国宝・重要文化財建造物の耐震対策現況調査結果の公表について

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令和2年12月23日

文化庁では,文化財所有者や地方公共団体等の関係者間で,耐震対策の状況の確認,共有と耐震化に向けた意識の向上を図るため,国宝・重要文化財建造物の耐震対策の現況調査を実施しております。この度,令和2年11月30日現在の状況を取りまとめましたので,公表します。

1.調査の概要

調査対象:
耐震対策の対象※となる国宝・重要文化財建造物(4,132棟,回答率100%)このうち,世界遺産又は国宝であるもの(663棟)
(※)国宝・重要文化財建造物から小規模な建造物や土木構造物を除外
調査時点:
令和2年11月30日時点
調査内容:
耐震診断(耐震予備診断,耐震基礎診断,耐震専門診断)や耐震補強の実施状況,対処方針(耐震補強等が完了するまでに取るべき暫定的な方策を定めたもの)の作成状況 等

2.主な調査結果

(1) 耐震対策が完了しているもの

耐震補強を実施したもののほか,耐震診断により耐震性が確認されたもの,立入制限を内容とする対処方針を作成したものであって,基本的に耐震対策が必要ないもの

  • ① 耐震対策の対象となる国宝・重要文化財(4,132棟) 2,613棟(63.2%)
  • ② ①のうち,不特定の者が立ち入る建造物(1,883棟) 854棟(45.4%)
  • ③ 耐震対策の対象となる世界遺産又は国宝(663棟) 405棟(61.1%)
  • ④ ③のうち,不特定の者が立ち入る世界遺産又は国宝(312棟) 103棟(33.0%)

(2) 安全性の確保が図られているもの

(1) の耐震対策が完了しているものに加え,避難誘導等の人的安全性確保のための措置を内容とする対処方針を作成したもの

  • ① 耐震対策の対象となる国宝・重要文化財(4,132棟) 3,941棟(95.4%)
  • ② ①のうち,不特定の者が立ち入る建造物(1,883棟) 1,811棟(96.2%)
  • ③ 耐震対策の対象となる世界遺産又は国宝 (663棟) 654棟(98.6%)
  • ④ ③のうち,不特定の者が立ち入る世界遺産又は国宝 (312棟) 310棟(99.4%)

3.今後の対応等

今回の調査結果から,国宝・重要文化財の95%(世界遺産又は国宝では99%)が,耐震補強の実施や立入制限・避難誘導等の措置を含む対処方針の作成等を行っており,人的安全性の確保が図られていることが確認できました。不特定の者が立ち入る未対策のもののうち,耐震基礎診断・耐震専門診断実施中のものを除くもの(国宝・重要文化財38棟,世界遺産又は国宝2棟)についても令和2年度内に対処方針を作成し,人的安全性の確保を図る見込みです。

特に,12月11日に閣議決定された「防災・減災,国土強靭化のための5か年加速化対策」に,不特定多数が滞留する可能性の高い国宝・重要文化財に係る耐震対策に加え,世界遺産・国宝のうち,避難が容易でないなど緊急性が高く,場内の主たる建物であるなど不特定多数が滞留する可能性の高い箇所に係る耐震対策を盛り込み,加速化して進めていきます。

今後もすべての国宝・重要文化財建造物に係る所有者等の関係者に対して,改めて耐震対策の必要性を周知するとともに,耐震対策の状況について定期的にフォローアップを実施するなど,国宝・重要文化財建造物の耐震化を引き続き進めてまいります。

<本件担当>

文化庁文化資源活用課
文化財防災推進係
担当:松田,岸本
震災対策部門
担当:西岡,玉井

電話:03-5253-4111

文化財防災推進係:内線4906

震災対策部門:内線3146

e-mail:taishin@mext.go.jp(震災対策部門専用)

別紙

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