侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会(第3回)

日時:令和2年1月7日(火)
18:00~20:00
場所:文部科学省3階第1講堂


議事次第

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)議論のまとめ(案)について
    2. (2)その他
  3. 3閉会

配布資料一覧

資料1
「侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会」における議論のまとめ(案)(458.7KB)
参考資料1
文化庁当初案の概要・条文等について(505.7KB)
参考資料2
侵害コンテンツのダウンロードに関する主要国の著作権法制について(231.7KB)
参考資料3
侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する主な事例の取扱い(案)(60.5KB)
机上資料1
第1回・第2回検討会における資料・参考資料一式
机上資料2
文化審議会著作権分科会報告書(2019年2月)(抄)
机上資料3
著作権関係法令集

議事内容

(議事録一部確認中)

【土肥座長】皆さん,こんばんは。定刻でございますので,ただいまから侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会(第3回)を開催いたします。本日は,お忙しい中,御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますが,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばない,このように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておりますが,この点,特に御異議はございませんか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥座長】それでは,異議がないということでございますので,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはどうぞそのまま着席いただければと思います。

初めに,本日の配布資料の確認をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それでは,お手元の議事次第に記載の配布資料一覧をごらんいただければと思います。

まず資料1といたしまして,「本検討会における議論のまとめ(案)」という資料をお配りしております。全体で22ページから成る資料でございます。

また,参考資料1として,「文化庁当初案の概要・条文等について」,参考資料2として,「主要国の著作権法制について」,資料3として,「主な事例の取扱い(案)」という資料をお配りしております。

また,構成員の先生方限りでございますが,机上資料1として,第1回・第2回検討会における資料・参考資料一式をとじたピンク色の分厚いファイル,机上資料2として,本年2月の「著作権分科会報告書」,机上資料3として,「著作権関係法令集」をお配りしております。

不足などございましたら,事務局までお伝えいただければと思います。

【土肥座長】ありがとうございました。

それでは,初めに,本日の議事の進め方について確認をしておきたいと存じます。本日の議事は,1,議論のまとめ(案)について,2,その他,この2点でございます。

早速,議事に入りますけれども,議題1,議論のまとめ(案)についてでございます。第1回,第2回の議論を受け,事務局では,本検討会における議論のまとめ(案)の整理を進めていただいております。一部の論点については,本日,更に議論を頂く必要がございますけれども,その議論を頂いた上で取りまとめを行うという段取りになります。まず一通り事務局から説明をお聞きした上で,本日の議論をお願いしたいと思います。

それでは,まず,事務局から御説明をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それでは,資料1につきまして御説明を差し上げたいと思います。前回までに御説明した内容と重なる部分もございますが,確認の意味も込めて全体を簡単に御紹介したいと思います。

まず,1ページ目の冒頭の2段落では,本検討会における検討の経緯などについて記載をしております。

まず,本検討会では,第1回目で別紙1として付けている基本方針を確認いただきまして,その後,事務局から,パブコメ,国民アンケートの結果などを御報告させていただきました。それを十分に踏まえながら,海賊版対策と国民の情報収集という2つの要請が両立するような制度設計について検討を行ってきていただいておりますので,その旨を記載しております。

また,その検討結果が下記のとおりであり,今後,この内容を十分に踏まえながら,政府において適切な法整備が速やかになされることを期待するという,検討会としての立場を記載しております。

以下では,1.から4.までに区切ってそれぞれの論点についての議論のまとめを記載しておりますので,順に御紹介いたします。

まず,1.が文化庁提案の3点の措置についてでございます。

こちらに記載のとおり,昨年2月時点の当初案に少なくとも3点の措置を追加的に講ずるべきではないかという提案を文化庁からさせていただきまして,この点については,条文のイメージを含めて了承いただいたものと承知しておりますので,その旨を記載しております。

具体的な措置の1つ目は,改正案の附則に様々な規定を追加すること。2つ目は,写り込みの権利制限規定を拡充することで,スクリーンショットの際の違法画像等が入り込むことを違法化しないこと。3点目は,数十ページで構成されるマンガの1コマなど,「軽微なもの」のダウンロードは違法化しないこと。この3点について,条文イメージを含めて御了承いただいたところでございます。

条文イメージは,別紙2として15ページから18ページまでお付けしておりますが,前回お示ししたものとほとんど変わっておりませんので,説明については割愛をいたします。

続いて,2.その他の要件追加等の提案について御説明をいたします。この点については,(ア)から(ウ)まで3つに区分しておりますので,順に御紹介をいたします。

まず,(ア)採用する方針が了承されたものでございます。具体的には,二次創作作品・パロディなどのダウンロードを違法化の対象から除外すること,この点については採用する方針を了承いただいておりますので,その旨を記載しております。ただ,前回の議論におきましては,翻訳物については違法化対象から除外されないように措置する必要があるという御意見を頂いておりましたので,それを付記した上で採用する方針が了承されたと記載をしております。

翻訳物が除外されないようにした形での条文イメージにつきましては,本資料の19ページ,20ページで記載しておりますので,御紹介をいたします。

まず,19ページの民事措置の部分につきましては,30条の1項4号という部分で,今回対象範囲を広げる部分についての規定を設けることにしております。このうち赤字にしている部分が,二次創作・パロディの除外について規定した部分ということになります。前回お示しした案では「第28条に規定する権利を除く」ということだけ記載をしておりましたので,前回の案では翻訳物を含めた形で除外がされてしまっておりました。翻訳が除外されないようにすべきという御意見を踏まえまして,今回,「28条に規定する権利」という部分の後ろに括弧書きを追加しております。ここで,「翻案により創作された二次的著作物に係るものに限る」と規定することで,翻訳によって作られた二次的著作物のダウンロードは引き続き違法になるという位置付けを明確にしているところでございます。

刑事罰につきましては,20ページの赤字の部分で同様の手当てをしております。刑事罰につきましては,昨年2月時点の当初案でも「28条に規定する権利を除く」と規定しておりましたが,今回の御議論を踏まえて翻訳物は除かれないようにする必要があるため,先ほど民事措置について御説明したとおり,「翻案により創作された二次的著作物に係るものに限る」という規定を,こちらは新たに追加をしたという位置付けになってございます。

続きまして,資料2ページに戻っていただきまして,(イ)採用しない方針が了承されたものの部分について御説明をいたします。

ここでは合計10件の措置について記載をしておりますが,これらについては全て採用しない方針が了承されたものと理解しておりますので,その旨を記載しております。ただし,後ほど出てまいります(ウ)に記載の「著作権者の利益を不当に害することとなる場合に限定する」,これが採用されることを条件に,ほかの措置は不要という方針を了承された構成員も複数おられましたので,その点に十分留意する必要があるという旨を付記させていただいております。

それぞれの措置の内容と,その措置に関して頂いた主な御意見については,2ページ目から4ページ目までに記載しておりますが,説明については割愛をいたします。

続いて5ページに移っていただきまして,5ページの下の部分,(ウ)採用の可否について大きく意見が分かれているものという部分について御説明をいたします。

具体的には,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合に限定すること」,この措置につきましては賛否が大きく分かれておりまして,現時点では本検討会としての意見を一つに集約するには至っていないかと思いますので,その旨を記載しております。

そういった中で,これまでの議論におきましては,権利者側の立証の困難性,ユーザーの居直り侵害を懸念する御意見も示されましたので,それを解消する観点からの折衷的な提案というものも頂いておりました。具体的には,鍵括弧で囲んでおりますが,「著作権者の利益を不当に害しない場合を除く」と規定することで,ユーザー側が不当に害しないという点についての立証責任を負担するという案や,さらに,「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別の事情がある場合を除く」と規定することで,除外されるのは特別な,例外的な場合だというニュアンスをより強めるという御提案も頂いておりましたので,その旨を記載しております。

6ページに参りまして,この要件の取扱いについて,本日,更に集中的に議論を深めていっていただきたいと思っておりますが,その際,この要件を入れることで適法となると考えられる事例,逆に申し上げますと,この要件を入れない場合に不都合が生じる事例としてどのようなものがあるかというのをより具体的に明らかにしていただくことが,この要件の採否を決めるに当たっての重要なファクターになろうかと思いますので,より具体的に,その点を明らかにしていただきながら,更なる議論をお願いしたいと思っております。

6ページから7ページにかけましては,本件について頂いた御意見を,採用に肯定的な意見,7ページからは採用に否定的な意見,それから折衷的な意見と3つに分けて,これまで頂いた御意見を要約して記載しておりますので,議論の参考としてごらんいただければと思います。

次に8ページに参りまして,今申し上げた要件を仮に条文に規定するとどうなるかというイメージを作成しておりますので,御紹介をいたします。

イメージを持っていただきながら採否の議論をしていただくのがよいだろうということで,仮の案として作成したものでございます。丸1が「著作権者の利益を不当に害しない場合を除く」と規定した案,丸2が「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」と規定した案でございます。いずれも下線を引いておりますとおり,最後の部分に,括弧を開きまして,こういう場合を除くという規定を追加するという案になっております。ただ,何もなく白地でそう書くのではなくて,様々な考慮要素を並べた上で,それに照らして,という形で規定するイメージを持っております。

丸1を例にとって御説明をいたします。まず,「当該著作物の種類及び用途」という考慮要素を書きまして,ダウンロードしているのがどのような著作物なのかということが判断に影響するということを明記しております。さらに,その後ろに括弧を開きまして,「特定侵害複製以外の方法による利用の困難性の程度を含む」ということを明記することで,正規の手段によって利用が困難であるかどうか,利用が困難であれば不当に害しないという判断に傾くという趣旨を明記することにしてはどうかと考えております。「並びに」以降では「当該特定侵害複製の目的及び態様」いう要素を規定しておりまして,例えば正当な目的で使うですとか,態様というところでは,軽微ではないにしてもそれほど多くの部分を使わないとか,そういった様々な事情があろうかと思いますので,そういう点に照らして「不当に害しない場合」に該当するのであれば,違法化の対象から除外されることとなります。仮に規定を置くとしたらこういうイメージになるのではないかということでお示ししております。

丸2の部分につきましても考慮要素は全く同じでございますので,説明は省略いたします。

続いて,3.その他の論点について御説明をいたします。

まず,1つ目の丸にございますとおり,パブリックコメントにおきましては,対象著作物をマンガ・アニメなどに限定すべきという御意見や,主観要件を見直すべきという御意見もございましたが,これはいずれも適切ではない,すなわち,著作物全般を対象にし,主観要件は維持すべきという認識が共有されたところでございますので,その旨を記載しております。

ただ,刑事罰の主観要件につきましては,2つ目の丸にございますとおり,当初案の規定ぶりのままでは,未必的な故意が含まれるという解釈を完全には排除できないのではないかという御意見も頂いたところでございまして,その点については,法整備に当たって適切な整理をする必要がある旨を付記させていただいております。

続いて9ページに参りまして,4.リーチサイト対策について御説明をいたします。

まず,概要の1つ目の丸にありますとおり,規制対象となるリーチサイトの範囲などについては既に十分な絞り込みが行われており,その他の要件追加を行う必要はないという認識が共有された旨を記載しております。

一方で,次の10ページの1つ目の丸にございますとおり,リーチサイト運営行為,リーチアプリ提供行為に対する刑事罰につきましては,当初案では「非親告罪」になっておりましたが,これを「親告罪」に変更した方がいいということについて了承を頂いておりますので,その旨を記載しております。

3つ目の丸につきましては,プラットフォーム・サービス提供者の取扱いでございまして,これまでの議論で,一般的なプラットフォーム・サービス提供者には基本的に今回の規制は及ばないという認識が共有されていたかと思います。一方で,その旨を条文に明記すべきかどうかにつきましては賛否双方の意見がございましたので,その旨を記載しております。また,条文上明記できないにしても,附則に配慮規定を置くという提案もございましたので,その旨も記載をしております。

下の詳細の部分につきましては,(ア)から(オ),5つの論点に分けてそれぞれの結論を記載しておりますので,簡単に紹介いたします。

まず,(ア)は,リーチサイトの定義及び対象範囲についてでございまして,パブコメでは,丸1にあるように,剽窃論文のリンク集など,海賊版対策と直接関係しないサイトが規制対象になるのではないかという懸念を頂いておりましたが,こういった類型のサイトの多くは,「リーチサイト」の定義に該当せず,規制対象にならないという認識が共有されていたかと思います。

また,丸2として,そのため,規制対象となるリーチサイトの範囲については既に十分な絞り込みが行われており,その他の要件付加は不要だということについても認識が共有されていたかと思いますので,その旨を記載しております。

次に,(イ)の刑事罰の取扱いにつきましては,丸1は先ほど御説明したとおり,「非親告罪」から「親告罪」に変更すること。一方で,丸2のように,事前の警告等を要件化すべきという御意見もございましたが,そういった要件は課すべきではないということについても認識が共有された旨を記載しております。

続いて,11ページの下の部分,(ウ)プラットフォーム・サービス提供者の取扱いでございます。これも繰り返しになりますけれども,基本的に今回の規制が及ばないという認識は共有された一方で,条文上明記すべきか否かについては賛否が分かれていたということ,また,仮に,条文上明記することが困難な場合でも,附則に配慮規定を置くということはあり得るのではないかという御提案もあった旨を記載しております。

12ページの下の半分の部分では,仮に,条文上,普通のプラットフォーマーを除外する旨を規定するとしたら,こんなイメージになるのではないかということをお示ししておりますので,簡単に御紹介をいたします。この件については,民事責任については113条3項,刑事責任については119条2項で規定をしておりましたので,それぞれの条文のイメージを記載しておりますが,基本的には同じような構造になっておりますので,113条3項を例にとって御紹介をいたします。

まず,リーチサイトにつきましては,1行目から4行目辺りの下線を追加することで,プラットフォーマーが除かれるということを確認的に規定してはどうかと思っております。具体的には,「当該侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等と侵害著作物等利用容易化ウェブサイト等以外の相当数のウェブサイト等とを包括しているウェブサイト等において,単に当該提示の機会を提供しているに過ぎない者を除く」という規定を置いてはどうかということでございます。少し複雑になっておりますが,端的に申し上げますと,リーチサイトとリーチサイト以外の一般的なウェブサイトの多数を包括しているような汎用的なウェブサイトにおいて,リーチサイト提示の機会を提供しているに過ぎないと言える場合,そこまで積極的な関与をしていないという場合が対象から除かれるということを確認的に規定するということになっております。

リーチアプリの提供行為につきましては下の4行でございます。読み上げることはいたしませんけれども,先ほどと同じような構造にしておりまして,リーチアプリとリーチアプリ以外の一般的なプログラムの相当数,この提供・提示のために用いられる汎用的なウェブサイト,プラットフォームにおきましてリーチアプリの提供の機会を提供しているに過ぎない者,間接的な関与を行っているに過ぎない者につきましては対象から除かれるという旨を明記してはどうかと考えているところでございます。

刑事罰につきましても規定ぶりは同じでございますので,説明は割愛いたします。

続いて,最後のページになりますが,13ページの(エ)投稿型サイトの取扱いについてでございます。

投稿型サイトにつきましては,積極的な関与をしてない場合もあるということで,過度な規制が生じるのではないかという懸念がパブコメで示されておりました。この点については,まず丸1として,「公衆を侵害著作物等に殊更に誘導するもの」と同じような法益侵害を生じさせる悪質なものを想定しているのであって,一般的な投稿型サイトのようなものには規制が及ばないということ,また,侵害とみなす際の要件も既に十分な絞り込みが行われているので,これ以上の要件付加は不要だということについて認識が共有されておりましたので,その旨を記載しております。

(オ)は,リンク提供者等に係る主観要件の取扱いでございまして,民事責任の要件につきましては,リンク先のコンテンツが侵害コンテンツであるということについて過失がある場合も対象に含まれるという整理になっておりましたけれども,この点についても改めて議論いただいた結果,問題がないという認識が共有されておりますので,その旨を記載しております。

以上が本文でございまして,14ページ以降は別紙という形で,参考となる資料を幾つかお付けしております。

まず,14ページの別紙1が,第1回目の検討会で確認を頂いた検討に当たっての基本方針でございます。

次に,15ページから20ページまでが別紙2ということで,採用することが決まった措置についての条文イメージをお示ししたものでございます。

21ページが別紙の3となっておりますが,「軽微なもの」の基準・具体例を示した資料でございまして,こちらは前回の検討会でお示ししたものと全く同じ資料になってございます。

最後の22ページが別紙4として,本検討会の構成員の皆様の名簿を付けさせていただいております。

以上が議論のまとめ(案)という資料でございまして,先ほど座長からもございましたとおり,きょうの議論を踏まえて修正・反映をした上で,最終的にはこの文書を議論のまとめとして取りまとめ,公表していくことを想定しているところでございます。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございました。

それでは,ただいま説明をお聞きのとおりでございますけれども,これまでに認識を共有したものについては格別でございますが,残っておる部分,更に確認・議論が必要な部分について,順次御議論を頂ければと思います。

まず,今回,前回の議論を受けて,翻訳物が除外されないように措置するということになったわけでございますけれども,その条文のイメージですね,これについて翻案の方が書いてあるわけでございますが,何かお気付きの点,御意見ございましたらお願いします。はい,どうぞ。

【荻野構成員】今回,「翻案により創作された二次的著作物に係るものに限る」ということで,翻訳を外すという技法で条文案が示されているわけですけれども,もともとここでこういう議論が始まった背景は,同人活動とか二次創作と世間で呼ばれているものに関して,これに関してはダウンロード違法化の対象にする必要はないのではないか,しない方がいいんじゃないかというところからそもそも始まった御議論であると思うんですけれども,ここで翻案を,狭義の,狭い意味の翻案に限るということになってきますと,変形の部分ですね,著作権法第27条でいいますところの変形の部分というものの扱いがどうなるのかなというところがやや気になるところでありまして,というのは,例えば,マンガとかアニメに登場するキャラクターとかメカなどをぬいぐるみにするとか模型にするといったことが広く想定されるという中で,ここを違法化の対象にしてしまうということになると,そもそものもとのこういう議論が始まったところに照らすと,要請を満たさないことになるのかなと気になったところですけれども,この変形の扱いというのはどうなるんでしょうか。

【大野著作権課長補佐】今の,ここでお示ししている条文について申し上げますと,翻案により創作された二次的著作物に限って違法化対象から除外することにしておりますので,仮にこのままの条文になった場合は,例えば,変形されたものの画像がネットに上がっていて,それをダウンロードする行為というのは違法化の対象から除外されないという扱いになろうかと思います。それが適切かどうかというのはこの場で御議論を頂きたいと思っております。

【土肥座長】どうぞ。

【荻野構成員】そうなってきますと,もともとの議論で,パロディとか二次創作とか同人活動を外してほしいという要請には応えられないということになってくるかと思いますので,私としては,翻訳を外すということが主たる目的であるのであれば,翻訳を外すという形にして,翻案に限るというふうにはしない方がいいんじゃないかなと思います。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【田村構成員】事務局の方から出していただいた案に異議を差し挟む形で翻訳を再復活しろと言ったのは私ですが,復活の仕方が大きくなり過ぎているかなと思っています。翻訳については違法化の対象に含めるというお話だったので,変形の話は前回はしていないように思いますので,むしろ,ストレートに翻訳と書いていただいた方が前回の議論の趣旨にはかなっているように思います。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかに御意見はございますか。特にございませんか。

最後の田村構成員の御意見,つまり,前回の議論は翻訳という部分での議論を進めていたわけであります。それ以外の部分については確かに議論しておらない。正にその御指摘はそのとおりだろうと思います。それを受けて,事務局においてそういうふうになさった積極的なお考えはどういうところにありますか。

【大野著作権課長補佐】あえて変形物の画像のダウンロード違法化の対象にしようという意図はございませんので,この場で変形については違法化対象から除外すべきだということであれば,当然そのような条文にすべきだと思っております。

【土肥座長】積極的に翻訳というものをはっきり出していただいた方がいいのかもしれないですね。少なくとも前回の議論との整合性からすると,それは言えるんだろうと思います。また,その方が読みやすいと思いますけどね。

【大野著作権課長補佐】釈迦に説法になりますけど,28条に規定する権利というのは翻訳と編曲と変形と翻案と4種類ございまして,今回,編曲については3号の録音に関わるもので関係がないので,翻訳と変形と翻案をどう扱うかということだと思います。3つのうち,「翻訳を除く」と書くのか,「翻案と変形に限る」と書くのかというのは立法技術上の問題であろうかと思いますけれども,いずれにしても,変形は翻案と同じように除外されるようにすべきだということだと思いますので,その趣旨を踏まえてまた条文を検討したいと思っております。

【土肥座長】よろしいですか,ほかの構成員の方。どうぞ。

【前田構成員】編曲については録音の場合が多いと思うのですが,編曲後の楽譜のダウンロードのことを考えますと必ずしも録音だけではないと思いますので,翻訳を取りだして,編曲は翻案と同じように扱う方が整合的かなと思います。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【田村構成員】細かい話ですが,本日頂いた案ですと,変形と翻案を区別しなればいけなくなります。これは,また大きな問題になるのではと思います。はっきり言って,私は限界線がよく分からないのですが,前田先生の御指摘の点も,今,確かにそうだなと気が付きましたし,事務局の方もこだわらないとおっしゃっていましたので,今,事務局が口頭でおっしゃった新しい案の方がよろしいのではないかと思います。

【土肥座長】クリエーターの方,お聞きになって,ここのところは非常に大事なところでありますので,是非御意見があれば。はい,どうぞお願いします。

【赤松構成員】二次創作などについては,権利者団体と出版社はあまり公式に認めるような発言はできないんですけれども,基本,我々商業作家でも二次創作から出てきたような作家が一杯いるので,この条文に関して文化庁にお願いしたいのは,そういうものを阻害しないような形に直していただきたいとは思っております。

【土肥座長】どうぞ。

【堀内構成員】変形というのがよく分からないんですけれども。例えば二次元のキャラクターをフィギュアといったものにするというのが変形ですか。そうすると,ダウンロードとは関係ないことになりますよね。

【大野著作権課長補佐】変形という行為は,例えば二次元のマンガを三次元のフィギュアにするということですが,この28条の権利というのは,変形して作られたフィギュアが更に二次的に使われる場合に働く権利であり,フィギュアをフィギュアとしてコピーするという場合にも働きますが,フィギュアの写真を撮るとか,その写真をアップロードするとか,そういう場面にも利いてきますので,フィギュアの画像が違法にアップロードされていて,それをダウンロードするという行為にも関係してき得るものです。そういう意味で,この28条に規定する権利との関係は確かに存在するので,そこにもしっかり目配せした規定にしておく必要はあろうかと思います。

【土肥座長】翻案という行為というのは,簡単な概念でありそうに見えて実はそうではないんですよね。これ,結構難しいんですね。翻訳というのは,これはできます。だけど,今のようなところとか,つまりフィギュアを写真にというようなときに,それは複製なのか,翻案なのかという議論は当然あるわけで,創作性が加わってなければそれは複製ということになるだろうと思いますし,ですから,翻案の方からスタートするのはかなり難しいことは難しいんですね。前回の御議論で,マンガに翻訳を付けて,あるいは小説に翻訳を付けてというものについては,これは困るのではないかとおっしゃっておられましたし,正にそのとおりではないかと思います。そこは前回の議論でかなり皆さん意見の共有はあったと思いますから,更に編曲とかいろんなことを考えていくとかなり難しいので,簡単にはいきそうにないなと思うんですけれど,先ほどから手を挙げられた福井構成員,何かございますか。

【福井構成員】変形の件ではなくて,確認ですけれども,仮に翻訳により創作されたものを除くというスタイルをとる場合,これ,条文の読み方としては,今頂いている条文案でいうと,括弧内が(第28条に規定する権利(翻訳により創作された二次的著作物に係るものは除く。)を除く。),二重「除く」の形を想定されているということでよろしいでしょうか,今の議論は。仮にその場合,翻訳と,それから翻案を双方伴っているものというのは,これは除かれるという考え方になるんでしょうか,それとも違法化の対象に含まれるという考え方になるんでしょうか。念のための確認です。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【田村構成員】条文をどう変えたらそうなるかはまだ自信がないのですが,結論としては,福井先生も同意見だと思いますが,今回は,翻訳をしたものだけを拡大の対象にしようとしていると思いますだから,それに翻案が加わったとしても,それは単に二次創作が翻訳されただけですから,本来,二次創作は翻訳しなければセーフなのが,翻訳した途端にアウトになるのは変な話ですよね。あとは,立法技術の問題ではないかと思います。私の今の日本語力では,何か間違えそうな気がして,よい案が思い浮かびません。

【福井構成員】何か前田先生が笑っていらっしゃいますけれど,目的に関しては私も同感であります。翻訳ないし変形のみによる二次的著作物は除くとか,そんなふうにするのか分かりませんけれども,そこのみを確認したく思いました。私からの意見はそれだけです。

【大野著作権課長補佐】念のため確認ですが,変形されたもののダウンロードは適法にすべきという御趣旨の意見だったと思うので,翻訳されたもののダウンロードだけが違法になるようにする必要があると思います。この条文にそのまま当てはめるのであれば,((翻訳により創作された二次的著作物に係るものを除く。)を除く。)みたいな規定がストレートかなと思います。ただ,除く,除くが重なって分かりづらいということであれば,異なる記述の仕方もあるかもしれませんけれども,基本的には,翻訳だけが除かれるようにしていくということかと理解しております。

【福井構成員】そうでしたね。変形と述べたのは間違いです。無視してください。

【土肥座長】そこまでは大丈夫ですけど,改編,編曲,いろいろ出されると,私は,そこは4号の対象にならない,つまり30条の私的複製の方にカバーされる,そういう話で進んでいるんだろうなと思っておりました。思っておりましたけれども,ここには音楽家の方がおいでにならないんですが,編曲と言われたときに,それはどうかと言われると,かなり自信はないんですけどね。しかし,海賊版対策という観点から考えますと,それはマンガの複製とか小説の複製って,これはもう海賊版は当然山ほどあるだろうと思うんですけど,編曲ってあるんですかね,実態問題として。そこは私は認識をしておらないところでありますし,皆さんも多分そうじゃないかなと思うんですが,ありますか,音楽で。

【田村構成員】ないので特に拡大しなくてよいだろうという御趣旨でしょうか。

【土肥座長】いやいや,ないから,あるからということよりも,海賊版として被害があるのであれば,それは当然考えなければならんだろうと思います。

【田村構成員】皆さんが余り思い浮かばないということは,あえて立法で違法化を拡大する必要はないという結論になるのではないかと思います。

【土肥座長】そういうふうに考えておりましたけれども,そういう考えでよろしゅうございますか。よろしいのであれば,その方向で条文化,法文については再度御検討いただくということになりますけれども。よろしいですね。御異論があれば是非お願いしますけれど,よろしいですか。よろしいですね。

(「異議なし」の声あり)

【土肥座長】それでは,お聞きのようにといいますか,ごらんのように御異論はないということでございますので,その方向でひとつ,もう一回,汗をかいていただければと思います。恐らくこれは法制局との関係もあっていろいろ問題があるんだろうと思います。あるんだろうと思いますけれども,我々検討会の考えている方向でひとつよろしくお願いします。

それじゃ,次,お願いできますか。

【大野著作権課長補佐】事務局から先にざっと説明してしまいました。

【土肥座長】次に,確認でございますけれども,翻訳の部分については,再度,条文イメージというものを取りまとめていただくということで先に進めたいと思います。

それで,次に5ページでございます。これは,この案でも大きく書いてございますように,採用の可否について大きく意見が分かれている部分だということでございます。この「著作権者の利益を不当に害することとなる場合に限定すること」の可否という問題でございます。これは,そうすべきであるという意見,いやいや,そういうことについては否定的な御意見,あるいは折衷的な御意見,こう3つに分かれておるわけでございまして,前回の議論でもこの点は大きく分かれておったと承知をしております。この要件が具体的に意味するところについての認識というものの共有がないというところもあろうかと思いますので,本日は,この6ページの最初の枠づけの中にある,この要件を入れることで適法となる事例,あるいはこの要件を入れない場合に不都合が生ずる事例ですね,そういったものをより具体的に明らかにしながら,採用の可否について更なる検討を皆様にお願いしたいと思っております。

これについて,本来この要件は入れるということを想定していなかったんだろうと思いますので,これを入れるべしと言われる御意見の方から承っていった方がいいのかなと思いますけれども,いかがですか。田村構成員。

【田村構成員】いろいろと私の意見もきちんと書いていただいているので,特に付け加えることはありませんが,この5ページのところから,私は,とにかく「著作権者の利害を不当に害することとなる場合」などの何かの限定をきちんと入れた方がよいと思っています。権利者団体の方に聞くと,本日も先ほど事務局からも御紹介がありましたけれども,ダウンロードする方で特段の事情があることを示すような条文の方が好ましいという御意見が強いようです。私自身はそこまでしなくてもという気もしないでもありませんが,もし皆さんの御意見がそちらで集約する方向であれば,特に反対はしませんし,むしろ何も書かないよりはよほど賛成したいと思っています。

また,具体的な例については,第1回の時あるいは前回も少し長々とお話ししましたけれども,特に典型的なのは,権利者の所在が不明になっているような孤児著作物などであろうと私は思っております。

【土肥座長】ありがとうございます。

ほかに積極的にこの要件を入れる必要があるというお立場,お考えの方,おいでになりますか。是非お願いいたします。はい,どうぞ,荻野構成員。

【荻野構成員】前回も御紹介したところですけれども,例としては,著作物を第三者が使って何か別の文脈でインターネットで議論を展開したような場合というのがあると思うんですね。例えば政治家が何か大きな決断をにおわせるように,カエサルがルビコン河を渡っていくようなマンガの何ページかをばっと自分のブログに載っけた場合であるだとか,あるいは新聞記事の事例としては,まとめサイトというのが最初の検討会で事例として出ていましたけど,まとめサイトなんかですと他人の著作物を著作権侵害で使っているんだけれども,そこでやられていることというのは,例えばまた別の人への批判とか誹謗中傷というのがそこで行われていたりすると。そういった場合に,元の著作物といいますか,正規に買えるものを買ってきても用をなさないわけですね。インターネット空間に放出された正にそこに出ているものを保存しないと意味がないという場合に関して,そこをコピーしても大丈夫なようにしていただきたいというのが1つ。それともう一つは,スラップ訴訟といいますか,議論を封じ込めるために,結構濫用的な権利の申立てというのも行われる場合というのがありますよね,例えば組織の内部文書なんかの著作権を根拠に。自分たちが社会的な批判をされていると,自分たちの内部文書が拡散しそうになっているので,それを止めるために市民オンブズマンとか消費者団体なんかを「著作権侵害だ」と言って訴えて,そういった批判の拡散を止めてしまうと。そういうような濫用的な事例なんかを止められるようにしてもらいたいなというのは私の意見として前回したんですけれども,それは民法の権利濫用制限とか法の一般原則でできるんじゃないかという御意見というのももちろんあることは承知しているんですが,しかし,具体的な条文のレベルでそういった安全規定がないと,裁判所が形式的に判断してしまうという場合もありますので,できればこの条文のここのベースで入れてもらえるといいのかなと思って,そういう事例というのを紹介させていただきました。

以上です。

【土肥座長】ありがとうございます。

ほかに,この要件を入れる必要があるというお立場のお考え。はい,どうぞ。

【和田構成員】刑事に限った話です。これは前提の理解が正しいかどうか分からないのですけれども,ある人が本を書きましたと。通常の紙版の書籍をある出版社から出版しました。電子版については許諾していなかったけれども,出版社が勝手に電子版を出してしまった,あるいは許諾していたけれども,途中でそれを撤回したにもかかわらず出版社が電子版の販売を続けたという場合に,その電子版の販売自体は許諾を受けていないけれども,印税は著者にきちんと支払われていると。そういうものを購入する行為は,放っておくと処罰対象になってしまうことになりますか。それを外すためには,不当な利益侵害の要件が必要だということになりましょうか。前提の理解が正しいかどうか分かりませんが,そういう例が思い付くところでございます。

【土肥座長】ありがとうございます。

ほかにございますか。はい,どうぞ。

【福井構成員】議論の経緯を考えますに,パブコメなどでも提起されていた様々なセーフガードのアイデアがあったわけですね。その多くのものを今回は採用しないことが,今,予定されています。しかし,まとめにもあったとおり,複数の委員は,この「不当に害しない」という要件が入ることを条件にそれらを採用しないと了承することを,今,予定されているわけです。ということは,裏返して言えば,他の様々なセーフガードにおいて懸念されていたような事態が恐らくは救われようとしているものの候補ということになろうかと思います。例えば,有償の著作物であることを条件にしようという意見があったが,これは様々難しいということで対象から除こうということになった。でも,その裏返しとして,単に無償というだけじゃなくて非営利で公開されているような著作物,これを無断でアップロードしていると。これは確かに侵害物には違いない。しかし,そういうもののダウンロードの中には著作権者の利益を不当に害しないものも含まれるかもしれませんね。これなどは一つの候補になるのかなと考えました。

もう一つ,思い付いたところで言うと,例えば,学生が海賊版サイトの生態系を研究対象にしているというような場面があったときに,研究目的での著作物の利用は,拡大しようということが今議論はされているようですが,行く末は分からない。そういう中で,学生がその海賊版サイトの生態系を研究するために,これは海賊版だということを知りながらその全体をダウンロードするというようなことだと,ほかの条件,軽微性などでは救えないのかなという気がいたします。これなどは,あるいは不当に害しないという条件で救われるケースも中にはあるのかなと想像いたしました。

あくまでも議論の材料ということで提起させていただきました。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかに積極的にこの要件をという構成員,おいでになりますか。おいでにならなければ,反対の,この要件は要らないのではないかという立場の御意見を伺いたいんですけれども,いかがでしょうか。はい,どうぞ。

【赤松構成員】権利者団体側としては,文化庁追加の3要件でまあ十分なのかなと思っておりますが,細かい点に関してはなかなか専門外なので分かりかねます。ここでの議論を見せていただいて,また意見させていただければと思います。

【土肥座長】はい,どうぞ,堀内構成員。

【堀内構成員】私も,前回と前々回に申し上げたとおり,文化庁の3点の追加措置で十分かなと。国民の不安・懸念を取り除いて萎縮を生じさせない一方で実効性のある海賊版対策をということなら,スクリーンショットを除くとか,軽微なものを除くとかいうことは国民にとって非常に分かりやすいメッセージになっています。そのうえで更に,こういった要件を加えると,普通の人には分かりにくいと思います。すでに,萎縮を生じさせないよう十分に配慮された措置になっているんじゃないかなと思いますし,海賊版対策の実効性という観点からも,このあたりでいいのではないかなと思います。ですから,このような更なる要件追加については反対したいと思います。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかに。

【後藤構成員】それでは,海賊版対策のフロントラインに立つ者から4点申し上げたいと思います。まず,先ほど事務局からありましたように,議論のスタートとして,海賊版対策と国民の懸念解消のバランスをとるという基本方針が重要であるということで確認がされたわけでございます。権利者としては,国民の懸念・不安への配慮から,「軽微なもの」の除外など限定要件を受け入れております。懸念は大部分解消されたものと思っています。さらに,再三申しておりますように,大きく実効性が損なわれる本要件を入れることによって,海賊版対策とのバランス,これを欠くことになりますので,私は反対をしたいと思います。

次に,正当な事例を除外するためにこの要件を入れるといった御意見がございましたが,この認識がこの場で共有できる,共有されるということは当然あり得るのかもしれませんけれども,ただ,海賊版業者,海賊版サイトは,この要件があるから安心してダウンロードしてくださいということを喧伝するのは目に見えております。これによって実効性が損なわれるということが懸念をされるわけです。

そして,曖昧な要件でございますと,国民に対しての普及啓発,これが一番大切だと思っていますが,この辺が非常に難しくなってくるということです。不当に害しなければよいと,自分の行為が正当だと思えば,違法なものでもダウンロードしてもよいという間違った考え方・行動,そういうものを誘発するおそれがあるんじゃないかなと,これも危惧をいたします。

そして,最後にお出しいただきました折衷案の一つである「権利者の利益を不当に害しない場合を除く」ということでございますけれども,既に「知りながら」に限定され,更に「軽微なもの」は除かれるということで,もはやこれは想定ができないと思います。これらの想定できない場合を普通に存在しているかのように条文で明記するというのは,私はおかしいと思います。

以上でございます。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかに。はい,どうぞ。

【萩原構成員】ありがとうございます。私もこの要件を入れ込むことに懐疑的に思っておりまして,その理由は,7ページに既にるる記載されている理由からそうだということですけれども,付け加えて申し上げさせていただくならば,この条文のイメージがありますが,そもそも私的使用のためのダウンロードをするということは,一般ユーザーを想定していることが多いんじゃないかと思っておりまして,そういうユーザーが権利者の利益を不当に害するかどうかという判断ができるのかという,そもそものところで懐疑的ですね。ですから,そういう意味で,この文言を挿入しなくても,既に幾つかの要件で限定されておりますので,それで十分に機能は発揮できるのではないかと思っているんですね。逆に,この文言を入れますと,知っていても,実はそれは著作権者の,権利者の利益を害さないんだと,そういう立場で自分の違法性を否定するという理由になるおそれもあるのではないかと危惧しておりまして,この点からも反対ということでございます。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。はい,どうぞ,大渕構成員。

【大渕構成員】以前に申し上げたとおり,我々法律家・法学者は基礎として比較法から始めるわけで,参考資料2を見るだけでも,国際標準はおのずと明らかであります。ドイツやフランスの本もたくさんありますので,お読みになって,国際標準たるドイツやフランスの法に何か問題があるというのであれば,そこは是非とも御指摘いただきたいと思います。両国その他の国もこれでずっとやってきて,海賊版を抑えていきながらも国民は普通に日常生活を送ってきているわけであり,壮大な社会実験済みですので,このようなところについてどうお考えかにつきお聞きできれば幸いです。見れば見るほど,真の要件というのは,国際標準どおり,違法ソースからのダウンロード自体であり,これは権利者の利益を不当に害することは明らかです。前に申し上げたような小さい手元のものは小さく見えるかもしれませんが,巨悪たる違法なアップロードはダウンロードしてくれるからやってくるわけですから,ダウンロードが巨悪たる違法アップロードを誘発・助長していることは間違いありません。巨悪たる違法アップロードの助長が類型的に権利を不当に害することは本質を見れば明らかなので,表面だけ見てはいけないと思っております。これらの国が,真の要件以外にはここで議論しているような方便の要件を付けずにさらっと民事も刑事も責任を肯定しているのは至極当然であるし,たくさんの本など見ても当然のように書いてあって,特に反対論が書いてあるわけでもありません。

それから,私は,先ほど言われた具体例として何か要件を入れないと不都合が生ずることなど本当にあるのかというのは前々から気になっておりました。権利濫用的なものは前から申し上げたとおり,そのために権利濫用があるわけでありまして,裁判所が信用できないからほかの要件を付けるというのは筋違いであるし,ほかの要件を付けても裁判所が信用できないのであれば同じであります。今度の30条1項新4号でしょうか,その要件と民法の1条3項というのは全く違う要件なので,それを混ぜ合わすと法律論が全く成り立たなくなってしまいます。利益を不当に害するかという話と権利濫用かという話は全く別ですので,そこはきちんと区別しなければなりません。また,先ほど,孤児著作物は典型的に権利を害さないと言われましたが,趣旨が理解できません。日本の法律をどう見ても,裁定があるように,孤児著作物も,全く権利制限していなくて,強いて言えば,許諾を得るのが大変なので,代わりに裁定という制度を認めてあげているというだけで,逆に言うと,孤児著作物でも利用しようと思ったら裁定をきちんと受けて,かつ補償金を供託しない限り利用できないという意味では十分権利は保護されております。逆に言うと,その手続を踏まない利用については不当に権利・利益を害されるということが大前提になっておりますので,孤児著作物は切り捨てるというのは理解できません。それから,先ほど言われたように著作権法では有償のものだけ保護しているわけでもないし,営利のものしか保護してないわけでもありません。特許法ですら別に営利や有償に絞っているわけでもないぐらいですので,著作権法で何ゆえ非有償,非営利を切り捨てるというのか理解ができないのであります。私は,以前から反対しているように,本当は,軽微を除くとか,あるいは法28条を除くというのも本来は筋違いと思っております。国民の不安が,本当に理由のある不安であるとは思ってないのですが,事実として不安がある現状の下では緊急避難的にやむを得ないと思っております。あくまでそのような意味では,法学者の立場から言うと,軽微除外とか28条除外というのは,真の要件では決してなく,単なる方便にすぎないわけですが,方便でさえも要件である以上は当然に明確性がなければならない。不明確で理解不能な方便は方便としてさえも成り立ち得ないと思います。今日は何か一つぐらい納得できるものの実例が出てくるのかと思ったら結局何も出てこずに,30条とは全く別物の引用と研究調査以外では,従前どおりの,権利濫用と,孤児著作物と非有償,非営利しか出てきません。要件を入れるからには,中身が分からないと判断すらできません。どなたか言われていますが,例外が「絶対あり得ない」わけではないというだけのあやふやな理由だけで何か入れるというのは妥当な態度ではないと思いますので,本当に除外すべきものがあるのであれば,きちんと具体的に挙げていただきたい。文化審のときから有償限定は反対が強くて,私は法律家の立場から反対していますが,法と経済学での第一人者の太田勝造先生もロー・アンド・エコノミクスの立場からも有償限定は根拠がないと明確に述べておられました。正面から行くとみんな有償に反対していた。正規入学で不合格だったのに裏口入学するようなものです。明確に有償としてきちんと議論した結果,反対が強くアウトになっているのに,何でも入り得る極めて曖昧な要件の中に入れることによって非有償を除外しようというのは全くの筋違いです。とにかく,法律要件にするからには最低限明確なものである必要があります。先ほど普通の人には判断できないと言われましたが,普通の人が判断できないだけではなくて,法律家一般が判断できないようなものなので,そのようなものは決して法律要件にすべきではないと思っております。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

【河野構成員】いろいろと御意見を聞かせていただきました。どういう判断をしたらいいのかなと,考えていたところですけれども,この法律の検討は,数年越しでここまで来ました。この法律の効果として何を一番に考えなければいけないかというのは,最初に事務局の方が説明してくださったとおりだと思っております。悪質なアップロード事業者や,違法コンテンツへのリーチサイトの関係者に対するユーザーのダウンロードを止める,兵糧攻めをすることによって,適正な対価の確保ですとか,本当に豊かな文化の再生を行うとか,そこが本来の目的だと思っています。

インターネット環境の広がりとデジタルの技術の発達によって,本来でしたらば同じようなスピードで進んでいくべき規制が,もう全然実態の方が先行していて,追い付いていない状況です。今,何をどういう形でやればいいのかということで,議論になっております,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に限定することの扱いですが,言葉や表現はいろいろあると思いますけれども,私は著作権者の利益って何だろうと考えてみました。これは,著作権法にも書いてあると思いますけれども,自己の創作物に関するプライスレスの価値と,それから,当然のことながら対価,金銭的な利益と2つがあって,この著作権者の利益ということを考えたときに,今は現状,表面的に,正当に得るべき利益が悪質事業者のところに回っているところを何とかしようというところもあるかもしれませんが,著作権者の本当の利益を守るためにはこの言葉が必要なのかどうかというふうに本質的なところも考えるべきだと思いました。兵糧攻めにして,返す刀で一般ユーザーがひどい目に遭うということはもちろん望んでいません。ただ,今回,何らかの形で違法サイトやリーチサイト経由の違法コンテンツのダウンロードは駄目な行為であり,それに加担してはいけないんだ,悪事に加担しないことによってしっかりと権利者の利益は保護していくし,それが自分の豊かで文化的な暮らしを保障することになるんだということを改めてちゃんと伝えなければいけないと感じているところです。

それで,これに対する受け止めですけれども,一般のユーザーには法律的な理解が不十分なこともあり,不安感は拭えないと思います。特に刑事罰も付いていますので,何となく不安だ,え,どうなっちゃうのという,そういうふうなところはもちろんあるんですけれども,今回,きょうを含めて3回目の検討になります。昨年度も様々検討されてきました。要件として主観要件が付いています。その上で,今回,除外行為として幾つか付け加えられていますし,私は,一番大きな成果とすると,国民に対する啓発,そこがしっかりと法律に書かれているということ,その辺りを信用してまずはやってみるということが大事かなと感じました。どうしてもこの文言を入れなければいけないという方からの御意見を伺っていると,一般的というよりは,かなり特別な場合も一気に救おうというふうな感じに受け取れたところもございまして,個々の事案に関しましては,恐らく司法の判断に委ねるということもありかなと感じていたところでございます。まずは,国民への啓発も含めて,こういった行為は駄目なんだということを社会に浸透させる。そして,1つ救いがあるとすると,1年後にそのフォローアップの機会がしっかりと法律に書かれるということを確認しております。1年後に今の対策が本当に効果があるのかどうか,駄目ならば駄目なりの次のチャンスが保障されているということに期待をして,本来の法律が持っている効果を薄めてしまうということにならないようにしっかりと考えていかなければいけないと思いました。

【土肥座長】ありがとうございます。

前田構成員は今のところまだ御発言はないんですけど,折衷説ということになるんでしょうか,それとも,どちらかのお考えでしょうか。ほかの構成員は皆さん御発言いただきましたので。ないということであれば,保留するというのであれば,もちろんそれでも結構ですが,あれば。

【前田構成員】先ほど荻野構成員からもお話がありましたけれども,この要件を入れなくても,一般法理によって違法とする対象から除外すべき場合というのは必ずあるのだと思うのです。その趣旨を明確にしておくという意味で,特別な事情がある場合に限って,一般法理によっても除外すべき場合が当然ありますよということをこの条文の中に織り込む。そういう趣旨で,「特別な事情がある場合を除く」という要件を付けるということが,皆様の御意見を伺っていても一番中庸ではないかと私は思います。

【土肥座長】ありがとうございます。

全構成員の御意見を頂戴したところでありますけれども,伺っておりまして,30条に対する御期待が非常に大きい。つまり,30条としては,それはうちでは扱えないねというような,例えば創作なり創造を更に展開するといったことは本来30条の趣旨から外れるように思います。それから,田村構成員の問題意識は私も同じように持っております。特に孤児著作物ですね,これは非常に大事な問題だと思います。だけど,それを30条でやるのかどうか。これはもっと孤児著作物全般の問題を捉える場においてもっと正面から是非扱っていただきたいと思っています。例えばドイツ法なんかだと,1966年1月1日前の全ての著作物は権利管理団体に管理される結果,原則自由に利用できると。そういう明確な形で,利用者に混乱を与えない形で規定を孤児著作物問題には対応しているわけで,30条でというのはステージが違うのではないかと思います。

それから,1つ聞きたいのは,30条1項本文はスリー・ステップ・テストに適合しているところ,それに反する事態がデジタルネットワーク技術の進歩により生じ,今回4号を設ける必要性つまりスリー・ステップ・テストの権利者の正当な利益を不当に害する事象が生じているわけですが,正当な利益を不当に害しない,さらにこれをまた裏から書くというのはある種のトートロジーだと私は感じるのですけれども,仮に書くとして,違う点は「正当な」があるかないかですよね。スリー・ステップ・テストでは,正当な利益を不当に害しないという,その「正当」があるんですけど,積極説のお立場の方はこれを入れておられないんですが,そこが違うといえば違うんですが,この「正当な」があることによってどういう意味が出るのか教えていただけますか,どなたか。

【田村構成員】釈迦に説法となりますが,スリー・ステップ・テストの性質というのは,その範囲内で各国法が著作権に制限を設けることができるという趣旨ですので,何も書かなかったときに,スリー・ステップ・テストが適用されるわけではないというのが,まず一番肝心なところかと思います。何も書かなければ,スリー・ステップ・テストは日本法には適用がない,つまり,スリー・ステップ・テストにのっとった制限規定がないという話になります。ですから,スリー・ステップ・テストに書いてあることと同じことを書くというのは意味がないのかというと,そんなことはなくて,スリー・ステップ・テストの中で許されている制限を日本は設けたということを明らかにする意味があるのではないかと思っています。

そのほか,条文の構造になりますけれども,不当に害しないと認められるというように著作権者の利益がない場合というのは,スリー・ステップ・テストの中での読み方の問題だと思います。その読み方自体,各国で,あるいはWTOパネルなどで争われていて,必ず条文どおりに読むものでもないと認識しています。

【土肥座長】実務家の方々は形よりも実益が大事だと思うんですけれども,学者というのは割合そこら辺にこだわるんですよね。つまり,本来,スリー・ステップ・テストで権利者の正当な利益を不当に害しない場合として30条があって,それがデジタルネットワーク時代のそういう変容を受けて4号を設ける必要が出てきたというのを,正当な利益を不当に害するような場合の一つの例として出てくるわけですよね,4号が。そうすると,そこにおいて更に書いていくということの美意識というか,それは学者としてはなかなかのみ込めないところですね。

【田村構成員】学者としてはといってもいろいろなタイプがおりまして,著作権審議会では10人くらいいる著作権法学者の8人が,むしろ今回の事務局案の改正にそもそも反対しておりました。そして,私は美意識よりはむしろ中身をとりたいと思っています。

30条はもともと,録音,録画以外はダウンロードをセーフにしているということをまず忘れないでいただきたくて,それがスリー・ステップ・テストに反するという議論は聞いたことがありません。それより今回はむしろ制限規定を絞る方の話ですから,それがスリー・ステップ・テストに反するというと,今まで日本はスリー・ステップ・テストに違反していたということを認めることになりますので,その議論はとれないと私はそもそも思っています。

あとは書き方ですが,私は,似たような条文が入ることに違和感を覚えるというような美意識を感じない学者です。

【土肥座長】かようなお気持ちは十分理解しておりますけれど,あと1つ,「正当な」というのは,ある,なしにどういう意味があるのでしょうか。正当。

【田村構成員】今申し上げたとおり,現行法がスリー・ステップ・テストに違反しないということをまず前提にしていただきたいと思います。そうであれば,今回,違反しないものをどう限定しようが,スリー・ステップ・テストに反するはずはないということはまず是非前提にしていただきたいと思います。その上で,現在,私的複製に関しては著作権者に与える利益が軽微であることとに加えて,正当性としては,いろいろな御意見があるかもしれませんが,私は,私的領域の自由の確保に正当性を見出して条文ができているのだろうと思っています。今回,様々な理由で,特に海賊版対策ということで,録音,録画以外についても私的複製の制限を更に制限することになったわけですけれども,そのときにも,正当な方は基本的に私的な使用目的という要件のところで私的領域の自由が入っていると思っておりますのですから,そちらで読みこむものだと理解しています。その上で,著作権者の経済的利益が害されていないかどうかを吟味する要件として,今提案されているような案が出ていると,そのように理解しております。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【大渕構成員】先ほどの孤児著作物というのはまさしく孤児著作物として扱うべきなので,それを裏口入学のようにここに入れてしまうのは不当だと思っております。

それから,スリー・ステップ・テストは,議論が逆になっているように感じます。これ以上は著作権を切り下げてはいけないという最低限のミニマムスタンダードを定めているのがベルヌ条約ですから,議論が逆になっているのではないかという感じがいたします。道垣内先生が折に触れて強調されるところですが,法律改正をやる際には必ず,条約に違反しないかどうかというのを考えなくてはいけません。これは,もともと入らない予定だと言われたのですが,入れるとなったら美意識だけの問題ではなくて,いや,美意識と比喩的に言われたわけで,きちんとここのところはベルヌ条約との整合性も守らなくてはいけません。

もう1点重要なのは,これは刑罰法規にもなりますから,不明確なものは不可です。刑罰法規の不明確性ということで,憲法問題すら招来します。そこのところはきちんと押さえないといけません。先ほど,今後,これを基準にして国民が生活を送っていく際に,これだと素人には分からないと言われましたが,これだともう法律家にも分かりません。はっきり申し上げた方がよいと思いますが,これでは法律家にも,むしろ法律家こそは,さっぱり意味が分かりませんから,決してこのようなものを入れるべきではないと思います。きちんと国民が分かるような形にすべきであって,ブラックボックスのようにこれをやるのはいろいろな意味で不当だと思っております。その1点に尽きます。皆さん法律家だったら分かると思っておられるかもしれませんが,法律家も,というよりは,むしろ法律家こそは,意味不明なものは分からないとしかいいようもないので,そこはきちんと我々法律家が正しく情報発信しないといけません。素人だから意味が分からないのではなくて,法律家も意味が分かりません。意味不明なものについては,意味が分からない人がまさしく正常なのであり,これを見て分かる人の方が私は異常だと思っております。

【土肥座長】今のことですか。

【田村構成員】そうです。よく分からないのですが,刑罰法規の不明確性とかいわれるのですけれども,42条に既に「不当に害しない場合」と入っているわけですよね。それは著作権の刑罰法規にもちろん関わるわけです。また美意識の問題ではないとおっしゃるのですが,30条は,現在,とにかくセーフにしています。それを,我々はベルヌ条約の中でやっているわけです。それらのことを踏まえて,もし現状ですでに42条がもう罪刑法定主義にそもそも違反していて,現在が違憲状態であるとか,あるいは現在の30条がベルヌ条約違反であるとか,そういう話をされているのであれば,また受けて立ちますが,そこまでの話はなさっていないのであれば,論理的に私には理解しかねます。

【土肥座長】美意識と申しましたのは,大渕構成員が言われるような条約整合性とか,そういう学者として本来考えるべきところを押さえるべきであるという意味でもあったわけですけれども,いろんな御意見を承りました。我々はこれから何をすべきかというと,次の回を開いてこれを詰める。これが1つ。しかし,次の回を開いても恐らくここ以上のところは多分難しいのではないかなと思うわけです。これはもう最後は座長のとしての提案しかないんですけれども,必要だというお立場の方は,これは利用者の思わぬリスク,そういったものが出てきた場合に,30条で,4号でそういう「権利者の利益を害しない場合」という文言での要件を挿入するということですが,そのリスクを軽減する方法がもしある場合,現在,既に「知りながら軽微」という非常に大きなものを入れているわけですけれども,この「知りながら軽微」というものを入れているわけですが,それ以外にそういうただし書きを設ける必要性あるいはそれに代わる方法がある場合,それから逆に言うと,要らないという立場の御意見の場合,主としてこの条文が読みにくいという,複雑になるという御意見,かなり多かったんですけれども,これはある意味では利用者にとっても利益になるわけです。つまり,自身の利用行為とこの要件との関係を相当程度理解できない規定を目の前に置かれると,これをせっかく今回の30条の第4号を設けて海賊版対策あるいは情報収集,情報アクセスへの萎縮傾向を減少させる,なくすると,そういう我々の努力をなくしてしまいかねないわけですので,したがって,読みにくい,利用者に分かりづらい,そういうことを解消できるような形,なかなか両方のお考えが歩み寄れるようには難しいんですが,しかし,そういう方向に進めていくことを座長に一任いただけるのかどうか。あるいは,先ほど言いましたように第4回をやってぎりぎり詰めていくという方向を採用すべきであるとお考えになるのか。ここについて御意見を伺いたいんですが,もし座長一任を頂けるのであれば,きょう頂いたような御意見をできるだけ,これもあくまでもできるだけですね,可及的にそういう方向を見出すべき努力をさせていただきますけれども,そう言いながら,自分で何か提案が今あるわけではないんですが,そういう御意見がある以上,そして,河野構成員もおっしゃったんですけど,ここまで努力をしてきたものを,この1つでこの改正案を水に流すというのは,それは非常に惜しい,もったいないことでありますので,せっかくまで皆様方にやっていただいた努力というものをきちんとした形に結実させたいと,このように思っておりますので,そういう方向の中で座長一任を頂けるのかどうか,そこについて御意見頂戴できますか。つまり,第4回を開いてきちんと最終的に詰めると,そうお考えの方は手を挙げていただけますか。

【福井構成員】その挙手の前に申し上げたいことがあるんですが,よろしいですか。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【福井構成員】私は座長にお委ねしたいという気持ちを持っております。ただ,その前に,私は先ほど懸念されるケースを挙げてくれと言われたので挙げはしましたが,どういう条文が望ましいかについてはまだ意見は言っていないつもりでしたので,それを申し上げておきたいと思います。

この点で,私は,前田委員の折衷案に賛成いたします。この場での議論を見るだけでも,例えば本来は軽微も翻案の除外も要らないという大渕委員のような意見もおありです。一方で,対象を海賊版サイトに限定すべきである,あるいは有償著作物に限定すべきであるというような御意見はパブコメでも寄せられたし,この場でも複数の委員から出たように思っています。その中で何とか着地点を探らなければいけない。正におっしゃるとおりだと思います。そうなったときに,この場で仮に一致点を見ても,それがその後の国民世論や,あるいは国会に向けての審議に堪えるのかということを我々は真剣に検討しなきゃいけないと思うのですね。パブコメの意見,少なくとも数だけでいえば,その多くを,今,我々は不採用にしようとしているわけです。複数の委員は,それに代わるものとしてこの「不当に害しない」が入るならばという条件を付けました。それに対して,「知りながら」と,それから「軽微」という条件を入れたから人々の理解を得られるだろうという御意見も伺いましたが,本当に得られるのか。得られるならば私はそれで結構ですが,大丈夫なのか。結局,立法にたどり着けないという,いつか来た道になってしまわないのか。それが座長のおっしゃる最も避けるべき事態であるように思うのです。

分かりにくさという御指摘については,第1回で申し上げたとおり私も全く同感ですが,ただ,この要件に関しては,田村委員もおっしゃったとおり,既に幾つもの条文に入っているものですので,乗り越えられる問題のように思います。そういうことを踏まえて,座長に案を一任して,その結果が無条件に報告書に載るんだよと言われてしまうと,残念ながら私はそれに挙手することはできません。座長から提案を頂いて,多くの委員が賛成するならばそれを報告書に載せようということであれば,私は是非座長案を拝見してみたい,それを前向きに検討してみたいと思うわけです。

申し訳ありませんが,二択にならなかったので,これを申し上げます。

【土肥座長】座長案といっても,私が勝手に決めたわけでは当然ないわけで,座長案なるものを各委員にお見せして,こういう方向でいきたいんだけれども,その中にはおっしゃるような検討会の先のステージですね,国会での議論,そういったことも視野に入れた座長案ということには,子供じゃないわけですから,それはなるわけです。ですから,座長案,座長一任といっても,当然ながら,皆さんにその案をお見せして,そして了解できる,そういうものにはしたいと思っています。

はい,どうぞ。

【田村構成員】座長案を出してまた皆さんに回すのであれば,なぜ4回目を開かないのかということになるのではないかと思います。皆さんの議論を聞きたいというのであれば,是非座長案を4回目に出すべきではないかと思います。

ただ,土肥先生の認識は私も共有できるところが多々ありまして,もう一回やっても同じことになるだろうというのは大変よく分かります。4回目を開くのには,皆さんにもう倦厭ムードがあるのではないかというのもよく分かります。

しかし,座長案ですけれども,案と聞きますと,何か一つの方向性があって,それがこの検討会の総意ですというような案であるならば,それを今,座長に一任してくれというご提案には少し無理があるように思います。現在の委員の方の意見の分布状況は,明確に分類できない方もいらっしゃるがような気もしますが,前田先生の折衷案の方がよいと思っている方がおそらく5人くらいいるかと思います。他方,事務局が出している案でよいのではないかということについては,座長を除いても多分7人くらいいるのではないかと思います。そうすると,本当に拮抗していると思うのですね。それにも関わらず,その中で何か1つの案に決めろとなったら,いやそれは話が違うでしょう,もう一回議論してくれという気になるわけです。したがいまして,もし座長案ということであれば,今回は率直に言って,例えば「まとまらなかった」と書くとか,あるいはもう1つの可能性として,実は皆さんは二択の中に紛れて余りそういう発想をとらないかもしれませんが,折衷案では皆さんが一致しているのですす。つまり,折衷案でもってダウンロード違法化で拡大してもよいということは,今,一致しているのですから,そこをベースにして,更に広げるべきというところではで意見が分かれている。分かれているけれども,これは率直に認めざるを得ませんが,若干と言いたいのですが,多数派は事務局案であるというような形でのおまとめであるならば,それは現状を正確に把握しているのではないか。そういうおまとめであれば,もう一回やっても同じことになると思いますので,私は,座長のその意味での提案,つまり次回はやらないということにも賛成いたします。

【大野著作権課長補佐】1点だけ失礼します。田村先生が,事務局案とおっしゃいましたけど,事務局として何か特定の方向性を持っているわけではもちろんございません。この場で合意されたものを法案にしたいと思っておりますので。

【萩原構成員】済みません。

【土肥座長】先に荻野構成員が挙手されましたので,その次に。

【荻野構成員】きょうの皆さんの御意見を拝聴していたんですけれども,最初に出していただいた資料1でまとまっているもののほぼ繰り返しといいますか,基本的に皆さんお立場変わらない中できょうもそれぞれ御説明してくださったという形かと思いますので,このもう既に出来上がっている両論併記のものがほぼ結論なのかなというふうに私は思ったんですが,どうでしょうかね。

【土肥座長】事務局にですか。

【荻野構成員】いえ,土肥先生に。

【土肥座長】それはこれからです。それはこれからです。今ここで何か具体的にこういうところでという,そういうことまでは考えておりません。きょうの御議論を,1回議事録等を拝見した上で,それで駄目だったら,もちろん第4回目を開いてもらうしかないんですけれども。その駄目だったらというのは,そういう議長案をまとめて皆さんにお回しして,それで御了解得られないような場合は,それはもう第4回しかないんだろうとは思います。

はい,どうぞ。萩原構成員,どうぞ。

【萩原構成員】私的には座長に一任ということで結構かと思うのですが,その際に是非御考慮いただきたい点,1つだけですけど,実は録音,録画で3号があるわけで,3号との比較でこの要件がなぜ入ったのかという,そのことを納得性のある事例と,それからしっかりした合理的な理由付け,これができないと駄目なんじゃないかと思っているんですね。で,入れる場合はその辺りをしっかりといろんな場で説明しないといけないと,抽象的じゃなくて。と思っておりまして,それができないのであれば入れることは避けた方がよいのではないかと思っていますが,座長に一任いたします。

【土肥座長】ありがとうございます。30条の問題で,録・録の問題,それから補償金の問題,これはもう30条全体に火が付いていくわけですよね,これ。本当は別の小委もあるわけですので,そういうところできちんと議論していただくことが必要なのかと思いますけれども,今,萩原委員がおっしゃったような録・録,補償金,それから30条,私的複製,この辺りは一体として出来上がっているものですので,本来は文化庁著作権課においてはこの全体を大所高所から見て,確かに海賊版対策ではあるけれども,その大所高所から見た上で,その海賊版対策というふうに言ってほしいということは常日頃から申し上げておるところでございます。

さはさりながら,今さら30条全体についてということを持ち出すというのはちゃぶ台返しのようなことになるわけですので,ここは海賊版対策という直近の問題をいかに合理的にできるだけ30条に整合するような形で,だから30条に整合するような形というのは,30条は本来的には消費的な複製ですので,別にそこから何か発展するようなことを30条は本来を考えてないと。41条,42条あるいは47条の4等ほかの規定がありますから,議論や討論あるいは報道については。だから,30条に期待される気持ちはよく分かるんですけど,30条にそういう余り大きな期待を背負わされても,本来予定されているところとは違うんですね。だから,そういうことも踏まえていただいて,最終的な座長案をもしお見せするということがある場合は御理解を頂きたいということは,あらかじめお願いしておきたいとは思います。

思いますが,もう一度お尋ねしますけれども,座長に一任する案,どちらから聞いた方がよろしいのか分かりませんけど,御賛成の方,挙手お願いできますか。

反対の御意見。

【福井構成員】拝見した上で賛否を言うというのは反対のうちに入るのですか。

【土肥座長】もちろん,反対の意見が入るといっても,賛成の方もおられますから,そこには一定の限度というのはあるんだろうと思いますけれども,要するに,座長案というものをごらんになって,いや,これ,駄目だというようなことをこういう公式の場でいろいろ,3回なら3回にわたって議論を積み重ねてきた,その前提の中でも反対論といいますか,御意見は述べていただきたいなとは思いますけどね,それはお願いでございます。

福井構成員からどうぞ。

【福井構成員】この場の議論の経過を見ると,無条件の一任はできない委員の方もかなり残るのは,もうしようがないんじゃないかと思うのですね。ですから,座長案を提示していただいて,皆さんが,ここまでぎりぎり詰めたんだから,もうこれで乗りましょうと言って乗ったならば,座長案が報告書の結論になる。他方,座長を提示いただいて,大変申し訳ないけど,これは乗れないねというときには,つまり一致しなかったということなのだから,両論併記以外に結論はあり得ないだろうと思います。

【土肥座長】両論併記というのは十分あるんだろうと思います,それは。そこは。両論併記というのは十分あり得ると思います。その両論併記の上で,座長としてお示しできるものをお示しするということになると思います。

【大野著作権課長補佐】恐らく座長がおっしゃっている座長案というのは,このまとめ案の文書の修正を座長として作るということだと思います。条文をこうすべきという案を1つ作って,それを示すということも排除はされてないかもしれないですが,それよりは,きょうの議論を踏まえて若干の加筆修正をしたまとめ案を座長案と恐らく呼ばれていて,それを各構成員に一応ご覧いただいてまとめると,そういう想定なのかなと理解しております。

【土肥座長】それは,まだ座長案を出してないわけですから,別に事務局で先にとっていただかなくてもいいんですけれども,いずれにしても,私の名において何らかの形を取りまとめて,それを委員の方々にお見せして御意見を伺う場は当然あるということです。

はい,どうぞ。

【大渕構成員】私も先ほど賛成したのは,今言われたところに帰着するわけであります。文化審でまとまったままいっていたならば,約1年前に海賊版対策に手が打てたわけですが,海賊版対策は一日も待てないと言いつつ,結局,約1年も遅れてしまっています。このまま議論を続ければまた同じように2年,3年と,「録・録」(私的録音録画補償金)と同じように議論のための議論のようになってしまいそうなところがあります。私が理解した座長案というのは,恐らく,今,事務局が言われたような客観的な描写に近いようなものかと思います。言い始めると,また一言,二言言ってとなってしまい,また何年も掛かると,そうすると,海賊版がどんどん広がっていくので,早く,遅れずにきちんとこの検討会として結論を自ら出す必要があります。きちんと結論を出さない限り,我々の責任を果たしたことになりませんので,そこのところは先ほどのような趣旨で一任するという以外に解はないし,このままだらだら続けてもきっと一致はないのではないかと思います。

【土肥座長】どうぞ。

【前田構成員】先ほど私は一任するかどうかのどちらにも手を挙げなかったのですが,今,大渕構成員あるいは事務局からの御説明のように,きょうの議論を客観的に反映するものとしておまとめいただくということを前提として,座長に一任をすることに賛成したいと思います。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【田村構成員】 座長案ということで暗に強調されていますが,何か新しい条文案が出てくることであったら,それは難しいと思います。ただ,前田先生のおっしゃるようなまとめ方であれ,たしかに現在,両論があって,本当にかなり拮抗しているわけですが,その状況を踏まえた上でそのことを報告書に文章化することを座長にまとめていただくというのは,これは一般の委員会でも必ずやることですので,それに特に反対するものではありません。ただ,何か新案が出てくるというのであれば, 4回目を開催すべきであると思います。そのように亜大で,前田先生のおっしゃるような趣旨であるならば,座長の取りまとめといいますか,座長が報告書を取りまとめるというようなことであれば,私も賛成するのにやぶさかではありません。

【福井構成員】同じですね。この委員会の結論として一つの意見が座長案として出てくるということであれば,それはどうしても見て確認させていただかざるを得なくなりますが,そうではなくて報告書の文案が示されるということであれば,異論はありません。

【土肥座長】いずれにしても,この検討会における結論がまとまらないという形は当然避けなければなりません,ここは。ですから,検討会の意見を取りまとめる形がどういうものになるのか,それは報告書の取りまとめの形で両論併記で終わっていくのか,あるいはもう少し一歩入ったような,踏み込んだような形になるのか,それは皆さんにごらんいただくしかないんだろうと思います。そこで意見をおっしゃる機会はあるということであります。

事務局にお尋ねしたいんですけれども,仮にそういう段取りで今後進めていったとして,座長案が出ますよね。そしてそれを各委員にお尋ねいただくと。これでかなり異論が出るという場合は,第4回開かれますか,それとも,もうこの検討会は座礁といいますかね,デッドロックに乗り上げるような形にされるのか,どうされます,そこは。どういうお考えになっておられますか。

【大野著作権課長補佐】まさに出てくる御意見の状況次第かなと思いますが,今,御議論を聞いておりますと,きょうの議論をしっかり客観的に反映したまとめにするのであれば,恐らく異論をおっしゃらない方が多いのかなと理解しております。座長と御相談して適切なまとめを作れれば,そういう事態には恐らくならないのではないかなという感触は持っております。

【田村構成員】先ほど私の提案したことですが,今回まとまらないと,例えばダウンロード違法化が更に遅れるということになります。この委員会では,先ほど申し上げたとおり,限定付きでダウンロードを違法化するということには反対しないというか,皆さんが一致していると思いますので,そこはもう進めていただいてよろしいと思います。限定をしないことをどうするかという問題は残っていて,そこは踏まえていただきたい。今ここで我々が賛成しないと,もう1年遅らせるのだから,おまえは戦犯なのかというような,何かすごく脅迫めいた二者択一を迫られたような御意見を時々聞くのですけれども,そうではなくて,限定を付けるかどうかだけの問題で,ほかはまとまっているのだと思います。だから,まとまっていないわけではないので,次の段階に進めるくらいのまとめはすでにあるものと私は理解しています。

【土肥座長】事務局の資料そのものが条文案等々についてきちんとお書きになっていただいておるわけですので,急にトーンダウンした形でまとめるということも,それはできないんだろうと思います。そこはそういうものを積み重ねた上での取りまとめ案にならざるを得ないし,方向性としては,ダウンロード違法化,それからリーチサイト問題の解決,情報アクセスへの萎縮化を軽減する,解消する,こういったことは著作権法30条あるいは30条の2等々の規定の中で反映できるような方向に進んでいければと思いますし,各構成員もその点については御理解・御了解いただけるんだろうと思います。そういうことで,この次のステップとしては,取りまとめ案を皆さんに見ていただくというところをお待ちいただくしかないんだろうと思うんですよね。そこで,第4回とか開く日程的な余裕があるのかどうかですが,それはどうですか。

【大野著作権課長補佐】一応,予備日として1月17日は確保させていただいておりましたので,開催することもできなくはない状況かと思います。ただ,複数御意見をいただいたとおり,議論を重ねても,新しい妙案みたいなものが出てくるという見込みはそれほど高くないのかなと思っておりますので,きょう出た御意見を更に追加したものがこの検討会における議論の成果となるというのが自然かとは理解しております。

【土肥座長】各構成員には,理由のあるところはきちんと聞いていただけるものだと私は思っているんです。和田構成員,何かございますか。

【和田構成員】時間のこともあって,ほかの方の発言と重複するようなところは極力発言しないような形でここまで来ていますので,これまでの議論を客観的にまとめられたものを見た上で,私が押さえていて,本来反映されると思ったけれども,反映されていない意見が現れたときに,私が発言していないことであっても,それに対する意見として事後的に出したものを報告書に反映していただく余地というものを一応確認させていただければと思います。

【土肥座長】それはもう大原則だと思います。せっかく構成員が御発言いただいたものをないものに,それはできないです。それは反映させていただくということです。

確かに時間の問題もございます。まだもう1点あるんですね。もう1点,お諮りすることは。しかし,この「権利者の利益を害しない場合に限る」等々のそういう問題については,そこを含めてこの取りまとめに関する座長案の中で両論併記等々も含めて御一任いただけるものと考えてよろしいですか。よろしいですね。

(「異議なし」の声あり)

【土肥座長】それじゃ,そのような方向で,余り時間はありませんけれども,事務局と話し合いながら詰めていきたいと思います。事務局におかれましては,冬休みもいろいろあったかと思いますけれども,今からもう忙しい話になってまいりますし,よろしくお願いいたします。

それじゃ,次にもう1点ですけれども……もう1点ありましたよね。

【大野著作権課長補佐】もう1点,議論が分かれていた部分としては,11ページから12ページにかけて記載している,プラットフォーム・サービス提供者の扱いが残っていたかと思います。基本的に善良なプラットフォーマーは規制の対象にならないという認識は共有されておりましたが,それを条文上明記した方がいいのか,明記すると脱法行為を招くなどの弊害があるのか,この点についてはこれまで様々御意見があったかと思っておりまして,一つの方向性に収れんはしてなかったかと思っております。

【土肥座長】今,事務局において言及していただいた部分ですね,プラットフォーマーに関するプラットフォーマーの提供するサービスの範囲について,今回の法改正で及ばない部分というものをきちんと書くのか,あるいは,そうではなくて,様々な御意見もあろうかと思いますけれども,12ページ辺りに出ておりますが,そういう裁判所の役割なり,行為主体論に任せるとか,あるいは附則で対応するとか,幾つかここに出ておるわけですが,これについて何か御意見はございますか。はい,どうぞ。

【前田構成員】12ページの下の半分に,仮に条文上で除外するとした場合の条文案のイメージを書いていただいているのですけれども,これを拝見しますと,「公衆への提示を行っている者」という概念から「単に提示の機会を提供しているに過ぎない者を除く」ということになっているのですけれども,これは,単純に考えるとなかなか理解が難しいように思います。と申しますのは,「単に提示の機会を提供しているに過ぎない者」は,そもそも「公衆への提示を行っている者」,すなわち公衆提示の行為主体ではないと解されますので,もともと公衆提示の行為主体でない者を括弧で「除く」というのはなかなか理解が難しいところかと思います。行為主体性に関しましては従前の判例・学説による議論の積み重ねがございますので,ここで言う「公衆への提示を行っている者」かどうかというのも,行為主体論によって判断されるべき問題かと思います。そう考えますと,この「単に提示の機会を提供しているに過ぎない者を除く」というのは,「公衆への提示を行っている者」には当たらないものを例示するための念のための文言に過ぎないのであって,行為主体性に関する従前の議論には何ら影響を与えるものではないという理解になるかと思います。逆に申しますと,従前の議論において,公衆提示の行為主体と判断されるような場合には,括弧の中によって除外されるわけではないということになると思います。

事務局にお尋ねしたいのは,私はそういうふうにこの条文案を理解できると思うのですが,そういう理解で事務局の認識と合っているでしょうか。

【大野著作権課長補佐】正に同じ認識でございます。括弧書きで「除く」と書いておりますけど,これは,括弧の前の部分で入ってしまうからあえて除いているというよりは,入らないことを確認的に追記をしていると,そういう位置付けの括弧書きだという理解の下,条文のイメージを作成しているものでございます。

【土肥座長】よろしいですか。田村構成員,どうぞ。

【田村構成員】もしそういうことであれば,「除く」を入れた方が明らかになると思います。私は,前回もお願いしたところですけれども,今回初めて条文案も見させていただいて,「除く」は入れた方がよろしいのではないかと思います。

ただ,確かに「除く」と書いたとしても,実際にそう読めるかという問題がないわけではなくて,書き方としては,むしろ積極的要件として入れるのか,「ただし」で何かできるか,もしかしたら何か技術的な事項があるかもしれませんが,この「除く」という書き方でも,今までの他の法令の用語に比べてみても,事務局のように読むことも十分可能ということでよろしいということであれば,それでかまいません。

【大野著作権課長補佐】具体的な条文はこれから内閣法制局と相談しますので,このとおりになるかどうかというのは分かりませんけれども,こういった趣旨のことを条文上書くべきか否かというのをこの場で御議論いただきたいと思っております。

【田村構成員】そうであれば,私は書いた方がよろしいと思います。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【大渕構成員】以前から申し上げているとおり,大論点の間接侵害に影響を与えないという点が一番重要だと思います。「除く」という点にポイントがあります。先ほどどなたか言われたような,積極側で書こうとしても書けるはずがないので,積極側で書くことをやめて,この「単に」というものの読み方によるのですが,恐らく念頭に置かれているのは,2ちゃんねる小学館事件控訴審判決のように,特定性のある通知がありながら,知りながら放置しているようなものは行為しているのと同じだというのを,これを正犯と見るのか幇助犯と見るのかは別ですが,そのような難しい問題に入らずに,逆側からむしろ単に提供しているに過ぎない者は当たらないというところを,むしろ積極側に入り込まないように苦労して,最低限この点だけは抜けるという点にはおおむね前回も共通認識があったので,あとは,最後はうまくその点がこの文言で表れていると読むかどうかで,私は異論がなくはないのですが,入れないとより悪化するくらいであれば,現実路線として,単に機会を提供するにすぎない者を除くことだけに完全に徹して間接侵害には一切影響を与えないという大前提の上で,反対しないこととしたいと思います。

【土肥座長】ほかに。

【後藤構成員】プラットフォーマーとの関係におきましては,2018年の末から権利者と話し合いをしまして,昨年は文化庁さんの御支援も頂きまして検討会議というものを作りまして,民・民で運用上非常にうまくいっているという背景があります。今回は,このリーチサイト規制によってプラットフォーマーの皆さんに無用な萎縮を生じるようなことは全く望んでいませんので,今,御議論がありましたように,条文上明記いただく方向でよろしいと思います。お願いいたします。

【土肥座長】ありがとうございました。

ほかにございますか。はい,どうぞ。

【堀内構成員】今,後藤構成員からお話があったように,プラットフォーマーがそういう懸念を持っているというようなことですので,明文化されるということについて出版側も異論はありません。

【土肥座長】ありがとうございます。

ほかにございますか。はい,どうぞ。

【赤松構成員】権利者側としても,海賊版対策の実効性に悪影響がないようでしたら,明文化しても構わないと考えております。

【土肥座長】権利者,悪影響がこの規定であるとは到底思えないんですけれども,何か懸念がある構成員の方はおいでになりますか。特にございませんか。プラットフォーマーについて総務省でも相当議論をやっていると思うので,その関係で,著作権法でこういうことを入れるというのがタイミングとしてどうかなというのは思うんですけれども,これ,入れても悪影響がないということは,皆さんそういうふうに御了解なさっているんだろうと思います。大体その方向でよろしいですか。

じゃ,ここはその方向で,決して悪影響のないような形で,これにこだわるわけではありませんけれども,この文言にこだわるわけではありませんが,プラットフォーマーについて対応する方向で調整を進めたいと思います。

本日予定しておりますのは以上の2つの点でございます。先ほどから座長への御一任を頂いた内容についてかなり条件が付いておりますので,本日が,3回目が最後になるのか,あるいは4回目があるのか,ここは何とも微妙なところであるわけでございます。さはさりながら,せっかく今里次長においでいただいておりますので,きょうの議論をいろいろ踏まえていただいて,ひとつ御挨拶を頂戴できれば……。

【後藤構成員】次長に入る前に1ついいですか。

【土肥座長】はい,どうぞ。

【後藤構成員】その他の部分でございまして,3ページの反復・継続(民事)で,誤ったメッセージを与えるんじゃないかと私は思っています。単発でやればいいというようなルールになるようなことは不適切だと思います。皆さん御承知のように,5G時代が始まります。実効速度が4Gの100倍ですから,1回のダウンロードの桁が半端じゃありません。ということで,このような単発でやればよいというようなルールは不適切だと思います。

それと,4ページの警察等により事前警告(刑事),これも実効性が低下すると思います。警告されるまでやり続ければいいという罰則がないというようなことは,これはおかしいと思います。これも不適切だと思います。

そして最後に一番望みたいのが,リーチサイト規制の早期施行のお願いであります。リーチサイト規制については数年前から議論がされまして,2016年の2月にCODAから知財本部の方に提案をさせていただきました。それから審議会の方でずっと議論をされまして,本来であれば2020年,この1月1日から施行されたというケースもあったかと思います。つきましては,通例の,このままうまくいけば2021年の1月1日の施行ということもあろうかもしれませんが,早期の施行,例えば10月1日とか,分かりませんが,前倒しができるものであれば,是非ともリーチサイト規制というのを前倒しで施行していただきたいと思います。以上です。

【土肥座長】確かに,その他ございますので,皆さん,その他の中で何か御発言御希望の方は後藤構成員以外にもおいでになるかと思いますので,伺わせていただきますが,いかがでしょうか。はい,どうぞ。

【和田構成員】刑事が1人なので,なかなか発言しづらくここまで来たのですけれども,全体に刑事の観点から見たときに,議論が予防の必要性というところが前面に出ていて,もちろん,国民を萎縮させないという観点とのバランスという話にはなっていますけれども,刑事の観点からそれ以外に,一般的にこの規制を置いたときにどういう影響があるかだけではなくて,その刑事罰が現に処罰対象としている個別具体的な行為がどれだけ応報・非難の根拠を有したものなのかということを例外的な場合も含めてきちんと検討する必要があると思っております。全体に規制が持つ一般的な影響というところが前面に出るのはしようがないと思いますので,余り強く発言はしませんでしたけれども,刑事の立場からはそのように思いますので,一言発言しておきます。

【土肥座長】ありがとうございます。

ほかにございますか。よろしゅうございますか。

それでは,ここまでの議論あるいは各構成員の意見をお聞きになった上で,今里次長にはひとつここまでのところの御挨拶といいますか,お話を頂戴したいと思います。

【今里文化庁次長】第3回までというふうに当初予定しておりまして,第4回,予備日もございますけれども,先ほど議論を伺っておりますと,ここでの議論について客観的にまとめるという形で座長に一任をされてその議論のまとめ,それを更に御確認を頂くということでございますので,実質的な論点というのは出尽くしているのかなと思いますので,ここで一言御挨拶をさせていただきたいと思います。

本検討会では,当初ございましたように,深刻な海賊版被害への実効的な対策を講じるということ,それから国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないこと,この2つの課題を両立した案を作成すべく,非常に集中的に充実した御議論を頂きましたことを改めて御礼を申し上げます。

議論の結果,きょうの前段の方にございましたように,改正案の附則に運用上の配慮規定を追加することですとか,スクリーンショットを行う際に違法画像が入り込むことや,マンガの1こまなど「軽微なもの」のダウンロードを違法化しないこと,そして二次創作やパロディなどのダウンロードを違法化しないこと,これらにつきまして条文イメージを含めておまとめいただいたところでございます。これらが措置されることによりまして,海賊版対策が実効性を損なわずに,国民の情報収集の自由にも適切に配慮するというバランスのとれた制度設計につながるものと考えているところでございます。

一方で,議論ございましたように,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」という論点の要件の取扱いにつきましては,様々な観点からの議論を尽くしていただいた結果,一つには収れんしていないわけでございますけれども,論点や材料が幅広く提示され,そして整理されたという状況になっていると考えているところでございます。この要件を入れない場合の権利の内容ですとか,あるいは折衷案なども御提案を頂いたわけでございますので,これらについて重く受け止めつつ,今後進めていくことの必要があろうかと事務局としても考えているところでございます。

先ほどございましたように,事務局,座長からお話ございましたように,客観的な議論の状況をおまとめいただく旨,議論のまとめ案というものが,今後,私どもお手伝いをさせていただいて作成することになりますので,それを皆様方にごらんいただくというふうにコンセンサスが得られているかと承知しております。そこのところで今後4回目があるかどうかは分かりませんけれども,秘匿任意のところということで,今までの御協力に御礼を申し上げまして私の御挨拶とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

【土肥座長】ありがとうございました。

それでは事務局から,今後のことも含めて,連絡事項ございましたらお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】先ほど座長におまとめいただきましたとおり,きょうの議論をしっかり反映した議論のまとめを早急に作りまして,構成員の皆さまに確認をお願いしたいと思っております。恐らく,スケジュールも限られておりますのでタイトな期間での確認をお願いすることになろうかと思いますが,何とぞ御協力をよろしくお願いいたします。

【土肥座長】ありがとうございました。

今,事務局のお話がございましたように,本日までの議論を受けて,議事録をもちろん作成いたしますけれども,さらに,議論のまとめなるものを作成していくことが必要になります。その際は座長の責任においてまとめさせていただいて,まとめる形も,一本化できるところもございましょうし,それが難しいところもあるんだろうと思います。そういうものがある形になりますけれども,取りまとめができ次第,各構成員にお見せして,そこで了解が得られれば公表に持っていきたいと考えております。

委員の皆様方におかれましては,本当に短い時間の中で熱心な討議を進めていただきまして,私として非常に感謝申し上げたいと存じます。

最後に,今回の検討が著作権法の改正につながって様々な課題を解決していくことができれば,そのように思っております。

どうもありがとうございました。

――了――

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