第6回国語分科会日本語教育小委員会・議事録
平成20年1月21日(月)
10:00〜12:00
旧文部省庁舎2階第1会議室
〔出席者〕
- (委員)
- 西原主査,杉戸副主査,岩見,尾﨑,佐藤,中野,山田各委員(計7名)
- (文部科学省・文化庁)
- 町田国語課長,氏原主任国語調査官,西村日本語教育専門官,中野日本語教育専門職ほか関係官
〔配布資料〕
- 第5回国語分科会日本語教育小委員会・議事録(案)
- 今期の審議のまとめ(案)〜日本語教育における今後検討すべき課題について〜
〔参考資料〕
- 日本語教育の現状と課題
〔経過概要〕
- 事務局から配布資料の確認があった。
- 前回の議事録(案)が確認された。
- 事務局から配布資料2についての説明と朗読があり,その後,資料2の内容に関し,質疑応答と意見交換を行った。
- 第37回の国語分科会総会は,予定どおり1月28日(月)の10:00〜12:00に開催されること,また場所は,文部科学省3F1特別会議室で行われることが確認された。
- 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
○西原主査
今日の会議で案を取りまとめ,来週の(月)の分科会総会に報告することになります。
2月1日(金)に文化審議会の総会がございますけれども,国語分科会からの報告の一つとして,このまとめを報告するということになります。
これが昨年7月からの委員の皆様方による御審議のまとめということになるわけです。
来期以降は,今後の検討課題が主たる審議の対象になりますけれども,今日は全体を見て御意見を頂きたいと思います。
できれば後半のところに多く時間を使い,前半のところはこういうまとめ方でよいかということで御検討いただければと思います。まず,?と?,それから最後の?というとこ
ろ,その二つに分けて検討したいと思います。
山田委員は,御意見を頂いたということだけ聞いておりますけれど,何か?と?について更におっしゃることがございますか。
○山田委員
いや,細かいことというか,今,見せていただいた文言とか,そういうのでちょっと疑問を持ったところはあるんですけど,大筋で意見を申し述べるようなことはありません。
○西原主査
ほかの方はいかがでいらっしゃいましょうか。
○佐藤委員
私はセンター試験で2日間拘束されて,内職をしようと思ったんですが,とてもできる状況じゃありませんで…。すみません。
ただ,最初の,全体を通して「はじめに」のところがちょっと目に付くところなんですが,趣旨はこれで結構だと思います。用語が,外国人に対して人材,外国人労働者,定住
外国人,外国人,来日した外国人,最後の方に行きますと,外国人を修飾する言葉が非常に多様になっていて,「はじめに」がちょっと目立つんですけども,あえて違いを強調す
るのであればよろしいと思いますが,必要のないところは何か統一をした方が読みやすいかなというのが,まず最初の「はじめに」のところです。
在住外国人,外国人,定住外国人といろいろな使い方をされているんですけども,「はじめに」のところは分からなくはないんですが,在住化しているのは普通の外国人で,定
住すると定住外国人という形になるんでしょうけども…。修飾語を使うのであれば,きちっと修飾語が分かるような形でお使いになったらいいんじゃないかということ,それだけです。
○西原主査
2ページの下に,1,2,3という在住資格についての注がございますね。「特別永住者」「一般永住者」「定住者」ということがあって,そうすると,ここで定住外国人と言 っているのは,その在留資格の1,2,3を全部含むということになるんでしょうか。
○佐藤委員
統一が難しいのであれば,逆に言うと,定義を明確に持っていれば問題ないんじゃない かと。逆に質問されたときに,こういう意味ですということがですね。
○西原主査
そうすると,更に注が付いていくということになりますか。在住というのは住んでい るという意味ですよね。
○佐藤委員
それで,定住というのは…。
○西原主査
というのはもうちょっと長くいるという意味で,その定住はこの注の1,2,3と…。
○佐藤委員
というふうに対応しているんだと理解していいのか。
○西原主査
そう理解してくださるような注を付けるということでしょうか。
○佐藤委員
と思いますけれども…。あと,その中で「一般永住者」「定住者」とかぎ括弧が付いて
いるんですけれども,これは用語としては全く間違いないと思います。そのかぎ括弧付き
じゃない,一般名詞として使っているところの用語はどう使い分けをしたらいいのか。
全体を通して,最後の方にも何かありましたね。「地域に暮らす外国人」とか,何かい
ろんなこういう修飾語として…。
○中野委員
それに関連して,私もちょっと用語が気になったんです。特にこの小委員会と言います か,今回の審議が対象とする,最もフォーカスしている人たちがどういう方たちなのかと いうのが一方で分かった方がいいかなという気がしたんです。すべての外国人に対応する というわけでもないと思うんです。だから,ある種の外国人を想定していると思うので, それこそ年少者や家族や労働者とかそういう意味もありますし,在住,定住という…。
○西原主査
私たちの共通の認識として,当てはまらない外国人というのはいるのでしょうか,この 対象の中に。
○中野委員
ないと思うんですけど,何かフォーカスしているところがありますよね。逆に言えば, 日本語教育のどの部分という,年少者日本語教育がフォーカスではないとかありますね。 ですので,ある種暗黙のうちに想定している日本語教育があるような気がするんですね。 例えば,大学の留学生の日本語教育をやるわけでもないですし,ある種想定しているもの がある。多分,それが生活者としての外国人とか…。
○西原主査
そうですね,社会参加というキーワードが一つありますよね。
○中野委員
社会参加とか,一般の人が読んだ場合ですけど,何に今回一番重点を置いて考えている のかというのが明確だといいと思います。
○西原主査
それは,多分,「今後検討すべき課題」というところで鮮明にしていった方がよろしい ということですよね。前提条件の中で,?と?は今こうなっていますということになって いるわけです。そこのところで,佐藤委員からはどういう人がこうなっているのかという, 人のところが少し分かりにくくなっているということですよね。中野委員は,この内容に 関してもうちょっとフォーカスをはっきりさせた方がいいという御指摘でした。
○中野委員
最終的に多分フォーカスされるんで,それを念頭に置いた用語というのを考えるという 方法もあるのかなとちょっと思ったんです。
○西原主査
なるほど,外国人というときにですか。
○中野委員
はい。
○西原主査
ここで外国人という言い方は実は問題があって,正確に言えばですね。配偶者が日本人 でいる人たちの子供,国際結婚の子供たちは日本人なので,外国人じゃないんですよね。 そうすると,外国人といった場合には,正確に言えば,配偶者たちまではそうだけれど, その子供たちというのは外国人ではないのでフォーカスに入りませんと,へ理屈をこねれ ばそういうことになるんですけれど。
○佐藤委員
もしも対案とするのであれば,例えば最初の「在住外国人」を「在住する外国人」とか ですね。外国人というのを基本にして,それを修飾していけばいいと思うんです。「定住 外国人」は「定住する外国人」であるとかね。そうすると,定住,一般永住者,定住者と いう一般的な用語は当然法律用語があるわけで,そうすると,外国人というものは基本的 な用語を統一して,それを修飾していけばいい。何か基本的な単独の言葉として使ってし まうとちょっと違和感が,定住外国人,在住外国人とかですね。
○西原主査
3種類の人がいるようになっちゃうわけですね。
そうしますと,例えば2ページの?,1の下から3行目の,「在住外国人の構成が」と
いうときに「在住する」と言えば,そこは専門用語でないという…。
○佐藤委員
非常にやわらかい感じになりますし,ですから,基本は外国人にして,それを修飾する 言葉を使っていくと文脈から判断できるようになります。
○西原主査
専門用語,あるいは入管用語でない場合には「在住する」「定住する」と…。
○佐藤委員
というような言葉の方が分かりやすいのかなという印象を持ちました。
○西原主査
皆様,いかがでしょうか。
○山田委員
いいと思います。今回文言もやった方がいいんですか。
○西原主査
そうですね。と申しますのは…。
○山田委員
ここでもう終わりになっちゃうわけですよね。
○西原主査
今日が最終で,そして今後頂くことにつきましては,後でまた議事録と同じように主査 預かり,副主査に相談しつつということにさせていただきます。あと一週間しかありませ んので,決めさせていただくことになりますから,用語ももし気になるところがあれば, 是非今日おっしゃっていただいて,合意を得た上で変えていくということが必要かと思う んですが。
○山田委員
それじゃあ今の外国人については佐藤委員のおっしゃるように,そういうふうにした方 がいいと思います。ただ,外国人の定義というのも難しいんで,そこは,いわゆるという ぐらいな形でここでは考えているというふうにしたらいいと思います。あと,ちょっとこ の中で気になっているのが,?の2の「社会参加と日本語」という3ページの始まりから 7行目の段落が変わって,「しかし」という接続詞があるんですけれども,これはちょっ と重過ぎるように思います。「そこで」とか,何か逆説じゃない形を採った方が,いいの ではないでしょうか。こういう前提があるから,したがってその後のようなことが,後の ような配慮も含めてこういうことが必要だというふうに,その前の文は前提だというふう にした方がいいんじゃないかと思うんです。
○西原主査
接続詞の「しかし」を取っても,実は「しつつも」って続くので大丈夫なんです。
○山田委員
では取るか。何かこの「しかし」がすごく目立つような感じがするんです。
○西原主査
分かりました。じゃあ削除でよろしいですか。
○山田委員
それと,物すごくつまらないことなんですけども,?の1の第2段落「国籍」から始ま るところがあって,その3行目ですけども,「73.9%」の次に「。」が付いているん ですけども,こういう文だと「,」になると思うんですけど,どうでしょうか。
○佐藤委員
これは体言止めはおかしいんで,この数字で終わるのはおかしい,私もそう思います。
ここは,「73.9%を占めている。」にするか,「,」にするかどちらかの方がいいと
思います。多分「,」の間違いだろうと思いますけど。
山田委員のお話に続いて,3ページの2の「社会参加と日本語」のところなんですが,
第2段落と第3段落の文章がちょっと長過ぎるような気がするんですね。例えば,「社会
の多様な層へ広がりつつある」と,ここで切る。あるいは,「我が国では」と,主語を先
に出してはどうでしょうか。上で世界の話をして,次に日本の話になって,そして,その
日本の長い歴史の中でうんぬんというふうにした方が読む方は楽かなと。
その下の「しかし」の方も4行が一文になってるんですが,「手段にもなっている。」
で「この現実を踏まえ」という文言にした方が,「しかし」の「我が国においては…」と
いうのは,これ,必要かどうかということはありますけども,要するに文章が4行,4行
にわたっていると長くて読みにくいですね。
○西原主査
切れますよね。事務局,よろしいでしょうか,それは。皆様方もよろしいでしょうか。 文章は短く,短くと学生には指導しておきながら,我々のは著しく長いというのはまずい ので…。
○尾﨑委員
先ほどのところにちょっと戻っていただいて,1ページ目の4行目です。「また,在住 外国人」,ここは「在住する外国人」というふうに「する」を加えると,前に何かないと おさまりが悪くなるように思うので,適宜言葉を…。
○西原主査
「また,在住する外国人は」,そこにも「,」が入りますよね。
○尾﨑委員
というよりも,「また,在住する」の「在住」が「日本に在住する」とか何かがないと
収まりが悪いところが出てくるでしょうから,そこは,ちょっとチェックしていただくと
いいかなと。
それから,あと「定住する外国人」というのは,一体どういう外国人かというのも説明
できるようになっていないと,せっかく用語を整理したのですから,上の国語分科会で,
在住する外国人と定住する外国人の違いはという問いに答えられるようにしておくと良い
と思います。
○西原主査
そうですね,下から3行目の「定住する外国人」という,そのところですよね。それは ちょっとあいまいな言い方ですね。また,「長期滞在する」とか,そういうふうに言って しまった方がいいのかもしれない。
○尾﨑委員
私の理解では,「在住する外国人」というのは,一応外国人登録をしている人ぐらいの とらえ方で,「定住外国人」というと,ビザのステータスで言えば永住,定住をひっくる めていると。
○西原主査
(1),(2),(3)になる。
○尾﨑委員
はい。
○西原主査
これは,いかがでございましょう。この外国人労働者問題関係省庁連絡会議がこの用語 を使ったんでしょうか。
○岩見委員
私がちょっとそこに加えたんですけど,この労働者関係問題省庁連絡会議の中のまとめ で,「定住外国人に対するイノベートの充実」という言葉を使って報告書の中に出ている んですね。その中でどういう定義をしていたかちょっと不明ですけれども,「定住外国 人」という言葉を使っています。
○西原主査
使っているわけですね。だから,それがそのまま引用されてここにある。ただ,それは
直接引用している場合はそうですけれども,そこで言っている定住外国人というのは長期
滞在するという意味なのであれば,もう言い換えてしまって,長期滞在すると言った方が
一般の人の理解にはいいということですよね。
では,そこを「長期滞在する外国人」に変えていただくということで。じゃあ長期って
いつから長期でしょうか。3年以上5年以下…。ビザのステータスは3年ごとにとにかく
書き換わりますよね。どんな方であっても,一気に長く滞在するということができないわ
けですから。長期というふうにいう場合には更新をした人というような意味でしょうね,
テクニカルに言えば。
○岩見委員
滞在許可期間は,1年から3年まで在留資格によっていろいろ…。
○西原主査
最長3年ですよね。例えば,大学には外国籍教員もいるようになったけれど,雇用する 側は,定年までどうぞと言ってるわけだけれど,実際に住んでる人は3年ごとに更新しな ければ,多分その職を続けることはできないという,そういうことにはなっているようで すね。ですから,3年というのは本当に重い年限だとは思いますけれど…。長期とか永住, 定住傾向というのは,それを超えてとにかく何回か更新を繰り返す人がいるということで すよね,実際には…。
○岩見委員
もう一つ気になりますのは,外国人労働者の数なんですけども,我が国で就労する外国 人という数で,専門家は今90万人とか,経済産業省や,厚生労働省の推計に基づいても 90万人と言われています。もちろん,その中には不法の就労者も含めて,アルバイトも 含めてですけど,どの範囲で取るかということによって数は違ってきます。
○西原主査
どういう統計を使うかということですね。
○岩見委員
ここに出ている数は,多分,厚生労働省で発表している外国人の雇用状況報告で、調査 に回答があった企業から割り出した数だと思うんですね,厚生労働省の雇用状況報告とい うのは,調査対象の半分ぐらいの回答の中で,そういう数なので,全貌はつかんではいな いと思いますね。
○西原主査
ただ,これは,厚生労働省・外国人雇用状況報告というふうにしているのですが…。
○岩見委員
それはそれで正しいと思うんですけどね。
○西原主査
お知恵がありますか。推定というのをここに載せていいのかどうなのか。
○佐藤委員
国の報告として,やはり国のセンサスを使った方がよろしい。つまり,非正規滞在者を 含めると,そういう数だというのは,ある意味では常識的なことになっているかもしれ ませんけれども。
○尾﨑委員
ここに出てくる39万人のこの状況報告はいつの時点ですか。最新情報ですか。
○日本語教育専門職
18年の6月1日です。
○西原主査
2年前ですね。
○尾﨑委員
『エコノミスト』という雑誌で90万を超えている数字が出ていて,その数字も出所は 書いてあったような記憶があるんですけれども。だから,同じお役所でも取り方によって 違う数字が出ていますから,一番大きな数字になるようにお調べいただいて,根拠はなけ ればいけないので…。39万は印象としては少ないですね。実態を反映してないなと。
○佐藤委員
根拠は明確に,つまり非正規滞在者も含めて90万というのは,多分そういう数はよく 見ますけれども,統計の取り方の問題はお任せして,そこは根拠に信頼性があればいい。 信頼性がなければある程度…。
○西原主査
例えば,一週間の間に信頼性のある根拠,90万というのが見つからなければこのまま にさせていただく可能性があります。どういう数字をどう取るかというのは,本当にいろ いろなので…。月によっても違ってきたりしますね。私も厚生労働省の人口動態って面白 くて時々のぞくんですけども,何を根拠に何を言ったらいいのかというのは本当に難しい ですね。それを,事務局にお任せするということでよろしいでしょうか。
○中野委員
あと一つ,見出しについてなんですけれど,?の2ですが,「社会参加と日本語」とあ りますよね。見出しをすっと見たときに分かりやすくするという意味で「在住する外国人 の社会参加と日本語」の方が1番とつながっていいのかなと,ちょっと思ったんですが。
○西原主査
そうすると,1が「国内に在住する外国人の現状について」,そして,2が「在住する 外国人の社会参加と日本語」。
○中野委員
あと,「はじめに」の最初の行なんですが,「世界的規模で外国人人材の活用が盛んに なっている」という,冒頭これが問題意識の,外国人人材の活用というのが,これ以降の 文章に大きな影響を与えると思うんですけど,先ほどの議論で,外国人といっても全体を 指して取り組むとすると,何か外国人人材の活用というのがこの論拠になるというのは, ちょっと最初からくくり過ぎかなというような気がします。何か人の移動を促しているの は,やっぱり仕事の場なり生活の場,教育の場がグローバル化しているという,何かもう ちょっと人材の活用に集約しない方がいいのではないかなと。要するに,人々がいろんな 場をグローバルに考え出しているわけですよね,仕事にしろ,生活にしろ。生まれ育った ところだけに限定しないで。もうちょっと大ざっぱな言い方の方がいいのかなとちょっと 思ったんですが。
○西原主査
例えば,どうしたらよろしいでしょうか。
○中野委員
「世界的な規模で仕事,生活,教育の場がグローバル化している」,移動も容易になっ ているけれども,例えば,企業の多国籍化というか,企業もグローバルになっているし, 国家間の相互依存関係というか,そういうものも緊密になってどうしても動かざるを得な い状況が生まれたりしているので,国際社会のグローバル化みたいなものが何かちょっと 先にあった方がいいのかなと思ったんですね。
○西原主査
そうすると,「国境を越えた人の移動が容易になり」の前に,もう少し大きなところが もう一つあったらよろしい。
○中野委員
人が移動する根拠がですね。人材の活用だけじゃないような書き方がどうかなと思った んですが。
○杉戸副主査
私も「活用」というのはやっぱり気になったのです。それで,今の中野委員の御発言で すと,その,人の話で「はじめに」は,この案ができているわけですが,その人を取り囲 む社会がグローバル化しているというところから説き起こしてく,そういう案だと思うん ですよね。それも一つの案だと思いますが,もういきなり人の話で,「人の移動が容易と なり」で書き起こして,このままをできるだけ社会に広げないで行くとすれば,「世界的 な規模で外国人人材の存在が顕著になり」とか,せめて「活用」というのは避けて,「活 動」とか「活躍」とか,そういうところで収めておくと。社会を単位にしてグローバル化 した,社会の在り方が変わってきたというのは,後でちょっと出てきますけれども,それ を書き始めにするとまた長くなるという気がしまして,一言だけでいいんじゃないかと。
○西原主査
そうしますと,「国境を越えた人の移動が活発となり」ですかね。「容易となり」でい いんですかね,これは。そして,世界的な規模で…。外国人とここは必ずしも言わなくて もいいのかもしれないですね。
○中野委員
外国人を人材として見るというんでよろしいんでしょうかね。
○西原主査
これは,人的資源ということですね。「世界的な規模で人的資源が活用されるようにな っている」ということでもそんなに遠くはないかもしれないですけれど,その中には我々 も含まれることになりますね。
○国語課長
そうですね,世界的な規模なんで,日本人が外国で活用されているというケースも,今 主査がおっしゃったようにあると思いますんで,確かに外国人というのは取ってもいいか なというふうに思いました。
○西原主査
そうですね。「世界的な規模で人材が活用されるようになっている」でもよろしいです
か。「我が国においても」ということだと,別に外国人と言わなくてもここはよろしいの
かもしれないです。
ちょっと文言については検討させていただいて,ここは「外国人」を取ってしまうよう
な形で包括的にするということでよろしいでしょうか。
そうすると,この外国人労働者というのはこのままで行くと,何かそこに修飾が必要で
すかね。何ていう言い方があるんですか。正規労働者という言い方はありますか。
○岩見委員
我が国に就労する労働者,同じことですね。正規も非正規も含めてなんでしょうけど。
○西原主査
そうすると,「(厚生労働省・外国人雇用状況)」というのを括弧じゃなくてここから 始めちゃう。「18年6月1日現在の厚生労働省・外国人雇用状況報告によると,就業す る外国人は直接雇用,間接雇用を合わせて39万人を超えるという」とか,「とされてい る」とか。その統計に限定してしまう。読む人はたった39万人かと思いますかね。
○岩見委員
日本語教育は現状として地域に,オーバーステイであっても住んでいる人は全部対象で あり,留学生の人も教室に来る人もいますと。そういうことを考えると,もう少し範囲を 広げてよろしいのではないかなと思いますが,39万人ではなくて。
○西原主査
39万人じゃなくて。
「外国人を地域社会の一員としてとらえ」というところが,そこに行きたいわけです。
そこにつなげていきたい,この頭は。
○佐藤委員
あえて法務省の外国人登録者数を使わずにここに外国人労働者数を使うという積極的な 意味合いがあるようにも思うんですけれども…。つまり,日本語教育の世界で,第2パラ グラフにも書いてありますけれども,大きく今までの文化庁の施策の方に書いてありまし たけれども,留学生とか,いわゆる特別の人たちとかに対するものではなくて,飽くまで も労働者というところに焦点を当てて,その人たちがやはり生活をしているわけだから, 生活という側面に対して私たちはどういうふうに考えていくんだというスタンスが,多分 これで表されているんじゃないかな。だから,あえて厚生労働省のこれを持ってきている のかなというふうに私は理解しているんですが…。
○西原主査
そういうことですよね。
○佐藤委員
ですから,これは逆に言うと,非常によく分かるんで,その数字をどう取るかは別ですけれども,分かりやすいというふうに思いますけれども。
○尾﨑委員
私の理解で申し上げますが,ここにいろいろな省庁がこの問題にかかわって報告を出しているという,大きな国の動きの中で,この委員会が仕事をしているということを最初に
印象付けようということだろうと理解しているので,あえて「外国人労働者」という言葉も入れた方がねらいははっきりすると思います。
用語自体について,いろいろ意見があるでしょうけれども,外国人労働者問題関係省庁連絡会議ともう仰々しく名前が入っていますから,もうこれに乗っかった上で,中身のと
ころで勝負すればいいから,言葉はそれに乗っかった方がいい,そんなふうに思います。
それから,頭のところの文言,すぐに思い浮かびませんけど,例えば,こんなのはどうですかね。「近年,国際社会のグローバル化に伴い,国境を越えた人の移動が活発化して
いる。我が国においても外国人が増えていて,例えば」というニュアンスで厚生労働省の数字が出てくるというような流れだと,人材とか活用とかというのは一応吹っ飛ばせるの
でいいかなと,そんな感じですけど。
○西原主査
よろしいでしょうか,事務局。もう一度言っていただけますか,尾﨑委員。
○尾﨑委員
もう駄目です。また違うことを言いますから,後はお任せします。
○西原主査
録音していますでしょうか,大丈夫ですよね。
○国語課長
今,例えばアジア・ゲートウェイ構想にしろ,長期戦略指針「イノベーション25」にしろ,人材の活用ということはすごく言われているんで,どこかでそういう言葉を入れて おきたいなというのは事務局としてはあるんですが,人の移動も含めて,グローバル化したから別に人が移動するんじゃなくて,関係で言えば,むしろ逆なんじゃないかと。人の 移動とか経済活動のボーダーレス化とか,そういうことを含めてやっぱりグローバル化ということなのかなという気がするんです。必ずしもグローバル化が原因で人の移動が活発 になるということではないんじゃないかなという気もするんですが。
○尾﨑委員
多分,人,モノ,情報というのはほっといてもどんどん行って,その後,やっぱり人がそれに伴ってくっ付いてくるんですよね。人が多分最後に行くんでしょうかね。今,課長 がおっしゃっているのは因果関係でしょうかね。グローバル化するということが即,人の移動も含めてグローバル化というふうに呼ぶということですよね。そういうことですね。
○国語課長
はい。
○尾﨑委員
そこら辺も考えて文言を起こしていただければよろしいかと思います。うまく言えませんので,よろしくお願いいたします。
○西原主査
じゃあ,この3行はお願いするとして,統計の使い方も含めて,一週間で知恵の浮かぶ範囲でいたします。もしかしたらこのままの統計をこのままで使わせていただくかもしれま せん。ただ39万人というのはいかにも少なかろうという印象が委員の共有するところであったということでよろしいでしょうか。
○杉戸副主査
別件ですが,?と?は次に審議する?の課題を導き出すことを書くべきだと,そういう位置付けだと思うんですね。
○西原主査
そうです。
○杉戸副主査
そこで,細かな用語,特に各文の文末と言いましょうか,それが気になるんです。例えば具体的には,3ページの?の2の「在住外国人の」が補足されましたけど,「社会参加
と日本語」の項の第2パラグラフと第3パラグラフの文末ですね。「課題となっている」あるいは「考える必要がある」という,そういう終わり方なんですね。この第1節や第2
節で課題があるとか,必要性があるとかと言うと,第3節で,それを解決することを書かなきゃいけないと思うんです。対応を取らなきゃいけないと思うんですね。それの対応を
取るべきは,今の案だと4ページの中ほどにある,「その成果として」うんぬん。そこで「課題として残されている」とか,「新たな課題が発生している」と,そこに書かれてあ
る課題の方は第3節に引き継いで,それについて内容の改善とか,御意見とかが必要だという,そういうふうにつなげると思うんですが,最初に言った3ページの2の方の課題と
なっている「多様性を尊重する社会を作ることが課題となっている」とか,「相互理解,社会統合のための共通語としての日本語の教育を考える必要がある」というのは,ちょっ
と言い終わり方として気を付けた方がいいと思いまして。それで,つまり,ここの第1節では基本的にそうなんだと。基本的にこう必要なんだ,そういう理念があるべきだという
ような,そういうことを指摘すればいいのであって,今後,解決すべき課題として提示するという姿勢を表さない言葉を選ぶべきだということで,例えば第2パラグラフの最後,
尊重する社会を作ることが今は課題となっているとなっていますが,「必要である」とか「求められる」とか,もう既にそれは社会認識としてそうなんだという認識を示せばいい
という,そういうことが表れるような表現にすべきだと。
それで,今の2節の最後,「共通語としての日本語教育を考える必要がある」というのもやっぱり考える必要より,もっと基本的な認識としてそれが必要だということを言って
おけばいい。「日本語の教育が必要である」でいいんじゃないかと。そういうことが言いたいんです。これは微妙なことかもしれませんが,大きな構造として,第1節で指摘する
ことは共通の認識として,あるいは事実のデータとしてこうなっているということを書いて,その前提で第3節の課題を示す,議論をすべきだと,そういう構造をよりくっきりと
させるということを思いました。長くなりましたけど。
という目で見ると,第3節に引き取られていく課題というのは,先ほど,途中で言った4ページの下半分です。「その成果として,地域における日本語教育の中でいろいろ努力
されたけれども,引き続き課題として残されている」とかですね。
それから下から6行目ですね。「新たな課題が発生している」と,こういうところが,ここはこの課題として残されている「課題が発生している」というのもちょっと工夫した
方がいいと思うんですが,「指摘されている」とかに変えた方がいいのではないでしょうか。それらが,今日の審議の次の話題になると思いますが,ここに書いてある「新たな課
題」とか「残された課題」が,第3節できちんとフォローされているかを押さえる,そういう視点が必要だと思います。行く行くはこういう絵に描かないといけなくなるんだろう
と思うんです。第1節,第2節で書いた問題,課題が第3節の方でどう対応しているか。
矢印でも引かれるんじゃないでしょうか,という図が描けるような構図を意識してということなんですけど,それをこの週末にやらなきゃいけないなと思いながら,すみません,
松山なぞ行っていまして…。
○西原主査
分かりました。この参考資料の1というところにある,日本語教育の現状と課題という
ところの,この表のもっと上にあるものが必要なわけですよね。今,杉戸副主査がおっし
ゃった「2.在住する外国人の社会参加と日本語」というところの第2パラグラフの「課
題となっている」というのが後ろの,どこにつながっていくかということをはっきりしな
いままに課題となっているという,そういうことですね。
私の認識では,これは体制の整備の「(1)日本語教育の政策的位置づけ」というとこ
ろにつながっていくべき課題なのだというふうに認識していたのです。つまり,国として
どうするかということを言わないといけないでしょうという,体制の整備の課題1とこの第
2パラグラフというのはつながっているという解釈では良くないのでしょうか。
○杉戸副主査
ということだと思うんですね。そうすると,6ページの第3節の(1)ですよね。そこ につながっていくような勢い,ちょっと抽象的で恐縮ですが,その勢いをここの3ページ のところで表現しておく。それが「課題となっている」でいいかどうかということです。
○西原主査
そうですよね。本当に思うんですけれども,移民の国というか,オーストラリアとかカナダはそのことを国是としますよね。つまり,どういう社会が明日のカナダ,明日のオース トラリアなのかということを考えるときに,いろいろな人がいて国が豊かになるということをかなり鮮明に出すと思うんですね。日本はまだそこまで行っていないので,そういう面 では(1)のところの「政策的位置づけ」というところに,人口が減っていくから足しましょうということではなく,もうちょっと積極的な高らかな宣言が,国としてなされるべきだ というふうに思うのですけれども。
○尾﨑委員
よろしいでしょうか。それと,3ページのところで杉戸副主査のおっしゃっているのは,「社会を作ることが課題となっている」ではなくて,「作るべきである」というふうに書 くというようなニュアンスでの…。
○杉戸副主査
そういうことですね。もっとそういうところで議論を始めているんだと。
○尾﨑委員
だから,これはもう当然のことなのでという,そういう意味ですよね。
○西原主査
「ことは必要である」とする。それはよろしゅうございますか。
それから,その次の第3パラグラフの「必要がある」というのは,むしろ…。
○杉戸副主査
「を考える」を取るという案なんです。
○西原主査
「日本語の教育が必要である」と。
○尾﨑委員
「べきである」は強過ぎますか。
○西原主査
「尊重する社会を作るべきである」。
○尾﨑委員
二つのパラグラフがあって,それぞれ次のところを考えていますから,最初のところは 「べき」であって,「べき」に従えば必要だというような止め方は強過ぎるかどうか…。
○杉戸副主査
おっしゃるように,次の3の二つの文なんですが,その二つとも「必要である」,「必 要がある」で繰り返すんですね,「必要」,「必要」と。今のままでいくと四つ「必要」 が並んでしまう。
○西原主査
そうすると,下の方は「社会参加に最低限必要な日本語能力を習得するための学習環境 の整備と学習機会が提供されなければならない」とか,そういうことでよろしいですか。 課長,これは大丈夫でしょうかね。
○国語課長
この文章として「べきである」というのが使えるのかどうかというのは,ちょっとほか のものなども見て…。
○西原主査
私も,杉戸副主査も,過去の経験で,何かこういうふうに高らかに宣言すると,ほかの 部署を回っている間に丸くなって返ってくるんですね。
○国語課長
趣旨は理解しましたけど,ちょっと表現については検討させてください。
○西原主査
「求められる」くらいになって返ってくる可能性がありますから,そうなってもよろし いでしょうかね,結果として。「作ることが求められている」とか,そういう。
○杉戸副主査
後二つ別々に申します。この1ページの上の表題の副題に当たるんでしょうか。これが 何か言葉として落ち着かないんですね。「日本語教育の領域における課題」なら分かるん ですけど,「日本語教育における課題」というのはおかしいと思うんです。
○西原主査
どうしたらよろしいでしょうか。
○杉戸副主査
「日本語教育について今後検討すべき課題」。最後の「について」をやめて,「日本語 教育について」,あるいは「日本語教育に関して今後検討すべき課題」で言い終わるとい うのはどうかと思っていました。
○西原主査
この「日本語教育」という言葉も実は問題用語ではありますよね。いかがでしょうか, 「日本語教育に関して」,あるいは「について今後検討すべき課題」。
○杉戸副主査
あるいは,「今後検討すべき」を前に出して,「今後検討すべき日本語教育の課題」と いうのも考えたんですが,どうでしょうか。
○西原主査
いかがでございましょうか。それでよろしいですか。御異論がなければ…。
○尾﨑委員
難しいですね。「日本語教育」が最初に出た方がいいと直感的には思うんですけど。
○西原主査
サブタイトルは,「日本語教育に関して今後検討すべき課題」でよろしいですか。
○杉戸副主査
「における」でつないで違和感がないんであれば,このままで異存はないんですが。
○佐藤委員
「日本語教育に関して今後検討すべき課題と制度の議論において…」。
○西原主査
でも,そうするとすごく限定的になる。いいですか,それで。
○尾﨑委員
何か狭過ぎる。
○西原主査
じゃあどうしたら。もう一つの案は「今後検討すべき日本語教育に関する課題」という ような,そういう言い方も。
○山田委員
「日本語教育」を前に出した方がここでの焦点化ということから言うといいということ ですよね。
○西原主査
すみません。後50分しかないので?の方に戻ってよろしいでしょうか。?のところに
この委員会として今後内外にアピールしていく直近の課題というものが集約されているだ
ろうかということです。前のところを受けて,杉戸副主査から4ページの下の方のところ
が直接にはここに反映されていくだろうということで,反映されたとします。そして,今
後検討すべき課題が1,2,そして,(1),(2)というふうに続いていきます。1,
2は両方とも二つの括弧を持っているという構造になっております。
すごく格調の高い文章になったと思うんですね,委員の皆様の御努力で…。これをもう
少しブレイクダウンする部分も付け加えるか,というのが今日の課題ではないかと思うの
ですけれど,いかがでございましょうか。
抽象的だという御感想をお持ちの先生方も多いのではないかと思うけれども,ここの
抽象度を少し上げておいて,来年度に内容についての詳細はもっと具体化するというこ
となんですけれども,その抽象度の上がったところで,これ以上言わなくていいかという,
そういうことではないかと思うんですが…。
○杉戸副主査
5ページの?の書き起こしですね。?全体の前文に当たるんでしょうか,それの3行目 です。「いまだ解決されない課題や,新しい課題への具体的な対応策の検討が必要となっ ている」,この第3節というのは何を主張するかというと,対応が必要だということを主 張すべきところだと思うんですね。「対応策の検討が必要」だということを言うのは…。
○西原主査
分かりました。そうすると,「新しい課題への具体的な対応が必要となっている」。
○杉戸副主査
それが言いたかったんです。いかがでしょうか。先ほど主査がおっしゃったように,次 期に対応の検討が審議の話題になっていくという,それにつながる。もう二つありますね。 6ページの一番上の(1)の「政策的位置づけ」の第1文ですね。つまり,1行目,2行 目の「明確にし」,そして更に「明確にする」という,そういうところなんですけど,そ こをもうちょっとはっきりさせたら…。
○西原主査
どうしたらよろしいでしょう,それは。
○杉戸副主査
やっぱり「必要がある」となってしまうんですけど。
○西原主査
ちょっと読んでいただけますか,候補となる案。(2)の「上記の枠組み」うんぬんは それでよろしいでしょうか。
○杉戸副主査
その上のパラグラフ,(1)です。「多文化共生社会実現のために,国は日本語教育の 政策的位置づけを明確にし,地域はその責任において取り組むべき日本語教育の課題と実 施主体を明確にする必要がある」くらいに文末を補わないと足りないという…。
○西原主査
そこは「必要がある」。そして,下の「必要がある」は,また「必要がある」になるん ですけど。「その上で,地域の日本語教育関係者が活動しやすいような基本的な枠組みを 示す必要がある」。
○杉戸副主査
「ことが求められる」。
○西原主査
「ことが求められる」。それはその順序の方がよろしいですね。上が「必要がある」, 下が「ことが求められる」。そして,(2)。
○杉戸副主査
(2)の方は,ちょっと内容的なことです。4行目にリソースセンターが出てきます。 ここに書かれていることは,このリソースセンターとして形成していくことだけに収斂し ていると読めるんですね。リソースセンターという形の施設というか,組織,体制以外に 何か必要なことを書かなくていいのかということを,これまで議論されているのかどうか ちょっとお聞きしたいんですけど。
○西原主査
いろんなものが必要だという議論でいろいろと挙げていって,そこに上げられたものが ここに書かれている。
○杉戸副主査
日本語教育拠点を形成することが必要だという議論はしてきたわけですね。日本語教育 拠点をリソースセンターとして形成するという,それだけでいいのかということです。
○西原主査
そうすると,これは少し具体的過ぎるとすれば,「日本語教育拠点を形成していくこと が必要である」にとどめるという知恵もあるかと思うんですけれど。
○杉戸副主査
そうですね。その場合,「日本語教育拠点はリソースセンターを含めて,多様な機能を 持ったものを目指すべきである」とか,そういう…。
○岩見委員
日本語学習の拠点としてもあるべきかなと考えるので,それだけではちょっと。
○西原主査
そうしますと,ここは,「ネットワークの中心となる日本語教育拠点を形成することが 必要である」ということになりますか。「人材と情報のリソースセンター」というのはど うしましょうか。取ったままでよろしいでしょうか。
○岩見委員
せっかく具体的になっているので,置いといて,「人材と情報のリソースセンター及び 地域日本語学習の拠点として」,あるいは「…等の拠点として」。
○西原主査
ここを「広範な日本語教育ネットワークの中心となる日本語教育拠点の形成などが必要 である」としてしまったときに,人材と情報のリソースセンターというのは,実は「広域 的な日本語教育ネットワーク」というものの中に含まれるわけですよね。
○佐藤委員
4ページぐらい前の課題を受けているとすると,そのリソースセンターの設置うんぬん
というのはかなり吸収されていますよね,前の方に。そうすると,この文言に,新たな形
で日本語教育拠点というものを,リソースセンターも含めてというような意味合いを持た
せるのであれば,よろしいと思いますが…。「日本語教育拠点又はリソースセンター」。
つまり,並列になるのかどうか,意味合いがちょっと分かりませんけれども。
○西原主査
日本語教育拠点というのが学習センターの意味を持つのであれば,「及び人材と情報の リソースセンター」ということになるかもしれないですけれど。
○佐藤委員
上で言うと,「広域行政機関としての都道府県の役割を明確にする」,その「広域的な 日本語教育ネットワークの日本語教育拠点」と書いてあるんですよね。
○中野委員
さっき杉戸副主査がおっしゃった案でいいんじゃないですか。教育拠点を形成していく ということをまず言っておいて,その拠点は何々,何々の機能があるという2段階に書く と分かりやすい。
○西原主査
そうすると,「日本語教育ネットワークの中心となる日本語教育拠点の形成が必要であ る。その拠点は…」。
○佐藤委員
「それによって人材と情報のリソースセンター」,「それによって」。
○中野委員
その拠点は,さっき杉戸副主査がおっしゃった「その拠点は,人材と情報のリソースセンター及び学習者の,さっき何とおっしゃいましたか,…の機能を。
○杉戸副主査
多様な機能をということ。
○中野委員
何か,これ以外にももしかしたらあるかもしれないし…。
○西原主査
「を含む多様な機能を」。
○中野委員
「を中心とする機能を」とか。
○西原主査
「機能を持つことになる」。
○国語課長
一度整理したいんですが,多分,そのネットワークというのがやっぱり必要なんであっ て,一つのセンターがすべての機能を持つということではないと思うんですね。あちこち で日本語学習の場があって,そういったところがつながるために,人材と情報のリソース センターが必要だと,そういうイメージで私はいるんですけれども。
○西原主査
そうです。私はこの先に何があるかということを考えていくときに,来期におけるこの 委員会を中心とするリコメンデーションを出すための検討課題というのがもちろんあると 思うんですけれども,と同時に,文化庁国語課の次のお仕事というものも検討の結果生ま れていく。例えば,来年度概算要求するのは何なのかというようなところも含んでこのお 仕事の計画というのがあると考えると,このリソースセンターというのは次のお仕事なん でしょうかね。つまり,次に概算要求していくような目玉の一つなのでしょうか。であれ ば,やっぱりそこのところの芽は出しておく必要があるというか,この報告でも。
○日本語教育専門職
リソースセンターについては,もう皆さん御存じかもしれませんが,一部の地域で実際 に作ったところがございます。長野県なんかは特にそれで有名ですが…。
○西原主査
東海ネットワークは持っていますよね。
○尾﨑委員
名前は付いているんですが,全くそれに財政的な裏付けもなければ,人の裏付けもあり ませんから,既にそういうものがあるなんていう主張自体がまやかしであるという認識で 仕事した方がいいと思います。名前を付けるのは簡単ですから…。そういうことだと思い ます。
○日本語教育専門職
その課題は既に明らかになっていて,場所があっても人がいないと,その機能を果たさ ないということです。それは,文化庁にも報告されていて,コーディネーターと呼ばれる 専門家がどうしても必要であるということです。それは,この会議の中でも言われていま すし,その人が所属する場,いる場という意味でのリソースセンターでなければならない というのが事務局の考えです。
○西原主査
そうですね。そうするとリソースセンターというのは行き着く先というふうに考えると すれば,この段階では日本語教育ネットワークの中心となる日本語教育拠点が形成されね ばならぬ,また,形成が必要であるということで,その拠点の計画をこれから充実させて いく必要があるということを書いておけばいいわけですね,リソースセンターって名前を 付けなくても。つまり,人を呼び,ものを呼び,予算がそこに付くようなことになるべき だという。そうすると,「日本語教育拠点の形成が必要であり,そのための対策が立てら れる必要がある」というか,何かそういうふうにしとけばいいわけですね。
○中野委員
そこの(1)と(2)を読んでいて,国はこう,地域はこういう「主体を明確にする」
とありますよね。その後に,「その上で,地域の日本語教育を活用しやすいような基本的
な枠組みを示す」とありますね。その基本的な枠組みを示すのが国なのか,地域なのか,
多分,国だと思うんですけど,文章的には,どちらが取り組むべきなのかがちょっとよく
分からない。
それから(2)で,「日本語教育拠点を形成する」というのが,前の文章で「広域行政
機関としての都道府県の役割を明確にするとともに」と来て「拠点を形成する」と書いて
あるので,ここの主体が都道府県なのか,国なのかというのが両方に読めて,もちろん国
は地域を支えるんでしょうけれど,何かちょっと明確にするという意味では,この二つの
基本的枠組みと拠点は,どちらがより主体的にやるのかというのがちょっと読み取りにく
かったんですけれど。
○西原主査
そうですね。ヒアリングの後,とにかく国は大枠を示してくれなければならぬ,そうし ないと地方は動けない,自治体は動けないというようなアピールが随分ありましたよね。 そうすると,(1)政策的実現というのが先行した上で(2)というのがあるということ ですよね。
○中野委員
そうですね。
○山田委員
そういう主語が何だというのは結構たくさんあって,例えば?の1の(1)の4行目, 「その上で,学習者の個人差にいかに対応するかという全世界の言語教育に共通した課題 や」うんぬんと長くあるんですけど,これの主語はじゃあ何だとかというのも明確じゃな いんですよね。ただ,私が思ったのは,何かわざとそうしているのかなという。それを最 後に「以上の検討課題」,これどこかは明確にする必要があるんだけれども,それがどこ なのかも含めて,あるいはどういう役割分担をするのかも含めて今後検討するということ なのかなというふうに読んじゃったんですけど。
○国語課長
文化庁,国が出す報告書なんで,基本的には「何々する必要がある」という場合には国 がすると。よその主体がやることを「何々すべきだ」というふうには我々言えないんで, 基本的には国がそうする必要があるというつもりで書いていますけれども。
○中野委員
基本的枠組みは国がやるんですね。
○西原主査
どこまで国がやるべきとして体制の整備の中の(1)に具体的に提言していくかという
のは,例えば,各省庁が一緒になって話し合っているところからのフィードバックです
とか,主語を最終的にどこにするかというようなことについては来年度,もうちょっと明
確にしていかなければならないことですよね。結局,「文化庁国語課が」という主語にな
って,国が何かすることが出ていくのか,それとも,もう少し大きい枠組みというのが計
画されるべきなのかということです。
具体的に,いろんな方のお話を聞いていて,内閣府の中に男女共同参画局ができたと,
同じように,何か多文化共生局のような国の行くべき方向について貢献する部署ができる
べきなのではないかという御提案も聞くわけですよね。そういうことも含めて,この委員
会がリコメンデーションとして来年度出すのかというと,そこからやってしまうことはで
きない。つまり,そこを前提にしたら何も成り立たないという,そういうことになります
よね。そうすると,どこを出発点にするのかというのは,実は,「必要である」と言った
途端に,じゃあどこを出発点にするのという問題がすぐ私たちに降り掛かってくると思う
んですけれども。
○佐藤委員
今のは,前の原案だとかなり明確に主体が分けられていて,主体を明確に分けられない んじゃないかという議論だったと思うんですね。ゼロサムゲームでは決してないんで,国 か地方か何とか,という議論では決してない。こういう生活者としての外国人の場合に, やっぱり地方がある部分先行していた部分があって,そういう実態を踏まえながら,国が これからその枠組みをどう考えていくのかという議論があるわけですから,結論から言う と,この段階では主語が逆に,山田委員の意見と私も同じように読んだんですね,実は。 余りそこを明確にしないで,具体的に大きな方向性だけを示して,次回のところでそこは 明確にしていった方がよろしいのではないのかと。改めて新しい役割も含めて,一体どう いうふうにして,広域行政なんかの役割も新しい提案だと思いますので,一体,じゃあそ の役割をどう考えていくのかということ自体を明確に次回以降示した方がよろしいのでは ないか。ですから,逆に,このぐらいの方が分かりやすいんですが,ただ一つ言えること は,さっき杉戸委員がおっしゃったように,この課題をきちっと中に入れ込んでいけばい いわけで,例えばリソースセンターうんぬんというのは,ここであれば日本語教育拠点と いうふうな形の中にリソースセンターのことが入り込んでいるんだというような整合性を 取れれば,文言は入っていなくても何でもよろしいと思うんですけども。
○西原主査
だれが言ったのかよく分からないという面では,先ほどの4ページのここに課題がある というところのことも,主語は依然としてはっきりしない。例えば「その成果として」と いうところの4行目に,「地域の自主的な企画に基づく事業の委嘱への転換を図ったが」 ってだれが図ったのというのはよく分からない。文化庁が図ったのか。
○尾﨑委員
何か分かりにくいとは思っていたんですが,何か入れないといかんという意識があった のかという感じですが…。ここは文化庁ですよね。
○主任国語調査官
はい。表題が「これまでの文化庁における」となっていますから…。
○西原主査
そうしますと,具体的には…。
○佐藤委員
「日本語教育拠点を形成していくことが必要である」というふうにすれば。繰り返しに なりますが,リソースセンターももちろんここで含むと…。この中に,その整備を改め, リソースセンターの整備も含めてこの日本語教育拠点というものを考えていくんだという ことであれば。
○西原主査
具体的には,人材と情報のリソースセンター等もそこに含まれる。
○佐藤委員
文章化する必要はないのかもしれませんけれども。
○西原主査
ないのかもしれません。どうでしょうか。
○杉戸副主査
私は4ページとの対応を明示化するということで残した方が。
○西原主査
残した方が良い。そうすると,必要である,具体的には。
○杉戸副主査
そういうことです。そこをリソースセンターだけでなくて。
○西原主査
「等も含まれる」。
○杉戸副主査
「多様な機能を持つ」とかいうような,そういうことを。
○西原主査
「も多様な機能を果たす」。
○主任国語調査官
拠点の中心としてのリソースセンターというような,そういう位置付けで読めるように 文章を整理するということですね。
○西原主査
そうですね。ほかに,いかがでございましょうか。
後ろの2行が重たい課題として皆様方にこれを持って帰るのだよって。つまり「以上の
検討課題に対応した施策の在り方について次期以降の文化審議会国語分科会において引き
続き検討していくことが必要である」,これはもうやりますということですよね。お覚悟
召されと…。
○山田委員
文言そのものじゃないんですけども,この6ページの3の「連携協力の推進」の4行目 に「「外国人の声」を施策に反映できるようにすることも重要である」という,私はこれ をすごく願っているんです。ヒアリング,今回,かなり貴重ないろいろな声が聞けたし, 私自身が抜けていた部分も大切な部分というのを理解したりするきっかけになったんです けれども,是非この検討課題の一つとして,このことを考えていくことについても外国人 の声を,私たちは耳を傾けながら一緒に考えるというようなことも必要かなというふうに 思っています。
○西原主査
そうですね。受益者というふうな言い方していいかどうか分からないけど,受益者が声 を上げるということを奨励するというか,是非実現するということでしょうかね。
○尾﨑委員
そこのところで,「「外国人の声」」というのが括弧に入っているんですが,たたき台 を自分で書いておきながら,今見たら浮いていますね,これが…。非常に場違いな雰囲気 なので,「声」という言葉を取っていただいて,括弧も取っていただいて,もうちょっと フレーズ化して素直にした方が良かったなと思いますが,いかがでしょうか。
○佐藤委員
賛成です。
○西原主査
どうしたらいいですか。
○佐藤委員
何か「「外国人の声」」というのが…。
○西原主査
何か神の声というのとほとんど同じ…。じゃあ,どうしたらよろしいんでしょう。括弧 取っただけでいいんですか。
○尾﨑委員
「声」という言葉は取った方がいいと思いますね,何か私としては。
○西原主査
「諸方面の意見」とか,そう言ってしまっていいんですか。
○佐藤委員
外国人の意見や要望を施策に反映できるようにという,それの方がいいと思います。
○西原主査
じゃあ括弧を取って,「外国人の要望・意見」。
○尾﨑委員
どちらでもよろしいと思いますけど,「意見や要望」ぐらいがいいと思います。
○西原主査
「意見や要望を施策に反映できるようにしていく」という。
○尾﨑委員
それから,もう一つよろしいですか。そのすぐ上のところの文章が何か落ち着きが悪い んですが,どうしたらいいか分かりません。
○西原主査
その上の文章というのは。これが長い1パラグラフ,1文章なんですけど。
○尾﨑委員
4行つながっているんですが,2行目の「地方自治体等の行政機関が,地域の企業等と 連携しながら,日本語ボランティアや,日本語教育及びその他の専門家からの協力・支援 を得るなど,関係者間の連携は欠かせない」。何か収まりが悪いのでちょっと推こうして いただけたらという…。
○西原主査
佐藤委員の御主張だと,二つに文章を切る。できますか。
○杉戸副主査
これは,2行目の「地方自治体等の」から次の行の「協力・支援を得るなど」は一つの 例なんですか。
○尾﨑委員
そういうふうに読めないですね。
○杉戸副主査
整備するため,3行目の右の方,「関係者間の連携が欠かせない」。
○西原主査
今おっしゃったようにしたらどでしょう。つまり,「日本語教育の体制を整備するた め関係者間の連携協力が欠かせない」で一文を終わって,「具体的には」又は「そのため には,地方自治体等の行政機関が」と続いていく。
○杉戸副主査
ただ,それは「地方自治体等の行政機関が」というのは,関係者間の連携協力の一例に すぎないのかどうかを確かめておかなきゃいけないとおもいますね。地方自治体等の行政 機関,つまり国も都道府県もという意味であればかなり広がりを持ちますよね。地方自治 体等の行政機関の中に国を入れると,またまずいかもしれません。
○西原主査
そうすると,「自治体等」,「自治体を含む行政機関」。「国や地方自治体等の行政機 関が」とすれば,いろんな国の機関,いろんな地方自治体の機関となりますか。
○杉戸副主査
はい。
○尾﨑委員
もう1点よろしいでしょうか。3の最後のところに…。
○西原主査
「なお」のところですか。
○尾﨑委員
「なお」ですね。「なお」のところ,最後に「様々な地域の実態を把握することが不可 欠である」というふうに書いてあって,実態を把握するということは調査ですよね。調査 やらないとこれは何事も始まらないんだけれども,その調査をきちっとやろう,やらない かんというのが余りはっきり見えてこない。ですから,新たに1項目立てるという提案に なるんですけれども,5ページの「今後検討すべき課題」の「1.内容の改善」というと ころに,項目を立てるかどうかはちょっとはっきりしませんが,(1),(2)があるん ですが,やはり基礎的,基本的な調査をきちっとやる体制を取るということを入れるのは いかがでしょうか。
○西原主査
それで,例えばそのことが,今なされつつあるというように私は把握をしているんです ね。例えば日本語教育学会がカリキュラム策定を請け負っています。
○尾﨑委員
はい。
○西原主査
というふうにして,文化庁国語課が既に委嘱して調査依頼していることがありますね。 なので,調査というのは,そこを踏まえているんだろうと私は理解したんですけど,つま り,結果が来年度は出てくるはずのことですね。そうすると,(1)の実態も,「地域に おける日本語教育の専門性と内容の明確化」だけじゃなくて,「地域における日本語教育 の…」。
○山田委員
「実情の把握の下に」とか何か。
○西原主査
「実情の調査」とか,そういうことを(1)にして立てるというのが,今おっしゃった 尾﨑委員の…。(1)(2)(3)にしなさいということ。
○尾﨑委員
迷っていますけれども…。今の(1)のところですが,最初のセンテンスは「検討する 必要がある」で終わっているんですけれども,そのためにはきちっとした調査研究が行え るような体制を国として持たないかんという。ですから委嘱事業うんぬんというよりも, もっと長期的,永続的にこういう調査研究をやる機能を持つようなものを,国として置く べきだというのが裏のストーリーですけど。
○西原主査
分かりました。「国立国語研究所」かもしれないですね。
○尾﨑委員
はい。
○西原主査
そうすると,(1)の中にそれを書き込めばよろしい。
○尾﨑委員
どうでしょうか。
○西原主査
項目1を立てるんじゃなくて,それでよろしいですか。
○佐藤委員
「内容の改善」のところに今のを書き込むという意味ですか。?の1の(1)(2)の 上の方の(1)にそれを書き込むと。
○西原主査
何かちょっと違いません。もう一つ何かレベルが…。
○佐藤委員
今の話は違うレベルですよね。内容の改善うんぬんの問題ではないですよね。つまり, この中で言うと,「連携協力の推進」のところで「地域の実態を把握する必要がある」。 しかし,今のお話で言うと,内容の整備,改善,体制の整備,連携協力,すべてを含めて 継続的調査を必要とするということが尾﨑委員の御意見だったように伺ったんですけど, 違いますか。
○尾﨑委員
多分,(3)を付けた方がいいのかもしれません。
○西原主査
又は(1)を(3)に持ってきて,「調査実態把握」というのを(1)にする。 ○尾﨑委員
多分,調査ということが,今後,こういうプログラムをやっていくときの評価にもかか わってきますから,そういうことも含めて(3)というのが一つの…。
○西原主査
そうすると,「専門性と内容を明確化する」ということが一つ,「コーディネーターを 養成する」が(3),そして「プログラム評価に関する」というような,プログラム評価 という名前にしないまでも,調査の必要性…。
○佐藤委員
プログラム評価と全体の地域における日本語教育,あるいはこれから日本語教育という ものを推進していくための基礎資料を収集したり,調査研究をしたりということは次元が 違う話じゃないですかね。 プログラム評価というのは,当然の話であって,プログラム評価というのは,ここの中 では専門性なり内容の明確化の中に当然入り込む話だと思うんですよね。
○杉戸副主査
今の(1)の中に,その4行目に「外国人の生活状況の地域による異なりを踏まえた」 とありますね。その次の行に「地域性に応じた」とあります。それは尾﨑委員のおっしゃ る正に必要な調査の対象,課題だと思うんですね。それがあって次に日本語教育の課題と いうのが出てくるということを私も聞いて。それで,そのことを(1)との関係で(3) に,(1)に述べた社会状況の異なりを踏まえるためにはデータが必要であると…。
○西原主査
そうすると,「コーディネーターの養成」というのはかなり具体的なので,その(1) の後半を(2)にする。「コーディネーターの養成」は(3)とすることもできますね。
○尾﨑委員
それに賛成したいと思います。まだ頭が混乱している状態なので。
○西原主査
つまり,今,杉戸副主査がおっしゃったことですと,「言語教育の在り方や地域性に応 じた日本語教育の具体化方策」という,そこら辺のところを調査研究というところに集約 していくと。
○杉戸副主査
専門性と内容の明確化が必要だということは(1)に書くんだけれども,それを明確化 するために必要な情報がないから,それを調査によって明らかにしようというのが…。
○西原主査
(2)でよろしいんですかね。
○杉戸副主査
先ほど読み上げた(1)の下から3行目とか,2行目から距離がない方がいいと。
○西原主査
じゃあ(2)。そして,「コーディネータの養成」が(3)ということになりますね。
○国語課長
基本的に今まで文化庁が実施してきているような調査,あるいは今年度の新規事業で 「生活者としての外国人のための日本語教育事業」でやっているような調査ということは 私も考えてはいますが,先ほど委員がおっしゃったことはちょっとまた違うように感じ たのですが…。
○西原主査
それが例えば一時的な,尾﨑委員がおっしゃったのは,それが長期にわたれば恒常的に あるような,そういうものが必要であろうということで。ですから,文化庁がずっとお金 を取っていてくれれば全然問題ない。
○尾﨑委員
国語研と直接関係ある発言ではございませんので…。
○西原主査
文化庁が委嘱し続ける財政的基盤を持っていてくだされば,別に国語研じゃなくてもよ
ろしいのであろうかと思いますが,国語研であっても全然おかしくはないと思います。
じゃあ,その(2)を作るということはよろしゅうございますか。
○佐藤委員
3の「連携協力の推進」のところ,これはこのまま生かしてということですね。
○西原主査
はい。
○佐藤委員
分かりました。
○西原主査
全然話が違うんですけど,この間,高村外務大臣が日本語教育が必要だってことをおっ しゃり,それに関して日本に来る外国人は日本語の能力を問わなきゃならないと言ってお られましたがあれは外務省単独の姿勢でしたか。
○岩見委員
政府で言っていたことを発言したんでしょう,先ほどの外国人労働者問題関係省庁連絡 会議で…。
○西原主査
いや,そこじゃないみたいですよね。
○山田委員
何か外務,法務の両省が検討という。だから,在留資格と関連付けて日本語力を一つの 要件にしていくという…。
○岩見委員
法務省でそういうことが議論されてる。
○山田委員
いや,これからしていくということなんです。でも,もうしているから,これからして いくと言っているんだろうと思うんですけど。
○西原主査
つまり,今までは専門的な領域だったら大歓迎だけれども,そうじゃない労働というこ とには在留資格を与えないという姿勢で来たところに,そこを何かするためには日本語の 力というのを見なきゃ駄目だよということになっているわけでしょう。
○山田委員
それを検討していくという感じですね。
○西原主査
そうですよね。そうすると,ここでカリキュラムうんぬんと言っているときの,例えば 生活者としての日本語はこういうことになっているべきであると日本語教育学会が答申し てくださるとすれば,ベンチマーク1をクリアするためのテストというのはすぐ付いてき ますよね。評価というか,能力の評価という問題が付いてきますよね。じゃあ,それもこ このサイクルでやることがあっちのサイクルとどうつながる。それこそ連携協力のお話だ と思うんですけども,その可能性はあるんでしょうかね。
○国語課長
外国人の在留管理に関して何か審議しているような場が,あることはあるんですよね。 そこで,必要があれば何か言われたりとか,そういうことはあると思うんですが,今のと ころそういうのはないです。
○西原主査
例えば,そういう動きがあるのであれば,そこに我々も入っていくことができるような リコメンデーションを出したいですね。つまり,こういう能力が社会参加するためには必 要なのであるということを今度評価するときには,実際にテスト問題を作るかどうかは別 にして,この段階のこの能力を評価して,何か在留資格とつなげていくというか,そうい うことはこちらが先行したいですよね,何となく。
○国語課長
当然,そういう議論は必要になってくると思いますので,その際に我々として何か提供 できるものがあればなというふうに思いますけれども。
○西原主査
そうですね。そうすると,どうすればいいですかね。
○山田委員
ただ,その前にそういう能力を養成するのをどうするかという話ですよね。
○西原主査
そうです,そうです。
○山田委員
そこにカリキュラムというか,いわゆるシラバスがあって,そこも考える。
○西原主査
もちろん。ですから,そういうレベルで,テストや,評価というのは最後にくっ付いて くることだと思います。
○山田委員
だから養成は何か,いわゆる自己責任で外国人は勉強して,それでやってくださいみた いになると,それはある意味で日本語というのが踏み絵になってしまって,そこがクリア できなければ,今いる人たちの在留の継続もできないなんていうことになってしまうと, 配偶者の問題とか,いろいろ出てくると思うんですけど。
○西原主査
そうですね。例えば,アメリカでグリーンカードを取るためのテストがありますよね。
それは本当に基本的なことで,聞こえてりゃ受かる,そういう,あまり実態はないという
ようなことを考えているのか,それとももうちょっと踏み絵的にしようとまで考えている
のか。
○佐藤委員
すみません,一つだけ。4ページの,ちょっと文章として気になるところがあるんです が,四つぐらい,「その成果として」というところの段落の「一方」というところがある と思うんですけれども,リソースセンター,コーディネーターの引き続きで…。「一方, 外国住民の地域社会での孤立化や日本人住民とのあつれきが社会問題として取り上げられ るようになり」うんぬんとつながれると,問題が顕在化したから,こうなっているんだと いうふうな読み方がされてしまうような気がするんですね。
○西原主査
これも分けて簡略化しますか,文章を。
○佐藤委員
要するに,孤立化や住民のあつれきが社会問題になったから,動機付けや日本語教育カ
リキュラムの作成や日本語習得の新しい課題を発生しているというふうになるんですが,
これはこういう問題だけの取上げ方でいいのかどうかという,そういう指摘です。
つまり,長期滞在であるとか,滞在が長期化し,その生活をするようになってきたため
にこういうことが出てきているわけで,孤立化やあつれきが直接的に社会問題になったか
らこれが出てくるというふうな因果関係として読めてしまうのは問題ではないかと思った
ということです。ですから,ここの前の方を少し,つまり社会問題というよりは,もっと
違う要因によって新たな課題が発生しているのであって,前の方の「一方,取り上げられ
るようになり」というところは少し文章として,何かもうちょっと違う表現ができないか
ということです。
○西原主査
肯定的にとらえれば,このあつれきじゃなくて強制という。
○佐藤委員
いや,肯定的じゃなくてもいいんですけども,要するに「日本語学習の動機付け,生活
のための日本語教育のカリキュラムの作成」とか,「年少者の教科学習に資する日本語の
習得」というものが,孤立化やあつれきが原因で,こういうものが出てきているというふ
うに読み取られるとちょっと問題ではないかというふうに思うということです。
ですから,前の方の「取り上げられるようになり,」というところをもう少し違う表現
にしたらどうかということです。つまり,滞在の長期化であるとか,定住化であるとか,
そういうことだと思うんですね。その結果として,もちろん孤立化だとかあつれきという
ものも一つの要因になってこういうものが出てきているというふうにした方がよろしいの
ではないかということです。特に,年少者の教科学習に関する日本語というのは,別に孤
立化やあつれきが問題になって必要になっているわけじゃないんで。
○西原主査
そうですよね。だから,そういう潜在的な不安というものが直接の動機になってという ことではない。
○佐藤委員
そういうことではないというですね,もうちょっと違う,ある意味では,もうちょっと 客観的な表現をされたらどうかということです。その前の方の表現だけです。その課題に ついてはこれで十分だと思います。
○山田委員
今の部分のその成果としての2行目の「あらわれた」とか,漢字じゃなくていいんです か。そういうレベルからやるとなると…。
○主任国語調査官
おっしゃるとおり,公用文では漢字表記です。
○山田委員
それともう一つだけ。「外国籍住民」という言い方が6ページの3の4行目に出ている んですが,外国人住民じゃなくて外国籍というのは,何か特別な事情があるのかどうか。
○西原主査
ベトナム人協会ですとか,そういうようなネットワークのことじゃないんですか,これ は。ブラジル人協会とかを考えているのではないんですか。
○山田委員
それはいいんですけど,今まで外国人と言っていて,ここでは外国籍住民になっている というのは,日本籍を取ったけれども自分では外国人と思っている人というようなことは 排除するからとか,そういう理由があるとか。
○国語課長
深い意味は全然ありません。
○西原主査
これは国籍別ということじゃないかと私は理解したんです。外国人住民のネットワーク というと,国籍を越えたと思えるでしょう。つまり,例えば川崎市の外国人会議なんかは それに当たりますよね。外国籍住民というと,私はブラジル人協会とか,何とか人協会と かというネットワークの何か。
○尾﨑委員
この辺,統一する方がいいと思います。
○岩見委員
3ページ目の?の2の最後の「社会統合」という解釈ですね。同化ではないということ はまず第一にあるでしょうし,その社会統合という意味合いが一般の人に分かるような, 欄外の解説などが必要ではないでしょうか。どういうふうにしたらいいか分かりませんが。
○西原主査
「統合」という言葉,「社会統合」という用語はどうしたらよろしいでしょうか。 ちょっとこれは,含蓄のある言葉としてこのままにして,一体あれって何だろうと思わ せるところで終わっておいていいのかもしれない。つまり,それこそ日本国民として日本 の旗の下にというふうに読む人は読むかもしれないし,それから統合というような意味で 読む人もいるかもしれないし,それこそサラダ社会というふうに読む人もいるかもしれな いのでいろいろですね。ちょっと分からないですね。
○杉戸副主査
非常に細かなポイント,三つだけですが,2ページの一番下にある3の脚注ですね。こ れが何か文の意味が読み取りにくいというか。
○西原主査
こう書いてあると思うんです,在留資格のところ。
○杉戸副主査
「身分又は地位は」の辺りもこのままなんでしょうか。文として意味が通じないような 気が。ちょっと確かめてください。
○西原主査
「を」かもしれないですね。多分,そのままを引用したらこうなっちゃったんだと思う んですが,ちょっとチェックしていただいてよろしいでしょうか。何かねじれ文のように 読めないことはないですね。法律用語というのはそういうものなのか…。
○杉戸副主査
3ページの3の3行目,「健康かつ安全に,」の後ろの「,」は要らないと思います。
○西原主査
そうですね。「健康かつ安全に生活」。
○杉戸副主査
それからもう一つ同じようなことで,6ページの上の方の(2)の3行目,これは先ほ ど話題になったところですが,「明確にするとともに」の後ろに「,」を入れてくっきり させたらと。
○西原主査
「とともに,広域的な日本語ネットワーク」。
○中野委員
3ページの3の「多文化社会に対応した日本語教育」の冒頭,「文化的背景の多様」の 前に,「言語的・文化的」というのを入れてもいいでしょうか。
○西原主査
「言語・文化的」でよろしいでしょうか。
○中野委員
どちらでも。同じことが5ページの「内容の改善」の冒頭にあるんです。
○西原主査
「言語・文化的背景や」。
○中野委員
先ほどの地域の実態の把握は,結局1と3に入ってくるけど2には入らなくなっちゃっ ても大丈夫ですか。地域の実態調査というか把握ですね。内容の改善に入れましたよね。 3にはもともと入っていますよね。それで,1,2,3全体というふうに考えられるよう な気がしていたんですけれども。
○西原主査
2というのは,体制の整備のところに調査の項目を加えるということですか。。
○中野委員
つまり,内容も,体制も,連携もすべて基本として地域の実態というのが分からないと できないというふうにも考えられるのかなと思って。
○西原主査
それはそうですよね。
○中野委員
全体に掛けてもいいのかなという気がちょっとしたんですけれども,取りあえずは1の 内容と3の連携というところに入れればよろしいですか。確認だけです。
○西原主査
「今後検討すべき課題」というところに調査研究というのを(2)に入れないでという ことでしょうかね。
○中野委員
「様々な地域の実態把握」というのは,その三つの項目全体に必要なような気がちょっ としたので。
○佐藤委員
先ほど尾﨑委員が御提案されて,私もそのように理解はしたんですけども。すべてに。
○西原主査
すべてに調査研究は必要である。
○中野委員
今,2だけは特別それが書いてないというような感じになりましたよね。
○尾﨑委員
今,中野委員がおっしゃっているのは,「1.内容の改善」「2.体制の整備」「3. 連携協力の推進」という,この三つがまずありますけれども,この三つと調査研究を同列 にという御趣旨でしょうか。
○中野委員
同列ではなく,その三つのことを進めていく前提としてそれぞれの地域の実態というの は把握する必要があると思うんですね。
○尾﨑委員
と私も思っていました。
○中野委員
それで,1には補強され,3にはもともとあるんですけど,細かい話ですけど,体制の 整備には特別言及されないということにもなりましたよね。それでよろしいでしょうかと いう確認でしかないんですけれども,もしかしたら最後に,「なお」と書いてある,「連 携協力の推進」の最後に「なお」とありますよね,そこをちょっと1行空けて,1,2, 3全体に対して,「地域の実態を把握することが不可欠である」と…。
○西原主査
私の解釈ですが,それは当然前提になっていると思うんです。特にこの審議会が来年取
り組むべき課題ということを考えると,一番中心が1になりますよね。?の1。そこでは
しっかり調査が,この文化庁国語課の責任において,あるいはこの委員会の責任において
なされなければならないってことを強調するために1に入れたというふうに解釈している
と思うんですね。
例えば,政策的な課題というのが実態の把握ということをするとすれば,各省庁が既に
持っている調査データとか,そういうものも入るわけですよね。2も同じですよね。そう
いうことは,この委員会の責任において,もう一度言わなきゃならないというところとは
ちょっと次元が違うんじゃないかということでわざわざ1に入れたんじゃないかなと思う
んですけれども。
○中野委員
3は残しとくんですね。
○尾﨑委員
そうです。
○西原主査
よろしいでしょうか。前提となっているのは,とにかくいろんなデータを使ってリコメ
ンデーションは出すのですという,そういうことです。先ほどの厚生労働省のデータも,
変えようによってはどれを使うかという取捨選択が必要になりますし,それから文部科学
省が出すもの,地方自治体が出すものでも本当にどうなるのかということ…。
ありがとうございました。5分ほど過ぎてしまったのですけれども,次の御予定がおあ
りの方も多いと思いますので,もしこの1日,2日中に是非これは駆け込んで修正という
ことがございましたら…。
○杉戸副主査
副題はいかがですか。
○西原主査
副題はどうしましょうか。
○佐藤委員
先ほど決まったんじゃないですか。
○西原主査
どう決まったんでしょうか。
○佐藤委員
「日本語教育に関する今後検討すべき課題」。
○西原主査
「関する今後検討すべき課題」でいいですか。
○主任国語調査官
ちょっと落ち着かないですね。
○西原主査
落ち着かないですね。どうしたら。
○主任国語調査官
多分,一番落ち着くのは,副主査がおっしゃった二つ目の案の「今後検討すべき日本語 教育の課題」,文言としてはこれが一番落ち着くと思います。ただ,これだと山田委員が おっしゃったように,「日本語教育」に焦点を当てるために「日本語教育」を先に持って くるということができません。だから,逆に先に出なくても,「今後検討すべき」という のが先に来てしまっても,いいのかどうか検討したらいかがでしょうか。文言は,「今後 検討すべき日本語教育の課題」,これが繰り返しますが,一番落ち着くと思います。
○西原主査
そうですね。主タイトルは,「今期の審議のまとめ」というふうな題になるんですか, 文化審議会国語分科会に出すときに。この主たるタイトルもこのままですか。それとも, 「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会報告」になるんですか。
○国語課長
国語分科会への報告は「日本語教育小委員会の報告」ということになると思いますが, 文化審議会総会への報告は国語分科会としての報告になりますね。
○西原主査
そうすると,「今期の審議のまとめ」というのは,これはこの場でだけのタイトルで, その前に,「国語分科会日本語教育小委員会報告」というのが主タイトルになりますか。 「文化審議会」から始まりますか,書面で出すとき。
○国語課長
副題と逆になるような感じになるんじゃないかと思いますね。
○西原主査
そうすると,「日本語教育小委員会の今後検討すべき課題」になりますか。そういうこ とにはならないですか。主たるタイトルは…。
○主任国語調査官
今の問題は,実はもう一つ,漢字小委員会の方がありますので,当然,国語分科会から 文化審議会の総会に報告するときには一体のものとして,つまり,国語分科会報告として 上げるわけですね。そして,その中に中身として二つあるわけですね。漢字の話と日本語 教育の話と。ですから,今の副題の文言のことと,それから漢字小委員会との整合という 問題の二つを合わせて,西原主査と御相談しながら事務局で考えさせていただくと。
○西原主査
分かりました。じゃあ,取りあえず来週はこのような形で…。
○主任国語調査官
そうですね。
○西原主査
来週はこのまま出すとするのですね。日本語教育という文言をそんなに焦点化しなくて
もいいとすれば,「今後検討すべき日本語教育の課題」ということで,来週は出させてい
ただき,事務局とも御相談の上,漢字小委員会と並ぶ釣合いの良いタイトルにしていくと
いう,そういうことでよろしゅうございますか。(日本語教育小委員会了承。)
最終的には2月1日が今期最後になる。そこのところでは更に再調整ということでどう
ぞよろしくお願いいたします。
今週に引き続き,来週も,委員の皆様には御足労いただくことになりますけれども,最
終的には主査,それから副主査に御一任いただくということでよろしゅうございますでし
ょうか。(日本語教育小委員会了承。)
長時間にわたりまして御審議いただきましてありがとうございました。これで今期最終
の日本語教育小委員会を閉会させていただきます。先生方,どうもありがとうございまし
た。事務局,それからそのほかの皆さん,ありがとうございました。