議事録

第4回国語分科会国語研究等小委員会・議事録(案)

平成23年11月14日(月)
10:00〜11:50
文化庁・第2会議室

〔出席者〕

(委員)
林主査,西原副主査,伊東,上野,尾﨑,東倉,砂川各委員(計7名)
(文部科学省・文化庁)
小松文化部長,舟橋国語課長,氏原主任国語調査官,小松課長補佐ほか関係官

〔配布資料〕

  1. 国語に関する調査研究等の業務を担う組織と当該業務の在り方について(報告書素案)
  2. 「国語研究等小委員会」における審議に関連する質問・意見(尾﨑委員提出資料)
  3. 国立国語研究所研究者等の文化庁の政策への協力について
  4. 分科審議会国語分科会国語研究等小委員会の審議スケジュール

〔机上配布〕

○ 第3回国語分科会国語研究等小委員会・議事録(案)

〔経過概要〕

  1. 事務局から配布資料の確認があった。
  2. 林主査から前回の議事録案について,確認の依頼があった。
  3. 事務局から,第3回国語研究等小委員会における西原副主査及び尾﨑委員からの質問に対する回答があった。
  4. 尾﨑委員から,配布資料2「「国語研究等小委員会」における審議に関連する質問・意見」についての説明があった。
  5. 事務局から,配布資料2における質問のうち,国語研究等小委員会の審議に直接関連するものに対しての回答があった。
  6. 事務局から配布資料1についての説明があり,質疑応答の後,意見交換を行った。
  7. 次回の国語研究等小委員会は,11月25日(金)10:00〜12:00に文部科学省・5F7会議室において開催することが確認された。
  8. 質疑応答及び意見交換における各委員の発言等は,次のとおりである。
○林主査
前回のこの小委員会の配布資料1,2につきましては御承認いただいておりますので,それに基づいてこの配布資料1の素案を作っていただきました。これから順を追って内容ごとに御審議を頂きたいというふうに思っておりますが,それに先立ちまして,何か今の事務局からの御説明に対して御質問等がございましたら,承りたいと思いますが,いかがでしょうか。
○西原副主査
一つ,前提となることについて,この小委員会の在り方と言うか,責任の範囲ということで確認をしておきたいのですけれども,一番最初に黄色のファイルの中では,第1回の配布資料9でございますね。法律の抜き刷りがあるところの中で,附帯決議が出ているところがございます。資料8の2ページ,3ページでございます。その一番最終行のところなんですけれども,「将来的には,国の機関とすることを含めて組織の在り方を抜本的に検討すること」という宿題があった訳でございますけれども,これはこの委員会として,学術審議会の方も含めて,課題の立て方のところでは,その組織の在り方を検討はしないわけでございますよね。
つまり,移管したというところからこの検討課題が立っているわけで,そのことをどこかに,それを前提として協議したということを,この委員会の責任において,どこか後でもいいし前でもいいんですけれども,書いておく必要があるのではないかということが,全体の前提ということで,これを見ても更に疑問に思ったところでございますが,いかがでしょうか。
○林主査
私もちょっと私見を申し上げますが,これに関連して何か御意見がございますか。
まず筋から申しますと,附帯決議がありまして,それに基づいてこの長い名前の「独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律」というのができまして,それに基づいて,この新しい人間文化研究機構の中に国立国語研究所の設置が行われたわけですね。ですから,直接,今この検証が基づいているのは,この法律の14条,15条なのですね。それを飛び越えて遡っていくと,附帯決議にまで行きますけれども。それで,そういうことを踏まえて,私どもは,検証の観点を承認していただいて,そこでやってきていますので,おのずからここでやるべきことというのは共通理解があるというふうに理解はいたしておりますが,なおそれを明確に述べておいた方が,この報告書としてその性格付けが明らかになるというような御意見だろうというふうに承りましたので,それに関しては,報告書としてそれを加えるべきか,あるいは加えなくても,この報告書の性格として問題がないかどうか,これは次回までに議論させてください。
○西原副主査
はい,結構でございます。そのことが大前提のその裏にもう一つあるという認識でおりまして,それが,もちろんこれはもう課題を立てたときから承認してきておりますので,この報告書において,そのこと自体を…。
○林主査
それを書くかどうかですね。
○西原副主査
なんですけれども,その前に,だから,この小委員会は法律に基づいたところをやりました,それでこういう課題が立ちましたというふうに書いていくのかどうかということであろうかと思いますが。
○林主査
分かりました。それは,書く内容にも関わりますけれども,全体のこの報告書の大きく言うと書き方ですから,それは今ここでどうすべきかというよりは,次回までにちょっと考えて,次回の最終案でそこのところを御審議いただくということにしたいと思います。
○西原副主査
はい。
○林主査
舟橋課長,それでよろしいですか。
○舟橋国語課長
はい。どういうふうに報告書の中に入れていくかということは,次回までに整理した上で改めてお諮りをさせていただきたいと思います。
○西原副主査
最終ページの今後の検討課題というところが,その部分に呼応するのかというふうには思います。
○舟橋国語課長
分かりました。
○林主査
ほかに何か,全体的なことでございますでしょうか。
それでは,ただ今,御説明いただきましたこの素案の内容ごとに,順を追って,御審議いただきたいと思います。中心になるのは,2ページの「観点ごとの検討内容」の,線で囲まれた部分以下ですね。それから,5ページ,下の方に行きまして,その枠で囲まれた部分,(2)でございますが,それ以下。それから7ページの「機関等の連携体制の在り方について」,やっぱり線で囲まれた部分。それから,最後のまとめの部分。この辺りが検討すべき内容のポイントになるのではないかと思いますが,まず配布資料1の1ページ目,ここについて何か御意見ありましたら伺います。検討の趣旨・経緯,それから検討の進め方ですね。この辺りです。(→ 挙手なし。)よろしいですか。
では,その次に行きます。2ページ目「観点ごとの検討内容」で,1.「国語に関する調査研究等の業務の在り方について」ということで,その(1)「国の政策の企画立案の観点から,国立国語研究所における国語に関する調査研究等の業務の成果が適切に活用されているか」と。これはここで検討する観点の第1番目の点ですが,これについて以下のように,4ページ,5ページの終わりのところまでですが,まとめられております。これについて何か御意見がございましたら,お伺いいたしたいと思いますが,いかがでございましょうか。
○西原副主査
国語研究所がしてきた国語及び日本語教育に関する調査研究の,どこまで遡って,この委員会が検証するのか。
○林主査
それは自明でして,2年間。
2年後に検証するというので,人間文化研究機構に移ってからの2年間。新しく制度が変わったために,従来の国立国語研究所がやっていた業務が,それによって継続継承されなくなったり,あるいは遅滞したりするというようなことがないかどうかということが,平たく言いますと,検討の要点ですので,新しい大学共同利用機関としてこれまでやってこられたこの2年間について,そういう制度の変化と言いますか,変更による,そういう遅滞とか,あるいは継承が途絶えるというようなことがないかどうかという,ところですので,この2年間に限って御検討を頂きたいと思います。
○伊東委員
私自身は,この報告書素案に関して特段意見はありませんけれども,私,過去に外部評価をやらせていただいたとき,この成果というのは大きな変更はないというふうに思っているんですが,今回の報告書で出していただきたいのは,やはり組織や機能が移管前と後でどのように変わって,どういう形で行われたかが見られると,その違いあるいは共通点ももう少し見えてくるのではないかというふうにちょっと思いました。したがって,組織や機能の違い,あるいは共通点がもう少し出てくることによって,今後の組織の在り方,調査研究の在り方ももう少し見えてくるのではないかということが,もうちょっと顕著になるかなというふうに思いました。
したがって,さっき西原副主査が1のところ,そして8の資料のことを言及されましたけれども,そのことを是非何らかの形で言っていただきたいのと,組織図と言うか,もう少し目に見える形で何か出していただけると,これを読んだときにも,具体的にどういう形で検証されたかが見えてきていいのかなというふうに思いました。それは,先回の会議で,組織の名前として何とか系とか,いろいろとポンチで示されましたけれども,やはりそのこともある程度言及されるといいかなというふうに思いました。
○舟橋国語課長
人間文化研究機構としての組織とか業務の検証ということになりますと,むしろ国語研究等小委員会というよりも,一義的には学術分科会の作業部会の方の論点なのではないかと思います。今,伊東委員がおっしゃった組織の対比ということであれば,人間文化研究機構から提出されている報告書の中に,移管前後の組織や予算などついて具体的な資料が付いてございます。恐らく報告書の中でこういった資料も添付していくことになるので,その中で,御確認いただけるのではないかと思っております。
○林主査
この2年間でどういうことをやってこられたかというようなことに関しては,今二つに分かれて検証しているわけですね。それで,人間文化研究機構の方では,組織全体とか,それから,当初の設計図どおりにきちっと運営できているかとか,全体的なことを御覧になっているんです。こちらは,旧国語研との関係ですから,旧国語研でやっておられたような国語に関する研究,あるいは日本語教育に関する調査研究,そういうものがきちっと継承されているか,ここのところに焦点を当てて議論していますので,今おっしゃったようなことは,あちらの人間文化研究機構の方の委員会で検証されております。ですから,それはそちらに譲ってよろしいと私は判断いたしますが…。そこまで,こちらが広がってきますと,何ていうのか,両方の…。
○伊東委員
バランスでしょうか。参考資料というか,何か追加資料でもあると分かりやすなというふうにちょっと思った次第です。
○林主査
今の御意見は,組織の新旧対照表があると分かりやすいと,そういうことでよろしいでしょうか。
○伊東委員
簡単に言ってしまえばそういうことです。
○林主査
何かそういうものはありますか。
○舟橋国語課長
お手元の黄色の冊子の第2回の配布資料1というのが人間文化研究機構の報告書ですけれども,この54ページと55ページが,今お話にありました研究系やセンターの組織の対比になっております。また,定員については,56,57ページ,予算については58ページ以降に掲載されております。
○伊東委員
はい,ありがとうございます。
○尾﨑委員
二つの委員会があって,役割分担をはっきりさせましょうという主査の御意見で,私は両方に出ております。
片一方の方では,国語研の組織,あるいは予算等が法律の趣旨に沿う形で,2年間運営されたか。これは別途議論をすることだと思います。
全体を通して感じますのは,人間文化研究機構の検証報告書及び先回文化庁からお出しいただいた資料は,このようなことをやりました,あるいはやっていますという事実が並んでいるだけです。これだけやっているんだから適切だというような…,何で適切だと言えるのか,私には理解できないというのが率直な気持ちです。今,見ている資料の5ページの[3]。資料1の5ページの[3],検討結果というところがありますけれども,この文章だけを読んでいると,何も問題がない。ちょっと読ませていただきます。「以上のことから,国立国語研究所において,移管後も,旧国語研において行われていた国語に関する調査研究等の業務が継承して…」。全部継承されたんですか。
○林主査
それは,前々回の配布資料1と2に示されておりまして,この資料の1,2は,今日の議事録の10ページ目にありますように,前回,御意見がなくて了承されております。
○尾﨑委員
そうですか,分かりました。
先回の資料1−1,1−2あるいは全部拝見して,それについての意見がないかというお尋ねについて,その場で意見が言えるほどには判断ができなくて,後でいろいろ見て,ああでもない,こうでもないと考えたのですけれども…。あれだけの資料が出て,意見を言わないと承認したことになる,そういうことでございますね。
○林主査
ですから,それについては説明していただいて,御質問,御意見を求めて,ないので,御承認いただけますかということで,御意見がなかったのでそれは承認されたわけです。
その後,尾﨑委員はいろいろお考えになって,この配布資料の2をお出しになったんですよね。私もそれについては,私の判断も加えて,御質問については,できるだけ丁寧に御説明申し上げましょう,また,御意見の部分については,ここでの議論の中に生かしていただける,そういう判断で,今日のようなことになってきております。
○尾﨑委員
分かりました。
○林主査
それで,[3]のところですが,私の判断では,すべて継承…,完了したものは終わっていますけれども,やってきたもので中断されたり,それでやめてしまったものはないと認識しております,今まで旧国研でやっているものは。不適切だと言うときには,もしそのような点があったのなら,それを具体的に指摘されないといけないですよね。
○尾﨑委員
分かりました。
○林主査
それが継承されている以上は不適切だと言えませんので,それでこういう表現になっています。もっと夢をいろいろ,ああもありたい,こうもありたいというと,まだ不十分だというお考えになることはあり得るかもしれませんけれども…。この検証は,先ほどの法律の14条,15条に基づいて,2年間きちっと設計図どおりに運営され,かつ旧国研でなされていたものがちゃんと継承してなされているかどうかという,そこに絞ってやっておりますので…。
○尾﨑委員
そうしますと,今の主査のお話で,こうあったらいいなということは,今後の課題のところに書き入れるという,そういうことになりますね。
○林主査
この報告書の性格を大幅に超えない範囲において,そこに入ってくると,そういうことですね。
○尾﨑委員
はい。それからもう1点。今,私が読み上げさせていただいたところのすぐ後に「国において適切に活用されていると認められ,…」,これも先回の会議で認めたということでございましょうか。
○林主査
これは,尾﨑委員がさっき,報告書では事実しか書いていないとおっしゃっていましたよね。それは,この資料1,2のことですけど,それはそうあるべきだと思っています。それを評価するのはこの会ですから,例えば極端なことを言うと,継続していると言うのに継続していないというようなことが仮に,これは例え話ですが,あったとしたら,それはやっていないじゃないですかということで,そういう評価が出てきますよね。
そういうことで,今,お読みになったときに「国において適切に活用されていると認められる」というふうに,そこで一旦切られましたけど,ここは,「認められ,また今後も活用されることが期待される。」と連用形で続いていまして,その両方を含んでいます。ということは,活用しているものも一部あるけれども,これから活用されることが期待されるものもあるという,そういう表現になっています。
○尾﨑委員
「国において適切に活用されていると認められる。」ではないんですね。
○林主査
ではない。
○尾﨑委員
「認められるものもある」というふうに,今,主査はおっしゃいましたか。
○林主査
つまり,事項によってはそう認められるものもあるし,期待されると…,現に「可能」だとか「期待される」と書いてあるものもあったわけでしょう。そのことを言っているんですよ。
○小松文化部長
整理しますと,林主査がおっしゃっているとおりで,前回までで新国語研でこういうふうに業務をやってきましたというその整理をして,それについては前回の会議の時,私も確かに認められたというふうに認識しました。それで,今日はそれに基づいて,この[3]のところの表現がいいかどうかを確認していただく会議なんですね。
だから,この[3]の部分は,事務局で原案として書いて,これでいいですかとお聞きしていますから,これは決めたわけじゃありませんから,ここを,もし国において適切に活用していないということであれば,こういう点で活用されていないからもっと活用すべきだと御指摘を頂ければ,ここをまた直していくという,今日はそういう会議でございます。
○林主査
おっしゃるとおりです。
それで,例えばそういう評価につながる場合には,具体的な例をもって,こういうことをやるべきなのにやっていないじゃないかとか,これは続けると言っていたのに続けていないじゃないかとか,そういうことがあると不適切だということになると思いますが,そうでないと,それはやっぱり継続されていることは継続されているという,この規則の14条,15条に照らして,それはやっぱり適切に行われているという判断をせざるを得ないと言うか,すべきであると思います。
○西原副主査
そこの文言については,「その成果は」の後ですけれども「国語政策・日本語教育政策の企画立案の観点から」というふうにするべきではないのではないか。そこは削除して,「その成果は国において適切に活用されていると認められ,また今後も活用されることが期待される」。ここにおいて検証されているのは過去のことですから…。企画立案の観点から既に国において活用されていると認められる部分は,むしろない方が,この2年間の検証としては適切なのではないか。つまり,これは,将来の企画立案というふうに読めるわけですね。過去に企画立案されたことについて国が活用してきたという,そういうことでございますよね。
○林主査
分かりました。ただ今のような御指摘は,こういう具体的な評価でやっぱり非常に必要な議論になると思いますので,その点については,次回までに研究させていただいて…。
○西原副主査
ええ,そうですね。例えばということを,これを読みながらちょっと考えておりましたので,申します。例えば,もし,仮定として,国語審議会国語分科会が,公文書の新しい基準というようなことについて課題として取り上げたとしますね。そうしますと,いろんな課題があると思うんですけれども,一つ世界的に見てちょっと考えられるのは,公文書の中に外来語規定を設けるかどうか,外来語制限規定を設けるかどうかというのは,政策課題になると思うんですね。それを規制している国はあるわけです。「外来語を使っちゃいけません」のようなことを規定して,公文書の書き方を規定している国…,公の文書ですね,そういうことはあるわけですね。例えばそのことについて,審議会が考えましょうということになったときには,直ちに今の書き言葉データベースは活用されるであろうと思うんですね。ただ,これはこれから立つかもしれない課題について,今やっている研究が役に立つだろうということですよね。
○林主査
そういうことですね。
○西原副主査
それは,既に活用されているということとは違う文脈になりますね。
○林主査
そうですね。
○西原副主査
と同時に,どういう国がそういう規制をしているのかというようなことについて調査研究する新たな研究がありますよね。それは,今,国語研究所がそのことを目指しているのではないわけで,データベースの活用は,そのことをにらんでいることはないわけでございますよね。というような関係があるような気がします。
それから,日本語教育の方は,例えば,今,評価のことを検討しておりますけれども,評価基準は立てるというような課題で,どう評価すべきかということを検討している日本語教育小委員会がありますけど,じゃあ,その基準を社会がどう活用するんでしょうねというシステムのことになりますと,これはまた新たな研究課題が立ってくるわけですね。それは,外国人に対する多文化共生社会のこととか,批評,評価に対する御研究が立っていて,それは役に立ちますけれども,ただ,それを国のシステムとして,どう活用するかというところは,今の国語研の研究とは関係のないところで検討が行われるというようなことがありますので,この「立案の観点から」という部分は除いておいた方がいいという意見でございます。
○林主査
分かりました。ちょっとそれはまた…。
何かありますか。どうぞ。
○舟橋国語課長
文言は,また西原副主査の御指摘を踏まえてよく考えたいと思いますが,例えば先ほど口頭で申し上げたんですけれども,西原副主査に御指導いただいてガイドブックを作成していただいた時には,金田委員の御研究の成果を実際に,参考として活用して作成していただきました。企画立案という言葉はこれから行うという意味だからよくないということでしょうか。
○西原副主査
そうでございますね。例えば,国語研の生活者のための研究というのは,実は私も直接関係していたのでよく覚えておりますけれども,国語分科会の方の小委員会とはちょっと独立して行われていて,私個人的にもその研究がとても直接役に立つと思いましたので,研究の御発表,国語研の研究者の方々は,成果を発表なさることに非常に慎重でいらっしゃるので,いつもそうで,きちんとしないとなかなか出さないんですが,これはもうすぐに出してほしいというような催促をした覚えがあるので,そのことは結局,国語分科会の小委員会の方の企画と,それから国語研究の方の企画が独立した二つのものとして走っていて,それが非常に役に立つものとして活用されたと,そういうことでございますね。
ガイドブックのときももちろん活用はされましたけれども,活用したのは国語研の研究成果だけではなく,他の機関が行った他の研究についても同様に活用しているというような,そういう活用の主体は日本語教育小委員会の方がやったという,そういう経緯がございますけれども,その時に新たに企画立案されたというのは2年よりも前の話になりますので,そこのところをどういうふうに考えていくかというのは,だから,年次を入れて書き直すということもあるし,それから将来のことというふうに考えるのであれば,ここのところは今は切り詰め,ただ,役に立ったということは確かに役に立ちましたので,そのことを外そうとは思っておりませんけれども,その読まれ方をどうコントロールするのかというようなことでございます。国語研究所がなさった研究が日本語教育小委員会で非常に役立つ研究であったということについては,それはこちらの方から役に立たせてほしいと言って役に立ったと,そういうことでございます。
○林主査
分かりました。ありがとうございました。そういう御指摘は,私は非常に重要だと思いますので,非常に今,緻密に…。はい,どうぞ。
○小松文化部長
すみません,確かにこの2年間の政策立案そのものには活用されていない,あるいは,この2年間の政策立案が余りなかったということかもしれないんですが,今後の政策立案には活用していきたいと思いますので,この後半の「また今後も活用されることが期待される」のところには係るような表現でよろしいですか。
○西原副主査
文言はそちらが専門家ですからお任せいたしますけれども,2年間の検証だということをきちんとする方がいいというのは,先ほど尾﨑委員から御指摘があったところですけれども,曖昧にしない方がいい。つまり,これこれこういうようなものが役に立ったとその前に書いてあるわけですよね。
○小松文化部長
はい。ただ,政策立案に資するものであってほしいという願いは同じですので…。
○西原副主査
じゃあ,「これまでの」と付けるとか,「従来の」というふうに付けるとか,そういうふうにしませんと,結局,共同利用研としては,政策立案を目指した研究はしないわけでございますよね。
つまり,社会のニーズを把握して,それについての研究はなさいます。それは,先行するというか,別途立案される政策課題と合致するということはありますけれども,例えば教育研究所というのが文部科学省にあって,それは政策立案というか,政策研究所という名前が付いておりますよね。国語研は,そういうものとは違う機関ということではないのでしょうか。
○小松文化部長
そうですね。ですから,こちらの方から委託という形でお願いをしたりするという…。
○西原副主査
課題を与えて研究をさせるという立場とはちょっと違うのではないかと思うんですね。
○小松文化部長
それはそうですね。
○西原副主査
それが,優れた共同利用研であるということを言うためには,こういう課題を目指して自主的にやっていますというようなことは言えないし,言わないしということではない。私は観点の揺らぎというか,将来のことなのかどうなのかというところがはっきりしないような形でこの文言が入っているということに危惧を抱くという,ただそれだけです。
○林主査
ということで,これを承ってちょっと文言は考えて,また次回それを見て,西原副主査から御意見を伺うというようなことでもいいだろうと思いますので,これはこれで,次に移らせていただきます。
○西原副主査
文言の提案にとどめさせていただきます。
○林主査
では,次に参ります。何かほかにございますか。ただ今の5ページぐらいまでで。
それでは,先へ進めたいと思います。5ページの下ですが,「国や大学等の国立国語研究所以外の研究機関等も含め,全体として国語に関する調査研究等の業務が適切に実際されているか」と。これも,前回の資料で,お認めいただいたことに基づきまして,内容をこのように整理し,それから,その検討結果につきましては7ページ,3行ほどに簡単にまとめさせていただいております。この点について御審議をお願いいたします。
よろしいでしょうか。(→ 挙手なし。)
それでは,先に進めさせていただきますが,7ページの下の段,「当該業務を担う機関等の連携体制の在り方について」ということで,「国語に関する調査研究等の業務を適切に実施するために,当該業務を担う国,国立国語研究所,関係研究機関等の連携体制の在り方は適切であるか」ということで,こちらの方は連携体制に絞った検証ですが,先ほどの御説明に基づいてざっと内容を御覧いただきまして,検討結果につきましては8ページの下のところに5行ほどにまとめてございます。これを御覧いただいて,御意見を頂戴したいと思います。
少し時間を取らせていただきますので,どうぞ御覧ください。
○西原副主査
時間があるということなので申しますが,この検討結果の全体が,1文になっているんですけれども,この1文の主語は文化庁なのでしょうか。
○舟橋国語課長
「認められる」は,小委員会として認められる。
○西原副主査
小委員会が…。そうすると,これは,実際には国語研究所だけの検証のことではございませんよね。
つまり,「機関等の連携体制の在り方について」で,「国,国立国語研究所,関係機関等の連携体制の在り方は適切であるか」ということに対する答えとしての結果…。
○林主査
おっしゃるとおりです。実は,この小委員会でお認めいただいた検討の観点からもそうなっていまして,これを見ると,要するに連携ですから,特定の機関についてだけはなかなか評価できないですから,その相手を含めて,「国語に関する調査研究等の業務を適切に実施するために,当該業務を担う国,国立国語研究所,関係研究機関等の連携体制の在り方は適切であるか」となっていますので,それで,こういうふうにしてございます。
○西原副主査
なるほど。分かりました。ただ飽くまでも,これは,国立国語研究所を含む連携ということで,むしろ何か国立国語研究所が主体となって連携している方を検証した方が本当はいいのかなと思いつつ,これはだから,連携体制そのものが国立国語研究所を含んで適切にあるかということへの答えということですかね。
○林主査
そういうことですね。西原副主査のお気持ちは分からなくはないのですが,ただ,そういう連携体制の責任は国立国語研究所だけにあるわけでないので,いろんなものを含んだこういう書き方になっているということです。
○西原副主査
はい。
○林主査
よろしゅうございますでしょうか。
それでは,最後のまとめですね。8ページの一番下にありまして,ページが変わってしまいますが,ローマ数字の?,このまとめ,○が五つございます。これは,総まとめですので,いろいろ慎重に御議論いただく必要のあるところだと思いますが,これについては何か御意見がございますでしょうか。
○尾﨑委員
一番上の○については,もう一つの作業部会の方で御意見をお伝えしてあるんですけれども,今の国語研,この2年間を見ているとやはり日本語研究が非常に前面に出ていて,日本語教育研究というところが外から見て非常に見えにくい形になっていて,それが組織上も,あるいは予算的な面も,もしかするともう少し検討していただいた方がいいのではないかという意見は申し上げています。
あちらの部会がどういう報告書をおまとめになるか分かりませんけれども,今,頂いている文章の1番上の○だけを読むと,「高く評価できる」,それはそのとおりで,やっていらっしゃったことは評価できるとしても,まだ検討していただきたいことがあるのだということは,この部会というよりも,報告書全体として入れていただけたらいいのかなと思っております。
○林主査
分かりました。ただ今の御意見は,次回の案までに研究させていただいて,最終案で更に御検討いただきたいというふうに思っております。
今度,国立国語研究所は,大学共同利用機関という形になりまして,基礎研究みたいなものを,従来に比べると非常に重視されてまいりましたので,それとどういうふうに関連付ける,位置付けるかというのは難しい問題ですね。それと,日本語教育いうのは,実は日本語教育という独立したものではなくて,基礎的な部分というのは,対照研究とか理論研究みたいなものに,研究の面から言いますと,広がっていますので,その辺りについては,ここですべてを議論するということは非常に難しい問題だろうというふうに思いますから,その辺りも踏まえて,尾﨑委員の御意見をどういうふうに盛り込めるか,次回までに研究してみます。
○尾﨑委員
一言言わせていただくと,日本語教育研究の基礎研究と言うと,当然,学習心理であるとか…。
○林主査
そういうものも入りますね。
○尾﨑委員
学習に関わる社会的なこととか,もろもろが入りますので,言語も,言語心理とか社会言語とかいろいろ広がりがありますけれども,その辺も含めて,両方バランスよく国語研でお仕事をしていただきたい。恐らくそれが法律の基本的な精神だろうというふうに私は理解しております。
○林主査
そのお考えをどういうふうに盛り込めるか,ちょっと研究してみます。
○尾﨑委員
よろしくお願いします。
○林主査
ほかにございますでしょうか。
余り後の時間が掛からなかったので,少し早目に終わりそうですが…。
○上野委員
先ほどの西原副主査の御意見なんですけど,私が正確に理解しているかどうか分からないんですが,この5ページですよね。こういう検討結果というのは,全部1文で書かなければならないという決まりはないですよね,恐らく。私,こういう分野の専門的なことは分からないんですけれども,例えば,「業務は継承して実施されていると認められる。」というので,まず1回切るというのはどうでしょうか。つまり,正に一番重要な,国語研の業務が継承されていて,それを認めるという形で一旦切って,そして,「その成果は」で例えば「,」を打って,「国語政策,日本語教育政策の企画立案の観点から,国において」,という形にするというのはどうでしょうか。「観点から」の後の「,」は要らないかもしれません。
この2ページのところで,問題点として「国の政策の企画立案の観点から」という文言が入っていますので,これは先ほどの西原副主査の御意見で,それを削るということだったんですが,むしろ先ほどのように二つに分けて,最初の方は,企画立案というのは国語研がやっているわけではない,主たる任務ではないという前提で,本来の業務は継承されているということで,それを認めるという形にする。そして,次の文の中で企画立案という形にし,それが「今後も活用されることが期待される」というふうに持っていくというのはどうかなと思ったのですが,いかがでしょうか。
一つにしているところから,両方に取れるようなことが出てくるんじゃないかなと…。
○林主査
ちょっと複雑になると,その意味がぼやけるというか,焦点がはっきりしない。
○上野委員
ええ,いろいろ出てくるんじゃないかなと思いました。それで,一つの案として。
○林主査
ちょっとそれを記録しておいて,次回の案に反映させて,それをまた,御確認,御議論いただくということにしたいと思います。
○東倉委員
共同利用研究機関の一員として,研究員に対する意識付けというのは,社会貢献という意味ではやっているんですけれど,国の政策というようなことは情報研では一言も言っていないわけですね。それで,組織的には,要するに研究部門というようなものは研究員の自由な発想によって研究をやるということをはっきり意識付けていまして,それに対して情報基盤を国の政策としてやる部分は事業部門というような格好で,ぴったり分けているわけですね。それで,自然に研究部門で出た成果を事業部門で皆さんに大学共同利用機関として使っていただくというようなことはあってもいいかなということで,それは,エンカレッジ(=奨励)しているんですけど,そういう実情なわけです。
資料1の8ページのところで,いわゆる共同研究というものが非常にクローズアップされて,500人を超えたということなんですけど,これは大学共同利用機関としての使命なんですよね。ですから,もう一つの委員会で,このところは非常に強調されるべきことだろうということで,今の国語研の状況は詳しくは分かっていないですけれど,政策研究に関わる共同研究というようなものと,研究系の自由な発想による共同研究というようなものがどのような比率であるかというようなことは少々気になるなということで,連携体制というからには組織的に契約を結んで,組織と組織としてやっているというようなことがあってこそ,連携体制と言えるのかなという気がします。
○林主査
これは大事な問題だということは認識しつつ,今回のこの議論とは一応区別させていただきたいなというのが私の考え方でございます。特に同じ大学共同利用機関としての東倉委員の御意見は,本当に非常に大事な御意見だというふうに思っております。
ほかに何かございませんでしょうか。
○砂川専門委員
非常に()末なことで申し訳ないんですが,6ページ目の下から2行目のところは「外国人の日本語習得」の間違いじゃないかと。
○林主査
「取得」となっていますね。これは誤植ですね。ありがとうございました。
それでは,次回のこの小委員会ですけれども,引き続きこの小委員会としての報告書の取りまとめに向けた議論をお願いしたいというふうに思っております。本日のいろいろな御指摘,御意見を受けまして,報告書の案を事務局で修正していただき,修正されたその報告書案について,次回は御議論を頂きたいというふうに思っております。
それでは,本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
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