著作権の基本的な考え方や例外ルールを、SNSや創作の身近な場面をもとに、わかりやすく解説します。
※本シリーズは全8問を予定しており、今後順次公開していきます。
設問一覧
第1問
推しのライブ動画をSNSに投稿して、ファンの友達と共有してもいい?
押さえておきたいポイント
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無許可でのライブ動画公開は原則NG。
公式が撮影・投稿まで許可している場合はOK。
もう少し詳しく解説します
“推し”を応援したい気持ちや、感動を共有したい思いから、ライブ中に撮影した動画をSNSでシェアしたくなることもあるかもしれません。しかし、ライブ動画をインターネット上に許可なくアップロード・シェアする行為は、不特定または多数の人に向けた「自動公衆送信」または「送信可能化」にあたり、著作権法第30条第1項が定める「私的使用のための複製」の範囲には含まれません。そのため、原則としてアーティストや運営者などの権利者の許可なく撮影・投稿することは、著作権侵害となる可能性があります。
ただし、公式アカウントや公式ガイドラインなどで、「撮影・SNS投稿OK」などと投稿まで含めて許可されている場合には、その範囲内で撮影やシェアを楽しむことができます。中には、「特定の楽曲のみ撮影・シェアOK」など、条件が細かく定められているケースもあります。公式のアナウンスを確認したうえで、ルールを守って楽しみましょう。
第2問
「歌ってみた」で、メロディーや歌詞全文をアップするのはOK?
押さえておきたいポイント
権利者(アーティストやレーベルなど)の意思を確認、理解して判断することが大切。
もう少し詳しく解説します
主要な動画サービスやSNSは、JASRACやNexToneなどの著作権等管理事業者と利用許諾契約を締結している(*)ため、自分で演奏・歌唱したものであれば、管理楽曲においては条件の範囲内で、カバー動画「歌ってみた」「演奏してみた」を投稿できる場合が多くあります。サービスによっては、メロディーや歌詞全文を含めた動画投稿が可能な場合もあります。
一方、インディペンデントに活動するアーティストの楽曲や海外の楽曲には、著作権等管理事業者に管理を委託していないケースもあります。その場合、権利者自身が演奏や歌詞掲載を許可しているかどうかを確認することが必要です。
なお、「元の音源を使用する」「投稿内容が広告や投げ銭など営利目的を含む」「サービスが利用許諾契約の対象外」といった場合は、別途許諾が必要です。権利者の意思や契約条件を踏まえたうえで、「歌ってみた」を投稿しましょう。
第3問
アニメやゲーム、映画などのコスプレ衣装を着て個人的な撮影会をしたい。何に気をつけたらいい?
押さえておきたいポイント
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作品へのリスペクトを大切に
決められたルールの範囲で楽しみましょう。
もう少し詳しく解説します
アニメやゲーム、映画などのコスプレ衣装で作品の世界観を表現することは、ファン活動のひとつとして広く親しまれています。コスプレを楽しむ際には、まず各作品や権利元の企業が公式ガイドラインを定めていないかを確認しましょう。作品によっては、コスプレの作成・撮影・投稿などの利用条件が示されている場合もあります。
キャラクターの衣装やデザインは、著作権法などの保護対象となる場合があります。著作権法で保護対象となるコスプレ衣装の写真や動画を無断で販売することは、認められないことが多いです。さらに、他のコスプレーヤーを本人の同意なく撮影したり、SNSに掲載したりすると、肖像権やパブリシティ権の侵害など、トラブルにつながるおそれもあります。
個人的にコスプレを楽しむ行為そのものが直ちに著作権侵害となるわけではありませんが、作品や権利元が定めるルールがある場合には、そのルールを確認しましょう。特に撮影した写真や動画をインターネット上に公開する行為については、ルールに違反しないかをチェックしておくと安心です。
公式のルールやマナーを確認し、作品や他者へのリスペクトを大切にしながら、決められた範囲でコスプレを楽しみましょう。
第4問
100年前の名曲をアレンジして作品を生み出したい。気をつけるポイントは?
押さえておきたいポイント
保護期間が満了した著作物は
「パブリック・ドメイン」として社会全体の共有財産に。
もう少し詳しく解説します
著作物の保護期間は、現在の著作権法では原則として「創作の時から、著作者の死後70年を経過するまでの間」です。保護期間が満了した著作物は「パブリック・ドメイン」と位置付けられ、公共的な財産となります。パブリック・ドメインとなった楽曲に関しては、自分で演奏・歌唱し、それを公開、商用利用することも自由です。
これまでも保護期間が満了した著作物は、社会における共有財産となり、次の時代の新たな創作活動の基盤になってきました。文化芸術のバトンに想いを馳せながら、活用していただけたらと思います。
ただし、注意が必要なのは録音物です。CDや配信音源などの録音物には、歌手や演奏者、録音物制作者の権利(著作隣接権)が存在し、この権利の存続期間までは満了していない可能性があるため、そのまま利用することはできません。保護期間が満了していない場合には、自分で演奏・録音するか、権利処理をした音源を利用する必要があります。
第5問
二次創作がSNSで「盗用」と指摘されてしまった。何に気をつけるべきだった?
押さえておきたいポイント
権利者が定めたルールや
ガイドラインを確認しましょう。
もう少し詳しく解説します
ファンアートなどの二次創作は、文化として深く愛されていますが、創作した作品が誰かの作品の「二次的著作物」にあたる場合には、原則として複製権・翻案権の観点から、権利者の許諾が必要です。著名な作品では、権利者が二次創作に関するガイドラインを定めていることも多く、まずはそれらのルールを確認することが大切です。
ガイドラインがない場合も、個人的に楽しむ範囲での二次創作は問題ありません。ただし、著作者の意思に反する改変は同一性保持権の侵害となったり、SNSなどでの公開は私的利用の範囲外となるうえ、公衆送信権も侵害する可能性があるため、注意が必要です。
仮に権利者以外から二次創作の作品を「盗用」と指摘されたとしてもそれだけで、罰金や懲役刑を受けるなどの刑事上の責任を問われることはありません。原則、著作権侵害の告訴は、権利者のみが行うことができます。二次創作を投稿する際は、権利者が定めたルールやガイドラインに沿って楽しむことが重要です。安全な範囲で創作に向き合い、作品への敬意を持って発表しましょう。
第6問
ネットで見つけた画像を、SNSやブログのアイコンに使っていい?
押さえておきたいポイント
「拾い画は無断利用OK」は誤解。
権利者の意思に従いましょう。
もう少し詳しく解説します
「ネットに落ちている画像は自由に使ってもいい」という風潮がありますが、これは誤解です。実際は「自動公衆送信」または「送信可能化」にあたり、著作権侵害となる可能性があります。
いわゆる「拾い画」のほとんどは、誰かの著作物であり、権利者が存在します。権利者であるクリエイターや企業のなかには、自身のウェブサイトやSNSで利用条件を明記するなどの意思表示を行っているケースも少なくありません。「多くの人がやっているから大丈夫」「きっと見つからないだろう」という気持ちで無断利用せずに、まずは誰の著作物なのかを調べ、権利者の意思を確認することが大切です。
第7問
公園の彫刻や、建物の外側にある壁画。写真を撮ってSNSに載せていい?
押さえておきたいポイント
屋外に恒常的に設置されている美術品は著作権法上、
自由な利用が認められる範囲が広い。
もう少し詳しく解説します
屋外の彫刻や壁画などの美術品。「著作物だから、撮影した写真をSNSなどで公開してはいけないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし公園や街中などの屋外に恒常的に設置されている美術の著作物は、原則として撮影や、その写真のSNSへの投稿が可能です。ただし、ポストカードを制作して販売するといった、複製物の販売を目的とした利用などは認められていません。
また、他の法律やマナーに触れたり、その場所の施設管理権により撮影ルールがもうけられている場合もあります。
これらを踏まえ、安全に創造的に屋外のアートを活用してみてください。
第8問
「ゲーム実況」で実際のゲームの映像を動画に使ってもいいの?
押さえておきたいポイント
権利者が許諾した範囲内であればゲーム実況可能。
ガイドラインに沿って楽しんでください。
もう少し詳しく解説します
ゲームの映像や音楽、キャラクター画像などは、ゲーム会社などが著作権を有する著作物です。そのため、実際のゲーム映像を用いた実況動画の公開は、原則として権利者の許諾が必要となります。
もっとも、多くのゲーム会社では、ユーザーによる実況動画の投稿について、公式ガイドラインや利用条件を設けたうえで利用を認めている場合があります。その場合はガイドラインで認められた範囲内であれば、ゲーム実況を行うことが可能です。
「ゲーム映像を使うことは一律で公衆送信権侵害になる」という印象を持たれがちですが、権利者が許諾している範囲内であれば利用することができます。ただし、許諾の有無や条件はゲーム会社や作品ごとに異なります。事前に個々の公式ガイドラインを確認したうえで、ぜひ楽しんでください。









