令和4年度都道府県・市区町村等日本語教育担当者研修を開催しました

我が国に在留する外国人は、社会や経済の国際化の一層の進展に伴い、今後、ますます増加することが予想されています。このような状況の中、令和元年6月には「日本語教育の推進に関する法律」が公布・施行され、令和2年6月には「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」(以下、基本方針)が閣議決定されました。そして、国及び地方公共団体は、外国人等が円滑に日本社会の一員として安心・安全な生活を送ることができるよう、連携して日本語教育を推進していく必要があります。

文化庁では、こうした施策展開の一助となるよう、令和4年12月26日(月)、都道府県・市区町村等日本語教育担当者研修を開催しました。本研修は、都道府県・市区町村の地方公共団体等で日本語教育に関わる行政職員を対象に、各域内における日本語教育施策等の企画・立案能力の育成・向上を目的として、平成20年度から実施されています。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止したものの、今年度で14回目となります。今年度も引き続きオンラインで開催し、昨今の外国人材受入れに対する関心の高まりを受け、全国44都道府県から約120名の担当者に御参加いただきました。

文化庁による施策説明の様子
審議内容説明を行う松井孝浩専門職(文化庁国語課)

文化庁国語課による施策説明及び審議会の審議内容説明

今年度は、「市町村との連携を意識した日本語教育の総合的な体制づくりの展開」を大きなテーマとして、都道府県・市区町村の取組について三つの事例を紹介するとともに、それぞれの課題等について意見交換を実施しました。

前提として、文化庁による施策説明、文化審議会国語分科会日本語教育小委員会での審議内容説明(以下、審議内容説明)、各省庁からの施策説明を実施しました。特に審議内容説明では、令和4年11月に取りまとめられた「地域における日本語教育の在り方について(報告)」の概要を説明し、地方公共団体での活用が期待されることが説明されました。

基調講演を行う大木 義徳氏(株式会社三井物産戦略研究所)

基調講演を行う大木 義徳氏(株式会社三井物産戦略研究所)

基調講演では、大木 義徳氏(株式会社三井物産戦略研究所・主席研究員)に御発表いただき、実践報告では岩手県、福岡県及び直方市・愛知県及び豊田市に御発表いただきました。

岩手県による実践事例の報告

岩手県による実践事例の報告

実践事例を報告する直方市(福岡県)

実践事例を報告する直方市(福岡県)

さらに、その後は三つのグループに分かれ、意見交換を行いました。意見交換では、地域における日本語教育の実践が豊富な以下の三名のファシリテーターに進行していただき活発な意見交換が行われました。

【グループ別ファシリテーター】

  • 【i 岩手県】
  • 佐藤 智照 氏
  • (島根大学 学術研究院教育研究推進学系 外国語教育センター 准教授)
  • 【ii 福岡県等】
  • 長尾 晴香 氏
  • (株式会社 link design lab 代表取締役/一般社団法人多文化社会専門職機構 認定多文化社会コーディネーター)
  • 【iii 愛知県等】
  • 髙栁 香代 氏
  • (多文化 design コンパス 代表/一般社団法人多文化社会専門職機構 認定多文化社会コーディネーター)
意見交換について報告する佐藤智照氏(島根大学)

意見交換について報告する佐藤智照氏(島根大学)

なお、参加者からは、

「外国人向けの日本語教育に係る情勢について、政策や政治等の観点から認識することができた」

「日頃実践に関わっているため、現状や足元の課題に視点が行きがちだが、広い視点から日本語教育推進を捉える機会となった」

「市町村を主体として、県と連携しながら日本語教育を展開していくための方法について聞くことができた」

といった声が寄せられました。

このように地域における日本語教育が重要となる中、各地での知見を共有し今後の課題の解決にもつながる有意義な研修となりました。

来年度も本研修の実施を予定しておりますので、地域の日本語教育担当の方々の御参加をお待ちしております。

今年度の研修での配布資料は以下を御参照ください。

1 プログラム

  • ●施策説明
    • 文化庁国語課
    • 出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室
    • 総務省自治行政局国際室
    • 文部科学省総合教育政策局国際教育課
  • ●報 告 「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会における審議内容について」
    • 文化庁国語課
  • ●基調講演 「地域における日本語教育関連施策の現状と課題」
    • 株式会社三井物産戦略研究所産業情報部 主席研究員 大木 義徳 氏

    文化審議会国語分科会日本語教育小委員会 委員(平成29年度~令和3年度)

    文化庁「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」審査委員会 委員(令和3年度)

  • ●実践報告・質疑応答
    • ⅰ 日本語教育の参照枠を活用した日本語教育の展開―オンラインによる教育の実施―

      【岩手県】(令和3~4年度「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」活用)

      • 岩手県ふるさと振興部国際室 主事 髙橋 拓実 氏
      • 公益財団法人岩手県国際交流協会交流推進課 主事 佐々木 葵 氏
      • 岩手地域日本語教育コーディネーター 藤波 大吾 氏
    • ⅱ 企業と連携した日本語教育の体制整備の展開

      【福岡県】(令和2~4年度「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」活用)

      • 福岡県企画・地域振興部国際局国際政策課 課長補佐 鹿毛 久史 氏
      • 直方市教育委員会文化・スポーツ推進課 課長 梅原 達巳 氏
    • iii 都道府県と市町村の連携による日本語教育の展開―基本方針策定を踏まえて―

      【愛知県】(令和2~4年度「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」活用)

      • 愛知県県民文化局社会活動推進課多文化共生推進室 室長補佐 太田 美代子 氏
      • 豊田市生涯活躍部国際まちづくり推進課 主査 丸山 宗祐 氏
  • ●意見交換

      【グループ別ファシリテーター】 実践報告者(岩手県・福岡県等・愛知県等)別に意見交換

    • 【i 岩手県】
      • 佐藤 智照 氏(島根大学 学術研究院教育研究推進学系 外国語教育センター 准教授)
    • 【ii 福岡県等】
      • 長尾 晴香 氏
        (株式会社 link design lab 代表取締役/一般社団法人多文化社会専門職機構 認定多文化社会コーディネーター)
    • 【iii 愛知県等】
      • 髙栁 香代 氏
        (多文化 design コンパス 代表/一般社団法人多文化社会専門職機構 認定多文化社会コーディネーター)
  • ●情報提供
  • 日本語学習サイト「つながるひろがる にほんごでのくらし」追加コンテンツ紹介
    • 凸版印刷株式会社

2 配布資料

3 研修動画

研修動画
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