趣旨・目的
「私的録音録画補償金制度」は、政令で指定するデジタル方式の機器・媒体による私的使用のための録音・録画について、権利者に一定の対価(補償金)を還元する制度です。
録音・録画技術の発達普及により、録音・録画が家庭内において容易に行われるようになり、社会全体として大量の録音・録画物が作成される事態に至っていることから、利用者が録音・録画機器等の購入時に補償金額を一括払いするという方法により、「私的複製(許諾不要)」と「権利者への対価還元」のバランスを実現することを目的としています。
補償金分配の流れ
利用者が対象機器・媒体を購入する際に支払われた補償金は、機器等の製造業者等の協力のもと、文化庁長官の指定する団体(指定管理団体)に支払われ、さらに、指定管理団体から各分野の権利者団体等に補償金の分配が委託され、権利者団体等を通じて個別の権利者に分配されます。また、一定割合の補償金は、権利者全体の利益となる共通目的事業に支出されます。

対象となっている機器及び媒体
➀デジタル録音用機器及び記録媒体
- DAT(デジタル・オーディオ・テープ)レコーダー
- DCC(デジタル・コンパクト・カセット)レコーダー
- MD(ミニ・ディスク)レコーダー
- CD-R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)方式/CD-RW(コンパクト・ディスク・リライタブル)方式CDレコーダー
- 上記の機器に用いられるテープ、ディスク
②デジタル録画用機器及び記録媒体
- DVCR(デジタル・ビデオ・カセット・レコーダー)
- D-VHS(データ・ビデオ・ホーム・システム)
- MVDISC(マルチメディア・ビデオ・ディスク)レコ―ダー
- DVD-RW(デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル)方式DVDレコーダー
- DVD-RAM(デジタル・バーサタイル・ディスク・ランダム・アクセス・メモリー)方式DVDレコーダー
- Blu-Ray Disc(ブルーレイ・ディスク)レコーダー
- 上記の機器に用いられるテープ、ディスク
※DVD-Rも同様の技術仕様であり,同号の規定に含まれていると解されている。
認可された補償金額
補償金規程:http://www.sarah.or.jp/
➀私的録音補償金の額
- 特定機器
カタログに表示された標準価格の65%相当額の2%(上限1,000円)
- 特定記録媒体
カタログに表示された標準価格の50%相当額の3%
②私的録画補償金の額
- 特定機器
1台当たり182円(税抜) ※200円(税込)
- 特定記録媒体
当該特定記録媒体の基準価格に1%を乗じて得た額
制度に係る経緯
平成3(1991)年12月 | 著作権審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書 |
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平成4(1992)年12月16日 | 著作権法の一部を改正する法律の公布(平成4年法律第106号) |
平成5(1993)年3月3日 | 録音に係る私的録音録画補償金を受ける権利を行使する団体として、社団法人私的録音補償金管理協会(sarah)を指定 |
平成5(1993)年6月1日 | 私的録音録画補償金制度施行 |
平成5(1993)年6月1日 | 著作権法施行令の一部を改正する政令施行 対象機器として、DAT(デジタル・オーディオ・テープ)レコーダー、DCC(デジタル・コンパクト・カセット)レコーダー、MD(ミニ・ディスク)レコーダー、上記機器に用いられるテープ、ディスクを指定 |
平成6(1994)年3月23日 | 私的録音補償金の額の認可 ※平成5年度から7年度までの3か年適用する私的録音補償金の額 |
平成8(1996)年3月25日 | 私的録音補償金の額の認可 ※平成8年度適用する私的録音補償金の額 |
平成9(1997)年3月31日 | 私的録音補償金の額の認可 ※平成9年度及び10年度適用する私的録音補償金の額 |
平成10(1998)年11月1日 | 著作権法施行令の一部を改正する政令施行 対象機器として、CD-R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)方式/CD-RW(コンパクト・ディスク・リライタブル)方式CDレコーダー、上記機器に用いられるディスクを指定 |
平成11(1999)年3月30日 | 私的録音補償金の額の認可 ※平成11年度以降適用する私的録音補償金の額 |
平成11(1999)年3月30日 | 録画に係る私的録音録画補償金を受ける権利を行使する団体として、社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)を指定 |
平成11(1999)年6月7日 | 私的録画補償金の額の認可 ※特定機器及び特定記録媒体を定める著作権法施行令の施行の日から平成14年度までの間適用する私的録画補償金の額 |
平成11(1999)年7月1日 | 著作権法施行令の一部を改正する政令施行 DVCR(デジタル・ビデオ・カセット・レコーダー)、D-VHS(データ・ビデオ・ホーム・システム)、上記機器に用いられるテープを指定 |
平成12(2000)年7月21日 | 著作権法施行令の一部を改正する政令施行 MVDISC(マルチメディア・ビデオ・ディスク)レコーダー、DVD-RW(デジタル・バーサタイル・ディスク・リライタブル)方式DVDレコーダー(DVD-R,HD DVDも含む)、DVD-RAM(デジタル・バーサタイル・ディスク・ ランダム・アクセス・メモリー)方式DVDレコーダー、上記機器に用いられるディスクを指定 |
平成13(2001)年12月14日 | 私的録画補償金の額の認可 ※平成14年度以降適用する私的録画補償金の額 |
平成18(2006)年1月 | 文化審議会著作権分科会報告書 |
平成21(2009)年1月 | 文化審議会著作権分科会報告書 |
平成21(2009)年5月22日 | 著作権法施行令の一部を改正する政令施行 Blu-Ray Disc(ブルーレイ・ディスク)レコーダー、当該機器に用いられるディスクを指定 |
(参考) 平成21(2009)年~平成24(2012)年 |
東芝訴訟(デジタル放送専用の録画機器は、当時の政令指定機器に含まれないことが判決で確定) |
平成27(2015)年3月31日 | 一般社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)解散 |
平成31(2019)年2月13日 | 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について (クリエーターへの適切な対価還元関係)(文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会) |
令和4(2022)年10月21日 | 録画に係る私的録音録画補償金を受ける権利を行使する団体として、一般社団法人私的録音録画補償金管理協会(sarah) |
令和4(2022)年11月25日 | 著作権法施行令の一部を改正する政令施行 デジタル放送専用のものを含めたBlu-Ray Disc(ブルーレイ・ディスク)レコーダー、当該機器に用いられるディスクを指定 |
令和6(2024)年12月25日 | 私的録画補償金の額の認可 |