調査研究報告 概要
趣旨
国内外の国際化に伴い日本語教育の重要性が増していることにかんがみ,日本語教育のより一層の振興を図るため,平成10年5月より,今後の日本語教育の推進に関する調査研究協力者会議を設け検討を行ってきたところ,このたびその報告がまとまった。
報告の要点
近年,日系南米人や中国帰国者,日本人配偶者など,地域に居住する外国人が増加している。これらの人々は,職業生活上あるいは日常生活において,日本語のコミュニケーション能力を必要としており,潜在的な日本語学習需要を有している。
一方,これまでの日本語教育は,留学生や日本語教育施設で学ぶ者など,専門的な日本語教育を受ける者を主な学習対象者としてきた。
今後は,日本語学習を必要としている者の多様な学習需要に応じた日本語教育の推進を図ることが求められている。
国際化が進展する中で,対外的な文化発信を積極的に行い,これにより我が国への理解を深めていくことが極めて重要である。そして,対外的な文化発信の基盤となり,我が国文化の「顔」となるのが海外における日本語教育である。
現在,海外における日本語学習者数は増加しており,初等中等教育段階で日本語を学習する者や職業上の実務的な必要性から日本語学習に取り組む者など,多様な学習者が現れている。このような海外における多様な日本語の学習需要に応じて,その積極的な支援を行っていくことが求められている。
インターネットや光・磁気ディスク,衛星通信など新しい情報メディアが普及しつつある情報化社会において,日本語学習者がいつでも,どこでも,効果的に学習できるような環境を実現するため,これら新しい情報メディアの積極的な活用を図っていく必要がある。
日本語教育に関係する多くの機関・団体が,総合的な視野の下に,全体として効果的・効率的な事業を展開できるよう,相互の連携・協力の抜本的強化を図るなど,日本語教育の推進体制を大きく発展させていく必要がある。