美化語と出して,3種類の方は普通の明朝体にすれば,5種類の方が大事なんだという感じが出ますし,列の幅も3種類の方は幅もちょっと詰めて,目立たないようにした方がいいかもしれませんね。

○内田委員
   12ポイントと11ポイントにするという方法もありましょう。

○阿刀田分科会長
   そのくらいのことで行った方がいいと思います。13ページの表と合わせることは大事だと思いますから。

○杉戸主査
   この64ページの3種類の方の幅ですね,この幅をもうちょっと細くするという,これは必要かなと私も思っていました。それから,先ほど御指摘のあった5種類の方の(1)から(5)までの数字ですが,これは趣旨としては,第2章の節の番号に対応させてあるのです。そういう番号ですね。

○阿刀田分科会長
   13ページの上の方では番号を打ってあるのですね。どっちがすっきりするのか,分からないですね。

○内田委員
   でも,数字って同時に目に入りますから,(1)~(5)の両括弧がなくても,今まで読んできたことを整理したのだというのだったら,落としてしまった方がすっきりするのじゃないでしょうか。

○阿刀田分科会長
   1~5の数字も落としますか。

○内田委員
   その数字はあってもいいのではないですか。

○陣内委員
   これは,種類を表しているのだから番号はないのが普通のような気がします。つまり,13ページの上に括弧があるのは,ちょうど説明の順番があるから(1)~(5)となっているわけですね。だけど,同じ13ページの表は,やはり種類だからそれに順番を打つというのはむしろ不自然な感じがします。表にするなら,番号がない方がいいと思います。

○杉戸主査
   表であるからということですね。その前の63ページの下の「留意すべき事項」は付いているけれども,これは表ではなく,箇条であるということですね。
 それでは,13ページのように3列にしましょう。一番左の列に5種類の名称だけを並べる列を立てる。そして真ん中の列として,「いらっしゃる・おっしゃる」型などの型と,その定義を書く。それから一番右の列(3列目)には3種類を掲げる,そういう3列方式で行く。その場合,恐らく,このままで行くと真ん中の列の2段目,謙譲語Ⅰの定義文が3行になるだろうと予想されますね。ほかは1行ないし2行で収まるだろうと想像しますが,そういう印刷上の最終的な見立ても工夫しながら,場合によっては定義文のポイントをちょっと下げるなり何なりしていくということで,よろしいでしょうか。

○阿刀田分科会長
   5種類の見出しが一つの枠に入るのだったら,(「いらっしゃる・おっしゃる」型)の前後にある丸括弧はなくてもいいんじゃないでしょうかね。ない方がすっきりすると思います。

○杉戸主査
   なるほど。それでは,そのように決めます。
 それから5点目です。これは甲斐委員から指摘されていました。64ページの下の「敬語の具体的な使い方」の点線の四角の内容です。例えば,「第1 敬語を使うときの基本的な考え方」という本文の節の見出しをアンダーライン付きで掲げて,その下に,今はそれぞれの問いの例が一つずつ挙がっている。この63ページ,64ページが「「敬語の指針」の概要」であるから,問いの例でなくてその構造をきちんと示すべきだという趣旨でした。
 例えば,第1であれば,この見出しはこのまま掲げて,その下に6項目あるいは6問と示し,目次の第3章の第1のところにある「現代の敬語は,相互尊重を基本として使う」など,こういうことが扱われているという具体的なものを掲げる方がいい,こういう趣旨の御意見でした。
 そこで,例えば,第1の1は「相互尊重という基本」とか,そういうふうに短くまとめて挙げていくということになりましょう。63ページ,64ページの資料は,やはり2ページで収めるというのが趣旨だと思いますので,網羅的には挙げられないけれども,その範囲で代表的なものを二つないし三つ選んでいく,そういうふうでよろしいでしょうかと確認したところ,それで結構であるということでした。それで,改めてここでお諮りしたいと思いますが,そういう修正がやはり必要だということでいいでしょうか。

○阿刀田分科会長
   挙げられるものは,せいぜい二つぐらいですよね。それを,どういう言葉でとらえますか。相互尊重を基本とする点,社会的な立場を尊重する点などですか。

○杉戸主査
   よく質問が寄せられるようなところから言えば,例えば,第2であれば,尊敬語と謙譲語Ⅰの混同,それから自分側に「お・御」を付ける問題くらいですね。第3であれば「ウチ・ソト」とか依頼の仕方とか,そういったところでしょうか。

○阿刀田分科会長
   なるほど,そんなところですかね。必ずしもそのまま引用するのではなくて,よく誤解されるような例を二つくらいピックアップして,「など」ということですね。

○杉戸主査
   取り出したものは,それだけの表現でイメージがわくものでないといけないと思うのですね。「尊敬語にするための形の問題」というのはちょっと分かりにくいかと思いますから,第2にはそれじゃない方がいいなと思います。そういった考えで二つを目安にして,「など」として掲げる。それでよろしいでしょうか。敬語ワーキンググループの方で適切なものを選んで修正するようにしたいと思います。

○菊地委員
   甲斐委員の御提案は,それはそれで結構だと思いますが,やはり,一長一短があると思います。この63ページと64ページがどういう目的で使われるかにもよるとも思いますが,甲斐委員のおっしゃったように直すとしますと,それは目次を見れば分かるわけですね。それで,ここは目次以外の情報を示すということでアピールする,あるいは広報活動をするという趣旨で事務局はお作りになったのだと思いますので,その趣旨からは現状でもいいのかなと思うんです。別に私はどちらでもいいのですが,甲斐委員がおっしゃったからすぐにそう変えようというのが,結果として広報活動にとっていいのかどうかという辺りは慎重に考える余地があるかと思います。

○阿刀田分科会長
   私も何を挙げるのかという具体的な例を今出して考えた方が考えやすいと思って申し上げたのだけれども,申し上げながら,その前段階として,果たしてそういう方法がいいのかどうか,現状のままにしておくという方法も当然あってもいいのではないかということを思いながら発言していました。

○内田委員
   どれを入れるかというのもまたありますね。

○阿刀田分科会長
   難しいですね。しょせん「など」でしか示せないとも言えるので。意見がころころ変わるようだけれども,現状のままでもいいのじゃないかなという気も私はしています。

○内田委員
   ゴシック体を使って,目立たせればいいのではないでしょうか。

○阿刀田分科会長
   項目の部分ですね。第1,第2,第3のアンダーラインが入っている部分。

○内田委員
   アンダーラインは入っても入らなくてもいいので,上と同じようにゴシック体にして,その下に明朝体で,問いの例を示せばいいと思います。

○阿刀田分科会長
   ゴシック体にしたら,アンダーラインは要らないでしょうね。

○杉戸主査
   下は「問いの例」として,今のままでという御意見ですね。確かに,これは63,64の2ページだけで広報とか,今後引用されたり,我々も活用していくだろうと思うのですが,そのときのことを考えると,「問いの例」として例えば,一つでも例として挙がっていた方が分かりやすいという気もするわけです。そして,この2ページを引っ張り出して引用する場合はそれしかないわけですが,指針の全体としては,今日の資料の最後に「第3章 問い一覧」というのが目次とはまた別にあって,全体像が分かるわけですね。つまり,第1,第2,第3として同じ見出しが立ち,第1であれば【1】から【5】の番号も付くという,そういう資料も別のページだけれども用意されているわけですね。「敬語の指針」を利用してもらう上では,「第3章 問い一覧」の存在も併せて考えていいと思います。これがあるから64ページではその例を一つ出す,そういう理屈もあっていい。先ほどもうお諮りしちゃったのですが,一歩手前に立ち戻って,どうしましょうか。

○内田委員
   64ページで第1,第2,第3という順序性を出すよりは,(1)(2)(3)と,前のページの「留意すべき事項」と同じような仕上がりに表示した方がよろしいのではないでしょうか。

○阿刀田分科会長
   第1じゃなくて,(1)ですか。

○内田委員
   (1)(2)(3)です。それで,下線を付けずにゴシック体で,太字にしてはどうでしょうか。

○阿刀田分科会長
   第1,第2,第3というのは,確かにちょっといかめしいですね。

○杉戸主査
   ここは,本文の「第1章 第1」とかに合わせているのです。確かそうでしたよね。

○氏原主任国語調査官
   はい,そうです。本体の方の項目に合わせているのです。

○杉戸主査
   ただ,将来この2ページだけが広報などに利用され,独り歩きするということからすれば,なぜここが第1で,前ページは(1)なのかという,そういうことにもなる可能性がありますね。だから,この2ページで完結する番号の振り方の方がいいかもしれません。

○阿刀田分科会長
   確かにその方がいいかもしれませんね。

○内田委員
   でも,図として見るのですよね,イメージを描くための。

○阿刀田分科会長
   これ1枚で完結したものと考えれば,同じ形で統一した方がいいでしょうね。それで行きましょう。

○杉戸主査
   では,(1)(2)(3)というふうにして,そして,内田委員のおっしゃるように,アンダーラインを外して見出しだけゴシック体にする。それで「問いの例」については,先ほどからの議論の流れでこのままで行くということで,よろしいですか。

○蒲谷副主査
   括弧の中に「○問」という問い数を入れる問題が残っていますよね。

○氏原主任国語調査官
   そうですね。「6問」とかですね。

○蒲谷副主査
   それは,見出しの後ろに括弧を付けるということですか。

○氏原主任国語調査官
   その形が分かりやすいのではないでしょうか。。

○杉戸主査
   例えば,ゴシック体で「敬語を使うときの基本的な考え方(6問)」ですね。

○蒲谷副主査
   ちょうど順に,6問,12問,18問でした。

○杉戸主査
   じゃ,それを採用することにしましょう。

○内田委員
   確認ですが,6問,12問,18問という部分は,明朝体ですよね。

○阿刀田分科会長
   そうですね,余り太くなくていいと思いますね。見れば分かると言えば分かる。

○杉戸主査
   では,それを結論ということにしたいと思います。
 ここまでで最初に氏原主任国語調査官から,午前中の国語分科会で出た論点として挙げていただいた5点については,全部解決したと思います。一部具体的な修正は敬語ワーキンググループの方に引き取らせていただきましたので,それらについての審議はここまでということにしたいと思います。
 このほかに何か,お気付きの点はないでしょうか。

○阿刀田分科会長
   ちょっと戻るのですが,「敬語の指針」の中身についてです。「索引」は2項目だけになさるおつもりですか。二つの欄,<用語欄>と<用例欄>みたいな,二つのシステムになさいますか。それとも,みんなごっちゃにして,用語も入っていれば用例も入っているという,アイウエオ順か何かで,ずっと並んでいるという索引にしますか。

○杉戸主査
   まだ具体的な案として決定しているわけではないのですが,私の心積もりとしては混ぜる,用語の見出しも語形の見出しも,五十音順で配列することを考えています。

○阿刀田分科会長
   その方が親しみやすいと思います。と言うか,学問的に考えるとやはり,こちらは用語です,こちらは用例ですと分けた方がきちっとするような気がするのだけれども,案外普通の人がぱっと見たときに,別に用語と用例がごっちゃになっていたってそんなに不自由はない。違うところを引いてから,「ああ,これは違うな。用語の方だったな。」ということよりは,とにかくアイウエオ順に出てくる方が,私は便利なような気がするのです。余り三つも四つも分類項目が分かれていると,どこで引いていいのか分からないような例も出てきます。利便性を考えると,全部入れ込んで一つになっている索引の方が私は便利のような気がするけれども,学問的にそんないい加減なのは許せないという意見があればまたちょっと考えるべきかなと思うのですが…。

○内田委員
   その辺の水準が頭に入っている方には用例と用語は分けた方がいいのですが,一般には言葉で引いていくので,全部の項目を五十音順やアルファベット順に並べた方がいい。

○阿刀田分科会長
   全部入れた方がいいという御意見ですが,いかがでしょうか。

○杉戸主査
   これもその範囲での工夫ですけれども,用語と語形を五十音順で一緒に並べていくとすると,語形の方,「いらっしゃる」とか「伺う」という,その敬語の形式,言葉遣いについてはかぎ括弧を付けておくとか,という工夫はあるかなと思ってはおりました。用語索引,術語索引,あるいは今回は全く関係ないですけれども,例えば,人名索引とか地名索引,そういうふうに分類を立てて,別の索引にするということは私は全く考えておりませんでした。混ぜる方向で行きたいと思いますが,いかがでしょうか。

○内田委員
   結構だと思います。

○杉戸主査
   それで分量ですけれども,できれば,2ページ程度でどうでしょうか。先ほどの第3章の問いの一覧もびっしりですけれども,見開きで一目で探せるような,そういう工夫をしたわけですので,索引もそういう工夫をして,できるだけ重要な情報が載っているページを参照できるようにしたい。例えば,「いらっしゃる」とか,あるいは「立てる」というような言葉は繰り返しいろんなページに出てくるわけですが,そのページを全部網羅することはもちろん考えないようにした方がいいと思います。重要な情報が引けるというような範囲に精選する,こんなふうに考えております。
 索引についてはそういうことで,そのほかの点で何かございましょうか。

○内田委員
   この「「敬語の指針」の概要」は,とっても分かりやすいので,これは費用の問題とも関連しますが,是非リーフレットにして,学校現場だとか,そういう言葉の教育をなさるところに配布することができるといいと思います。それだけの費用があればの話ですが,リーフレットが作られると非常に便利かなというふうに思います。

○杉戸主査
   費用ということもかかわりますが,「「敬語の指針」の概要」の活用を…。

○町田国語課長
   いたしたいと思います。

○阿刀田分科会長
   これだけ立派な答申ができたのだから,是非,そうすることを希望します。

○杉戸主査
   そのほかにはいかがでしょうか。
 それでは,敬語小委員会における「敬語の指針(答申案)」についての審議はここまでとさせていただきます。先ほども言いましたけれども,これまでの審議経過を踏まえて,今,内田委員の最後の御意見,あるいは御希望につながるわけですが,これが答申として正式に出た後,いろいろな工夫が必要だということです。あるいは<よりどころのよりどころ>と言っている以上,その次のことについても,いろいろな工夫がいろいろな方面でされていくといったことについて,この敬語小委員会としては最後の機会ということで,何か御意見がありましたら伺って,事務局あるいは別の関係者にも伝わるようにしたいと思います。もちろんこれは,今,急に言ったわけですので,またこの後メールとかお手紙でお寄せいただいてもいいことです。そのようにしていただければと思います。
 それでは,本日の協議はここで終わりにします。
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