
基調講演を行う池上 重弘氏(静岡文化芸術大学 教授)
我が国に在留する外国人は、社会や経済の国際化の一層の進展に伴い、今後、ますます増加することが予想されています。このような状況の中、令和元年6月には「日本語教育の推進に関する法律」が公布・施行され、令和2年6月には「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」(以下、基本方針)が閣議決定されました。そして、国及び地方公共団体は、外国人等が円滑に日本社会の一員として安心・安全な生活を送ることができるよう、連携して日本語教育を推進していく必要があります。
文化庁では、こうした施策展開の一助となるよう、令和3年11月11日(木)、都道府県・市区町村等日本語教育担当者研修を開催しました。本研修は、都道府県・市区町村の地方公共団体等で日本語教育に関わる行政職員を対象に、各域内における日本語教育施策等の企画・立案能力の育成・向上を目的として、平成20年度から実施されています。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止したものの、今年度で13回目となります。今年度は初めてオンラインで開催し、昨今の外国人材受入れに対する関心の高まりを受け、全国43都道府県から約150名の担当者に御参加いただきました。
文化庁による施策説明の様子
審議内容説明を行う松井孝浩専門職(文化庁国語課)
今年度は、「市町村との連携を意識した日本語教育の総合的な体制づくりの展開」を大きなテーマとして、都道府県・市区町村の取組について三つの事例を紹介するとともに、それぞれの課題等について意見交換を実施しました。
前提として、各省庁からの施策説明、文化庁による施策説明、文化審議会国語分科会日本語教育小委員会での審議内容説明(以下、審議内容説明)を実施しました。特に審議内容説明では、本年10月に取りまとめられた「日本語教育の参照枠」について概要を説明し、地域における日本語教育においても活用が期待されることが報告されました。
基調講演を行う池上 重弘氏(静岡文化芸術大学 教授)
基調講演では、静岡文化芸術大学教授・池上重弘氏に、実践報告では埼玉県より都道府県において策定される基本方針、静岡県より都道府県と市町村の連携、山梨県より地方公共団体と日本語教育機関の連携の三点について御発表いただきました。
実践事例を報告する埼玉県
さらに、三つのグループに分かれ、意見交換を行いました。意見交換では、地域における日本語教育の実践が豊富な以下の三名のファシリテーターに進行していただき活発な意見交換が行われました。
【グループ別ファシリテーター】
意見交換を進行する西山 陽子氏
研修参加者
なお、参加者からは、
「基調講演を聞いて、これから日本語教育を展開していく上で、念頭に置くべき内容をはっきり明示してもらえた」
「地方公共団体の責務としての日本語教育の推進に関する具体的な事例を知ることができ、施策推進のイメージが湧いた」
「各地域の実践報告では、今後の課題やそれに対する方策案もお伺いすることができた。また、継続して推進するための仕組みづくり等の将来的な展望を知ることができた。」
といった声が寄せられました。
このように地域での日本語教育が重要となる中、各地での知見を共有し今後の課題の解決にもつながる有意義な研修となりました。
来年度も本研修の実施を予定しておりますので、地域の日本語教育担当の方々の御参加をお待ちしております。
今年度の研修での配布資料は以下を御参照ください。
・開催案内
文化庁「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」審査委員会 委員(令和元年度)
出入国在留管理庁「外国人との共生社会の実現のための有識者会議」 委員(令和2~3年度)
【埼玉県】(令和2~3年度「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」活用)
「「日本語教育の推進に関する法律」に基づく基本方針から体制づくりへ」
「市町村と連携した日本語教育モデル展開と自立を目指して」
「空白地域解消を目的とした日本語教育機関と連携する体制づくり」
【グループ別ファシリテーター】 実践報告者(埼玉県・静岡県・山梨県)別に意見交換
・配布資料
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