文化芸術基本法

1.はじめに

第193回国会(常会)において成立した「文化芸術振興基本法の一部を改正する法律」が,平成29年6月23日に平成29年法律第73号として公布,施行されました。

改正法の概要及び条文等は,以下のとおりです(青字の部分にカーソルを合わせてクリックすると,内容を見ることができます)。

以下,改正法の背景・趣旨及び概要について御紹介します。

2.改正の背景

我が国の文化芸術全般にわたる基本的な法律として「文化芸術振興基本法」が平成13年に議員立法により成立してから16年が経過しました。政府ではこれまで,同法に基づき4次にわたって策定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針」のもと,文化芸術立国の実現に向けた文化芸術の振興に関する取組が進められてきました。

一方でこの間,少子高齢化・グローバル化の進展など社会の状況が著しく変化する中で,観光やまちづくり,国際交流等幅広い関連分野との連携を視野に入れた総合的な文化芸術政策の展開が,より一層求められるようになってきました。

また,2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会は,スポーツの祭典であると同時に文化の祭典でもあり,我が国の文化芸術の価値を世界へ発信する大きな機会であるとともに,文化芸術による新たな価値の創出を広く示していく好機でもあります。

こうしたことから,超党派の文化芸術振興議員連盟における1年以上にわたる検討等を経て,議員立法により,「文化芸術振興基本法」の改正が行われました。

3.改正の趣旨

今回の改正は,文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ,文化芸術そのものの振興にとどまらず,観光,まちづくり,国際交流,福祉,教育,産業その他の関連分野における施策を本法の範囲に取り込むとともに,文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承,発展及び創造に活用しようとするものです。

4.改正の概要

「文化芸術基本法」は,文化芸術に関する活動を行う人々の自主的な活動を促進することを基本としながら,文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り,心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に貢献することを目的としています。

今回の改正においては,文化芸術そのものの振興に加え,観光・まちづくり・国際交流・福祉・教育・産業等文化芸術に関連する分野の施策についても新たに法律の範囲に取り込むとともに,文化芸術により生み出される様々な価値を,文化芸術の更なる継承,発展及び創造につなげていくことの重要性を明らかにしました。

また,文化芸術団体の果たす役割が明記されるとともに,国・独立行政法人・文化芸術団体・民間事業者等の連携・協働についても新たに規定されました。

文化芸術に関する基本的施策については,伝統芸能の例示に組踊が追加されるとともに,食文化の振興が新たに明記されました。また,芸術祭の開催支援や,高齢者及び障害者の創造的活動等への支援等が明記されました。

このほか,文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,政府はこれまでの「文化芸術の振興に関する基本的な方針」に代わり新たに「文化芸術推進基本計画」を策定することとされました。また,新法では,文部科学省,内閣府,総務省,外務省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省等による「文化芸術推進会議」を設けることとされています。

改正法の附則においては,文化芸術に関する施策を総合的に推進するため,政府は文化庁の機能の拡充等について,その行政組織の在り方を含め検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとされています。

今後は,今回の改正趣旨を踏まえ,観光・まちづくり・国際交流・福祉・教育・産業等文化芸術に関連する幅広い分野も含めた施策を推進するとともに,行政機関・文化芸術団体・民間事業者・学校・地域等の連携のこれまで以上の連携により,文化芸術に関する施策が更に推進されていくことが期待されます。

5.(参考)文化芸術振興基本法(旧法)

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