議事録

文化審議会国語分科会日本語教育小委員会(第45回)議事録

平成24年4月27日(金)
11:00 〜 12:00
文部科学省3F2特別会議室

〔出席者〕

(委員)
石井,伊東,井上,加藤,小山,佐藤,嶋田,杉戸,中野,西澤,西原各委員(計11名)
(文部科学省・文化庁)
早川国語課長,小松国語課課長補佐,鵜飼日本語教育専門官ほか関係官

〔配布資料〕

  1. 小委員会の設置について
  2. 文化審議会国語分科会日本語教育小委員会委員名簿
  3. 文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の会議の公開について(案)
  4. 日本語教育小委員会における審議スケジュール(案)

〔参考資料〕

  1. 文化審議会国語分科会運営規則
  2. 文化審議会国語分科会の会議の公開について
  3. 文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について

〔経過概要〕

  1. 事務局から配布資料の確認があった。
  2. 文化審議会国語分科会運営規則に基づいて,委員の互選により,西原委員が日本語教育小委員会主査に選出された。
  3. 文化審議会国語分科会運営規則に基づき,西原主査が杉戸委員を副主査に指名し,了承された。
  4. 事務局から,配布資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の会議の公開について(案)」の説明があり,了承された。
  5. 事務局から,配布資料4「日本語教育小委員会における審議スケジュール(案)」,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」について説明を行った。
  6. その後,委員から挨拶・意見をもらった。
  7. 次回の日本語教育小委員会の日時と場所については,日程調整を行い,各委員に連絡することが確認された。
  8. 各委員からの意見等は次のとおりである。
○西原主査
今期の日本語教育小委員会について,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(1)の赤字で書いてあることにつきましては,恐らく昨年からの続きの課題,これでも非常に大きな課題でございますけれども,昨年からの延長線上にあるということは御存じだったと思いますが,(2)の課題,ここにこそ,委員の皆様方の御見識と活発な御意見を闘わせることが期待されるわけでございます。この部分については,新しい展開を今要請されたというところでございます。
詳細について今回は議論ができないのですが,何か御質問がありますでしょうか。よろしゅうございますか。6回で収まるとはとても思えないような課題を背負ったということで,いろいろと御相談をさせていただきながら,日本語教育小委員会ワーキンググループ等のことを相談させていただきたいと存じます。
せっかくの日本語教育小委員会でございますので,この残りの時間を使って,どのような御意見でもよろしゅうございますので,この国語分科会日本語教育小委員会に対して,あるいは,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」で示されている課題に対し,どのような御意見,御抱負をお持ちかということを,お一人ずつ短く発言していただけたらと思います。
○石井委員
日本語教員等の養成・研修について,これまで文化庁から様々な報告書等で発信が出てまいりましたけれども,やはり多様化の状況の中で,特に学校という教育機関に所属しない人たちの学習を,いわゆる学校教育的な学習の枠はない形で捉えること,そこから教員と言いましょうか,その学習を組み立てたり,サポートしたりする立場の人間にどういう能力が求められるかということをよく見定めないといけないと思います。かなり大きく学習観そのものを吟味し直すことが必要なのではないかということは,ずっと考えていることでございます。余り具体的なことを今の段階で申し上げられませんけれども,そのようなことを考えております。
○伊東委員
前期は,日本語教育における日本語能力の評価について検討しました。今期は日本語指導力に関する評価ということで,昨年から対象が異なりますが,評価ということについて,更に皆さんと議論を重ねていきたいなと思います。ただ,学校で日本語を教えている人たちの日本語指導力ではないので,これまでの日本語の指導の在り方とか,そこでの指導力というのとは,また別の次元で考えなければいけないなと思っています。多面的にこれまでの枠を外して考えていけたらよいのではないかと思っています。
それと,先ほど,事務局からの説明で,今年1月及び3月に開催された日本語教育推進会議で出された課題を今まとめていらっしゃるということがありましたが,非常に楽しみにしております。日本語教育推進会議のような大規模な会議で出てきたものが,今後の政策面で十分に活用されることを願っております。
○井上委員
私もずっとこの日本語教育小委員会に参加させていただいていますが,先ほど国語分科会総会の方で杉戸副主査がお話しになっていたように,日本人だけではなくて,外国人も含めた,日本語を話す人たちの下支えをするものが基本だという認識を,まず持ちたいと思っております。
その時に,「教える側」と「教えられる側」を余り明確に区別をしないという方法もあり得るのではないかと最近感じております。というのも,先日,早川国語課長と御一緒に,豊田市主催のシンポジウムへ出させていただきました。そこでは名古屋大学が,豊田市あるいは豊田市の国際交流協会等の資金援助も得て実施した日本語教育のシステムを勉強させていただきました。そこでは,もちろんしっかりとした方が教えているのですが,場の設定や雰囲気作りには,例えば,外国人労働者が働いている企業の方も参画するなど,非常に多様な方が,多様な場面で,特に外国人に対する日本語の教育に携わっているという実態を知りました。日本語教師の指導力ももちろん問われるところはあるわけですけれども,学びやすい環境作りと言うか,雰囲気作りと言うか,そういったものがないと,やはり本当の意味での日本語の学習効果も上がりません。ですので,当然ながら基本的なベースはしっかり押さえなければいけませんけれども,少しその周りの付随したところを,今申し上げたような先進的な例を踏まえながら検討したらいいのではないかなと思っております。
○加藤委員
加藤でございます。どうぞ今期もよろしくお願いいたします。東日本大震災と原発という非常に大きな出来事がありました。このようなことが日本の中で起こったことで,外国人がこのように動くのだなということが分かり,そこで自分たちがしなければならないこと,出来たこと,そして,全然出来なかったことについて考えさせられました。この日本語教育小委員会でも,「災害時に役立つ」という観点からカリキュラム案等について検討してきましたが,その検討の最中にこのような災害が本当に起こってしまったわけです。
外国の人たちが私の目の前からいなくなりましたが,今,また戻ってきています。それが元の状態に戻ったというのとも少し違います。やはり災害前とは違う形になっています。どのようにして日本にいる外国人の人たちが住みやすい社会を作っていくか,また日本人と一緒に社会を作っていくのか。この日本語教育小委員会で取りまとめたカリキュラム案を基に,毎年新しい展開が生まれており,今回,集大成を目指して,日本語指導力の評価の検討に入ると思うのですが,それぞれの立場で日本語教育に関わっている人が本当に広い視野を持ち,それぞれがそれぞれの役割を持って,そして,上から下へという形ではなく,本来のあるべき形に一歩でも近付けたらいいなと思います。
自分自身が日本語学校という民間の団体にいるわけですが,今まで「私たちの役割はこの辺かな」というようなことを考えてきました。今回,特に文化庁の「「生活者としての外国人」のための日本語教育事業」の委託などもさせていただいているところと考え合わせても,横に手をつないでいくことが,より大きな力になることも感じております。微力ではありますが,今期も引き続きよろしくお願いいたします。
○小山委員
愛知県の小山でございます。昨年から参加させていただいています。私自身,日本語教育の専門家ではありませんが,議論の中でいろいろ専門家の皆さん方の御意見をお聞きしながら,私自身にとっても非常に勉強になった1年だと思います。
また,今年も委員に加わらせていただいて,特に現場の者として思うことは,日本語教育というのは現場ではいろいろな意味を持つということです。例えば,子どもたちの居場所作りであるとか就職の準備,あるいは大人にとっても,働くため,コミュニティの場に参加するための手段など,いろいろな意味がございます。日本語教育の専門家の皆さんから見ると少し場違いかもしれませんけれども,現場の意味について,今年は少し御意見を言わせていただければと思っております。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
○佐藤委員
東京学芸大学の佐藤と申します。引き続き,よろしくお願いいたします。
本日のこの参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」を拝見して,日本語指導力の評価ということで,実は教員養成の課題と非常に密接に絡んでいると思いました。教師の専門性の議論というのは,今,改めてする必要があると思います。教師には合理的・科学的な力だけではなくて,先ほど来議論になっていますけれども,実践知であるとか暗黙知みたいなものをどのようにして評価するかというような議論であったり,あるいは,同僚性の研究であったり,他の同僚と関わる力みたいなものがどうしても必要になってきています。それから,専門的な力量というのは,どうやって形成されていくのか。それは,生涯に渡って形成されていくのだけれども,どういう契機でそれが成長していくのかということが,今,私どもでも焦点になっています。その中で指導力,とりわけ授業力をどう評価したらいいのかということが,実は喫緊の課題になっています。教育委員会サイドなどからも,評価というものをどうするのか,その辺りのことが今大きな課題になっています。学校教育と,もう少し広い教育の場では違うかもしれませんけれども,その共通性を踏まえつつ,新たな分野ですので,また議論に加わらせていただければと思います。
○嶋田委員
この4月から,一般社団法人アクラス日本語教育研究所の嶋田となりました。よろしくお願いします。より中立的な立場でやっていきたいと思います。参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」に出ている課題に沿って意見を言わせていただきます。
最初に,「生活者としての外国人」に関わる人たちの指導力の評価ですけれども,ここ5〜6年,いろいろな地域で日本語教育支援をしている人たちと関わってきました。現場は本当に様々ですので,どうかこれからもっともっと現場の声を,本当の意味で現場の声を聞いていくような形にしていただきたいと思います。ヒアリングですとか,いろいろなさっていることは分かるのですが,真の意味で現場の声が通るような形でこの日本語教育小委員会が進めばいいと思います。全国様々な場所を回っているものですから,本当にそういうことを思います。
それから,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(2)の[1]ですが,将来的な政策のビジョン,本当にこれが大事だと思います。社団法人日本語教育学会では,日本語教育振興法法制化ワーキンググループが3月まで活動しておりまして,今,報告書を作成しております。議論も深めるのはなかなか難しいのですが,他にロビー活動様々ございます。是非ここでも議論をして,その議論で終わるのではなくて,連携ということを何かの形で進められるよう日本語教育小委員会から意見発信ができたらいいと思っています。
それから参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(2)の[2]についてですが,これもやはり日本語教員養成ということで,私も長年関わってきましたが,やはり将来的な政策のビジョン,そして,養成された人たちがどのような場を得られるのかというところまでいかなければなりません。先ほど,加藤委員もおっしゃいましたが,本当に今危機的な状況だと思います。ですから,大切な日本語教師という財産がきちんと活用されるような仕組みを作るということが大切です。調査と同じように,やっぱり現場を知るということだと思いますので,是非それを目指していきたいと思います。
最後に一つ質問です。日本語教育推進会議は1月と3月に行われて,出された日本語教育の課題について現在おまとめ中ということで楽しみにしております。私は1月に開催された会議だけ出席し,3月は出席することができなかったのですが,1月の会議の際に,日本語教育推進会議を1月,3月,4月,6月に開催するというようなお話があったと思います。その継続性についてはいかがでしょうか。今後の流れについては,周りから聞いておりますが,日本語教育小委員会でお話を伺いたいと思いました。今後はもう開催されないのか,どういうときに開催されるのか,その辺りについてお伺いしたいと思います。それから,いわゆるこの日本語教育推進会議の立ち位置というのも伺いたいと思いました。
○鵜飼日本語教育専門官
日本語教育推進会議の際にも,今後のスケジュールについてはお話させていただきましたが,第1回,第2回で参加団体の皆様方から,日本語教育の現状と課題について発表いただきました。この発表いただいた課題を整理をして,この国語分科会日本語教育小委員会の検討の場に持ち込むというような話をさせていただいていると思います。
日本語教育推進会議の継続性については,概算要求後や予算案成立時などの折に,必要に応じて開催し,ここでの検討状況の報告などもしていくということで考えております。 それから,「立ち位置」というのはどういう意味でしょうか。
○嶋田委員
日本語教育推進会議で出された課題等を,日本語教育小委員会でどのように扱っていくかということです。
○鵜飼日本語教育専門官
本委員会で課題等の整理をしていただきたいと思います。また,その結果を日本語教育推進会議にフィードバックしながら,情報共有をしていければと思います。
○嶋田委員
そういう方法で進めていくということですね。
○鵜飼日本語教育専門官
はい。
○嶋田委員
継続的に,また必要な時期に行うということでよろしいでしょうか。
○鵜飼日本語教育専門官
そういうことです。
○嶋田委員
分かりました。
○中野委員
中野です。どうぞよろしくお願いいたします。
私も,嶋田委員,あるいは伊東委員がおっしゃったように,この日本語教育推進会議は非常に有意義なものだと思いますが,お互いの情報交流のみで終わらずに,本当の意味での連携や課題別のプロジェクトが生み出されていったら非常に良いと感じました。とりわけ,私としては,海外の日本語教育に軸足を置いているので,いろいろな意味で国内と海外の連携が出来るのではないかと幾つか思う点もあるので,それが実現できればと思います。
あと,もう一つ,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(1)に記載されている日本語指導力の問題ですけれども,一番デリケートで難しい領域にあるのだろうと思います。単に日本語を指導する力という以前に,日本の社会がこれからどういう社会になっていくのか,どのように生活者としての外国人と一緒に日本人が暮らしていくのか,そういうビジョンというものが前提にあると思います。それから,日本語の先生方がどういう姿勢で生活者としての外国人と向き合うのか考える必要があると思います。生活を支えるとか,安全とか,日本語教育よりもっと広い意味で外国人と日本語の関わりを考えなければいけないというお話が先ほど出ましたが,そういう意味でも,社会がより求めるもの,あるいは生活者としての外国人がより求めるものを踏まえた上での指導力という議論になればいいのではないかなと思います。
○西澤委員
二つの点で我々にいろいろ求められていると思います。
一つは,地域における「生活者としての外国人」に対する日本語教育に携わっている指導者の指導力についての評価が,最終の課題として残っているわけですが,それとの関係で,先ほどの国語分科会のときの参考資料8「日本語教員等の養成・研修に関する調査結果について」をまだ十分熟読しているわけではありませんけれども,今さっと見た限りで言えば,地域の「生活者としての外国人」に対する日本語教育の指導に携わっている先生方の姿というのは,例えば,日本語の指導法を学んだ機関等について「独学」,「その他」,「分からない」という回答が中心になっており,それから,海外における日本語教育の指導年数というようなことから申し上げると,「経験なし」,「1年未満」というような人たちがかなりの割合を占めています。
そういう状況の中で,一般の施設・団体は日本語教師に「日本語の指導」を求めているという状況があります。このような背景の中で,そういう地域の日本語教育に携わっている人たちに対して,どういう力をどういう形で求めていくのかということが,評価ということと恐らく非常に密接にして関連してくると思います。そのような,ある意味では期待される,地域における指導者としての像というものを考えながら,それに対応した能力というものはどうあるべきかについて考えていくのが,今期の課題かと思っております。
それから,もう一つの点は,先ほどの国語分科会で文化庁長官がおっしゃった,国語施策の中心課題の中の二つ目の問題,日本の少子高齢化等に伴って,新しい力というものを海外からどのように受入れていくのかということ,そういう国の基本的な施策との関係で,日本語というものをどのように普及していくのかということが重要な課題になってくると思います。そういう意味では,国際交流基金が,従来海外における日本語の普及についての中心的機関として様々な施策を展開していますが,それは国全体がどう向かっているのか,それに基づき,どういう需要があり,それに対してどう応えていくかということとはやや切り離されています。実際に海外のそれぞれのところで勉強したいという人がたくさん増えてきており,それに対してどう対応すべきかというように,いわば需要に対して応えていく,それぞれの国で取り組んでいる日本語教育にどういう支えをしていくかというような,いわば支援的な考え方を中心にやってきました。
しかし,今後日本として,本当に新しい時代の変化の中で,日本語というものをどう海外に普及していくのかということは,正に国の国語施策の一環として,その基本的な方向性ということを考えていく必要があると思います。
また,先ほど文化庁長官が,必ずしも日本国内で世論の統一というのがあるわけではないとおっしゃいましたが,そういう世論全体の喚起ということも含めて,いろいろなことを考えていかなければいけないのと思っているところでございます。非常に重要な役割を担わされていると思っているところでございます。
○杉戸副主査
参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(2)の[2]ですが,これは日本語教員等の養成・研修に関する調査研究協力者会議をずっと続けてきて,まとまったものが紹介されています。実はこの3年近くの間,私が座長を務めていたのですが,いろいろなデータ集めに思いのほか時間が掛かってしまいました。本日の国語分科会総会の参考資料8「日本語教員等の養成・研修に関する調査結果について」について,先ほど西澤委員からも御紹介いただきましたが,調査結果報告という形でまとめることができました。
この内容は,文字どおり,教員等の養成・研修についての調査結果ですので,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(1)のとおり,従来「次はこの課題だ」と言っていた指導力の評価の問題と非常に密接なつながりのある問題について扱っていたわけです。大学・大学院での養成・研修,あるいは,日本語学校での養成・研修,更には,地域のいろいろな団体,グループでの養成・研修といった,いろいろな世界での教員,あるいは支援者の養成・研修について,非常に包括的と言いましょうか,概括的なデータが集まったと報告書にも書いてありますけれども,そういうものが見えてきたと思っております。
この後,それを具体的にどんなプログラム,あるいは,どんな施策につないでいくか,実現させていくかというのが,この参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(2)の[2]の,検討課題・在り方について議論を継続するべきとされていることの中身だろうと思います。
そのことを思うと,目的意識,あるいは,その着地点というのを意識した調査データというものが,更に必要になるのではないかと考えております。
指導力や養成・研修については,申し訳ありませんが専門性が希薄ですが,私なりの立場,方向から参加していくつもりです。よろしくお願いします。
それからもう一つ,昨日偶然知り合いから,この4月から使い始められるようになった中学校の国語の教科書の現物を送ってもらいました。これは非常によく使われる会社の教科書だそうですが,中学校の国語の教科書の中で,説明文,あるいは叙述文の分かりやすい作り方を扱う章か単元があります。その中身は,日本語のネイティブの中学生向けに基本的には書かれていますが,そこで扱われている内容自体が,日本語を母語にしない人たちに分かりやすい説明文,日本語記述文を書くということを,具体的な材料として扱いながら,日本人,日本語母語話者向けの話と非母語話者向けの話が溶け合うような,そういう立場と言うか,内容で書かれた教材が掲載されておりました。
このことは,私から見ると,参考資料3「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の審議経過等について」の(2)の[1]の将来的な政策のビジョン,調査研究等の在り方,これに恐らく関係してくると思います。こういう視野で,[1]の議論は検討されるべき側面も持っているだろうと思います。長くなりましたが以上です。
○西原主査
ありがとうございました。心強い御発言をいただきました。さて,1年でこの問題をすっかり解決することは,元から不可能なので,どこまで,どのように切っていったら,1年間で,文化庁国語課やこの日本語教育小委員会で行っていることを期待して待っている方々の期待にどのように応えられるかを検討することが必要です。具体的には,どういうスケジュールで,どういうワーキンググループをどのように動かして,何とか年度末までに御期待に添えるようなものをまとめていくかということですので,非常に大変だなという思いをしております。それは皆さん方も同じだと思いますけれども,この1期,どうぞよろしくお願いいたします。
では,これで,第45回日本語教育小委員会を閉会いたします。お忙しいところ,ありがとうございました。
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