今般、宗教法人法(昭和26年法律第126号。以下「法」という。)に基づき設立される宗教法人について、その本来の目的を逸脱した宗教法人の売買等の事例が見られるところ、この課題の解消に取り組む必要があると考えておりますので、各事業者の皆様に御協力をいただきたく、下記のとおり通知します。
記
1.不活動宗教法人に関する課題と文化庁における対応
宗教法人とは、宗教団体が自由で自主的な活動をするための基礎として、法に基づき設立される法人の類型であり、法の定めるところにより、宗教団体のみがこの法人格を取得できることとされている(法第4条)。
一方で、宗教法人として設立されながら、事実上、宗教活動を停止しており、法人格のみが残存しているもの(いわゆる不活動宗教法人)が実態上見受けられ、これを放置した場合、第三者により法人格が不正に取得され、脱税や犯罪収益の移転、いわゆるマネー・ロンダリング等の違法行為につながるおそれがあることが指摘されている。
この点、文化庁としては、各都道府県とも連携しながら、不活動宗教法人それぞれの状況に応じて、活動再開を促すことや、合併若しくは任意解散の手続を進めること、裁判所に解散命令を請求することなどによって整理する取組を進めている。
さらに、不活動宗教法人対策の徹底については、先の国会(第211回国会)においても議論がなされ、内閣総理大臣及び文部科学大臣から、宗教法人法の確実な適用の必要性等に関する答弁があった。
このような状況を踏まえ、文化庁においては、当該事務の遂行に当たっての留意事項を整理し、宗教法人法に基づく事務の適正な遂行に向けて、改めて、取組を徹底しているところである。
2.インターネットを介した不活動宗教法人の売買に類似した取引
上記のように、政府として不活動宗教法人対策の徹底に全力を挙げているにもかかわらず、今次、節税への活用等を謳って、宗教法人の売買に類似した取引(主として、法人の代表役員の地位その他の実質的に法人の運営に対して深い影響を及ぼす法人内の地位を、名目のいかんを問わず、寄附等、金銭その他の財産上の利益を与えることにより得る取引行為をいう。)を呼びかけるインターネット上の仲介サイトが多数あることが報道等において指摘されており、このようなサイトを通じた取引の一部は、宗教法人を悪用した違法行為を助長しているおそれがある。
法の目的はすでに述べたとおりであるが、同法は、元来の宗教活動を継続・継承する意思のない第三者が法人格を取得し、宗教活動以外の目的に法人格を利用する事態をそもそも想定しておらず、このような行為は法の許容するところではない。このことは、手段の如何を問うものではなく、インターネット上でのやり取りであれ、対面でのやり取りであれ、同様に許されるものではないが、とりわけ、インターネットに強力な情報拡散力があることや、通信の高速性があることによる影響は軽視できない。
むろん、宗教法人法の趣旨に則り、現に目的のために活動している宗教団体が、その活動の継続のための必要性に応じてインターネットサイトを利用すること自体が否定されるものではない。しかし、宗教法人が宗教活動という公益的な活動を行うことにより享受する税制上の優遇措置等の側面のみを取り上げ、宗教活動の実態を伴わない宗教法人の売買に類似した取引を呼びかけるインターネットサイトの横行を許せば、政府として取り組んでいる不活動宗教法人対策の効果が無に帰されるばかりか、脱税やマネー・ロンダリング等の違法行為を助長し、国民が安全に利用できるべきインターネット空間に危険を招来することとなる。
このような事態が、宗教法人という仕組み自体への信頼の失墜を招くおそれがあることはもとより、社会的にも望ましいものと言えないことは明らかであり、インターネット上の宗教法人の売買に類似した取引や、これを呼びかける行為が無制限に行われることは避けなければならないと認識するものである。
3.各事業者において御検討いただきたいこと
上記の趣旨を踏まえ、各事業者の皆様におかれては、法の目的を潜脱する宗教法人の売買に類似した取引により、違法行為を助長することがないよう、法令を遵守する企業姿勢として以下に掲げるような対策にお取り組みいただきたい。
(1)法人格を悪用した違法な行為を助長することが疑われるインターネットサイトを運用する事業者に対し、宗教法人法の趣旨を踏まえ、不正な法人格取引等の温床になっていないか確認するよう求めるなど、本通知を活用するなどして、周知・啓発等を行うこと
(2)法人格を悪用した違法な行為を助長することが疑われるインターネットサイトの利用者に対し、本通知の掲載等を通じて、注意喚起を行うこと
(3)宗教法人格の不正な取引の調査のため、捜査機関や裁判所等からの法的な要求があった場合には、自社規定に基づき、適切に対応するよう求めること
【本件担当】
文化庁宗務課
電話:03-5253-4111
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