文化審議会著作権分科会(第63回)(第21期第3回)

日時:令和4年3月18日(金)
13:00~15:00

場所:オンライン開催

議事

1開会

2議事

  1. (1)「民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理」及び「独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書(案)」について
  2. (2)国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について(中間まとめ(案))
  3. (3)各小委員会及び使用料部会の審議の経過等について
  4. (4)その他

3閉会

配布資料

資料1-1
民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理(184KB)
資料1-2
独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書(案)【概要】(976KB)
資料1-3
独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書(案)(1MB)
資料2
中間まとめ(案)国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について(361KB)
資料3-1
基本政策小委員会の審議の経過等について(244KB)
資料3-2
法制度小委員会の審議の経過等について(247KB)
資料3-3
国際小委員会の審議の経過等について(409KB)
参考資料1
第21期文化審議会著作権分科会委員名簿(124KB)
参考資料2
「世界知的財産の日2022」について(977KB)

資料1-2、資料1-3、資料2について、異議なく案の通り了承されました。
了承された資料については、以下の通りです。

資料1-2
独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書【概要】(624KB)
資料1-3
独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書(857KB)
資料2
中間まとめ 国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について(381KB)

議事内容

【茶園分科会長】それでは、ただいまから文化審議会著作権分科会(第63回)を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には、自分でミュートを解除して御発言いただくか、あるいは事務局でミュートを解除いたしますので、ビデオの前で大きく手を挙げるようにしてください。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですけれども、この点、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園分科会長】ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。配付資料は議事次第の下、中ほどの「配付資料」に一覧になっているとおりでございます。以上でございます。

【茶園分科会長】それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり、(1)から(3)の3点となります。

早速、議事(1)の「民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理」及び「独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書(案)」について、に入りたいと思います。

本件につきましては、2月4日に開催されました法制度小委員会において取りまとめられました論点及び報告書を、本分科会の案として事務局に御用意いただいております。

まずはその内容につきまして、法制度小委員会主査である私と事務局から説明をさせていただきます。

では、まず私から、「民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理(案)」及び「独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書(案)」につきまして、法制度小委員会において審議・取りまとめを行いましたので、その概要を御報告させていただきます。

民事訴訟法の改正に伴う著作権制度の検討につきましては、今般の民事訴訟法改正によりまして、原則として民事裁判手続が電子化・オンライン化されることから、これに対応するため、著作権法第42条に関しまして、民事裁判手続のオンライン化に当たって必要となる著作物の公衆送信等についても権利制限の対象とすることが必要であるという結論に至りました。

その後、意見募集手続を経て、本年2月4日に取りまとめたものが、資料1-1の「民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理」となります。

次に、独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入につきまして報告いたします。現行著作権法の下では、出版権を除いて、独占的ライセンシーが第三者に対して、その独占的ライセンスに基づいて独占性を主張し、直接差止請求を行うことはできないとされていることから、独占的ライセンシーの地位が不安定な状況にございます。

これを踏まえ、法制度小委員会では、令和元年度から検討を行ってまいりましたけれども、ワーキングチームでの検討を経て、本年の2月4日に著作権分科会法制度小委員会としての報告書を取りまとめました。これが本日の資料1-2となります。

報告書では、「独占的ライセンスの対抗制度」及び「独占的ライセンシーへ差止請求権を付与する制度」を導入することが適当であるといたしまして、2つの制度設計の在り方を示しました。一つは、債権的な効力しか認められない独占的ライセンスについて、独占的ライセンスの対抗制度や差止請求権の制度を導入するという構成です。もう一つは、特許法における専用実施権のような物権的な独占的利用権を新たに著作権法上に創設するという構成です。

いずれの構成で制度を導入するかにつきましては、最終的には文化庁において具体の制度設計をする中で判断することが適当であるとしております。

また、対抗制度につきましては、登録対抗制度が適当であるとしておりますけれども、現行の登録対抗制度につきましては、課題も多く指摘されているところから、既存の登録対抗制度も含めて、登録対抗制度一般の在り方については、継続して検討することが望ましいとしております。

その他、論点整理及び報告書の詳細につきましては、事務局から追加説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。補足の説明をさせていただきます。

資料1-1を御覧ください。資料1-1につきましては、「民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理」と今、主査より御紹介いただきましたものでございます。

こちらについては、その資料の下の2ポツ、「著作権制度における対応の要否及び方向性」で示しております。この中ではそちらの冒頭2行にございますように、「著作権法第42条について、今般の民事裁判手続のオンライン化に対応するため、公衆送信等についても権利制限の対象とすることが必要である」といった結論とともに、改正の必要性に関しての意見を幾つか紹介する構成としております。

これの資料につきましては、昨年12月にパブリックコメント案の形で、お示しさせていただきまして、その後のパブリックコメントでも大きな異論等はございませんでした。

こちらにつきましては、先般、今月の上旬ですか、民事訴訟法を一部改正する法律案が閣議決定されております。そちらの法律案の中で著作権法の規定の整備も併せて行うこととなっておりますので、御報告申し上げます。

資料1-1に関する補足説明は以上となります。

続きまして、資料1-2を御覧ください。資料1-2が、こちらも先ほど主査より御紹介いただきました「独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入に関する報告書」、こちらの報告書本体は資料1-3となっておりますが、かなり大部にわたるため、本日はこの資料1-2の概要を部分的に用いまして御紹介させていただきます。

スライドの1ページ目でございます。「はじめに」のところを御覧ください。検討の経緯は、平成29年度より①著作物等の利用許諾に係る権利の対抗制度の導入、②独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入と議論が進んできております。

こちらについて、次のスライド2ページ目を御覧いただければと思いますが、この①の著作物等の利用許諾に係る権利の対抗制度の導入については、令和2年著作権法改正において措置済みとなっております。この報告書は、②の独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入についてまとめているものでございます。この中では2点、独占的ライセンスの対抗制度の導入、独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度の導入について報告を行っております。

次の3ページ目にある検討課題の概要、こちらにつきましては、先ほど主査から御説明のあったとおりでございます。これにつきまして、スライドの5ページ目に対応の方向性をまとめております。独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度を導入することが適当としております。また、登録対抗制度には課題も多いため、既存の対抗制度、登録対抗制度も含めて、登録対抗制度一般の在り方については引き続き検討することが望ましいとされております。

続きまして次のページ、スライド6を御覧ください。課題の解決手段でございます。本日は細かい説明は割愛しますが、主に、この独占的ライセンスの対抗制度、差止請求権の付与、これにつきましては、2つの構成があるとして、法制度小委員会及びその下に置かれたワーキングチームでは議論を行ってきました。

2つの構成は、1つ目がこの独占的利用許諾構成といったものです。説明はその中にありますように、債権的な独占的ライセンスについて、一定の場合に著作権等の譲受人、他のライセンシー不法利用者等に対し、その独占性を主張し、差止請求権を行使することができるようにする制度の導入です。

2つ目の構成としては、専用利用権構成となりまして、分野を限らない形で、特許法における専用実施権や著作権法における出版権のような準物権的な独占的利用権を創設するといったものでございます。

ここからの資料は、このまず独占的利用許諾構成について、続いて専用利用権構成について、それぞれ対応の方向性であるとか制度設計の在り方、あるいは許容性、そのような検討を順次並べて説明しております。

要点となるところのみ説明しますが、スライドの9ページ目を御覧ください。スライドの9ページ目の独占的利用許諾構成につきまして、制度設計につきましては、そちらの真ん中の矢印のところにありますように、「独占的ライセンスの対抗制度と独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度は段階的な導入が望ましい」ということで、この下、第1段階として、独占的ライセンスの対抗制度と、独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度を導入するということ。

また第2段階として、登録対抗制度、こちらについて継続的検討とされたものについて、結論が得次第、取りまとまった時点でそういった制度に反映していくといった構成を紹介しております。

また、スライドの12ページを御覧ください。スライドの12ページは、この独占的利用許諾構成について、差止請求権を付与する制度の方向性を示しておりますが、こちらの丸のところに書かれておりますように、「独占性を主張可能な場合に差止請求権を行使できるようにする」といった方向性をまとめております。

続きまして、スライドの17ページ以降です。こちらからは、専用利用権構成についての同様の各論が書いてございます。

スライドの18ページ目を御覧ください。スライドの18ページ目にございますように、専用利用権構成につきましても、この独占的ライセンスの対抗制度につきましては、同様に制度設計を考えられるというところでございます。また、登録対抗制度につきましては、先ほどと同様な継続的な検討、こういった方向性を示しております。

また、差止請求権を付与する制度につきましては、次のスライド19ページに対応の方向性を示しておりますが、先ほどと同様に、差止請求権を行使できるようにするといったものでございます。

これらを踏まえて、スライドの25ページ以降では、今、御説明しました独占的利用許諾構成、専用利用権構成の比較といった説明を幾つか並べております。こちらの詳細は本日は割愛します。

最後にスライドの33ページ目を御覧ください。スライドの33、「まとめ」とあるページでございます。独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度を導入することが適当としております。また、独占的利用許諾構成と専用利用権構成のいずれを採用するかついては、独占的利用許諾構成が有力な選択肢になると考えられるが、専用利用権構成も選択肢として否定されないと考えられるため、各構成における制度設計や効果、法制的な説明の難易度などの観点を総合的に考慮し、文化庁において具体の制度設計をする中で判断することが適当としております。

また、独占的ライセンスの対抗制度だけでなく、既存の登録対抗制度も含めた登録対抗制度一般の在り方についても、引き続き検討すべき課題として指摘されたところであるから、継続して検討し、その結果を制度に反映していくことが望ましいとまとめてございます。

少々長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。

【茶園分科会長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの報告につきまして御意見等がございましたら、お願いいたします。

井村委員、お願いいたします。

【井村委員】ありがとうございます。ただいまご説明をいただきました独占的ライセンスに関しては特段の依存があるものではありませんが、冒頭で茶園先生にもご指摘いただいたように、私どもの出版社は現行の設定出版権をベースに、多くの出版社が著者と契約を交わしておりますので、今回のこの新しい制度ができたことによって、現行の出版権にあまり影響が出るような形になってしまうと、混乱が生じるおそれがあります。そういうことで、今後進めていただく際には、出版権にあまり影響のないような形で法改正等をご検討いただければと考えております。よろしくお願いいたします。

以上です。

【茶園分科会長】ありがとうございました。ほかにございますか。

では大渕委員、お願いいたします。

【大渕委員】詳細な御説明をありがとうございました。先ほど、資料1-2の33ページまでいっているかと思いますが、これを御覧いただきますと、まとめの2つ目の丸が一番肝の部分でありまして、この中で2行目に「有力な選択肢」ということで、独占的利用許諾構成が示されております。著作権法全体を安定的に処理するためには、今まで私は解釈論上この独占的利用許諾構成ができなくもないとは思っているのですが、一般的にはできないとされていたので、今回物権的な構成だけではなくて債権的な構成も可能であるということを確実に実現していただくということが最も肝要であると思料いたします。この紙自体はもう何ら変える必要はないと思いますが、問題は、最終的に法制局等をきちんと通して立法を実現することだと思います。そこのところは、新たな制度を付け加えるということで、確実に実現していただければと思っております。

先ほど御懸念が、念のために示されておりましたが、新たな制度を付け加えるだけですので、既存の出版権等はそのままで、今まで1本立てのように思われてきたのを2本立てにするということなので、御心配いただく必要は全くないかと思います。今までのものは今までのものとして残し、新たないろいろなニーズを、契約的ニーズとして拾えるような幅広いオプションを示すことが重要でございますので、先ほどのような御心配はしていただかなくていいように我々は努力したつもりでございます。

最終的には立法を頑張っていただくということになりますが、これは何と言っても理論的な面がありますので、研究者という関係から一言だけ申し上げます。これはそもそも論になってきますけれども、排他的と呼ぶか独占的と言うかは言い方の問題ですが、排他的ないし独占的ライセンスによる差止請求権の根拠ということになってきます。それは、意外と単純ですが、排他性ないし独占性を守るためには排他請求権ないし差止請求権がないと画餅に帰してしまうので、その排他性を守るためには差止請求権が当然に導かれるという、非常にシンプルな話であります。

もとより、著作権は排他権なので排他権に基づいて差止請求できますが、排他権自体ではなくても、そこから派生してくるものでも、排他性があるものである限り、その排他性を守るためには差止めができなければならないということであります。これはドイツのコンメンタールなどを見ますと、dinglich、物的という言葉がよく使われて、こちらのほうが感じが出ているかと思いますが、人的なものだけではなくて物的、対世的な効力を持つものとして、損害賠償だけではなくて差止請求権も認めるということが重要であります。

dinglich、物的ということなので、それが物権か債権かというのは、民法での有体物については極めて重要でありますが、知的財産法、著作権法の場合には無体物ですので、もともと物権というのは有体物についての概念なのであって、あまり物権か債権かというのは、あまり関係がないと思います。

今後は、新たにできるこの排他的ライセンスを物権自体と呼ぶのか、それとも物権化された債権と呼ぶかというのは、学者的説明の問題なのであって、一番重要なのは物的(dinglich)だということではないかと思いますので、その物的なものをきちんと実現するために先ほど申し上げたようにニーズが2つあるのであれば、きちんと2つとも拾えるようにするということが肝要だと思っています。

今、2番目の丸のお話をいたしましたが、その次に一番下に3番目の丸として、今回時間がなくてここまで及んでいないのですけれども、今後この登録制度というのも著作権制度全体において非常に重要な制度でありますので、今後これも深めていただければと思っております。

【茶園分科会長】ありがとうございました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。

それでは、どうもありがとうございました。本報告書につきましては、修正を要する点はなさそうですので、このまま本分科会としての報告書として取りまとめさせていただきます。ありがとうございました。

事務局におかれましては、速やかに公表いただくようにお願いをいたします。

では続きまして、議事(2)の「国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について(中間まとめ(案))」に入りたいと思います。

本件につきましては、2月21日に開催されました国際小委員会におきまして、中間まとめ(骨子案)が審議され、さらにメール審議をした上で、国際小委員会として取りまとめられたものを分科会の中間まとめ案として、事務局に御用意いただいております。その内容につきまして、国際小委員会主査の鈴木委員と事務局から御説明をお願いいたします。

【鈴木委員】鈴木でございます。まず私から、資料は資料2になります。「国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方に関する中間まとめ(案)」につきまして、概要を御報告いたします。

今期の国際小委員会では、昨年7月の文化審議会著作権分科会における大臣からの諮問を受け、第1に、我が国のコンテンツの海外展開における著作権に関する課題及びその対応について、第2に、国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について、それから第3に、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について、審議を進めてまいりました。

令和4年1月以降の国際小委員会では、今申したうち、第2の国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について、これに焦点を当てて審議をいたしました。審議に当たっては、委員による発表の機会を設けるとともに、有識者からのヒアリングを行い、幅広い観点から御意見をいただくことができたと考えております。

中間まとめ案では、御発表等で示された海賊版の被害状況、現在の海賊版対策の取組及び海賊版対策の課題を踏まえ、今後、解決のために考えられる方策等をまとめております。今後に向けては、海賊版対策の取組状況や被害状況を踏まえつつ、国際小委員会において、引き続き議論を行っていくこととしております。

また、令和4年度に文化庁において相談窓口を開設して、権利者による権利行使を促すとともに、より実効性ある権利行使を実現するための取組の充実が図られ、同時に、国際連携の強化や普及啓発についても、既存事業の必要な見直しを進め、より効果的な在り方が示されることを期待しております。

中間まとめ案の具体的な内容については、事務局から説明をお願いいたします。

【児玉国際著作権室長】それでは、事務局でございます。

お手元の資料2を御覧ください。1ページに「はじめに」と書かれております。こちらは先ほど鈴木主査から御説明があった、検討の経緯とかを書いてございますので割愛させていただきます。

おめくりいただきまして、2ページからが中身でございます。

まず、海賊版の被害状況ということで、第4回、第5回の国際小委員会で御発表いただきました委員、それから有識者の皆様、それぞれのお立場から各分野の被害状況についてお話をいただいておりますので、それをまとめたものでございます。

現在コロナ禍における巣籠もり需要の高まりと相まって、海賊版の被害状況が過去最悪の状況となっていると。被害はオンライン、オフライン問わず確認されているほか、その侵害の分野も多岐にわたっているという前提の下でお話を伺いました。

いろいろ様々な数字が挙がっていますけども、例えば令和3年7月現在の日本における海賊版サイトの総訪問数が、月間約6億アクセスとなったという話や、これは令和元年の推計ですけども、オンラインで流通する我が国のコンテンツのうち、映画、出版、音楽、ゲームに係るものの海賊版被害額は年間で3,300億から4,300億に上るとされているという話、また、これが令和3年に進みますと、漫画についてはさらに被害が拡大してございまして、年間でただ読みされた金額は1兆円を超える。これは実は漫画の紙・電子を合わせた正規版の市場規模を大きく上回る状況になってしまっているというお話もありました。

また、被害は国内だけではございませんで、英語に翻訳された漫画の海賊版サイトも確認されていて、そちらのアクセス数は日本語の海賊版サイトのアクセス数を上回る例もあると、そういったことも言われてございます。

また、音楽分野に関しては、供給手段がパッケージ販売から音楽配信へと移っていく中で、無許諾の音楽アプリによって違法に配信されるケースが増えていると。そうなりますと、収益がアーティスト等に還元されず、正規配信の市場の成長も阻害するということになるという発表もございました。

また、ソフトウエアの侵害については、レトロゲームを無断収録したゲーム機の販売、またビジネスソフト等の海賊版DVDの販売などが確認されているというお話をいただきました。

このような状況に対して、それぞれの皆様、権利者の皆様、関係団体の皆様がどのような取組をされているかについて、3ページ(2)のところにまとめてございます。

まず、おのおのの権利者の皆様におかれましては、コンテンツが違法に掲載されているサイトに対する削除要請、また海外における情報開示請求等の訴訟提起、警察と連携した刑事事件化などの取組に継続的に努めていただいているところでございます。

また、これに加えまして、関係団体の取組についても幾つか御発表いただいています。まず一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)様の取組ですけども、プラットフォーマーに対する削除要請等に加えまして、例えばサイバーセキュリティーの専門家と連携してサイト運営者、またそういった方々が使っているオンラインサービスの特定に注力をしていたりですとか、直接交渉、さらには悪質な海賊版サイトについて公表等の手段、または広告関連団体やプラットフォーマーと連携した広告出稿停止、検索結果表示抑止等の対策を取っておられるところであります。

また、一般社団法人ABJにおかれましては、著名なキャラクターを起用した海賊版対策キャンペーンでしたりとか、正規サービスであることを示すABJマークの策定、また海賊版サイトリストを作成して、これと青少年フィルタリングサービス、セキュリティーソフトのサービスとの連携などを通じた海賊版対策を進めてございます。

一般社団法人コンピューターソフトウエア著作権協会様(ACCS)におかれましては、例えば実態調査、削除要請等の防犯的対応、また警察による捜査への協力等の取組をされております。レコード協会様におかれましては、「著作権保護・促進センター」を設置しまして、動画サイト、無許諾の音楽アプリ、オークションサイト等について、違法探索、削除要請を行っておるというお話がありました。

また、政府の取組についても内閣府からもお話しいただきまして、令和元年の10月に「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表」を作って、さらには令和2年、各種の法改正を行いました。また、それらを踏まえまして、昨年4月に「総合的な対策メニュー工程表」の更新をするなど、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

この中で文化庁におきましても、国内外における著作権保護の実効性を高めるために、例えば海外の著作権制度の整備支援、権利行使強化、普及啓発の取組を進めているところでございます。具体的には、WIPOに拠出する信託基金を活用したセミナー、また侵害発生国の人材育成支援のためのトレーニングセミナー等の開催を通じて対策を進めておるところでございます。また、国際的な枠組みによる海賊版対策としましては、WIPOが情報共有プラットフォームを利用した「WIPOアラート」という取組を進めているところでございます。

このように、様々な機関が協力して海賊版対策の取組を進めた結果、海賊版サイトの摘発に至った事例が出てくるなどの成果はあるんですけども、現在の被害情報状況を踏まえますと、さらなる取組の強化が必要ということで、4ページの下(3)のところに課題を幾つか抽出させていただきました。5点ほどにまとめてございます。

まず1点目、我が国の権利者の皆さんは、例えば米国の権利者と比較して権利行使をしない傾向にあると。また一方で、とはいえ海賊版対策に関する費用が多額に上るので、なかなか対策が取れないというお話を頂戴しました。

また、通信技術が発達する中で海賊版問題が国境を越える問題になっていると。そのような中で、外国に拠点を持つもの等々に迫っていくことがなかなか難しいという側面もあるというお話がありました。

また、デジタル化、ネットワーク化の進展と高機能端末の普及の影響で、著作権侵害、これは犯罪ですけども、これがあまりにも身近になっているんじゃないか、そういった御指摘もありました。

また、個人クリエイターの皆様については、そもそも著作権に関する知識が不足していたために、なかなか対処ができないと、そういった事例もあるというお話がありました。

このほか、国内外の海賊版ユーザーの意識変容、特に海外の漫画ファンをいかに正規版に誘導するのか、そのための正規版の充実が課題じゃないか、そういった御発言もあったところでございます。

こういった課題意識を踏まえまして、5ページの(4)課題解決のために考えられる方策等ということで、3点ほどまとめています。著作物の権利侵害に対しましては、基本的にはその権利者の方の権利行使が対応ということになるんでしょうけども、今の状況を踏まえると政府としてこれを座視できる状況ではないというところから、3点ほどまとめさせていただいています。

一つには、権利行使強化のための支援策ということで、後ほど少し詳しく申し上げます、海賊版相談窓口の新設・強化、また権利者が的確に権利行使を行うための支援の実施、さらには国際連携の強化のための施策ということで、政府間協議の取組、またこれまで行ってきたトレーニングセミナー等の見直し、またはWIPOとの連携強化、さらには海賊版対策に関する普及啓発の充実といったことが挙げられてございます。

このうち、先ほど鈴木主査のお話もありましたが、窓口の話は令和4年度の事業として推進できればと考えてございます。こちらについても委員の皆様から様々な御提言、御示唆を頂戴してございます。どのような中身を受け付けて、誰からの相談を受け付けるのか、しっかり明確にすべきである。また既存の様々な窓口がございます。そういったものとの役割分担や連携をしっかり図っていくべきである、また相談に対応する際に、国際的なネットワークへのアクセス、集団的な権利行使のきっかけを提供する等、違法利用の対策に係る効果的な助言をする必要があるんじゃないか。また海外の専門家、行政機関とのやり取りなど、海賊版の案件が国際的な展開を見せる場合にも的確なアドバイスができる体制を取るべきじゃないか、そういったことが言われてございますので、こういった御指摘、御提言も踏まえながら、来年度以降の事業に反映させていきたいと思ってございます。

今後ですけども、まずは4年度に開設する海賊版の窓口を十全に運用していくということでしょうし、国際連携の強化、普及啓発についても、既存事業の必要な見直しを含めまして、より効果的な在り方について検討していくということにしたいと思っています。

また、海賊版対策全般につきましても、対策の進捗状況、また被害状況の進展、こういったものも踏まえながら、引き続き国際小委員会において議論を行っていくことになろうかと思ってございます。

少し長くなりましたが、事務局から以上でございます。

【茶園分科会長】ありがとうございました。それでは、ただいまの報告につきまして、御意見等がございましたら、お願いいたします。

井村委員、お願いいたします。

【井村委員】ありがとうございます。この件に関しては、今御説明いただきましたような様々な取組をしていただき本当に感謝いたします。私ども出版界だけではなかなか解決できない問題ですので、引き続き取り組んでいただければと思っております。

出版界の全体の売上げは、電子籍等の普及に伴って、やっとここ一、二年で下げ止まってきているというような状況にあります。ただその売上げ全体の中の非常に大きな部分を占める漫画・コミックの売上げを上回るような被害が発生しているという、先ほどの説明にもあったような、そういう状況も引き続き続いているような状況です。

そういう意味では今後とも解決に向け取り組んでいただきたいとは思うものの、他方技術面や制度面を考えると、違法な配信そのものを取り締まるという点には限界があるような気もしてまいります。そういう意味では、先ほど説明にありました普及啓発、つまり見ない、利用しないという意識をしっかりと一般の方々に持ってもらうことが必要ですので、そのあたりも十分に、今後方策を考えて進めていただければと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

以上です。

【茶園分科会長】ありがとうございました。ほかにございますか。

渡辺委員、お願いいたします。

【渡辺委員】今、井村委員が最後のほうにおっしゃいました、その普及、そういう海賊版のようなものは読まないんだという気持ちにさせるという意味での普及啓発が最も大事ではないかと。取り締まるということは、もうずっといたちごっこが続いていくわけで、次から次へと新たなものが出てくるということが予想されます。その月に6億アクセスがあったというのは非常にショックなことで。

漫画を読みたいという子供心は分からなくはありませんが、これが例えば、見えなければ人のものを盗ってもいいというようなことをする意味で、例えばコンビニで泥棒するとか、そういう子供はいないわけですね。一般的にはそういうことはしないわけです。ただ、こういう隠れたところで、デジタルで簡単に何か漫画の場合であれば、ちょっとアクセスすれば読める、音楽であれば一瞬にダウンロードできてしまう。またそれがどういうふうに社会に影響を与えるかということが子供にあまりよく分かっていない。

そういうときに、ちょっと悪いかなと思いながらも、ついやってしまうということは容易に想像ができる。それが結果的にこのような6億という、驚くべく非常に残念な数字でありますが、日本においてもそういう現状だということは、そういった意味での教育があまりに足りていないと感じます。

この中に、「学校教育を含め、特に若年層に対する著作権保護に対する普及啓発が重要である」と書かれておりますが、例えば文部科学省のほうで、実際に学校教育の中で、もう授業というような形で1年に1回でも、著作権侵害がいかにその著作者にとって大きな問題であり、またそれの結果、優れたコンテンツが生み出されない世の中になっていくんだという、文化が衰退していくんだという、長期的に見た、そういう若い子にも分かるような意味での、だから自分はそういうことはしていけないんだなと本当に心から思ってもらえるような、そのような教育をぜひとも学校教育、特に小中学校、高校でやっていただけるとありがたいと思いますが、現状はどのようになっているでしょうか。

【児玉国際著作権室長】事務局よろしいでしょうか。

例えば情報という教科が最近できていまして、そこだと著作権を含めて、著作権とはどういうもので、それが社会の中でどういう役割を果たしているか、みたいなことを学ぶ機会というのは、ごく非常に最近の話ですけども始まってございます。そういった取組を通じて、ここで言っている若年層、学校教育の場で、様々働きかけというか、知識の浸透、著作権の感覚というのは伝えていけるような状況になりつつあると思っています。

【渡辺委員】ありがとうございます。そこにさらに何か、学校教育の現場でそれはふさわしいかふさわしくないか分かりませんが、可能であれば、より具体的な内容を盛り込んでいただきたいです。例えば音楽で言いますと、一般に聴かれる歌詞付き楽曲、つまり歌ものと言われる音楽に関しては、作詞家・作曲家は、それを創作した時点では全く委嘱料がもらえないというのが慣例であり、CDが売れて、あるいは正規にダウンロードされることによって印税を収入として得る、それで生活をしているという実際的な現実など。それを知らない人は非常に多いんですね。音楽家・作詞家は、何か委嘱されたら、その時点で収入を得ているのではないか、印税は何かあぶく銭ではないかと思っている人も世の中にはいらっしゃる。そうではないんですね。

それは、本当にその印税だけが収入になっているんだということも広く知っていただくという必要性がありますし、それは小学校の時点でそういう具体的なことを伝えていただけると、より著作権というものに対しての理解が深まるんではないかと思います。

また、漫画にしましても、具体的な影響として、自分たちが読みたいと思っているもの自体の面白みがどんどん減っていく可能性がある。要するにそれで仕事が充実していかないと、適正な収入が得られないとそれをやろうとする人自体が減っていく、漫画家が減っていく、音楽を一生懸命つくろうとする人が減っていく、魅力的なものを生み出せる才能あるアーティストが減っていく、そういった世の中になってしまうんだよという、もう本当に具体的な未来図を伝えていただくというようなところまで踏み込んでいただけると、もう少しこの6億回、そこにアクセスしてしまうということが少しでも防げるんじゃないかと感じます。

【茶園分科会長】ありがとうございました。では宮島委員、お願いいたします。

【宮島委員】ありがとうございます。それぞれの議論のまとめ、どうもありがとうございます。

海賊版に関しては本当にとてつもない大きな被害で、何とかしなければいけないことはみんなが思いますけれども、個々において対処の方法が分からないということもあるのではないかと思うので、まずは、こうした窓口の設置が非常にいいかと思います。

加えて、罰があったときだけではなく、権利行使をしたというような段階での情報が同じような方々に伝わると、権利行使というのはどういうふうにすればよいか。意外と簡単にできることだなとか、そういうことが伝われば、権利行使に対する前向きな気持ちが出るかと思いますので、最終的に何かを取れたというときよりももっと前の段階で、そういった事例の共有もできればいいのかと思います。

また今、教育のところで、ただで見るということは、今とても面白いと思うその漫画が、同じようなものが将来読めなくなるということをみんなが自覚することがすごく大事だと思います。資料の中で、正規版への誘導を充実させるというところがありますが、これは具体的にはどんな形があり得るのでしょうか。一つはもちろん正規版の魅力を上げるということですけど、そこにプラスアルファどうされるとかということと。

例えば今もされているのかもしれないですけど、正規版のところに、1ページ目とか最初のところに、これを違法な形で別のところで見る人たちが増えると、あなたたちはこのようなものはもうあまり見れなくなるんです、みたいな、著作権違反は犯罪ですみたいな形にプラスアルファした、表示みたいなものを正規版に常につけるようにすると、自分たちはちゃんと正規版で見ようというような意識が全体として高まるかもしれないと思います。その辺り、今、正規版でどうされているかも分かれば教えていただきたいと思います。

【児玉国際著作権室長】ありがとうございます。事務局よろしいでしょうか。

まず窓口の話ですけども、ある程度窓口が動き出した段階で、国際小委員会等々に、どういうことをしてきたか、どういう状況なのかということは報告できるような形にできるといいと思っていますので、その中で例えば権利行使に至った事例、あるいはこれぐらいの相談を受けている、事例数でもいいのかもしれません。そういったことをお話しできるようになると、少しはその窓口に対する認知度が高まったり、あるいは、それであればここに頼ってみようかと考えていただける権利者の方が増えていくのではないかと考えているところではあります。

正規版のお話ですけども、少し前回の海外展開のところともかぶる話ではあるんですが、主にこれは海外の漫画ファンのことが念頭に置かれていて、そもそも正規で見られないから海賊版しかないじゃないかという状況を避けるために、今、出版社の皆様が様々な工夫をされていて、それこそ日本の発売日とほぼ時差なく、例えば英語で漫画が読めるようなサイトの展開を図っておられる、そういった例もございまして。

そういった形で、わざわざ海賊版を見なくても、正規版を見ることでその漫画に触れたいという気持ちが満足できる。日本とタイムラグがなく見られることによって、海賊版を見なくても遅れを取ることがなくなる、そういった取組を各出版社の皆様も進めておられるところだと聞いてございます。

【宮島委員】分かりました。では正規版を通じた啓発なんかもまたよろしくお願いいたします。

【児玉国際著作権室長】正規版のほうは、先ほどABJさんの取組の中にありましたけども、正規版のキャラクターが、その海賊版は駄目と言う、そういったもので、そういう問題があるんだ、そしてそれをやっているとクリエーティブのほうに様々な影響が起きるんだということを伝えるような取組は進んでいるかと思っています。

【宮島委員】ありがとうございます。

【茶園分科会長】ほかにございますか。御意見よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。いろいろな御意見をいただきましたけれども、とりわけ著作権の普及啓発や教育ということを述べていただきました。今後それに向けていろいろとやっていきたいと思っております。

ただ本報告書自体につきましては、修正を要する点はなさそうですので、このまま本分科会としての中間まとめとして取りまとめさせていただきたいと思います。事務局におかれましては速やかに公表いただくようにお願いをいたします。

それでは、次に議事(3)に入りたいと思います。「各小委員会及び使用料部会の審議の経過等について」でございます。基本政策小委員会、法制度小委員会、国際小委員会、使用料部会の順序で、審議の経過等について、順次、御報告いただきたいと思います。

まずは基本政策小委員会の審議の経過等につきまして、基本政策小委員会主査であられる末吉委員から御報告をお願いいたします。

【末吉委員】末吉でございます。今期の基本政策小委員会における審議経過について、資料3-1に基づき報告いたします。

まず、「1.はじめに」でございます。今期は、文部科学大臣より諮問された「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」を受けて議論いたしました。「簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について」並びに「DX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策について」につき検討を行うとともに、著作権行政をめぐる諸動向についての報告を受けて、意見交換等を行ってまいりました。

次に、「2.課題の審議状況について」でございます。まず「(1)簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について」は、12月に行われました本分科会に報告をいたし、御審議をいただいた上で、分科会として中間まとめを取りまとめていただきました。

次に、「(2)DX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策について」の「①DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策について」です。諮問において、デジタルプラットフォームサービスに係る、いわゆるバリューギャップや契約の在り方についての課題や実態等を踏まえた対応の審議が要請されました。それを受け、事務局において、音楽分野におけるデジタルプラットフォームサービスにおけるクリエイターへの対価還元に関する実態について調査を実施し、部分的ではあるものの、把握された実態を本小委員会に報告いただきました。

その報告を踏まえ、どのような視座・視点で、デジタルプラットフォームサービスにおけるクリエイターへの適切な対価還元に係る検討を深めていくべきか議論を行い、委員からは、音楽は集中管理の度合いなどで他分野と異なり特殊であり、他分野にも調査を広げる必要があるのではないかとの意見や、対価還元に係る完全な情報を得るのには限界があり、更なる実態の把握に努めることと並行し、得られた情報を基に政策上の選択肢等を検討する姿勢が必要ではないかとの意見、権利者にとっての透明性にも配慮すべきとの意見、また、クリエイターとユーザー、個と個がつながるといった将来的な姿も視野に入れて検討を深めることも重要との意見などをいただきました。今後、音楽以外の分野を対象としたさらなる調査の検討や、論点整理などを行っていく必要があるとしています。

最後に、(2)の「②ブロックチェーンやNFTの活用による著作物の流通促進や対価還元の可能性について」です。本課題については、12月の中間まとめにおいて、「新しい技術の動向も見据えつつ、運用面や制度面での検討を行っていくことが重要」との意見があったことを踏まえて、ブロックチェーンやNFTの活用に関する課題や、今後の可能性等について、有識者から報告を受け、意見交換を行ったものです。

有識者からは、コンテンツに係るNFTそれ自体は、当該コンテンツの所有者や取引データ等の一部が記録されているものであるが、コンテンツそのものではなく、NFTの保有者は当該コンテンツの所有権や著作権を有しているわけではないといった説明がありました。そして、NFTはコンテンツの価値を流通させるツールであり、利用者に新たなサービスやデジタル資産を利活用する場を提供することで、対価を還元するというエコシステムをつくることが重要という指摘や、コンテンツ分野でのNFT利活用の方向性として、今後実務の発展や共通のルール・仕様の形成が行われていくだろうとの説明がありました。

これらについて委員からは、信頼性の担保はコンテンツ流通全体の問題であり、ライセンスマーケットと一体で議論すべきという意見や、権利者側との協働・協力体制の構築や取引ルールの明確化が重要であるといった意見がありました。

また、コンテンツに係るNFTの取引の中には、著作権侵害コンテンツが含まれているといった現状もあります。これについては、公衆送信権等の侵害になり得るもので、海賊版と同様の対処が必要となります。そこで、コンテンツに係るNFTの取引について、権利者や消費者に対する普及啓発が必要との意見がありました。

その他、4ページには小委員会の開催状況、5ページには委員名簿を記載しております。

簡単ですが、私からは以上です。

【茶園分科会長】どうもありがとうございました。それでは、ただいまの報告につきまして御質問等がございましたらお願いいたします。

丸山委員、お願いいたします。

【丸山委員】丸山でございます。御説明いろいろありがとうございます。

私からは、DX時代に対応した著作物等の権利保護方策・対価還元について、次年度以降も継続して検討されるとのことですが、バリューギャップ問題もそうですが、コンテンツの利用主体をどう位置づけるべきかということについても踏み込んだ検討が進められるように期待したいと思っております。

また、今年度の検討においても、既に様々な立場の方から様々な意見が示されておりますが、来年度以降の検討を進める上では、客観的な事実に基づいた議論が必要になると思いますので、その意味で、コンテンツの利用から生じた利益がどのように配分されるかについて、実態調査をやっていただくとか、そうした客観的な事実を明らかにする取組を進めていただきたいと思っております。

あと最後に、DX時代に対応した著作権制度・政策の在り方については、実演家の将来を左右し得る、非常に重要なテーマで、まさに私たちは当事者であると考えております。来期以降の検討に当たっては、小委員会の検討においても、私たち実演家の立場の委員も参加をさせていただく形で、よりバランスの取れた検討体制を整えていただくようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

以上です。

【茶園分科会長】ありがとうございました。ほかにございますか。

河島委員、お願いします。

【河島委員】河島です。ありがとうございます。大変長らくにわたって、本当にこの複雑な問題に委員会で取り組まれて、感謝しております。

一つ質問ですけれども、(2)DX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策についての①の下から5行目ですけれども、「権利者にとっての透明性にも配慮すべきとの意見」という表現がありまして、これはどういうことかというのがつかめませんでした。

先ほど主査が、揚げ足を取るような言い方になると大変失礼だとは思うんですけれども、権利者についての透明性とおっしゃっていたので、それも併せてここの部分はどのような趣旨で書かれているか、お聞かせいただけますとありがたいです。よろしくお願いいたします。

【末吉委員】末吉です。権利者にとっての透明性と申したと思うんですが、権利者から見て透明であるようにするという御意見を小委員会で委員からいただいたものですから、それをここに反映させました。そういう趣旨でございます。

【河島委員】ありがとうございます。何についての透明性ですか。この対価還元に関する情報が権利者にとっても分かりやすいほうがよいと、そういう趣旨ですか。

【末吉委員】はい、その趣旨です。だと思います。

【河島委員】よく分かりました。ありがとうございます。

【吉田著作権課長】若干、事務局から補足させていただいてもよろしいでしょうか。

【茶園分科会長】お願いいたします。

【吉田著作権課長】事務局でございます。今、末吉主査から御説明がありましたとおりでございますが、もう少し背景を御紹介いたしますと、今回、音楽分野を対象に調査をしたということでございますが、様々な対価還元に当たりまして、プラットフォーマーと、それから管理事業者との間で包括的な許諾契約を結ばれているというような状況がございます。

その契約の中身が、そのクリエイターにとっての対価還元と非常に関連してくるわけですけれども、包括許諾契約という契約の性質上、どうしてもその契約の中身自体がなかなかクリエイターの側から見ますと、明らかになっていないということがございまして、そうした観点から、クリエイターの非常に対価に関わる内容でもございますので、そうした内容について、もう少し明らかにするような観点も必要ではないだろうかと、そういった御意見があったということをこちらに記載させていただいているところでございます。

以上でございます。

【河島委員】ありがとうございます。よく分かりました。バリューギャップ問題でよく言われていることとして、クリエイターの、アーティストの人たちがどうして自分がたったこれだけしか再生、例えばSpotifyなりに、物すごく自分の曲は再生されているはずなのに、どうしてこれがたったこれだけのお金にしかならないのか全く分からないという声が、少なくとも当初は随分聞かれていたと思います。

その辺りに対するアーティストの不満ですとか、不透明感というのはあると思いますので、それをここで指摘されているのはとてもよいと思いました。どうもありがとうございます。

【茶園分科会長】ほかにございますか。よろしいでしょうか。

それでは、続けてまいります。次に、法制度小委員会の審議の経過等につきまして、これは法制度小委員会の主査である私から報告をさせていただきます。

今期の法制度小委員会における審議経過につきまして、資料3-2に基づいて報告をさせていただきます。まず「1. はじめに」でございます。今期は、知的財産推進計画2021等を踏まえまして、令和3年7月19日に、文部科学大臣より文化審議会に対して行われました諮問「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に対応した著作権制度・政策の在り方について」を受けまして、主に4つの課題について検討を行ってまいりました。

1点目は、DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討、2点目は、独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度、3点目は、研究目的の権利制限規定の創設、4点目は、DX時代に対応した著作物の権利保護、利用円滑化、適切な対価還元に係る法制度でございます。

次に、「2.課題の審議状況」についてでございます。(1)DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討につきましては、先ほど報告させていただきました「民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理」を含めまして、公的機関や企業等におけるDXの基盤整備の観点から、今後考えられる著作権法上の課題について検討を行いました。

(2)の独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度につきましては、先ほどの審議のとおりということになります。

(3)研究目的に係る権利制限規定の創設につきましては、昨年度までの調査研究や検討を踏まえまして、今年度は、図書館関係の権利制限規定の見直しによっても対応できないニーズについて、より広範・詳細な調査研究を実施するとともに、諸外国における研究目的に係る著作物の利用に関する権利制限規定の解釈・運用と、ライセンスの実態について、昨年度の調査研究を踏まえた、より詳細な調査研究を実施することとし、その進捗状況も踏まえながら、具体的な制度設計等に関する議論を深めることといたしました。これを受けて、文化庁において調査研究が実施されております。

最後に、(4)DX時代に対応した著作物の権利保護・利用円滑化・適切な対価還元に係る法制度につきましては、本分科会において取りまとめられました中間まとめを受けて、制度化に向けた方向性の確認及び制度化に向けた主な論点・検討課題の整理を行いました。

(1)、(3)、(4)につきましては、引き続き継続して議論を深めていくこととなります。その他、5ページには、小委員会の開催状況、6ページには、委員名簿を記載しております。

簡単ですけれども、私からは以上になります。

ただいまの報告につきまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。

井村委員、お願いいたします。

【井村委員】ありがとうございます。今の御説明の中の(3)の研究目的に関わる権利制限の件ですけれども、既に何度かお話をさせていただいていますように、私どもの出版、特に学術系の専門書は、まさにその研究目的、研究者に向けた書籍を発行しております。こういった書籍は初版刷り部数が非常に少ない中で、事業を進めており、そのうちの研究者、研究目的に関わる部分が権利制限されてしまいますと、大きな打撃が予想されます。今後、法制化に向けてさらなる検討を進めていただく際には、その辺のところを十分ご配慮いただき、いい制度をつくっていただきたいと考えております。

以上です。よろしくお願いいたします。

【茶園分科会長】ありがとうございます。では大渕委員、お願いいたします。

【大渕委員】御説明ありがとうございます。重要な点が多いのですが、時間の関係もありますので、この資料3-2の4ページ(4)にあります「簡素で一元的な権利処理方策」という点に絞ってお話しさせていただければと思います。DX時代と申しますか、今日の著作権制度においては、この点が極めて重要なことは言うまでもありません。ただ、著作権の本質というものがどうしても密接に絡んできます。先ほど排他権という話をライセンスの関係でいたしましたが、ここでは別の側面として、著作権が許諾「権」であるということであります。

ここでは、許諾・不許諾の意思表示をしないときはどうするのかとか、(許諾しないという)フラグを立てないときはどうするのかということですが、そもそも著作権の基本である許諾権というものが崩れてしまって、それが許諾義務にいつの間にか変わってしまうということにならないように考える必要があると思います。簡素で一元的な権利処理方策というのは、権利者にとっても利用者にとっても大変良いことですが、許諾権であるという著作権という基盤を維持した上で工夫を重ねていくことが重要だと思っております。

それから2点目は、ここだけの話でもないのですが、制度を考えるに当たってはフィージビリティーというのが重要であるということであります。実現できないようなものを幾ら議論しても意味がありません。こういう議論する際には法的ハードルが非常に高いものから、どうにか乗り越えられる現実的なものまでいろいろあります。その関係で、今回のものは割と骨子しか書いておりませんが、先日の法制度小委員会の資料3に出ておりますところで、今度、新たな仕組みということで、これは基本政策小委員会のほうで頑張られて、ニーズを抽出されたものだと思いますけれども、それをどう法制化に落としていくかというのが、今後、課題になってくるわけでありますが、その際には、よく出てくる利用または暫定利用、特にこの暫定利用というのが重要になってきます。

ただ、暫定利用というのをきちんと安定的に実現するためには、ドラスティックなものから現実性の あるものまでいろいろあるので、ここはフィージビリティーの高い、現実的なものをきちんと、単なる議論のための議論や空理空論にならずに、現実的に、両者が最終的にハッピーになれるようなものを追求していくべきだと思っております。

それから先ほど研究の話も出ておりますが、研究というのは非常に重要なことですけれども、昭和45年法のときから現行著作権法に研究の権利制限がないことも間違いがなく、これはなかなか非常に難しい問題なので、現在いろいろとこれに関する調査研究を何度も重ねてやっているのですが、最終的には、真に研究にとってプラスとなるようなもの、ないしは研究をめぐって権利者、利用者両方がハッピーにウィン・ウィンになれるようなものを、追求していくという現実的な、地道な努力を重ねていくしかないのではないかと思っています。

【茶園分科会長】ありがとうございます。ほかにございますか。

【山下委員】山下ですが、よろしいでしょうか。

【茶園分科会長】山下委員、お願いいたします。

【山下委員】ありがとうございます。新聞協会から来ております山下です。

2ページ目の立法行政のデジタル化に対応した外部資料の公衆送信、この問題ですが、今、新聞に関して申し上げますと、新聞記事の行政機関内での複製の共有、現状のやつですが、内部資料の範囲を逸脱する利用が非常に多いという現状がございます。近年、某官庁でも発覚したところで、記者会見を開いて陳謝され、違法利用の分まで遡ってお支払いをいただいたという例もございます。

この中の3つ目のポツにありますように、内部資料の解釈については周知を徹底する必要があると。これをまさにお願いしたいところだと思っております。この周知徹底が図られたその上で、公衆送信可能かというところの議論に入っていただけないかと思っております。

さらに申し上げますと、内部資料の範囲を超えた日々の参考情報という新聞記事などの情報共有については、権利制限はないんですけども、これについては新聞記事につきましては、クリッピングサービス、これはデジタルの共有化も可能となっておりますという許諾、あるいは公認業者を使った便利なサービスももう現に存在しておりまして、DX時代を先取りして、もう10年以上も前から、デジタル共有のツールは御提供ができているという現状もございますので、内部資料の範囲を超えるところについては、ぜひこれを把握していただいた上で、内部資料についての議論も進めていただきたいと。

以上、御意見を述べさせていただきました。ありがとうございます。

【茶園分科会長】ありがとうございます。ほかにございますか。

返田委員、お願いします。

【返田委員】日本図書館協会の返田です。報告ありがとうございます。

日本図書館協会からも幾つか意見を出させていただいているんですけれども、今後、皆さんが今おっしゃったような点を含めた法改正によって、著作物の現実の利用が変わっていくかと思います。現場にいる者としましては、その手続において、ここで課題になっているように、より簡素な方法の導入について、引き続き文化庁の力を借りまして、実現していただけますようお願いしたいと思っております。

また、それにとっては、今までもお話が何点か出ていますけれども、この法律の普及が非常に重要な点かと思われます。身近な法律として普及することを願っておりますので、今までの委員のお話の中にも出てきましたけれども、この点においてもどうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

【茶園分科会長】ありがとうございました。ほかにございますか。よろしいでしょうか。

では次にまいります。次に、国際小委員会の審議の経過等につきまして、国際小委員会主査である鈴木委員から御報告をお願いいたします。

【鈴木委員】鈴木でございます。国際小委員会における令和3年度の審議状況について、資料3-3に基づいて御報告いたします。

前の議題の中でも触れましたように、今期の国際小委員会では、昨年7月の文化審議会著作権分科会における大臣からの諮問を受け、1、我が国のコンテンツの海外展開における著作権に関する課題及びその対応について、2、国境を越えた海賊行為に対する対応の在り方について、3、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について、以上の3点について審議を進めてまいりました。

1のコンテンツの海外展開、及び2の海賊版対策につきましては、知的財産推進計画2021の中で検討の必要性等について言及されていることを踏まえ、委員や幅広い関係者からの発表を行い、集中的に審議をしてまいりました。

その結果、1のコンテンツの海外展開につきましては、昨年12月付で、この分科会で中間まとめが取りまとめられ、また2の海賊版対策につきましても、先ほど中間まとめについて御議論いただき、取りまとめていただいたところでございます。3の著作権保護に向けた国際的な対応の在り方については、WIPOにおけるSCCRやWIPOの加盟国総会の動向等について事務局から報告が行われ、それに基づき議論を行いました。いずれの議題につきましても、今年度、結論が得られていない課題につきましては、来年度以降も引き続き検討を行うこととしております。

その他、資料の3ページ・4ページには、小委員会の開催状況、それから5ページには委員名簿を記載しております。

簡単ですが、私からは以上でございます。

【茶園分科会長】ありがとうございました。ただいまの報告につきまして御意見、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

それでは最後に、使用料部会の審議の経過等につきまして、使用料部会長である井上委員から御報告をお願いいたします。使用料部会につきましては資料はございません。

それでは井上委員、よろしくお願いいたします。

【井上委員】井上でございます。使用料部会における審議の経過について御報告いたします。

今期の使用料部会は、著作権法第67条に基づく著作権者不明等の場合における著作物等の利用に係る補償金の額について審議を行ってまいりました。今年度は、令和4年2月までに計3回の審議を行いまして、現在4回目の審議を書面にて行っているところでございます。

審議中の案件を含めますと、合計で60件、著作物としては1,155点の補償金の額、そして総額で約1,775万円を決定予定としております。昨年度の件数につきましては48件、著作物では1,665点、補償金総額は約596万円でございましたので、推定件数と補償金総額は増加しているところでございます。

以上簡単ではございますが、今年度の使用料部会の報告とさせていただきます。

【茶園分科会長】ありがとうございました。それでは、ただいまの報告につきまして、御質問等がございましたらお願いいたします。

河島委員、お願いいたします。

【河島委員】申し訳ありません。一つ前の国際小委員会で質問し損ねたことがあるんですが、そちらに戻ってもよろしいでしょうか。

【茶園分科会長】結構です。お願いいたします。

【河島委員】申し訳ありません。自分の研究上の関心から伺いたいことですけれども、資料の最後、(3)著作権法に向けた国際的な対応の在り方について、というところで、③に、その他の議題として追及権、それから一つ飛ばしまして、次のページの舞台演出家の保護に関する議論が進められているとありまして、これは、追及権は実施している国とそうでない国とがあるかと思いますし、それから舞台演出の保護、舞台演出というものを著作権として認めるという国はあまりないのか、あるいは少しあるのかよく分かりませんけれども、それを世界的には保護していこうというお話になっているんでしょうか。少しその辺の事情をお聞かせいただけますと大変参考になります。

【鈴木委員】鈴木でございますけど、よろしいでしょうか。

私の理解ですが、WIPOにおきまして、追及権でありますとか、あるいは舞台演出家の権利について検討しようという提案が出たのに対し、それをどういう位置づけのものとして議論していくのかという辺りは、加盟国の間で温度差があるようです。例えば、追及権を、多数の国が参加するような条約で義務づけるでありますとか、舞台演出家につきましても同様に条約で特別に位置づけるとか、そういうことが決まったということではないと理解しております。

かなり多くの国は、一種の調査研究をするということは、いいのではないか、しかし、その先どうするかについては、まだ現時点では決められる状況でないと、そういうスタンスをとっているように聞いております。

【児玉国際著作権室長】事務局から少し。基本的には今、主査からお話があったとおりで、これを必ず条約の枠組みに入れていきましょうとか、そういうことではなくて、こういったものについて議論してはどうかという提案があり、それに対する各国様々な立場がある中で、例えば追及権なら追及権に関する調査を行って、その成果を発表していただいたりとかというのが続いている状況です。

結局、コロナの関係もあって、各国が一堂に会して議論しているわけではありませんので、おのおのの立場を言って、それぞれ立場を言いっ放しで終わっている感じになっていますので、恐らくしばらくこういった感じで、追及権にしても、舞台演出家の権利保護についても、議題としては立っていくんだけども、しばらくは各国がどのような立場に立っているのか、保護に取り組んでいる国ではどういう視点に立ってやっているのか、留意すべき点は何かとか、そういったことが引き続きもうしばらくは議論になるんじゃないかと思っています。

【河島委員】分かりました。どうもありがとうございました。

【茶園分科会長】国際小委員会のところに戻っていますので、ほかに国際小委員会に関しまして御質問等ございますか。よろしいですか。

では、また本来のところに戻って、使用料部会、先ほど井上委員から御報告していただきましたけれども、使用料部会の御報告に関しまして御質問等はございますか。よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。

では最後に、議事(4)その他に入りたいと思います。事務局において、「世界知的財産の日2022」記念イベントにつきまして資料を御用意いただいておりますので、参考資料2について、事務局より説明をお願いいたします。

【児玉国際著作権室長】再び事務局でございます。

例年4月26日が「世界知的財産の日」となってございまして、WIPO、世界知的所有権機関の日本事務所がオンライン形式のイベントを行います。その宣伝についてのチラシを入手いたしましたので、皆様と共有させていただきたいと思います。

なお、なぜ4月26日かというのはこのチラシの中に書いてございますけども、WIPOを設立する条約が発効した日ということで、4月26日が「世界知的財産の日」ということで指定されているそうです。

裏面を見ていただきますと、WIPOでは、「世界知的財産の日」の特設ユースギャラリーということで、よりよい未来のためにイノベーションを起こす若いチェンジメーカーの紹介ということで、日本からもクリエイターであったりとか若手の起業家の方なんかを紹介するような特設サイトをつくってございます。

クリエイターの関係でいきますと、現代音楽作曲家の坂東祐大さん、それから、歌い手のまふまふさんをこちらから御推薦いたしまして、既に実は英語版のサイトはオープンしているという情報をいただいています。日本語版サイトは順次公開ということですが、まず「世界知的財産の日」のひと月前の段階でサイトが立ち上がって、こういった世界各地の若い世代が知財を使って様々活躍している様子を御覧いただけるような場が提供されてございますので、ぜひともまたアクセスいただければと思ってございます。

以上です。

【茶園分科会長】よろしいでしょうか。なければ、本日は今期最後の著作権分科会ということでございますので、中原文化庁審議官から一言御挨拶をいただければと思います。

中原審議官、よろしくお願いいたします。

【中原文化庁審議官】文化庁審議会の中原でございます。今期の文化審議会著作権分科会を終えるに当たりまして、一言御礼を申し上げます。

今期の著作権分科会におきましては、昨年7月の大臣諮問を受け、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度・政策の在り方について審議をいただき、そのうち簡素で一元的な権利処理方策と対価還元や、著作権制度・政策の普及啓発・教育、海外展開や海賊版対策に関する国際的な課題につきまして、中間まとめとして一定の方向性をお示しいただきました。

デジタルトランスフォーメーションという新しく難しい課題につきまして、皆様方に丁寧かつバランスの取れた御議論をいただき、これまでになかった著作権政策の可能性を開いていただいたものと受け止めております。文化庁といたしましては、御議論いただきましたこと、そしてまた本日御報告を頂戴しましたことなどを踏まえまして、法制化等の検討や環境整備を進めてまいります。

委員の皆様方におかれましては、今期の本分科会の充実した審議のために、多大な御尽力を賜りましたことに改めて感謝を申し上げますとともに、引き続き多くの課題がありますので、今後とも御指導をお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。

【茶園分科会長】どうもありがとうございました。

では、最後に当たりまして、私からも一言御挨拶を申し上げたいと思います。

本日の会議がウェブ会議システムを用いて行われているというように、コロナ禍によって議論がなかなか困難な状況にございます。それにもかかわらず、本日の会議の検討からうかがわれますように、数多くの課題につきまして御議論いただきました。それらには、結論を得たもの、また検討を進めていただいたものがございます。

この著作権分科会、そして各小委員会、使用料部会において充実した議論をしていただいたことが現れていることと思います。そのことに関しまして、委員の皆様には心より御礼を申し上げます。また、幾つかの課題につきましては、まだ検討途中にございますので、今後さらに検討を進めていただきたいと思っております。

本当に充実した御議論をいただきまして、ありがとうございます。

それでは、以上をもちまして、今期の文化審議会著作権分科会は終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

――――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動