政府では、共通の指針であるデジタル原則の下、新たな付加価値を生み出しやすい社会を創るため、デジタル庁を中心として、全省庁的にアナログ規制の見直しに向けた取組を進めているところです。
今般、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(令和4年6月3日デジタル臨時行政調査会決定)及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)において、令和4年7月から令和6年6月までの2年間(集中改革期間)に、代表的なアナログ規制7項目(目視規制、定期検査・点検規制、実地監査規制、常駐・専任規制、書面掲示規制、対面講習規制、往訪閲覧・縦覧規制)に関する規制等の見直しに集中的に取り組み、可能な限りデジタル技術の活用を促すこととしております。
デジタル技術の効果的な活用により、宗教法人の事務負担や信者その他利害関係人等の手続負担の軽減等が期待されることから、宗教法人法(昭和26年法律第126号。以下「法」という。)に基づく手続のうち、上記見直しプランで見直しの対象として法律上の解釈の明確化を図ることとされている事項を含め、デジタル技術の活用が可能な手続について下記のとおり整理しましたのでお知らせします。
デジタル技術の活用が可能な法に基づく手続一覧
手続を必要とする場合 | 宗教法人法上の条文 | 備考 |
---|---|---|
〈法第12条第2項に基づく公告〉 | ||
宗教法人を設立しようとする場合 | 法第12条第3項 | 法附則第14項第3号で定める公告を含む。 |
財産処分等をしようとする場合 | 法第23条 | - |
被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとする場合 | 法第26条第2項 | - |
合併をしようとする場合 | 法第34条第1項、同条第3項、法第35条第3項 | 法第36条において法第26条の規定を準用する場合及び法附則第7項において法第34条第3項の規定を準用する場合を含む。 |
任意解散をしようとする場合 | 法第44条第2項 | - |
〈財産目録等の事務所備付け書類の閲覧〉 | ||
財産目録等の事務所備付け書類を閲覧させる場合 | 法第25条第3項 | - |
〈被包括関係の廃止の通知〉 | ||
被包括関係の廃止に係る規則の変更をしようとする場合 | 法第26条第3項 | 法附則第14条第3項で定める通知を含む。 |
〈各別の催告〉 | ||
合併に当たって知れている債権者への各別の催告を行う場合 | 法第34条第3項 | - |
清算に当たって知れている債権者への各別の催告を行う場合 | 法第49条の3第3項 | - |
◆法第12条第2項に基づく公告について(規制等の類型:書面掲示規制)
法第12条第2項に基づく宗教法人の公告については、各宗教法人の判断により、信者や利害関係人に周知できる適切な方法を採用することとされており、デジタル技術を活用した方法によって行うことも可能です。
※法第49条の3第1項に基づく債権の申出をすべき旨の催告の公告については、同条第4項の定めにより、また、法第49条の5第1項に基づく破産手続開始の申立ての旨の公告については、同条第4項の定めにより、官報に掲載してする必要がありますので、ご注意ください。
※公告の方法を変更する場合は、規則の変更の手続(法第26条第1項)及び変更の登記(法第53条)を要することがありますので、ご注意ください。
※デジタル技術を活用した方法によって公告を行う場合でも、新聞紙や機関誌に掲載する場合や掲示場に掲示する場合等と同様に、当該公告が適法に行われたかどうか、証拠資料を残して客観的に確認できるようにするなど、適切な措置を講じることが重要です。
◆財産目録等の事務所備付け書類の閲覧について(規制等の類型:往訪閲覧・縦覧規制)
法第25条第3項に基づく財産目録等の事務所備付け書類の閲覧については、各宗教法人の判断により、財産目録等のデジタル化、閲覧申請のオンライン化等を行うことが可能であり、申請から閲覧等までデジタル技術を活用した方法により講じることも可能です。
◆被包括関係の廃止の通知及び各別の催告について
法第26条第3項に基づく被包括関係を廃止しようとする宗教団体に対する通知(法附則第14条第3項で定める通知を含む。)の方法及び法第34条第3項及び第49条の3第3項に基づく知れている債権者への各別の催告の方法については、各宗教法人の判断により、デジタル技術を活用した方法によって行うことも可能です。
※通知・催告の到達については、その到達事実に争いが生じることがありますので、相手方に確実に通知・催告が到達しているかを確認できるよう、適切な措置を講じることが重要です。
参考:デジタル原則等について
参考③:デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表
分類 | No. | 法令名 | 所管省庁名 | 条項 | 規制等の内容概要 | 規制等の類型 | 現在Phase | 見直後Phase | 見直し完了時期 | 工程表 | 見直しの概要 |
別表2 | 100 | 宗教法人法 | 文部科学省 | 第12条第2項 | 宗教法人の目的、名称等の公告方法(宗教法人の事務所の掲示場に掲示) | 書面掲示 | 2-4①② | 3-4 | 令和5年度10月~3月 | 掲示ー共通3 | 告示、通知・通達等の発出又は改正 |
別表2 | 173 | 宗教法人法 | 文部科学省 | 第25条第3項 | 財産目録等の事務所備付け書類の閲覧 | 往訪閲覧 | 2-3① | 3-3 | 令和5年度10月~3月 | 閲覧縦覧ー共通3 | 告示、通知・通達等の発出又は改正 |
(参考③から宗教法人法関係の手続を抜粋したもの)
※「書面掲示規制」とは、国家資格等、公的な証明書等を対面確認や紙発行で、特定の場所に掲示することを求めている規制のことです。
また「往訪閲覧・縦覧規制」とは、申請に応じて、又は申請によらず公的情報を閲覧・縦覧させるもののうち、公的機関等への訪問が必要とされている規制のことです。

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