文化審議会第23期文化政策部会(第1回)議事次第・議事録

日時

令和7年7月1日(火)10:00~12:00

場所

オンライン開催

議題

  1. 1.部会長等の選任
  2. 2.文化芸術政策を巡る最近の政府全体の動きについて
  3. 3.文化芸術推進基本計画(第2期)の中間評価に向けたフォローアップについて
  4. 4.その他

配布資料

資料1 文化審議会関係資料(1.1MB)
資料2 最近の政府方針等(文化芸術関係抜粋)(345KB)
資料3-1-1 文部科学省政策評価関係資料(令和6年2月26日政策評価に関する有識者会議(第61回)資料1)(761KB)
資料3-1-2 文化芸術分野の政策体系等(令和6年10月2日政策評価に関する有識者会議(第62回)資料2-5)(384KB)
資料3-2 第22期文化政策部会(第2回)における主な意見の概要(基本計画フォローアップ関係)(189KB)
資料3-3 基本計画の中間評価及びそれに向けたフォローアップの充実方策に関する論点(案)(119KB)
資料3-4 第2期基本計画の中間評価に向けたスケジュールイメージ(案)(116KB)
参考資料1 文部科学省政策評価基本計画(328KB)
参考資料2-1 文化芸術推進基本計画(第2期)概要(565KB)
参考資料2-2 文化芸術推進基本計画(第2期)本文(1.2MB)
参考資料3-1 文化芸術推進基本計画(第2期)の進捗を把握するために活用する指標整理表(341KB)
参考資料3-2 文化芸術関連データ集(3.6MB)
参考資料4-1 令和6年度 文化に関する世論調査(概要)(503KB)
参考資料4-2 令和6年度 文化に関する世論調査 報告書(1.6MB)

議事録

出席者
・委 員:日比野委員(部会長)、松田委員(部会長代理)、朝倉委員、上杉委員、小林委員、柴田委員、伏谷委員、保坂委員、湯浅委員
・文化庁:森田次長、今泉審議官、横井政策課長、秋山企画官、その他関係官

【秋山政策課企画官】すみません。上杉委員、今、会議のURLをお送りして、これから入っていただくことになっておるのですけれども、もう10時5分になりましたので、時間の関係もございますので、これから始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、本日はWebexにて参加いただくオンライン開催になっておりますので、資料は事前に事務局より送付させていただいたものを御覧いただければと思います。

会議の傍聴につきましては、傍聴者にはライブ配信を生中継で見ていただくことを予定しております。非公開審議の案件がこれから始まりますので、まだライブ配信はしておりません。音声配信の都合上、タイムラグが生じること等ございますが、御了承ください。

これから部会長の選任等の案件がございますので、その案件が終わりました後にライブ配信を開始いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ただいまより令和7年度第23期文化政策部会を開催いたします。

委員の皆様には、今期文化政策部会の委員をお引き受けていただくとともに、本日は御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は第1回の部会ですので、後ほど部会長を御選出いただく必要がございます。それまでの間、私のほうで議事を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。私、文化庁政策課の秋山と申します。よろしくお願いいたします。

それでは、まず、文化政策部会の委員の方々を御紹介したいと思います。資料の1の4ページ目に今回の部会の委員の名簿がございます。名簿の順に御紹介をしたいと思います。

まず、日比野委員でございます。

【日比野委員】日比野です。よろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】松田委員でございます。

【松田委員】松田陽です。どうぞよろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】朝倉委員でございます。

【朝倉委員】朝倉由希です。よろしくお願いします。

【秋山政策課企画官】上杉委員は今遅れられております。

小林委員でございます。

【小林委員】小林でございます。よろしくお願いします。

【秋山政策課企画官】阪本委員は本日御欠席と伺っております。

次に、柴田委員でございます。

【柴田委員】柴田英杞です。どうぞよろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】それから、伏谷委員と保坂委員も本日遅れて御参加と伺っております。

湯浅委員でございます。湯浅委員、聞こえていらっしゃいますでしょうか。

【湯浅委員】今ちょっと一瞬途切れました。今聞こえました。湯浅です。よろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】続きまして、事務局を御紹介いたします。

文化庁森田次長でございます。

【森田文化庁次長】森田でございます。よろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】今泉審議官でございます。

【今泉審議官】今泉です。おはようございます。

【秋山政策課企画官】横井政策課長でございます。

【横井政策課長】横井です。よろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】それでは、議事に入りたいと思います。

部会長と副会長代理の選任等を行います。部会長は、文化審議会令第6条第3項の規定により、委員の互選により選任することとされています。また、同条第5項の規定により、部会長があらかじめ職務代理者、つまり部会長代理を指名することとされています。

それでは、まず、部会長について、どなたか御推薦ございませんでしょうか。

【松田委員】それでは、私、松田から推薦申し上げます。日比野克彦委員が適任だと思います。昨年度も部会長を務めていただきましたし、国内外のアートシーンを含めた文化芸術の現況、また、これまでの歴史並びにこれからの展望に関する深い御知見をお持ちということで、日比野委員が適任と考える次第です。

【秋山政策課企画官】ありがとうございます。

ただいま日比野委員の御推薦がございましたが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【秋山政策課企画官】御異議ないようですので、日比野委員を部会長に選任することを御決定いただきました。

それでは、以後の議事進行は日比野部会長にお願いいたします。

【日比野部会長】推薦いただきまして、頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、本日の審議会を進めていきたいと思います。

まずは、文化審議会令第6条第5項の規定により、部会長の職務代理者として部会長代理を指名させていただきます。

私のほうからとしましては、さきに引き続き松田委員にお願いしたいと思います。松田委員、よろしくお願いいたします。

【松田部会長代理】よろしくお願いします。

【日比野部会長】よろしくお願いします。

それでは、ここからライブ配信を開始いたしたいと思いますので、事務局のほう、よろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】今、配信が開始されました。

【日比野部会長】ライブ配信を御覧の方も今つながったかと思います。

文化審議会の第23期の文化政策部会の第1回を進めてまいりたいと思います。

まずは、冒頭、人事案件について審議を行った結果を御報告いたします。

今期の文化政策部会の部会長には、私、日比野が選任されました。そしてから、部会長代理には松田委員を指名したことを御報告いたします。

それでは、開会に当たり、部会長として私から一言御挨拶申し上げます。

本年度は文化芸術推進基本計画第2期の3年目となります。後期の文化政策部会では、来期に実施を予定している文化芸術推進基本計画の第2期の中間評価に向けたフォローアップを行うことになっております。委員の皆様におかれましては、この御協力をよろしくお願いいたしたいと思います。

では、続きまして、森田正信文化庁次長から御挨拶をいただければと思います。森田次長、よろしくお願いいたします。

【森田文化庁次長】おはようございます。文化庁次長の森田でございます。

日比野部会長、松田部会長代理はじめ、文化政策部会の委員の先生方におかれましては、第23期文化政策部会委員をお引き受けいただき、また、本日の第1回の会議にお時間をお取りいただきまして、誠にありがとうございます。

文化庁では、一昨年3月に京都に移転をいたしまして丸2年が経過し、3年目に入ったところでございます。2年間の取組について、前回も御報告させていただきましたけれども、その後も大阪・関西万博での日本の食文化等の発信でございますとか、ずっと戦後東京で開催していた新指定国宝・重要文化財展を初めて京都で開催いたしました。また、都倉長官の提唱によるMUSIC AWARDS JAPAN、これを京都で開催いたしました。これらをはじめ、文化を通じた地方創生、あるいは京都からの情報発信に取り組んでいるところでございます。

現在、政府で様々な政策文書が閣議決定等されておりますけれども、政府ではこの地方創生2.0、あるいは国民にとってウェルビーイングが高く、豊かさ等を実感できる活力ある経済社会の構築、こういったことを今掲げているところであり、その中で文化芸術政策の推進の重要性は一層高まっているというふうに考えております。

そうした中、文化庁では、先ほど部会長からもございましたように、現在の文化芸術推進基本計画、これを着実に進めるとともに、第3期の基本計画に向けて、これまでの取組を振り返り、課題や新たな政策ニーズを明らかにしていく。ちょうど今期計画の中間年になっておりますので、その評価をしていくということが重要と考えております。

昨年度、本部会では、計画の達成状況を測るための指標について検討をいただきました。今年度はちょうど中間の3年目でありまして、来年度行う中間評価に向けたフォローアップの実施をお願いしたいと考えております。委員の先生方からの御意見、御提言、忌憚のない御意見をいただきまして、文化施策のさらなる充実に取り組んでまいりたいと考えております。今期も精力的な御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【日比野部会長】森田次長、ありがとうございました。

それでは、早速議題に入っていきたいと思います。

まずは、事務局より、文化芸術政策を巡る最近の政府全体の動きについての御説明をよろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】では、事務局より御説明申し上げます。画面上に資料を共有しながら御説明できればと思います。少々お待ちください。

資料2に基づきまして御説明いたします。

この資料では、今年に入りまして決定されました政府全体の方針等の文書、その中で文化芸術関係のものを抜粋したものを御用意しております。時間の関係で、主にこの1ページ目にございますいわゆる骨太の方針の記載を中心にポイントを絞って御説明したいと思います。

文化芸術関係の骨太の方針上の記載としましては、第2章、賃上げを起点とした成長型経済の実現というチャプターの中に地方創生2.0の推進というものがございまして、ここに観光の推進といったもの、こちら1ページもございますし、その後に、(4)としまして文化芸術・スポーツの振興という柱が立っております。

この構成のことで少し御紹介しますと、昨年までの文化芸術・スポーツの振興というものが、これまでは安全・安心で心豊かな国民生活の実現というカテゴリーの中での小項目の1つでありましたけれども、今回は地方創生2.0の中に位置づけられるものとしまして、さらに、ある種格上げされたといいますか、文化芸術・スポーツということで1つの柱になったという点が1つの違いでございます。

中身についてですけれども、昨年度までにも記載があったものが引き続き維持されているものもあれば、少し新しいものもございまして、特徴的なものについて御紹介していきたいと思います。

まずは、冒頭で、国際的に遜色ない水準まで官民投資を拡大すると。これ、昨年から入ったものです。

それから、2文目、コンテンツ分野の高度専門人材・中核的専門人材の育成といった人材育成の観点、とりわけ中核的専門人材といった層についてもしっかり育成をしていくというところが今期の新しい部分ではないかと理解しております。

それから、5行目において、国立劇場の再整備についての言及が引き続き昨年より行われております。

さらにその1つ下の行ですけれども、首都圏の劇場不足に対応した全国各地の劇場・音楽堂の活用、それから、その次の行では、NEXT日本博、こちらは万博を見据えた日本博2.0に続く新しいプログラムについての言及がございます。

そのほかにも、下から4行目の右側の辺りから方言の保存・継承といったものも新しく記載されておりまして、全体としましては、多岐にわたって文化芸術・スポーツの振興に関する記載がなされております。

続きまして、3ポツで「投資立国」及び「資産運用立国」による将来の賃金・所得の増加というところで、海外活力の取り込みを図るという観点から、コンテンツ産業の海外展開という部分が相当の紙幅を割いて記載がされております。このコンテンツ産業の海外展開につきましても、昨年から大きく位置づけが変わって、このように充実した記載になってございまして、今年度も同様の規模が維持されているということでございます。

中身につきましては、例えば、クリエイターの育成という部分がございますが、こちらにも先ほどと同様に、高度専門人材に加えて、中核的専門人材を中心としたクリエイター育成をクリエイター支援基金の活用も含めて進めていくということが明記されております。

それから、4行目のところですけれども、著作権の制度に関して、レコード演奏・伝達権の導入についての結論を得るということが新たに盛り込まれております。

このほかにも、文化財の防災に関わることが4ポツにございましたり、その後、教育の関係で部活動の地域展開・連携の全国実施等が書かれてございます。

あと、資料を投影するのみにとどめますが、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画ですとか地方創生2.0、それから、知的財産推進計画、こういったものの中で文化芸術関係の方針が記載されているところでございます。こちらは説明を省略させていただきます。

以上になります。

【日比野部会長】ありがとうございました。

政府の文化に関わる部分の項目をまとめた資料2になります。やはり時代の中でのコンテンツの充実など、文化に期待する部分というところが加わっているのかと思います。

それでは、ここまでで各委員から何か確認とか御質問とかありましたらと思いますが。議事の3つ目もありますので、その後、各委員からまた御意見いただくようにしたいと思いますので、まとめていただいても大丈夫かと思いますが、このタイミングでもし何かありましたら。大丈夫でしょうか。

分かりました。ありがとうございます。

それでは、次に、3番目の議題に参ります。文化芸術推進基本計画(第2期)の中間評価に向けたフォローアップについての審議に入りたいと思います。

さきの部会では、フォローアップに活用するための指標を確認していただくとともに、フォローアップの方法などについての意見交換をいただきました。そこで、本日の会合では、さきの部会での議論を踏まえたフォローアップの充実方策などについての御審議をいただければと思っております。

なお、審議に当たり、基本計画の中間評価と連動して行うこととされている文部科学省の政策評価との関係の詳細についても確認しておきたいと思います。

それでは、まずは、事務局より配付資料の説明をお願いいたします。

【秋山政策課企画官】では、御説明いたします。

資料の番号は少し前後いたしますけれども、まずは、前回の当部会における議論の概要をまとめました資料3-2に基づきまして一度前回を振り返った後に、御説明をさらに進めていきたいと思っております。

時間の関係で少しかいつまんでの御紹介になりますけれども、前回の議論では、昨年度におまとめいただいた目標達成の測定指標の整理表、これをベースとして、フォローアップをどのように充実させていくかという観点で様々な御意見を頂戴いたしました。

まず、大きなまとまりとしましては、定性指標に係る評価あるいは定量指標に係る評価における定性的分析の必要性について言及された御意見を多数いただいております。

例えば、3つめの丸にございますように、定量的なアウトプット指標のその指標とデータを見ても、その背景や中身が見えてこないという課題があるとした上で、関係団体、有識者等からの聞き取りなどの定性評価を入れていく必要があるのではないかという御意見でございました。

それから、そのほかにも、数値・定性評価のいずれについても、バックデータとして、その背後の取組内容等についてまとめた資料があるとよいという御意見。

それから、その下ですけれども、目標を達成するために実施している具体的な事業、その実施内容に関する情報もあったほうがいいのではないかといった御意見等々をお寄せいただいたところであります。

それから、関係者等へのヒアリングというところで、先ほども御意見を御紹介した部分を含め、いろんなヒアリングを行っていくことは重要ではないかという御意見が複数ございました。

一方で、定性的な評価の客観性を担保するということで、ヒアリングの実施方法についての注意喚起をいただく御意見ですとか、こちら、最後の丸ですけれども、評価の能力についても留意が必要であるというような視点のコメントもございました。

それから、評価指標の情報や関連する事業などからのみでは捕捉していない実態というのも様々ございますので、例えば、前回の部会では文化庁より文化庁の京都移転後の主な取組というものを御紹介したわけでございます。その資料の説明について、文化庁が実際に手がける取組のリアルなところ、指標や数字を評価するだけでは見えてこない政策のニュアンスが含まれているということで、そうした取組も評価に取り込んでいったほうがよいというような御意見やこれに類似する御意見を複数いただいているところでございます。

それから、もう1つの固まりとしまして、事業評価に関する視点ということで、まず、その評価の分類ということですけれども、政策評価、それから助成事業の評価、さらに現場レベルの活動の評価といった3種類があって、まずそれを切り分けて議論するという前提の中で、政策評価の前に助成事業・活動の評価をするに当たっての正確なエビデンスの取得が重要であるといった御意見ですとか、そのほか、事業評価を行うに当たっての様々な視点を御提供いただいたところでございます。

このほかにも、個別の施策目標・指標等に関わる御意見もいただきました。こちらの説明は割愛させていただきます。

こうした御議論がございまして、先ほど部会長からもございましたように、文科省の政策評価の仕組みについて御紹介するのはこうした議論の流れからも適当であろうと思いますので、その御説明に入りたいと思います。

資料は3-1-1でございます。

昨年度の当部会におきましても、文科省の政策評価法に基づく政策評価と、あと、当部会でお願いしております基本計画の評価、これが一体的に連動して行う必要があるということはお伝えしてきたわけでございますけれども、本年がその具体的なフォローアップを実施いただく年ということもございますので、詳細にどのような形で両評価制度が連動していくのかということについて御紹介したいと思います。

文科省の対応についてと書いてあるペーパーです。こちら、文科省の政策評価に関する有識者会議で議論がなされたものをまとめた資料になっております。

こちらは令和5年4月からの新しい評価制度についてのコンセプトをまとめたものでありまして、全部御説明することはできませんが、この赤字にありますように、まず、この新しい制度のコンセプトとしましては、作業負担を減らしながら政策評価の実効性を向上させていくということが挙げられております。

ここのトライアングルの上のほうがいわゆる政策目標、施策目標という目標に属するものであります。その目標達成手段としての各事業については、基本的には行政事業レビューのほうが受け持つことになっておりまして、これをロジックモデルの充実などによりまして、しっかり上位の目標との関連性というのを整理していくという考え方でございます。

そして、そうした仕組みを支える新たな文書としまして、政策体系というものをつくることになってございます。政策体系は、達成目標、それから測定指標、そして、それに関わる個別の事業の関連性をまとめたものでございまして、事業、施策目標、政策目標のつながりを整理したものであります。そうした政策体系という文書を使いまして、政策立案プロセスで行われる各種評価、例えば本部会にお願いしております基本計画のフォローアップですとか、行政事業レビューとの接続を確保していくということでございます。

そして、政策評価書に関しては、分野ごとに適切な方法を判断していくという柔軟性も今回取り入れられているところでございます。

政策評価の見直しについてと題するこの資料では、政策体系等という文書の構造と行政事業レビューの様式の関係性が解説されておりますので、ここだけ簡単に御紹介したいと思います。

政策体系等というところを御覧いただきますと、政策目標、施策目標というのございまして、さらにそこを細分化し、達成目標というのがあって、その目標達成を測定する測定指標、それから、その目標達成のための手段、様々な事業について書いてありまして、さらに、その達成手段がどのように目標達成に貢献するのかというロジックの部分、こうした構成になっております。

そして、この右側2つの達成手段とロジックといいますのは、まさにこの行政事業レビューの様式のエッセンスをまとめたようなものになるわけでありまして、行政事業レビューのほうでは短期アウトカムから長期アウトカムまでこれを言語化しまして、各アウトカム間がどのようにつながっていくのかということをロジックモデルでまとめると、こういうことが政府全体の方針のもとで決められております。したがって、この2つの文書がうまく連動することによって、全体的に一貫性のある評価・改善サイクルが実現できると、こういうコンセプトになっております。

それから、下の②のところでございますが、政策評価書の作成作業を省力化していこうという考え方もございまして、これまでと違って、今回からは基本計画のフォローアップ資料などを活用していこうという考え方になっております。これも分野ごとにどのようにやっていくかということを決めていくという考えになっております。

それで、こちらのペーパーは、政策評価に関する会議と、それから連動・活用するとされています各種基本計画のフォローアップを担う審議会の関係を図示したものでありまして、左上の政策評価に関する有識者会議でこの政策体系等を作成していくという立てつけになってございまして、文化芸術については私どもの文化庁が間に入ってこの起案を担当していくということになります。

一方で、政策体系等というものを活用して基本計画のフォローアップもお願いするわけでありますので、この審議会と政策体系との間の調整、あるいは直接的に有識者会議と審議会との間のコミュニケーション、こういったものが含意されているという制度になります。

こうした仕組みを前提といたしまして、文化芸術分野における政策評価はどのような仕組みで行われるかということをまとめたペーパーがこちら4ページでございます。

若干スケジュール的なところとかは省略いたしまして、右下の政策評価書の構成というところを御覧いただこうと思います。

この文化芸術分野の政策評価書の構成としましては、文化芸術推進基本計画の中間評価、これ、文化政策部会でやっていただく部分になりますが、これがコアになります。これに加えて、政策評価の仕組み、世界との関係性を整理するような対応表や法定記載事項といったものを少し付加するといったことはございますが、基本はこの中間評価書がベースになると。ただし、中間評価を行っていただくに当たりまして、政策体系等をバックデータなどとして活用いただきたいと、こういうことになってございます。

次に、政策体系等の具体的なイメージをお示しいたします。

資料は3-1-2でございます。ちょっと文字が小さくて、大変申し訳ございません。

こちらの資料は昨年10月の文科省の政策評価に関する有識者会議において公表されたものでありまして、先ほどの関係者の図のところで御覧いただきましたように、一旦この評価、有識者会議の助言を受けまして、文化庁の事務局におきまして起案をさせていただいたものであります。

起案に当たりましては、昨年度、当部会で御審議いただいた指標の整理表をベースとして作ったものとなっております。指標の整理表に含まれる情報というのは基本的にこちらに含むということをコンセプトとしておりまして、ちょっと上欄の表現は違いますけれども、施策目標、達成目標、測定指標、出典、目標値、実績といったところは、これまでの指標整理表において御整理いただいたものと同じであります。政策体系等では、さらにその達成手段として各目標にひもづく手段というものが書いてあり、そして、その達成に向けたロジックが書いてあると、こういう構成になってございます。

先ほど評価の仕組みのところで申し上げましたとおり、この政策体系等といいますものは、文化審議会文化政策部会とのコミュニケーションの中でこれから確定していくものでございまして、この10月時点のものはまだ途中段階のものと御理解いただければと思います。

文科省の政策評価に関する有識者会議においても、毎年これをブラッシュアップしていくというふうになっておりますので、今年度は、まさに双方向でこのたたき台となる政策体系等のこの文章を基に、さらにブラッシュアップをしていくという年になります。

これらを踏まえまして、資料3-3において、前回の部会での御議論を受けたフォローアップの充実方策に関する論点ということで、事務局として案をまとめさせていただいております。

まず、前提・基本的な考え方というところでございますけれども、先ほど御紹介しましたとおり、文部科学省の政策評価制度との連動性を確保するということ、それから、評価の実効性と効率性の双方に留意するということが適当ではないかとさせていただいております。

それから、中間評価に向けたフォローアップにおいては、先般確認いただいた指標の整理表を発展的に昇華させているという位置づけになりますが、政策体系等という文書を活用いただくということが適当ではないかとしております。また、政策体系等については、今後、文科省の政策評価に関する有識者会議における議論も参照しつつ、御確認いただきたいと思っております。

これらのことを前提としまして、基本計画に掲げた目標の達成状況の評価、すなわち政策評価を行うということに本部会としては主眼を置いていただくこととしまして、個々の事業の評価については、行政事業レビューの枠組みのもとで実施される自己点検評価等を踏まえた評価を当部会で行っていただくことを基本としてはいかがかとしております。

また、フォローアップにおいて活用する付加的な情報を含めた全体像ということですけれども、まずは、フォローアップにおきましては、定量資料に係るデータを把握するのは当然のことでありますが、それに加えまして、①政策体系等の達成手段に掲げられた予算事業に係る行政事業レビューシート、それから、②同様に達成手段に掲げられた予算事業以外の各施策に関わる取組等をまとめた資料、それから、③それらのほかにも様々な取組がございますので、各指標に係る評価に資すると考えられるものを文化庁としてまとめさせていただいて、評価に活用いただければと考えております。

さらに、前回の御意見も踏まえまして、関係団体等に対するヒアリングを実施してはどうかとしております。ただ、その際に、全ての指標を網羅することや個々の事業の効果を精緻に洗い出すということはコストの観点から難しいと考えますので、基本計画の目標達成状況の判断の参考とするということに主眼を置いた概括的なヒアリングとしてはいかがかという御提案でございます。

続きまして、資料3-4ですけれども、ここまで御説明した内容をスケジュールイメージに落とし込んだものになってございます。

今年度はフォローアップを取りまとめいただくということをお願いしたいわけであります。本日、評価手法の検討をしていただきたいというふうに思っておりまして、その後、政策体系等のブラッシュアップ、確認ということを、文科省の政策評価の有識者会議ともコミュニケーションを取りながらお願いしたいと思っております。また、それから、関係団体とのヒアリングもこの頃に実施いただきまして、フォローアップの取りまとめにつなげていきたいと思っております。

また、中間評価に関しても、先ほど御紹介しましたとおり文科省の政策評価書との連動性がありますので、これも文科省の政策評価の有識者会議等とのコミュニケーションの中で確定させていくということが求められますことをここに付記させていただいております。

事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

【日比野部会長】ありがとうございました。

この部会の目標でありますフォローアップの充実方策等についてということで、今日は評価手法の検討ということを皆さんと確認していきたいと思います。

今、政策体系等というものの連動ということの御説明いただきました。いろんな関係性を示す図もありましたが、要点としては資料3-3のほうにまとめてありますものを委員の方々にも確認していただき、お一方ずつ御意見いただければと存じます。

では、それぞれ3分から5分ぐらいを目安にしていただき、御意見いただければと思いますが、五十音順で毎回申し訳ございませんが、本日出席いただいております朝倉委員からよろしいでしょうか。

【朝倉委員】朝倉です。

今御説明いただいて、文科省の政策評価との連動性をしっかり意識してそこに位置づけるということは当然必要なことだと思いますので、そのように進めることは、効率化の面からも有効性の面からも賛同いたします。

1点理解ができていないところがありまして、確認させてください。政策体系等というのについては、文化政策でいうと文化芸術推進基本計画の目標に基づいて今まで当部会でも議論してきた達成目標と指標がこれに相当するというふうに考えればいいのかなと思います。それから、政策評価に関する有識者会議と各種審議会等との役割分担という図の中でいうと、その各種審議会等というのが文化政策においては文化政策部会、この部会と考えればいいのですよね。この政策体系については当部会で既にもう整理し、可能な限りデータ把握に努めているという段階だと思います。

ちょっと分からないのが、行政事業レビューというところが何に当たるのかというところについて、まだ理解が追いつかなかったので、教えていただけたらなと思います。

【日比野部会長】ありがとうございます。

事務局のほうからこのタイミングでよろしいですかね。

【秋山政策課企画官】ちっとすみません。改めてちょっと資料を投影させていただければと思います。

行政事業レビューは、この文科省の政策評価の仕組みにおきますと、この施策目標、政策目標というのは文科省のある種政策評価の目標になりますが、その目標の達成状況を把握するための手段として位置づけられるのが各事業でございます。したがいまして、政策体系の中でも、ここの達成手段とされているものの各事業1つ1つについて行政事業レビューという枠組みで決められた様式がございまして、その様式にもともとこの事業がどういうアウトカムを短期、中期、長期で達成するのかといった情報ですとかそのロジックのつながりということを説明することになっていますし、そしてまた、その実績がどうであったかということも、この行政事業レビューの自己点検評価の中で詳細に記述していくということが毎年求められております。

つまり、この中間評価を行っていただくためのフォローアップの際の参考資料として、この行政事業レビューのペーパーがこちらの政策体系等でいう達成手段が適切に機能したかということを確認いただく際の材料になると、こういう関係性でございます。

【朝倉委員】分かりました。資料3-1-2でいうと、達成手段のところに書いてあるそれぞれの事業名、レビュー番号○○○○と書いてあるものに関して、文化庁の中でレビューしている書類があるということですかね。

【秋山政策課企画官】さようです。

【朝倉委員】当部会でもそれを参考にさせていただいて評価を行うという理解でしょうか。

【秋山政策課企画官】さようでございます。

【朝倉委員】承知しました。分かりました。体系化させるという意味では、このように今の政策の中で既に行われているさまざまな評価の資料を活用するというのは非常に有効なのかなというふうに感じました。

取りあえずは以上です。

【日比野部会長】朝倉委員、ありがとうございます。

今日1回目ということもありますので、皆さん自己紹介も兼ねてまず挨拶いただけますでしょうか?すみません、朝倉先生、前後になっちゃいましたけども、御紹介の部分だけ追加でよろしくお願いいたします。

【朝倉委員】朝倉といいます。今、石川県公立小松大学に所属しています。私自身は福井県に住んでいます。また、特に今、様々な自治体の文化政策の委員やアドバイザーをしておりますので、地方創生の中での文化への期待ということを、本当に私自身も実感として思っているところで、各地の地域に根づいた文化が元気になっていくといいなというふうに思っていつも活動しています。文化庁では研究官を務めていたこともありますので、調査研究の不足やデータの不備といったところは非常に課題に思っています。引き続きよろしくお願いします。

【日比野部会長】朝倉委員、ありがとうございました。

では、続きまして、上杉委員。すみません、自己紹介含めて御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【上杉委員】よろしくお願いいたします。京都府立大学文学部歴史学科に今所属しております上杉と申します。歴史学科にいるということからも分かりますように、私自身はクリエイティブなというよりは、どちらかというと伝統的なというようなところの文化のところに関心がありまして、先ほどの朝倉委員と同じような活動で、同じようなって、朝倉先生がどういう活動されているか私も詳しく知っているわけじゃないんですけれども、私も地域に根差している歴史とか文化というのがどう保存され、それからそれがどう活用されていくかというところに関心を持って各地で活動させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

それで、意見ということなんですけども、資料3-3にある事務局からの原案については、基本的にはこの方向でいいのではないかなというふうに個人的には思いました。

それで、定量的なデータは確実に必要だけども定性的なのも要るよねというのが前回の議論だったかと思うんですが、その際のフォローアップというような言葉がたくさん出てきています。だったり、あと、ヒアリングについては多様な視点を導入することが大事だよねみたいなのが3-3の文章の中にあったかと思うんですけども、その際、フォローアップとか多様な視点というのは、何でもかんでもいいよ、したらいいよというわけではないというところかと思うんですね。何を、どのような点をフォローアップすれば最も政策体系に基づく形で評価できるか、それが次の計画に結びついていくかという点がすごく大事なのかなと思います。

特に事業レビューについては、事業レビューについてはというか、事業レビューそれぞれを評価していくのは、これはまさにもう事業レビュー評価であって、ここでの役割は政策体系全体を評価していくことになっていくんだと思います。そのときに、つまり、事業レビューは何か目標値があって、それを達成したかどうかみたいなのが出てくると、それが政策であり施策につながっていくんだというようなことは分かるんですけども、政策体系全体の評価としては、結果、それが達成されたら何になるのみたいなところがちょっと見えてこないなというのが正直なところです。

資料3-1-1とか3-1-2を見ても、結果、事業レビューは何かやっていると。なので、施策はちゃんと動いているよねというのは分かるんだけども、その施策もしくはその上の政策というのが日本のここでいうと文化芸術というのがどういうふうな未来、将来像につながるのかというのがよく分からないなというのがあります。理念は分かります。理想像みたいなのは分かってですね。文化芸術が振興していればいいなみたいなというのは分かるんですが、そういうぼんやりとしたものに対して向かっていくには、定量的な部分がどう関わるかというのはちょっとやっぱりそこはつながらないんですね。

その理想像のもうちょっと具体的な部分として、例えばですけども、30年後とか20年後とかには文化芸術に関してどんな日本になっていればいいのかなというか、よりやや具体的な将来像なるものが果たして共有されているかどうかというところが少し分からない。そうなってくると、何を評価していいか分からないなということになってしまわないかというのをやや危惧します。ちょっと事業レビューは具体的な事業ですので数値が分かる。数値によって把握されていくのでそれは分かるんだけども、それが反映された施策、さらにその上の政策というのが進んでいく先には何があるのか。豊かな未来みたいなのはもちろん大事なんだけど、もう少し具体的な将来像を見据える必要はないのかというふうなことを感じます。

今回の、今、中間評価ということで第2期なんですけども、第1期があって第2期がある。つまり、この第1期、第2期で10年ぐらいが進んでいくんですが、その10年、第1期から数えて10年後が見据えられてきているのか、それとも、もうちょっと先、20年後、30年後があっての第2期なのか。そうすると、例えば第10期まででこんなふうに達成するんだよというのが見えてきて、その中の第2期なんだというふうに考えるのか、それぞれ第1期、第2期で個別にもう5年後、5年後というところの具体的な将来像を見据えて政策、施策、事業というのがつながっていくのかというのがちょっと分からなくてですね。そうなると、評価がどの段階まですればいいのかという評価の観点がちょっと分からない。分からないというか、見えにくいというのがあります。

何回も言いますが、事業自体は個別の事業なので、それは評価するのは簡単。簡単というか、できるんですけども、政策、施策、事業ってこの3-1-1にあるこのピラミッドの全体の中でどこにどう進んでいくのかというためには、もう少し将来像ですかね。理想じゃなく、何年先の将来に向けての第何回目のステップなんだみたいな将来像というのがもう少しクリアになると、評価というのも分かりやすくなるのかなというふうな気がします。

3-1-1にすごく書いてあるので笑ったんですけども、笑ったっておかしいですが、頭の上のほうの赤文字のところで、こういう評価というのは作業負担を減らしつつしないといけないよねというのが赤字で書いてあって、そのとおりだなと思うんです。評価に追われてしまって何も進まないという何かよくあるパターンに陥るのは絶対避けないといけないんですが、これって結局何でやっているのかよく分からないから負担に感じてしまうわけですよね。だから、向かっていく先がみんな共有されていると、もうちょっとこのレビューというのが、評価というのがやっている意義みたいのが分かってくるのではないかなというふうな気がいたします。

なので、ちょっとうまく伝わっているかどうか分かりませんが、もう少し何年先にはどんな未来が待っているというか、どんな未来にしたいのだというような将来像というのが共有できて初めて何かうまくフォローアップできていくんじゃないかなというようなところを感じた次第です。このあたりは、今期、第2期のところではうまくちょっとできていないので、次の第3期のときにはぜひそういうところを見据える必要があるのではないかなというような、そういう提言みたいなところにもつながればいいなと思って発言いたしました。

以上です。

【日比野部会長】上杉委員、ありがとうございました。

では、続きまして、小林委員、よろしくお願いいたします。

【小林委員】小林です。東京大学に所属しております。ふだんは文化政策の行政運営がどういうふうにするとうまくいくのかということを研究していますと言っておこうかな。それで、基本的には地方自治体の文化行政の経営というか、計画づくりとか、それから評価だとか、そういうようなことをやっていますというのが自分の研究領域です。

それで、意見というか、コメントなんですけれども、今、上杉さんがおっしゃったことはもう全くそのとおりだというふうに思っていて、要は行政事業レビューみたいなものはやっているから、それ自体はやっぱり政策がいろいろと動いていると。まず、何か動いているということを示すことはすごく大事であって、それはやっているからいいと思うんですね。その指標を使いながら、結局、何というのかな、評価の中身などを使いながら、結局何と連動させるのかみたいなところが弱いのは本当に確かだと思うんですね。

個別の事業については、意外と何かそこで示している目標とか一定程度どういう、何というのかな、この事業をしてこういう未来をつくるんだということが少しずつできてきている気がするんですけど、政策全体とするとそれができてないというのは私もちょっと感じていて、例えばその中で行政みたいなものがどういう役割を果たしていくのかとか、あるいは、場合によっては民間の人たちももっと関わってもらわなきゃいけないみたいなことがあるわけであって、そんな絵図みたいなものがないなというのはちょっと思いました。なので、そこをどうやって今後考えていくのかなというのは、ちょっと私も上杉さんと全く同じように思いましたということです。

それからもう1つは、3-3のところでいただいた内容で基本的に私も結構だと思っていて、基本的にやっぱり今あるものを使いながらどういうふうに今までできてないことをもう1回確認していくかという作業が大事であるということと、何か不必要にいろんな手を動かす作業を増やさないほうがいいなということはちょっと思っています。

それで、この関係者のヒアリングとか定性的なものが必要なのは必要だとそれなりに思うんですけれども、本当に必要なのかということも含めて、どういうやり方がいいのかというのはしっかり考えたほうがいいんじゃないかと。そうじゃないと無用にコストもかかりますし、今その政策課にどれだけのこの計画を評価していくための予算がついているんだか知りませんけれども、それの中でできるとはちょっと思えないという感じがしているので、その範囲でよくお考えいただければいいんじゃないかなとは思います。

ただ、その先のことを考えたときに、こういうヒアリングなども含めて、もうちょっとデジタル技術を上手に使うなり何なりということをされてもいいんじゃないかなということは思います。ただ、それも自ら皆さんがやるのではなくて、間に人が入ってもらうなりコンサルに委託をするでもいいと思うんですけど、ことも含めてやっぱり考えてもよろしいんじゃないでしょうか。基本的には全体の評価のために評価のための評価というのはやめていきましょうよという方向性は、私は文科省の取っている方向性と合致するというか、いいなとは思っています。

これは1つ質問なんですけれども、これ、ちょっとこの今やろうとしていることとは別のものになるかもしれないので、文化庁さんには後で別にお答えいただくでもいいと思うんですけれども。最初に政府の骨太の方針系の話をしてくださったと思うんですね。ああいうやっぱり骨太の方針みたいのをつくるときに、それぞれの省庁なり何なりから、やっぱりこういうことをうちは力を入れていきたいと思って出していると思うんですよ、必ずですね。それで、それを基に骨太の方針をつくって政府として承認するという形で下に下りてくるという仕組みになっていると思うんですけど、気になるのは、例えば文化庁がすごくこれに力を入れたいと思って出したんだけれども骨太の方針に入らなかったものってあるでしょうかというですね。これ、ちょっと言いにくいことかもしれないので、ここで言わなくても後でちょっとこそっと教えてくださるのでも構いませんので、それをちょっとお聞きしたいと思いました。

以上です。

今答えなくても全然構わないです。

【森田文化庁次長】これ、今すぐお答えできる内容でございまして。小林先生から御指摘あった我々としてこれを入れたいというもの、これを内閣府であるとか、あるいは与党の文化芸術をいつも応援してくださっている先生方にしっかり我々説明に回りまして、途中ではいろいろありましたけれども、最終的には我々が入れたいと思う文言は全て入れることができた。これが今年の骨太方針でございまして、最初に秋山のほうから御説明しましたけれども、項目の格上げ、それから新たな文言の追加など、我々が入れたいと思ったものは今年はしっかり入れることができたと思っています。

【小林委員】それはよかったと思います。

【森田文化庁次長】骨太に入っただけでは、これはまだ予算がついたわけではないんですけれども、ただ、今の政府の予算編成のやり方は、骨太に入ってないことに大きな予算を認めてもらうということは困難なので、我々としては、これから概算要求をしていく上での発射台といいますか、起点となる文言は今回の閣議決定、骨太方針に盛り込むことができたので、これからしっかり財政当局と折衝して頑張ってまいりたいと、このように考えております。

【小林委員】よろしくお願いします。ありがとうございます。

【日比野部会長】ありがとうございました。

では、続きまして、柴田委員、よろしくお願いいたします。

【柴田委員】ありがとうございます。柴田英杞です。現在、全国公立文化施設協会のアドバイザーを務めておりまして、20年ほどになります。

冒頭に御説明いただいた地方創生2.0、私は非常に期待をしております。というのは、職業柄、いろいろな地域に行って芸術団体の方や劇場・音楽堂の方に対して意見を申し上げたり助言・アドバイスをしたりしているわけですけれども、せっぱ詰まった問題としては、人口減少の問題、少子化の問題、格差拡大、これらのことにこの地方創生2.0がどういうふうに対応していくのかということがすごく重要であり、今そのことをひしひし感じております。

また、芸文振で11年間プログラムオフィサーとディレクターを務めまして芸術団体と劇場・音楽堂の伴走支援者としていろいろな助言・アドバイスを行ってきましたけれども、その経験からすれば、今の日本の社会の側から、世界の側から日本の文化政策をどう捉え直していくのかということがすごく重要なポイントに来ているのではないかと思っております。

今回いろいろな資料を出していただきまして詳しい御説明をいただきましたので、非常にありがたく思っております。資料3-4論点(案)では、2点御質問と意見を述べさせていただきたいと思います。また、政策評価の体系の御説明をいただきまして政策評価の大きな枠組みが示されたことで、議論や意見出しの方向性がとても明確になったかと思っております。

1点目の意見は、(前提・基本的な考え方)のところですが、実効性と効率性以外に留意する点はあるのかというポイントです。この評価の実効性と効率性の双方に留意することが適当ではないかということに関してはまったく異論がなく、むしろ政策評価はそういうことに配慮するべきだと思っております。一方、制度との連動性とか、自己点検、評価等を踏まえた評価を基本とすることなど、おおむね妥当な方向性が示されたのではないかと思っています。

実効性の考え方ですけれども、計画とか対策が実際に効果を発揮して目的を達成するための有効性を指す概念と認識しております。政策がどれだけの効果をもたらしているのかは科学的な根拠を基にしていると思いますし、参考資料にある政策評価の基本計画における政策評価の観点の有効性という部分に準じていると思っています。また、効率性という観点も、この政策評価の観点の効率性に準じているものだと思っていますので、全く問題はないです。

ただし、この実効性と効率性については、やはり助成事業の単年度主義という観点から数値的・量的な評価が中心になっておりまして、昨年度来議論を重ねてきた委員の意見の中で、中長期的な視点、数値に現れにくい定性的な視点、それから、現時点では役立つことではなくても現行の文化政策に貢献できているかという視点、少なくても将来的な文化投資につながるような視点などが抜け落ちてしまうのではないかということに懸念を持ちました。

さっきから申し上げているように実効性と効率性についてはもちろん異論はないのですが、文化庁として文化政策を評価するということについて、文化庁らしさという視点を加えたほうがよいのではないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。つまり、実行された行動や施策が期待された成果をどれだけ実現しているのか、また、現実的な影響を及ぼしているかを、中長期的な視点、それから文化の伸張度とか変化ですね。事業の質に留意することにつながる「効果性」という視点を入れるということについて考える必要があるのではないかと思っております。

2点目です。関係者からのヒアリングについて、関係団体へのヒアリングについては、恐らく統括団体さんを想定しているのではないかと思っていますが、その統括団体から意見をいただく場合に、支援のスキームなどに関する個別具体的な問題ではなくて、あくまでも新しい政策評価制度の方向性を踏まえた意見で政策的な観点から意見を述べていただくことが必要なのではないかと思っております。この最後の文章にも、「概括的に行うこととしてはどうか」ということに関しては賛同するものではありますが、現場を取り扱っている芸術団体、公立劇場の劇場・音楽堂の方々は、どうしても助成事業に目が注がれがちなので、そうではなくて、政策的な観点から意見を述べていただくことに集中していただけないか、という要望です。

以上です。

【日比野部会長】ありがとうございました。

では、続きまして、伏谷委員、よろしくお願いいたします。

【伏谷委員】よろしくお願いします。伏谷です。

私は、ここ15年ぐらいインバウンドのほうをメインでやってきているんですけれども、ここ数年は文化庁さんのお手伝いも結構増えていまして、最近だと、文化庁さんの新しい基金、クリエイター等育成基金というところの運営とか方向性どうするみたいなところでもいろいろとお手伝いをさせていただいております。

皆様も昨日御覧になったかと思うんですけれども、日経のニュースで自動車メーカーの時価総額をエンタメ企業の時価総額が抜いていくというような状況になりましたよというニュースが出ていたりとかですね。あるいは、インバウンドはコロナの後しばらくはしんどかったんですけれども、昨年後半ぐらいから一気に再成長しまして、今年度は4,000万人を超える訪日観光客が訪れて消費額も10兆円を超えてくるだろうということで、10兆円クラスになると、結構日本の輸出の中でも割と存在感のある数字になってくるわけなんですよね。こういういわゆるその骨太のところにも出ているような観光立国、文化芸術立国というような取組がいよいよ目に見える形で成果を現し始めているのかなというふうに思います。

ちょっとクリエイター育成のところにも関わる話なんですけれども、もしかすると今日の評価の話にもつながるかなと思うので少しお話をしたいんですけれども。

例えば音楽の世界ですね。世界市場で活躍している友人と話をした際に、ヒットする楽曲のつくり方というのは学べるが、それはできて当たり前と。その先に、やはりK-POP、韓国で育った作曲家あるいはアーティストであれば、韓国で育ったそのアイデンティティーというのがちゃんとその世界レベルの楽曲づくりの中に見えてくるかというのがすごく大きいポイントになるということでした。

日本の若手のクリエイターは、日本で育ってきて、こういう町で育ってこういう経験をして、だからこういう楽曲をつくっているんだという、そういうところのアピールがやはり弱いという話が出ていました。今後その世界で真の世界的なヒットメーカーみたいなのを輩出していくには、そこの日本人として育ってきたそのアイデンティティーというのが世界的なテクニックを持った作曲スキルの裏にちゃんと見えるという、そういう育成をしなきゃいけないというような話でした。

なので、今回のこの文化政策の評価に関してなんですけれども、先ほどから皆さんお話しになっているように、そういうシーンでしっかり小さいときから日本の文化に接して経験を積んで、それで、あるいはゲームのクリエイター、あるいは音楽の作曲家、あるいはアーティストになっていくときに、そこでしっかり育まれたそのアイデンティティーみたいなものが世界に訴えかけられるような何かそういう人材を育てる。そういう人たちが最初にお話ししたようなコンテンツ産業であるとか文化芸術、あるいはインバウンドのその市場の拡大に貢献できていくような何かそういうつながりをしっかり見ながら、政策全体、事業までの一貫した評価というのできるようになるといいのかなと思いました。

すみません、ちょっと長々と話してしまったんですけれども。今日の話ですが、昨年度よりは何か全体の構成とか構造というのが非常によく理解できて、この分科会でやるべきことというのが非常にクリアに見えてきたなというふうに思います。

評価の仕方については、これはもう既に皆さん御指摘があったとおり、もちろん政策から裾野の事業まで見ていく必要があるなとは思うんですが、全てを見るというのは物理的にかなり難しく、コストがかかるという風に先ほどお話しされてたような状況になるかと思います。事務局にとっては、非常に大変だとは思いますが、特に事業の部分ですね。一番裾野のところの評価を、今日ここに集まっている皆さんが効率的にというか、理解しやすい何かそういう評価のフォーマットというんですかね、そのようなサマリーをうまくつくっていただいて、それを参考にしながらしっかり体系を意識した評価というのを僕らのほうでもできるようにサポートしていただけるといいなというふうに思いました。

あと、ヒアリング、僕はやっぱり対面でお話ししていくと文字で読むのとは随分印象が違うというのを、これまでの経験、いろんな審査とかそういうことをやっていて思う部分もあるので、ぜひやってみたいなというふうには思うんですが、ここも誰に聞くのか、どのぐらい聞くのかというのは非常に難しい部分だと思いますので、そこのやり方をぜひ事務局さんのほうでひな形を検討していただいて、また僕らのほうも意見を出させていただきながら何か形づくれればいいのかなというふうに思いました。

以上です。ありがとうございます。

【日比野部会長】伏谷委員、ありがとうございました。

では、続きまして、松田委員、よろしくお願いいたします。

【松田部会長代理】松田でございます。東京大学の文化資源学研究室というところに勤めております。小林委員と同じところです。私は日頃、文化財や文化遺産を主に見ております。その意味で、この文化政策部会の中では少しだけ毛色が違うかもしれません。恐らく多くの委員は新たにつくる文化芸術を中心に御覧になっているかと思いますが、私は古いものをめぐる政策を見ております。ただ、古いものを古いものとして守るだけではなく、いかに古いものをつかって新しいものを生み出すかも見ております。

文化審議会の文化政策部会への出席は今年10年目となりまして、この部会の中の変化も見てまいりました。基本計画の2つ目をつくり、その評価に向けて動くというこの過程は、かなりキッチリしてきたという印象を受けております。私は今年度から文科省の政策評価に関する有識者会議に入ることになりましたので、そちらの政策評価の動きも見ながら、第2期基本計画の中間評価に向けたフォローアップにとって少しでも役に立てるような発言や指摘ができればいいなと思っております。以上が自己紹介です。

今日御説明を受けた内容でいいますと、ほかの委員の方々も皆おっしゃっていましたように、第2期文化芸術推進基本計画の中間評価やフォローアップを文科省の政策評価制度と連動させることに強く賛成申し上げます。政策体系につきましては、3-1-2の資料を見れば見るほど、巨大な体系の中でたくさんの評価をやっていることが伝わってきますので、少しばかりでも評価をより効率的にすることには全面的に賛成です。

基本計画の第1期のときは、この連動が明示的になされていたと思います。第1期基本計画の4つの目標は、文科省の文化芸術に関する4つの施策目標と同一のものでしたので、必然的に連動していました。しかし、第2期基本計画では4つの中長期目標と7つの重点取組が設定されていますが、文科省の4つの施策目標と少しだけずれているというか、完全に合致していないので、ここには調整が求められるんだろうと、先ほどの説明を聞いて理解いたしました。

ちょっと随分先先になりますけれども、第3期の基本計画を策定するときには、やっぱり文科省の4つの施策目標と基本計画の目標を同一のものにしておいたほうが、うまく連動するだろうというのが1つ目のコメントというか、思ったところです。

質問が1点だけあって、これだけお伺いして終わりにしたいと思います。資料でいうと3-1-1の4ページのところです。文化芸術分野における政策評価の見通しを示したこのページの右下のところに、政策評価書の四角い箱が出てまいります。ここに、4つの施策目標イコール中長期目標ごとに政策評価書を作成すると書いてあります。その4つの施策目標は、文科省の政策評価での政策目標だと思うんですが、基本計画の中長期目標4つとずれていますよね。ですので、ここをイコールでつないでいるということにどういう意味があるのかについてお聞きできればと思いました。以上が質問でございます。

【日比野部会長】では、事務局のほう、この点いかがでしょうか。

【秋山政策課企画官】すみません、ちょっと大変恐縮ながら、この資料を作った当時の経緯を十分に把握し切れていないものですから、完全にお答えすることは難しいのですが、先生おっしゃいましたように、文科省の政策目標である4つのものと、それから基本計画の、中長期目標の4つ、これ、確かに完全に合致はしていないんですけれども、要素としては相当程度重複があってですね。ちょっとそういうことを念頭に置いて大まかに対応しているという前提でこのような整理になったのではないかという推測をしております。

【松田部会長代理】分かりました。その点については分かりました。

【秋山政策課企画官】ただ、すみません。対応関係につきましては改めて精査をさせていただいて、この対応表なりの調整には今後臨んでまいりたいと思っております。

【松田部会長代理】分かりました。先ほども言いましたが、やっぱり文科省の文化芸術分野での4つの政策目標は、基本計画の中の目標と完全に合致させておいたほうが良いというか、合致させておかないと不明瞭になると思いました。ですから、このイコールが完全に成立するように第3期では引き継いでおかれたほうが良いかなと、老婆心ながら思った次第です。

私からは以上です。

【日比野部会長】松田委員、ありがとうございました。

では、続きまして、保坂さん、よろしくお願いします。

【保坂委員】保坂です。すみません、ちょっと前半を出席していないので非常にずれた発言をしてしまうかもしれないんですが、これ、五、六分しゃべっていい感じなんですかね。

【日比野部会長】はい。

【保坂委員】ありがとうございます。評価項目とかいろいろ全体的に見ていて感じたことなんですけども、共生社会の実現に向けての様々な取組であるとか、あるいは子供に向けてのプログラムであるとか、そうしたことはもう明確にその目標として出していただいているおかげで、我々地方公立美術館含めて様々なところが実際に行っているところだと思うんですけれども、それをもうちょっと広い視点で見た場合に、じゃ、本当はそれは何のためにやっているのかであるとか、あるいは、それは国際的な今の文化行政というか文化政策の動向と比べてどうなのかというところがちょっと気になりました。

その中で、うちの滋賀県立美術館が例えば社会的処方に力を入れようとしていて、日比野さんの藝大でも文化的処方という言葉でやられていると思うんですけども、何かそういう観点が実は今この評価軸からはちょっと抜けているというか、ほかの、地方創生とかコンテンツの充実とかそういったところはあるんですけども、国民、市民の生活を豊かにしていくという、そうした言葉自体は書かれているかもしれないんですけども、それをもう少しきちんとした評価軸で測定していくということが重要なのではないかなと感じた次第です。

ここは専門家の方が多いので私が申し上げるのも何なんですけども、例えばイギリスのほうで2014年から24年までの間にWhat Works Wellbeingというプロジェクトが動いていました。これは主観的幸福感、Subjective Well-being、SWBというみたいなんですけども、これを測定しながら、つまり、その事業によって不安感がなくなったとか、幸福感を抱いたとか、孤立感がなくなったとか、そういうことをきちんと定量的にアンケートを取りながら、それでプロジェクトのほうを定性的にも評価していくという、そういうことが行われていたようです。

今申し上げたように、これ、10年間のプロジェクトで2024年で終わってしまったということで、それには何か様々な理由があるらしく、1つは継続的な助成金を得ることができなかったということや、あるいは、これは何か英国でもそういうふうになるんだなと思ったんですけど、やっぱり主観的幸福感ということを扱う省庁、主体的に扱う省庁というのが一体どこなんだと、その事業をきちんとドライブしていくところがやっぱりなくて終わってしまったみたいな言い方がなされているようです。

ただ、英国ではそうかもしれないんですが、少なくともフランスではまだ動いていて、フランスの場合はObservatoire du Bien-être、ウェルビーイング研究所ということなんですけども、これは応用経済研究所が主管しているプロジェクトになっていて、そういうふうに統計などをやっているところがウェルビーイングの測定をきちんとプログラム化しながら、それを文化行政とをいかに結びつけるかということをやっているようです。

具体的には、フォーラムを開催したり、あるいは、あ、そんなことなのと思うぐらいなんですけども、ヨガとか、ヨガとちょっと違う何かプログラムもあるみたいなんですが、それを美術館でやったりすることによって、少しでも人々が美術館に来るだけじゃなくてそこでウェルビーイングに関して意識的になっていくとか、そういうことをやっているようなんですね。それは本当に我々美術館にとっても、何というんでしょう、そういう評価軸があることによって、単なるその入場者数とは違う軸で自分たちの活動が評価されるというのは助かるというか、喜ばしいというか、そういうことは正直に思うところです。

ぜひとも何かそうしたところを今後の、と、今僕が申し上げているのは中間評価のフォローアップよりも次の中期計画に向けてのことになってしまうかもしれないんですけども、

そういったところを入れていってほしいなと。

僕は国の施策のことは詳しく分かりませんけども、ウェルビーイングに関しての調査は内閣府のほうでも2019年度から継続的にやっていると。デジタル庁でも例のデジタル田園都市構想で2024年からやっていらっしゃるらしいんですけども、それと文化庁の、あるいは文科省の施策がどう結びついているのかというのは分からないんですが、何か文化庁、文科省の施策の中でも、これはスポーツにも関わることなので、スポーツにしても文化芸術にしても、プロだけではなくてアマチュアの人たちがやる理由、鑑賞や制作をやる理由というのは、単にそれは文化芸術に親しむ、だけじゃなくて、それがウェルビーイングに資するのであるということを目的にしていくとよいのではないでしょうか。それは医学的に証明されてないかもしれないんだけれども、逆にそれを何とか証明できるべくデータを取るためにも、そうしたことを評価軸に入れていくということが考え方としては大事なのかなというふうに思います。

具体的には、6-2の①の地域の文化的環境の満足度というところであったり、あるいは1-1の⑥とか⑦の鑑賞活動への参加割合とか文科系芸術活動への参加割合といったところに少し項目を増やしていただくだけでも、そういったところは把握できていくのかなというふうに思ったりもしております。

以上になります。

【日比野部会長】保坂委員、ありがとうございました。

では、最後になりましたけど、湯浅委員からよろしくお願いいたします。

【湯浅委員】ありがとうございます。英国の公的な国際文化機関のブリティッシュ・カウンシルに勤務しております湯浅です。ここ数年、中国やASEANを含むアジア14か国における文化やクリエイティブ産業関連の事業を統括しており、英国はじめアジア各国の政府関係者、特に文化芸術やクリエイティブ産業に関わる関係者との意見交換をする機会も多くあります。昨年まで文科省の政策評価に関する有識者会議に参加させていただいておりました。その意味で、本会議において、政策評価に関する有識者会議との接続を高めていくということについては、これまで大変必要であると感じておりましたので、今後その連携が高まるということについては大いに期待しております。

その中で少し、今日いろいろ御説明いただきましたけれども、ここ何年にもわたって様々な事業評価の場やこの部会の中でも、評価に際して数値で表せる実施件数とか参加者数といった量的な指標だけではなく、文化芸術が社会全体にもたらすより本質的な価値、つまり社会的・文化的な価値についてどのように可視化し、どのように評価していくのかということは、日本全国の文化芸術に関わる人たちの間様々な手法が試されており、議論がなされていると思います。そうしたタイミングで今回基本計画の進捗状況を中間評価で適切に評価していくこと、そして、それの評価を基に今後の施策の方向性や、指標の見直しにつなげていくということは非常に大事な作業だと思います。本部会の中で今お示しいただいたもの、さらにブラッシュアップしていく必要があるものについては、委員の皆様と議論をしていきたいと思います。

その中で、資料3-3で前提・基本的な考え方としてまとめていただいた3点については、今お話ししたことも踏まえて賛成です。特に、先ほど申し上げましたけれども政策評価と基本計画の中間評価の連動性を高めていくということ、その政策評価体系を整理していくということと、そしてロジックを整理して、事業から施策、そして政策へのロジックを明確にしていく、そして評価の実効性と効率性を高めるという方向は、そう簡単なことではないと思いますが、やろうとしていることは大変必要なことだと思います。

これまでほかの委員の皆様からも関係団体のヒアリングについても御意見がありましたが、私も皆様の御意見に賛成です。ヒアリングすること自体は有意義であると思いますが、中間評価の目的を踏まえ、一体どの指標についてのデータを取得するために、何のためにヒアリングするのかという目的を明確にした上で、ヒアリングの在り方を効果的に設計する必要があるのではないかと思います。以上です。

【日比野部会長】湯浅委員、ありがとうございました。

それとあと、今日出席の方々の発言は以上になりますけれども、本日欠席しております阪本委員からは事前にコメントがありますので、事務局から御紹介よろしくお願いいたします。

【秋山政策課企画官】阪本委員に代わって代読をさせていただきます。

それぞれの価値観や時代背景に基づく人々の行動を通じてしか効果が発揮されない文化政策に関する評価は、政策手段から政策目標までの距離が長くなりがちで、その間に様々な外部要因による影響がある。政策手段も特定の目的に明確に結びつけることが必ずしも容易ではなく、複数の目的に対して意図せざる効果を持つものもあると考えられる。「政策体系等」を活用し政策手段と指標の関係を明らかにすることで、個々の指標についてどのような点を評価するための指標かということが明確になり、各指標に用いるデータも精査できるようになるのではないか。

前回会議で、現状で定性指標として示されている部分以外にも定性的評価は必要になるのではないかという意見を述べさせていただいたが、やや舌足らずな表現であった。意見として述べたかったことは、定量指標が意図したとおりに政策効果を評価できているかについて定性的にチェックする必要があるのではないかということであった(突発的な外部要因の影響を取り除くなど)。その意味では、政策手段との関係が明確であることは有用である。

上に述べたような側面に関しては、個々の事業の達成度を問うヒアリングではなく、個々の事業だけでなく複数の事業に対して俯瞰的に見ることのできる関係団体等に対して概括的にヒアリングを行うことのほうが効率的でよいのではないか。

御意見は以上になります。

【日比野部会長】事務局のほうから文面を紹介させていただきました。

各委員から御意見ありがとうございました。

ちょっと私のほうからも。ヒアリングの部分について各委員からいろいろお話もありました。あと、定性と定量という言葉も多く出てきております。同じ評価というものに関しても、その評価の役割というものがあるような気がいたします。

委員からの言葉に評価のための評価にならないようにという言葉もありましたけれども、やはり我々、物事を測るときに数字というものを便利に使う上で、定量的にその数値によって気づくということは数字の力だと思います。しかし、定性の部分の評価の役割というのは、当事者がそのプロセスの中で気づいたことなど、なかなか数字的に表しにくいということをまずは自分自身が自覚して、その行っていることに対してモチベーションを持ち続けるための評価、そこにインタビューとかアンケートとかという手法を取り入れるということは考えられますが、コスト的にもどれぐらいをという部分もあります。参加者、当事者たちがコミュニケーションを取ることによって、ヒアリング的な効果を互いに持つようなこともできるのではないかという気もしております。いわゆるその評価によって当事者同士、コミュニティーの中でのモチベーションをしっかりと継続されていく、そして次につながっていく、周りの仲間が、共感できる仲間が増えていくというようなことに機能していく評価というものが定性的なものにはあるのかなと思いました。方や定量的な評価というものも必要になってきます。それは予算化するときのエビデンスであったりとか、気づかないものを気づかせてくれるような役割としての評価にもなっていくのかなと思います。

今回政策体系ということで、事業、施策、政策という一貫した関係したものを意識しながら、この部会でのフォローアップということが大きな目標になりますけども、2期、そして長期的には次へのつながるような話合いが継続していければと思っております。

では、各委員からもいろいろいただきましたけども、追加したいご意見とか、ほかの委員の方の話を聞いて確認したいとか、事務局のほうに改めて確認とかありましたら、挙手ボタンを押していただければと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。

【朝倉委員】すみません、朝倉ですが、一言よろしいでしょうか。

【日比野部会長】朝倉さん、どうぞ。

【朝倉委員】皆さんの御意見を伺って、この政策評価としてフォローアップとしては、今の体系立った仕組みの中でやっていくのがいいだろうということは思っています。けれども、文化政策そのものの目指す方向というのを見直したり、もう少し大局的な議論をするという部分については、いろいろな仕組みがほかに必要なのではないかというふうに思いました。

委員の皆様のそのような意見に対して私も大変賛同しますので、この部会として今回やる評価の議論の範囲からはちょっと外れるかもしれませんけれども、やはり大きな意味で文化政策が何を目指すのかということについては、様々な国際的な動向を踏まえたり、別途、調査研究の成果を活用したりするという視点が必要なので、文化庁としての政策研究の機能強化というところも併せて必要であるというふうに強く感じました。一言追加させていただきました。

【日比野部会長】朝倉委員、ありがとうございました。

ほかに委員の方々からございますでしょうか。

【保坂委員】保坂ですけども。美術館・博物館における今の世界的な動向としては、ウェルビーイングもあるんですけど、もう1個環境配慮というものがあって、文化庁の助成などでも、最近、環境に配慮しているかというところが必須ではなくてもヒアリングの項目として挙げられているようなんですけれども。様々なプロジェクトにおいて輸送をどう軽減していくのかとか、海外の場合だと、例えば映画祭をやる前にまずみんな1回集まっていかにごみを減らすかを考えましょうみたいな、そういうプログラムもあったりするみたいなんです。

今どうしても何かコンテンツを増やし、数を増やし、文化の発信力を高め、映画祭とかにも補助金を出し、いろいろ基本的に数値を上げていく方向になっていくと思うんですけども、それに伴い、気をつけなければ増加していってしまうカーボンの問題とかCO2の問題とか、いろいろなものを併せて考えていくんだという姿勢がどこかで見えてくることが大事なのかなと思います。

すみません、この会議の目的と全くずれた発言をしているかもしれないんですけども、何か、でも、そういうことが見えてくると政策として格好いいものになってくるような気もするので、ちょっと時間が余っていたので申し上げた次第です。

以上です。

【日比野部会長】ありがとうございます。

そうですよね。政策目標、文化芸術の振興という一番大きなタイトルのもとに施策、そして事業が展開されてきますけども、その文化芸術の振興により、社会的課題への意識を変える力が文化芸術にはありますので、文化芸術の振興が環境問題へも影響するということ、大きな地球全体の課題に関与するということの意識も重要だと私も思います。保坂委員、ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

柴田委員。

【柴田委員】柴田です。1点追加意見です。行政事業レビューについて、事前に昨年度の地域文化共生基盤の構築という行政事業レビューシートをウエブから拝読させていただきました。この行政事業レビューシートは、令和6年度の拠点形成事業とアーティスト・イン・レジデンスについておまとめになっているものです。なかなか簡潔明瞭によく書けていて感心致しました。

ただし、先ほども申し上げたその実効性と効率性ということを起点にすると、作成責任者の方が定性的なその評価を書き込んでいても、その書き振りが、数値のほうに転換しているというか、引っ張られているといいますか、そのような印象が見受けられました。定性的な評価は、記述する際、とても負荷がかかりますし、その作成担当者によって随分違った書きぶりになってしまうので、ここは要注意しないといけない。文化庁の職員の方々におかれましては、ぜひ定性的な視点ということを念頭に置いて書いていただきたいと思います。

どういうところが書きぶりとして難しいかと申し上げますと、例えば人と人とのそのつながりであるとか、それから社会関係資本の視点、これらはどうしても必要ですけれども、それが書き込めていない。私どもは文化芸術から発現されたソーシャル・キャピタルという点を重要視していますので、どういうふうに書いていくか、書き込んでいくかということは、その評価者の力量が問われるところですので、ここを強化していただきたいです。

アーティスト・イン・レジデンスのレビューについて、良質なことが書いてあります。国内外の人が文化芸術に触れたことによって肯定的な意識の変化が生じることが見込まれる。例えばアーティストを知ることができた、地域の魅力に気づいた等々ということが書かれてあるんですね。受入れ希望者が増えればアーティストと地域住民の交流や協働の機会が増え、地域課題の改善につながるということも書いてありますね。アーティスト・イン・レジデンスを御執筆者、評価者は、非常に意識として定性的な評価を何か表さなくちゃいけないというお気持ちがあってここに結びついていると思われます。この地域文化共創基盤の構築を読んでいて非常に苦心の跡が見受けられたなということです。

自己点検結果の記述としては、応募件数が多くて、社会的ニーズもあって、地域偏在からの国費投入の必要性はあるものの、効率性や有効性の検証が不可欠であるという結び方をしています。どうしても実効性と効率性を基盤にしているとこういう書き振りしかできないことも感じました。文化庁の中で文化芸術に対してのその評価を行政事業レビューシートに起こすときに、やはり定性的な部分を意識しながら書いていただきたいことはすごく思いました。非常にこのレビューシートは簡潔明瞭に書かれているので、すごく分かりやすくて、なるほど、なるほどと思いました。

以上でございます。

【日比野部会長】柴田委員、ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

じゃ、これで。皆さんからちょうどいい時間になりましたので、ありがとうございました。

最後、柴田委員からもレビューのところでの定性的なコメント、本当にそういうところの一番現場に近いところでは、この言葉にしっかりと込められた評価につながるものがあるかなと思いました。

文化芸術の振興をすることにより様々な、ウェルビーイングという言葉であったりとか地球環境というものに結びついていく、地方創生に結びついていくための文化芸術の振興という評価も、大きな評価になるかと思いますというところをしっかりと伝えていくことも重要かと思います。ありがとうございました。

では、中間評価に活用する文化芸術分野の政策体系等について、次回の会合で確認していきたいと思います。政策体系等の確認は、本部会の委員の意見と文科省の政策評価に関する有識者会議の委員の意見の両方を踏まえて行うことになります。審議を効率的に進めるために、委員の皆様には次回会合に先立つしかるべきタイミングで確認依頼をさせていただきますので、その内容を御確認いただき、メールにて御意見を頂戴できればと思っております。

なお、この政策体系等は、基本的にはさっきの本部会で確認した指標の整理表の内容に目標の達成手段等の追加を行った上で一部修正を加えたものとなっておりますので、そうした変更部分を中心に御確認いただければと思っております。

確認依頼の御連絡は追って事務局からお願いできればと思いますので、事務局のほう、よろしくお願いいたします。

委員の皆様におかれましては、大変御多忙の折、大変恐縮でございますけれども、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

それでは、予定の時刻となりましたので閉会といたします。次回以降も活発な御意見、委員の方々からよろしくお願いいたします。

では、事務局のほうにお返しいたします。

【秋山政策課企画官】次回の会合の開催につきましては、日程調整の上、追って御連絡いたします。また、先ほど部会長からアナウンスがございました政策体系等に関する確認依頼についても、追って御連絡させていただきたいと思います。御協力のほど、よろしくお願いいたします。

では、本日は誠にありがとうございました。

【日比野部会長】どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

担当

文化庁政策課

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