文化財保存施設(収蔵庫)の防犯対策の強化について
(平成14年7月16日 14庁財第129号)

 去る7月9日夜から10日未明,兵庫県加古川市の鶴林寺において,文化財保存施設(収蔵庫)正面扉の施錠を破壊して前室に侵入,さらに防犯センサーの設置されていない開口部を破って収蔵室に至り,短時間のうちに重要文化財(絵画2件7幅)を持ち去るという悪質な盗難事件が発生しました。
 今回の事件は,本来安全であるべき構造・仕様で建設された施設で発生したものであり,文化庁としてはこの事実を重く受け止め,非常に憂慮しているところです。
 文化財は,我が国の歴史や文化を正しく理解するためになくてはならないものであると同時に,未来の文化の向上発展の基礎となるべき国民共有の財産です。これらが不法な行為により亡失・滅失するようなことのないよう万全を期す必要があります。
 もとより文化財(美術工芸品)の管理については,その所有者,管理者,関係地方公共団体等が協調して,より現状に即した対策を講じていく必要があります。また,防犯については,近年の社会情勢にかんがみ,所轄警察署との緊密な連携が不可欠です。
 貴教育委員会におかれては,文化財の管理及び防火防犯に関する従来の通知(別紙参照)において指摘されている諸事項について,改めて文化財所有者等への周知徹底に努められると共に,特に文化財保存施設(収蔵庫)について,下記により防犯機器の再点検等に努められますよう,一層の御配慮をお願いします。

  1. 既存の文化財保存施設(収蔵庫)の入口扉について,単式錠の場合は新たな施錠設備を追加して二重鍵(同型式の鍵よりも異型式の鍵が望ましい。例えばピッキング不可能なシリンダー錠に閂錠を追加等)とする。既に二重鍵の場合は,鍵機能の点検を行う。
  2. 入口扉内側に,防犯センサーを設置する。既に設置されている場合には,設置位置を点検し,また配線の隠ぺい等にも留意する。
  3. 床下換気口等,その他開口部設備についても点検を行い,不審者侵入の可能性がある場合は,鉄格子の設置等,必要な対策を講じる。
  4. 入口及び開口部周辺に,センサー作動の防犯灯を設置する。
  5. 参観者がある場合には,必ず氏名・人員等を確認できるような記帳等を励行する。
  6. 常時または定期的に文化財保存施設(収蔵庫)を巡回し,文化財の所在,状態を確認する。

(別紙)

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