第43回国語分科会日本語教育小委員会・議事録
平成23年1月12日(木)
10:00 〜 12:00
旧文部省庁舎5階 文化庁特別会議室
〔出席者〕
- (委員)
- 西原主査,杉戸副主査,伊東,井上,岩見,金田,佐藤,嶋田,中野,西澤委員(計10名)
- (文部科学省・文化庁)
- 早川国語課長,鵜飼日本語教育専門官,仙田日本語教育専門職,山下日本語教育専門職ほか関係官
〔配布資料〕
- 第42回国語分科会日本語教育小委員会・議事録(案)
- 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の教材例集について(案)
- 生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)
〔参考資料〕
- 能力評価に関する基本的な考え方の論点整理
〔机上配布資料〕
- 国語分科会日本語教育小委員会における審議について―今後検討すべき日本語教育の課題―
- 国語分科会日本語教育小委員会における審議について―日本語教育の充実に向けた体制整備と「生活者としての外国人」に対する日本語教育の内容等の検討―
- 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について
- 「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案活用のためのガイドブック
- 能力評価に関するヒアリングの取りまとめ
〔経過概要〕
- 事務局から人事異動について紹介があった。
- 事務局から配布資料の確認があった。
- 前回の議事録(案)が確認された。
- 事務局から配布資料2「生活者としての外国人」に対する日本語教育の教材例集について(案)について説明があり,教材例集のタイトルについて意見交換を行った。
- 事務局から配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)について説明があり,能力評価について意見交換を行った。
- 次回の日本語教育小委員会は1月24日(火)10:00から12:00まで旧文部省庁舎2階第一会議議室で行うことが確認された。
- 質疑応答及び意見交換における各委員の意見は次のとおりである。
- ○西原主査
- ただ今から,文化審議会国語分科会日本語教育小委員会で通算43回,今期7回の会議を開催いたします。
前回日本語教育小委員会からの作業について,12月22日に,第32回の日本語教育小委員会の日本語教育小委員会ワーキンググループを行いました。そこでは,主として能力評価について検討を行いました。特に前回日本語教育小委員会では,ポートフォリオを学習者の日本語学習動機の維持にどのように結び付けるかということについて御議論いただいたわけですけれども,それに始まりまして,レイアウト,それから,表現に至るまで,いろいろな点について御意見を頂戴いたしました。第32回日本語教育小委員会ワーキンググループでは,それをどのように最終的な報告に反映させるかということについて意見交換を行い,作業の打ち合わせをいたしました。
本日も後ろに来ていらっしゃる日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々が,精力的に作業を行ってくださいまして,それをまとめたものが,後でお示しする配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)になっております。それにつきまして,本日はいろいろ御意見を頂きまして,最終的なプロダクトとしても問題がないかどうか,御検討いただければと思います。
また,教材例集につきましては,先ほども御説明がありましたように,かなり分厚いものが配られていますけれども,様式とか内容につきましては,既に御了承いただいているところでございます。イラストやインターネットから写真を転載する部分については,まだ著作権処理等の作業が残っております。依然,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者に作業を続けていただいているところがあるのですけれども,特に本日は,タイトル等について御意見をいただければと思います。
まず,配布資料2「生活者としての外国人」に対する日本語教育の教材例集について(案)についてですが,多少内容が付け加えられて,作業が進んでいるということがお分かりいただけると思います。本日は,タイトルについてでございますが,問題なのは,「について」というところです。御記憶かと思いますけれども,ガイドブックを出したときには,「ガイドブックについて」ではなく,「ガイドブック」というものが出ていきました。今回,教材例集を世に問うということでございます。「について」が付いているのは,主として経過報告の最終報告のようなところには,これが付いてきたのですけれども,この分厚い教材例集を,もちろん冊子でも出しますし,それから,ホームページに載せて,閲覧及びダウンロードができるようなことになるわけです。そのときに,「について」というのはいかがかということで,御意見を伺いたいわけですが,いかがでございましょうか。 - ○岩見委員
- ほかと同じように,「について」は取って,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の教材例集」ということで,ガイドブックとカリキュラムとの一貫性を保つということでよろしいかと思います。
- ○西原主査
- 「について」があったほうがよいという御意見もございますでしょうか。
配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)の目次ページから1枚めくってくださると,<はじめに>があります。そこに,今まで,ポートフォリオの前に出す成果物について,既に先走って,「24年1月」に出したものとして,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の教材例集」となっているのですが,これでお許しいただけるものでしょうか。
ありがとうございます。ただ,その二つ先の平成22年5月に出されたものは,「カリキュラム案について」というところになっております。ですから,先ほどガイドブックのことだけを申しましたけれども,並びとしてはどちらでもありということでしたけれども,「について」を取ってよろしいでしょうか。
では,そのようにさせていただいて,「教材例集」としてこれが出ていくということで,御了承いただいたものとさせていただきます。 - ○杉戸副主査
- それで,最終的な仕上がりのときの改行という細かいことですみませんが,「の」を上と下のどちらに付けるかですね。「の」は上に付けたい。「教材例集」というのを1行にして,目立つようにした方がよいと思います。
- ○西原主査
- 2行にせずに,1行にするという案もありますでしょうか。
- ○杉戸副主査
- あります。これは,カリキュラム案がそうですよね。ガイドブックのこれが,「カリキュラム案」まで中央にして,その下に副題で,「ガイドブック」と書いてあります。ですから,1行にすると文字がかなり小さくなって,インパクトが弱まるという気がします。もし2行にすると,その点で,最終的にデザイン上の話であると思うのですが,迷います。ただ,2行にした方がいいということになったら,「の」は上ということだと思います。
- ○井上委員
- 我々も提言を作るときに,表題の付け方に苦労と言うか,工夫するのですが,ここだと,「日本語教育の教材例集」が一つの言葉とすれば,「対する」のところで改行してしまった方が,きれいに2行ではまる感じがします。標題を付けるというのは意図が明確に出ますので,そこはよく御検討いただければと思います。
- ○中野委員
- 昨年までですが,教材例集というのもカリキュラム案に属すると言うか,カリキュラム案をもとに作成したものですよね。とすると,ガイドブックと同じタイトルの付け方もあるのかなと思いました。つまり,「「生活者としての外国人」に対する日本語教育のカリキュラム案」としておいて,「活用のための教材例集」というか,三つがセットというようなこともあり得るかなと思ったんです。
- ○金田委員
- 私も,今の中野委員がおっしゃったことと同じように思っていました。
- ○西原主査
- つまり,ガイドブックと同じように,2行で「カリキュラム案」までを書いて,そして下にさらに,「教材例集」と書くということですね。
- ○金田委員
- そうですね。私自身は,「活用のための」というのを入れるかどうか,考えていたのですが,「教材例集」でいいかなと思います。
- ○井上委員
- 2ページのところに,全て流れが書いてありますよね。
- ○西原主査
- そうです。
- ○井上委員
- ここの言葉をうまく使った方がいいような感じがします。例えば,「教室活動を行う際の教材について検討する際の参考として」とすると長いのですが,もう少しタイトルらしく短くして,「○○の教材例集」としてもよいのではないでしょうか。
- ○西原主査
- それはいかがでしょうか。これについては,余りもう検討する余地がないと言うか,本日以降,余り出てこないと思うので,ぱっと見たときに印象のいいタイトルであればよいと思います。
一案は,配布資料2「生活者としての外国人」に対する日本語教育の教材例集について(案)にあるような,「教材例集」までのところを2行にする。それから,中野委員がおっしゃったのは,ガイドブックのようにして,教育のカリキュラムまでを書いた上で,「活用のための教材例集」する,そして,金田案は,「活用のための」じゃなく,「カリキュラム案 教材例集」とするということですね。 - ○中野委員
- 私も,「活用のための」はない方がよいと思います。
- ○春原委員
- 「活用のための」を取ってしまって「教材例集」とするのに賛成です。
- ○西原主査
- 「活用のための」を取って,「カリキュラム案」までを書いた上で,大きく「教材例集」とするということで,いかがですか,杉戸副主査,それでよろしいですか。
- ○杉戸副主査
- 結構です。
- ○西原主査
- では,そのようにさせていただきます。それが最終案として示されたときに,「これは…」というように声が大きく出ましたら,元へ戻すなり何なりということをしていただきますが,ポイントとかフォントの大きさというのは,お任せいただいてよろしいですか。事務局に任せていただくということで,よろしくお願いいたします。
では,そのことにつきましては,そのように作ってみるということで,よろしくお願いいたします。
この教材例集については,この日本語教育小委員会で取り上げるチャンスはないかもしれませんが,本日から今月末ぐらいまでの間に,何か気付かれたことがありましたら,御遠慮なく事務局の方にお知らせいただきたいと思います。校正に校正を重ねても,最終的に,また正誤表が出るというのがよくあることでございますので,それを最小限にするためにも,御協力をよろしくお願いいたします。もちろん日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々も,そのことについては頑張っていると思いますけれども,どうぞよろしくお願いいたします。
それでは,能力評価についての検討に移らせていただきます。先ほど,タイトルの話をしていただきましたので,配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)の一番最初を見ていただいて,今,それについて御意見を伺います。
まず,「ポートフォリオ」という用語ですけれども,前回,佐藤委員に伺いましたが,これは教員養成の課程において,同じようなものを平成24年度,来年度から使うことになるということでございました。そこで,「ポートフォリオ」という名前を使っているのかどうなのかということをお尋ねしたのですけれども,何か情報を頂けますでしょうか。 - ○佐藤委員
- 簡単に言いますと,履修カルテとポートフォリオという2種類に分かれています。
- ○西原主査
- 違うものとして,2種類に分かれているのでしょうか。
- ○佐藤委員
- ええ。教育実践演習では分かれています。
- ○西原主査
- これは東京学芸大学の場合でしょうか。それとも,文部科学省の教員養成全体の話でしょうか。
- ○佐藤委員
- 東京学芸大学の場合です。ただ,基本的には恐らく,同じような名称を使っているのではないかと思います。
- ○西原主査
- 全ての教員養成機関がほとんどということですね。
- ○佐藤委員
- 全てがその言葉を使っているかどうかということは分かりませんけれども,大体同じような評価システムをとっているはずですのです。「教育実践演習」という授業があり,4年生はこれが必修で,単位を取らないと免許は取れないというものなんです。
それを1年生から積み上げでずっとやっていくということになっており,一つは,履修カルテというものを作ります。履修カルテというのは,要するに教職の重要な科目,教職入門であるとか何々教科教育法というようなものについての成績が全部記載されている。二つ目は,1年生から担任制でやりますので,教員の評価がそこに入っていきます。
もう一つは,自己評価です。東京学芸大の場合には2学期制ですので,春学期と秋学期の終わりに,観点別で自己評価をしていきます。それはウェブ上に掲載して,ウェブ上で行います。
もう一つは,まさにポートフォリオということで,学生自身のボランティアであったり,実習であったり,インターンシップであったりしますが,その記録を,学生自身が記録として,これを取っておきます。これは紙ベースで学生に持たせていきます。そういうものは,2種類に分かれていて,最終的には,学生のポートフォリオと履修カルテでもって教育実践演習の評価をしていくというようなことなんです。ですから,「ポートフォリオ」という言葉を使っているようです。 - ○西原主査
- 分かりました。ただし,教科学習に関する限りは,ポートフォリオではないということですね。
- ○佐藤委員
- そうですね。履修カルテという名前です。
- ○西原主査
- 履修カルテというもので,学生は,ポートフォリオも履修カルテも,両方,自主的に記録していくことが求められると言うか,義務付けられる。
- ○佐藤委員
- ええ。ただ,履修カルテのほうは,ウェブ上に自己評価を年2回,自分で観点別に評価をしていくということのようです。
- ○西原主査
- 大学のホームページに,教員養成課程にいる教員を目指す学生は,全てアップするということですね。
- ○佐藤委員
- 全て,教員養成と言いますか,私ども二つ,教育系と教養系,ゼロ免制もそうです。1年生から,彼らが免許を取るかどうかが分かりませんので,そうすると,やはり1年生からそれを全部作らせていくことになります。
- ○西原主査
- 全ての学生がということですね。
- ○佐藤委員
- 全ての学生。ですから,平成24年度から1,065人,全てに対してそれをやるということですね。これは,他の一般企業等に就職する場合にも,逆に言えば,それをもって自分で振り返りをしながら,どう自分をアピールしていくのかというような記録として,配布資料として使わせていきたいということのようです。
- ○西原主査
- 分かりました。私どもの報告書に,その用語をどうするのかということですが,今の御説明を伺うと,一つだけ使う場合に,「ポートフォリオ」を使っていいのかどうなのかという問題が残るものの,ポートフォリオというのが,井上委員が最初におっしゃったように,就職のときにも見せられるようなものになるという部分については,私どもが考えていたことと共通であるということです。
ただし,学習の記録とか何とか言っている部分について,「履修カルテ」という用語が,どうも教員養成系では使われているらしいということが分かるのですけれども…。 - ○佐藤委員
- 10ページの「本冊子の全体構成」全体,この1番のところが,恐らく履修カルテで,説明だけですけれども,教師が使うものということで言えば,指導者向けの部分については,共有する部分ですから,「Ⅰ.能力評価(日本語学習ポートフォリオの活用)に関する説明」と「Ⅱ.日本語学習ポートフォリオを活用するための資料」のある部分に関しては履修カルテみたいなものになり,「Ⅲ.日本語学習ポートフォリオ」のところだけを「ポートフォリオ」と呼んでいると理解した方がよろしいかもしれません。ただ,これをうまく,こういう形では分かれていないと思いますけれども,いずれにしても指導者用の物が,最終的なチェック,あるいは最終的な評価を下していくための配布資料として,履修カルテというものがどうしても必要になるということですね。
- ○西原主査
- 分かりました。
- ○佐藤委員
- そこに自己評価を必ず加えさせていくということです。
- ○西原主査
- そして,私どもの用語としてはいかがでございましょうか。
- ○佐藤委員
- 一つだけ,「履修カルテ」という言葉については,我々も議論したんですが,病院みたいでやめようよという話なんです。「違う言葉はないか」と言ったのですけれども,学務の方で,「これが一番いいんじゃないか」ということで,「カルテ」になったようですけれども,あまり横文字ではない,もう少し軟らかい言葉にしようという話をしていました。
- ○西原主査
- 「ポートフォリオ」の方はいかがでしょうか。
- ○佐藤委員
- 「ポートフォリオ」はどうしても,学生の,我々としては,「学習の歩み」などにしたらどうかという話もしていたのですが,いつの間にかこれになっていたという状況ですね。
- ○西原主査
- 今後,平成24年度以降,教員養成系と言われる大学では,この二つの用語が使われるということですね。
- ○佐藤委員
- 課程認定を受けている大学,小学校,中学校の,いわゆる教職を受ける全ての大学に課せられるということです。
- ○西原主査
- 課せられることで,このような用語でまとめられていくのであろうということですね。
- ○佐藤委員
- そうだと思いますけれども,まだ我々も,他の教員養成系は分かりますけれども,一般の,いわゆる開放制の私立の大学等については,私も把握しておりません。
- ○西原主査
- 日本語教育の世界でも,「学習者カルテ」といったことを言っている人はいますよね。さて,こればかりをずっとやっているわけにはいかないので,何とか御意見をいただきたいのですけれども,井上委員はいかがでしょうか。
- ○井上委員
- 毎回,聞いていると,これでいいのかなと思います。
- ○西原主査
- これでというのは,「ポートフォリオ」でよいということでしょうか。
- ○井上委員
- 「ポートフォリオ」です。ただ,ポートフォリオといった場合,単に学習した記録だけではなくて,その出来栄えも含まれるわけですけれども,普通,芸術系のポートフォリオといった場合には,作品そのものと,作品のいいものをポートフォリオとして残していくという形ですね。
- ○西原主査
- 評価付きでということですね。
- ○井上委員
- 評価付きですね。例えば,それがどこかの賞に入賞したとか,そういう記録も含めてですけれども,何となくそういうものと比べると,もう少し地道なものかなという感じがするので,少し違和感はあることはあります。もちろん,いろいろな世界でいろいろな使い方をされる,汎用性の高い言葉なのだと理解すれば,「日本語教育の学習のポートフォリオ」でもいいのかなという感じはします。
- ○西原主査
- 春原さんはいかがでしょうか。経産省系としてはどうでしょうか。
- ○春原委員
- うちの職場と言うか,現場でもこれをずっと使っているので,私自身も何かこう…。
- ○西原主査
- これで全然違和感ないということでしょうか。
- ○春原委員
- 慣れてしまっているんですけれども,ただ,ユーザーが「生活者としての外国人」だし,それを支援するボランティアの人たちのことを考えると,先ほどの「学習の歩み」とか「学習記録帳」と言った方が,恐らくすっと来ると思います。こういう記録を付けるということ自体が恐らく,新しいことじゃないかと思うので,そういう意味では,新たなことをするんだよという意味で,少しがつんと来るかもしれないけれども,私は,「ポートフォリオ」でいいかなという気がします。
- ○西原主査
- 独立行政法人国際交流基金のJF日本語教育スタンダードでは,「ポートフォリオ」ですよね。
- ○西澤委員
- 「ポートフォリオ」という用語を使っています。
- ○西原主査
- 中野委員,いかがでしょうか。
- ○中野委員
- 私も同じです。慣れてきてしまって。何か新しいことをするには,言葉も新しい方が,いいのかなという気がします。
- ○西原主査
- 嶋田委員はいかがでしょうか。
- ○嶋田委員
- 私は,やはり引っ掛かっているんですね。もちろん現場では,「ポートフォリオ」を当たり前に使っていますけれども,広くいろいろな人たちが使うということを考えると気になります。しかも地域ということを考えると,これを学習者が使うとなったとき,50ページ以降の部分が多言語になるにしても,もっと何か,学習者の「私の評価」もあるわけなので,もっと使いたくなるような文言がいいのではないかなと思います。「ポートフォリオ」ではなくて,「歩み」かどうか分かりませんけれども,もっと身近な言葉の方がいいと思います。別に言葉で,確かに新しいことをやるんだという波及効果もあるかもしれませんけれども,そもそもこれをやること自体が新しいんだということを訴えれば,「歩み」的な言葉の方がいいという気はします。
- ○西原主査
- ただ,「学習の歩み」と言ってしまうと,何か…。
- ○嶋田委員
- 「歩み」が良いという訳ではないです。
- ○西原主査
- 「歩み」を使った場合ですが,「何の歩み」とするか,そこが難しいですね。
- ○嶋田委員
- そうですね。そうですが,「歩み」がいいというのではなくて,そういった,もう少し身近な言葉の方が,使いたくなるということです。それが,第一だと思っています。その言葉として何がいいかはまだ分からないです。
- ○西原主査
- 金田委員はいかがでしょうか。
- ○金田委員
- 私は,全然文脈が違う話ですが,授業の分析をするときに,複数の人がある授業に関してやり取りをするときに,それぞれがもう既に持っている用語というのがあるわけです。同じ言葉でも,使い方とか意味付けが人によって違う場合があって,それによっていろいろ誤解が生じて,話し合いがうまくいかないことがあるということを,私自身は散々たたき込まれています。ですので,ここでは思い切って新しい言葉を使って,その言葉の意味というものも考えながらやっていくということで,新しい展望が広がるかなと思います。私自身は,思い切って新しい言葉を使ってみてもいいかなと思います。
- ○西原主査
- 佐藤委員の御意見は,伺っていないのですがいかがでしょうか。
- ○佐藤委員
- 先ほどの事務局の提案のように,「ポートフォリオとは,こういうものです」と,一定の共通のイメージを持った上で使うのがいいのではないかと思います。そうすると,今,金田委員おっしゃったようなことも克服していけるのだろうと思いますし,かなり一般的な用語だろうと思います。よろしいのではないでしょうか。
- ○岩見委員
- 用語としては,新しい評価の概念を与えるという意味で,「ポートフォリオ」という言葉を使うということはいいと思います。ただし,やはり「ユーザーフレンドリー」になるように,もう少し書き振りを工夫する必要があるのではないでしょうか。何がポートフォリオなのか,そもそもなぜ,こういうことにしたかというのを,もう少し丁寧に書かないと,基本的な概念が抜けてしまうのかなという気がします。
配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)の14,15ページ,「日本語学習ポートフォリオの基本的な考え方は次のページのとおりです」で,次のページを見ていくと,最後に手続の方法として,「日本語使用の記録をポートフォリオに記述する」というのは,ポートフォリオが前提として,もう既にあるような書き振りなので,少しその辺りの工夫が必要じゃないかと思います。 - ○西原主査
- ポートフォリオとは何かということを,どこかに書くということですね。
- ○岩見委員
- そうですね。「そもそも…」というのをどこかに書くということです。
- ○西原主査
- 井上委員は,先ほど,ポートフォリオがいろいろ使われているのでとおっしゃいましたが,この場合,私たちの委員会の成果物としてはいかがでしょうか。
- ○井上委員
- 浸透させるという意味では,今でも使われているのであれば,しっかりと定義付けをして使ったらいいんじゃないかと思います。配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)の7ページに,「日本語学習ポートフォリオ」という欄があり,基本的には,学習者が自分で書いていくものですよとなっています。もちろん指導者の協力のもとに書いても構いませんと書いてあるのですが,基本的に,学習者自身で携帯・管理し,周りの人間に見せるかどうか,どの部分を見せるかどうかということについて,学習者の判断で行われる必要があるというのは,ここが,私が持っている概念のポートフォリオとは随分違うなと思います。
ポートフォリオというのは本来,人に見せるものじゃないかと思うんですよ。「ポートフォリオというのは,ここまで自分がやりました。指導者にも評価をこれだけしてもらっています」と。それがないと,何のためにこれを付けるのかという話になってしまいます。何らかのメリットがあった方がいいのではないかということです。メリットというのは,すなわち職が得られたり,学校に入りやすくなったりというようなことがあってもいい気がするんですが…。 - ○西原主査
- そうですね。東京学芸大の場合は,とにかくアップしないといけないわけですよね。
- ○佐藤委員
- それは,かなり個人情報になりますので,担当の教員が見られるというようなものに限定しております,履修カルテの方は…。
- ○西原主査
- 限定付きです。ただし,人に見せるんですよね。
- ○佐藤委員
- ただし,ポートフォリオの方は公開になります。
- ○井上委員
- 公開ですよね。
- ○佐藤委員
- これは完全に人に見せていいよということです。
- ○井上委員
- 例えばそれが,私,教員の採用のされ方というのはよく分からないんですが,例えば,公立ではなくて私立の学校で,転職するとき,私はこういうポートフォリオを持っていますと。
- ○西原主査
- それはこれから,私立であろうと,公立であろうと…。
- ○井上委員
- そういうのが必要なのでしょうか。
- ○西原主査
- いや,これからそれが活用されていくということです。平成24年度から始まるものになっているということです。
- ○井上委員
- だとするとこれも,やはりこのポートフォリオというのは,人に見せることを前提に作られるということではないでしょうか。
- ○西原主査
- 生活上の行為を獲得するという,そのことについての記録が作られていくわけですよね。そのことがどういうメリットがあるかということを,もう少し書いた方がよろしかろうという意味ですね。
- ○井上委員
- そうですね。これをしっかりと記録を付けることによって,さまざま日本で生活する上で,円滑な生活ができるだけじゃなくて,職が得られるとか,学校に入れるとか,そういった…。
- ○西原主査
- そうですね。それから,周囲の人との関係においても役立つでしょうというようなことですね。
- ○井上委員
- そういうことですね。基本的にはやはり努力の結果です。
- ○西原主査
- そうです。付けることにメリットがなければ,付けなくてもいいわけですよね。付けさせて,付けたいと思うようなことがあることが大変いいことですね。
杉戸副主査はいかがでしょうか。国立国語国語研究所では,書き換え案をたびたび発表なさって,「ポートフォリオ」の言い換えも,実はあったのかもしれないと思います。 - ○杉戸副主査
- ええ,ありました。しかし,言い換えで適切な言葉があれば,そちらを採用すべきだと思うんですが,今までの議論を聞いていて,どうやらそれはなさそうだと思います。私も最終的に,ここでは,「ポートフォリオ」を使うという意見です。
ただ,そのためには,本日の配布資料3「生活者としての外国人」に対する日本語教育における日本語能力評価について(案)の2ページの脚注の情報,ここに,「「ポートフォリオ」とは」ということで,辞書的な御説明が書いてあります。これをもう少し柔らかく,今先ほどの委員方の御意見も踏まえながら,おっしゃった「ユーザーフレンドリー」の姿勢で,本文の方に,具体的には7ページの,今,井上委員から御指摘があった,日本語学習ポートフォリオの項目の第1パラグラフ,第2パラグラフの辺りに改めて,ポートフォリオとはこういうものであり,今回提案するのはこういう意図であり,こういう使い方で,こういう情報を記述してくださいということをもう少し書き込みことが必要だと思います。つまり本文に書いておくというのが二つ目の条件です。
それから脚注をもう少しはっきりさせることが必要です。それから,7ページに補充をする。それから,成果物としての11ページ以降のところでも,「ポートフォリオ」というのが初めて出る箇所にも繰り返し,特に嶋田委員の御意見を踏まえて,場合によっては,「ポートフォリオ」という言葉は,地域とか学校によっては,「学習の歩み」とか「記録」というタイトルで作ってもいいんですよぐらいのことまで含めて書いておくという手当てをしておく,しかし,成果物として出すときは,この報告書としては,「ポートフォリオ」という用語を使うということでよいのではないかと思います。 - ○西原主査
- 11ページ以降のところ,または10ページから始まるところでも,ポートフォリオとは何かというところをどこかに書き込んでいくということです。
- ○杉戸副主査
- ええ。今は,それが足りないと思います。何となくポートフォリオが,審議経過報告で説明されたものが成果物の方にそのまま流れ込んでしまっている印象があります。
- ○西原主査
- 分かりました。
- ○嶋田委員
- 私も,その言葉を使うのに反対しているわけではありません。少し危険かなというだけなので,ポートフォリオでもいいと思います。今,杉戸副主査がおっしゃったように,これは読んでくれることが前提ではなくて,ぱっと目に入ったときに,違うんだということが分かるように,もっと最初に「違うんだ。だけど,こういうものなんだ」ということが分かるような説明がないといけないと思います。50ページのところ,実際に記録するとなったときにリストを見たときに,「ああ,大変」と思う前に,しっかりとした説明が必要かなと思います。
ですから,「ポートフォリオ」そのものに絶対反対ということではなくて,危険な部分を感じているというだけです。 - ○西原主査
- ありがとうございました。
- ○杉戸副主査
- 一言だけ,佐藤委員,学校教育では「ポートフォーリオ」という長音が入りますか。
- ○佐藤委員
- 「ポートフォリオ」です。もう一回確認しますけれども,恐らく入っていなかったと思います。「ポートフォーリオ」ではなく,「ポートフォリオ」です。
- ○西原主査
- では,一応,皆さんの御意見について,「ポートフォリオ」にするということで一致を見たとして,さらに説明が必要だという部分につきましては,最終校の前に,いろいろ工夫をしてみるということでございます。
- ○嶋田委員
- すごく,一目瞭然でぱっと見えるようにしてください。
- ○西原主査
- そのようにしたいと思います。以前に少し話をしていましたときに,国立国語研究所がいろいろと工夫をして,なるべく大和言葉ないし漢字で,片仮名語を言い換えようということで,冊子が二つ目まで出ました。
- ○杉戸副主査
- はい。外来語に関しての冊子と,後,病院の言葉もまとめました。
- ○西原主査
- その中で,言い換えに成功したものもあるけれども,うまく定着していないものもあります。
- ○杉戸副主査
- 残念ながら,どちらかと言うとそちらが多いかなと思います。
- ○西原主査
- そうですね。何かこう,片仮名として入ってしまって定着してしまうと,なかなかそれ以外の言葉にはなりにくいです。
例えば,「アクセス」なんていうのは,言い換えようもない。「クリック」とかもそうです。 - ○杉戸副主査
- 先ほどの国語研究所の仕事の中で,「アクセス」も考えたんですけれども,いろいろな意味合いを議論しているうちに,これは無理だということであきらめた用法もありました。もう,「アクセス」で定着するのを受け入れてもよいだろうということです。
- ○西原主査
- ですから,そのようなものに「ポートフォリオ」もなって,例えば教員養成系の課程でその言葉も使われるのであると,最初は定義が必要だけれども,これしかないよねということになっていくという可能性もあるかと思います。
そういうことで,ここでは「ポートフォリオ」を採用するということを結論付けさせていただきます。
次に,ローマ数字の「Ⅰ」から御意見を伺っていきたいのですが,事前に資料を拝見した際,一部がカラー付きに一部なっていました。色が入っているということで随分,ユーザーフレンドリーになってきているから,ロールプレイのタスクも,このような形にプリントアウトされていて,それから,書き込む,学習者自身で作ってくださるものについては,赤字で点々になっているところが,赤で例示されているのがこれでした。このページは,このように赤で例示されるというようなことになっていて,白黒では少し分からないのですけれども,かなり工夫ができているということでございます。内容につきまして,ローマ数字の1のところで,何かお気付きのことがございますでしょうか。 - ○杉戸副主査
- 表記上のことで,先ほどのポートフォリオの用語の議論につながるのですが,ローマ数字Ⅰに入る前の9ページで,これは成果物の見出しだろうと思うのですが,『 』で全部がくくられているんですね。目次の方もそうなっています。これは少し違和感があります。成果物だから『 』にしたのでしょうか。
私の意見としては,先ほどの「ポートフォリオ」というのが,新たな意味も込めて提案するような用語だということで,「日本語学習ポートフォリオ」というものを,少なくともこの報告書の最初で用いるときには,「 」で囲って出したらどうかという点があるんですね。
そのことを考えながら,例えば19ページ,ローマ数字の2で,日本語学習ポートフォリオを活用するための配布資料があります。そのときにも表題などでは一重かぎで「日本語学習ポートフォリオ」という示し方をした方がいいと思うんですね。そういう意見を持っている者からすると,9ページの二重かぎは,少し違和感があるというか,使わない方がいいということを思いました。 - ○西原主査
- そうですね。一般的な書誌情報のお約束としましては,出版された書物について,またはジャーナルのタイトルについて,二重かぎ括弧を使いますけれども,論文のタイトル,または注目を得るためのものとしては,一重かぎ括弧を使うというのが一般的な約束だと思います。そういう意味では,ここに二重かぎ括弧があるのは不自然です。
- ○杉戸副主査
- 9ページ以降は8ページ以前と切り離して一つの文章になるという段階で,それも引用されるときに『 』を用いるのはいいかもしれないけれども。
- ○西原主査
- ただ,平成22年5月からのものは,一重かぎ括弧で出ています。では,そこにまた工夫をお願いいたします。
内容についてはいかがでしょうか。ローマ数字の「Ⅰ」,これについては実はかなり,もんでいただいたという言い方をしていいのかどうか,こうしたらよいかとおっしゃることをかなり取り入れた形で,ローマ数字の「Ⅰ」が出ております。 - ○春原委員
- 細かいことなんですけれども,マークの統一という意味で,10ページの本冊子の全体構成で,網かけが指導者になっていて,17ページのほうで,学習者が網掛けになっているのを,この辺りを統一したほうがいいと思います。
- ○西原主査
- そうですね。17ページのスマイルマークも,10ページと同じ,点線が,学習者が振り返りの参考になるが,学習者が携帯する必要はない部分,そして,白マルが学習者になっているので,指導者と学習者の色及び,顔付きじゃないですね,書き方をここだけ突出して違わないようにするという御意見ですね。
- ○春原委員
- はい,そうです。
- ○西原主査
- ありがとうございます。これは説明部分なんですが…。
- ○岩見委員
- その10ページのところで,後にも関係するかもしれない。少し確認ですけれども,ローマ数字の「Ⅱ」で言った方がよいのか,ここの点線の顔の説明ですけれども,「学習計画や振り返りの参考になるが,学習者が携帯する必要はない部分」という書き方が,少しマイナスの書き方であると思うんですね。内容的に,生活の行為の一覧とか能力記述の一覧,ロールプレイタスクの例,学習者用のものと指導者用のものと,付いていますけれども,基本的にこれは,「指導者向けの」というようにはっきり,「主として」を付けるのでもいいですけれども,書いた方がいいのではないかと思います。
学習計画とか,活動方法とか,振り返りの参考とする配布資料,それはローマ数字の「Ⅱ」と少し重複するかもしれませんが,学習者そのものが,もちろん読める人は見て,参考にして構わないんですけれども,マニュアル的な要素を含んでいる内容だと思うので,かえって,「主として指導者向けの部分」とか書いた方が,はっきり分かりやすいんじゃないかという気がするんです。 - ○西原主査
- これを一緒に見ることが多いですよね。
- ○岩見委員
- 一緒に見るんですかね。
- ○金田委員
- 恐らく,岩見委員がおっしゃったのは,学習者が自主的にばっと見るということはなくて,指導者が提示して一緒にということになると思います。
- ○岩見委員 ええ。
- ○西原主査
- そうすると,参考資料とか,そこまで書いておけばいいのでしょうか。学習指導者に全部寄せてしまうのがいいのか,それとも,ここは点線のスマイルマークにしておいて,学習計画や振り返りの参考資料とか,参考にする部分とか,そうすると,違うでしょうか。
つまりここは,生活上の行為の事例とかが,空けていただくと書いてあって,能力記述がずっと続いていてというのがローマ数字の「Ⅱ」になるんですよね。それから,ロールプレイタスク例が続いていくということになっているわけです。この部分については,これも指導者に寄せてしまったほうがいいという御意見でしょうか。ただ,学習者と一緒に見る部分があるんですよね。 - ○岩見委員
- 指導者と一緒に,日本語の能力によってやり方が違うと思いますが,あるいは,本当に二つの顔を並べるという方が分かりやすいと思いますね。
- ○西原主査
- そうすると,ローマ数字の「Ⅱ」も,実践のスマイルマークにするということですね。
- ○岩見委員
- 二つですね。学習者の顔と指導者の両方で見るものですよと分かるようにした方がいいです。
- ○金田委員
- 学習者と指導者のマークを二つ並べるというのはどうでしょうか。
- ○西原主査
- そうすると,学習者マークと指導者マークを両方付けるということですね。
- ○岩見委員
- どういう使い道が多いでしょうかね。
- ○西原主査
- どちらがいいでしょう。
- ○金田委員
- このマークを,先ほどの何ページでしたか,同じようにしないで,このニコちゃんマークをあちこちに今回,使っているわけなんですけれども,ここは別に,先ほどの説明では,各ページに全てこのマークを入れる必要がないという結論に落ち着いたのであるならば,ここは思い切って,もう少しイラスト的に,ローマ数字の1番は指導者が見るもので,2は指導者と学習者が活用するもので,それは話し合いのもとにということでしょうけれども,3は学習者が使うものだということを,もう少しイラスト化してしまったほうがいいかなと。
- ○西原主査
- そうしたら,これはマークだけじゃくてよろしいと。説明でいいと。
- ○金田委員
- そうなんですが,説明的なイラストをもしつくれるのであるならば,それは…。
- ○西原主査
- ニコちゃんマークじゃなく。
- ○金田委員
- はい。あまり込み入ったことを私も考えているわけではなくて,学習者が書いている様子のフリーのイラストで,一緒に学習者と指導者が話しているようなシーンを表しているようなイラストがあればいいと思います。
- ○西原主査
- 横顔二つ。
- ○金田委員
- そうですね。各ページに全部絵を入れていくということになると,もっとシンプルにしないといけないと思うんですけれども,それはもうしなくていいということであるならば,ここでは,本当にシンプルなイラストでいいと思います。
- ○西原主査
- もともと日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の川端氏が作ってくださった部分ですが,スマイルマークが学習者と指導者で二分されています。そういうことで考えれば,二分した上で,二つ書くというのを真ん中にするのがよいのかもしれません。分かりました。では,そういうことでよろしいでしょうか。
- ○井上委員
- 恐らく,こういうデザインとか冊子の作り方のうまい方だと,本当にだれでも見て分かるような区切りの仕方をすると思います。それはある程度任せればいいと思うのですが,私が考えると,正に印刷する紙の色を全部変えていく。例えば,まさに学習者が携帯して自分で記入する,ここまでやったというものは薄いピンク色にしてしまうとか,ここはあさぎ色にするとか…。
- ○西原主査
- それができれば。
- ○井上委員
- それが一番理想なんですよね。
- ○西原主査
- そうですね。
- ○井上委員
- そうすると,例えば,お仕事を得ようとして職安へ行ったときに,ピンクの部分だけぱっと見て,「随分やっているね,君は日本語を」ということになって,「じゃ,こういうのどう?」と紹介してもらうとか,それを,一々マークを見ていると分からないですよね。
- ○西原主査
- まあ,それはそうですよね。
- ○井上委員
- 指導者の方がチェックするところも,これだけちゃんとチェックされているのかなんていうことが分かれば,面白いと思うんですが,それはやはり各地域で工夫されることだと思うんですよね。
- ○西原主査
- それもそうですし,もしホームページ上でだけでもその工夫ができるのであればいいですね。
- ○井上委員
- そういうのを色で変えたり,そういう工夫はされたらどうですかと書くのでよいのではないでしょうか。
- ○西原主査
- そうですね。例えばホームページ上で色付けるのは,お金かからないでしょう。
- ○井上委員
- 勝手に印刷する場合には,自分で背景色を出すか,出さないか,選択できますからね。
- ○嶋田委員
- ただ,それはすごくいいと思うんですけれども,ウェブ上で見るのはいいんですけれども,それをプリントするときは,モノクロのところが多いですから,やはり何か印がないと使いにくいかなと思います。使用する側からすると,結構現場はカラーではないので。
- ○井上委員
- あるいは,プリントをそのままして,カラー印刷すると分かるように,端の方に,ここのところに色を付けておいてあげると,そのままプリントするとその色が出るという形はあり得るかもしれませんね。緑色だったり,ピンクだったり。
- ○西原主査
- そうですね。では,全体カラーというのは宿題にさせてください。お金と手間が絡むと思うので。
それと,10ページは,金田委員がおっしゃるように,ここだけに現れるものなので,横顔両方ということで区別を付けるということで,よろしくお願いいたします。
2の方なんですけれども,2は,実は少し量が増えたということで,変わっていないんですね。工夫としましては,複数回,少なくとも2回は,50ページから始まるところにつきましては,先ほど説明がありましたように,こうやって書くんだよという1ページができたこと,それから,複数回できるように,それぞれが2段になっていること。2段になっていることによって,3回でもいいんだよということがわかってもらえるかどうかというのは,少しこれも分かりませんけれども,これ以上膨らませることは冊子上ではできないということで,ずっとこれが生きます。
いかがでございましょうか。その辺りについて,今の印象で結構なのですが,その後ろに,77ページから配布資料が出てきます。これは,一番最初のカリキュラム案の報告書にあったものを,そのまま転載しているということでございます。いかがでしょうか。この調子で進んでいってよろしいでしょうか。
まだ最終ではないので,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の皆様方に作業を続けていただく部分もまだ残っていきますけれども,ローマ数字のⅠ,Ⅱ,Ⅲ ,この辺りでよろしいでしょうか。 - ○春原委員
- これを読む人が,日本語教育の専門家ではなく,地域のボランティアの人も多いことを考えると,もう少し用語に,説明を加えるか,易しくしてあげた方がよいと思います。例えば「ストラテジー」という言葉がすっと入ってくるかどうかというと,恐らく,引っ掛かってしまう人が,例えば24ページの能力記述の部分で,ここは一重かぎ括弧が付いているんだけれども,これは脚注は特にないですが,こういう部分をもう少し丁寧に説明してあげた方がいいんじゃないかなという気がします。
- ○西原主査
- これ,書き換えられますか,24ページの「ストラテジー」。うまく日本語を使って,「生活上の行為を行うことができない場合の何とかも」ということもありますね。
- ○春原委員
- 能力記述の部分は脚注が付いていますよね。だから,そんなにはいらないかもしれませんが…。
- ○西原主査
- ストラテジーにも脚注を付けるということですね。
- ○春原委員
- その方が,恐らく,普通の人がぱっと見て,コミュニケーション上のストラテジーというのは,ぴんとこないんじゃないかなという気がするんですね。これは一例なんですけどね。
- ○西原主査
- 分かりました。専門用語っぽいものには,脚注が付いているとありがたいなということでしょうか。この「ストラテジー」だけでなく。
- ○春原委員
- はい,そうです。
- ○西原主査
- 先ほど嶋田委員が,もう当たり前に使っているのでとおっしゃったけれども,日本語教育業界にいると,むしろ気付かないことがたくさんあります。これを読んでいただいて,「これ,何?」と言われたところは脚注を付けると言うか,それが親切だという御意見ですね。
- ○春原委員
- はい。
- ○嶋田委員
- 当たり前なので,逆にいろいろな手あかも付いているので,違う言葉の方がいいという意味で申し上げました。
それから,当たり前過ぎていて,もう一つ申し上げたかったのは,私は去年から入ったので,その前の経緯が分からないんですけれども,恐らく,カリキュラム案を作るときというのは,指導者を対象にしていたと思うのですが,今,春原委員もおっしゃったように,全体として,用語も難しいと感じます。特に,50ページ以降は学習者も使うわけですよね。
ですから,もっと易しいと言うか,易しいというのは,もちろんこれとカリキュラム案のところが全部リンクするわけですけれども,キャンドゥーステートメント,こういうことに関しても,もう少し違う説明がないかなと思っていました。
例えば51ページで,こちらと全部リンクするわけで,これとリンクするんですけれども,教材例,何と言うのでしょうか,ここで学習者が,実際に付けていくわけですよね。 - ○西原主査
- これはロールプレイですから,そのロールプレイの結果を話し合いの上で付けていくわけですよね。
- ○嶋田委員
- それで,これを学習者が持つわけですよね。
- ○西原主査
- ええ。それで,それは教員と一緒に付けます。「本日どう?」というところから始まり,だったら「これですよね」というようなことになります。学習者が,教員のいないところで付けるとか指導者のいないところで付けるわけじゃないです。
- ○嶋田委員
- 分かります。なんですけれども,やはりこれ,学習者が持っているわけですよね。
- ○西原主査
- そうです。
- ○嶋田委員
- だとしたら,持っていて楽しいというか,何をするという記述は別としても,何か工夫があったらよいかなと思います。
- ○西原主査
- 例えばどういう工夫ですか。
- ○嶋田委員
- それは,今すぐは分からないです。ただ,今まで,春原委員がおっしゃいましたが,日本語教育の専門家が作っていたので,それを地域の人たち,支援者,そして学習者がどうやって使うのかなと思いました。そちらの目線から見ると,少し遠く感じるなと先ほどから思っていたんです。もちろん付けるときは,そうやって,「今できたね。やって御覧」と言って付けると思うんですけれども,もっとそう言ってということですよね。少し何かないかなと思いました。それからもう一つ,前に私が何度か申し上げたことで,ロールプレイタスクの結果を付ける欄を2段にしていただいたのはうれしいんですけれども,ここがもう少し見やすくならないでしょうか。よくよく見たら,2段になっていたという感じなので,もう少し線の太さを変えるとか何かの工夫がいると思います。
- ○西原主査
- 実線になっているのと点線になっているところですが…。
- ○嶋田委員
- なってはいるんですけれども,ぱっと見たときに少し分かりにくいと思いました。全体をやったときに,どちらに付けたのかというようなところは,常に2段付けるわけじゃないと思うんですけれども,もう少しだけ工夫があるといいかなと思いました。
- ○西原主査
- 実際には,この冊子をそのまま使うのではなく,ホームページからダウンロードするような形で,各地域がそれぞれのものを作ると思うんですね。そのときに,レイアウト上の工夫をそこでやっていただけばいいのですけれども,それをもう一回言うのですかね。各地域でレイアウト上の工夫はご自由にどうぞというような,または,自由にやってくださいみたいなことを書いていくというので,これが二重丸じゃなくて,バラ,チューリップ,サクラになったり,松,竹,梅になったりするということがあり得るわけですよね。
- ○井上委員
- このときは,振り仮名は必要ないんですか。それはまた,各地方の機関で工夫するということですか。
- ○西原主査
- 事務局にお伺いしますが,これに総ルビをかけると,一括ルビつきになるものでしょうか。
- ○井上委員
- 全部,一つずつ設定していくんでしょう。
- ○西原主査
- 一つ一つ設定していかないといけないですね。
- ○山下日本語教育専門職
- ある程度まとめてであれば,数行ずつぐらいであれば,ルビを付けられます。
- ○西原主査
- でも,ルビを付けると膨らみますよね。
- ○山下日本語教育専門職
- 量は増えます。
- ○井上委員
- そもそも生活者としての外国人にしては難しい言葉がたくさん使われています。
- ○西原主査
- ただ,これは,カリキュラム案のときから使っている用語なんですね。
- ○井上委員
- だから,仕方ないんですけれども…。
- ○金田委員
- よろしいですか。私自身は,ここの今,日本語で書かれているところは,本当に日本人に見せるとか,指導者のためのものであって,学習者自身がこれを日本語でそのまま見るということはイメージしていませんでした。
最後の方に配布資料で,要は,生活上の行為を5言語に翻訳した部分があるんですけれども,これは少なくとも今現在,日本に住んでいる,地域で学習する人たちの言語の主だったものが上がっているわけですね。なので,例えばこの2ページ分のものを常に参照しながら,もし工夫できるようなところがあるならば,この表自体,全部,中国語なら中国語に置き換えてもらって,学習者はそれを見ている。でも,指導者は全部の言語が分かるわけではないので,ローマ数字の1番とか,01とか,(01)とか,この番号を見ながら,お互いに話していることが何なのかというのを分かり合いながら,記録を付けていく,計画も立てていくというような使い方かなと思うんですね。
この言語が学習者全てに対応できるわけではないので,教室によっては,もしかしたら,例えばタガログ語のバージョンも含まれていなくてはいけないとかいうことは,起こるとは思うんですけれども,そういうことも可能な範囲で作成していただきながら,活用してもらうということがいいかなと思います。
やはりここは,自分の学習を計画したり,自分が何が,どこまでできるようになったかということを確認することがすごく大事なものなので,そこを無理に日本語でやる必要は全くないと思いました。 - ○西澤委員
- そこのことをここに書いてあげれば,巻末にちゃんとそれぞれの言語があるし,必要であったらほかの言語も追加して,事柄が分かるようにしてくださいということをここに書いてあげたほうが丁寧ではないかという感じがします。
- ○西原主査
- 分かりました。そうすると,51ページの生活上の行為の事例のリストの後ろに,括弧して,ここの巻末も参照してください。巻末,分からないときは終わりのリストを見てくださいみたいなことを書いておくということでしょうか。
- ○嶋田委員
- 思い付きなんですけれども,でも,やはりこれ,学習者が持つと思ったときに,例えばですけれども,量は増えちゃいますけれども,スペースは。日本語はこれでいいとして,下のところに余白を作って,自分でそれを書き込むなり,後ろに母語がありますよね。それを入れるなりしておくとよいのではないでしょうか。
これで,日本語ではやはりとても難しいと思うので,後ろにあるよといっても,例えばここに余白があれば,それぞれの余白をもう少しあけておけば,そこにペーストすることもできるし,自分で書き込むこともできますよね。そうすることで,自分はこのときこれができたんだというような達成感とか喜びが出るのかなとふと思ったんです。 - ○西原主査
- 私も前のときに,メモ欄,備考欄をこの右端に置いておくというのを提案したんですけれども,どうもスペースの関係上,これ以上入れ込むのは難しいということで,その案は却下されています。
- ○嶋田委員
- でも,学習者の視点に立ったら絶対,それがあれば,幾らこっちが難しくても問題ないし,それが段々結び付いていきますよね。これがあのころできたんだ,今度,2回目に1年後にやったらこうだったよね。そのときは日本語を読めるかもしれないというような,持ち手が学習者なのだということを考えると,右端でも下でもいいですけれども,何かあるといいかなと思います。
- ○金田委員
- 恐らく,工夫の仕方はいろいろあると思うんですね。それで,もし私だったらですけれども,私はこれと全く同じように,中国語版とかポルトガル語版を作ります。
- ○嶋田委員
- 作っちゃって,なるほど。それを持っていればいいということですね。
- ○金田委員
- それを,なおかつ,透明のシートに印刷してしまって,ここに重ねると,ちゃんとポルトガル語で,ここにはもうマルが付いている。でも,ぱっと開くと日本語が読めて,「ほら,ここはもう丸が付いています」というように見せられる,私だったらそうすると思うんですね。恐らく,工夫の仕方はいろいろあるので,それは,ポートフォリオの使い方の説明のところなどに,書くことはできると思います。
- ○嶋田委員
- しっかり書いていけばいいかもしれませんけれども…。
- ○金田委員
- 書いておけば,来年度,またいろいろな普及活動があると思いますけれども…。
- ○西原主査
- 恐らく,これに対しても,普及活動がある,または,指導者研修のようなところでは,少なくともいろいろな実践事例,先行事例等を紹介しながら,こんなふうにも使えますよねみたいなチャンスはあるわけですよね。
- ○山下日本語教育専門職
- これまでも,カリキュラム案とか,ガイドブックとか,機を見て紹介して,説明して,プログラムに取り込んでということをやっておりますので,少なくともそういう流れはあります。ただ,これだけを特別に扱う研修が新たに立ち上がるかという話になると,それは少し難しいのかなと思います。
- ○西原主査
- そうですね。それと同時に,例えば,みんなの教材サイトのように双方向でやり取りできるようなものが,ポータルサイトにそういう場が与えられるといいですよね。それを管理するのは大変ですけれども,レスポンスしなくてはいけませんし,まとめなくてはいけませんし…。ただ,そういうものがあると,そこでいろいろとやり取りしながら,意見交換ができたり,こんな工夫もできたよというようなことが言えたりするといいですよね。
全くそういう,コンピューターに触れない人というのはだんだん少なくなってきていると思うので,このごろの若者たちは,小学校からそれが教科になったりしていますので,若者と言うか,子供たちは,そのようなことで,育ってくる世代を期待すれば,そういうところの工夫で,今,嶋田委員がおっしゃったようなことはだんだん可能になります。 - ○嶋田委員
- でも,普及活動はすごく大事だと思うんですけれども,これを手に取ったときに,使いたいかどうかという,普及活動もなかなか数が限られますよね。だから,例えば,報告書と言うか,冊子のときに,こんな使い方もあるよといったことを,今の金田委員の意見のようにビジュアルで,中国語で全部書いてあって,こうなんだとか,実際にマルを付けて,こうやって例とか,そういうのも載せたりすると,もっと身近になるんじゃないでしょうかね。
- ○西原主査
- 嶋田委員おっしゃられるようなことは恐らく,第二段階になるのではないかという気がします。つまり,これはあくまでも報告書なので…。どう使うかということを,実はガイドブックも,ガイドブックなんですけれども,あれも報告書なんですね。それぞれがよい使い方をするためには,広報活動に依存するところがとても多くて,そこのところが実はフォローできていないということはあると思います。そういうことで,今回,あまりこれをごちゃごちゃさせるというのは,少し避けたいと思います。
- ○嶋田委員
- 分かりました。
- ○西原主査
- 少なくとも,この短期間にそれをまとめていくということのためには,難しいかなという気がいたします。
- ○中野委員
- 51ページから60ページまでのリストは,報告書では日本語で私はいいと思うんですが,ここに,各国版リストはホームページ掲載ということで,ホームページにここを全部,もう原稿はあるわけですから,評価すればいい話なので,載せておいてあげることは最低限できるんじゃないかなと思います。
- ○西原主査
- そうですね。もう少し工夫が必要ですというのは,これは最初よりも書き加わっているので,その部分は実は翻訳はないんですね。ですから,その部分を翻訳した上で,ここに入れ込んでいくということは,ホームページ上であれば,恐らくそんなに難しいことじゃないし,全部翻訳し直すわけじゃありませんので,そういう御意見があったということを記録にとどめておいてください。
では,最初の9ページのところを残りの時間で御検討いただきたいと思います。 既に杉戸副主査から,7ページに加えるべきこと,それから,春原委員からも,脚注に加えるべきことのようなことが示されています。
この日本語教育小委員会が今までやってきた仕事,この評価に関する仕事というのはこういう形ですということになるわけですが,全体的にいかがでしょうか。事務局としては本当によくまとめてくださったと私は評価するのですけれども,さらに,こういうこともあった方がいいのではないか,あるいは,こんなことはない方がいいのではないかというようなところがありましたら,残りの時間10分になりましたけれども,何かありますでしょうか。 - ○春原委員
- 1ページ目の<はじめに>の下から二つ目のパラグラフで,「一方で」で,ここ,ネガティブな書き振りではなく,例えば,「雇用条件が不安定な外国人が」というふうに始まるんだけれども,これはもう少し,「外国人がよりよい仕事を求めて移動した際に」とか,少しポジティブな表現に変えた方がいいような気がするのと,それから,同じところで3行目に,「カリキュラム案や教材例集の提供だけでは十分に対応できない」という否定的な言い方ではなく,「カリキュラム案や教材例集にともに」とか,「さらに加えてこれを」みたいなプラスの表現に変えた方がいいんじゃないかなという気がします。
- ○西原主査
- 確かに。では,ここのところはよろしくお願いいたします。雇用条件が不安定じゃない人もたくさんいるんですよね。
- ○春原委員
- 日本人も不安定です。
- ○杉戸副主査
- 細かな点ですけれども,用語の確認ですが,1ページの,今,春原委員も話題にされたパラグラフの,全体としてページの下から数えると,7行目でしょうか,「立てるための全体像を提供する」というのがあります。この「全体像」という言葉は,下から2行目にも出てくる。わりにポートフォリオを説明する上で重要なんですが,これは,言葉を補うとしたら何の全体像,「学習者の全体像」と言葉を補って大丈夫なものでしょうか。
学習したこと,その経歴とか履歴も含めた,あるいは成績も含めた学習者の全体像。一番下の2行分が,「の」が5つ続いているんですね。これをもう少し,言い換えと言うか,手を入れなきゃいけないと思っているのと,「全体像」という言葉をぴちっと理解した上で,手直ししたいと思って聞くんですが。 - ○山下日本語教育専門職
- 一番最初にタイトルの話で,そもそも「ポートフォリオ」という言葉を使うのかとか,あと定義をどうするのかといったことと,今の表現の部分は関係すると思うんですが,本当に暫定的なものとしまして,2ページの脚注の部分に,「「ポートフォリオ」とは学習成果・記録などをある規準に沿って系統的・継続的に収集したもの。学習者の成長や変化を把握することができる」と,とりあえず事務局の理解として書いているものがあるのですが,ここの部分の表現を,本小委員会として,どうポートフォリオをそもそも定義するかということと,あわせて議論する必要があるのかなと思っています。
- ○西原主査
- 「ポートフォリオ」という言葉がここではぽんと出てくるので,「何とかするポートフォリオ」というふうに,ポートフォリオを説明するような形で前に文章があると,より分かりやすくなりますよね。そうすると,「全体像」などという言葉を使わなくてよいので,注にあるようなことが,もしかしたらそのまま転載されて,「ポートフォリオ」という言葉を修飾するという形で導入されれば,説明抜きで「ポートフォリオ」がぽんと出てきた印象はなくなるかもしれないですね。
- ○杉戸副主査
- 現状で,先ほど話題にした1ページの下から8行目あたりの「いずれも」で始まる3行分は,ポートフォリオを,最初に用語を使うときに説明した方がよいでしょう。
そういった機能を備えた「ポートフォリオを開発する」のその前が,先ほどの「全体像を提供すること」までなんですね。それが説明の大体2行半分ぐらい使っているんですね。そこなので,非常に重要なポイントだと思って,先ほど言いました。
ですから,ここの表現と先ほど事務局がおっしゃった2ページの下の脚注とが,そんなに距離なく,隔てなくされていないと,読みづらい,受け入れづらいということになると思います。 - ○西原主査
- <はじめに>の部分ですね。
- ○杉戸副主査
- はい。
- ○西原主査
- ですから,これが1ページでおさまると,編集者としてはうれしいということになるんですが,これはおさまらなくてもよろしいでしょうという御提案と考えてよろしいですか。
- ○杉戸副主査
- はい。最後の10行ぐらい,重複もあるので,ひょっとしたら減るかもしれない。
- ○西原主査
- 分かりました。では,それをお願いいたします。
- ○嶋田委員
- 7ページの一番最後の下から3行目なんですけれども,「いずれの様式も固定化されたものとは捉えていない」の後のところが,「状況に応じ,工夫を加えていくことを期待する」というのは,少し上から目線の感じが私はしてしまうので,むしろ,「捉えていないので,さまざまな使い方が可能なのだ。だから,それをみんなでシェアしていくことが望まれる」とかそういう,少し書き方を変えたらいいかなと思いました。
- ○西原主査
- その他,ありますでしょうか。
- ○佐藤委員
- ポートフォリオの定義を,辞書的に定義するというよりは,例えば脚注のところで,「記録などをある規準に沿って」と,実は,ある規準の「ある」が問題で,どういう規準に沿って,実はここでは系統的・継続的に収集したんだというところを,少しそういった説明が加えられるとよいと思います。
- ○西原主査
- そうですね。この場合は,生活上の行為というのを目的としているわけです。
- ○佐藤委員
- そうですね。そうだと思います。ですから,そういうところで,もう少しここを文脈に沿って説明していただいたほうが,辞書的なよりもはるかによろしいんじゃないかと思います。
- ○西原主査
- これは辞書的な説明になっていますよね。どなたか,何でも結構です。お気付きの点を,これは疑問ということも含めて御指摘いただければ,今の段階ですとまだ修正が可能です。
日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々からも,もし何か,これでは違うだろうというような御意見がありましたら,どうぞお聞かせください。
これも,ここはすっ飛ばして,その次から読んでくださる方が圧倒的に多いかなとは思うものの,やはりこれは有識者の方にぜひ,または,読んでくださることをぜひアピールしたいというところでもありますよね。だからこそ最初に付いている。 - ○西澤委員
- 最後の8ページのところの課題についてですが,全く並列的に課題である,課題であると多くの課題が示されています。その中の優先度とか,検討の順序とか,そういうことをある程度示した方がいいんじゃないかなという感じがします。
- ○西原主査
- そうですね。それから,文化庁国語課ないし,だれが国語の発展を責任を持つのかみたいなことについても,ごくごく間接的にでもいいから,少し書かれているといいというところがありますね。
役所というのは,予算がついて施行可能になったことしか書けない,見込みは書いてはいけないということではありますけれども,その課題はどうしたらいいのかといったことが,少しでも書かれていると,少し希望が見えるというところはあります。 - ○嶋田委員
- あと,私も今,8ページで同じようなことを思ったんですけれども,特に,今後の課題としてはこの3点あるとした上で,最初の指導力評価についての検討というのが,今後,柱になっていくかもしれないわけですよね。なので,これはただ2行だけではなくて,今までもずっと挙がっていたということなので,もう少し詳しく,特に指導力評価のところについて書くといいと思います。今,こんな背景があるとか,とてもいろいろなことが言われていますよね,地域日本語教育。だから,そのことを少しでも触れて,だから今後,これも検討していく。それと,今までやってきたことの続き,つながりというところが見えると,インパクトがあるかなと思いました。
- ○杉戸副主査
- 細かなことですが,5ページから7ページにかけて,行為の一覧が多言語版で巻末に掲載してあるということが書いてあります。ここに,項目番号というんでしょうか,数字のコードですね。これがそれぞれ対応しているという情報を付けたいと思いました。
それは,もう一段階前の本日の議論で,51ページの生活上の行為の事例のリストが出るときに,この表の上に,西澤委員が,巻末の多言語版があるということも注記したらどうかとおっしゃいました。それに賛成なんですが,そのときに,ぜひ項目番号が対応しているということをはっきり書いて,忘れないように書いた方がいいという意見です。それはもう審議経過報告の7ページからやっておいていいんじゃないかと思います。 - ○西原主査
- これが生活上の行為の当面の学習してほしい事柄の全体ですよね。そこのところは,確かにその存在をアピールしていくということは必要だし,先ほど中野委員からも提案があったように,後ろにリストを作ったときにはまだなかったものを,今度,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の御協力で随分加えていただいていますので,もっと詳しくしていただいて,その部分の翻訳を何とか心掛けるということが,今,予告する必要はありませんけれども,できればその部分も加わった形で,後ろの多言語版がより充実していくということはありますよね。
少し時間もなくなってきましたけれども,教材例のところでも申し上げましたけれども,さらに,もう一度広げて見たら気が付いたということがありましたら,ぜひ,なるべく早く事務局の方にお伝えいただければと思います。 - ○中野委員
- 37ページのフローチャートですけれども,もう少し整理できるのかなというのは,4段階,右側にありますね。「もう一息」というのが三つ並んでいるんですけれども,これをあえて分ける必要があるのかと思いました。
非常にシンプルに言えば,学習者の言っていることを,反応も含めて,それができていれば,「何とかできた」だと思います。学習者は最低限の目的を達成できましたかという質問に対して,配慮があればできたというのは「何とかできた」で,配慮なしでもできたのが「できた」というところが,すごく分かりにくくなっていると思います。 - ○西原主査
- これは,39ページの二つの表現に呼応していますよね。「最低限」という言葉の意味ですけれども,39ページから始まるロールプレイタスク例の一番下に,この場面で期待される「最低限の目的」ということがあって,最低限というのは,ここで示されている最低限のことですね。
- ○中野委員
- そうですね。
- ○西原主査
- それを見てみますと,一方的に伝える,伝える,伝えるになっていると思うんですね。そのときに,伝えることが分からなくてということでしょうか。配慮が必要だったというのは,ここもできなかったということです。
- ○中野委員
- 今,細かく1から5まで分かれているんですけれども,それによって,例えば3を取り上げると,右側に,「達成できたとは言えない」というのがあって,今度,3から4の間に,「達成できた」というのが入っていますね。
- ○西原主査
- はい。
- ○中野委員
- これが右と下に分かれているんですけれども,さらに,「配慮は必要でしたか」というのが出てきて,「配慮は必要だった」,「不要だった」ということです。
- ○西原主査
- そうですね。そうするとここは,「最低限は達成できた」にしておかないと,分かりにくいですね。
- ○中野委員
- そうそう。最低限達成できましたかという質問に対して,配慮があればできたのが,「何とかできた」で,配慮なしでもできたのが,「できた」だと思うんですね。最低限以上が,「よくできた」になります。
- ○西原主査
- 恐らく,そうではなく,「達成できた」と真ん中に書いてあることは,最低限はできたというところなので,そこから下は,それ以上のことについてなのではないでしょうか。
- ○日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者(宇佐美氏)
- フローチャートですから,上から下に流れで見ていくものです。ですから,3番のところでは,達成できましたかということで,そこに配慮があったか,なかったかは一切関係なく,とにかくできていれば,少し矢印のこれが出ていないので,分かりにくくなっているのかもしれないですけれども,そこは,だから,上から順番に見ていっていただければいいので,そこで,そういうことができたか,できなかったかということで,それで,教育していくということですから。
- ○西原主査
- 分かりました。それで分かりますでしょうか。
- ○中野委員
- もちろん分かるんですけれども,「達成できた」とかいう文字が書かれている場所が,普通は,質問に対してイエス,ノーというふうにして,次,また進んでいくという感じになるんですけれども,質問と質問の間に,「達成できた」と書いてあって,右と下に分かれています。ですから,矢印にしたらいいのか,よく分からないんですけれども…。
- ○金田委員
- この部分は,いずれにしても整理が必要だと私も思いました。それは少し別の問題もあって,「もう一息」というのが3回も出てきますね。ただ,「もう一息」はそんなに重要ではなくて,「もう一息」というのは,実はできなかったんですよ。できなかったことは,実は達成の記録のほうには記録しない。今の様式だと,記録しないことになっているんです。
ここで問題になるのは,「何とかできた」というのと,まあ,「できた」というのと,「よくできた」という,その3段階なんですね。なので,そのことがフローチャートでしっかり分かるように,シンプルにしておいた方がいいかなと思いました。 - ○西原主査
- ここまで記述の必要なしとか書いておくということでしょうか。
- ○金田委員
- と言うか,これをもっとシンプルにしてしまうということです。「もう一息」というのも,3段階にする必要はないと私は思っています。むしろ,できないことをロールプレイとしてさせようというのは,少し間違いだということで,いろいろ活動をやってきて,このぐらいはもうできるでしょうという,そこに行ってようやくロールプレイで,そのときに,何とかできたというのと,それなりに助けがなくてもできたというような,その辺りの区別ができるというのが大事かなと思います。
- ○西原主査
- 分かりました。では,このページにつきましては,日本語教育小委員会ワーキンググループ協力者の方々にもう一度,お話し合いいただいて,時間はないですけれども,もう少しシンプルにと金田委員がおっしゃったような方向で書き直す。
それでよろしいですか,中野委員。 - ○中野委員
- はい。
- ○西原主査
- では,これにて終了とさせていただきます。御協力ありがとうございました。