趣旨・目的
「授業目的公衆送信補償金制度」は、教育機関の設置者が文化庁長官の指定する団体(指定管理団体)に一括して補償金を支払うことで、個別の許諾を要することなく、オンデマンド授業、スタジオ型のリアルタイム配信授業、予習・復習・自宅学習用の資料をインターネット等で送信することができる制度です。
ワンストップの窓口に一定の補償金を支払えば適法に著作物の利用が可能となることにより、教育機関の権利処理の手続き的負担が大幅に軽減され、ICTを活用した教育における著作物等利用の円滑化、ひいては学校等の教育の質の向上や教育機会の充実が期待されます。また、補償金の分配により、権利者に対価が還元されることで、権利者の正当な利益の保護を図っています。
※本制度は、「授業の過程における利用」に限って認められているため、あらゆる場面で他人の著作物等を公衆に送信できるわけではありません。学校等の教育機関においては、児童生徒等が誤った認識を持たないよう十分留意することが必要です。
補償金分配の流れ
教育機関の設置者が一括して指定管理団体に補償金を支払い、サンプル方式による学校等からの利用報告に基づき、指定管理団体から各分野の権利者団体等に補償金の分配が委託され、権利者団体等を通じて個別の権利者に分配されます。また、一定割合の補償金は、著作権の保護や著作物の創作の振興・普及に資する共通目的事業に支出されます。

認可された補償金額
補償金規程:授業目的公衆送信補償金規程
①学校種別の年間包括料金(公衆送信の回数は無制限)
授業目的公衆送信を受ける幼児/児童/生徒/学生1人当たりの額
- 大学 720円(月平均60円)
- 高校 420円(月平均35円)
- 中学校 180円(月平均15円)
- 小学校 120円(月平均10円)
- 幼稚園 60円(月平均 5円)
- 社会教育施設、公開講座等
30人を定員とする1講座・講習を1回の授業として、授業毎に300円
②公衆送信の都度支払う場合の料金
1回・1人当たり10円
(対象となる著作物、実演、レコード、放送、有線放送毎)
制度に係る経緯
平成29(2017)年4月 | 文化審議会著作権分科会報告書 |
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平成30(2018)年5月25日 | 著作権法の一部を改正する法律の公布(平成30年法律第30号) |
平成31(2019)年2月15日 | 授業目的公衆送信補償金を受ける権利を行使する団体として、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)を指定 |
令和2(2020)年4月24日 | 令和2年度における授業目的公衆送信補償金の無償認可 |
令和2(2020)年4月28日 | 授業目的公衆送信補償金制度の早期施行 |
令和2(2020)年12月18日 | 授業目的公衆送信補償金の額の認可 |
令和3(2021)年4月1日 | 有償の補償金による本格的な運用開始 |